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  • 「徴兵制は『苦役』ではない!」小林よしのりライジング Vol.147

    2015-09-08 18:00  
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     朝日新聞(9月2日)のオピニオン特集「耕論」欄にわしのインタビュー記事が載った。
     同欄のテーマは「誰かが兵士になる」。リードに書かれた趣旨は
    「自衛隊の活動範囲が世界に広がる安保関連法案。安保を一線で担う自衛隊員の処遇や人材確保、そして政府が復活を否定する『徴兵制』について、様々な立場から論じてもらおう」
    というもので、わしの他には元陸将・廣瀬誠、中京大学教授・大内裕和両氏の意見が載っている。
     わしの記事は「国民の『自主防衛』が原則」という見出しで、「 徴兵制は苦役ではない、国防は崇高な職務である 」という「ど真ん中」の意見を述べている。
     この意見については後で詳述するが、とにかくこれを朝日新聞が載せたのは凄いことだ。抗議がいっぱい来たのではないかと思うが、教養のある読者がいれば、むしろ賛成してくれるだろう。
     のちに「AERA」の編集者に聞いたのだが、やはり反響が大きかったらしい。
     朝日新聞の記者や読者には、もともとインテリが多い。確かにイデオロギーに凝り固まってしまった者もいるのだが、ポジショントークに堕さぬことさえ決意してくれれば、朝日新聞寄りのリベラル・インテリの方が期待できるかもしれない。
     なにしろ読売・産経の自称保守には、もともとインテリがいない。無教養な上に「従米真理教」「安倍真理教」と化してしまっているのだから、全く期待のしようがないのだ。
     ところで、同欄に載った元陸将・廣瀬誠氏の意見の中に、こんな発言があった。
    「自衛隊が徴兵制を考えている」などと言われますが、現代戦の特徴から見て考えられません。総力戦の時代と異なり、兵器が近代化し、システムが高度化した今は、これらを使いこなせる訓練を積んだプロの兵士こそ必要です。  安倍首相や読売・産経系の従米保守が言う主張そのままで、この意見が朝日に載るのも異例だと思うが、とにかく様々な意見を聞くというのがこの欄の目的なのだろう。
     以前なら、自衛隊の側が政府や自称保守論壇の主張に追従して言っているのかと思ったはずだが、どうやらそうでもないらしい。
     何しろ、4月に安倍晋三が米国議会で安保法案を今夏までに成立させると約束するより以前、 昨年12月の時点で自衛隊の河野統幕長が訪米し、米軍・国防総省の幹部と会談し、夏までに安保法制は成立すると確約していたのだ。
     つまりとっくに文民統制は崩れていて、自衛隊トップが米軍の希望通りに軍事を動かし、政府はそれに追従していただけなのだ。
     戦前は軍部の暴走を政府が追認するしかなかったのだが、現在も自衛隊の暴走を政府が追認しているだけ、というより、戦前よりもっと酷い。自衛隊にも、政府にも、まったく主体性がなくて、両者ともに米軍に従属するだけになっているのだから。
      自衛隊が暴走して米軍に従い、政府が喜んで自衛隊の暴走を追認するという、恐るべき属国状態になっているのである!
     こんな状態なので、「兵器がハイテク化した現代戦で徴兵制はありえない」というよく聞く主張も、もしかしたら自衛隊が先に言い出し、政府や自称保守が追従しているのかもしれない。
     しかし、本当に現代戦では「高度化したシステム」を使いこなせる専門職だけが必要で、今や第二次世界大戦のような、あるいはベトナム戦争のような、末端の歩兵などは必要ないのだろうか?
     だとしたら、もう自衛官を広く募集・勧誘することに意味はない。
      ハイテク兵器を使いこなせない、偏差値の低い者を集めたって意味がなく、人材を確保するには、優秀な人物をヘッドハンティングするしかないはずだ。
     ところが、今でも防衛省・自衛隊は「自衛官募集ホームページ」を作って盛んに募集をかけている。しかもそのページのトップに「リクルート隊長」として出ているのは「壇蜜」だ! さらに地方では、「萌えキャラ」を使って広報しているところも数多い。
    http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/
     現実に自衛隊は、壇蜜や萌えキャラに釣られて応募して来るような人材でも欲しがっているではないか!
     では自衛官になるには、最低どの程度の学力が必要なのか?
     本当にハイテク兵器を使いこなせる高学歴の者しか採用しないのか?
     末端の自衛官である「 任期制隊員(自衛官候補生) 」の採用試験について調べてみた。