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為替市場動向~特別薬の投与でも激動は続く?~
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為替市場動向~特別薬の投与でも激動は続く?~

2016-02-04 23:59
    1月後半、注目された欧米日の金融政策決定会合。そのアンカー、日銀が1月29日(またも月末の金曜日)遂に、ここまで来たか、の領域に足を踏み入れました。
     「打てる手はなんでも」と表明されていたのが、これでした。
     僅差での決定とのことで内部で議論が対立したようですが、黒田総裁は、「更に必要なら進める用意がある」と表明しています。異次元金融政策という薬は次々に強くなり中毒が進むのでしょうか。


     マイナス金利は、欧州の国では導入された経緯があり、特にスイスフラン高を防ぐために導入してきたスイスのケースは以前より知られています。欧州中銀も、量的緩和政策の一環として昨年来マイナス金利を導入しています。

     この政策は、中央銀行に預ける金融機関の口座へのマイナス金利の適用なので、銀行に持つ個人の口座に適用されるわけではありませんが、さっそく日本では一部銀行で法人口座に口座手数料を適用、MMFや個人向け国債の募集中止等により身近な影響が出ています。

     欧州諸国がマイナス金利を導入した主な目的は、自国通貨高の回避(欧州危機によるスイスフランに資金流入)、通貨高によっておこるデフレ回避です。また、金融機関が中央銀行に準備預金として積んだ預金を融資や投資に回すように仕向ける意図もあります。

     今回の日銀のマイナス金利導入も、円高を防ぐという意図が大きいと思われます。1月に入り120円台を割ったドル円相場は、世界的なリスク回避のマー ケットの中で一時115円台をタッチしました。115円台は日本の輸出企業の想定為替レートの平均。この115円水準を攻防することを示したということで しょう。
     また、原油価格下落により危うくなってきた物価目標達成のための円安でもあるでしょう。
     その他、銀行に融資、投資を促すという目的もあるとされますが、既に市場が銀行株売りに動いているように、今後の株式市場に影を落としていく可能性があります。

     また、すでに発行額の30%以上を日銀が保有している日本国債市場。
     直近の10年債の利回りは0.04%、5年債はマイナス0.125%、2年債もマイナス0.16%。超低水準とはいえ、国債買いが進み10年債がマイナスになるとの見方も出ています。
     異次元緩和の異常さが普通になりつつある今日この頃。これに慣れ切ってしまった後に起こることが気になります。


     今回のマイナス金利導入を黒田バズーカ第三弾とすれば、2014年10月以来、1年3か月ぶりの新政策導入です。第一弾2013年4月と第二弾の間隔より4か月短いわけで、今回の政策効果次第では、次回は更に早い時期になるのかもしれません。


     そんな中で、対ドルの各通貨の年初来直近までのパフォーマンスは、ノルウエイクローネ、デンマーククローネ、ユーロ、そして日本円のみが約1%弱ほど対ドルで高くなり、その他の通貨に対してはドル高です。特に対新興国通貨ではドル高が続いています。

     米国が量的緩和を止め、年末には利上げに動きました。米国のドル供給が減り、コストは上昇。さらに、米国の銀行もドル貸出姿勢が消極的であるという影響 は、ドル調達コストを高くして、特に新興国の調達を難しくしていると言えます。新興国のドル債務返済に絡んでの市場への悪影響が出てくる可能性もありま す。この点には注目していく必要があると考えます。


     さて、ドル円相場ですが、1月はスタートが120.26、月足が陰線になるかと思いきや、29日のマイナス金利政策発表により121.24で終わり、やれやれの陽線で終わりました。

     これまでの動きから考えると、115円~125円を当局は上下の攻防ラインとしているのではないかとの見方が大方になってきています。米国サイドの材料を見て、今年の利上げに対する予想は複数回から1回に、利上げ時期の市場予想は以前の3月から後へずれてきています。
     1月のFOMC米国金融政策決定会合では、経済見通しを下げました。2015年第4四半期のGDPも0.7%(年率・前期比)と予想よりも低く、雇用統計では雇用増していたものの、賃金が上昇していない等、利上げへの背景に乏しい状態が続いています。
     今年も米国の経済指標をじっくり見ていくという作業が続きます。


     米国経済指標以上に、マーケットを動かす要因として見ておかなくてはならないのが、昨年と変わらず原油価格でしょう。市場の需給、地政学的リスクだけで なく、政治的なツール(米国対特にロシア戦略)としても使われていると言われます。まさかの想定外の動きが出る可能性も否定できません。それをチャンスと できるかが今年の最大のポイントになるのかもしれません。


     最後までお読みいただき、ありがとうございました。

    *2月3日13時執筆
     本号の情報は、主に2月3日の東京市場午前中終値水準のレートを引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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