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【第288号】アンサーソングとしての『日本沈没2020』 後編
2020-09-09 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、前回の続きとしてまた『日本沈没2020』について書かせて下さい。
●視点の変化と戦争映画
国を消すことで、日本人とはなにか、日本文化とはなにか、そもそも民族とは何か、国家とは何かということを考えることができる。つまり、日本という国が無くなる時にこそ、「日本」や「日本人」の正体が明かになる。無くなる理由は戦争でも自然災害でも本質的には同じことではないか――『日本沈没』の執筆動機とは、そのようなものであったわけです。 -
【第287号】アンサーソングとしての『日本沈没2020』 前編
2020-09-02 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、やはり『日本沈没2020』について書かせて下さい。
●『日本沈没2020』とは
『日本沈没2020』は小松左京が1964~73年にかけて執筆したSF小説『日本沈没』を原作とするNetflixオリジナルアニメ作品です。前々回のニコ生で特集しましたね。 -
【第259号】最近のお薦め本(主に漫画)後編
2020-02-12 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、前回に引き続き2/2の「最近のマクガイヤー」で紹介しきれなかったお薦め本(主に漫画)について書かせて下さい。
●『戦争は女の顔をしていない』
独ソ戦に従軍した女性兵士や関係者の女性に取材した同名のオーラルヒストリー、まさかの漫画化です。
Webで連載が始まった時も少なからぬ反響がありましたが、単行本も売れているようで、無事2巻目分の連載が継続することが決まったそうです。漫画単行本発売直後は原作本もAmazonでプレミアがつきました。 -
マクガイヤーチャンネル 第169号 【『レディ・プレイヤー1』と「現実こそがリアル」は誤訳かどうか問題】
2018-05-02 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、ニコ生の補講のようなことを書かせて下さい。
●アーネスト・クラインのゲームへのこだわり
まず訂正なのですが、いつもTwitterで感想をつぶやいてくれている鉄申砲さんのいうとおり、
(https://twitter.com/tetukouhou/status/990775184264085504)
『ブラックドラゴン』はベルトスクロールアクションゲームではなく、サイドビューのアクションゲームでした!
その後言及した『ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム』や『ドラゴンズクラウン』と完全に混同していたので、思わず口が滑ってしまいました。申し訳ありません。
同じ横スクロールのアクションゲームでも、ベルトスクロールと単なるサイドビューではゲーム性が全然違います。全くゲームをプレイしない人にとってはチンプンカンプンかもしれませんが、一回ずつでも両者をプレイしたことのある人には分かる筈です。 -
マクガイヤーチャンネル 第120号 【『メッセージ』を理解するための幾つかのポイント、あるいはトラルファマドール語習得後の自由意志についての考察】
2017-05-22 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、映画『メッセージ』について語らせて下さい。
打ち上げで話していて分かったのですが、この映画、SFに馴染みが無い人にとっては理解し難い点が幾つかあると思うのですが、それらについて解説したいのですよ。
●原作『あなたの人生の物語』と現代SFのテーマ
映画メッセージはテッド・チャンによる短編『あなたの人生の物語』を原作としています。
SFに詳しくない人のために説明しますと、この短編、誰もが認める名作なのですよ。
というか、テッド・チャンは「現代」のSFを代表する作家でして、ものすごく荒っぽくなりますが、表題作が納められた短編集『あなたの人生の物語』と、グレッグ・イーガンによる短編集『しあわせの理由』の2冊を読めば、とりあえず「現代SF」がどういったものなのか理解できると言い切って良いでしょう。
では「現代SF」が昔のSFや他ジャンルの物語と異なる点は何でしょうか?
それは「認識」を最大のテーマとしていることです。
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マクガイヤーチャンネル 第117号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その3」】
2017-05-01 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、前回、前々回に引き続き、「科学で映画を楽しむ法」 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)について書かせて下さい。今回で一段落です。
前回に引き続き、
原作漫画を『攻殻機動隊』
95年に発表された押井守監督のアニメ映画版を『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
先日公開されたルパート・サンダース監督の実写映画版を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記します。
●主人公が俺ジナルで狂った価値観を追い求める映画
映画は、大きく二種類に分けられます。
・「観客が主人公に共感できる映画」
・「観客が主人公に共感できない映画」
の二つです。
で、後者の一つに、「主人公が俺ジナルで狂った価値観を追い求める映画」という定型があるのですよ。 -
マクガイヤーチャンネル 第116号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その2」】
2017-04-24 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、前回の続き、科学で映画を楽しむ法 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)その2について書かせて下さい。
原作漫画を『攻殻機動隊』
95年に発表された押井守監督のアニメ映画版を『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
先日公開されたルパート・サンダース監督の実写映画版を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記します。
●サイバーパンクとしての『攻殻機動隊』
89~91年に発表された『攻殻機動隊』は、SFとしてそれほど目新しい話では無かった――という話は以前書きましたが、もう一度書きますよ。
http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1056869
「脳を部分的に機械化したサイボーグがネットを介してハッキングし合う」という話はウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングなどのサイバーパンク作家が既に書いていましたし、「知的生命体が進化すると生身の身体を捨て去り意識だけ情報だけの存在になるのでは」という話はアーサー・C・クラークが『幼年期の終わり』や『2001年宇宙の旅』で50、60年代から発表済みでした。科学技術や社会システムが発達した世界で、肉体のどこまでが「自分」なのか、「自分」とはいったい何なのか――すなわち実存の問題は、SFというジャンルでいえば(『ブレードランナー』の原作者である)フィリップ・K・ディックが、もっと広い文学という分野でいえばカミュやサルトルといった実存主義作家たちが既に扱ってきたものでした。更にSFでは、「人間とは何か」をテーマとするために、機械のような人間や、人間のような機械(サイボーグやAI)を扱うのはごくごく普通のことでした。 -
マクガイヤーチャンネル 第115号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その1」】
2017-04-17 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)について書かせて下さい。
『攻殻機動隊』は、原作は89年、映画は95年と、どちらも20年以上前に発表された作品です。テクノロジーやサイエンスの面から含めて、散々っぱら色んなところで語られ尽くされたので、今更ここで書くつもりも無かったのですが、状況が変わりました。
●実写版『攻殻機動隊』――『ゴースト・イン・ザ・シェル』への違和感
先週4/7にハリウッド製の実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開されました。
00年代以降、CGIが発達&チープ化し、「絵に描いた餅をそのまま動かせる(押井守)」ようになりました。漫画やアメコミを実写化する作品も増えてきました。『アベンジャーズ』のような成功作もあれば、『ドラゴンボール』や『進撃の巨人』のように失敗したものもあります。
日本漫画に限っていえば、失敗作が多いわけです。だから、『ゴースト・イン・ザ・シェル』もそれほど期待していなかったのですが、実際に観てみてびっくりしました。まさかこんな映画が今作られるとは……というくらい、古びた映画だったのですよ。 -
マクガイヤーチャンネル 第96号 【ASKA逮捕と坂口安吾と今だから読みたい『クラクラ日記』】
2016-12-05 07:00220ptさて、今回のブロマガですが、以前番組の中でちょっとだけ話題にした『クラクラ日記』についてきちんと書かせて下さい。
●ASKAさん再逮捕
11月28日、元CHAGE&ASKAのASKA容疑者が、覚醒剤取締法違反の容疑で二度目の逮捕をされました。
この逮捕に関しては、普通の感覚では理解できないことが沢山あります。
一つは、ASKA容疑者自らがわざわざ警察に通報し、訪れた警察官に任意での尿検査を要請され、ここで陽性反応が出たことが逮捕の決め手となったことです。
ASKAさんは、2014年の最初の逮捕で執行猶予中の身でした。もう一回逮捕されれば実刑は免れられません。にも関わらず、再び覚醒剤に手を出したばかりか、わざわざ自らの手で警察に通報したのです。
なぜ通報したのか。ASKAさんは逮捕直前に電話出演した『ミヤネ屋』のインタビューで「ギフハブという組織に盗撮・盗聴されている」と訴えています。ASKAさんはAppleIDを盗まれた挙句、スマホに盗聴・盗撮アプリを埋め込まれたのだそうです。そして、ギフハブはアプリを通じてAR(おそらく拡張現実のことでしょう)を利用したテクノロジーを用いてASKAさんの行動を監視しているというのです。 -
マクガイヤーチャンネル 第54号 【『オデッセイ』とアクアマンへの細かすぎるつっこみ】
2016-02-15 07:00220ptこんにちは。マクガイヤーです。
前回の放送「ニコ生マクガイヤーゼミ 『オデッセイ』と火星で生き延びる方法」は如何だったでしょうか?
「文芸と科学両面からの解説が面白い」「あのシーンはそういう意味だったとは」「映画が観たくなる」……と非常に評判が良く、嬉しい限りです。ただ、ネタバレもあるので、映画を観てから番組をご覧になった方がいいかもしれませんね。
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