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記事 321件
  • 「旭日旗は堂々と掲げるべし」小林よしのりライジング Vol.289

    2018-10-16 18:25  
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    「幼稚な奴には、幼稚だと言ってやれ!」
     結論を言えば、これだけで終わってしまう。
     今月11日、韓国が主催して済州島で行われた国際観艦式で、韓国側が日本の海上自衛隊護衛艦の「旭日旗」掲揚を自粛するよう求めてきたため、日本側はこれを拒否し、参加を取りやめた。
      護衛艦が旭日旗を掲げることは、自衛隊法で義務付けられている。
     しかも国際法上、旭日旗は「軍艦旗」の位置づけである。
      国連海洋法条約では、軍艦は艦首に国旗を、艦尾には民間船舶と区別するために、国旗と異なる「軍艦旗」を掲揚しなければならない。
    (アメリカには軍艦旗がなく、艦首に軍の「国籍旗」、艦尾に国旗である星条旗を掲げているが、これは例外的なケース)
     軍艦旗は国旗と同様に、国の主権の象徴として最上級の敬意が払われるものとされている。
     それを降ろせというのだから、これほど無礼で非常識な話はない。
      日本は帝国海軍、海自とも一貫して旭日旗を軍艦旗としており、国際社会で受け入れられている。
     かつての敵国だったアメリカ、イギリスやフランスでもこれを尊重しているし、韓国が過去2回主催した観艦式でも、護衛艦は旭日旗を掲げて参加している。
     ところが最近になって南北朝鮮は旭日旗を「戦犯旗」と呼び出し、何かに旭日旗に似たデザインが使われていると、徹底的にバッシングするようになった。
      海自の旭日旗にまで反対運動が起きたのは今回が初めてで、要は文在寅政権になって対日強硬派の発言力が増してから始まった、ごく最近の動きなのである。
     観艦式の開催前、韓国の鄭景斗国防相は国会で、旭日旗の掲揚に関しては「国際慣例に従うほかない」と言っていた。
     韓国人でも、世界共通の常識をわきまえている人ならば、本当は日本が正しく、韓国の世論と政府の要請が桁外れの非常識であることはわかっている。
     もしかしたら、今回の件で一番恥ずかしい思いをしたのは、韓国海軍の軍人かもしれない。
     韓国は、ただ自国のコンプレックスが刺激されるからという、あまりにも単純かつ身勝手な理由で、日本は軍艦旗を揚げるなと国際的ルールも無視して嫌がらせをしてきたのだ。
     しかも韓国は、日本にだけ嫌がらせをしたとは思われたくないものだから、他の国の参加艦に対しても軍艦旗を掲げず、自国国旗と韓国国旗のみを掲げるように要請していた。
      各国艦艇の多くはそんなわけのわからない要請など聞くはずもなく、国際常識に従って軍艦旗を掲げたまま参加したが、これに対して韓国が抗議したという話は聞かない。
      そしてこの観艦式で韓国は、文在寅大統領が乗艦する駆逐艦のメインマストに、豊臣秀吉軍を破ったとして「抗日の英雄」とされる李舜臣将軍の旗を掲げた。 他国には国旗以外掲揚するなと言っておいて、自分は平気で国旗でも何でもない旗を掲げたのだ。 全ては、日本に対する嫌がらせだけのために。
  • 「不敬!靖国宮司」小林よしのりライジング Vol.288

    2018-10-09 22:20  
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     ありとあらゆるところで人間の「劣化」が進んでいるとしか思えないような事態が起きているが、よりによって靖国神社トップの宮司が「靖国とは何か」ということを一切理解しておらず、天皇陛下に全く筋違いの罵倒を浴びせていたという事実が出てきたのには、さすがにあきれ果てた。
     週刊ポスト10月12・19日号が報じ、ネットに音声も公開したが、宮司は高圧的な口調でこう発言している。
    「陛下が一生懸命、慰霊の旅をすればするほど靖国神社は遠ざかっていくんだよ。そう思わん? どこを慰霊の旅で訪れようが、そこには御霊はないだろう?遺骨はあっても。違う?(中略)
     はっきり言えば、今上陛下は靖国神社を潰そうとしてるんだよ。わかるか?」
      天皇皇后両陛下がライフワークとしてこられた戦没者慰霊の旅を、あろうことか、靖国神社を潰すための行為だとして非難しているのだ。
     発言した宮司の小堀邦夫は今年3月に宮司に就任したばかりで、来年の靖国神社創立150年に向け、これからの靖国神社がどうあるべきかを考えるとして「教学研究委員会」なるものを組織し、6月20日に靖国神社の社務所会議室でその第1回会議を開き、神社幹部10人が出席した。
     問題の発言はその会議におけるものであり、単なる放言ではなく、「これからの靖国神社がどうあるべきか」に関する、小堀の確たる持論であることは間違いない。
     だが、小堀の持論は完全に狂っている。
      靖国に祀られているのは戦闘に参加して亡くなった軍人・軍属などであり、靖国神社は国のために命を捧げた人々のみたまを「英霊」として「顕彰」する場である。
      だが、天皇皇后両陛下が戦地を訪れて行ったことは「顕彰」ではなく、「慰霊」である。そして、その対象は軍人・軍属だけではない。
     例えばサイパンでは、追い詰められた在留邦人が崖から次々海に身を投じて死んでいる。中には、幼子を抱えて飛び降りた母親もいる。
     そのみたまは、靖国には祀られていない。だからこそ、天皇陛下は、その人たちの霊を慰めるためには現地へ赴かなければならなかったのだ。
      天皇は日本人だけの安寧を願っているのではなく、全世界の平和を祈る存在であり、陛下は慰霊の旅では日本人の霊だけではなく、敵兵の霊も、巻き込まれた現地人の霊も慰めておられる。
     これは、天皇陛下にしかできないことだ。しかも、こうして両陛下が戦地を訪れて慰霊をなさることで、若い世代が戦争のことを知るきっかけにもなる。
     靖国神社と、両陛下の戦没者慰霊の旅は、全く性質の異なるものである。
      ところが小堀は、靖国神社が何のためにあるかも知らず、両陛下の慰霊の旅が「靖国潰し」であるなどと邪推して、罵倒したのである。
     こんな馬鹿に、靖国神社宮司の資格があるわけがない。
     しかも小堀は続けて、皇太子ご夫妻まで罵倒している。
    「あと半年すればわかるよ。もし、御在位中に一度も親拝(天皇が参拝すること)なさらなかったら、今の皇太子さんが新帝に就かれて参拝されるか? 新しく皇后になる彼女は神社神道大嫌いだよ。来るか?」
     もはや「殿下」の敬称すらつけていない。しかも、 雅子妃殿下が「神社神道大嫌い」というのは一切根拠がなく、これは完全なネトウヨのデマである。
     この宮司、ほとんどネトウヨだと思って間違いない。そしてネトウヨと同様に、皇太子殿下と雅子妃殿下が大嫌いなのだ。間違いなく男系絶対も唱えているのだろう。
     そのうえ小堀は、天皇陛下のご譲位について、こう言っている。
  • 「属人化と標準化を考察する」小林よしのりライジング Vol.287

    2018-10-02 20:50  
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     先日、わが「よしりん企画」は 「仕事の属人化」 が起こっていて、かなり危険だとメーリングリストで批判してきたゴー宣道場門下生がいた。
    「属人化」とはあまり耳にしたことのない言葉だが、それはどういう意味で、よしりん企画はどう危険だというのだろうか?
    「属人化」 とは企業や組織などにおいて、ある特定の仕事を特定の人が担当し、その人にしかできない状態になっていることをいう。
    「属人化」の対義語は 「標準化」 で、どの仕事をどの人でもやれる状態にすることをいう。すなわち 「マニュアル化」 である。
     属人化のメリットは、個人が特定の業務についての専門家となり、自分の頭で考えて行うことで仕事が進み、個人の価値が大きくなることにある。
     一方デメリットは、その人がいなくなると仕事が立ち行かなくなる、後任者への引継ぎがうまくいかないといったことが挙げられる。
     標準化のメリットは、誰が欠けても仕事が回ること、誰でも同じ仕事ができるので、他の人の仕事のミスに気づきやすいことなど。
     そしてデメリットは、自分で考えず、決められたことをするだけなので、やる気が失われ、成長がなくなり、個人の価値が失われることが挙げられる。
     どちらにもそれぞれ長所・短所はある。
     よしりん企画の「属人化」を指摘した門下生は、よしりん企画の仕事も、誰でもできるように「標準化」しなければ「組織としては致命傷です」と主張した。
     だが、まず言っておかなければならない。
      よしりん企画は一般的な企業「組織」ではない。「職人集団」だ。
      いくら「属人化」なんて聞き慣れない言葉を知っていても、組織の一員と職人は違うという、当たり前の前提を理解していないのでは全く無意味である。
     職人に「属人化するな」と説教するなんて、ほとんど非常識だとしか言いようがない。
     だったらわしの仕事が「標準化」できて、他人に交代できるとでも思っているのだろうか? 大企業の社長から、中小零細企業の社長まで、誰に聞いても、漫画家の職人スタッフを「標準化」できるなんて言わないはずだ。
      そもそも、ちょっと前までは「マニュアル化」にプラスのイメージは全然なかったはずだ。
     一時は何かといえば、マクドナルドのバイトの仕事には徹底的なマニュアルがあるということが例に出され、マニュアルでしか人が動けなくなっただの、決められたことしかできない若者が増えただのと、さんざん非難されていた。
    「マニュアル人間」といえば「ロボット人間」と同義語で、ほとんど「使えない奴」を意味していた。
     それなのに、いつの間にマニュアル化が推奨される時代になったんだ?
     それを推奨する人は、自分を 「私はマニュアル人間だ!」 と誇りに思っているのだろうか?
     しかも実際はマクドナルドのバイトだって、特に接客なんかにおいては、マニュアルに書いていない事態に出くわすことなどいくらでもありうる。
     そういう時には自分の頭で判断しなければ仕方がないもので、何の仕事にせよ、完全なマニュアル化なんてできるのかということ自体にも、大いに疑問がある。
    「会社の歯車になるな」 というのは使い古されたお説教だったはずなのに、いつの間に 「交換可能な歯車のような人間にならなければいけない」 なんて、真逆の説教をされる世の中になっちゃったんだろうか?
     標準化のデメリットを、もっと重視した方がいい。あんたは交換可能なネジ一本なのだから、あんたの仕事は誰がやってもいいのだよとなったら、人はどんな気持ちになるだろうか? 人間としての尊厳を傷つけられ、やってられるかという気分になって、仕事の質はどんどん低下していくに違いない。
  • 「男女平等原理主義と不寛容」小林よしのりライジング Vol.286

    2018-09-25 21:30  
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     前回、国家理念として「男女平等・人権尊重・個人尊重」を掲げるイデオロギー国家・スウェーデンについて書いた。今回はその補足的な第二弾だ。
     戦後の復興需要に乗って経済発展するために、社会民主党がその理念である 「男女平等」「女性の家庭からの解放」 を急激に促進させ、女性を労働力として駆り出したスウェーデン。
     それまでは夫婦分業が成立し、妻は家事と育児を担当するのが普通だったが、イデオロギー注入によって 「専業主婦は家庭の奴隷」「家事労働など『生産性』がない」 と解釈されるようになり、現在も専業主婦は、日本で言う「ヒモ」と同等とみなされている。
     スウェーデンのある大学生が、100歳をこえた老人に「おじいさんの一生で何がもっとも重要な変化でした?」と尋ねたところ、 「家庭の崩壊だよ」 と答えたという。きっと「戦争」か、テレビやパソコンなどの「技術の発展」なんかについて話してもらえるだろうと期待したのに、高度経済成長期のスウェーデン人が体験したもっとも大きな出来事は、男女平等イデオロギーによる家庭崩壊だったのだ。
    ***
     さて、スウェーデンの「女性の地位の向上」の歴史を並べてみると、日本が江戸幕府第12代将軍・徳川家慶の時代にはもう「財産相続権の男女平等」が認められていたのだから、「日本は遅れてる。外国はすごい!」と言いたい人にとっては好材料となりそうだ。
    ●スウェーデンの《男女平等》の歴史●
    1845年 財産相続権の男女平等
    1846年 女性に一定の分野で就労が認められる
    1864年 男性が妻に体罰を加える権利を失う
    1873年 大学への入学自由(神学、法学を除く)
    1919年 女性選挙権および被選挙権
    1921年 女性議員の誕生
    1935年 男女平等の国民年金導入
    1947年 女性閣僚の誕生
    1958年 女性牧師の誕生
    1974年 7カ月間の育児休暇を両親に付与
    1975年 女性の自由意思による堕胎
    1980年 男女平等法成立、職場での性差別は違法に
    1982年 私的場所での女性虐待がすべて起訴の対象に
    1992年 雇用機会均等法
    2009年 男女平等オンブズマン制定
     最後の 「男女平等オンブズマン」 とは、職場や学校などで差別を受けた際に駆け込むところで、代わりに是正勧告をしたり、裁判の補助をしてくれる監視機関のようなものだ。日本でいう労働基準監督署の役割に近い。
     日本にも市民オンブズマン組織が行政の不正を監視しているが、「オンブズマン」は「代理人」という意味のスウェーデン語である。男女平等のほかにも、人種差別、障害者、性的指向などの差別オンブズマンが存在する。
    ●男女平等イデオロギーとイスラム教
     スウェーデンでは、《宗教》と《男女平等》の対立が何度も繰り返されている。
     「人権尊重」の国家理念上、スウェーデン政府は移民を積極的に受け入れ、差別なく国民と同等の福祉と社会保障を適用するべく支援を行ってきたが、財政的にかなりの無理があるようだ。また、一般のスウェーデン国民のなかには、自分たちと同じゲルマン民族ならまだしも、まったく異文化の移民までなぜ「国民の家」(詳細は前号を参照のこと)に入れなければならないのかという感情があるという。
     最近も 「女性蔑視のイスラム圏からの移民を、男女平等の我が国スウェーデンに受け入れていいのか?」 というジレンマが新聞で報じられていた。
     今年は、こんな裁判もあった。
  • 「男女平等イデオロギー国家・スウェーデン」小林よしのりライジング Vol.285

    2018-09-18 20:45  
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     日本の医療の仕組みや国民性を異常に自虐し、海外の仕組みを無条件に賛美する 「海外出羽の守」 がよく持ち上げる国に 高福祉国家として有名なスウェーデン がある。
     スウェーデンは立憲君主制の王国で、日本の約1.2倍の国土に、人口は東京都とほぼ同じ約1000万人。首都ストックホルムは札幌と似た気候で、11月から3月まではマイナス気温。冬の日照時間は1日6時間ほどしかないという厳しさだ。
     日本には、この10年ほどで家具の『IKEA』や、ファスト・ファッションの『H&M』などが進出してきた。日本ともアメリカとも違う独特のセンスに、なんとなく憧れを感じる人も多いかもしれない。
     
    ■高福祉・高負担の福祉国家
     スウェーデンは、「『海外では女医が多い』の疑問」で紹介した通り、医者になかなかたどり着けないが高福祉の国家だ。
     18歳以下は医療費無料、18歳以上でも1年間に支払う医療費は上限が約1万2000円まで。大学・大学院まで教育費無料、児童手当、育児休暇時の給与補償、無料託児所、地方自治体による高齢者の在宅ケアなど充実している。
     ただし、税金はべらぼうに高い。所得税は、収入に関係なく 地方税が約30% 。さらに年収390万円以上になると 国税も20%~25% 。プラス 社会保険料として給与の7%を個人負担 、28%を企業が負担。日々の生活では、 消費税が25%(軽減税率が導入されているが、食料品でも12%) という具合だ。
     憧れの高福祉を享受するには、それ相応の負担をしなければならない。
    ■専業主婦を否定する男女平等イデオロギー国家
      スウェーデンは国家理念として 「男女平等・人権尊重・個人尊重」 を掲げている。 この3本柱は スウェーデン・バリュー と呼ばれ、国民に共有されており、社会制度に色濃く反映されている。スウェーデン国民はすべて平等で、等しく福祉と社会保障が提供され、絶対に差別されてはならない。
     しかし、スウェーデンも王国発祥の時点からこのような国家理念を掲げていたわけではない。 もともとは「父親が外で働き、母親が家を守る」という夫婦分業の成立した《伝統的な家族》が一般的だったが、 1930年代から政権をとってきた社会民主党が、戦後、その理念である「男女平等」「女性の家庭からの解放」を急激に促進させた のだ。
  • 「体操競技には体罰が必要ではないか?」小林よしのりライジング Vol.284

    2018-09-11 22:30  
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     今度は体操界でパワハラ騒動だ。もうスポーツ界にマトモなところはないのかと思わされて、ひたすら再来年の東京オリンピックへのうんざり感が募っていく。
     今回の騒動は、まず宮川紗江選手に速見佑斗コーチが暴力を振るい、それを利用して、日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長が速見コーチを排除し、宮川選手を自分のクラブに引き抜こうと企て、その過程でパワハラがあったという構図らしい。
     だがここでわしが気になるのは、暴力を振るって行うスポーツ指導は是か非かという問題だ。
     暴力、あるいは体罰、あるいは愛のムチ、あるいはシゴキ、のような指導は、今の時代ではもう古いとされている。だが、特に体操という競技の指導においては、暴力を一切使わないことにしてしまっていいのかという疑問が湧くのだ。
     そもそも体操は、超危険な競技である。
     体操選手は、こんな無茶なことをやってていいのかと思うような競技をやっている。鉄棒から飛んで、空中で体をひねりまくり、足元がピクリとも動かないように着地するなんて尋常じゃないし、平均台の宙返りなんか、足を滑らせたら半身不随か死をも招くほどの危険性があり、見ていてハラハラしてしまう。
     ちょっとでも気のゆるみがあったら、選手は人生を終えてしまうほどの無茶な競技なのだ。
     油断したら死ぬぞということを思い知らせるためには、選手が気を抜いているようなところを見つけたら、コーチは「おまえ何をやってるんだ!」とぶん殴るくらいのことをやらなければならないのではないか。
     体罰によって、緊張感を取り戻し、集中力が高まる。体操は100%の集中力が必要な競技であり、そこまで集中力を高めるために暴力・体罰というものは役に立つとわしは思う。
     選手のことを考えたら、体操の指導で暴力を使うことを封じてはならないのではないか?
     わし自身にはあいにく暴力に対する嫌悪感ができあがっていて、妻に対しても一度も手を挙げたことはないし、絶対に人に暴力を振るいたくはないと思っている。
     それなのに、なぜ体操の指導においては暴力を肯定するのかというと、わし自身の幼少時の経験があるからだ。
     わしの父は、わしに暴力を振るってしつけをしたため、そのせいでわしは暴力を憎むようになり、決して暴力は使わないようになった。
     だがその一方で、わしは父の暴力によってストレスを感じながら、そのストレスが同時に緊張感や、集中力というものに繋がっていたように感じられるのだ。
     わしは家庭だけでなく、学校でも暴力を受けていた。
  • 「出羽の守退治・海外医療事情を深堀り!」小林よしのりライジング Vol.283

    2018-09-04 22:20  
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     ネットメディアBuzzFeedNewsに 「女性医師の割合、日本は先進国で最低 学生比率も印パに及ばず」という“出羽の守記事” があった。
     インド・パキスタンという2国を持ち上げている時点で、すぐに怪しいと感じる人のほうが多いのではないかと思うが、女医問題を考える際のテキストとして、この記事の裏側を解説してみたい。
    ●女医が多いエストニアは、女性の徴兵制もある
     記事ではまず、「『海外では女医が多い』の疑問」で紹介したOECD加盟国の女性医師の割合を引き合いに出し 「女性の比率が高いのは、エストニア、フィンランド、スロバキアなど北欧、中東欧諸国だ」 と紹介している。
      女医率73.8%でOECD第1位のエストニア は、すでに論じた通り、社会主義体制の崩壊によって経済格差が生じて失業率が伸び、男性の自殺率や犯罪死亡率が増加している国だ。男性の人口が女性の88%しかない。
      さらに深堀りしておくと、エストニアという国は、隣接するロシアから侵略された経緯もあり、現在もその脅威に常に備えなければならないという緊張状態に置かれている。そのため、 女性も軍隊予備部隊に参加して軍事訓練を受ける義務がある。
     
     おまけに、頼みの綱のアメリカは、よりにもよってロシアと仲良くしていて、バルト三国を突き放した。
    ▼バルト3国をロシアから守ると保障しなかったトランプ
     https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/3-97.php
    (Newsweek 2018年4月5日)
     記事によると、エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト三国首脳は、アメリカのトランプ大統領に対して、「ロシアが侵攻してきた際、領土を守って欲しい」と要請したが、トランプは、バルト三国がアメリカ製の武器を購入し、NATOに金を出したことについては褒め称え、肝心のロシアについては「脅威」とは認めなかった。
     しかもトランプは、「バルト三国はロシアと仲良くしたほうがいい」とまで言ってしまっている。「アメリカはバルト三国を守る気がまったくない」ということを公言してしまったのだ。NATOの盟主であるにも関わらず、「NATO? なにそれ?」としか思っていないのである。
    (ほら、日本もよく考えたほうがいい…)
     
     こうなったら女性も動員して国難状態に立ち向かうしかない。というわけで、エストニアの女性は、国防軍だけでなく民兵組織に参加しているケースもある。仕事をして、子育てしながら、常時ライフルに油を差して戦闘の準備をし、週末になると子供を家に残してゲリラ戦の演習に参加するのだ。
     女性は死んでいく男性に嘆きながら、働きつつ、子供を産み育て、武器を持って命懸けで戦う緊張と恐怖にも耐えねばならない。
     男女平等を絶対正義と考える人々は、エストニアの女性の生き方を大絶賛して推奨するだろうか? それとも、「そんな極端な国難、うちの国にあるわけないから」と安心したところで、「働き、戦う女性の精神」だけをつまみ食いするのだろうか?
    ●フィンランドに憧れるなら町医者に行くな
      女医率57.2%でOECD第3位のフィンランド。 東京医大の問題が発覚した際には、駐日フィンランド大使館が、ツイッターにこんな投稿をして話題になった。
  • 「新元号を巡る議論を整理する」小林よしのりライジング Vol.282

    2018-08-28 21:00  
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     来年4月30日の天皇陛下の退位を控え、何でもかんでも「平成最後の」という枕詞がつけられるようになってきた。
     SNSでは「平成最後の夏」というキーワードが話題になっているそうで、特に若い世代は天皇の代替わり・改元を生まれて初めて迎えるということで、元号に対する関心が高くなっているらしい。
     そして今、「平成の次」の元号の発表の仕方について議論が起きている。

     8月15日放送のTOKYO MX「モーニングCROSS」で、「新元号事前公表めぐり政府苦慮」という話題を取り上げていた。
     政府は「平成」の次の元号の公表時期について、国民生活に混乱を生じさせないよう、 皇位継承1か月前の公表を念頭に準備を進めているが、保守派からは新天皇即位の当日である5月1日に公表すべきとの意見があり 、安倍首相は自民党総裁選への影響を避けるため、結論を当面先送りする見込みだという。
     そこでコメンテーターの鳥越俊太郎が、今回は昭和天皇の場合と違って事前に4月30日の退位が決まっているのだから、 「1か月前に事前にちゃんとやって、全ての世の中のシステムを準備するというのは、僕はアリだと思いますよ」 と発言した。
     全て利便性だけで判断して、元号そのものの意味については何も考えていないという、いかにもリベラルサヨクらしい意見だが、これを受けてもう一人のコメンテーターの古谷経衡がこう言った。

    「保守派が反対って書いてましたけど、生前譲位の時の有識者会議の時もカッコ保守派という人が変なことばかり言って、天皇とはこうあるべきだとか、元号とはこうあるべきだとかいうことを、この国のカッコ保守派は押しつけ過ぎなんですよ。
     鳥越さんがおっしゃったように、これはあらかじめわかっている、近代初めての生前ご譲位なわけですから、別に1か月前、2か月前でもいいわけであってね、何か『私の考える天皇』を押しつけがちなんです、変な」

     カッコ保守派、というのはカギカッコ付きの、いわゆる「保守派」、という意味だろう。わしが「自称保守派」と言うのと同じようなものだ。
     古谷は「カッコ保守派」を批判して、むしろ自分の方が本当の保守だと言いたいのかも知れないが、この発言には古谷が決して保守ではないことがはっきり表れている。
      来年の4月30日が終わるまでは、あくまでも「平成」であり、今の天皇陛下の御世なのである。
     それなのに、平成のうちに次の元号を公表するということ自体が、非常に不敬なことなのだ。
     平成はまだ終わっていない。ご譲位まであと8か月余りの間にも、まだ何が起こるかわからない。つい最近も平成最大の豪雨災害があったばかりで、陛下はおそらく現地訪問のご意向をお持ちだろう。
     そしてこの先さらに重大事が起これば、陛下が特別のおことばを発表されることだって、まだあるかもしれない。
      あくまでもこの時代は今上陛下の世であり、譲位されるまでは今上陛下がこの時代に責任を持っておられるのだ。
     今上陛下としては、この平成という時代に阪神大震災、オウム真理教事件、東日本大震災、原発事故等々ろくでもないことばかり起こり、その度に、これは自分に徳がないからではないかとお心を痛めてこられたことだろう。
      そんな中で陛下は、ご自身が始められた被災地訪問や、ご自分のテーマとされている戦地の慰霊を重ね、一生懸命苦難しつつ、今の自分の時代に責任を持とうとしておられるし、それはご譲位が完了する瞬間まで続くのである。
     それなのに今から次の元号のことを言うとは、なんと失礼なことではないか。

     そもそも 元号は、1300年以上前に初めて制定された「大化」以来一貫して「天皇の元号」であり、その時の天皇が決めるものなのだ。
  • 「『海外では女医が多い』の疑問」小林よしのりライジング Vol.281

    2018-08-21 16:50  
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    「日本は諸外国に比べて女性医師が少ない!」
    「フィンランドでは女性医師の割合が5割。なぜ日本はできないのか?」
     日本国内の社会問題を批判するときに、比較対象として 「海外では…」 と他国の例を持ち出して、他国が無条件に優れているかのように賛美し、「それにくらべて日本は未熟で悪辣」と結論づける人々のことを、ちまたでは、その口癖から 『海外出羽の守( かいがいでわのかみ )』 と呼んでいる。
     亜種として「うちらの業界ではさぁ~」と、すぐ“自分のいる業界って特別なんだぜ風”を吹かせて悦に入る 『業界出羽の守』 、先進国での複雑化した貧困問題について語っているのに「アフリカでは飢餓の難民が~」と言い出す 『途上国出羽の守』 も本当にやっかいだ。
     また、LGBTに関する話を聞いていると“現実はそんなうす甘い恋愛話ばっかりじゃねえよ!”と腹が立ってきて、つい「二丁目ではねぇ~」と言ってしまう 『新宿二丁目出羽の守』 (あたしだよっ!)も最近発見されている。
    ■ドラマ見て女性差別と決めつける出羽の守
    「20年以上前のアメリカのドラマ『ER緊急救命室』では女性医師が活躍していた。アメリカでは女性にとってERが普通の職場。日本の医療界の男女差別は酷いな」
     よっぽど演出がかっこよくて「アメリカ人のたくましい女医、憧れるう~♡」と記憶に残ったのかもしれないが、日本だって 『救命病棟24時』 では松嶋菜々子や松雪泰子が救命医として大活躍していたし、 『ドクターX~外科医・大門未知子』 も超大人気ドラマじゃないか!
    『科捜研の女』 に至っては、死体を解剖する監察医のみならず、法医学の世界で働く女性科学者が異常なまでに事件に食い込んで大活躍している。1990年にも 『外科医有森冴子』 が大ヒットしたし、今年10月からはじまるTBS系の連ドラ 『大恋愛~僕を忘れる君と』 は、若年性アルツハイマーに侵された女医の恋愛という、単純に“活躍する”女医像ではない、複雑多岐に渡る設定が発表されていた。
     
      『ER season1』DVDパッケージより
     そもそもアメリカはポリコレがすごいから、表現に関しては、男女だけでなく、白人、黒人、スパニッシュなど人種にも相当配慮して配役していると思う。ドラマや映画では理想像を描きながら、白人至上主義との衝突など、現在進行形で大問題が起きているのがアメリカだ。
     ドラマの配役だけで、即「アメリカは進んでいる、日本は遅れている」とは決められない。
    ■国柄を無視するOECD出羽の守
     これは、OECD加盟国の女性医師の割合について、各国を比較した表だ。平均は39.3%。日本は20.4%と低く、21.9%の韓国に次いで最下位である。
     
     
     最下位と聞くと、反射的に「もうちょっとなんとかならんのか……」と思う。しかし、この表を掲げて日本を「女性蔑視」と叩く前にちょっと冷静になってみたい。
    「1位のエストニアは凄い。女性医師の比率が73.8%にのぼるじゃないか。それに比べて日本は……。女性の人権がないがしろにされている」
     ……とは、言えない。
     エストニアをはじめとするバルト三国は、もともと旧ソ連の影響を受けており、「働かざる者食うべからず」。日本のように「家事という仕事」が認められず、男女ともに「主婦・主夫なんてあり得ない」という感覚の国でもあるが、そこに加えて 社会体制の崩壊が影響して「男性が早死する」という事象 も起きている。エストニアは人口の男女比率が偏っていて、 女性100に対して男性が88 しかいないのだ。
  • 「女医の現実と女性差別」小林よしのりライジング Vol.280

    2018-08-14 20:15  
    150pt
     私が通っている眼科は、パルテノン神殿風の豪華な柱を玄関に構えた“白亜の豪邸”のようなクリニックで、主治医は峰不二子みたいな女医だ。
     いつも胸部のラインが非常によくわかるセクシーなワンピースに、白衣を羽織り、シャネルのネックレスとイヤリングを光らせ、ばっちりお化粧をした茶髪のロングヘアの先生が、薄暗~い診察室のなか、ふたりきりで、瞳を覗き込みながら丹念に診察してくれる。
     待合室はおじさんだらけ!
     2時間待ちは当たり前、しかも受付終了の17時きっかりに正面自動ドアのスイッチが切られてしまうので、ほんの数分遅れて来院したおじさんが、ドアの外にへばりついて「お願いしますぅ!」と懇願しては冷たく追い返されるのを何度も目撃した。
     そりゃ、医者は日々忙しいだろうし、技術の向上にもたゆまぬ努力が必要に違いないのだろうけれど、外科や救命外来のような超激務続きに比べれば、眼科というのは、女性の開業医としてはかなり条件の良い診療科目なんだろうというイメージがある。
    ***
    ■東京医大の入試は女性差別か?
     東京医大の入試問題、最初は「女子一律減点」というフレーズだけを見て、「そんなことがあっていいの?」という気持ちになったし、自分が子供の頃に言われていた 「女の子は、勉強はほどほどでいい」という30年前の言葉 を思い出したりもして、そんな古臭い価値観がいまだに存在していたのかとも思った。
     けれども、報道内容や、現場の女医の意見、自分の知る医療の世界のことを合わせて考えていくうち、これを単に「女性差別」と叫んで、大学を糾弾してさえいれば解決するわけがないだろうと思うようになった。
     入試の手法としては確かに大きな問題があるものの、東京医大の元幹部がTBSの取材に語ったコメントは重要だと思う。
    「体力的にきつく、女性は外科医にならないし、僻地医療に行きたがらない。入試を普通にやると女性が多くなってしまう。単なる性差別の問題ではなく、日本の医学の将来に関わる問題だ」(TBS news)
     医療の世界には、セクシーな眼科医もいれば、男女限らず激務の上に待遇がつり合わないとずっと言われている救命救急医もいるし、長時間におよぶ手術の上、患者の急変に備えて夜間休日も即応する外科医もいれば、「Dr.コトー」のように、離島や僻地で何十年も過疎集落の高齢者たちのために尽くす医者もいる。
     それぞれ向き不向きや、体力・体格の問題、使命感に突き動かされてすべてを投げ打って身を捧げる人もいれば、自分の人生を考えたいと思う人だっている。
     このぐらいのことは私にでもわかるし、また、厚生労働省の調査を見てみると、診療科目によって医師の男女比が出てしまうというのは、やはり現実のようだ。
    ■診療科目に男女比は存在する
     これは日本国内の病院および診療所における診療科目別の比率を調査したものだ。