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記事 4件
  • 「集団的自衛権の本音を隠す言葉の乱調」小林よしのりライジング Vol.86

    2014-05-27 17:50  
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     保守と言うなら日本語が狂っていてはいけない。
     言葉の乱れは心の乱れだ。安倍自民党の政治家たち、それを熱烈支持する自称保守の論客たちの言葉の乱れは弥増すばかりだ。
     例えば安倍首相が連呼する「 積極的平和主義 」とは一体なんのことなのか?最近の国民は、よくこんな変な言葉に違和感を感じないでいられるな。
     普通、「積極的」に「平和」を求める「主義」ならば、とにかく積極的に外交・話し合いに全力を投入し、武力衝突の事態だけは避けようと尽くすものを言うはずではないか。
     そんな言葉は本来、反戦平和主義の左翼が使う言葉のはずである。
      ところが安倍首相は、積極的に暴力に訴えることも辞さない態度を「積極的平和主義」と言っているのだ。
     積極的に暴力を行使するとか、積極的に武力を見せつけて威嚇する態度を、普通は「平和主義」とは言わない。
     安倍のいう「積極的平和主義」とは、単なる「武断主義」のことである。「平和主義」の前に付けた「積極的」という語は、「武断的」という意味であり、「武断的平和主義」と言ってるわけで、正反対の言葉をドッキングさせている。
    「平和主義」の前に「積極的」という言葉さえ付ければ、国民は安全だと錯覚するのだろうか?
     言葉の言い換えで現実に対して概念操作を行ない、現実そのものが「違うものに変化した」かのように見せかけるという欺瞞的で催眠性のある手法は、日常的に行なわれている。
     定着してしまったもので言えば、「首切り」「解雇」を「リストラ」と言い換えて、それがいかにも軽いものであるかのような印象に変えられたのが典型例である。
     これはオウム真理教の麻原彰晃が「殺人」を「ポア」と言い換えて、信者が殺人するときに抱く罪悪感を、減少させた手口と同じである。
     自民党幹事長・石破茂が、呆れたことに、「集団的自衛権行使容認」は、日本国憲法の趣旨にも合致するなどと言い出した。これは言葉そのものの乱調というより、論理が乱調を来たした例であり、つまり大脳が乱調を来たした恥ずべき事態である。
     5月23日のダイヤモンド・オンラインのインタビューで、石破は次のように発言している。
      トータルで憲法が意図する趣旨は前文に記されていますが、その中に「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて」と書いてあります。
     この趣旨からすれば、むしろ集団的自衛権は憲法においても積極的に評価されるべきではないでしょうか。
      なんと改憲派のはずの石破茂が、集団的自衛権の根拠を現行憲法の前文に求めている!
     しかも憲法前文の都合のいいところだけを「つまみ食い」しているのだ。
     そもそも日本国憲法前文には、この一文がある。
    日本国民は…… 政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し ……この憲法を確定する。  さらに、石破が引用している「 われらは、平和を維持し… 」の前には、次の一文が入っている。
    日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して 、われらの安全と生存を保持しようと決意した。  どう読んだって日本国憲法前文の趣旨は「戦争放棄」であり、自らの安全と生存の維持も、国際社会で名誉ある地位を築くことも、決して武力は使わず、「 平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼 」することによって行なうと宣言している。
     これまで改憲論者はこの前文を「平和を愛する諸国民」なんてどこにいるのだと揶揄し、これは「空想的平和主義」だと批判してきたはずだ。
     そもそも自民党は「日本国憲法改正草案」で前文を全面的に改正しており、「日本国憲法改正草案Q&A」で、その理由をこう説明している。
  • 「集団的自衛権・安倍会見のトリックに騙されるな」小林よしのりライジング号外

    2014-05-20 16:15  
    100pt
    ゴーマニズム宣言 「 集団的自衛権・安倍会見のトリックに騙されるな 」
     安倍晋三首相は集団的自衛権行使に向けて「おともだち」を集めた諮問機関に検討をさせていたが、そのお手盛りの報告書ができ上がり、5月15日、安倍自ら記者会見で国民に説明を行なった。
     その3日前、5月12日の読売新聞は1面トップで「集団的自衛権、行使容認71%」という見出しを掲げ、世論調査の結果、集団的自衛権の行使容認の意見が圧倒的だったかのような記事を載せた。
     しかしこれにはトリックがあって、よく見ると「必要最小限の範囲で使えるようにするべきだ」が63%で、「全面的に使えるようにするべきだ」はわずか8%しかいない。これをひっくるめて「71%が賛成」と書いているのだ。
     すでにVol.81で詳述しているように、集団的自衛権に「限定的」も「必要最小限」もない。
    一度容認したら、イラク戦争の時の英軍のように、大義のない戦争であろうと何だろうと米軍と一緒に戦い、戦死者を出す国になるだけだ。そのことが周知されれば、「必要最小限の範囲で」という63%は「反対」に転じる可能性が大いにある。
    「必要最小限」の「限定的容認」とは公明党と国民をだますために作った言葉でしかなく、世論調査するなら、設問は集団的自衛権の行使に「賛成」か「反対」かの二者択一しかありえない。
     共同通信、日経新聞・テレビ東京、朝日新聞はこの二者択一の質問をしている。  するとその結果は…
    共同通信   賛成 38.0% 反対 52.1%
    日経・テレ東 賛成 38%  反対 49%
    朝日新聞   賛成 27%  反対 56%
     確実に反対が上回るのである。もちろんこの「賛成」の中にも、「限定的なら」と思っている者が相当数いるはずで、「限定的などない」とわかれば差はもっと開くはずである。
     読売の「賛成71%」は、世論調査は質問の設定の仕方でいくらでも操作ができるといういい例である。こんな情報操作記事を1面トップに持ってくるというところに、政権の御用メディアに成り果てた読売新聞の実態があらわになっている。
     安倍は記者会見で仰々しく2枚のイラスト入りボードを示し、集団的自衛権の行使容認の2つの具体的事例を説明した。
     安倍は「これを見せたら誰も反対はできないだろう」と言っていたそうで、ボードの作成の際にはイラストのレイアウトの大きさまで安倍が直接指示して、会見の当日朝にようやく完成したという熱の入れようだった。
     だがその2つの具体例 「邦人輸送中の米輸送艦の防護」 と 「駆け付け警護」 は、反論のしどころ満載の代物だった。
     
     まず 「邦人輸送中の米輸送艦の防護」 について。
     紛争が起きた外国で、日本人を保護した米艦が攻撃を受けた時に、日本に集団的自衛権の行使ができなければ、日本人を救ってくれた米艦を見殺しにすることになってしまうというのだ。
     ボードには、赤ん坊を抱えて子供を連れた母親のイラストが描かれていた。安倍はこの母子のイラストを特に大きくするように指示したそうだ。
      だが、海外で紛争が起こりそうになれば、外務省は邦人に対して当然避難勧告を出す。 イラストに描かれているような母子など、民間の輸送機関が機能しているうちに真っ先に避難の対象となるはずで、紛争が勃発した後で米軍に保護されるなんて想定がありえないのだ。
     
     そんなありえないところをあえて百歩譲って、もしもイラストのような母子が紛争地に取り残されたとしても、 邦人救助ならば、 個別的自衛権 を強化すれば、自衛隊の艦船でも航空機でも自ら出動することができるのである。
     それをなぜ米軍に救助してもらって、その米軍を、集団的自衛権を行使して守るという話になるのか、さっぱりわからない。
     さらにそこを万歩譲って、 邦人を救助した米艦が攻撃を受けるという事態があったとしても、 米艦が自分で自分の身を守れない場合というのがあるのか?
     米艦が動くときは、周辺の制空権と制海権は必ず確保しているはずだ。その安全も確保できていない状況で、向う見ずにも米艦が民間人保護に突入するなんてことがありうると思っているのか?
      そもそも、誰が米艦に攻撃してくることを想定しているのか?  
     北朝鮮の艦船とか、中東の紛争地の武装勢力に、米軍が単独で対応できないほどの攻撃能力があるというのだろうか?
     安倍が自信満々で示した事例は、これほどヘンテコリンな代物だったのだ。
     
     もう一つの 「駆け付け警護」 、これは紛争地に派遣されているPKO職員や日本のNGOが武装集団に攻撃された際、PKO参加中の自衛隊部隊が警護に駆け付けるというものである。
      だがこれは、武装集団と日本が直接戦闘状態に入るということに他ならない。
    「 民間人保護のため 」という名目はよほど警戒しなければ、旧日本軍が満州やシナで戦線を拡大していった過ちを繰り返すことになる。 むしろ「戦争をするため」の理屈付けに利用される危険性をどう防ぐのか?
      この武力行使を容認するのであれば、当然、武装集団のメンバーは日本に潜入して復讐のテロ活動を行う。
     安倍は戦争になる危険性を隠して、美しい物語だけを説明している。
      しかも「限定的容認」の具体例はこの2例だけではない。 「おともだち」の報告書には、 紛争海域の機雷除去 や、 国連安保理の決定に基づく多国籍軍への参加など の例も記されているのに、あたかも具体的事例がこの2例しかないかのように見せかけている。これも悪質なトリックである。
     いったん「限定的」という口実で集団的自衛権の行使が容認されてしまえば、その範囲はずるずる拡大されていくのは間違いない。
    「おともだち」の報告書は、その「 歯止め 」として6つの条件を提示し、安倍も記者会見でこの「 6条件 」を強調した。
     では本当にそれは歯止めとなるのか? ひとつずつ見てみると…
  • 「韓国船沈没の悲劇を、日本は他山の石とせよ」小林よしのりライジング Vol.85

    2014-05-13 13:00  
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     韓国船沈没の悲劇が、韓国人の「 公共性 」のなさを浮き彫りにして、自分さえ助かればいいという「 利己主義 」、カネのために人の命も犠牲にする「 拝金主義 」が批判されている。
     だが、韓国が新自由主義で突っ走り、経済が絶好調だったつい最近まで、日本企業はサムソンに負けた、日本も韓国を見習って規制緩和しろと経済評論家が論じ、テレビで特集していたものだ。
     日本だって原発事故で甚大な被害を出したにも関わらず、国内では早くも安全神話を復活させ、原発ムラの「 拝金主義 」のために再稼働を進め、さらには海外にまで輸出しようとしている。
      カネの為なら倫理も公共性も無視するのは、日本だって同じである。

     韓国は非正規社員が55%だと言うが、日本だってもう40%以上になっている。
     韓国は一度、財政破綻してIMFの管理下に入り、新自由主義に向かうしかなかった。
     だが日本は内需でやっていけるのに、0.1%の大企業のために新自由主義を推し進め、TPP参入にこだわっている。
     中間層を崩壊させ、地方経済を崩壊させ、分厚い貧困層を創出し、子供が産めない社会を作り、人口減を移民で埋め合わせようと考えている。
     なんで韓国に優越感だけ持っていられるのか?

     韓国社会がデタラメだということくらい、わしは「新しい歴史教科書をつくる会」で教科書運動をやってた頃から知っていた。
      顏も整形で「修正」、歴史も反日で「修正」、民族の原点にコンプレックスを抱えた「恨」の国民性だから、自分の真の姿を直視できない「修正主義」の国なのだ。
     慰安婦問題もその一つで、日韓併合の恥辱が「恨」になってるから、真実を見たくない。
     真実がばれないように、世界中に慰安婦像を立てるという、哀れな悪あがきをやっているが、わしは腹が立つよりも、気の毒に思ってしまう。
      顔の整形がいつかばれるように、歴史の修正もいつか世界の人々にばれると思うのだ。

     支那からも、ロシアからも、日本からも、脅威にさらされる地政学上の弱みが、韓国人の「 事大主義 」を育ててしまった。
     国の成り立ちを反日に頼るしかなく、反日なしでは国民の統合が崩壊するという脆弱なアイデンティティーしか持っていないコンプレックスの民は、実は憧れの日本に反発するしかなく、「事大主義」で中国に接近してしまう。
     韓国船の事故に関しても、日本から差し伸べた手を払いのけてしまったが、日本の海猿に頼れば子供たちの命も何名か助かったかもしれない。
     だが一方で貴重な海猿の隊員たちの命を犠牲にしたかもしれないので、断ってくれて良かったと思うエゴイズムもある。よっぽど感謝されて、日韓の友好に役立たなければ、我が国の優秀な海猿の命を危険に晒すことはできない。
     韓国は沈没した船の引き上げで、中国に助けを求めたが、反日ポーズにそこまでしてこだわる幼稚さはやれやれというしかない。
      だがそれを日本人が軽蔑して、優越感で「日本に頼ればいい」と上から目線で言ったって、韓国人はさらにコンプレックスを刺激されるだけだ。
     みっともないよと忠告しても、それもこれも全部、日本が侵略したからだと言い出すだけで、「事大主義」で中国に接近する半島の民の姿は、明治から日本人が見てきたままである。

     だから福澤諭吉の「 脱亜論 」でいいかと言えば、明治期の欧米帝国主義に対抗せざるを得なかった日本人の焦りの時代背景と、今とではまた状況が違う。
  • 「恐るべき実態!深刻化する女性の貧困」小林よしのりライジング Vol.84

    2014-05-06 13:20  
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     4月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 女性たちの貧困~新たな連鎖の衝撃」で見たが、若い女性の貧困化がもの凄いことになっている。
     都内のインターネットカフェで、41歳の母親と、19歳と14歳の娘2人がそれぞれ別のブースでもう2年半も暮らしている。
     母親は10年前離婚し、看護助手として女手ひとつで子供を育てていたが、子育てと仕事の両立に疲れ、生活が困窮、アパートの家賃が払えなくなってここにたどりついたという。
     妹は中学3年だが、もう半年近く学校に通っていないという。
     姉は生活苦で高校を中退、コンビニのバイト代10万円と母親からの数万円が姉妹の生活費だが、1日1食。空腹の時は店内の無料のドリンクバーでしのいでいるという。
     1個のパンを分け合い、ツナ缶をつついている様子は衝撃的だった。
     明日の食事の心配をしなくていい暮らしがしたいというのが、今の姉妹の願いなのだそうだ。
     今は派遣で働いているという母親の姿は映されなかったが、生活に行き詰っても周囲の人や行政には頼らなかったというから、もう少しなんとかなったのではないかという感もある。
     だが、女性の貧困の問題が深刻化しているということは紛れもない事実である。
     番組では、他にも真面目に長時間働きながら貧困から脱出できない女性が何名も登場し、彼女たちは異口同音に、特別な望みはない、ただ普通の暮らしがしたいと言っていた。
      今や働く女性の約6割が非正規雇用である。
     非正規雇用で働く若年女性(15~34歳)の 81.5% 、289万人が、国が生活支援の対策で困窮状態の目安としている 年収200万円を下回っている。
     さらに 国が「貧困」と位置づける 年収114万円未満 は、働く世代の単身女性の 3分の1 、約110万人に上るという。
     安倍政権は女性の活用が成長戦略の柱だとか言っている。
     首相官邸ホームページの「女性が輝く日本へ」を見ると、その政策として挙げているのは「待機児童の解消」「女性役員・管理職の増加」「職場復帰・再就職の支援」「子育て後の起業支援について」の4点だ。
     これを見る限り、 安倍政権がまず念頭に置いているのは企業で役員や管理職になれたり、自ら起業したりという、正規雇用やフリーでバリバリ働ける、ごく少数の有能な女性の活用である。
     あとは、正規社員の職場復帰や、スキルを身に付けた人の再就職支援くらいである。
      どうやら、上記の例に表れているような非正規雇用の女性は、安倍政権の眼中にはないようだ。
     圧倒的多数の普通の女性は、弱肉強食の社会の中に自己責任で放ったらかしでいいと思っているらしい。
      安倍政権の言う「女性が輝く日本へ」なんてものは完全なまやかしである。
     最初から「勝ち組」の女性だけが「輝く女性」として安倍政権の広告塔に使われるだけのことだ。
      結局のところ、女性登用を看板に掲げながら、実は男女共に強者優遇の勝ち組支援、男女共に貧困層切り捨てという政策に過ぎないのだ。
     かつての高度経済成長は人口の爆発的増加という条件があって、会社が家族共同体であり、企業は男性社員の嫁候補として女性を雇っていた。
     給料が必ず上がるから将来の不安がなく、低賃金でも結婚できたし、専業主婦が多かったから貧困化する女性は少なかった。
      だが今にして思えば、専業主婦は潜在的な貧困層だったとも言える。
     グローバリズムの中、少子高齢化時代に突入した日本でさらに「経済成長」のみにこだわれば、限られたパイを勝者が独占する新自由主義を採用するしかない。
     会社が株主のものとなり、終身雇用制が崩れ、会社の共同体としての役割が消滅。格差の米国型拡大で、貧困層を増え続けさせるのである。
      そうなれば、男より女の方がより貧困率は高くなっていく。