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記事 6件
  • 東大生と京大生への講演 その7

    2023-10-02 15:24  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■18■21世紀と20世紀との違いについて。多くの制約。持続可能性について。 21世紀とはどういう時代になるのだろうか。 日本の上場企業の経営者は悩んでいるはずだ。 60年代の高度成長期であれば、企業は環境意識を持たずとも、大量生産により業績の拡大を目指ぜばよかった。ところが、21世紀は、企業は、地球環境や人権意識など、広範な社会的な責任を果たしつつ、収益を確保しなければならない。収益の最大化だけを目指せばよい時代は終わった。 目先の収益の確保に走れば、従業員の大部分は派遣社員に置き換わり、社会の批判の
  • 東大生と京大生への講演 その6

    2023-09-22 11:38  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■14■DDMの2つの基底は互いに独立ではない バリエーションの理解の上で重要なことは、DDMの2つの基底(r-g)とNは、独立ではないことだ。つまり、一方、たとえば、(r-g)が株価を高めるように動くときに、もう一方、配当継続期間Nは短期化する場合と長期化する場合とに分かれる。この2つの基底はお互いに影響を与えている。 正に相関する場合と負に相関する場合とがある。■15■基底同士が負の相関 理論株価には「差」しかない 財務操作全般は、これら2つがトレードオフの関係になる。 つまり、負の相関となる。配当
  • 東大生と京大生への講演 その5

    2023-09-14 19:42  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■12■株価の理論 さて、準備体操の説明が終わった。ようやく、株の理論のことを述べよう。 まず、バリエーションに触れよう。アナリストが最初に習う理論は、配当割引モデル(DDM)である。DDM:P=d0*∫[t=0 to t=N]exp{(g-r)t}dt DDMは、r-gを一組にしたもの、だからr-gをひとつの説明要因と見なせる。後は配当の継続期間によって説明される。 この継続期間をNとする。r-gやNの2つだけを決めれば、DDMによって、理論株価が算出できる。■13■DDMの普及を阻害するもの 残念な
  • 東大生と京大生への講演 その3

    2023-09-01 14:55  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■7■アナリストとしての準備理論を学ぶ前に、アナリストがやるべき「準備体操」とでもいうべき前段がある。 それは、「よい目を持つこと」、そして、「眼を養うこと」だ。 世の中をありのままに見よう。そして、遠い過去にも、遠い未来にも思いを馳せよう。感じよう。 ありのままの世の中はなんと美しいことか。人間はなんとすばらしいことか。 曇りなき眼で世の中を見て多くのことに感動する。 そうした「よい目」を持つことはよい投資家になるための必要条件だと思う。 人は偏見を持ち、時には激しい思い込みをしてしまう。 間違った認
  • 東大生と京大生への講演 その2

    2023-08-25 15:15  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■4■理論株価は強い確信があるときのみ意味を持つ 確かに、ユニバースをすべてチェックして、すべての企業の株価と業績から理論株価を算出し、理論株価が現在の株価を上回っている度合いに順序をつけることは可能かもしれない。だが、それは、あまり意味がない。 なぜなら、ほとんどの企業は理論株価を考えるだけの強い確信度合に欠けるからだ。つまり、ほとんどの企業は「並み」の企業であり、景気などの外部環境に大きく左右される。理論株価のベースになる将来の配当列をアナリストが自信をもって書き切れない。 だから、ほとんどのユニバー
  • 東大生と京大生への講演 その1

    2023-08-09 15:39  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■1■疑問 「バイサイド」と呼ばれる機関投資家に所属し、運用の現場で日々奮闘している若いアナリストたちは四半期ごとの短期業績について膨大な時間を費やしている。それらは本当に重要なことなのだろうか。 運用の現場では、ファンドマネージャーが売りと買いの材料を「絶えず」探しているように見える。 投資の材料を「絶えず」探し回る必要はあるのだろうか。 運用対象としての株式はそんなに頻繁に売買する必要があるのか。 今日10%下落している銘柄を明日5%リバウンドするかどうか議論をする。 この議論は本質的なものだろうか