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  • 「共謀罪は独裁への道」小林よしのりライジング Vol.208

    2017-01-17 20:40  
    150pt

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     安倍政権が今月20日召集の通常国会で「共謀罪」法案の成立を目指すという。
     共謀罪とは、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となるもので、過去には小泉政権が2003年、2004年、2005年の3回にわたって法案を提出し、いずれも野党や世論の反対によって廃案となっている。
     安倍政権は10年以上前に3度も否定された法案を、何としても通そうとしている。その意図は、しっかり見抜いておかなければならない。
      そもそも日本の刑法は「既遂」、すなわち実際に犯罪が行われ、具体的に被害や危険が生じた場合にのみ処罰を行うのが原則である。
     実行行為に及んだものの「未遂」であれば刑を軽減でき、さらに例外的に殺人や放火などの重大犯罪については、実行行為がなくても準備や計画をしただけで罪となる「予備罪」「準備罪」などの規定がある。
      ところが「共謀罪」は犯罪の実行行為はおろか、準備も具体的計画もなく、ただ犯罪計画を話し合っただけで罪に問えるのであり、これは日本の刑事法体系を根本からひっくり返しかねない暴挙なのだ。
      しかもそれを、懲役・禁固4年以上の600以上にも及ぶ犯罪を対象にする方針らしい。
     そしてさらにいえば、実行行為はおろか、準備も、計画の立案にすらも至らない、 「計画を話し合う」だけで処罰の対象になるということは、要するに「内心で考えていること」が罰せられるということであり、憲法で保障された思想信条の自由に対する侵害となるのである。
     菅官房長官は記者会見で、テロ対策のために「国際組織犯罪防止条約」の締結が必要不可欠で、「共謀罪」法案はそのための法整備だと説明している。
     だがこれは、小泉政権下で3度持ち出され、3度論破された理屈なのだ。
     国連総会で2000年11月に採択された同条約は、マフィア対策のため、国際犯罪が多いマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬の密造・販売を取り締まることを目的としたものである。
     同条約は世界180以上の国が締結しているが、その中で条約締結のために新たに国内法を整備した国があるかという国会質問に対して、政府はノルウェー、ニュージーランド、オーストラリアのたった3か国しか挙げていない。
     そもそも国連では同条約については「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」と説明しており、 実際には現行法のままでも「国際組織犯罪防止条約」には十分対処でき、締結は可能なのだ。
     条約締結のために日本の刑事法体系をひっくり返し、600以上もの犯罪に関わる大幅な法改正となる「共謀罪」が必要という説明は、圧倒的に説得力を欠いている。だからこそ法案は3度も廃案になったのである。