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  • 「対韓輸出管理の反応に見るリベラルと保守の違い」小林よしのりライジング Vol.323

    2019-07-23 19:20  
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     政府は韓国向け半導体材料などの輸出規制を強化した。
     世論調査ではこれに対して 「支持する」という回答が70.7% 、 「韓国は信用できる国だと思うか」という問いにも「思わない」が74.7% にも上っている(7月14、15日 産経新聞・FNN合同世論調査)。
     わしは、これでいいと思う。
     今回の 対韓輸出規制強化 が「徴用工問題」への対抗措置なのかどうかについては、判然としていない。
     日本政府は「対抗措置ではない」とは主張しているが、その背景には徴用工問題があることを認めており、 韓国が国際法上の国と国の約束を守らないため「信頼関係が著しく損なわれ」、それにより「安保上の懸念」が生じている と説明している。
     わしはこれは正しいと思う。
     そもそも今回規制対象となった フッ化水素 などは化学兵器の生産などに軍事転用できるもので、もともと輸出規制して当然のところを、今までは信頼関係があるからということで、ほぼフリーに輸出していたのだ。その信頼関係がここまで破壊されたのだから、規制は強化して当然である。
     自民党からは「 (過去輸出した分の)行き先が分からないような事案が見つかっているわけだからこうしたことに対して措置を取るのは当然だと思う 」(萩生田光一幹事長代行)、「 今までウラン濃縮素材(フッ化水素)について韓国企業が“100欲しい”と言ったら100渡していた。しかし工業製品に使うのは70ぐらいで残りを何に使うか韓国は返答しなかった 」(小野寺五典元防衛相)といった発言があり、もっとはっきり「 北朝鮮に横流しされている 」とする報道も一部には出ていた。
      もしかしたら、政府は公式には言わないが、輸出した半導体材料がどのように流れているかの情報を秘密裡に抑えているのかもしれないし、もしそうであれば、この措置は正しいと言うしかない。
     韓国は今回の規制強化を報復と思ってギャーギャー怒っているし、日本のネトウヨなどもこれを報復だと思って、ワーワー拍手喝采している。
      わしは基本的にはこれを報復とは思っていないのだが、もし仮に報復だったとしても、もうそれでいいんじゃないかと思っている。
      ところがリベラル系の者は、こぞって輸出規制強化に反対を唱えている。
     例えば朝日新聞は3日の社説で「確かに徴用工問題での韓国政府の対応には問題がある」としながらも、 「日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである」 と書いている。
     東京新聞も3日の社説で 「対話の糸口を見つけ、早期収拾を図るべきだ」「確かに日韓関係は厳しい。損なわれた信頼関係を修復する努力をそれでも怠り、感情的な争いになれば、お互いが不幸な被害を受ける結末になってしまう」 と主張している。
     朝日も東京も、冷静になって話し合えと唱えているのだ。
     ここがリベラルと保守の違いなのである。
     リベラルは相手を信頼する。
     そして リベラルは、国民性の違いというものを認めない。
     人類みな兄弟、あの国の人もこの国の人も同じ人間同士。だから感情的にならず、冷静になって話せばわかると思うのだ。
      だが保守の感覚では、それぞれの国にはそれぞれの国民性があり、価値観の相違があり、これは話し合っても決して乗り越えられないと諦観しているのである。
     韓国については、もはや「反日」が国民性になってしまっていて、これを説得して変えるなんてことはできないと保守は考えるのだ。
     西郷隆盛の時代ならば、一か八かの話し合いが功を奏す可能性はあったが、それができずに、その後は日本政府が砲艦外交をやったために、両国の信頼性は失われ、朝鮮半島に「恨」が蓄積するのみになった。
     リベラルは、世界の誰とでも「話せばわかる」というが、それならば、リベラル知識人がまず話してわからせて韓国の反日をやめさせてほしい。
     だがそれは現実には絶対不可能だ。 韓国人が自分たちのアイデンティティーを保つための核が「反日」になっていて、反日をやめたら韓国は崩壊してしまう。