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記事 33件
  • 【第271号】『やれたかも委員会 童貞からの長い手紙』とあとがきと添島先輩

    2020-05-13 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、やはり『やれたかも委員会 童貞からの長い手紙』について書かせて下さい。
    ●あとがきについて
    自分がブロマガに書いた『童貞からの長い手紙(https://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1011063)』を「やれたかも話募集」に送り、漫画作品となるまでの経緯は番組でお話した通りです。今メールをチェックしたら2016年、4年前のことですね。
  • 【第234号】『天気の子』:なぜ須賀さんは問答無用で主人公を助けないのか

    2019-08-14 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、ニコ生の補講というか、まとめというか、『天気の子』の須賀さんについて書かせて下さい。
    自分は『天気の子』のクライマックスに違和感があるのですよ。
    以下、映画を観た方は分かって貰えると思うし、観てない方にとってもたいしたネタバレにならない書き方で書きます。
    ●70年代ATGとゼロ年代エロゲーの悪魔合体
    『天気の子』のクライマックスにて、、エロゲーによく出てくる都合のいい異界「えいえん」に囚われたヒロインを助け出すために、主人公は非常階段ダッシュをして、代々木会館の屋上に行こうとします。
    「大人は分かってくれない」がテーマの本作で、代々木会館、それも屋上は、重要な場所です。「若者の反抗」が時代的テーマだった70年代映画を代表する俳優の一人といっていい俳優のショーケンが『傷だらけの天使』で住んでいた場所だからです。
  • 【第231号】名誉童貞 新海誠の勝利宣言

    2019-07-24 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、先週末に混雑した映画館で頑張って観てきた『天気の子』について書かせて下さい。
    ●『言の葉の庭』までの新海誠
    新海誠といえば、ある時まで自分の中では「気持ち悪い童貞の妄想話を全力で作る人」という位置づけでした。
    『ほしのこえ』は「これを一人で作るなんて凄いやん!」という月並みな感想しか持てず、『雲のむこう、約束の場所』はリアルタイムで観なかったのですが、中編『秒速5センチメートル』は衝撃的でした。テーマは「(童貞)男子と(特殊で重たい設定を背負わされている)美少女の一瞬こそ永遠」という、一部の世代の一部の属性を持った観客には熱狂的に受け入れられるものの、その他の世代や観客には全くピンとこないものなのですが、しかしそれを「コーヒー牛乳パックの能書きまでも美しくみせる(@サンキュータツオ)」執拗なまでにクオリティを追及した作画と、誰しもが美しいと感じる四季折々の映像、それらを挿入歌と完全にシンクロしたMV顔負けのドラッギーな編集でみせきるのです。
  • 【第209号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その2

    2019-02-20 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続き藤子不二雄Ⓐの『憂夢』について紹介させて下さい。これまで書いてきた藤子不二雄Ⓐ作品解説の最終回になります。
    ●テーマとしての「夢」
    Ⓐ作品に共通するテーマとして「現実との折り合い」があります。
    自分の中にある幻想や妄想や夢に象徴される箱庭のような内的世界を大事にする――これはFとⒶに共通する特徴なのですが、F作品が内的世界での冒険や友情に終始するのに対し、Ⓐ作品は必ず「内的世界を抱える主人公と、辛く厳しい現実」、「まるで子宮のような内的ユートピア世界に耽溺し、破滅してしまう主人公」、「ナイーブな主人公が変身や成熟で現実の困難に立ち向かう」……といったように、内的世界と現実との折り合いがテーマとして内包されているのです。
  • 【第208号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その1

    2019-02-13 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『憂夢』について紹介させて下さい。これまで書いてきた藤子不二雄Ⓐ作品解説の最終回になります。
    ●『憂夢』とは
    『魔太郎が来る!!』の解説でも触れましたが、いま一度紹介させて下さい。
    『憂夢』は1991~95年にビッグコミックオリジナルに連載されていた連作短編です。
  • 【第206号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その4

    2019-01-30 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●『愛…しりそめし頃に…』でⒶが描きたかったものとは?
    しかし、「春雷編」までの『まんが道』では不十分だということを理解していたのは、誰よりもⒶ自身であったのかもしれません。
    そんなことを考えてしまうのは、「愛しり編」がそれまでの『まんが道』とは若干異なる雰囲気を持っているからです。成長するということは、青年がオトナになるということです。『まんが道』にふさわしい形で、満賀が女性を知ってオトナに近づくと共に、それまであまり描かれなかった人生の暗黒面を描いていこうというねらいが、そこかしこに垣間見えるからです。
    まず、満賀と才野のキャラクターデザインが大幅に変更されました。全体的に頭身が上がっているのですが、イガグリ坊主ではなく、それなりに髪が伸びた満賀は「愛…」のタイトル通り、これまでの『まんが道』に比べて恋愛もこなせそうです。才野は目が黒点化しました。これは漫画表現的に内面を窺えないキャラであることを意味し、脇役に回ったことがデザインでも示されます。
  • 【第205号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その3

    2019-01-23 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●満賀にとっての「敵」とは誰か?
    また、本作の特徴の一つして、「悪人がほとんど出てこない」という点が挙げられます。
    Ⓐが描く大人向け漫画には珍しく、本作に出てくる大人は、全員善人です。しかも、善人であるばかりか、満賀と才野が漫画家になろうとするのを応援します。
  • 【第204号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その2

    2019-01-16 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前々々回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●原型としての「あすなろ編」
    いま『まんが道』を読んで感じるのは、「あすなろ編」の完成度の高さです。
    たとえば「あすなろ編」の前半では、主人公である満賀が、同級生にも関わらず自分よりも大きな才能、高いプロ意識を持ち、努力に励んでいる才野に打ちのめされるというエピソードが、一つのパターンとして繰り返されます。
  • 【第201号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その1

    2018-12-26 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●『まんが道』とは
    「童貞」と「映画」を共通点として藤子不二雄Ⓐの作品について語る本シリーズですが、いよいよ『まんが道』について語る回になりました。
    いわゆる「漫画家漫画」というジャンルがあります。漫画家を目指す過程や道程をテーマとした漫画のことです。『かくかくしかじか』『そしてボクは外道マンになる』や『激マン!』のようなフィクションが多分に混じったノンフィクション、『燃えよペン』や『Rin』や『バクマン。』のような明らかにフィクションですが漫画家の「真実」が含まれている作品まで、多岐にわたります。
    そして、どの作品もヒットすると「女性版『まんが道』」とか「21世紀の『まんが道』?」とかいったコピーが電車内広告や単行本の帯に踊ることとなります。『まんが道』以前にも、永島慎二の『漫画家残酷物語』や川崎のぼるの『男の条件』といった「漫画家漫画」が存在していたにも関わらず、です。
    つまり現在、『まんが道』は「漫画家漫画」のマスターピースであり、ジャンルの原点であり、名作として評価されているのです。
    ●「藤子不二雄」にとっての長編・大河ドラマ
    Ⓐにとっての『まんが道』は、様々な意味で特別な作品です。
  • マクガイヤーチャンネル 第199号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その12 「『劇画 毛沢東伝』から『プロジェクトPOS』まで――Ⓐのドキュメンタリータッチ作品群】

    2018-12-12 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、ちょっと趣向を変えて、藤子不二雄Ⓐが描いてきたドキュメンタリータッチの作品群について紹介させて下さい。
    ●Ⓐによるドキュメンタリータッチ
    『シルバークロス』の回で少し触れましたが、Ⓐには「ドキュメンタリータッチ」とでも呼ぶべき作風の作品群があります。また、そのような作風を様々な作品で部分的に使っています。
    最初にこれが用いられたのは『シルバークロス』の冒頭です。「悪の組織」である、スケルトン帝国の説明が、ナレーションと印象的な画が組み合わさったコマ割りを徹底し、ニュース映像を模した形式で行われるのです。この部分が描かれたのは1960~63年の連載時ではなく、後年になって単行本にまとまる際に描き足された可能性もあるのですが、キャリアの早い段階からこのような作風を部分的に取り入れていたわけです。