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記事 6件
  • 「影の総理・今井尚哉を監視せよ」小林よしのりライジング号外

    2017-04-11 12:35  
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     いくら政権やその提灯持ちが「他にも大事なことがある」とか言っても、森友学園疑惑が全く解明されないままでは、それは単なる逃げ口上にすぎず、追及の手を緩めるわけにはいかない。
     現在、疑惑の焦点となっているのは、籠池泰典理事長(当時)が首相夫人付(当時)の谷査恵子に送った要請の手紙と、それに対して谷が返送したFAXである。
     政権は 「谷が個人でやったこと」「ゼロ回答であり、問題はない」 と、苦しい言い訳をしている。
     確かにFAXの一部分だけ抜き出せば「現状ではご希望に沿うことはできない」と、「ゼロ回答」に見えそうな記述もあるが、実態は違う。
     籠池が手紙に書いていた3つの要請がその後どうなったかというと、
    【要請1】定期借地期間を50年に延長した上で、早い時期に買い取りたい。
     →2016年6月の売買契約で実現
    【要請2】土地の賃料を半額にしてほしい。
     →支払額を月額に換算すれば、要請通り
    【要請3】森友学園側が立て替えていた工事費用を支払ってほしい。
     →2016年4月6日に執行
      全ての要請が実行されており、現実には「満額回答」になっているのだ。
      問題は、これが本当に谷査恵子個人でやったことなのか?という点だ。
     そんなことあるわきゃないと即座に常識で思っていたら、やはりそのとおり。元経産省職員の飯塚盛康氏は3月25日、自らの実体験をもとに、Facebookに以下の文章を投稿した。
    「留守電の内容だろうが、郵送の内容だろうが、課長補佐クラスの谷さんは、昭恵夫人と内閣官房のそれなりの役職に、財務省への質問内容と回答について、相談報告しているはずです。なぜなら、それは国家公務員としての最低のルールだからです」
    「一般的に役所は政治家とその秘書からの問い合わせについては、〇政(まるせい)案件と言って、その問い合わせ内容と回答について、かなり上に報告しているはずです」
    「もし、谷さんと財務省の室長との個人でのものだとしたら、まだ予算措置する段階のものを室長は一私人に漏らし、それを知った谷さんが一私人である昭恵夫人に報告し、籠池氏に教えたことになります。
     財務省の室長と谷さんは守秘義務違反、国家公務員法違反になりますよ」
    「3年間、昭恵夫人のために仕事をしてきた谷さんに、全責任を負わせて安倍首相を守ろうとしている昭恵夫人と菅官房長官に対して、元経産省の職員として腸が煮えくり返る思いです」
     また、元総務大臣の片山善博氏も4月2日のTBSテレビ「時事放談」で、若い頃に大臣秘書官を務めた経験から 「秘書や秘書官が勝手に独自行動をすることはまずない」 と断言した。
     一方的に要請の手紙が送り付けられてきても、これをどうしましょうかというお伺いは必ず立てるそうで、たとえ無視する場合でも、無視しろという指示は必ず受けるという。
     さらに同番組で片山氏は、籠池の要請書を見た感想として、注目すべき発言をした。
    「あれを見ますと、谷さんがどういう人か知りませんけれど、彼女ひとりであれを裁ける案件ではないです。おそらく背後に、背後にっていうか、バックアップ体制があるはずです。
    だから、おそらく彼女はそのバックアップ体制のところに、こんなのが来ましたっていう、それは昭恵夫人のところではないところに、官庁のどっかにそれはあるはずですね」
      谷査恵子が「バックアップ体制」に報告を上げ、その「バックアップ体制」の力で森友学園への「満額回答」が実現した。それは昭恵夫人を飛び越えた、官庁のどこかにある。
  • 「差別をするための虚構・在日特権」小林よしのりライジング Vol.112

    2014-12-10 11:05  
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     やはり「在特会なんか放っておけ」なんて態度をとっていたら、大変なことになるということがはっきりしてきた。
     今回の衆院選で「次世代の党」(と書くのも恥ずかしいジジィ世代の党)が掲げたマニフェストには 「特別永住制度の見直し」 と 「生活保護制度を日本人に限定し、困窮した外国人には別の制度を設ける」 というのが入っている。
      明らかに在特会らが言う「在日特権の撤廃」に配慮した主張である。
    「次世代の党」が自民党との違いを強調しようとしたら、自民党よりもさらに右旋回するしかない。そうして行きつく先は、 極右排外主義 なのだ。
     いかに泡沫政党とはいえ、政党要件を満たしたれっきとした政党のマニフェストにまで在特会の主張が入り込んでしまったことは、やはり忌々しき事態である。
     自称保守論壇には、在特会やその他のネトウヨが撒き散らす「在日特権」デマが信じられないほど浸透している。
    「新しい歴史教科書をつくる会」理事の藤岡信勝は「在日特権」デマを集めたサイトを引用して 「在日特権について、大変わかりやすい解説に出合いました。ありがとうございました」 とフェイスブックに投稿した。
     その在日特権デマは、
    なぜ日本の長者ベスト40のうち20人が在日コリアンで、ベストテンの中には7人もいるのか?(2012年Forbes)
    まともに税金を払っていれば絶対金は残らないようになっている日本の厳しい税制の中では、在日特権が無ければ資産は作れません。在日の多くが帰化しないのはこれらの特権があるからだと言われています。
    ・・として20人の「在日」長者の名前を列挙しているのだが、その中にはユニクロの柳井正や楽天の三木谷浩史などの名前がずらっと並んでいる。あまりにも幼稚な「在日認定」デマだが、藤岡はこんなもんにまで引っかかってしまうのだ。
     余談だが、藤岡は中国のSMサイトの画像をトリミングして偽のキャプションをつけたブログにもコロッと騙され、フェイスブックに「写真は中国軍にとらえられたチベットの少女です。このあと何が起こるでしょうか。銃殺です」云々と投稿したこともある。
     今や「在特会の主張にも正しいところはある」というのは自称保守論壇のポジション・トークになっているらしい。その典型が雑誌「正論」(自称)1月号に載った評論家・小浜逸郎の文章だ。
     驚いたことに、小浜はこんなことを断言する。
     まず私が知りえた限りでは、在日特権は存在します。その最も顕著なものは、生活保護に関する優遇措置です。一番新しいところで、二〇一四年の厚労省の調査によると、生活保護率は全体平均が千世帯のうち17世帯であるのに対して、在日韓国・朝鮮人は142世帯という突出した数字になっているそうです。約8.4倍ですね。もちろんこの資金は日本国民の税金です。  8.4倍、という数字で錯覚を起こすが、 生活保護受給者の97%は日本人であり、外国人はたった3%。在日韓国・朝鮮人は2%程度に過ぎない。
     さらに「生活保護受給率が日本人の8.4倍」の表現にはトリックがある。
      例えば2011年の生活保護受給率を都道府県別に比べると、最も高いのは北海道で2.94%、低いのは富山県で0.31%。約10倍の開きがある。 このデータから、「北海道民は富山県民の10倍優遇されている。北海道民には生活保護の特権がある!」と言い出すバカがいるだろうか?
      これは貧困率の指標に過ぎない。在日は全体平均と比べて8.4倍優遇されているのではなく、8.4倍貧しい人がいるという数字なのだ!
     また、「もちろんこの資金は日本国民の税金です」というが、 小浜は在日も納税の義務を負っていることを知らないのか!?
     税金だけ収めさせておいて、困窮した際には保護しないとなれば、それこそ差別ではないか! 小浜のような無知識人が言うならまだしも、国会に議席を持つ(次で無くなるかもしれんが)政党が、公約としてこんなことを掲げているというのは恐ろしい話である!!
  • 「ヘイトスピーチや荒らしに対する処方箋」小林よしのりライジング Vol.111

    2014-12-02 20:45  
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     社会学者の宮台真司氏が「リテラ」というサイトのインタビューでネトウヨの分析をしている。
     この中で宮台自身が言っているとおり、「リテラ」とはかつての雑誌「噂の真相」を彷彿させる「左翼ゴロ路線」の下品なサイトで、載っている記事も眉ツバな匂いが芬々という感じなのだが、それはともかく、この宮台のインタビューはちょっと面白い。
    http://lite-ra.com/2014/11/post-601.html
     宮台は「 あれは知性の劣化ではなく感情の劣化だ 」と言う。まさにその通りだ。
     そして、「表現」と「表出」という言葉を使って分類をする。
    「表現」は、理論で相手を説得し、従わせようとすること。
     それに対して「表出」は、自分の感情を吐き出すことだけが目的。
      相手の反応など全く関心がなく、ただ自分の気分がスッキリすればそれでいいというのが「表出」であるという。
     ヘイトスピーチをやっている連中は、それが気持ちいいと思って「表出」しているだけだから、説得なんか不可能なのだ。
     いくら理論立てて「在日特権なんかない」と「表現」したところで無駄。もともと真理へと到達したいなんていう意識は毛頭ない。ただ感情をぶちまけたいだけなのだから。
     真理が知りたいというような最終的な目的があれば、その過程における感情はある程度制御して臨むことになる。ところがネトウヨは感情を制御できず、最終的な目標なんかどうでもよく、とにかく今すぐここでカタルシスを得たいという短絡的、刹那的な者たちであり、そのために「表出」に固着し、ヘイトスピーチをわめき散らす。
     だからこれは「 感情の劣化 」だということになるのだ。
     もっと簡単に言ってしまえば、全く躾をされず、我慢することを一切覚えていないクソガキみたいなものだ。人としての感情が成熟していない、獣に近い状態と言ってもいいだろう。
     それでは、このように感情を劣化させた、説得不可能な連中に対して一体どう対処すればよいのだろうか?
     宮台は「レイシストをしばき隊」のようなカウンター運動が有効だと唱えている。 毒を以て毒を制すというか、「劣化した感情」には別の「劣化した感情」をぶつければいいというのだ。
     理論で対抗してもしょうがないから、感情と感情で戦うしかない。「キモいか立派か」という感情に訴えれば、「ヘイトはキモい。YouTubeとかで観たらキモいオヤジとオバハンばかり。筋骨隆々としてタトゥーが入ったしばき隊の方が格好いいぜ」となるという戦略なのだそうだ。
     
     だが、わしはこの意見には同意できない。
  • 「『在日特権』はあるのか?」小林よしのりライジング Vol.108

    2014-11-11 16:05  
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     数年前までは社会問題の専門用語だった 「ヘイトスピーチ」 だの 「レイシズム」 だのが、今では一般常識的な言葉になってしまった。日本は急速に「美しい国」から遠ざかり、醜悪な国に向かって劣化し続けている。
     8月、安倍首相はヘイトスピーチについて「日本人の誇りを傷つける。しっかり対処しなければならない」と発言。そう言わなければ世界の恥になるから、建て前として言ったのだろう。
    これを受けて自民党は「 ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム 」を設置し、本気かどうかは知らないが、新立法の可能性を視野に入れつつ検討を始めた。
     安倍政権の「コアな支持層」は、ヘイトスピーチが大好きなネトウヨ・レイシストたちじゃなかったっけ?と思っていたら案の定、 安倍の公式ツイッターや自民党のBBS(掲示板)は「大炎上」したという。
     また、元・航空幕僚長、現・ネトウヨ親父の 田母神俊雄 はツイッターで 「ヘイトスピーチの法規制は、保守派を黙らせ、左翼リベラルや外国人を利するだけのものです」「ヘイトスピーチの法規制は、左翼リベラル政治家の有田芳生氏が中心となって推進して来たものです。なぜ保守を名乗る政党が保守派庶民を苦しめ、左翼リベラルや外国人を利することをするのでしょうか。左翼リベラルに媚びるような政策に反対します。左翼に媚びるとろくなことがありません」 と、わけのわからない懸念を表明した。(註・あまりに馬鹿な発言なので、 ウンコ色 にした)
      ヘイトスピーチを禁じたら保守派が黙らせられる?「保守派の主張=ヘイトスピーチ」だったのか!?
     
     そんな中で開かれた自民党プロジェクトチームの初会合では、ネオナチ団体幹部との繋がりを指摘されている高市早苗が 「うるさくて仕事にならないから、国会周辺でのデモ活動も一緒に規制しよう」 (註・ ウンコ色 にした)という趣旨の、異次元に飛躍した意見をぶちかました。
     これなら田母神も心配するには及ばないだろう。むしろ安倍政権下のヘイトスピーチ規制では、ヘイトスピーチのカウンターや、反原発デモなどにまで拡大解釈して網を被せることを警戒しなければならないようだ。
      一方、民主党はヘイトスピーチの街宣活動を規制する独自の法案をまとめ、他の野党にも賛同を呼びかけた上で今国会に提出する方針を固めた。
     この法案には罰則規定はないが、民族の違いなどを理由にした侮辱や嫌がらせなどの差別的な言動を禁止し、国に差別を防止するための基本方針を定めることを義務づけたものだという。
     この民主党案に対しても規制の「拡大解釈」を懸念する声が上っている。とはいえ、一切の規制もせずにヘイトスピーチを封じ込められるのかというと、それはまず無理だろう。
     例えば「ヘイトスピーチを減らす最良の薬は、他人にウンコを投げ付けないと鬱憤晴らしも出来ないような追い詰められた国民を減らすことである」と主張している人がいるが、甘すぎるし現状がわかっていない。
      ヘイトスピーチをやっている者は、必ずしも「追い詰められた国民」とは限らないのだ。
      社会的にはそれなりの生活をしていながらも、個人的なコンプレックスを自力で解消できずに他者への攻撃に転嫁する者もいる。
     また、とにかく差別が好きだという者だっている。たとえ社会から格差が撤廃されたとしても、差別をする者はするのである。
     さらに警戒しなければならないのは、規制に反対するあまりに、在特会(在日特権を許さない市民の会)などの排外主義団体が攻撃対象としている 「 在日特権 」を撤廃すれば、ヘイトスピーチも止んでいくだろうという意見 が出てくることである。
      結論を先に言うが、「在日特権」なるものは、ヘイトスピーチをやるために在特会会長・桜井誠らがでっち上げた、ほぼ100%のデマである!
     これは、ジャーナリスト・ 安田浩一 の 『ネットと愛国』 や、「レイシストをしばき隊」の創設者・ 野間易通 の 『「在日特権」の虚構』 で検証されている。
    「在日特権が存在する」という主張自体が、差別を助長するための事実無根の誹謗中傷なのだ。「在日特権をなくせば差別もなくなる」というのは、「在日特権が存在する」ということを前提にしているわけで、在特会が仕掛けた罠に嵌って差別の片棒を担いでいることに他ならないのである。
     その罠にまんまと引っ掛かったのが大阪市長の 橋下徹 だ。
     橋下は大阪市役所で桜井と罵り合いの公開泥仕合を演じた翌日、維新の党代表として、 在日韓国・朝鮮人らに認められている「 特別永住資格 」について「 通常の外国人と同じような永住者制度に一本化していくことが必要 」と述べ、党として見直しを検討する考えを示した。
     その理由を橋下は「特別扱いは差別を生む」として、在日韓国・朝鮮人への攻撃を抑える狙いもあると説明したが、これこそが在特会のデマに踊らされた主張だったのだ。
    「 特別永住者制度 」とはいわゆる「入管特例法」に基づくものだが、果たしてこれは「特権」なのか?
  • 「『アンネの日記』破損事件と日本の右傾化現象」小林よしのりライジング Vol.78

    2014-03-18 14:00  
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     東京都内の図書館や書店で『アンネの日記』などユダヤ人迫害関連本が相次いで破られた事件で、小平市の 36歳の無職男性 が逮捕された。
     男は被害に遭った杉並区の図書館の防犯カメラにも映っていた。
    『アンネの日記』を破る事件はここ最近発覚したが、男は約1年間にわたって豊島区や杉並区で、執拗に本を破る行為を続けていたという。
     男は破った本の紙片をポケットに隠し、自転車で移動中に捨てたと供述しており、その供述通りの場所から紙片が見つかっており、容疑はほぼ固まりつつある。 
     池袋ジュンク堂書店内で、男は「アシスタントとゴーストライターは違う」と書いたビラを貼った容疑で逮捕されたのだが、その文面も「アンネの日記」はアンネではなく、父親が書いたというデマがあるので、そのことを意味してるのだろう。
     もちろんこのデマはオランダ国立戦時資料研究所とオランダ国立法科学研究所の筆跡鑑定と文書調査を中心とした科学的な検証によって公式に否定されている。
     男のパソコンにはインターネットの接続履歴が残っておらず、消去して証拠隠滅を図った可能性があるらしい。
      さて、この事件で最も重要なことは、自民党の議員や、自称保守派の言論人や、桜チャンネルなどの極右メディアや、ネット右翼の連中が、事件が報じられると忽ち犯人を「在日」「韓国人」「中国人」の組織的謀略と主張していたことである。
     3月14日の産経新聞1面コラム「産経抄」でも、最近、日韓両国が反日宣伝の文脈で、日本の「 右傾化 」の例として『アンネの日記』等の破損事件を挙げていることについて、「 どこがどうつながるのか 」と書いている。
      いや、つながる可能性が大なのだ。
     容疑者が逮捕される前、韓国のハンギョレ新聞は「 在日特権を許さない会(在特会)などが主導する“嫌韓デモ”のように、日本社会の病的な右傾化現象とどんな関係があるのか興味深い 」と論説、他の韓国メディアも在日韓国・朝鮮人排斥を訴える「ヘイトスピーチ」と結びつけて報道した。
     反日に凝り固まった韓国マスコミなんか評価したくはないが、在特会のことまで、よく観察している。
     これに対して在特会広報局は「 当会の活動と『アンネの日記』など被害に遭った図書とでは何ら思想信条的な関係性はありません。また、本事件といわゆる『嫌韓』の動きはまったく無関係であります 」という声明を発表した。
     声明の中で在特会は「 むしろ、世界中の図書館で日本海や竹島関連の図書を損壊している者たちの犯行と見たほうが、より現実的である 」と言っている。
     つまり、 世界中で反日活動を行なっている韓国人の仕業だと言うのだ。
     しかも在特会自身が、何の確証もなくそんな主張をしているくせに、
    「 確証もなく、安易に犯人を当会関係者と推定したり、動機を当会の活動と結びつけることは厳に慎み、良識ある報道を心がけていただけますようお願い申し上げます 」と平然と言ってのけるのだから、その身勝手さにはあきれ果てる。
     再度詳述して触れるが、この事件が報じられると、在特会の見解と歩調を合わせるかのように、 事件は日本人に反ユダヤ主義の浸透があるかのように見せて、日本の国際的なイメージを貶めようとする中国・韓国の謀略だ などという陰謀論が公然と流布された。
     ネット右翼だけではない。自称保守の評論家やジャーナリスト、極右メディアでも反日謀略説が平然と語られ、中国・韓国の謀略機関の仕業だと「確信する」とまで言った馬鹿もいた。
     片山さつき議員や、中山成彬議員までが、韓国の関与をほのめかせていた。
     勝谷誠彦は、こういうときは誰が一番得するかを考えるべきだと言い、これは支那人の組織だった犯行だと言っていた。
     自称保守の極右連中は、誰も彼もが在特会と同レベルの陰謀論を主張したのだ。
     わしだって中韓の反日宣伝に同調したくはないが、残念ながら『アンネの日記』破損事件と、日本国内での「排外主義」は繋がっている。
      そもそも「犯人は在日、韓国人、中国人だ」と、ただちに主張すること自体が、排外主義ではないか! 
     公に言ってはいけないことがある。関東大震災の直後のように、朝鮮人が井戸に毒を盛ったと言いふらす人間になるか、そのデマを止める人間になるか、それが問われている。
     もう日本の憎韓・反中は病気である。

      そもそも、在特会の主張と反ユダヤ主義は無関係だという在特会広報の声明は大嘘なのである。
      在特会会長の櫻井誠 は昨年、ユダヤ人団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が日本におけるヘイトスピーチを問題視し、在特会を監視するよう主張したことに逆上して「 反ユダヤデモやろうかな 」と表明、イスラエル大使館に抗議文を出し、 ユダヤ人を「中東の朝鮮人」と呼び、敵視と憎悪をエスカレートさせている真最中なのである。
     さらに「 在特会会員・大和真実 」と名乗る人物のツイッター
    https://twitter.com/aikokubakusou
    まとめサイト
    http://matome.naver.jp/odai/2139350819657253801
    には、以下のような発言が氾濫している。
  • 「差別が商売になる時代ー言葉の暴力を誰に使うか?ー」小林よしのりライジング Vol.66

    2013-12-17 11:00  
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     2012年のいじめの認知件数は20万件となり、過去最多になったという。
     ネット社会になって、いじめは罪悪感も感じず、匿名で手軽にできる遊びになった。
     他人を罵り、多くの人々と一緒に悪口を言い合うのは楽しいのだろう。
     わしも相当に口が悪いので、本気を出したら、相手の傷口をえぐって立ち直れなくすることくらいは朝めし前だが、「匿名」でそれをやるほど落ちぶれたくはない。
     やられたら、やり返されるという「実名」の条件下でなければ、他人を批判してはいけないのだ。
      この言葉の暴力を、気に入らない個人を排除するために使ったり(学校のいじめ)、社会的弱者や少数民族を侮蔑・排除するために使う奴ら(在特会&ネトウヨ)を、わしは心底軽蔑する。
    「いじめ」の増加と、「在日差別」の過激化は、それを行う者たちの心理的動機が似ている。
    「匿名」で、ネットで罵詈雑言を書きまくり、「集団」で在日の人々に対する「ヘイトスピーチ」を叫びまくったりするような輩は、どんな大義を掲げていても、政治的主張があるように装っても、それはカモフラージュに過ぎない。
      真の動機は単に自分自身の弱さ、自信のなさにあり、自分の存在に価値を実感できない空虚さにある。
    「 オレ様より下がいる。それがあの異民族だ。本来、社会的弱者のはずなのに不当にオレ様より甘い汁吸ってやしないか?オレ様は立派な存在だ。だって日本人だし、奴らをいじめる強い存在だから。こうして奴らを罵っていれば、愛国心がある証明になるし、ヒマも潰せるし、仲間と集えるし、寂しくない。この運動を止めたら、オレ様は何のとりえもない、特に何かに夢中で打ちこむ情熱もない、しょうもない人間に逆戻りだ。差別は自己満足を得られる手軽な娯楽なんだ。他人を罵って愛国者と思えるなんて、なんて楽しいのだろう。この国から出ていけ、チョーセンジン! 」
      昔からいたのだ。差別が好きな奴が!
     自分のコンプレックスを誤魔化すための憎悪、卑小な自己像を客観的に見る勇気のない弱さからの他者憎悪、そういうものは昔からあった。
     ただし、昔は差別は大っぴらにやるものではなく、公衆便所に「誰々はブラク」とか「チョン」とかこっそり書いていたもので、その犯人が見つかったら大問題になり、場合によっては部落解放同盟の糾弾に晒されるようになっていた。
     それが恐くて差別はもっと淫靡な形でしか残っていなかったのだ。
      ところがネットが普及し、差別語は公然と氾濫し始めた。その上、中流階級が崩壊して、リアルな他者との親交が崩壊した現代では、ついに差別が商売になるレベルにまで膨張してしまった。
     差別することが商売になる!?
     こんなことは一昔前まで考えられなかった。淫靡に残っていたとはいえ、差別が悪であることは常識だったし、ましてや差別で商売なんかしても買う者がいなかったし、解放同盟の抗議も恐かったからあり得ないことだった。