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『子は生きていてくれるだけでいい』を超えて
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『子は生きていてくれるだけでいい』を超えて

2017-09-08 16:25
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     先週のコラムで「オール5が望ましい」というコメントを読んだ読者から、「厳しすぎてびっくりしてしまった」とのフィードバックをいただきました。
     なかなか短いコラムの中では真意は正確には伝わらないものです。

     子供に義務教育の内容を身体で会得するレベルは試験では満点なのだから、満点が望ましい。
     そして、満点ならば、内申書は5段階で5になるはず。
     義務教育の内容ぐらいはしっかり理解することがこれからの高校生活を送る上で「望ましい」。

     望ましいと「伝える」。
     そして、満点ではなくて、ミスをする人間だから9割の得点をとることが望ましい、という形で相当なレベルダウンをした上で、
    「テストでは90点以上が望ましいぞ」と伝える。

     そして、「伝える」ことは強要したり命令したりすることではありません。
     あくまで、自主的な判断を下すのは子供自身です。
     低いハードルで「とにかく生きてておくれよ」という愛情ベースがあって、もし、やる気があるならば、こういう世界もあるよというプラスアルファの提示を見せる。

     この幅広い、低いハードルと高いハードルの二つを同時に「見せる」ことに苦心することが子育てではないでしょうか。


     褒めて育てるか、叱って育てるかの愚かしい二元論に陥らないようにわたしは注意しています。

     わたしは叱りません。叱る代わりに高いハードルがあることを子供に認識させるようにしているのです。


     見ろよ、日本代表のサッカー選手、後半ロスタイムで全力疾走する姿を。
     見ろよ、五輪の体操選手のウルトラDの技とその着地を。
     見ろよ、あのピアニストの超絶技法を。

     同じ人間として、長期にわたる継続的な努力だけが到達できる世界をたくさん子供に「見せる」こと。

     そして、「やる気さえあれば、お前もあの世界に到達することは可能である」と伝えることを子育ての主軸をしてきたのです。


     そうしなければ、子供は、平均点をとれば、ああ、平均だったと安心してしまい、それ以上の努力はしなくなることがあるからです。
     平均ではなくて理想を求めることで人間は進化していくのではないか?

     子供にはただ、理想を「伝える」。

     ですから、「子供は生きててくれるだけよい」と「子供はオール5が望ましい」の二つの主張は同時に成り立ちます。

     愛情をベースにした、ダントツに低いハードルで子供に絶対的な安心を与えることも大事でしょう。


     一方で、世の中の役に立つ人材を育成するためには、子供には継続的な努力の価値を伝えることもすべきだと思うのです。


    ===  低いハードルと高いハードルの二つ用意 ===


    「子どもは生きていれくれればそれでいい」

     そう、わたしの妹が正月の集まりで妻に言ったそうだ。

    「本当にそうだね」と親族みんなが頷いた。

     翌日の新年の集まりで義父母とお会いしたとき、妻がみんなに妹の言葉を披露したときのことだった。

    「子どもは生きていてくれればそれでいい」

     この低いハードルが親の愛の本質なのかもしれない。
     溢れる愛情の裏返しなのかもしれない。

     親は、ただ、環境を整え、子どもを暖かく見守るだけでよい。

     ハードルは低く。じっと見守る。

     ハードルが低ければ、親だって精神的に楽になるはず。
     親がゆったりしていれば、子どもは安心するはず。

     知らないうちに、子どもは大きくなる。
     そして、親に言われなくても、いつか、何かに熱中することになる。
     子どもの自我が目覚めるまで、そっとしておきたいものだ。


     妻は、これを「我が家の究極の放置プレー」といっている。


    === 高いハードルについて ===


     ただし、わたしは父親であるから、子どもには厳しい現実を伝える。

     世の中の状況を伝える。
     伝えることは事実であり、決して、子どもの言動の否定ではない。

     たとえば、期末テスト。
     義務教育の内容については、9割をテストでとらなければ身についたことにならない。

     これは事実だ。

     テストについては、平均点という考え方を否定する。
     絶対的な水準として9割をとることが理想であることを伝える。

     とれ、とは言わない。
     9割を目指すという考えがあるんだぞ、と子供が想像していない世界を想像させるのだ。

     そして、中学生になったら、一年生の冬休みに学習塾に行く権利を与える。
     それを夏休みに前もって言っておく。

    「冬休みにもう一度、聞くから、YESかNOで返事をそれまでに考えておけ」というのだ。

     塾へ行く権利について、そして、それは自分の将来や行きたい高校について、本人に少しでも熟考させるためだ。


     都立日比谷高校などの入試は独自作成の問題であり、そういう都立高校がいくつかあると伝える。
     それらに行くつもりならば、独自問題入試を突破するための学力と演習時間が必要だと伝える。

     どの道を選んでもよいが、独自作成の高校を目指すならば、準備時間が必要だということを伝える。

     そのひとつの目安が中一の三学期からの準備ということは、長男、次男の受験を経験して、受験のタイムリミットがなんとなくわかっているからだ。


     我が家は小学校のときに勉強を全くさせない。
     あえて、ゼロ時間。
     中学受験はしない。
     英語ではbもdも区別ができないまま夏休みを終える。

     だが、悪いテストの点を意図的にとらせるのが僕の作戦であり、一学期の期末テストでは我が家の子どもたちはよい点はとれない。
     中一の一学期は、学校と部活に馴染むことを優先すべきだからだ。
     要するに、勉強よりも、友達作り、体力つくり。
     まず、友達とたくさん遊ぶことだ。

     もし、独自作成ではない高校に行きたいといえば、それでよい。

     小さいときに、音楽をしなければ絶対音感はつかない。
     それと同じで、入るのが難しいところを目指すなら、少し早めに準備が必要になるのは当たり前のことだ。
     入りたい人の2分の1しか入れないならば、競争に勝たなければならない。

     それが理屈だ。

     その現実を中学3年生になってから伝えるのではなくて、中一の夏に話すのはフェアだと思う。

     でも、あくまでも、それは子どもの意思に任せている。
     やる気のないことをやらせても、親も子もつまらない。

     低いハードルと、厳しい現実の選択肢と。
     厳しい道も選択肢として示すが、それを避けてもよい。
     逃げ道も用意する。


     たとえば、三男は、小学校のとき、野球やサッカーやバスケに興味を示さなかった。
     それはそれでやりたくないものを強要はしない。
     三男は土日にゲーム三昧の毎日であったが、それはそれでよいのだ。


    ===子供は親ではなく、兄弟や友達から学ぶ===


     見ていて面白いのは、兄弟間の競争の激しさである。
     長男が中学校で野球部のキャプテンをやる。
     すると、次男も同じようにキャプテンをやる。
     長男がテストでよい成績をとれば、次男もそれなりに勉強を頑張る。

     すると、三男は、中学校で「あの長男の弟」と「あの次男の弟」という触れ込みや期待の眼差しの元、兄たちの同じ区立中学で育てられる。
     みんなからの期待があるから、期待により勝手に育つ。
     つまり、親からのプレッシャーではなくて、兄弟からのプレッシャーで育つのだ。


     子は、親ではなくて、兄弟や友達からほとんどのことを学ぶ。

     わたしは、子どもを怒りもしない。
     兄弟が喧嘩をしても、口を出さない。
     友達と喧嘩をしても、アドバイスをしない。
     大いに悩んで大いに苦しめばよいと思っている。

     ただし、「おい、なにがあっても、死んではダメだぞ」とだけ、いうようにしている。
     あと、そっと、子どもが興味のある分野の本などを家に置いておくようにしている。


    === 応援するのみ ===



    「子どもは生きていてくれればそれでいい」
     その通り。それは正しいから、それを認めつつ、新しい挑戦を重ねましょう。

     プラスアルファとして、子供に自活力(稼げる能力とやる気)を身につけさせるのも親の務めだと考えている。

     生きる力は、人間の本来の最も強い欲求であり、兄弟への対抗意識であり、競争本能。

     子の生存意欲を削がないためにも、
    「子どもは生きていてくれればそれでいい」
    という低いハードルと厳しさという高いハードルとを提示をする。

     長期に渡り継続的な努力をする対象を、いつ、子供が見つけてくれるのかは、本人次第です。

     だから、親は子に「やりたいことを自ら見出して欲しい」と伝えるのです。
     やりたいことが見つかったら、それを応援するよ、と。


    プロフィール 山本 潤

    NPOイノベーターズフォーラム理事。
    メルマガ「億の近道」執筆17年間継続。
    1997-2003年年金運用の時代は1000億円の運用でフランク・ラッセル社調べ上位1%の成績を達成しました。
    その後、2004年から2017年5月までの14年間、日本株ロング・ショート戦略ファンドマネジャー。
    みんなの運用会議では、自分のおカネを10年100倍の資産運用を目指している。
    コロンビア大学大学院修了。
    法哲学・電気工学・数学の3つの修士号を持っています。
    (社会人学生として数学科博士後期課程在籍中)


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    ライフワークとして、ポストドクター支援や子育て支援やタダ塾を応援しています。
    なぜかといえば、子供4人いまして、「超」教育熱心な父親だからです。

    高い目標と高い学力と高い生産性は人生をたくさん生きることになるので、それらに重きを置いています。
    思いやり、強さ、権力に立ち向かう勇気は、お金と体力と学力と生産性に余裕があって、なおかつ、志の高さによって養われるからです。
    これも、世の中を変えるためというよりは、わたしの生き方を肯定するため、
    つまり、自己満足のためです。

    組織論、リーダーシップ論は、子育てから学びました。
    以下、お金をかけない教育については、わたしの億の近道のコラムをご参照ください。

    イノベーターズ・フォーラムでは、公教育だけで塾なしで難関国立大へ合格できる格安子育て、無料子育てを紹介しています。ボランティアでコラムを執筆しています。

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    http://www.kidsdoor.net/otona/receive/index.html

    キッズドアの活動は寄付で成り立っています。寄付もどうかお願いします。



    最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


    スロー・インベストメント
    ~じっくり考える成長株投資~
    ファンドマネジャー 山本 潤


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

    山本潤氏の過去コラム → http://okuchika.jugem.jp/?cid=6
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