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記事 4件
  • 「山口敬之の慰安婦ねつ造記事」小林よしのりライジング号外

    2020-01-28 19:00  
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     最新刊『慰安婦』が明後日・30日、幻冬舎から発売される。
     これは、わしが24年前に参戦したいわゆる「従軍慰安婦論争」の集大成であり、特に当時のことを知らない人に読んでほしいという思いを込めて作った本である。
     
     あの当時は自虐史観全盛で、慰安婦といえば問答無用の被害者であり、日本は謝罪するのが当然、それに異を唱えるような奴は極悪人という全体主義的な空気が完全に出来上がっており、わしは出版界から干されることまで覚悟して戦いに挑んだ。
     その戦いは熾烈を極めたが、幸いにして奇跡的な勝利を収めることができ、自虐史観の空気は薄められ、少なくとも国内においては慰安婦の実相というものがかなり知られるようになった。
     その経緯はライジング読者の方ならご存じだろうとは思うが、しかし、それも20年前のことである。時代は一瞬たりとも止まってはいない。下からどんどん当時を知らない世代が育ってくる。それをいいことに左翼は、とっくに論破された詭弁をそっくりそのまま繰り返し始め、若い世代を洗脳しようとしている最中だ。
     そうなるとこちらも対抗する手段を取らなければならない。『慰安婦』はそのための本である。
     そしてさらに問題なのが、保守側の連中である。
     わし自身の使命は、自虐史観全体主義の時代に風穴を開けたところで終わったものだと思っていた。わしには他にも描きたいものが山ほどあって、いつまでも慰安婦問題ばかりやっているわけにもいかないし、保守論壇には他にも人がいっぱいいるのだから、後は誰かが引き継いでやってくれるものだと思っていたのだ。
     ところが実際には、日本の保守論壇にいたのは自称保守・エセ保守ばかりで、本物の保守は全然いなかった。その劣化の度合いはすさまじく、左翼の企みに対して全く対抗できないばかりか、自ら事態を最悪の方向に追いやってしまうオウンゴールを連発して、慰安婦は「性奴隷」だったという認識を海外に定着させてしまった。
      そして安倍首相は日米首脳会談で、ブッシュ米大統領(当時)に対して慰安婦問題について謝罪し、共同記者会見で慰安婦とは「20世紀の女性の人権侵害」だったと認める発言をしてしまった。
     しかし自称保守の連中は、その失点に気づいてもいないという呆れ果てた有様なのである。
     そうなると結局は、わしが戦うしかないということになる。これも、『慰安婦』を出版することになった理由の一つである。
     今回はそんな『慰安婦』の出版を記念して(?)、慰安婦問題における自称保守の劣化の極みと言うべき事例を紹介しておこう。
     週刊文春2015年4月2日号に 「歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた! 米機密公文書が暴く朴槿恵の“急所”」 と題する記事が載った。
      記事の筆者は、「あの」山口敬之!  伊藤詩織さんをレイプした犯人であると東京地裁に認定された、総理ベッタリ記者の山口敬之である。
     その内容は、 「ベトナム戦争当時、韓国軍が南ベトナム各地で慰安所を経営していた」 というもので、山口が全米各地を取材して「韓国兵専用の慰安所がある」と米軍当局が断定している公文書を発見、さらに証言者のインタビューで裏付けを得た…というものだった。
      だが、この記事は完全に捏造だったことを週刊新潮が暴いたのである。
  • 「自衛隊、中東派遣の虚妄」小林よしのりライジング Vol.343

    2020-01-21 20:05  
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     右と左が意見を激突させている時は、右の意見も左の意見もヘンで、お互いピントのずれた主張をぶつけ合っていて、どんどん本質がぼやけて行っているということが実に多い。
     そして今回も、毎度おなじみの光景が展開されている。
     昨年末のどさくさ閣議決定で海上自衛隊が中東に派遣されることになり、今月11日にはP3C哨戒機2機が出国して20日から活動を始め、来月には護衛艦1隻が派遣される予定となっている。
     これに対して野党は猛反発しているのだが、その理由がなんと、 「米国とイランの軍事的な衝突で、現地の緊張が高まっているから」 だそうで、立憲民主党国対委員長・安住淳は 「こんな中で派遣するという感覚はちょっと信じられない」 と強調している。
     要するに 「危ないから行くな」 と言っているわけで、これでは話にならない。自衛隊が行ってはいけないほど危ないのなら、 非武装の民間タンカーなどなおさら危ないわけで、アラビア海の運航を一切禁止しなければおかしい。 つまり、日本に石油が入って来なくてもいいと言っているのも同様になってしまう。
     左側の 「危ないから行くな」 が論外であることは言うまでもなく、これを右側が批判し、嘲笑しているのは正しい。
     ところが、さらに右側は 「イランをめぐる情勢が悪化しているからこそ、自衛隊派遣が必要だ」 と主張するので、こうなると手放しには賛成できなくなる。
     なぜなら、そもそも 今回の自衛隊派遣は 「調査・研究」 が目的であって、民間タンカーの警備・護衛が任務ではない からである。
     自衛隊は憲法9条の規定によって「戦力」ではないとされている。 軍隊じゃないから、派遣を合法化するには防衛省設置法の 「調査・研究」 を根拠にするしかない。 「調査・研究」は防衛省内で「打ち出の小槌」と呼ばれるほど使い勝手のよい規定だそうで、自衛隊が日本周辺で行っている警戒監視や情報収集も「調査・ 研究」ということになっている。
     今回も、「有志連合」への参加を求める米政府の顔を立てるための「アリバイづくり」の派遣をしつつ、イランとの伝統的な友好関係も壊したくないという虫のいい目的を果たすために「打ち出の小槌」を振るったというわけだ。
      調査・研究目的でも、自衛艦が直接攻撃を受ければ自衛隊法の 「武器等防護」 を根拠に、武器を使用して反撃することができる。
     しかし調査・研究では、自国の民間船が襲撃されていても、それを助けに行くことはできない。 そこで今回の中東派遣に当たっては、不測の事態が起きた場合には自衛隊法に基づく 「海上警備行動」 に切り替えることになっている。
     海上警備行動は海上での人命・財産の保護、治安維持を目的とするもので、緊急時は電話閣議を経て防衛相が命令し、 警察権の範囲内で武器使用や進路妨害などの 「強制力を伴う措置」 ができる。
     そして河野太郎防衛相はその活動範囲も 「他の海域を排除しない」 と発言しており、イランへの配慮から今回の「調査・研究」の対象から外した ホルムズ海峡やペルシャ湾での海上警備行動の可能性も示している。
     相当に無理を重ねているものの、これでともかく自国のタンカーがホルムズ海峡で襲われても自衛隊が助けに行けることにはなっているわけだが、ところがここにまだ問題がある。
     公海上では国際法上は、船舶は船籍を登録している国の政府が保護する 「旗国主義」 を原則とする。 旗国主義の例外となっている海賊対処以外で安易に武力行使をすれば、国際法違反となる恐れがあるのだ。
     中東のシーレーンには、船籍は外国でも日本の海運会社が運航していたり、日本人が乗っていたり、日本向けの重要な貨物を載せている船舶が多数往来している。
     日本船主協会によると、日本の海運会社が運航する船舶のうち、日本籍の割合はわずか10.5%だそうで、 昨年6月にホルムズ海峡付近で、何者かによって吸着機雷の攻撃を受けたタンカーはパナマ籍だった。
     自衛隊がこういう船舶を守るために武器使用や進路妨害など 「強制力を伴う措置」 を行なったら国際法違反になってしまい、 攻撃している船に大音量の警告や強い照明を浴びせるなど 「強制力のない手段」 による対応しかできない。
      もしも自衛艦が中東で、船舶が攻撃されている場面に遭遇したら、現場の自衛官は洋上で瞬時に襲われている船が日本船籍か他国船籍かを見極め、武器を使用するかしないかを判断するという、ほとんど無理なことを求められるのである。
  • 「アフガニスタン・ペーパーズ」小林よしのりライジング Vol.342

    2020-01-15 12:15  
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     これは決定的に重要だ! と思うようなニュースが、それほど大した扱いもされずに一度サラっと報道されただけで忘れ去られていくというようなことが、最近特に多いような気がする。
     いわゆる 「アフガニスタン・ペーパーズ」 のニュースなど、その最たるものである。
      昨年12月9日、アメリカの有力紙「ワシントン・ポスト」は、2001年から18年間にもわたって続いているアフガニスタンでの軍事作戦や復興支援が、完全に失敗していることをアメリカ政府高官らが認識していながら、国民に隠蔽していたとする内部文書を入手・公表した。
     この文書はアメリカ政府の「アフガン復興担当特別監察官室(SIGAR)」が、政府や軍高官、外交官、援助関係者ら600人以上から聞き取り調査をしてまとめた2000ページに及ぶ証言記録で、正式名称は「Lessons Learned(得られた教訓)」という。
     当初は機密文書に指定されてはいなかったが、2016年8月にポストが公開を求めるとSIGARがこれを拒み、国防総省や国務省が介入して文書の一部を機密扱いにして、当たり障りのない部分しか公開されなくなった。
     そこでポストは情報公開法に基づいてSIGARを連邦裁判所に提訴し、3年もの情報公開請求と2度の法廷闘争という執念の活動の末にようやく入手したのだった。
     ただし公開されたのは600人以上の調査のうち428人分で、政権関係者や軍高官らの名前の大半は「黒塗り」にされ、実名を明かしたのは62人分だけだったため、ポストは全員の公表を求め今も裁判中だという。
     ポストはこの文書を 「アフガニスタン・ペーパーズ その戦争の隠された歴史」 と題した大々的な記事にして公表した。
     アフガニスタン・ペーパーズという名称は、1971年にニューヨーク・タイムズが入手・公表し、ベトナム戦争の行方に決定的な影響を与えたアメリカ国防省の機密文書 「ペンタゴン・ペーパーズ」 に由来している。
     ペンタゴン・ペーパーズには、ベトナム戦争の全面化につながった1964年の「トンキン湾事件」(北ベトナムがアメリカの軍艦に砲撃を加えたとされる事件)が、実はアメリカ側が仕組んだものであり、その3か月前には開戦のシナリオを完成させていたことが書かれていた。
     そしてさらにペンタゴン・ペーパーズで暴かれた重大な事実は、 ベトナム戦争には勝てる見込みがないことを知りながら、歴代政権が議会や国民に対して正確な情報を隠蔽し続けていたということだった。
     ケネディ、ジョンソン、ニクソンの歴代大統領は、自分の就任中にベトナム撤退という決定的敗北を認める決断を下せば、国内の反共主義者から猛攻撃を受けてしまうということを恐れ、「この戦争は近いうちに終わる」と嘘をつき、問題の先送りをしていた。
      そして政府の世論操作に有識者や有力メディアも騙され、国民は戦争が早期に終わると思い込み、アメリカの青年たちが戦争に送られて数万人が命を失い、 ベトナムの民衆は数十万人の単位で殺戮されていたのだった。
     ペンタゴン・ペーパーズをリークしたのは政府系シンクタンク「ランド研究所」の職員だった、ダニエル・エルズバーグという人物である。
     ランド研究所は国防総省の外部委託研究を行う機関で、ペンタゴン・ペーパーズの作成を委託され、エルズバーグもそのスタッフの一人だった。
     エルズバーグは政権に忠実・誠実な仕事をしてきた官僚タイプの人物だった。しかし、7000ページに及ぶペンタゴン・ペーパーズの全文を読み通し、ベトナム戦争の真実を知ったエルズバーグは、ベトナム戦争を終結するには米軍が完全無条件に撤退する以外にないが、このままでは永遠にそれが実現する見込みがないということを知る。
      そして戦争を終結させるためには、政府の機密文書という動かぬ証拠を暴露するしかないということを悟った。
     かくしてエルズバーグは7000ページの報告書をコピーして持ち出すという、命がけの内部告発に踏み切ったのだった。
     エルズバーグは合衆国法典793条E項違反で逮捕された。 スパイ法違反で法定刑は10年以下の懲役か罰金刑の併科、または選択刑である。だがエルズバーグは会見でこう言った。
    「もし私のしたことが戦争を終わらせるのに少しでも役立つなら、10年間刑務所入りしても安いものではないか」
     エルズバーグは大統領に忠誠を誓い、仕えてきた人間だった。それがこのような行動を起こしたことについて、後に彼は「大統領に対する忠誠心よりも、もっと深く広い忠誠心、長い間みられなかった忠誠心」を奮い立たせたためであるとして、こう語っている。
    「それはアメリカの建国理念、アメリカの憲法体系、アメリカ国民、自分自身の人間性、そしてアメリカの “同盟国” とアメリカが爆撃している民衆への忠誠心である。」
     エルズバーグは起訴されたが、ホワイトハウスの情報工作機関がエルズバーグの信用を失墜させるために、彼が診察を受けていた精神科医の事務所に侵入してカルテを盗もうとしたことが判明し、「政府の不正」があったとして裁判は却下された。
  • 「【ゴー宣道場】今年の展望」小林よしのりライジング Vol.341

    2020-01-07 21:15  
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     令和最初の新年、あけましておめでとう。
     ご譲位が無事行われて令和の正月を迎えられたことは、まずはめでたい。
     さて令和2年、2020年最初のライジングは、今年の展望を記しておこう。
     しかし今年は、本当に大変な年になりそうだ。
     2月9日には今年最初の「ゴー宣道場」が東京で開催される。テーマは「道場10年 成果と展望」である。
     4月に10周年を迎えるゴー宣道場を記念する回であり、ここで道場そのものの意義や、10年を節目として今後どう変わるか、これから何をしなければいけないかといった話をする。
    「ゴー宣道場」の最大の功績は、天皇陛下の生前退位を妨害しようとした安倍政権・自称保守派の企みを阻止し、ご譲位を実現したことである。
    「ゴー宣道場」はこの体験を生かし、さらに活動を拡大していくが、それがこの先どうなっていくかを占うような回をやろうと思っている。
     ただし、もしも何か一大事が起きてしまったら、予定しているテーマは大幅に変更せざるを得なくなる。
      昨年12月27日、政府は中東への海上自衛隊派遣を閣議決定した。
     年末ぎりぎりでニュース番組も激減し、人々の関心が政治や国際問題に向かなくなる時期に乗じて、重大な問題を国会での議論もなしに片づけてしまうというのは安倍政権の年中行事で、靖国参拝も、慰安婦問題「日韓合意」も、IWC脱退も年末のどさくさ紛れにやっつけたのだが、昨年はこれである。
      これによって今月から「調査・研究」の名目で護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機2機、260人規模の自衛官が中東に派遣される。 しかも、憲法の制約上「軍隊」としての行動が認められないままで。
     友好関係にあるイランへの配慮からホルムズ海峡やペルシャ湾を除外したというが、そんな折も折、 米軍はトランプ大統領の命令によりイランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」のソレイマニ司令官を殺害。
     イランは報復を明言し、核開発を大幅に拡大するのは確実、一方米軍は3500人の部隊を中東地域に派遣する方針を示し、一気に緊張感が激化している。
     そんな時に海自は中東に派遣されるのだ。誰がどう見たって、アメリカの戦略にくっついていく行動としか思われないだろう。そもそも昨年の中村哲医師の殺害によって、もう中東における親日感情の遺産は完全に底を尽いてしまっていることは明らかなのである。
     それに、いくら現時点ではホルムズ海峡やペルシャ湾には行かないと言ったところで、もしも米・イランの軍事衝突が勃発した時、すぐ近くに海上自衛隊の部隊がいて、米軍から応援要請があったら、それを断ることなどできるのだろうか?
     いよいよ日本が米国の侵略戦争に巻き込まれる恐れが現実的になってきた。
     アメリカが中東情勢の方で手いっぱいになれば、当然ながら得をするのは北朝鮮だ。 米朝会談なんか無意味となり、北朝鮮はアメリカと完全に決裂して核保有へと突進していくかもしれない。
     今週末に行われる台湾総統選挙では蔡英文が優勢を保っているが、蔡英文総統が続投となれば、中国の習近平国家主席が目指す中台統一の野望は大打撃を受ける。そこへ来て香港情勢がくすぶり続けているとなれば、習近平は威信を保つためにも香港に対して強硬手段に出かねない。
      そんな習近平を安倍政権はこの春に国賓待遇で招こうとしているが、これも大問題である。
     そして日韓関係では、元慰安婦らが韓国政府に対して、慰安婦問題「日韓合意」は憲法違反だとして起こしていた訴訟については昨年末、韓国の憲法裁判所がさすがに却下する判断を下したものの、 慰安婦問題の解決の糸口は全く見えない状態のままである。
     ましてや、 徴用工問題で差し押さえられている日本企業の資産が現金化されたりしたら、一気に最も深刻な事態となってしまう。