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記事 16件
  • 「アメリカ教からの脱却のために」小林よしのりライジング Vol.171

    2016-03-22 18:35  
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     先週号のQ&Aコーナーに、こういう質問をもらった。
     慰安婦問題について質問です。
     ライジングでキリスト教文化圏では売春は職業とは認められず「性奴隷」と見なされてしまうと書かれていましたがヨーロッパの多くの国では売春は合法ですよね。
     彼女たちは「性奴隷」と見なされているのですか?合法なのだから職業と見なされているのではないのですか?
     売春が合法の国々が国際的に非難を受けていると聞いたことありません。逆に国際的に売春は合法化の流れにあると聞きます。
     この問題は価値観の違いというより単に日本が欧米各国と中韓からいじめられているだけのような気がするのですが?
     確かに鋭い質問である。
     どうやら「キリスト教文化圏」で一括りにしたことが間違いだったようだ。
      調べてみたところ、ヨーロッパでは、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、ベルギー、ギリシャ、チェコ、オーストリア、スイスなどで売春が合法であることがわかった。
     その形態は、大きく二つに分かれる。
      オランダやドイツなどは完全に合法で、売春は職業として正式に公認されている。
     正規の娼婦は個人自由業で、開業届けを出して登録される。所得税も払うので社会福祉年金も出るし、失業手当も出る。
      一方、イタリアやスペインなどは、正確には「合法」というより「グレーゾーン」であり、違法とはされていないものの、法的な位置づけは曖昧になっている。
     イタリアには「売春防止法」があり、業種としての売春は認められていないが、個人による売春行為自体は適法だという。要するに、人身売買などの犯罪が伴わない限り「黙認」というわけだ。
      日本の場合はというと、実態は「イタリア型」に近い。
     日本では「 売春防止法 」の第3条で「 何人も、売春をし、またはその相手方となってはならない 」と規定されており、 明確に売春も買春も「違法」である。 だが、これで売買春が一切禁止されているのかというと、厳密にはそうなっていない。
      売春防止法第3条は罰則規定がない「訓示規定」であり、違反しても法的効力はないのだ。 これは、売春せざるをえない状況にある人を社会的弱者として捉え、保護するという視点から定められたものだという。
     その代わり、売春防止法では売春の勧誘や、売春の斡旋、売春を行う場所を提供したり、売春をさせる業を営んだりという行為を処罰対象としている。だから売春防止法違反で逮捕されるのは必ず風俗業の経営者で、売春をしている当人やその客が逮捕されることはない。
     つまり日本では、個人による売春は「違法だが処罰しない」という「グレーゾーン」で、事実上の「黙認」になっているのだ。
     ソープランドも建前としては、店はただ風呂付き個室を貸しているだけで、売春はあくまでも女性と客が個人的にやっているということになっている。だから客はフロントでまず「入浴料」を支払い、「サービス料」を別途、個室内で女性に直接手渡すという仕組みになっているのだそうだ。
      フランスでは、個人による売春行為自体は合法だが、「売春斡旋」は法律で禁じられている。
  • 「『女性差別撤廃委員会』の勧告という『外圧』の危険性」小林よしのりライジング号外

    2016-03-14 17:20  
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    ゴーマニズム宣言 「『女性差別撤廃委員会』の勧告という『外圧』の危険性」  3月7日、国連の「 女性差別撤廃委員会 」が日本政府に対する勧告を発表、その中には元慰安婦への「完全かつ効果的な賠償」を求めるばかりか、指導者や政治家の慰安婦問題についての発言にも制約を加え、教科書に慰安婦を取り上げろという要求まで書かれていた。
     わしはその報道を聞いてものすごく腹が立ち、即座にブログで「国連女子差別撤廃委員会という連中は何の権利があって日本の内政干渉をしてるのだ?」「戦勝国を優遇する国連で、敗戦国を「差別」したがっている実にくだらない「反日委員会」の主張なんかを、日本の新聞は載せるんじゃない!」と書いた。
    https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=joa21321w-1998#_1998
     だが、よく調べてみるとこの批判は当たっていないことがわかった。
      日本は昭和60年(1985)、「国連女性差別撤廃条約」というのを批准、締結している。
     この条約は、男女の完全な平等の達成に貢献することを目的として、女性に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としている。
     問題の「女性差別撤廃委員会」は同条約の第17条において、各国の条約実施の進捗状況をチェックするために設置することが定められている機関だ。
     そして条約締約国は条約実施の進捗状況を国連に報告し、委員会はそれを検討して、今回のような「勧告」などの見解を発表することになっている。
     つまり日本が「国連女性差別撤廃条約」を締結している以上、「国連女性差別撤廃委員会」が日本政府に対してこのような勧告を行うことは、条約に定められた当然の権限であって、これを内政干渉とは言えないのだ。
     現在、安倍政権が国会でTPP関連法案の成立を急いでいるのを見てもわかるとおり、 国際条約を締結する場合、それが国内法と齟齬をきたしていたら、国内法の方を変えなければならない。
      日本における法的な位置づけとしては、国際条約は憲法よりは下位だが、国内法よりは優位とされている。
     そのため憲法に違反しない限り、条約に違反する国内法や条例はあってはならないのだ。実を言うと、昭和60年に「 男女雇用機会均等法 」が制定されたのも、国連女性差別撤廃条約を締結するための国内法整備だったのである。
     TPP批判の際に何度も指摘したことだが、国際条約の締結によって、その国固有の文化や慣習に反する国内法を制定せざるを得なくなり、国柄が損なわれたり、重大な主権侵害を受けたりする事態は、いくらでも起こりうる。だからこそ条約の締結には慎重さが求められるのだ。
     国連女性差別撤廃条約を締約している国は現在189ヶ国に上るが、条約文に署名はしたものの、国内議会の承認が得られないために締約に至っていない「署名国」も、98ヶ国もある。
      実はアメリカ合衆国も、1980年に署名はしているが、国内法が条約に制約されることを議会上院が拒否しているため、未だに締結していない。
  • 「慰安婦問題『解決』への道」小林よしのりライジング Vol.167

    2016-02-23 15:55  
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     引き続き慰安婦問題について、今週はその「解決」はありうるのかということをもう少し考えてみたい。
     先週号で論点整理したとおり、慰安婦問題の「解決」とは決して韓国の納得を得ることではなく、「 日本の父祖の歴史の名誉を、国際社会の中で日本人が取り戻し、未来の日本の歴史を作っていく新しい世代に、正しい歴史を受け継ぐことができるようにすること 」である。
     そこで、どう国際社会を説得するかが問題になってくる。
      今や国際社会の中では強制連行の有無は問題にされず、前借金に縛られて強制的に性を売らざるを得なかったとなれば、性奴隷「sex slaves」と見なされるようになっている。
     このことに対して藤岡信勝氏は、前借金に縛られるというのはあくまでも雇用契約の一種であり、「身売り」という言葉が使われているとはいえ決して人身売買ではなく、欧米でも徒弟制度の雇用関係などに、普通に例はあると言った。
     それは確かにそうだろう。考えてみれば、ドラマの『おしん』を欧米人が見ても、主人公のおしんが米俵一俵で子守奉公に出されるのを「子守奴隷」だとはいくらなんでも言わないはずだ。
      だが、労働の内容が売春だったら「性奴隷」になってしまう。 そこが本質なのだ。 日本人は、特に公娼制度があった時代においては、売春も職業の一種だという認識があるのに対して、キリスト教文化圏では決して売春を職業とは認めない。だから「奴隷」に結びつけてしまうのである。
     これはもう捕鯨の問題と全く同じで、今現在の価値観から過去を断罪してしまう。 過去は今の価値観とは違うとか、民族によって違うという、「文化相対主義」をキリスト教文化圏の者にも、主張し続ける必要があるだろう。
     とはいえ、 国連人権委の「クマラスワミ報告書」に書かれた 「慰安婦の総数は20万人で、その大部分は殺された」 などといった全くのデマは厳重抗議していくしかないし、クマラスワミ報告書も取り下げさせなければならない。
     報告書を書いたスリランカ人の女性人権活動家、ラディカ・クマラスワミは当初、慰安婦の何が問題なのか全然わからなかったという。やはり、キリスト教文化の影響が薄い人が見れば、これはどこの国にもある戦場の娼婦じゃないかと思うものなのだろう。
     ところが報告書の作成過程で、「強制連行」の吉田清治証言やら、シナの古典の残酷話をそのまま写してきた北朝鮮の元慰安婦証言と称する文書やら、ありとあらゆるデマ話が寄せられた。そして一切検証もせずにそれを全部鵜呑みにしてしまったクマラスワミが、なるほどこれは一大事だと、報告書にまとめ上げてしまったのである。
      だから、もしもクマラスワミ報告書がデマだということが国際社会に認められれば、キリスト教文化圏以外からは「じゃあ、何が問題だったんだ?」という疑問も出るようになり、慰安婦問題全体の見直しにつながることもあるかもしれない。
     わずかな可能性かもしれないが、まずは事実に反することを訂正させるのが第一歩である。
      だが今回安倍政権がやった「日韓合意」は、そのためによかったのだろうか?
      むしろ、デマに反論しようとしたら「問題を蒸し返すな」と発言を封じ込まれ、デマが事実として流通していく事態になってしまうのではないだろうか?
     今回の「合意」では、それが一番懸念される問題である。
     いくら慰安婦問題の解決と日韓関係は別問題とは言っても、わしとて日韓関係は改善した方がいいとは思っている。だが今回の「日韓合意」はどう考えてもその役には立たず、到底評価はできない。
  • 「日韓慰安婦『合意』という売国」小林よしのりライジング Vol.166

    2016-02-18 16:15  
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     第53回ゴー宣道場 「慰安婦〈合意〉は正しかったのか?」 を2月14日、拓殖大学客員教授・藤岡信勝氏を迎えて開催した。
     今年は、当時の中学歴史教科書7社全てに「従軍慰安婦」が登場し、この異常事態に対抗すべく「新しい歴史教科書をつくる会」を設立する動きが始まってからちょうど20年に当たる。このとき西尾幹二氏とともに「つくる会」を創設し、その活動にわしを招こうと提案したのが藤岡氏である。
     それから20年、「つくる会」の活動やわしの『戦争論』の影響により、中学歴史教科書から「従軍慰安婦」は消え、日本人の「自虐史観」(この言葉を普及させたのも藤岡氏である)も相当に払拭されたかに見える中、昨年末に唐突に慰安婦問題の「日韓合意」が行われた。
     自称保守論壇の中にはこれを評価・歓迎する向きもあるが、果たしてそれでいいのだろうか?
     論点は多岐にわたるが、今回は事前にブログで以下の5つの論点を提示した。
    1)なぜこのタイミングで日韓合意?
       アメリカの圧力で、ではないのか? 他に理由があるのか?
    2)日韓合意のメリット・デメリット
       本当に韓国を追い込んだと言えるのか?
       7対3で日本の勝利などと言う新聞記者もいるが本当か?
       再び教科書に記述されて、日本が再び自虐史観に戻ることはないのか?
    3)安全保障か、歴史の真実か
       安全保障のためなら譲歩やむなしなら、歴史戦はすべて敗北しかないのではないか?
    4)慰安婦の真実が伝わらない理由
       なぜ慰安婦の真実は伝わらないのか?
    5)慰安婦問題の解決はありえるのか
         前々回のゲスト、松竹さんは「保守先鋒の安倍首相が謝罪する」ことで解決すると言っていたが、今回の〈合意〉で日韓共に解決ということか?
     藤岡氏は、今回の「日韓合意」は「 全く評価できない、やるべきではなかった。大失敗だった。日本外交の世紀の失態だ 」という。この認識はわしも同意である。
     ではこの5つの論点に沿って、当日の議論を整理しておこう。
    1)なぜこのタイミングで日韓合意?
     藤岡氏は、まずアメリカの世界戦略の変化を挙げる。
     中東政策が大失敗し、対ロシア外交でもやられっぱなしという状況の中で、アメリカの世界覇権が怪うくなる一方、世界第二の覇権国である中国が台頭。尖閣諸島をめぐって日本と摩擦を起こし、南沙諸島を軍事拠点化しようとしている。
     ここにきてアメリカは中国との対決姿勢をとるようになり、そのために日本に対して協力を求めている。
      アメリカは4年前の野田政権の頃から、日本と韓国の手を結ばせようと水面下で動いていた。
     これが表面化したのは昨年3月、中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、韓国がアメリカの制止を無視する形で参加、さらにヨーロッパ諸国がこぞって参加するという事態に危機感を抱いたアメリカが、同盟国の締め付けを図った。
     昨年11月の日韓首脳会談で、朴槿恵大統領は安倍首相に慰安婦問題の年内の妥結を求め、このとき安倍は期限を区切ることを拒否。12月15日の外務省の交渉も不調で、年越しは確実と思われていた。
      ところが24日に安倍首相は突如、岸田外務大臣を韓国に送る決定を下し、28日に「日韓合意」となる。
     この急転直下の原因は不明だが、アメリカの圧力なしには考えられないという。
  • 「パンドラの箱を開けた先には…!?」小林よしのりライジング Vol.101

    2014-09-16 22:15  
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    第41回「A型根性炸裂!ウミサチ兄さんの釣り針執着 ~海佐知&山佐知 その2~」 「お願い、一回だけやらせて! ちょっとだけだから!」
     魚釣りをしてみたくて仕方のないイケイケドンドンのヤマサチは、兄のウミサチに熱烈アタックの末、ついに口説き落として釣り針を借りることに成功します。
    「兄さん、代わりにおいらの槍を貸してあげるよ。楽しんで!」
     ウキウキのヤマサチから槍を押しつけられたウミサチでしたが、山での獣狩りなどまったく気が進みません――
    「ヤマサチめ、本当にテキトーな奴なんだから。俺はむやみに責任感が強い長男だし、クソ真面目で几帳面なA型だから、いきなりこういうこと自由に楽しめって言われるとストレス感じるんだよ……」
     勝手に予定を変えられて、まったく気分が乗りきらないネガティブなA型。
    「あいつ、糸の結び方も釣り竿の使い方も知らないだろうに。どうせ、ちょちょいっと結んで海に投げ込めばいいとしか思ってないだろうな。しまったなあ。貸す前に実演して、しっかり絵に描いて使い方を説明すれば良かった」
     貸した釣り針はどんな風に扱われているのやら、気が気でないA型。
     やたら詳細に、やたら具体的に、きっちり細かくうるさく説明し尽くさないと自分自身が納得できないA型。
    「あの釣り針、きのう下ろしたばかりの新品なんだよ。あいつ、脂まみれの汚い手でいじくってるんだろうなあ。はー、嫌だなあ。力加減もわからない奴だし、海底に針を引っ掛けて、馬鹿みたいにぐいぐい引っ張るんじゃなかろうか。もしも竿が折れたら……糸が切れたら……。はー、嫌だなあ」
     自分の持ち物を他人に触らせることが本当にイヤでしょうがないA型。
     悶々と最低最悪な事態ばかり考えて人知れずストレスを溜めてゆくA型。
    「海にもどって監視しようかな……」
     他人をほとんど信用していないA型。
    「俺も、いい人ぶってあんないい針貸さずに、もっと古くて、いらなくなった針にすればよかった。やっぱり、今すぐ釣り針返せって言いに行こう」
     たとえ「こんなに使ってないのがあるんだから、ひとつぐらいいいでしょ」と言われても、自分のなかではちょっとずつ違う種類のものをコンプリートして所有していることに満足しているから、その「ひとつ」すら渡したくはない執着心の塊のA型。
     この自分様の世界を他人が理解できるわけがない、他人には踏み込まれたくないという一心から、ドケチっぷりを発揮するA型。
      ……ぜんぶ、あたしだよっ!
     A型・長女のあたくし、弟が入院したときに、何年も前に読んだきり本棚で埃をかぶっていた『デビルマン』全巻を手土産に、見舞いに行ったことがありました。
    「退屈してるでしょ、これでも読みなよ~。全巻セットだー!」なんて言いながら、どさっと漫画の束をベッドに置く、妙に気前の良さを見せるA型の姉。
     喜んでページをめくりはじめる、点滴につながれた青白い弟。
     しかし、そんな弟を眺めているうちに、A型の姉は悶々と考えはじめるのです。
  • 「安倍晋三は『河野談話』を保守する!」小林よしのりライジング号外

    2014-09-16 12:20  
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     安倍晋三首相が14日のNHKの番組で、「(朝日新聞は) 世界に向かってしっかりと取り消すことが求められている。朝日新聞自体が、もっと努力していただく必要がある 」と述べ、海外も含め周知に努めるよう求めたという。
     頭の悪い人だ。朝日新聞が「慰安婦は人さらいのような方法で集めたのではありません」と英語で発信すれば、「性奴隷」という世界の認識が変えられるとまだ思っている!
     朝日新聞が英語や諸外国の言葉で「 詐話師・吉田清治の証言記事の撤回と、挺身隊と慰安婦の混同の誤り 」を説明することに、わしは反対しないが、残念ながらそれを実行しても、海外ではもう無意味なのだ。
    「強制連行」の話など、国際社会ではどうでもいいことであり、 軍が管理売春に手を貸したこと自体が 「性奴隷」 と認識されているのが実態である。
      慰安婦という女性の人権侵害が、軍隊と結びついているだけで、世界の女性は嫌悪感を持つのだから、「他の国もやっていた」などと抗弁したってさらなる反発を招くだけ。
     日本社会が男尊女卑だと世界にPRするようなものだ。
     外務省はそのことがわかっているはずであり、内閣に進言しているはずだから、 安倍首相自身が「河野談話」を見直したり、破棄したりすることはないのである。
     安倍首相が未だにわかってなくて、コアな支持層に押されて、「新たな談話」を発表したりすれば、わしは面白いと思う。国際社会を敵に回したことが明白になるからだ。
     特にアメリカの反応が見てみたい。靖国参拝の直後のように、「失望した」では済まないだろう。
     産経新聞の「産経抄」が河野談話の「 見直しは、喫緊の課題なのに、河野氏の国会招致さえ自民党が消極的なのは、解せない 」と書いている。
    「 二階俊博総務会長は『議長経験者を国会に軽々と呼び出せば、新たな問題が発生する』とわけのわからぬことを言う 」などとイラついている。
     産経の記者は、未だにわけがわかっていないのだろう。相当に頭が悪い。親米ポチのくせにアメリカの人権感覚がわからないのだから笑止だ。
     一方で安倍政権は、
  • 「国民は本当に『騙されていた』のか?」小林よしのりライジング Vol.100

    2014-09-09 17:40  
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     突然ですが、 『飛べ!ダコタ』 という映画をご存じでしょうか。2013年に公開された映画なのですが、私は全然知りませんでした。HPを見ると、都内でもわずか数ヵ所で公開されたのみ。先日、ある航空会社の方と食事をしていたとき、この映画のことが話題になりました。
     昭和21年、日本の敗戦からわずか5ヵ月後のこと。
     佐渡島の高千(たかち)という村の海岸に、イギリス空軍の要人機『ダコタ』が悪天候で不時着しました。日本人もイギリス人も、互いに恐る恐るの対面。それはそうです。ついこの間まで、敵同士だったのですから。しかし村長をはじめとする村人たちは「困っている人がいるなら助けなければ」と、イギリス人たちの世話をするようになりました。そして『ダコタ』が再び飛べるよう、村をあげて石を運び、それを海岸に敷き詰めて滑走路をつくったのです。
     村の中には、ビルマ戦線で息子を失った母がいました。また『ダコタ』には、同じくビルマ戦線で兄弟が戦死し、日本人に憎しみを抱いているイギリスの若者が乗っていました。しかし『ダコタ』を通じ、日英の交流が生まれてきます。そして4ヵ月後、ついに手づくりの滑走路から『ダコタ』は飛び立っていく――。
     これは実話をもとにした映画です(でも監督によると、佐渡の人でも知っている人は少ないとか)。
     ちょっと感動的な話ではありませんか!
     さっそくDVDを買って観てみました。
     ちなみに海軍兵学校在学中に事故で足を失って帰郷した一本気な青年役を、窪田正孝(「花子とアン」にも出てますね)が演じています。思わず「あさいち!」と叫んでしまいました。
     いい話でした。
     いい映画でした。
     でもこの映画のすごいところは、その感動秘話じゃないんです!!!
      柄本明 です。
     いえ、正確には 柄本明演じる、高千村の村長さんです!
     村人たちが滑走路づくりに励んでいるときのこと。村のおばちゃん二人が、村長さんと話をはじめます。イギリス人はいい人たちなのに、なんで戦争なんかしてたのかなあと、おばちゃんたち。
    「イギリス人が鬼だなんて、誰が言うとんら」
    「軍部に騙されとっただっちゃ」
    「軍の人間が勝手に戦争はじめたっち、陛下もおらたちも悪い軍人に騙されとっただっちゃ」
     私はそのセリフを聞いて思いました。
     オイオイ、感動の日英交流秘話の結論がそれかよ……と。
     しかし、それを黙って聞いていた村長さん(柄本明)は、「うんにゃ」と言って、こう続けるのです。
  • 「慰安婦問題と同じ道をたどる『アイヌ民族』問題」小林よしのりライジング Vol.99

    2014-09-02 12:05  
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     札幌市議会議員の金子快之(やすゆき)氏がツイッターに「 アイヌ民族なんて、いまはもういない 」「 利権を行使しまくっているこの不合理 」などと書き込み、これが「ヘイトスピーチだ」と非難を浴びている。
    「アイヌ民族は出て行け」とか、「汚いアイヌめ」とか、差別的な罵詈雑言を浴びせればヘイトスピーチだろうが、アイヌがいるかいないかは議論の問題である。ヘイトスピーチとは何の関係もない。
     金子氏が所属する自民党・市民会議は、当初は発言を問題視しない方針だったが、非難が収まらないのを見て日和り、金子氏に会派離脱を勧告、受け入れない場合は除名処分にするとしている。さらに、菅官房長官も政府として遺憾の意を表明している。
      かつて慰安婦問題も、こんな風にタブーだったのだ。左翼運動家や韓国から猛抗議が来たら、議論は封殺されるのが常識だった。懐かしいタブーな空気ではないか。
     金子議員のホームページを見てみると、「札幌市は韓国・大田市との姉妹都市提携を破棄し、一切の交流を止めるべき」とか、集団的自衛権行使に賛成した上で「(反対派は)よほど日本を中国に売り渡したいのでしょうか」とか、オスプレイ歓迎とか、海外への原発輸出賛成とか、安倍首相の靖国参拝を支持し、「失望した」と言ったアメリカに失望したとか、とにかく見事なほどに自称保守の紋切り主張がワンセット揃っている。
     金子議員個人には全然共感を感じないので、あえて火中の栗は拾わぬが、しかしこの件によって「アイヌ」の議論が封殺されることは問題がある。
    「アイヌ民族なんて、いまはもういない」というのは学術上も証明されている事実であり 、わしが本格的に論じ始めたら、まともな反論はできるはずがない。
     わしは6年前、平成20年(2008)秋号の「わしズム」で『 日本国民としてのアイヌ 』という大特集を組んだ。
     当時、国会で「 アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議 」が全会一致で可決され、その後、中山成彬国交省(当時)が「日本は非常に内向きな単一民族」などと発言したことで辞任に追い込まれる事件もあり、アイヌ問題についての関心が湧いたのである。
     なにしろそれまでわしはアイヌといえば、ヒゲをたくわえた男や民族衣装をつけた女が『イヨマンテの夜』の歌に合わせて「熊送り」の儀式をしているイメージしか浮かばないという有り様だった。
     実は『イヨマンテの夜』は古関裕而作曲によるラジオドラマの劇中音楽に後から歌詞を加えたもので、アイヌの民族音楽とは何の関係もなく、その曲想は同じ作曲者の『モスラの歌』と共通しているなんてことは、当時は全く知らなかった。
     ともかく北海道には今でもアイヌの暮らしをしている人がいるのかどうかもわからない。おそらくほとんどの日本国民が、アイヌの実態について知らないに違いない。それを知らせる役割を果たしたいとわしは思った。
    「アイヌはいる。会いたい。知りたい」とわしは純朴に思っていただけだ。
     当初は特集のタイトルを『 偉大なれ、アイヌ 』と予定し、最大のアイヌ団体である 北海道アイヌ協会(当時・北海道ウタリ協会) に取材を申し込んだ。
     協会からは取材のOKが出て、わしは取材の前に読むよう指定された本も律儀に読み、さらに独自に多くの文献を集めて猛勉強を始めた。
      ところがアイヌ協会は、突然取材拒否を通達してきた。 「小林よしのり及び『わしズム』への不信感」 がその理由だった。
      アイヌ協会は以前には北海道庁の内部に置かれており、関連の財団法人を通じて国と道から年間合計6億円の補助金が投入される、半分公的な団体である。 それが取材拒否とは到底納得のいかないことだった。
     わしはアイヌ差別には断固反対するが、だからといってアイヌ協会の説明を鵜呑みにするつもりはない。取材には白紙の状態で臨み、途中で湧いた疑問は率直に質し、自分自身で理解したアイヌの実態を描くつもりだった。
     ところがアイヌ協会にとっては、そういう取材者が一番都合悪かったのだ。 アイヌ協会の主張をそのままプロパガンダしてくれる取材者しか受け入れたくなかったのだ。
     なぜなら、彼らにとっては本当のアイヌの実態を知られることこそが、一番まずいことだったのだから。
      アイヌ出身の言語学者で、アイヌ文化研究の第一人者だった 知里真志保 は、今から59年も前、昭和30年(1955)の時点でこう断言している。
    「 民族としてのアイヌはすでに滅びたといってよく、厳密にいうならば、彼らはもはやアイヌではなく、せいぜいアイヌ系日本人とでも称すべきものである 」
     滅びたといっても、決して民族浄化されたわけではない。
     もともと北海道島では縄文時代の太古より 和人 と 千島系 、 樺太系 、 大陸系 など様々な人々が混住、混血を繰り返し、文化的にも混交して盛衰を繰り返していた。
    「アイヌ」はその中から鎌倉時代という比較的新しい時代に成立したものであり、歴史的に別民族ではなく、日本民族の一分派であった。
      しかもアイヌは3大系統7分派に分立しており、アイヌが自ら一社会集団を形成したことは一度もなく、時代の流れとともに日本国民の中に吸収、同化されていったのである。
     古代から混血を繰り返してきたため、ただでさえアイヌに「純粋な血統」は存在しない。
  • 「イデオロギー化が増す日本の危機」小林よしのりライジング Vol.98

    2014-08-26 17:30  
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     自己の主張をイデオロギー化させる危険について、書いておこうと思う。
     イデオロギーは固定化した政治的観念であり、思索の放棄であると定義しておく。思想は思索し続けることであり、イデオロギーと思想を区別しておこう。
     わしは皇統の女系継承も大いに賛成と考えているが、イデオロギーではないので、天皇陛下のご真意が違うのなら、変更して構わない。
     男系固執派の場合は思索を放棄してイデオロギー化しているので、天皇陛下のご真意を拝察すること自体を拒否する。男系派にとっては、天皇陛下より崇拝するものが「男系血統」であり「Y染色体」なのだ。
     マルクス主義者も反戦平和・護憲主義者も、主張がイデオロギー化していて、思索を深めることがない。考えることを拒否している。
     しばしば「主張が一貫している」と褒める者がいるが、その主張が時代を経ても正しければ褒め言葉になるが、時代に適応してなかったら皮肉になる。
     自分の主張もチェックする柔軟さを持っているべきだし、間違っていたと気付けば転向しなければダメだ。
    「イラク戦争は大義なき侵略であり、失敗する」これはわしの主張だったが、今や完全に証明された。
     自称保守派はイラク戦争大賛成だったが、まだ過ちを認めない。主張を一貫させてはいけないはずであり、転向すべきだろう。
     わしは、原発はぼんやりと安全なのだろうと思っていたが、大間違いだった。その危険性を知ってしまった以上、もう安全だなどとは口が裂けても言えない。見てしまったし、知ってしまった。
      今では「脱原発」はわしの主張だが、それでも思索し続けるべきで、イデオロギー化してはいけない。イデオロギー化すると情報やデータの運用を見誤る危険性があるからだ。
     産経新聞が「 吉田調書 」の件で朝日新聞を非難している。
     吉田調書とは、福島第1原発の事故当時の所長・吉田昌郎氏(昨年7月死去)に、政府の事故調査・検証委員会が聞き取り調査をしてまとめた、400ページに及ぶ「聴取結果書」のことである。
     朝日新聞は非公開の吉田調書を入手し、5月20日の紙面で報じた。だがそれが、とんでもない誤報だったというのだ。
     朝日の記事は「 所長命令に違反 原発撤退 」という大見出しで、事故当時、吉田所長の待機命令に違反し、所員の9割以上が福島第2原発へ撤退していたことが吉田調書から明らかになったというもので、「 その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた 」と批判していた。
     事故当初、現場に残って対応に当たった50名ほどの所員は世界のメディアから「フクシマ・フィフティーズ」と呼ばれ称賛された。ところがその一方で650名もの所員が命令を無視して逃げていたという朝日記事は、その美談を吹き飛ばすスキャンダルとして世界中に報じられた。
     米紙ニューヨーク・タイムズ(以下、いずれも電子版)は5月20日、「朝日新聞によると」として第1原発所員の第2原発への退避を「命令違反」として「パニックになった作業員が福島第1原発から逃げ出した」と報じた。
     英紙ガーディアンは5月21日付で「『フクシマ・フィフティーズ』と呼ばれたわずかな“戦闘員”が原発に残り、ヒーローとして称えられた。しかし、朝日新聞が明らかにしたように650人が別の原発に逃げたのだ」と記した。
     オーストラリアの有力紙オーストラリアンも「福島のヒーローは、実は怖くて逃げた」と見出しにした上で、「事故に対して自らを犠牲にし果敢に闘った『フクシマ・フィフティーズ』として有名になったが、全く異なる恥ずべき物語が明らかになった」と報じた。
     韓国紙・国民日報に至っては、「日本版の“セウォル号事件”」と報道、韓国で4月に起きた旅客船沈没事故で、船長が真っ先に逃げたことと同一視した。
      だが実際には、吉田調書のどこをどう読んでも、「所員の9割が所長命令に違反して撤退した」なんてことは書いてなかったのである。
  • 「不都合な真実『慰安婦問題』真の敵はどこか?」小林よしのりライジング号外

    2014-08-12 14:10  
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     朝日新聞は8月5日・6日の2日にわたり、「 慰安婦問題を考える 」と題して見開き2面全面を使った大特集記事を掲載した。
     特に5日の記事では 『 慰安婦問題どう伝えたか 読者の疑問に答えます 』と題して、朝日新聞が今まで報じてきた慰安婦問題記事を検証している。
     慰安婦を「奴隷狩り」のように強制連行したという 吉田清治 の証言を少なくとも16回記事にしたことについては「 虚偽だと判断し、記事を取り消します。当時、虚偽の証言を見抜けませんでした 」と全面撤回。
     慰安婦が「 女子挺身隊 」の名で戦場に動員されたという表現については、女子挺身隊は「 慰安婦とはまったく別 」であり「 誤用 」だったと認めた。
     最初に吉田証言を記事にしてから32年も経過した今になって、ようやく訂正記事を出したわけだが、その理由については同日1面の「 慰安婦問題の本質 直視を 」と題した記事で編集担当記者が「 一部の論壇やネット上には、『慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ』といういわれなき批判が起き 」「読者の皆様からは『本当か』『なぜ反論しない』と問い合わせが寄せられるようになり」「読者への説明責任を果たすことが、未来に向けた新たな議論を始める一歩となると考えるから」と説明している。
     要するに、自称保守論壇やネット右翼が騒いでいるだけならまだしも、朝日の読者からまで疑問の声が上るようになってしまったために、ついに放置しておくことができなくなったというわけだ。
     検証記事は「当時は研究が進んでいなかったからやむを得なかった」「当時は他紙も似たような報道をしていた」という弁解を繰り返しており、往生際の悪い態度が目立つものの、相当の手間暇をかけて紙面を割いて自己検証したことについては、よくやったなあと感心したので、一応評価しておく。
      ただし朝日は「慰安婦問題の本質 直視を」と言っておきながら、最も重要な本質から目をそむけている。
      そもそも日韓間の戦前・戦中に関する補償問題は昭和40年(1965)の「日韓基本条約」において「完全かつ最終的に」解決していたのだ。
      ところが朝日新聞が「完全かつ最終的に」解決していた外交問題を蒸し返し、火をつけ、未だ消火のできない大火事にしてしまった。 それが慰安婦問題の本質であり、その罪は極めて重いという以外にないのだ。
      しかも日韓基本条約の交渉は14年間にも及び、その間ありとあらゆる問題が検討されたにもかかわらず、慰安婦に関しては韓国側からも一切議題にすら上らなかったという事実は重要である。
     慰安婦はいた。だがそれは「問題」ではなかったのだ。
      朝日新聞が大々的に記事にするまでは、日韓間に「慰安婦問題」などというものは存在しなかった。 「問題」でも何でもなかったものを「問題」に仕立て上げたのだから、 「慰安婦問題は朝日新聞の捏造だ」というのは決して「いわれなき批判」ではないのである。
     自称保守やネット右翼は、朝日新聞が自らの慰安婦問題記事の誤報を認めたことに大喜びしながらも、「明確な謝罪をしていない」だの「問題のすり替えと開き直りだ」だのと、さらに嵩にかかって朝日バッシングを強めている。
     産経新聞は社説やら、朝日の検証記事を検証するとした記事やらで、さらに非難を強めている。
      だが、他紙の誤報をそこまで責めるのなら、産経はイラク戦争開戦前後に「大量破壊兵器の危機」を煽り続け、誤報に次ぐ誤報を流し続けたことについて、いつ検証するのだろうか?  
     新聞が特定の主張をプロパガンダするばかりで、読者の客観的な視点を封じ、検証や謝罪をしないのは普通のことであり、自己検証をやった朝日の一片の誠実を産経に責める資格などない。
     自民党の石破茂幹事長は朝日新聞の報道を国会審議でも検証する必要があるのではないかと発言、与野党からは関係者の国会招致を検討すべきという声も上っている。
      また、安倍晋三首相も朝日の報道が日韓関係に悪影響を与えたと非難しているが、そんなことを言うのなら、さっさと河野談話を破棄すればいいではないか。
     自称保守の者らは河野談話を「見直すべし」と言うが、見直したって意味はない。わしなら完全破棄するべしと言う。
     ところが安倍首相は「 河野談話を継承する 」と言い続けているのだから、朝日新聞の現在の慰安婦問題に対する見解と一緒ではないか。
      米国政府は7月に元慰安婦2名をホワイトハウスと国務省にそれぞれ招いて証言を聞き、9月には外交・安全保障担当者も同席した上で再び元慰安婦と面会する予定だという。
     安倍首相が本気で慰安婦問題に疑問を持っていて、「性奴隷」ではないと信じているのなら、米国政府の元慰安婦との面会に厳重な抗議をするべきである。 キャロライン・ケネディ駐日大使を官邸に呼びつけて、抗議するのが筋ではないか。
      一方、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のピレイ人権高等弁務官も、慰安婦問題の解決を要求し、日本政府の態度を真っ向から批判している。
     これにも安倍首相はまったく抗議しない。