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記事 70件
  • 【第243号】実写版『惡の華』に満足できない

    2019-10-16 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、実写映画版『惡の華』について書かせて下さい。先日のニコ生でも話しましたが、ちゃんと文章にしておいた方が良いと思うのですよ。
    ●『惡の華』原作漫画と実写映画
    映画『惡の華』が9/27より公開されています。本作は押見修造による同名漫画を原作としており、同日に同じく漫画を原作とする『宮本から君へ』も公開されることもあり、話題になっています。
    原作漫画『惡の華』ですが、はっきりいって大好きです。現在、漫画にちょっと詳しい人であれば、押見修造を一作も読んでいないということはありえないでしょう。『惡の華』は、『デビルエクスタシー』や『ユウタイノヴァ』といった作品で用いたファンタジーや超自然的要素を全く用いず、押見がテーマとする思春期のあれやこれやに真正面から挑んだ、傑作であり、代表作の一つといって良いでしょう。
    様々な要素は押見の個人的経験を基にしているにも関わらず、「自分の生まれ故郷から出ていけない閉塞感」、「思春期に抱く、周囲の人間と自分とは絶対的に異なる感覚――すなわち自我と孤独」、「愛と肉欲とそれらを越えたなにか」……といった、普遍的なテーマに訴えかける力を持っています。中学生編と高校生編とで画のタッチ、コマ割り、作風を劇的に変えて、最後に「思春期に決着をつける」というテーマが立ち上ってくると共に、結局誰もヒロインである仲村さんの孤独を理解できなかったことを突き付けるラストには鳥肌が立ちました。
  • 【第229号】お薦め漫画家漫画

    2019-07-10 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、改めて先日の放送「漫画家漫画のメタとネタとベタ」で紹介した作品を振り返らさせて下さい。
    ●こんな放送内容でした
    「漫画家漫画の定義」、「漫画家漫画の歴史」と総論っぽいことについお話した後、自分としまさんが個別に漫画家漫画作品を紹介し合うという構成でした。
    お互いの作品リストは以下の通りです。
  • 【第225号】『闇金ウシジマくん』と真鍋昌平短編集『アガペー』

    2019-06-12 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、先日最終巻も発売された『闇金ウシジマくん』と、同日発売された同じ著者による短編集『アガペー』について書かせて下さい。
    ●『闇金ウシジマくん』とは
    今更説明するまでも無いかもしれませんが、『闇金ウシジマくん』は闇金融の経営者である丑嶋馨wo主人公あるいは狂言回しとした漫画です。2004年から連載され、今年始めに完結し、先日最終巻が発売されました。メジャー誌であるビッグコミックスピリッツで連載され、ドラマ化・映画化もされ、単行本は全46巻になり、三つのスピンオフ作品も発表され、累計発行部数は1700万部を超えるそうです。ゼロ年代やテン年代を代表する漫画の一つといっていいでしょう。2016年にマクガイヤーチャンネルでも採り上げました。
  • 【第217号】藤子不二雄Ⓐと弁当

    2019-04-17 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐと弁当について書かせて下さい。
    ●『恐妻カズヨ氏の元気弁当』
    昨年末、藤子不二雄Ⓐによる語りおろしエッセイ『恐妻カズヨ氏の元気弁当』が編集作業中であることがアナウンスされました。
    本ブロマガをお読みになっている人にとっては常識だと思いますが、Ⓐは肉と魚が食べられません。ヴィーガンのような宗教的・思想的理由からではなく、実家がお寺で幼いころから精進料理ばかり食べていたため、肉や魚を食べない習慣が身についてしまったのです(だから、卵や牛乳は食べるそうです)。つまりⒶは偏食です。
  • 【第209号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その2

    2019-02-20 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、引き続き藤子不二雄Ⓐの『憂夢』について紹介させて下さい。これまで書いてきた藤子不二雄Ⓐ作品解説の最終回になります。
    ●テーマとしての「夢」
    Ⓐ作品に共通するテーマとして「現実との折り合い」があります。
    自分の中にある幻想や妄想や夢に象徴される箱庭のような内的世界を大事にする――これはFとⒶに共通する特徴なのですが、F作品が内的世界での冒険や友情に終始するのに対し、Ⓐ作品は必ず「内的世界を抱える主人公と、辛く厳しい現実」、「まるで子宮のような内的ユートピア世界に耽溺し、破滅してしまう主人公」、「ナイーブな主人公が変身や成熟で現実の困難に立ち向かう」……といったように、内的世界と現実との折り合いがテーマとして内包されているのです。
  • 【第208号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その14 『憂夢』 その1

    2019-02-13 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『憂夢』について紹介させて下さい。これまで書いてきた藤子不二雄Ⓐ作品解説の最終回になります。
    ●『憂夢』とは
    『魔太郎が来る!!』の解説でも触れましたが、いま一度紹介させて下さい。
    『憂夢』は1991~95年にビッグコミックオリジナルに連載されていた連作短編です。
  • 【第207号】『銃夢』とサイボーグ壁ドンと哲学的ゾンビ

    2019-02-06 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、『銃夢』の魅力について改めて語らせて下さい。
    ●サイボーグ壁ドンとアクションの魅力
    『銃夢』は1991~95年にビジネスジャンプで連載されました。
    ジャンルは、一言でいえばSFアクション漫画とか格闘漫画とかになるでしょうか。記憶を失ったサイボーグである主人公の少女ガリィが、強敵との戦いを通じて生きる意味や過去の記憶を発見していく……というのが、だいたいのストーリーになると思います。
    『銃夢』は『攻殻機動隊』と並んで90年代を代表するサイバーパンク漫画として語られがちですが、自分が考える『銃夢』最大の魅力は、アクション漫画としての出来の良さです。
  • 【第206号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その4

    2019-01-30 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、前回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●『愛…しりそめし頃に…』でⒶが描きたかったものとは?
    しかし、「春雷編」までの『まんが道』では不十分だということを理解していたのは、誰よりもⒶ自身であったのかもしれません。
    そんなことを考えてしまうのは、「愛しり編」がそれまでの『まんが道』とは若干異なる雰囲気を持っているからです。成長するということは、青年がオトナになるということです。『まんが道』にふさわしい形で、満賀が女性を知ってオトナに近づくと共に、それまであまり描かれなかった人生の暗黒面を描いていこうというねらいが、そこかしこに垣間見えるからです。
    まず、満賀と才野のキャラクターデザインが大幅に変更されました。全体的に頭身が上がっているのですが、イガグリ坊主ではなく、それなりに髪が伸びた満賀は「愛…」のタイトル通り、これまでの『まんが道』に比べて恋愛もこなせそうです。才野は目が黒点化しました。これは漫画表現的に内面を窺えないキャラであることを意味し、脇役に回ったことがデザインでも示されます。
  • 【第205号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その3

    2019-01-23 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、前回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●満賀にとっての「敵」とは誰か?
    また、本作の特徴の一つして、「悪人がほとんど出てこない」という点が挙げられます。
    Ⓐが描く大人向け漫画には珍しく、本作に出てくる大人は、全員善人です。しかも、善人であるばかりか、満賀と才野が漫画家になろうとするのを応援します。
  • 【第204号】藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その13 『まんが道』その2

    2019-01-16 07:00  
    220pt
    さて、今回のブロマガですが、前々々回に引き続き藤子不二雄Ⓐの『まんが道』について書かせて下さい。
    ●原型としての「あすなろ編」
    いま『まんが道』を読んで感じるのは、「あすなろ編」の完成度の高さです。
    たとえば「あすなろ編」の前半では、主人公である満賀が、同級生にも関わらず自分よりも大きな才能、高いプロ意識を持ち、努力に励んでいる才野に打ちのめされるというエピソードが、一つのパターンとして繰り返されます。