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記事 17件
  • 「安倍政権の失政総まとめをしておこう」小林よしのりライジング Vol.207

    2017-01-10 21:15  
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     平成29年、最初のライジングである。
     新年にふさわしい、めでたい話題を扱おうと思ったのだが、残念ながら何も思い浮かばない。
     それよりも、いま書いておかなければならないことは、昨年安倍政権が犯した失政の数々である。
     とにかく次から次へとムチャクチャなことをやらかすから、ライジングで取り上げきれなかったものもあるし、もう覚えきれないほどだ。だが忘れてしまえばどんな失政も「なかったこと」にされ、さらなる失政を積み重ねられてしまうのだから、一度列挙しておかなければならない。
    ◆アベノミクス
     第二次安倍政権の最重要政策として位置づけられてきたアベノミクスだが、4年目に入った昨年も、何の成果も挙げられなかった。
     そもそも昨年元旦の「朝まで生テレビ」で、政府の産業競争力会議の一員である竹中平蔵が「トリクルダウンなんてありえない」と断言した時点で、アベノミクスの失敗は確定したのだ。
     アベノミクスとは、「大規模な金融緩和」「拡張的な財政政策」「民間投資を呼び起こす成長戦略」という「3本の矢」によって企業収益を向上させれば、一般市民の所得向上につながるという「トリクルダウン効果」を根拠とした経済政策であった。
     特に日銀による異次元の金融緩和で、「脱デフレ」を目指す予定だったが、それも成らなかった。
     昨年5月、安倍は消費増税の再延期を決定した。
     消費税率は2014年に5%から8%に引き上げられ、当初は2015年10月から10%に引き上げられる予定だった。しかし経済が増税後の落ち込みから回復せず、安倍は税率引き上げを2017年4月まで延期していた。それをさらに2019年10月まで、2年半再延期するというのだ。
     再延期をすれば2014年の増税が失敗だったことを意味するため、安倍は一貫して「再延期はない」と断言していたが、それを撤回したのである。
     ところが安倍は自らの失敗を認めるどころか、こう言ってのけた。
    「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」
     こんな言い草が通用するなら、どんな公約違反をしようとも、「これが新しい判断です」と言えば許されてしまう。ところが実際のところ、なんとなくそれで許されたような形となってしまった。
    「新しい判断」は新語・流行語大賞にノミネートされたが、年が明ければこの言葉も、それを言い放った安倍の非常識もすっかり忘れ去られている。
     アベノミクスが成功していると言い張る人は、「企業収益が増えた」「求人倍率が改善した」という点を挙げる。
     だが、円安によって企業収益が拡大したといっても、その分輸入インフレによって実質賃金が下がり、GDPの6割を占める個人消費が大幅に落ち込んでしまっている。求人倍率の改善は、単に団塊世代の大量退職によって生産人口が減ったからに過ぎない。
     いくら金融緩和でお金を降らせても、庶民には落ちてこない。資産を持っている者は投資も消費もせず、貯蓄するだけだ。ついにタンス預金が日銀の発表で約78兆円にも上っている。そうなる原因は、将来不安に尽きる。
     国民の将来不安を全然払拭しないで、経済がうまくいくわけがない。だが安倍は失敗を認めたくないだけの理由で、 「今こそ、アベノミクスのエンジンを最大にふかす」 などと言い続けたのだ。
    ◆カジノ法案
     一向にアベノミクスが成果を見せない中で、安倍が新たな「成長戦略の目玉」と言い出したのが、なんとカジノなのだからあきれ果てる。
     カジノ法案については、政権べったりの読売新聞までも含む、主要全新聞の社説が一致して反対するほどだったのに、安倍政権はほとんど議論もさせずに強行採決してしまった。
     そもそもカジノの収益とは、「バクチに敗けた客がすった金」に他ならない。
     カジノ法案は、正式名称を「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」という。例によっての言葉のごまかしで、あくまでもカジノは「統合型リゾート施設(IR)」の一部に過ぎないように見せかけたいのだ。
     カジノ推進派は決まって「カジノの面積は全敷地の3%で、メインではない。残りの97%はホテルや劇場、ショッピング街などで、あくまでもカジノを含む統合型リゾートだ」とか言う。
     だが海外の実態を見れば、IRの売上高の大半は「面積3%」のカジノが挙げており、「ギャンブル依存症の父親が大損する傍らで、母親と子供が“格安ディズニーランド”で楽しむという構造」だという。
     さらに今回の異常な「暴走審議」の陰には、日本の富裕層の個人資産を狙った、海外カジノ企業の要請があるのではという疑惑もささやかれている。もしそうなら、安倍は日本の国富を海外流出させるために尽力した売国政治家に他ならないし、そうでなくとも、賭博で経済成長などという輩には、二度と「美しい国へ」などと言う資格はない。
    ◆年金カット法案
     安倍政権は昨年、公的年金改革法案という名の「年金カット法案」も強行採決している。
     これにより年金支給額は現在より5.2%も減少。国民年金は年間約4万円減、厚生年金は年間約14.2万円も減る。
     既に安倍政権はこの4年の間に公的年金を3.4%減らし、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げている。
     生活保護受給水準以下で暮らす高齢者は5年間で約160万人増え、高齢者全体の25%を占めている。そこへ年金カット法が施行されれば、間違いなく貧困高齢者は急増していくことだろう。
     安倍政権は2014年12月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直し、国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、リスクの高い株式投資の比率を50%まで高めた。
     株価を操作して好景気を偽装し、消費増税の口実を作るためであり、要はアベノミクスの「成果」を捏造するために、国民の年金をバクチにぶっ込んだのだ。
     そしてその結果、たった15カ月間で公的年金積立金が10.5兆円も運用損失で消えてしまった。
     年金カット法案とは事実上、この株式運用の失敗のツケを国民に回し、年金支給額を減らすことで帳尻を合わすための「制度改革」なのである。
  • 「ストーカーの気質についての考察」小林よしのりライジング Vol.199

    2016-11-01 21:20  
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     ストーカーによる悲惨な事件が跡を絶たない。
     東京都目黒区の24歳の女性会社員が殺害された事件では、逮捕された元交際相手の50歳の男は、待ち伏せする際に顔がばれないようにと、ロングヘアーのかつらに大きなマスク、赤いブラウスを着てブラジャーまでつけるという入念な女装をする、異常な粘着性を見せていた。
     ストーカーというと、見知らぬ男が勝手に一人の女性に執着し始めるというパターンを思い浮かべがちだが、 実際には、交際していた相手が別れた途端にストーカー化したというケースが多い。
     そう言うと「そんな男と付き合った被害者も悪かったんじゃないか」と安直に「自己責任論」にされそうだが、そう簡単には言い切れない。
     付き合い始めた頃はごく常識的で、真面目で、優しい人に見えたのに、時間が経つうちに違和感を覚えるようになり、それで別れを切り出したら、たちまちストーカーになるということもよくあるものなのだ。
     女性はやはり信頼する知人の「保証」のある男、「信用」できる男と徐々に付き合うことを勧める。ネットなどで得体の知れない男と知り合って、いきなり深い関係になるような軽率な行動は慎んでおいた方が身のためだろう。
     ストーカーの気質についての解説を読むと、まず 「プライドが高い」 という点を指摘するものが多い。
     例えば、ストーカー対策を請け負う探偵・興信所を紹介するサイトでは、こう説明している。
     ストーカーになってしまうタイプは、自分が大好きでプライドが高く、自分のことを特別な存在だと思っています。自分を良く見せるためには嘘もつき、人から偉いと思われたいがために見栄もはります。
     人の好き嫌いもはっきりしていて、自分を褒めてくれる人は好きで、逆に自分のことを認めない人や従わない人は嫌いと、あくまでも自分が中心でないと気がすまないのです。
     自分の自尊心が傷つけられることにはとても敏感で、他人のミスで自分にささいな被害が及んだだけでも、恐ろしいほどに怒るときがありますので注意して観察しましょう。
     この説明は概ね正しいだろうが、ここで「プライド」という言葉を使うのは正確ではないように思う。真っ当なプライドを持つこと自体は大切だからだ。
      ストーカーの気質は、「プライドが高い」と言うよりも、 「自己承認欲求が強い」 と言うべきだろう。
      とにかく「自己承認欲求」が強くて、自分を特別な存在だと認めてほしいと思っている。だがそれが認められなかったら、認めてくれない相手を憎悪し、異様なまでに執着して、攻撃的になる、それがストーカーである。
     またストーカー気質の人間には、実は赤の他人には「外面が良い」という特徴がある。人によく思われたいという願望が強いからである。
     完璧主義で仕事もできる人が多いが、親しくなった相手には甘えが出て来て、自分勝手に振る舞う。しかしそのような本性は、他人にはわかりにくいから厄介なのである。
    「自己承認欲求」の過剰な「かまってちゃん」には、本当は構ってはいけない、無視しなければならないのだが、最近のストーカー事件の多さを見ていると、現代人の「心の闇」を身近に観察できる例として、ちょっと触れておこうと思う。
  • 「『武士の情け』という日本人の倫理観」小林よしのりライジング Vol.198

    2016-10-26 16:20  
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     蓮舫の二重国籍問題が、まだくすぶっている。
     二重国籍は、法的には何の問題もないということはライジングVol.193で詳述したとおりだ。(http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1107347)
     ただし法的には問題ないといっても政治家が、しかも閣僚を経験し、現在は野党第一党の代表で、首相を目指すという人物が二重国籍では問題だというのは、一応正論と言えば正論ではある。
     しかし、すでに蓮舫が国籍を日本一国に決定して、手続きを済ませたのなら、この問題にいつまでもこだわって延々と責め続けているネット内の言論は、異常としか言いようがない。
     特にこの問題の火付け役となったウェブサイト「アゴラ」の池田信夫と八幡和郎はほとんどストーカー状態で、しつこく女一人に粘着しまくっている。
     この異様な執念はどこから来るのかといえば、基本的に民進党が大嫌いで、党首を潰してやりたいという負の欲望からでしかないだろう。実はわしはもっと意地悪く見ていて、彼らの顔が悪すぎて、モテなかったためにストーカーになったのだろうと思ってたりする。
     彼らは、ひたすら自民党の味方、権力の味方なのだ。もともと「強きを助け、弱きをくじく」という性質の連中であり、特に今は安倍政権が強いから、なおのこと強力な権力にすり寄って媚びていたいのだろう。
    「違う、ただ正論を述べているだけ」と言い張ったところで、結果として安倍政権という権力に得になる効果だけを発揮しているのは間違いない。
      わしは、権力が肥大しすぎることには警戒感を持つ。
     民主制の危うさを回避するために、権力が独裁に向かうことを回避するために、バランスを保たないといけないという警戒心は、持っていようとわしは思っている。
      実際、庶民もそう思っており、だからこそ世論調査では蓮舫代表に「期待する」と答える人が50%を超えているのだろう。
     自民党の独裁に任せておいても怖い、民進党に対抗勢力になってもらった方がいい、それなら民進党の中に他にもう人材がいないから、蓮舫の新鮮さに期待しておこうと考え、二重国籍問題を大ごととは捉えていない。
     この一般的感覚がある限り、二重国籍問題でこれ以上蓮舫がダメージを受けることはないだろう。
     これは 「武士の情け」 というものだ。
     本来、日本には日本独自の倫理観、道徳律のようなものがあったはずで、その中には「武士の情け」というものがあった。
     圧倒的に弱い側に不利なことが出てきた時には、「武士の情け」で見逃そうという感覚が働くのだ。これは極めて状況に依るものであって、権力の側、強者の側の不正には適応されない。
     あくまでも「情け」だから、弱い方に適用しなければならないルール感覚である。だから歴史感覚を有する庶民は、蓮舫に「武士の情け」というルールを適用して、片目を瞑っているのだろうと考えられる。
      世の中には「近代的な法」のルールだけで、正しいか、正しくないかを判断できない例がある。
     その一例としてわしが蓮舫の件から連想したのが、わし自身の小学生の時のエピソードだ。
     知らない人もいるだろうから、ここに掲載しておこう。
  • 「ネットの中の道徳の大崩壊:実名曝しは是か非か?」小林よしのりライジング Vol.157

    2015-12-01 22:10  
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     次回、12月13日のゴー宣道場は 「道徳Revenge」 と題して行われる。
     事前に「これはどう判断するのが道徳的に正しいのか?」と迷うような例題を募集中で、ゴー宣道場ブログでも各師範や門弟たちが様々な例題を挙げている。
     そこで今回は、最近起きた道徳的判断を問われる問題を紹介しておきたい。
     発端は、はすみとしこなるネトウヨ漫画家が、シリア難民を誹謗中傷するイラストを公表した事件だ。
    http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1510/05/news107.html
     これは議論の余地なく不道徳であり、このことが海外にまで報道されたのは、日本の恥さらしとしか言いようがない。
     ところがこれを支持する者がいて、かえってこの騒ぎを期に、はすみとしこのイラスト集が出版されることになったという。版元は「青林堂」だ。
     青林堂は伝説の漫画雑誌「ガロ」を出版していた会社だが、創業者社長が亡くなった後は迷走を重ね、今では「オークラ出版」と一、二を争う最低のネトウヨ出版社になり果てている。
     もう、かつての青林堂とは全くの別物であることは重々承知しているのだが、それでも「青林堂」の名がこうも果てしなく汚されていることには、心が痛むばかりである。
     この難民差別イラストに関して「反安倍 闇のあざらし隊」を名乗る者がツイッターで、次のように宣言した。
    「はすみとしこ」のFBページで下衆な絵をはやし立てている下衆な連中のプロフィールから、居住地、出身校、勤務先をリスト化するドイヒー「はすみしばき」プロジェクト、密かに進行中。320人以上のものが名前と共にまもなく公開されます。  そして実際に、はすみとしこのフェイスブックで問題のイラストに「いいね!」を押した者、400人以上の実名や居住地などをリストにして、ネットに公開したのだ(「ドイヒー」とは「ひどい」の意)。このいわゆる「はすみリスト」は、ネット内で大問題となった。
     すると今度は「はすみリスト」を曝した「反安倍 闇のあざらし隊」が実名を特定され、ネットに曝された。 この人物は「レイシストしばき隊」のメンバーで、しかも ネットセキュリティ会社の社員だった。
     これは情報を保護する立場である会社の社員としてあるまじき行為として問題化し、会社も社内調査に乗り出すとともに関係者に謝罪を表明。
     調査の結果、セキュリティ会社は自社のシステムやデータが使われた事実はなかったとしたが、このしばき隊の男は自主退職した。
     そして「はすみリスト」の騒動は、思わぬところに飛び火してきた。しばき隊シンパと思われる者が、時浦のツイッターにこう質問してきたのだ。
    小林よしのり氏は、「ネットで差別書き込みをする者は、住所と氏名を公開して社会的に抹殺すべき」と、はすみリスト以上の処置を提案していますが、それはいいんですかね。  そんなこと書いたっけ? と思ったが、どうやら2年前のこのブログのことらしい。
    https://www.gosen-dojo.com/index.php?key=jojxeo458-736
     わしは 「こういう差別野郎どもの住所・氏名を公表して、社会的制裁を加える法律を、自民党は作れ!」 と書いたのであって、あくまでも法的な規制を求めたのである。 決して現在行われているような、野放図な私刑を支持したわけではない。
     しかも、制裁を加えるべきとしたのは差別の言動をしている本人であって、単にフェイスブックで「いいね!」を押した程度の者までは想定していない。
     それでもわしが言ったことは 「はすみリスト以上」 ということになるのだろうか?
     一方、新潟水俣病第3次訴訟の弁護団長を務めている高島章弁護士は、ツイッターで以下のように私見を発表した。
  • 「『ゴー宣』『戦争論』が変えたもの」小林よしのりライジング Vol.155

    2015-11-17 20:10  
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     11月4日、東浩紀氏、宮台真司氏と『戦争できる国の道徳』(幻冬舎新書)の出版記念として、5時間にも及ぶトークイベントを行った。
     その中で宮台氏が、ネトウヨも安倍政権も、シールズも 「全部よしりんの影響下にあるんですよ」 という発言をした。
     ネトウヨや安倍政権をわしがつくったとかいうのはシールズの連中の決まり文句だが、そういうシールズだって、わしがつくったというのだ。
     たしかにシールズのデモのやり方は、薬害エイズ運動の時にわしが打ち出した方法論そのままである。
     薬害エイズの頃、もうとっくに労組などの団体の旗がひらめくデモには威力がなくなっていた。むしろ団体の動員を受けたデモだと思われたら、一般大衆には見向きもしてもらえなくなる状態だった。
     そのため薬害エイズ問題に対する世論を盛り上げるためには、デモから組織やイデオロギーの色を一切排除する必要があった。そこでわしは、 「個人」がこのワンイシューのためだけに、緊急措置として集まって活動している「個の連帯」である というコンセプトを立てた。
     そして集まった学生たちは、 ダサいのはイヤだ、ファッショナブルなデモをやりたいと言い、ラップでパレードというスタイル を作り出した。
     このデモは大きな効果を上げた。だが、 実際には学生たちに「個」など確立しているわけがなく、学生たちは弁護士ら大人の顔をうかがい、組織に埋没していった。そして、「正義」の運動をしているという快感に酔い、運動が目的化して、薬害エイズ運動が終結しても次の運動をやりたがるようになってしまった。 そのために、わしは「日常に帰れ!」と警告し、『脱正義論』を描かなければならなくなったのである。
     一方のシールズも、 自分たちは「個」の集まりであると標榜し 、その団体名「SEALDs」(Students Emergency Action for Liberal Democracy-s=自由と民主主義のための学生緊急行動)からして 「緊急行動」を謳っており、ワンイシューで活動し 、来年の参院選をもって解散すると表明している。
     また、とにかく ファッショナブルにすることにこだわり、ラップを取り入れ、プラカードは英語が目立つ 。わしから見れば、英語がファッショナブルでカッコイイという感覚自体がどうしようもなくダサいのだが、とにかく『脱正義論』を読んで研究したのではないかと思うほどそっくりである。
     もちろん、 実際のシールズのメンバーに「個」などない というところもそっくり同じだ。
      シールズは事実上、「左の在特会」と言うべき「しばき隊」の下部組織である。
     シールズ中心メンバーの奥田や牛田らは、しばき隊のbcxxxなる人物の親炙を受け、わしと対談する際にもいちいち彼の顔色をうかがっていた。そしてbcxxxが小林よしのりとの対談などするなと言ったために、牛田は当日ドタキャンし、奥田が一人でやって来たのだ。
     しかも奥田は、わしと対談したことについてbcxxxに対してツイッターで次のように弁解し、反省・謝罪を表明した。
  • 「『レッテル貼り』はいけないのか?」小林よしのりライジング Vol.139

    2015-07-07 18:45  
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     先日、テレビ朝日「モーニングバード」の「そもそも総研たまペディア」の取材を受けた際に、レポーターの玉川徹氏が、自分には「反日」とか「売国」とかいう「レッテル貼り」がされているようだと気にしていた。取材先で、そんなことを言われる場合があるらしい。
    「そもそも総研」はかなり厳しく政権批判をしているから、安倍政権を支持することが「愛国」だと思っているような、思考能力の欠如したネトウヨなどが、「反日」だの「売国」だのと言ってくるのだろう。
     一方、安倍晋三も「レッテル貼り」を異様なほど気にしている。6月21日の朝日新聞で読んでつい笑ってしまったが、安倍は昨年7月14日、民主党の海江田万里に対する答弁で、こんなことを言ったそうだ。
    「レッテルを、私がレッテルを貼ったなら謝るが、海江田さんもレッテルを貼ったなら取り消していただきたい。お互いにレッテルを貼りあうという不毛な。海江田さんがまずレッテルを貼ったから、私もレッテルを貼った。レッテル貼りの議論ではなくて、レッテル貼りではなく中身の議論をすべきだと思う」
     1回の答弁で、「レッテル」「レッテル」と8回も繰り返している。異常な執着ぶりである。
     ちなみに「レッテル」とは、広辞苑によれば「 商標。ラベル。転じて、ある人物や物事に対する特定の評価 」であり、「レッテル」自体は必ずしも「不当な評価」という意味ではない。
     それが、「レッテルを貼る」となると、「一方的に、ある評価・判断を下す」という意味になり、不当な評価を与えて、イメージダウンを図るといった意味合いを含むようになってくるわけである。
      とはいえ、一方的に貼られたレッテルでも、それが正しい場合だってあるわけで、全部ひとくくりに「レッテル貼りはいけない」と言うのも乱暴な話である。
     最も簡略化した表現で相手を批判することは必ずしも悪いことではない。
      貼られたレッテルが正当か、不当かをその都度検証することが不可欠であり、それが間違ったレッテルであれば非難するというようにしなければならないのであって、「レッテル貼り」を全ていけないものとするのは、単なる思考停止である。
     百田尚樹や自称保守やネトウヨは、朝日新聞に「 反日 」「 売国 」のレッテルを貼る。
     朝日の記者や論説委員だって、「反日」や「売国」のためだと自覚的にやった人などいないだろう。わざわざ慰安婦問題に火をつけたのも、それが日本のためになると勘違いしてやったのだろう。
    自衛戦争と侵略戦争の区別もせずに、「戦争=悪」のレッテル貼りをした方が、平和を維持できると思い込んでいたのである。
     そして、それが結果的に「反日」「売国」となったのである。慰安婦問題や靖国問題で、中国や韓国に「ご注進」報道を繰り返し、向こうのナショナリズムを沸き立たせて、実際に日本の国益を損なう事態が起きたのだから、自覚的でなくとも、確かに「反日」「売国」の意味合いはあったといえる。
     過去の朝日新聞を見ると、「反日」「売国」というレッテル貼りを否定するのは確かに難しい。
     ただし、朝日新聞の記者たちも、そろそろ世代交代しているだろうから、過去の悪行を叩くだけよりも、今後の更生を見守ろうとわしは思う。櫻井よしこや自称保守派やネトウヨや自民党議員のように、「廃刊にせよ」とか、「潰せ」などとは、わしは言わない。
     百田が沖縄の2紙を「 左翼 」だとレッテル貼りして、袋叩きにあっているが、「潰さなければいけない」と権力者の勉強会で言論弾圧を煽るからである。
     もっと丁寧に根拠を出しつつ言わねばならない。
  • 「出会い系と愛国デモ:寂しさに耐えられない人々」小林よしのりライジング Vol.123

    2015-03-03 18:55  
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     2月20日の朝日新聞に「『出会い系』狙われる高齢者」という記事が載っていた。
    「出会い系」の有料メール交換サイトの詐欺的な手口に引っ掛かり、大金を散財してしまうお年寄りが増えているというのだ。
     まずは、記事に載っていた被害者のケースを紹介しよう。
     76歳、無職男性。元証券会社員。
     妻に先立たれ、3人の子供は独立し、東京都内で独り暮らし。
     日中はボランティアなどをやっているが、夜に1人になると時間をもてあまし、パソコンに向かう。
           ↓
     2011年秋、ネットで「車をプレゼントします」という表示をクリック、名前や連絡先を入力してメールを送る。
           ↓
     その翌日から「悩み相談に乗ってください」「会いたいです」などという知らない女性からのメールが大量に届き始める。
           ↓
     興味本位で、女性医師を名乗る相手に「お茶でも飲みませんか」と返信。
     女性の顔写真が届き、自己紹介を交わして会う約束をする。
           ↓
     指定した場所で待つが、現れない。
     メールを送ると「場所を間違えた。ごめんなさい」と返信。
           ↓
     メールは最初の数通は無料だったが、途中からポイントの購入が必要となる。1通あたり50ポイント(50円)。
     やりとりを続けたが結局、はぐらかされるだけに終わる。
           ↓
     他の女性とも似たようなやりとりを繰り返す。
     寂しさのあまりのめりこみ、気づくと朝までメールを送り続けていたことも。
           ↓
     3年間で9つの有料メール交換サイトに登録。
          ↓
     300万円あった貯金は底をつき、年金や火災保険も解約。
     借金を重ね、自宅の電気代やガス代さえ払えなくなる。
     たまたま帰省した娘が異常に気付き、ようやく事態が発覚。
     注ぎ込んだ金額は合計1000万円以上。
     ツッコミどころは満載だが、とにかく「出会い系」といっても実際には出会えやしないのだ。
     他にも「乳がんを患う」という「19歳の女性」とのメールでは、効く薬を調べて伝えたり、「強い意志をもちなさい」と励ましたりしているうち、「母親と一緒に自宅にお礼に行く」と言ってきたので、ケーキを3人分買って待ったが現れなかったという。
     それで無視すると、「見捨てないで」などと繰り返しメールが来て、つい返信してしまい、メール交換は1年以上続いたそうだ。
     もちろん、こんなのサクラに決まっている。送ってきた写真だって、木蘭さんの「H大好き40歳」のケースじゃないが、本人であるはずがない。そもそも、メールの相手が本当に女性だったのかさえ、わかったもんじゃない。
     それでも被害男性は、今もこう言っているんだとか。
    「まさか自分がだまされるとは思わなかった。
     それでも、すべてがウソだったとは今でも信じたくない」
     こんな見え見えのペテンに引っ掛かってしまうほど、老人は寂しくてたまらないのである。
     独り暮らしの高齢者が寂しさを紛らわそうと、パソコンばかりやっているうちに出会い系にハマっている。
     それは、愛国デモに参加している年寄りも同じである。
  • 「ネトウヨ主婦が抱える空虚感の正体」小林よしのりライジング Vol.115

    2015-01-06 18:25  
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     宮沢りえ主演、大島優子好演の映画 『紙の月』 の夫婦関係は、隠してはいるが微温な「男尊女卑」に貫かれていて、夫の妻への侮蔑感覚はまったく無意識である。
     銀行で働き始めた妻が、最初の給料で夫に時計をプレゼントする。だが夫はそれを薄ら笑いを浮かべながら受け取り、外ではめることはしない。
     その後、今度は夫が妻に、平然と高級な時計をプレゼントするのだ。
     妻はそのときに、夫に対する違和感の正体に気づくのだが、この夫の心理を言葉に表すとこうである。
    「 お前の暇つぶしのお遊びの仕事で買ってくれた時計なんか、まあ、あんなものだろう、オモチャだな。恥ずかしくて男が外で腕に巻くモノではないのだよ。 」
    「 男の仕事は女の暇つぶしとは違う。俺が本物の仕事で買ってやる時計は、ほれこういう高級なモノだぜ。俺とお前の社会的ステータスの差がわかったかい?ありがたく頂戴して、腕に巻くがいいよ。 」
    「 ところで俺さまは転勤だ。当然暇つぶしのアルバイトなんか、さっさと辞めて、俺さまについてくるよな。 」
     こういう「 男尊女卑 」は産経新聞や、自称保守の男どもに、脳髄まで浸透していて、確実に無意識になっている感覚である。
     だから彼らは皇統の「男系固執」を主張するのだ。
     日本国の象徴は「男系」でなければならない。それが「男尊女卑」の男どもの信念である。
     その頂点に安倍晋三がいる。
     天皇陛下はそうではない。そういう因習には縛られていない。
     だからわしは尊敬できるのだ。
      驚くべきことに自称保守メディアで活躍する女どもも、また無意識のうちに「男尊女卑」を受け入れる「 準男性 」である。
     そういう女、あるいは妻は、こう反応するだろう。
    「 やっぱり旦那様のくれる時計は高級品や。あたいの安月給で旦那様に時計をプレゼントするなんて、非常識やった。ごめんなはい。男の本気の仕事で買ってもらったこの時計は本物や。ありがたく頂戴いたしますばい。 」
     この卑屈さ!
     これが自称保守論壇で禄を食み、えらそうに男の主張を口真似している馬鹿女どもの深層心理である。
  • 「差別をするための虚構・在日特権」小林よしのりライジング Vol.112

    2014-12-10 11:05  
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     やはり「在特会なんか放っておけ」なんて態度をとっていたら、大変なことになるということがはっきりしてきた。
     今回の衆院選で「次世代の党」(と書くのも恥ずかしいジジィ世代の党)が掲げたマニフェストには 「特別永住制度の見直し」 と 「生活保護制度を日本人に限定し、困窮した外国人には別の制度を設ける」 というのが入っている。
      明らかに在特会らが言う「在日特権の撤廃」に配慮した主張である。
    「次世代の党」が自民党との違いを強調しようとしたら、自民党よりもさらに右旋回するしかない。そうして行きつく先は、 極右排外主義 なのだ。
     いかに泡沫政党とはいえ、政党要件を満たしたれっきとした政党のマニフェストにまで在特会の主張が入り込んでしまったことは、やはり忌々しき事態である。
     自称保守論壇には、在特会やその他のネトウヨが撒き散らす「在日特権」デマが信じられないほど浸透している。
    「新しい歴史教科書をつくる会」理事の藤岡信勝は「在日特権」デマを集めたサイトを引用して 「在日特権について、大変わかりやすい解説に出合いました。ありがとうございました」 とフェイスブックに投稿した。
     その在日特権デマは、
    なぜ日本の長者ベスト40のうち20人が在日コリアンで、ベストテンの中には7人もいるのか?(2012年Forbes)
    まともに税金を払っていれば絶対金は残らないようになっている日本の厳しい税制の中では、在日特権が無ければ資産は作れません。在日の多くが帰化しないのはこれらの特権があるからだと言われています。
    ・・として20人の「在日」長者の名前を列挙しているのだが、その中にはユニクロの柳井正や楽天の三木谷浩史などの名前がずらっと並んでいる。あまりにも幼稚な「在日認定」デマだが、藤岡はこんなもんにまで引っかかってしまうのだ。
     余談だが、藤岡は中国のSMサイトの画像をトリミングして偽のキャプションをつけたブログにもコロッと騙され、フェイスブックに「写真は中国軍にとらえられたチベットの少女です。このあと何が起こるでしょうか。銃殺です」云々と投稿したこともある。
     今や「在特会の主張にも正しいところはある」というのは自称保守論壇のポジション・トークになっているらしい。その典型が雑誌「正論」(自称)1月号に載った評論家・小浜逸郎の文章だ。
     驚いたことに、小浜はこんなことを断言する。
     まず私が知りえた限りでは、在日特権は存在します。その最も顕著なものは、生活保護に関する優遇措置です。一番新しいところで、二〇一四年の厚労省の調査によると、生活保護率は全体平均が千世帯のうち17世帯であるのに対して、在日韓国・朝鮮人は142世帯という突出した数字になっているそうです。約8.4倍ですね。もちろんこの資金は日本国民の税金です。  8.4倍、という数字で錯覚を起こすが、 生活保護受給者の97%は日本人であり、外国人はたった3%。在日韓国・朝鮮人は2%程度に過ぎない。
     さらに「生活保護受給率が日本人の8.4倍」の表現にはトリックがある。
      例えば2011年の生活保護受給率を都道府県別に比べると、最も高いのは北海道で2.94%、低いのは富山県で0.31%。約10倍の開きがある。 このデータから、「北海道民は富山県民の10倍優遇されている。北海道民には生活保護の特権がある!」と言い出すバカがいるだろうか?
      これは貧困率の指標に過ぎない。在日は全体平均と比べて8.4倍優遇されているのではなく、8.4倍貧しい人がいるという数字なのだ!
     また、「もちろんこの資金は日本国民の税金です」というが、 小浜は在日も納税の義務を負っていることを知らないのか!?
     税金だけ収めさせておいて、困窮した際には保護しないとなれば、それこそ差別ではないか! 小浜のような無知識人が言うならまだしも、国会に議席を持つ(次で無くなるかもしれんが)政党が、公約としてこんなことを掲げているというのは恐ろしい話である!!
  • 「ヘイトスピーチや荒らしに対する処方箋」小林よしのりライジング Vol.111

    2014-12-02 20:45  
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     社会学者の宮台真司氏が「リテラ」というサイトのインタビューでネトウヨの分析をしている。
     この中で宮台自身が言っているとおり、「リテラ」とはかつての雑誌「噂の真相」を彷彿させる「左翼ゴロ路線」の下品なサイトで、載っている記事も眉ツバな匂いが芬々という感じなのだが、それはともかく、この宮台のインタビューはちょっと面白い。
    http://lite-ra.com/2014/11/post-601.html
     宮台は「 あれは知性の劣化ではなく感情の劣化だ 」と言う。まさにその通りだ。
     そして、「表現」と「表出」という言葉を使って分類をする。
    「表現」は、理論で相手を説得し、従わせようとすること。
     それに対して「表出」は、自分の感情を吐き出すことだけが目的。
      相手の反応など全く関心がなく、ただ自分の気分がスッキリすればそれでいいというのが「表出」であるという。
     ヘイトスピーチをやっている連中は、それが気持ちいいと思って「表出」しているだけだから、説得なんか不可能なのだ。
     いくら理論立てて「在日特権なんかない」と「表現」したところで無駄。もともと真理へと到達したいなんていう意識は毛頭ない。ただ感情をぶちまけたいだけなのだから。
     真理が知りたいというような最終的な目的があれば、その過程における感情はある程度制御して臨むことになる。ところがネトウヨは感情を制御できず、最終的な目標なんかどうでもよく、とにかく今すぐここでカタルシスを得たいという短絡的、刹那的な者たちであり、そのために「表出」に固着し、ヘイトスピーチをわめき散らす。
     だからこれは「 感情の劣化 」だということになるのだ。
     もっと簡単に言ってしまえば、全く躾をされず、我慢することを一切覚えていないクソガキみたいなものだ。人としての感情が成熟していない、獣に近い状態と言ってもいいだろう。
     それでは、このように感情を劣化させた、説得不可能な連中に対して一体どう対処すればよいのだろうか?
     宮台は「レイシストをしばき隊」のようなカウンター運動が有効だと唱えている。 毒を以て毒を制すというか、「劣化した感情」には別の「劣化した感情」をぶつければいいというのだ。
     理論で対抗してもしょうがないから、感情と感情で戦うしかない。「キモいか立派か」という感情に訴えれば、「ヘイトはキモい。YouTubeとかで観たらキモいオヤジとオバハンばかり。筋骨隆々としてタトゥーが入ったしばき隊の方が格好いいぜ」となるという戦略なのだそうだ。
     
     だが、わしはこの意見には同意できない。