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【全文公開中】ベラトールCEOスコット・コーカー「ジャカレイやムサシがUFCからFAしたら……」

2017-04-14 01:47

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ニューヨーク初進出がPPVのビックマッチとなるベラトールCEOスコット・コーカーインタビュー。UFCを猛追するもうひとつのメジャー団体のトップは何を考えているのか？　ミルコvsヒョードルの可能性や、UFCからFA濃厚とされるジャカレイやムサシ獲りについて伺った。

――ミルコ・クロコップがベラトールと契約中のエメリヤーエンコ・ヒョードルとの引退試合をアピールしています。両者のファイトマネーや契約状況からすると、ベラトールでしか実現不可能と言われていますが、どうお考えでしょうか。

スコット　ミルコはMMAのレジェンドファイターだし、多くのファンはミルコの試合に興味を持っていると思う。ベラトールは常にエキサイティングなファイトを求めてるし、ファンが喜ぶマッチメイクを心がけている。ミルコはそういうファイターの中のひとりなので、ミルコは引退したという話はあるけれど、「まだ戦いたい」という希望があれば可能性はあるよ。相手はヒョードルになるのか、ほかの相手になるのかはわからないけども。

――可能性はある、と。

スコット　それはミルコに限った話ではないんだ。私はベラトールが成長することにフォーカスを合わせている。「ベラトールで試合をしたい」というファイターがいれば、我々はいつだってオープンなんだ。喜んで話をしたい。それは当然交渉事になるんだけどね。

――ベラトールにもメリットがあれば、ということですね。

スコット　サクセスレートはいかにいいフリーエージェント（以下FA）を獲得するかだからね。たとえば我々はぜひとも獲得したいと交渉したFAのうち95パーセントは獲得している。

――ほぼ手中に収めてるわけですね。GSPに次いでカナダ市場で人気があったローリー・マクドナルドをUFCを手放したときは驚いたんじゃないですか。なぜこんな宝物をUFCは逃すのか、と。

スコット　まあUFCには何か深い考えがあったんじゃないのかな。ベラトールのウェルター級にはチャンピオンのドゥグラス・リマをはじめ、マイケル・ペイジ、ポール・デイリーがいるから彼と契約できたことで厚みが増したことになったがね。

――UFCからFAしたライアン・ベイダーとも契約しましたね。

スコット　彼の獲得も大きいよ。ベラトールはライトヘビー級のファイターが揃ってる。チャンピオンはフィル・デービス、キング・モー、チェール・ソネンがいて、ヴァンダレイ・シウバもいる。階級を盛り上げるということは実際かなり難しいことなんだ。ひとりスターがいればいいってもんじゃない。格闘技はひとりではできないだろ。対戦相手が重要だ。

――たしかにそうですね。あなたと関係が深かったK-1もヘビー級とミドル級（70キロ以下）の２つのカテゴリーが中心でしたが、魅力的なファイターが何人も揃っていました。

スコット　そういうことだ。ここに名の知れたライアン・ベイダーが加わることでライトヘビー級の魅力がさらに増すということになるんだよ。

――いまの日本に置き換えれば、RIZINはフライ級に力を入れやすいということですね。

スコット　フライ級の堀口恭司はRIZINと契約しただろう？　堀口は日本人ではベストのファイターだろう。私も興味があった。ただベラトールにはフライ級が現時点ではないから、彼と契約した場合はバンタム級でのファイトになっただろう。

――堀口選手もそのつもりだったようですね。

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スコット　RIZINにはフライ級の選手が揃ってるから、彼にとってはベストチョイスだったんじゃないか。

――なるほど。RIZINのフライ級にはまだベルトは作られてないですが、堀口選手が頂点という見立てをすれば、フライ級という世界観ができあがりますね。

スコット　そこなんだよ。ベラトールはトップダウン方式で有名な選手を獲得しながら、ボトムアップで新しいタレントも育てていく。ローリー・マクドナルドやライアン・ベイダー、マイケル・マクドナルドはトップダウンに当たる選手たちだ。彼らはビックネームだから、とにかくファンは試合を見たがる。そのファイターと絡むことで新しいタレントの知名度も上がっていくし、層の深さを見せられるんだ。そうやって階級を固めていきたいと考えているんだよ。

――UFCからFAしそうなファイターがまた現れそうです。GSPのミドル級王座挑戦により（マイケル・ビスピン戦）、タイトルショットが遠のいたミドル級のファイターたちです。契約満了したホナウド・ジャカレイやゲガール・ムサシは新たな契約をUFCを結び直すか、それとも……。

スコット　ジャカレイもムサシも私がやっていたストライクフォースでチャンピオンだったファイターだ。昔から仕事をしていたし、いい関係だよ。もし彼らがベラトールに興味があれば、もちろん我々は喜んで話はする。彼らが来ることになれば、ミドル級の層が厚くなるからね。

――ミドル級が“売れる”階級になるんですね。

スコット　そうなればミドル級は面白くなる。ウチのミドル級には日本人の加藤久輝がいるけど、彼はボトムアップだ。結局レジェンドだけを集めても発展がないし、下だけ集めてもインパクトに欠ける。両方埋めてこそ階級として健全に機能していくんだよ。

――ベラトールはレジェンド対決についつい目を引きますが、新人育成も順調ですね。

スコット　私が2014年にベラトールCEOに就いたときに、まず手を付けなきゃいけないと考えたことは、新しいファイターを育てるということだった。だからレスリングで実績があったファイターたち数名と契約したが、その一方で数字を獲れるファイターも獲得できたことでバランスがよくなっていったね。６月24日のベラトール初のニューヨーク大会は“売れる”カードが揃ったからPPVをやろうと決めたんだ。メインイベントのチェール・ソネンvsヴァンダレイ・シウバの２人はMMAというスポーツの中で偉大な名前だし、公共の場でお互いに罵り合っている。それも５年近くだ。ベラトールのために５年間もプロモーションしてきてくれたんだよ（笑）。

――ハハハハハハ！　もともとはUFCでTUFコーチ対決をするはずだったのに（笑）。

スコット　もうひとつあのヒョードルが出場する。ヒョードルもMMAの歴史に名を刻む偉大なファイターだ。対戦相手のマット・ミトリオンはフィニッシュ率が高いファイターで、ヒョードルが対戦を望んだんだよ。

――盛り上がる試合になることは間違いないと。

スコット　ヒョードルがベラトールに出る意味合いは凄く大きいよ。ヒョードルのことを尊敬しているMMAファイターは多い。ヘビー級の中では決して大きくない身体で世界最強の地位を築いた。そのレジェンド中のレジェンドがベラトールに上がってくれることは、ほかのファイターたちも意気に感じてプラスになることだろう。

――ヒョードルと同じステージにいると士気が上がるというわけですね。

スコットベラトールはこれまでフリーテレビでやってきたが、ベラトールのブランド力は高まってきているので、今回のようなPPVに見合うカードが組めた。ただし毎月のPPVイベントはまだ難しいね。今回のニューヨーク大会はファイトマネーを含めたら10億円以上はかかるから。

――UFCも思ったようなカードが組めずに苦戦してる印象があります。ここ最近はベラトールの路線に寄せてビジネス重視になってると思わないですか？

スコット　まさにそのとおりだと思うよ（笑）。昔のUFCではCMパンクが試合をするなんてありえなかったし、エンターテイメント的にはなってきてるよね。でも、UFCには彼らなりのやり方があって、我々にも我々のやり方がある。たしかに似てるけど、違うんだよ。我々はファンは何を期待してるのかを考えてる。そしてファイターがどうすれば輝くかを考えてやってるからね。

――UFCは下降気味という見方はありますが、どう思われますか？

スコット　我々がフォーカスしてるのは次のビッグイベントをどう成功させるかなので、あまり気にしていないね。ひとつだけ言えることは、いまのベラトールに大きな追い風が２回も吹いてくれた。その１回はUFCがリーボックと独占契約を結んだことだ。あのシステムによりUFCファイターは自由にスポンサーを付けることが難しくなった。もうひとつは前オーナーのロレンゾ・フェティータがUFCを売ったこと。UFCの売却額が表に出たけど、あの数字を知ってファイターたちはさらに不満を口にした。

――ファイターにもっと還元されてもいいはずだと。

スコット　その風を受けてベラトールにやってきたファイターたちもいる。そして今回のニューヨーク大会だ。いままでのベラトールの中で一番大きい大会を、世界で一番有名なアリーナで行う。その結果から、いまベラトールがどの位置にいるか確認できるだろうね。

――以前日本大会開催の意向を口にされましたが、現状はどうでしょうか？

スコット　いまベラトールは世界各地でイベントを行っている。常に新しい開催地を検討しているし、もちろん日本でもやりたいと思ってるが、できもしないのに「やる」とは言うのはファンに失礼になるからね。日本でベラトールを応援してくれるスポンサーやパートナーがいれば、いつでもやりたいと考えてるよ

――選手を派遣していたRIZNとの関係はどうなってますか？

スコット　今日現在ベラトールのファイターがRIZINで試合をする予定はないよ。ただ我々はオープンなので、ベラトールのファイターによって有意義な話があれば、ぜひ日本にファイターを送り込みたいね。

――わかりました！　ではニューヨーク大会を楽しみにしています。

スコット　物事というものは、同じ状況が続くことはないんだ。良くなるか、悪くなるか……このMMAのシーンがどう変わっていくのか。ベラトールは間違いなく大きくなるから楽しみにしていくれ。

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