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記事 3件
  • 「熊本地震とヘイトスピーチと読書せぬ人々」小林よしのりライジング Vol.174

    2016-04-19 10:40  
    150pt
     東日本大地震では「津波」の度肝をぬく脅威を見せられ、「原発」のメルトダウンという最悪の事態まで目撃させられたが、熊本大地震では本震と思った揺れが前震に過ぎず、さらにデカい本震でダメ押しされて、その後も強い地震が何度も続くという恐ろしさを知ることになった。
     改めて日本は心もとない地盤の上に成立する、危険列島であることを思い知らされた。
     全国に2000もの活断層を抱え、次にどこが被災地になってもおかしくなく、そしてその予測は誰にもできないのが日本である。
     被災地の方々には、心よりお見舞い申し上げる。
     その熊本地震に便乗して、ネットで悪質なデマが飛び交っていると、東京新聞が4月16日付特集「こちら特報部」で書いている。
     地震発生直後から、ツイッターに 「熊本の朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだぞ」 だの 「熊本では朝鮮人の暴動に気をつけてください」 だのといった、関東大震災の時を思わせる書き込みが相次いだというのだ。
     記事は 「災害時にデマはつきものだが、今回のケースは、在日コリアンらを排斥するヘイトスピーチ(差別扇動表現)にほかならない」 と断じている。確かに井戸もないのに「井戸に毒」なんて言っても誰も信じるわけがないから、 これはデマを飛ばすことよりも、差別そのものの方が目的であると見て間違いない。
     だが一体、何を考えてこんな書き込みをするのか、全く感覚がわからない。
      ただただ面白がって、関東大震災の時のマネをしてやろうと悪ふざけして、それで何ひとつ良心が痛まないのだろう。
     常識が一切通じないバカはいる。どうしようもない最低の人間はいるのだと認識しておくしかない。
     最近は、駅の便所がずいぶんきれいになったとスタッフが言う。
     昔は駅の便所に入ると、目を覆うような落書きがされていたものだ。「この女はヤリマン」として実名と電話番号まで書いてあったりするようなひどい有様で、その中に在日や部落差別の落書きもあった。そして部落解放同盟が落書きの主を特定して、糾弾することも行われていた。
     その頃は差別落書きをする場所など公衆便所くらいしかなかったが、ネットの出現で状況が一変した。「ネットの書き込みは便所の落書き」とは、もう聞き飽きるほど言われたことだが、実際にそれはその通りとしか言いようのないところがあるのだ。
      しかも便所の落書きなら見る人もごく限られたのに、ネットではいくらでも拡散させられる。便所の落書きなら消すことができるけれど、ネットでは消すことができない。その悪質さは比較にならない。
     その一方で、もう駅の便所に落書きする必要がなくなったので、きれいになってしまったわけだ。ネットが普及して恩恵を受けた人は、駅の便所の清掃員だけじゃなかろうか?
     こういうネットのバカにはついつい腹を立ててしまうのだが、だからといって批判したところで、こんな連中が反省などするわけがない。
     東京新聞は今回の差別ツイッターを見開き2ページの大特集にしていたが、大きな記事で批判すればするほど、連中は自分のやったことが注目されていると思って図に乗るだけで、かえって逆効果である。バカにつける薬はないから、どうにも対処のしようがないのだ。
  • 「差別をするための虚構・在日特権」小林よしのりライジング Vol.112

    2014-12-10 11:05  
    150pt
     やはり「在特会なんか放っておけ」なんて態度をとっていたら、大変なことになるということがはっきりしてきた。
     今回の衆院選で「次世代の党」(と書くのも恥ずかしいジジィ世代の党)が掲げたマニフェストには 「特別永住制度の見直し」 と 「生活保護制度を日本人に限定し、困窮した外国人には別の制度を設ける」 というのが入っている。
      明らかに在特会らが言う「在日特権の撤廃」に配慮した主張である。
    「次世代の党」が自民党との違いを強調しようとしたら、自民党よりもさらに右旋回するしかない。そうして行きつく先は、 極右排外主義 なのだ。
     いかに泡沫政党とはいえ、政党要件を満たしたれっきとした政党のマニフェストにまで在特会の主張が入り込んでしまったことは、やはり忌々しき事態である。
     自称保守論壇には、在特会やその他のネトウヨが撒き散らす「在日特権」デマが信じられないほど浸透している。
    「新しい歴史教科書をつくる会」理事の藤岡信勝は「在日特権」デマを集めたサイトを引用して 「在日特権について、大変わかりやすい解説に出合いました。ありがとうございました」 とフェイスブックに投稿した。
     その在日特権デマは、
    なぜ日本の長者ベスト40のうち20人が在日コリアンで、ベストテンの中には7人もいるのか?(2012年Forbes)
    まともに税金を払っていれば絶対金は残らないようになっている日本の厳しい税制の中では、在日特権が無ければ資産は作れません。在日の多くが帰化しないのはこれらの特権があるからだと言われています。
    ・・として20人の「在日」長者の名前を列挙しているのだが、その中にはユニクロの柳井正や楽天の三木谷浩史などの名前がずらっと並んでいる。あまりにも幼稚な「在日認定」デマだが、藤岡はこんなもんにまで引っかかってしまうのだ。
     余談だが、藤岡は中国のSMサイトの画像をトリミングして偽のキャプションをつけたブログにもコロッと騙され、フェイスブックに「写真は中国軍にとらえられたチベットの少女です。このあと何が起こるでしょうか。銃殺です」云々と投稿したこともある。
     今や「在特会の主張にも正しいところはある」というのは自称保守論壇のポジション・トークになっているらしい。その典型が雑誌「正論」(自称)1月号に載った評論家・小浜逸郎の文章だ。
     驚いたことに、小浜はこんなことを断言する。
     まず私が知りえた限りでは、在日特権は存在します。その最も顕著なものは、生活保護に関する優遇措置です。一番新しいところで、二〇一四年の厚労省の調査によると、生活保護率は全体平均が千世帯のうち17世帯であるのに対して、在日韓国・朝鮮人は142世帯という突出した数字になっているそうです。約8.4倍ですね。もちろんこの資金は日本国民の税金です。  8.4倍、という数字で錯覚を起こすが、 生活保護受給者の97%は日本人であり、外国人はたった3%。在日韓国・朝鮮人は2%程度に過ぎない。
     さらに「生活保護受給率が日本人の8.4倍」の表現にはトリックがある。
      例えば2011年の生活保護受給率を都道府県別に比べると、最も高いのは北海道で2.94%、低いのは富山県で0.31%。約10倍の開きがある。 このデータから、「北海道民は富山県民の10倍優遇されている。北海道民には生活保護の特権がある!」と言い出すバカがいるだろうか?
      これは貧困率の指標に過ぎない。在日は全体平均と比べて8.4倍優遇されているのではなく、8.4倍貧しい人がいるという数字なのだ!
     また、「もちろんこの資金は日本国民の税金です」というが、 小浜は在日も納税の義務を負っていることを知らないのか!?
     税金だけ収めさせておいて、困窮した際には保護しないとなれば、それこそ差別ではないか! 小浜のような無知識人が言うならまだしも、国会に議席を持つ(次で無くなるかもしれんが)政党が、公約としてこんなことを掲げているというのは恐ろしい話である!!
  • 「ヘイトスピーチや荒らしに対する処方箋」小林よしのりライジング Vol.111

    2014-12-02 20:45  
    150pt
     社会学者の宮台真司氏が「リテラ」というサイトのインタビューでネトウヨの分析をしている。
     この中で宮台自身が言っているとおり、「リテラ」とはかつての雑誌「噂の真相」を彷彿させる「左翼ゴロ路線」の下品なサイトで、載っている記事も眉ツバな匂いが芬々という感じなのだが、それはともかく、この宮台のインタビューはちょっと面白い。
    http://lite-ra.com/2014/11/post-601.html
     宮台は「 あれは知性の劣化ではなく感情の劣化だ 」と言う。まさにその通りだ。
     そして、「表現」と「表出」という言葉を使って分類をする。
    「表現」は、理論で相手を説得し、従わせようとすること。
     それに対して「表出」は、自分の感情を吐き出すことだけが目的。
      相手の反応など全く関心がなく、ただ自分の気分がスッキリすればそれでいいというのが「表出」であるという。
     ヘイトスピーチをやっている連中は、それが気持ちいいと思って「表出」しているだけだから、説得なんか不可能なのだ。
     いくら理論立てて「在日特権なんかない」と「表現」したところで無駄。もともと真理へと到達したいなんていう意識は毛頭ない。ただ感情をぶちまけたいだけなのだから。
     真理が知りたいというような最終的な目的があれば、その過程における感情はある程度制御して臨むことになる。ところがネトウヨは感情を制御できず、最終的な目標なんかどうでもよく、とにかく今すぐここでカタルシスを得たいという短絡的、刹那的な者たちであり、そのために「表出」に固着し、ヘイトスピーチをわめき散らす。
     だからこれは「 感情の劣化 」だということになるのだ。
     もっと簡単に言ってしまえば、全く躾をされず、我慢することを一切覚えていないクソガキみたいなものだ。人としての感情が成熟していない、獣に近い状態と言ってもいいだろう。
     それでは、このように感情を劣化させた、説得不可能な連中に対して一体どう対処すればよいのだろうか?
     宮台は「レイシストをしばき隊」のようなカウンター運動が有効だと唱えている。 毒を以て毒を制すというか、「劣化した感情」には別の「劣化した感情」をぶつければいいというのだ。
     理論で対抗してもしょうがないから、感情と感情で戦うしかない。「キモいか立派か」という感情に訴えれば、「ヘイトはキモい。YouTubeとかで観たらキモいオヤジとオバハンばかり。筋骨隆々としてタトゥーが入ったしばき隊の方が格好いいぜ」となるという戦略なのだそうだ。
     
     だが、わしはこの意見には同意できない。