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記事 10件
  • 「『SAPIO』に出てきた幼稚な逆賊」小林よしのりライジング Vol.211

    2017-02-08 14:00  
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     皇統問題を巡る八木秀次との「激突対論」の後半戦を掲載した、「SAPIO」3月号が発売された。
     その概要は、既にライジングVol.204「いると言い張るカルト信者と会った」
    http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar1154872
    に書いているが、八木本人の発言が活字になったことで、改めてそのイカれ具合も露わになったと思う。
    「政府はまだ把握していないかもしれませんが、旧宮家のトップクラスが、皇籍復帰の意向を持つ方を把握していると聞いています」
     誰に聞いたんだ? 「旧宮家のトップクラス」って、どこの何者? 証明が一切ない!
    「ご結婚を機に旧宮家の男性を当主とする宮家を創設し、眞子さまや佳子さまが妃殿下となる。これは過去にも例があります」
     男系宮家創設のためだけに、眞子さま、佳子さまを本人のご意思と関わりなく、旧宮家の男性と結婚させる? 呆れかえる。勝手に妄想しているだけなのだ。
     それで、本当にそんなことができるのならさっさと実現しろと迫ったら、八木はこう言う。
    「まあ、政府がちゃんと検討すると思いますよ」
     たちまち「他人事」になってしまうのだ!
     他にもツッコミどころは山ほどあるが、とにかくここまで底抜けのウルトラ馬鹿が、この世に棲息していることが信じられない。こんな発言に、説得力を感じる者などいるのだろうか?
     この「激論」を含む特集のタイトルは「安倍首相は天皇陛下の逆賊か」である。タイトルは大変良い。
     もちろん高森明勅氏の「いまだ『譲位』に反対する者よ 陛下の責任感への感謝はないのか」も非常に良い。
     だが、生前退位に関する他の記事の質は、恐ろしく劣悪だった!
     元TBSワシントン支局長・山口敬之の文章は、完全に陰謀論で書かれたトンデモ文だ。
     何しろこの男、「譲位」ではなく「生前退位」という言葉が使われたことまで 「この耳慣れない言葉に、この問題を巡る官邸と宮内庁、皇族との長年にわたる交渉と軋轢が見え隠れしている」 と勘ぐり、こんなムチャな深読みをする。
    「譲位」という言葉が、「生前退位」という言葉にすり替わっていた。「皇位を譲る」という政治的ニュアンスを極力少なくする為に、「自ら皇位を降りる」という個人的行為に寄せていく工夫が垣間見える。それはひとえに天皇の国政不関与という壁を乗り越える工夫であり、見方を変えればなかなか譲位への動きが始まらない状況に対する皇室並びに宮内庁幹部の苛立ちを映してもいた。
      映してません!!
    「生前退位」は、法学的用語として既に70年以上、憲法の注釈書などで普通に使われてきた言葉だ。
    「譲位」の方が歴史的用語として一般的になじみがあるが、「生前退位」もそれなりの由緒と根拠がある言葉であり、特別な意図のために「工夫」された造語ではない。
     今回は、「退位」は天皇の崩御と一体というのが一般的な認識になっているから、わかりやすくするためにあえて「生前退位」の語が使われただけのことだろう。
     山口は、「譲位」には「政治的ニュアンス」があり、憲法に定められた「天皇の国政不関与という壁」に抵触すると思い込んでいるが、これは完全なる無知である。
  • 「『自国第一』は当たり前、グローバリズムもアメリカ第一だった」小林よしのりライジング Vol.210

    2017-01-31 18:25  
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     アパホテルが客室に南京大虐殺を否定する本を置いているということで騒ぎになり、中国政府は自国内の旅行業者に、アパホテルの利用中止や広告の撤去を要求、観光客にも利用しないよう呼びかけた。
     その本は、ホテルを運営するアパグループの代表・元谷外志雄がペンネームで書いた社会時評エッセイ集で、南京大虐殺を否定する論拠は、わしが『戦争論』で挙げた論拠と同じものが多い。
     だが一方で、同書は支那事変の拡大要因となった様々な事件を全て「コミンテルン(ソビエト共産党の国際組織)の陰謀」としている。
     ただし、わしは「コミンテルン陰謀説」を採ってないから、この点は強調しておく。
     どうやら昨今の自称保守・ネトウヨ界隈では、支那事変も大東亜戦争も、なんでもかんでも「コミンテルンの陰謀」にしてしまうトンデモ歴史観が「正史」として定着してしまっているようで、その知性の劣化は留まるところを知らない。
     とはいえ、たとえアパホテルの南京大虐殺否定論が、「コミンテルン陰謀説」に基づくトンデモレベルのものだったとしても、それに対して中国政府にとやかく言われる筋合いは全くない。
      なぜなら、中国は「日本陰謀説」に基づくデタラメな反日映画・反日ドラマを作りまくり、全国で年がら年中上映・放送しているからだ。
      言わば、中国全土がアパホテルなのである!
      中国政府が国民に「アパホテルを使うな」と言うのなら、日本政府は「中国に観光に行くな」「中国に投資するな」と日本国民に言うべきなのである。
    「自国ファースト」で考えれば、当然そうなる。
     どの国だって「自国ファースト」で考えてるはずなのに、日本だけが「他国ファースト」でモノを考えるから異常なのだ。
     トランプが「アメリカファースト」を掲げてトヨタのメキシコ工場を批判し、アメリカで売る車はアメリカで作れ、アメリカ人の雇用を増やせ、メキシコで作るのなら高い関税をかけるぞと言ったら、トヨタはすぐさま今後5年間で100億ドル(約1兆1000億円)以上をアメリカに投資すると表明。
     その第一弾として、ペンス副大統領の地元であるインディアナ州の工場におよそ6億ドル(約700億円)を投資し、新たに400人を雇用すると発表した。
     これに対して、日本国内でトヨタに同情する声が上がっていることが理解できない。ここは批判の声が上がらなければおかしいだろう。
     なぜトヨタはアメリカの雇用ばかり創出しようとしているのか?
      そんな巨額を投じる体力があるのなら、なぜ日本に工場を作り、日本で関連中小零細企業の従業員までをみんな正社員にして、給料を上げていくような投資をしないのか?
     なぜトヨタは「日本ファースト」で考えないのか?
     何となく、トランプが急に「アメリカファースト」を言い始めたかのようなイメージがあるが、本当は、アメリカはいつだって「アメリカファースト」である。
      そもそも「グローバリズム」も「アメリカファースト」の戦略だ。
  • 「配偶者控除は低賃金の原因ではない」小林よしのりライジング Vol.209

    2017-01-25 00:25  
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     政治学者の三浦瑠麗氏が週刊新潮1月19日号の連載コラム「週刊『山猫』ツメ研ぎ通信」で非正規労働者について論じていて、その中でこんなことを言っている。
     実際のところ、労働者の四割を占める非正規のうち七割は女性です。多くは、「専業主婦」であるパートさん。残り三割の相当部分が定年退職後の高齢男性。若い男性の非正規というのは案外少ないのです。  昨年12月、ゴー宣道場のゲストに招いた時にも同じことを言っていて、その時も、直感的に違和感を覚えた主張である。
    「パートさん」という軽い呼び方にも、わしは違和感を覚えるのだが、非正規労働者とは、専業主婦や定年退職者がせいぜい「家計の足し」か「小遣い稼ぎ」のために片手間で就業しているものではない。真剣に生活がかかっている人たちなのだ。
     言っておくが、わしは三浦氏を個人的には応援していて、天皇退位問題では「天皇の人権」を配慮するリベラルな立場から、常にわしの側についてくれ、男系固執派に打撃を与えてくれたので、感謝している。
     井上達夫氏と同様に根本的な思想が違う部分があるが、権力の暴走を防ぐための徴兵制の効用など、三浦氏には共感するところも多々ある。
     さて、昔は確かにパートは主婦の副業にすぎないという感覚はあった。だから主婦は配偶者控除の「103万円の壁」を超えない程度に、そこそこ働いておけばいいという意識だったのだ。
     だが今は違う。中間層の家庭の主婦が、夫の将来に不安を持ち、子供を貧困層に落としたくなくて、なんとか大学まで行かせたいと願っている。そのための塾を含む膨大な学費を捻出するためにも、主婦が少しでも多く稼がなければならない。
     いったん貧困層に落ちたら、子の世代、孫の世代まで「貧困の連鎖」が続くから、親たちも必死なのだろう。主婦も決して「パートさん」なんて軽い立場じゃないのだ。
     定年退職後の高齢男性にしても、悠々自適だけれどヒマだからちょっと働いているという状態ではない。老人の貧困化は現在急速に進んでいる最中だ。
     60歳で定年退職して、65歳から年金が支給されるとして、その間食いつないでいかなければならないし、65歳を過ぎても、病気の不安や高齢化に伴う不安もあるから、稼げるうちに稼いでおかなければ危ないと、誰もが必死なのである。
     
     そもそも「非正規のうち七割は女性」という事態は、就労環境に男女差別があると考えなければおかしいはずだ。非正規の七割が女性という状況は、専業主婦の片手間仕事の「パートさん」が多いから当然だということではなかろう。
     これでは、結果的に男女差別の存在を黙認することになってしまう。わしの方が「リベラル」なのだろうか?
     なお、残り3割の男性非正規について 「相当部分が定年退職後の高齢男性。若い男性の非正規というのは案外少ない」 という主張も、本当なのかどうか調べてみた。
  • 「共謀罪は独裁への道」小林よしのりライジング Vol.208

    2017-01-17 20:40  
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     安倍政権が今月20日召集の通常国会で「共謀罪」法案の成立を目指すという。
     共謀罪とは、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象となるもので、過去には小泉政権が2003年、2004年、2005年の3回にわたって法案を提出し、いずれも野党や世論の反対によって廃案となっている。
     安倍政権は10年以上前に3度も否定された法案を、何としても通そうとしている。その意図は、しっかり見抜いておかなければならない。
      そもそも日本の刑法は「既遂」、すなわち実際に犯罪が行われ、具体的に被害や危険が生じた場合にのみ処罰を行うのが原則である。
     実行行為に及んだものの「未遂」であれば刑を軽減でき、さらに例外的に殺人や放火などの重大犯罪については、実行行為がなくても準備や計画をしただけで罪となる「予備罪」「準備罪」などの規定がある。
      ところが「共謀罪」は犯罪の実行行為はおろか、準備も具体的計画もなく、ただ犯罪計画を話し合っただけで罪に問えるのであり、これは日本の刑事法体系を根本からひっくり返しかねない暴挙なのだ。
      しかもそれを、懲役・禁固4年以上の600以上にも及ぶ犯罪を対象にする方針らしい。
     そしてさらにいえば、実行行為はおろか、準備も、計画の立案にすらも至らない、 「計画を話し合う」だけで処罰の対象になるということは、要するに「内心で考えていること」が罰せられるということであり、憲法で保障された思想信条の自由に対する侵害となるのである。
     菅官房長官は記者会見で、テロ対策のために「国際組織犯罪防止条約」の締結が必要不可欠で、「共謀罪」法案はそのための法整備だと説明している。
     だがこれは、小泉政権下で3度持ち出され、3度論破された理屈なのだ。
     国連総会で2000年11月に採択された同条約は、マフィア対策のため、国際犯罪が多いマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬の密造・販売を取り締まることを目的としたものである。
     同条約は世界180以上の国が締結しているが、その中で条約締結のために新たに国内法を整備した国があるかという国会質問に対して、政府はノルウェー、ニュージーランド、オーストラリアのたった3か国しか挙げていない。
     そもそも国連では同条約については「締約国の国内法の基本的原則と合致した方法で行う」と説明しており、 実際には現行法のままでも「国際組織犯罪防止条約」には十分対処でき、締結は可能なのだ。
     条約締結のために日本の刑事法体系をひっくり返し、600以上もの犯罪に関わる大幅な法改正となる「共謀罪」が必要という説明は、圧倒的に説得力を欠いている。だからこそ法案は3度も廃案になったのである。
  • 「安倍政権の失政総まとめをしておこう」小林よしのりライジング Vol.207

    2017-01-10 21:15  
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     平成29年、最初のライジングである。
     新年にふさわしい、めでたい話題を扱おうと思ったのだが、残念ながら何も思い浮かばない。
     それよりも、いま書いておかなければならないことは、昨年安倍政権が犯した失政の数々である。
     とにかく次から次へとムチャクチャなことをやらかすから、ライジングで取り上げきれなかったものもあるし、もう覚えきれないほどだ。だが忘れてしまえばどんな失政も「なかったこと」にされ、さらなる失政を積み重ねられてしまうのだから、一度列挙しておかなければならない。
    ◆アベノミクス
     第二次安倍政権の最重要政策として位置づけられてきたアベノミクスだが、4年目に入った昨年も、何の成果も挙げられなかった。
     そもそも昨年元旦の「朝まで生テレビ」で、政府の産業競争力会議の一員である竹中平蔵が「トリクルダウンなんてありえない」と断言した時点で、アベノミクスの失敗は確定したのだ。
     アベノミクスとは、「大規模な金融緩和」「拡張的な財政政策」「民間投資を呼び起こす成長戦略」という「3本の矢」によって企業収益を向上させれば、一般市民の所得向上につながるという「トリクルダウン効果」を根拠とした経済政策であった。
     特に日銀による異次元の金融緩和で、「脱デフレ」を目指す予定だったが、それも成らなかった。
     昨年5月、安倍は消費増税の再延期を決定した。
     消費税率は2014年に5%から8%に引き上げられ、当初は2015年10月から10%に引き上げられる予定だった。しかし経済が増税後の落ち込みから回復せず、安倍は税率引き上げを2017年4月まで延期していた。それをさらに2019年10月まで、2年半再延期するというのだ。
     再延期をすれば2014年の増税が失敗だったことを意味するため、安倍は一貫して「再延期はない」と断言していたが、それを撤回したのである。
     ところが安倍は自らの失敗を認めるどころか、こう言ってのけた。
    「今回、再延期するという私の判断は、これまでのお約束とは異なる、新しい判断であります」
     こんな言い草が通用するなら、どんな公約違反をしようとも、「これが新しい判断です」と言えば許されてしまう。ところが実際のところ、なんとなくそれで許されたような形となってしまった。
    「新しい判断」は新語・流行語大賞にノミネートされたが、年が明ければこの言葉も、それを言い放った安倍の非常識もすっかり忘れ去られている。
     アベノミクスが成功していると言い張る人は、「企業収益が増えた」「求人倍率が改善した」という点を挙げる。
     だが、円安によって企業収益が拡大したといっても、その分輸入インフレによって実質賃金が下がり、GDPの6割を占める個人消費が大幅に落ち込んでしまっている。求人倍率の改善は、単に団塊世代の大量退職によって生産人口が減ったからに過ぎない。
     いくら金融緩和でお金を降らせても、庶民には落ちてこない。資産を持っている者は投資も消費もせず、貯蓄するだけだ。ついにタンス預金が日銀の発表で約78兆円にも上っている。そうなる原因は、将来不安に尽きる。
     国民の将来不安を全然払拭しないで、経済がうまくいくわけがない。だが安倍は失敗を認めたくないだけの理由で、 「今こそ、アベノミクスのエンジンを最大にふかす」 などと言い続けたのだ。
    ◆カジノ法案
     一向にアベノミクスが成果を見せない中で、安倍が新たな「成長戦略の目玉」と言い出したのが、なんとカジノなのだからあきれ果てる。
     カジノ法案については、政権べったりの読売新聞までも含む、主要全新聞の社説が一致して反対するほどだったのに、安倍政権はほとんど議論もさせずに強行採決してしまった。
     そもそもカジノの収益とは、「バクチに敗けた客がすった金」に他ならない。
     カジノ法案は、正式名称を「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備推進法案」という。例によっての言葉のごまかしで、あくまでもカジノは「統合型リゾート施設(IR)」の一部に過ぎないように見せかけたいのだ。
     カジノ推進派は決まって「カジノの面積は全敷地の3%で、メインではない。残りの97%はホテルや劇場、ショッピング街などで、あくまでもカジノを含む統合型リゾートだ」とか言う。
     だが海外の実態を見れば、IRの売上高の大半は「面積3%」のカジノが挙げており、「ギャンブル依存症の父親が大損する傍らで、母親と子供が“格安ディズニーランド”で楽しむという構造」だという。
     さらに今回の異常な「暴走審議」の陰には、日本の富裕層の個人資産を狙った、海外カジノ企業の要請があるのではという疑惑もささやかれている。もしそうなら、安倍は日本の国富を海外流出させるために尽力した売国政治家に他ならないし、そうでなくとも、賭博で経済成長などという輩には、二度と「美しい国へ」などと言う資格はない。
    ◆年金カット法案
     安倍政権は昨年、公的年金改革法案という名の「年金カット法案」も強行採決している。
     これにより年金支給額は現在より5.2%も減少。国民年金は年間約4万円減、厚生年金は年間約14.2万円も減る。
     既に安倍政権はこの4年の間に公的年金を3.4%減らし、70~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げている。
     生活保護受給水準以下で暮らす高齢者は5年間で約160万人増え、高齢者全体の25%を占めている。そこへ年金カット法が施行されれば、間違いなく貧困高齢者は急増していくことだろう。
     安倍政権は2014年12月、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用計画を見直し、国内債券の比率を60%から35%に引き下げ、リスクの高い株式投資の比率を50%まで高めた。
     株価を操作して好景気を偽装し、消費増税の口実を作るためであり、要はアベノミクスの「成果」を捏造するために、国民の年金をバクチにぶっ込んだのだ。
     そしてその結果、たった15カ月間で公的年金積立金が10.5兆円も運用損失で消えてしまった。
     年金カット法案とは事実上、この株式運用の失敗のツケを国民に回し、年金支給額を減らすことで帳尻を合わすための「制度改革」なのである。
  • 「『政治分野の男女共同参画推進法』は必要」小林よしのりライジング Vol.205

    2016-12-20 21:15  
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     自民、公明、日本維新の会の3党は12月9日、「 政治分野における男女共同参画推進法案」 を衆議院に提出した。
     これは国政や地方議会への女性の政治参加を促し、選挙では男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党に求めるものだ。
     現在、女性の国会議員の割合の世界平均は、約22%。
      ところが、日本の女性国会議員は衆参合わせて11.6%。これはIPU(列国議会同盟)によるランキングでは、189か国中147位である。
     なお、両院制の国では下院のみを集計したランキングもあるのだが、日本で下院にあたる衆議院の女性割合は9.5%で、こちらだと153位まで沈む。
     いくら「女性活躍推進」などと言ったって、政治の現状がこれでは掛け声倒れになるのは必至で、まずは政治分野における男女共同参画を推進しようというのだろう。
     この法案は、当初は超党派の議員連盟で国会に提出する動きがあった。
    議連は2015年2月に発足、民主党の中川正春が会長、自民党の野田聖子が幹事長を務め、同年8月に骨子案をまとめた。そして、2016年5月の国会提出を目指して、一度は与野党で大筋合意に至っていた。
      ところが提出直前の国会会期末、自民党内の部会で異論が噴出し、提出できなくなった。 そのため民進、共産、生活、社民の野党4党のみで国会閉会前日の5月30日に衆院に法案を提出したが成立せず、継続審議となった。
     この法案は 「国政選挙の候補者は、できる限り男女同数をめざす」 となっていたが、 自民党からは「同数」ではなく「均等」にすべきだという強い異論が出たという。
    「同数」と「均等」では大して違わないような気もするが、「同数をめざす」と「均等をめざす」だと、やはり後者の方が目標の緩い表現だろう。少しでも男女平等は遠ざけたいという、自民党の意識が透けて見える。
      自民、公明、維新の3党は対案として、 「均等をめざす」 とする法案をこの秋の臨時国会に提出しようと検討していた。
      ところがこれもまた自民党内で紛糾した。
     11月の合同会議では、西田昌司参院議員が 「女性の社会進出で、社会全体が豊かになっているとは思えない。もっと根本的な議論をしてほしい」 、山谷えり子参院議員が 「法律をつくることで、かえって男女の対立が生じてしまうのでは」 と反対を唱え、他にも 「能力のある人は自力ではい上がる」「政党が自ら努力する話」 などと異論が噴出し、 法案の了承は見送りになった。
     12月7日の党首討論では、民進の蓮舫代表が安倍首相に 「『輝く女性』と言ったのなら、党内をまとめてくださいよ」 と自民の対応を批判。
      そうしてようやく自民党も法案提出となったわけだが、総務会で法案を了承する際には「反対だ!」との怒号が飛び交ったという。
     今後は既に法案を提出している野党4党とも協議に入るようだが、今国会での成立の見通しは立っていない。
     12月16日の産経新聞オピニオン欄「ニッポンの議論」は、賛成派の野田聖子と、反対派の西田昌司へのインタビューを両論併記で載せた。
  • 「花形満の時代、星飛雄馬も左門豊作もいない」小林よしのりライジング Vol.190

    2016-08-30 21:10  
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     先週に引き続き、リオ・オリンピックのメダルラッシュから考察を進めてみたい。
     先週、今回のメダリストたちにはナショナリズムの感覚が希薄だと指摘したが、もう一つ彼ら・彼女らに希薄…というより、もはや皆無だと感じたものがある。
     それは 「ハングリー精神」 である。
     読者の中に知っている人がどれだけいるか分からないが、60年代後半から70年代の初頭にかけて、『巨人の星』という漫画が大ヒットした。
     スポーツ根性漫画の最高峰で、梶原一騎原作、川崎のぼる作画、アニメも大人気だった。
     この作品の主人公・星飛雄馬は、父親が元プロ野球選手で今は日雇い人夫の貧乏家庭に育ち、そこから「ハングリー精神」でのし上がっていった。
     なにしろ父親が何かというと癇癪起こしてちゃぶ台返しをするシーンが有名になり、息子・飛雄馬に大リーグ養成ギプスをつけて生活をさせるという、今なら児童虐待で放送できないスパルタ教育をしていたものだ。
     また、そのライバルには両親を早く亡くし、5人の弟妹を自分一人で養うために、泥まみれで這い上がろうとする貧乏人の左門豊作というキャラもいた。
    『巨人の星』が大ヒットした60年代後半は、そういう貧乏から「ハングリー精神」でのし上がっていこうという時代だったのだ。
     しかし、今のスポーツ選手は貧乏からの脱出のために能力を磨いた者たちではない。逆に豊かだからこそ、恵まれた家庭環境で好きな競技の練習に没頭し、才能を伸ばすことができた者たちである。
     金メダルを取るには露骨なまでにカネが要る。まず中流以上の家庭で英才教育を受け、才能を開花させて、優秀なコーチやトレーナーに託された選手が、オリンピックに出場できるまでに育つのである。
     実は過去のデータから、オリンピックの金メダルの数はその国のGDP総額でだいたい決まるということは確認されているのだ。
  • 「幸せよりもカネが欲しい高齢者」小林よしのりライジング Vol.186

    2016-07-26 16:40  
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      今の高齢者は、圧倒的に「幸せよりもカネが欲しい」と思っている!
     博報堂生活総合研究所が60~74歳を対象にした「シルバー意識調査」の結果を発表した。
     その中に「欲しいもの」を「若さ」や「名誉」など20項目から3つ選ぶという質問項目があり、1位は「健康」、2位が「安定した暮らし」、3位が「お金」となった。
     この結果で注目を浴びたのは、 欲しいものは「お金」と答えた人が40.6%に上り、「幸せ」の15.7%を大きく上回ったことだった。
    「お金で買えない幸せがある」「お金よりも幸せが大事」といったことは常識のように言われてきたし、年配者こそそういう台詞を言うものだと思っていたが、今や年配者が身も蓋もなく 「幸せよりカネ!」 と言うようになってしまったのだ。
     同調査は1986年から10年ごとに同じ方式で実施され、今回が4回目になる。
      初回の86年調査では「欲しいもの」は「幸せ」(31.1%)が「お金」(28.1%)を上回っていたが、2回目の96年に逆転。その後は差が広がり、ついにはお金が欲しい人が、幸せが欲しい人の2.5倍以上にまでなってしまったのだ。
     年々幸せを求める人がどんどん減り、お金を求める人がどんどん増えているわけである。
     しかも「何歳まで生きたいか」という質問に対する回答の平均は「84歳」で、86年の「80歳」から4年も延びている。
     長生き願望は肥大させながら、長く続くであろう老後に対する不安を抱え込んでいるのだから、「お金が欲しい」というのは切実だ。欲しいもの1位の「健康」や2位の「安定した暮らし」も、その不安感の反映だと言える。
     幸せよりもお金が欲しいという理由をよく見ると、 子供などに迷惑をかけたくない ということがあるようだ。
      この場合の「幸せ」とは、具体的には子や孫に囲まれて暮らし、面倒を見てもらいながら安らかに老いていくことだろう。
     しかし、子供に迷惑をかけたくないからそういう「幸せ」は諦めたとなれば、いずれは自分一人で自分の始末をつけなければならなくなる。
     子供と別居して夫婦二人で暮らしても、どっちかが先に死んで必ずどちらかは一人の老後を迎える。そうなれば、まず必要なのはお金だということになる。
     だから幸せよりもお金が欲しいということになるのだ。
     この結果は、ものの見事に今の時代を反映している。
      かつては、子供を産んで育てたのなら、老後は子供に面倒を見てもらうという期待が常識としてあったものだ。
     ただし、それは祖父母から孫までの三世帯同居の大家族だったから成立していた常識だったのである。
     大家族であれば、分担して誰かが老人の面倒を見るから、家族のうちのたったひとりに負担が集中するということはなかった。だから親は家で死ぬのが当たり前だったのである。
      だがこれは、核家族になった途端に崩壊する。
  • 「生活保護に潔癖を求めるせちがらい世の中」小林よしのりライジング Vol.182

    2016-06-28 22:05  
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      世知辛い (せちがらい)という言葉が最近使われなくなった。
     暮らしにくい、心にゆとりがない、金銭に細かくてケチくさいという意味だ。舛添都知事の細かいカネの使い道に目くじら立てて、辞職にまで追い込むという不寛容さも、尋常ではない。
     格差社会の貧困層が、自分の分かる範囲でのセコいカネの無駄づかいに、「ずるいぞ、ずるいぞ」と嫉妬しただけのことである。セコい知事に対してセコい追及をする世の中だから、せちがらいと言うしかない。
     石原都知事なら都政には関係ない友人と高級料亭で数十万円の会食を何度もおこなってもOK。ガラパゴス諸島に150万円のファーストクラスで行って、高級宿泊船クルーズで4泊してもOKといった調子で、海外視察には数億円を乱費し、新銀行東京に1400億円を注ぎ込んで失敗してもスルーなのだ。貧乏人が把握しきれない高額ならスルーされるのである。
     傲慢な金持ちには逆らえないが、傲慢な貧乏人は袋叩きにするのが貧困層である。なんとも、せちがらい世の中になったものだ。
     社会のせちがらさは、なんと生活保護費にまで目をつけて、不寛容になる。貧乏人こそが貧乏人に不寛容になるのが格差社会である。
     山形大の戸室健作准教授が1992年から2012年までの20年間の日本の貧困率の推移をまとめているが、それによると、全国の子育て世帯の貧困率を示す 「子供の貧困率」は1992年に5.4%だったのが、2012年に13.8%と、20年で2倍以上に拡大している!
     また、子育て世帯に限らない全国の貧困率も、1992年の9.2%から、2012年には18.3%と倍増していた。
    「貧困率」については先週号で泉美木蘭さんが詳細に書いてくれたとおり、地球規模で貧困国の分布を示す「絶対的貧困率」と、国内の貧困の実態を示す「相対的貧困率」がある。
     ネトウヨや曽野綾子的な人が「絶対的貧困率」を持ち出して「日本には貧困はない」などと言っているのは完全な暴論であり、 先進国の国内における貧困問題は「相対的貧困率」に表れるものである。
     相対的貧困率では、世帯収入から税金・社会保険料を引き、世帯1人あたりが自由に使えるお金を出し、それを低い方から並べた時に、ちょうど真ん中にあたる人を基準とし、所得がその半分に満たない人( いまの日本では単身世帯年間122万円、2人世帯173万円、3人世帯211万円未満 )を 「貧困」 と呼び、厚生労働省・総務省が相対的貧困率調査を公表している。
      これに対して戸室准教授の研究では「相対的貧困率」を使用せず、代わりに 「生活保護基準の収入以下で暮らしている世帯」 を 「貧困」 として、貧困率を算出している。
     生活保護に着目することで、具体的な貧困層拡大のイメージがつかみやすくなっているのが、この研究の特徴といえよう。
      日本では、生活保護基準以下の収入で暮らしている人が、以前は全世帯の9.2%、子育て世帯の5.4%だったものが、20年経ったら全世帯の18.3%、子育て世帯の13.8%に激増したのである!
     さらに地域別に子供の貧困率を見ると、最も高い 沖縄県では37.5%というから、3人に1人以上の子供が貧困 ということになる。これは驚くべき実態だ。
  • 「恐るべき実態!深刻化する女性の貧困」小林よしのりライジング Vol.84

    2014-05-06 13:20  
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     4月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 女性たちの貧困~新たな連鎖の衝撃」で見たが、若い女性の貧困化がもの凄いことになっている。
     都内のインターネットカフェで、41歳の母親と、19歳と14歳の娘2人がそれぞれ別のブースでもう2年半も暮らしている。
     母親は10年前離婚し、看護助手として女手ひとつで子供を育てていたが、子育てと仕事の両立に疲れ、生活が困窮、アパートの家賃が払えなくなってここにたどりついたという。
     妹は中学3年だが、もう半年近く学校に通っていないという。
     姉は生活苦で高校を中退、コンビニのバイト代10万円と母親からの数万円が姉妹の生活費だが、1日1食。空腹の時は店内の無料のドリンクバーでしのいでいるという。
     1個のパンを分け合い、ツナ缶をつついている様子は衝撃的だった。
     明日の食事の心配をしなくていい暮らしがしたいというのが、今の姉妹の願いなのだそうだ。
     今は派遣で働いているという母親の姿は映されなかったが、生活に行き詰っても周囲の人や行政には頼らなかったというから、もう少しなんとかなったのではないかという感もある。
     だが、女性の貧困の問題が深刻化しているということは紛れもない事実である。
     番組では、他にも真面目に長時間働きながら貧困から脱出できない女性が何名も登場し、彼女たちは異口同音に、特別な望みはない、ただ普通の暮らしがしたいと言っていた。
      今や働く女性の約6割が非正規雇用である。
     非正規雇用で働く若年女性(15~34歳)の 81.5% 、289万人が、国が生活支援の対策で困窮状態の目安としている 年収200万円を下回っている。
     さらに 国が「貧困」と位置づける 年収114万円未満 は、働く世代の単身女性の 3分の1 、約110万人に上るという。
     安倍政権は女性の活用が成長戦略の柱だとか言っている。
     首相官邸ホームページの「女性が輝く日本へ」を見ると、その政策として挙げているのは「待機児童の解消」「女性役員・管理職の増加」「職場復帰・再就職の支援」「子育て後の起業支援について」の4点だ。
     これを見る限り、 安倍政権がまず念頭に置いているのは企業で役員や管理職になれたり、自ら起業したりという、正規雇用やフリーでバリバリ働ける、ごく少数の有能な女性の活用である。
     あとは、正規社員の職場復帰や、スキルを身に付けた人の再就職支援くらいである。
      どうやら、上記の例に表れているような非正規雇用の女性は、安倍政権の眼中にはないようだ。
     圧倒的多数の普通の女性は、弱肉強食の社会の中に自己責任で放ったらかしでいいと思っているらしい。
      安倍政権の言う「女性が輝く日本へ」なんてものは完全なまやかしである。
     最初から「勝ち組」の女性だけが「輝く女性」として安倍政権の広告塔に使われるだけのことだ。
      結局のところ、女性登用を看板に掲げながら、実は男女共に強者優遇の勝ち組支援、男女共に貧困層切り捨てという政策に過ぎないのだ。
     かつての高度経済成長は人口の爆発的増加という条件があって、会社が家族共同体であり、企業は男性社員の嫁候補として女性を雇っていた。
     給料が必ず上がるから将来の不安がなく、低賃金でも結婚できたし、専業主婦が多かったから貧困化する女性は少なかった。
      だが今にして思えば、専業主婦は潜在的な貧困層だったとも言える。
     グローバリズムの中、少子高齢化時代に突入した日本でさらに「経済成長」のみにこだわれば、限られたパイを勝者が独占する新自由主義を採用するしかない。
     会社が株主のものとなり、終身雇用制が崩れ、会社の共同体としての役割が消滅。格差の米国型拡大で、貧困層を増え続けさせるのである。
      そうなれば、男より女の方がより貧困率は高くなっていく。