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記事 5件
  • マクガイヤーチャンネル 第134号 【なぜ宮野真守はうんこに行きたがるのか:アニメ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の映画としての正しさについて】

    2017-08-30 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前回の放送でも少し話題にしたアニメ版『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』について書かせて下さい。SNSではものすごく評判が悪いのですが、そんなに悪い映画じゃないと思うのですよ。
    ●オリジナル版について
    本作は93年に放映された岩井俊二監督のテレビドラマのアニメ版リメイク作です。
    レギュラー放送版の『世にも奇妙な物語』の後番組として『if もしも』というオムニバスドラマシリーズがありまして、その一編として放送されたものです。
    話の途中で分岐が発生し、そこから枝分かれした2種類の物語を描くという一話完結ドラマの連作でした。「もしもあの時ああしていたら……」という意味での『if もしも』というタイトルなわけですね。かなり特殊なドラマでしたが、『世にも奇妙な物語』と同じくタモリがストーリーテラーという形で番組冒頭と終わりに出演し、スピンオフのような趣きもありましたので、わりあい自然に受け止めていた印象があります。
    岩井俊二はこの作品でテレビドラマにも関わらず日本映画監督協会新人賞を受賞し、A級映画監督に成り上がりました。その後劇場公開され、現在もHuluや愛蔵版ブルーレイでみることができます。『if もしも』で放映された他のエピソードは劇場公開もソフト化もアニメ化もされていないことを鑑みると、いかにこの作品が皆から愛されているかがわかろうというものです。
  • マクガイヤーチャンネル 第133号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その3 『のび太の宇宙小戦争』」】

    2017-08-23 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第5回として書いている「『大長編ドラえもん』と科学」その3……というか、『のび太の宇宙小戦争』の解説になります。
    この時期の『大長編ドラえもん』は初期にも増して傑作ぞろいなので、語り甲斐がありますね!
    (基本的に、藤子・F・不二雄が100%コントロールしてると思しき原作漫画版についての解説になります)。
    ●『のび太の宇宙小戦争』:『ガリヴァー旅行記』
    「宇宙小戦争」と書いて「リトルスターウォーズ」と読ませる本作のタイトルは、『宇宙大戦争』と『スター・ウォーズ』からとられています。
    しかし、本作の内容はまったく『宇宙大戦争』に似ていませんし、『スター・ウォーズ』のパロディやオマージュもわずかです(どちらかといえば本作の基になった短編『天井裏の宇宙戦争』の方が『スター・ウォーズ』ネタは多いです)。
  • マクガイヤーチャンネル 第132号 【おれとドラクエ】

    2017-08-16 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、ニコ生の補講というか、『ドラゴンクエスト』の魅力について改めて語らせて下さい。
    ●『ドラクエ』はVRにならない
    『3D ドットゲームヒーローズ』というゲームがあります。
    「80年代風の2Dドットグラフィックを、PS3の最新技術で完全3D化することを基本コンセプトとした」というのが宣伝文句なのですが、当然これはウソというか勿体ぶった表現で、実際は2Dドットグラフィックを荒いポリゴンでそのまま3D化した、出来合いのマインクラフトのような見た目を持つ、冗談のようなゲームです。
    なぜ冗談かというと、80年代の8bitRPG――『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー(FF)』をリアルタイムでプレイした人の脳内に広がっていた風景は、このようなものではなかったからです。
    いや、厳密にいえば、ものすごく性根のひんまがった小中学生はこのようなイメージでプレイしていたかもしれませんよ。でも、たいていのプレイヤーの頭の中には、アレフガルドの大地が広がり、浮遊大陸が浮かぶ異世界を幻視していたはずです。
  • マクガイヤーチャンネル 第131号 【『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』と芹沢達也VS山岡士郎】

    2017-08-09 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、この前観た『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が面白かったので、この映画について書かせてください。
    本作はマクドナルドについての映画なのですが、”The Founder(創業者)”の現代の通り、マクドナルドの創業についてのお話です。
    主人公はマイケル・キートン演じるレイ・クロックです。
    レイはミルクシェイク用ミキサーのセールスマンをしているのですが、全米を車で横断する営業活動に熱心なわりに、あまり売れません。
    しかしある時、大量のミキサー発注の依頼が来ます。興味を持ったレイは、発注元であるサンバーナディーノのドライブインを訪れます。ドライブインの経営者はマクドナルド兄弟……そう、なんとこの映画は、マクドナルドというブランドをレイが乗っ取る物語なのです!
    当然ながら、マクドナルドは映画化に一切協力してませんし、話題にもしてません。
  • マクガイヤーチャンネル 第130号 【国立科学博物館 深海2017展と311】

    2017-08-02 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、夏休みということで上野国立科学博物館で開催されている深海展――特別展「深海 2017~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」に行ってきましたので、そのことについて書かせて下さい。
    http://shinkai2017.jp/
    夏休みといえば、海か山か恐竜なわけですよ。
    でも、海も山も暑いし、恐竜は絶滅しちゃったし……ということで、博物館や美術館や水族館や幕張メッセのようなクーラーの効いた環境で展示物をじっくりみるのが最適なわけです。
    これを見越したかのように、夏休み期間中は様々な博物館や美術館で特別展が行なわれていますが、最近の上野国立科学博物館――科博の特別展の力の入れようったらありません。「大英自然史博物館展」、「世界遺産 ラスコー展」、「海のハンター展」……「チョコレート展」といった、一見イロモノにみえる特別展でさえ、科博にしかできない科学・科学史的視点や密度・精度がありました。
    だから、最近の科博の特別展はかなり混雑します。土日ともなれば入場前に炎天下の中、数時間待たされることもあります。チケットを買う前に数十分待たされた後、入場するまで更に数時間待たされるのです。
    ねらい目は20時まで開館してる金・土の閉館間際とのことです。