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記事 139件
  • 田中良紹:メディアはなぜ早期解散はなくなり秋以降の解散と書くのか

    2021-05-03 09:22  
    4月25日の3つの国政選挙に自民党が全敗した直後、メディアにはこれで早期解散はなくなり、解散は東京五輪後で自民党総裁選前の9月とする見方があふれた。 東京パラリンピックが閉会するのは9月5日、菅総理の自民党総裁任期が切れるのは9月30日だから、その間に解散・総選挙が行われるというのだ。 早期解散がなくなった根拠は、3つの国政選挙全敗の結果、与党は態勢の立て直しに時間がかかる。また新型コロナウイルスの感染再拡大で、早期解散は国民の理解が得られないからだという。  菅総理は東京五輪開催で政権を浮揚させ、総選挙で勝利すれば、自民党総裁選は無投票で続投の流れとなり、現在の危機的状況を乗り切ることができるとメディアは解説する。おそらくそのようなことを言う政治家がいて、それを鵜呑みにした記者が記事を書いている。  しかし私はこの見方に違和感を持つ。なぜならその見方は東京五輪が開催されることを前提にしている。東京五輪が必ず開催されると菅総理は本気で考えているだろうか。考えているとしたら相当のオポチュニストで危機意識の乏しい政治家だ。
  • 田中良紹:ロッキード事件と私の45年

    2021-04-06 13:50  
    昨秋から今年の初めにかけてロッキード事件を巡る2冊の本が出版された。一つは元共同通信記者の春名幹男氏が書いた『ロッキード疑獄—角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(角川書店)、もう一つは作家の真山仁氏が書いた『ロッキード』(文芸春秋)である。  いずれも「田中角栄の犯罪」とされた事件の構図に疑問を呈し、東京地検特捜部の捜査は事件の真相に迫っていないとみている。事件の主犯は右翼の児玉誉士夫であり、その児玉と最も近い関係にあった政治家は中曽根康弘である。ロッキード社の売込み工作の主役は民間航空機トライスターでなく、自衛隊が導入した対潜哨戒機P3Cということでも一致する。  ただ春名氏は米国特派員を長く務めたことから、米国の公文書を中心に取材を進め、キッシンジャー元国務長官の「田中嫌い」が事件の底流にあることを強調している。米国は独自外交の角栄を葬り、親米反共の岸信介ら巨悪を護ったという見方である。
  • 田中良紹:総務省接待問題の背後にある目には見えない電波利権の深い闇

    2021-03-03 09:41  
    東北新社から高額接待を受けた山田真貴子内閣広報官は、3月1日の衆議院予算委員会の集中審議を前に体調不良を理由に入院し、辞職することになった。 委員会で山田氏を追及しようとしていた野党は肩すかしを食らったが、しかし直前までは本人も菅総理も辞任を否定していたのだから、国民にとっては何が何だかわからない。菅政権のちぐはぐな対応に呆れ、攻撃の矛先は官僚でなく菅総理に向かうことになるだろう。 私は前回のブログで、メディアの報道が「接待」を受けた官僚の倫理問題に終始することに警鐘を鳴らした。この問題は菅総理の金脈と人脈という「急所」を突いている。それなのにそちらに目を向けさせないよう「接待」の異常さだけがクローズアップされていた。メディアは「接待」の背後にある金脈と人脈に目を向けるべきだと書いた。
  • 田中良紹:コロナ禍を克服するために学ぶべき世界観

    2021-02-03 12:32  
    2月7日に出された11都府県に対する緊急事態宣言が、栃木県を除いて1か月間延長されることになった。感染者数は減少傾向にあるものの、まだ安心できるところに至っていない、また医療のひっ迫状況も続いているというのが理由である。  まず医療のひっ迫状況が声高に言われることに私は違和感がある。日本の感染者数は欧米と比べて圧倒的に少ない。米国の40分の1程度でしかない。感染者がそれほど少ないのに日本の医療が崩壊するというのは考えられない。どこかにミスマッチがあるからとしか思えない。  月刊誌『選択』の記事によれば、大学病院が新型コロナの特に重症患者を引き受けていないからだという。例えば東大病院は病床数が2226床で医師数は940人いるのに、1月7日時点で重症患者の受け入れはわずか7人である。そこが各国と異なる。各国では大学病院が重症患者を100人以上は受け入れるのが普通だと書かれてある。
  • 田中良紹:コロナに敗れて権力を手放し訴追を免れなくなった2人の政治家

    2020-12-04 09:35  
    今年8月に安倍前総理が病気を理由に退陣を表明した時、私は「安倍総理はコロナに敗れた世界初のリーダーと記録されるかもしれない」とブログに書き、11月には「トランプはコロナに敗れた世界で2人目の政治リーダーである」と書いた。2人とも新型コロナウイルスさえなければリーダーとしての政治人生を全うできたはずだからである。  安倍総理の場合はコロナ禍がなければ夏に東京五輪が開催され、招致に成功した総理が開催時の総理も務めることで世界から注目を浴び、誰もが批判できない存在となることで、余力を持って岸田文雄氏に「禅譲」し、3度目の総理を目指すシナリオを書くことができた。  トランプ大統領はコロナ禍がなければ再選は確実と思われた。2期8年という大統領任期を全うできなかった大統領はこれまで10人中3人しかいない。再選率は70%と高いのだ。勿論トランプを嫌う国民も多いが、コロナ禍が米国を襲うまで経済は絶好調だった。
  • 田中良紹:前総理の敷いた地雷原を後継総理は行く

    2020-11-03 10:35  
    昔、親しくしていた外交官がこんなことを言った。「日本の総理もアメリカ大統領のように辞めたら故郷に引っ込むようにすれば、政治がどれほど良くなることかと思う。日本の政治がおかしくなるのは、元総理たちが現役でいて政治に影響力を行使するからだ」。  確かにアメリカ大統領は退任するとホワイトハウスの庭からヘリコプターに乗って故郷に帰るという儀式をやる。そして故郷に自分の図書館を作り、大統領任期中の公務に関する資料や書物、写真などを展示して一般に公開する。そうすることで生臭い政治には関わらない姿勢を示す。  しかし日本では総理を辞めても議員まで辞める人はいない。現役の議員でいる限り生臭い政治と縁は切れない。しかも政権交代がなかった「55年体制」の時代は自民党の派閥同士が権力闘争をしていたから、元総理が派閥抗争の前面に立つこともあった。
  • 田中良紹:コロナ禍で考える戦後日本の構造的弱点

    2020-08-07 12:34  
    コロナ禍が世界を襲った時、各国がすぐに行ったのは国境封鎖と自国優先の行動だった。コロナの急速な蔓延は、ヒト、モノ、カネが自由に国境を越えるグローバリズムによるものだが、それに対抗するには国境を閉じ、自国を第一に考えて行動せざるを得ないからだ。  米国のトランプ大統領が感染源である中国や欧州からの入国を禁止すると同時に、自国産のマスクを輸出禁止にしたのは、それを象徴する出来事だった。その時私は食料を外国に頼るしかない構造にした戦後日本の弱点をまず考えた。
  • 田中良紹:安倍総理は衆議院解散に打って出るのか

    2020-07-06 13:42  
    新型コロナウイルスで国民に我慢を押し付ける一方、日本経済を確実に落ち込ませる「緊急事態宣言」の先行きが分からぬ時に、地方自治体の首長から「9月入学」の話が出てきた。長年取材をしてきた私の勘では、誰かが後ろで糸を引いている。 欧米に合わせ「9月入学」の方が良いという議論は昔からあった。「9月入学」が多い欧米の国々に留学する学生にとって日本の「4月入学」は都合が悪い。グローバリズムの時代にそぐわないという議論である。その是非はいろいろあろうが、その話がなぜ今出てきたかというところで、私は「ショック・ドクトリン」を思い出す。 「ショック・ドクトリン」とは、新自由主義経済の教祖ミルトン・フリードマンの「真の改革は危機によってのみ可能となる」という主張を指す。カナダ人のジャーナリスト、ナオミ・クラインが名付けた。日本語訳は「惨事便乗型資本主義政策」という。
  • 田中良紹:コロナ禍が生み出す新しい世界

    2020-06-01 09:57  
    新型コロナウイルスで国民に我慢を押し付ける一方、日本経済を確実に落ち込ませる「緊急事態宣言」の先行きが分からぬ時に、地方自治体の首長から「9月入学」の話が出てきた。長年取材をしてきた私の勘では、誰かが後ろで糸を引いている。 欧米に合わせ「9月入学」の方が良いという議論は昔からあった。「9月入学」が多い欧米の国々に留学する学生にとって日本の「4月入学」は都合が悪い。グローバリズムの時代にそぐわないという議論である。その是非はいろいろあろうが、その話がなぜ今出てきたかというところで、私は「ショック・ドクトリン」を思い出す。 「ショック・ドクトリン」とは、新自由主義経済の教祖ミルトン・フリードマンの「真の改革は危機によってのみ可能となる」という主張を指す。カナダ人のジャーナリスト、ナオミ・クラインが名付けた。日本語訳は「惨事便乗型資本主義政策」という。
  • 田中良紹:コロナ禍で喪いつつあるレガシーを「9月入学」で取り戻すのか?

    2020-05-04 10:53  
    新型コロナウイルスで国民に我慢を押し付ける一方、日本経済を確実に落ち込ませる「緊急事態宣言」の先行きが分からぬ時に、地方自治体の首長から「9月入学」の話が出てきた。長年取材をしてきた私の勘では、誰かが後ろで糸を引いている。 欧米に合わせ「9月入学」の方が良いという議論は昔からあった。「9月入学」が多い欧米の国々に留学する学生にとって日本の「4月入学」は都合が悪い。グローバリズムの時代にそぐわないという議論である。その是非はいろいろあろうが、その話がなぜ今出てきたかというところで、私は「ショック・ドクトリン」を思い出す。 「ショック・ドクトリン」とは、新自由主義経済の教祖ミルトン・フリードマンの「真の改革は危機によってのみ可能となる」という主張を指す。カナダ人のジャーナリスト、ナオミ・クラインが名付けた。日本語訳は「惨事便乗型資本主義政策」という。