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  • 「新自由主義の見本市・韓国――就職浪人と貧困街タルトンネ」小林よしのりライジング Vol.187

    2016-08-02 23:10  
    150pt

     前回のトンデモ見聞録では、先進国の格差社会のなかに生まれる、一見してそうとは把握しづらい《相対的貧困者》の実態として、「格差の先進国アメリカ~貧困だから太る子供たち」を書いた。アメリカ人といえば「ジャンクフードが好きで太っている」という大雑把なイメージを持つ人は多いと思うが、その実態は「カネがすべて」の新自由主義による際限なき競争のなかで、「野菜が買えず、ジャンクフードやスナック菓子しか食べられない」状態に置かれる《家畜化させられた貧困米国民》でもあった。
     こんな米国の奴隷に甘んじ、「NO」と言えずに次々と「構造改革」させられてゆく日本の今後は、一体どうなってしまうのか?
     そこで今回からは、 日本よりも先に米国民間企業からのドメスティック・バイオレンスを浴びまくり、新自由主義を突き進めてしまった韓国の実態 を、何回かに分けて紹介していきたいと思う。
    ◆日本の現状が進行するとこうなる! 韓国の生き残り受験戦争
     非常に深刻な格差社会に陥っている韓国は、いま、 上位1%の富裕層が国家全体の収入の45%を独占し、中間層は崩壊、国民の平均年収は3000万ウォン(約290万円)に満たないという状態 である。
     多くの若者は就職できずにニートとなるか、跋扈するブラック企業に子供の小遣いのような低賃金で搾取され、年金未加入者は増大。晩婚化・少子化・高齢化も急激に同時進行して、結果、 65歳以上のなんと50%が貧困状態、高齢者世帯の負債率は160.9%の借金漬け という凄まじさである。
     日本の若者は「正社員になりたかったけど、派遣でなんとか食うしかない」といった感覚だが、韓国の若者はさらに進行した悲惨さに晒されており、
    「大企業(財閥系企業)に入れない……ならば、死」
     
    といった状態だ。
     なにしろ、自由競争の進みまくった韓国のブラック企業の《ブラックさ》は、日本の比ではない。
     ある有名ホテルは、全従業員140名の従業員のうち、100名を「インターン」として雇い、月収たった3万円で、正社員同様の長時間労働を強いていた。「経歴」が重視される韓国では、インターンとして社会経験を積んでおくと就職が有利になるという考えがあり、多くの就職難の学生たちが、この弱みにつけこまれてインターンとして異常な低賃金で雇われ、残業代も夜勤手当もすべて踏み倒されていたという。
     社員を自己破産に追い込んだ製菓会社もある。社員別に日別の販売ノルマを割り当て、これを達成できない社員は帰宅を許さず、また、担当した菓子の在庫返納も一切認めなかった。結果、精神的にも肉体的にも追い込まれた社員は、売れなくても「全部売れた」と報告し、自腹で売り上げを補填しつづけ、自己破産に至ったという。
     日本に報じられているものがこれだけ壮絶なのだから、平均的な企業でもどれほどブラックな面を孕んでいるのか、想像すると身震いする。
    「我慢してでも働けるだけありがたく思え」
     まともな就職先がない韓国社会、そこに「カネがすべて」と手段を選ばず暴利をむさぼる企業の姿勢が横行してしまうのである。
     この状況のなかで、韓国の親たちは、なんとかしてわが子を熾烈な受験戦争に勝ち残らせようと、巨額の教育費をつぎ込むのだが……ゴールとなるはずの《まともな就職先》、つまり大企業・財閥系の門は、ほんのわずか。実態はなんと、 大卒者の97%が「まともな就職先争奪戦争」に敗れ、再トライを目指して親元に残り、就職浪人と化してしまう のである。
     生き残るために、小さいころから親子一丸となって必死で戦って、戦って、やっと学歴を獲得したのに、中小企業に就職してしまっては、奴隷同然となり一生涯を棒に振る。それならば、親のカネが尽きるまでニートとして粘るほかない、というのが 現実 なのだ。
    ●ニート増加について韓国人の若者たちは……
    「大企業や公務員への就職が難しい中、中小企業に行けば年俸1800~2400万ウォン(約198~264万円)、週6日労働または隔週土曜日勤務、年次休暇なし、手当なし、夜勤・休日勤務手当なし、ビジョンなし、希望なし。ニートが増える訳だ」
    「良質の雇用を求めてニートになっているのではない。みんな自分が食べていくのに汲々としているのが実情だ」
    「外国人や幼い子供たちは理解できないだろうが、これは韓国の若者の問題ではなく、努力しても明るい未来が望めないことに原因がある」
     こうして、韓国には就職浪人が増え続け、ついに2015年、国内の全就業者数のうち、 50代以上の親世代の就業者数(965万5000人)が、20代~30代の青年層の就業者数(936万9000人)を上回るという事態に至ってしまった のである!
    ◆リストラ・早期退職で「自営業」に転向させられる親世代!