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それにしてもと
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それにしてもと

2013-11-18 18:44
    一通りの9月中間決算が出揃いましたが、円安の中での悲喜こもごもの中で、同じ輸出産業内でも優勝劣敗が見えています。自動車など輸送機器や一部の電子 部品が回復している一方、国内の家電やAVメーカーは予想以上に体力を落としていることが見て取れましたし、機械メーカーやその他輸出関連企業にしても円 安による恩恵を受けてはいるものの、ひところの勢いは感じられません。オマケに、中間期で大幅増益なのに通期では修正無しとするコンサバな(と言うより現 経営陣の保身目的の)情けない予想が目立ちます。

     その一方で土木を代表とする公共投資関連企業の増益幅は大きく、昨年末から続く復興予算の配分やアベノミクスによる公共投資が如何に急増していたかが分 かります。今下期までは余るほどの土木予算が付いていますし、増益企業のサラリーマン経営陣が少しでも前向きになれば、全体の下期業績予想はもっと伸びそ うです。

     それと同時に、最近では「節電」と言う言葉が全くと言って良いほどメディアに出て来ません。本来なら燃料費は上がっているし原発も止まったままなのです から、節電を嫌がる事業会社を除いて一般家庭を中心に節電に勤しんでもらえれば電気の安定供給面に於いても良いはずなのですが、不思議とニュースもぱった りです。
     恐らくは、日本の経常収支圧縮の最大要因である資源輸入(輸入額)が増加しても、節電などされて電力会社の収益が落ちるようでは十分な原発処理対策に金 を廻せませんし、電力会社に節約されて設備投資も落ちるとなれば産業界も困ってしまいますから、燃料費が高かろうが、大事な家計資産が海外に流出しようが 何だろうが、売電価格を上げて以降は電力会社の収益を上げる(売電量増加)ことが至上命題になっているからなのでしょう。ついでに、下手に「節電」を勧め て民間の景気好転ムードに水を差すようなことも避けたいのでしょうけど。

     官民挙げてのアベノミクス推進(景気浮揚推進)と言ったところですが、一番大事な構造改革がなかなか進展しません。ここが問題です。

     株式市場では、今期30%増益でEPS予想を900円台前半としてPER15~16倍の辺りを行ったり来たりしています。来年については強気の方が「来 期も20%増益だ!」と仰る一方、「一桁がやっと」と仰る方もいますので、両方取り入れ大凡EPS予想950円~1,100円として年明けからPER15 倍のケースで14,000円台前半~16,500円と言ったイメージでしょうか?
     それに加えて市場の資金はジャブジャブなままで市場金利も暫くは低位安定となるでしょうから、業績予想を強気に見れば、「来年のインデックスは18,000円だ」と仰る方のご意見も、まあアリかなと思っています。まさに過剰流動性相場ですから。

     私にインデックスの推移が分かる訳もありませんが、来期の公共投資予算の伸びはそれほど見込めないはずですから、そろそろ物色対象に変化が出てくるので はと。米国の中間選挙と相まった米国の景気回復と過剰流動性の継続、そして各国の景気対策が出てくるなどがあれば、来年は自動車をはじめとした輸出や設備 投資が伸びる年になるのではないかと思うのですが、いずれにしても昨今の上げ下げの激しい市場では運用もコンサバになってしまいます。
     決算発表が済んで外人(真面目な方の投資家)も年明けまで動きが鈍いとしたら、暫くは大型株よりも好決算予想や材料性のある中小型株が物色され易いので はないでしょうか。例年この時期から春頃まで石川臨太郎さん銘柄のパフォーマンスが良いですから、参考にしていきたいと考えています。

     無茶な過剰流動性供給や公共工事、輸入物価上昇などのマヤカシでインフレを目指してみたり、使い勝手の悪いNISAでお茶を濁すより、志ある政治家が既 得権に敢然と向き合い規制緩和を進め、市場では法改正や運営方法の見直しでM&Aを活発化させるなどが大事と思っています。黒字のくせにPBR0.5倍以 下で、しかも現預金タップリなんて企業は当然のごとく被買収対象になるべきだし、それにより投資家の資金効率が上がりROEが向上する市場になれば株価は 勝手に上がります。今のように日々投機資金に翻弄され一般投資家が怖くて参入できない市場ではローカル投資家が育たず、結果として呑気な経営者が居座るこ とで国内産業も低迷を続けます。
     某メガバンクなどはその最たる例で、監督当局と株主が優しいのをいいことに、いつまでもお友達経営気分が抜けきらず弛みきっていました。食品偽装が次々 と明らかになっている有名ホテルやレストラン、ネット販売や電子化を嫌がる医療・薬品業界も同様ですね。食品や医療関係も監督当局との癒着で腐り切ってい ますから、消費者にはこの手の事件は想定内なのではないでしょうか。

     今年新しく発足した取引所(JPX)も投資家の為に働いている(経営・運営されている)と言うより、自らの利益追求ばかりを目指しているように感じま す。幾ら民間企業とは言っても、公共性が高く、今後も多額の設備投資が必要な会社のPERが30倍とは驚いています。まさか、いい加減株価を上げたところ でファイナンスの話しが出てくるなんてことは無いですよね。高速取引や上場誘致にばかり注目せず、取引所こそが率先して税制の整備や効率的な市場運営に力 を傾けて頂きたいと考えています。

     あと何十年かかれば票格差が是正され、構造改革が進展し、日本の明るい将来が見えるようになるのでしょう?遅くとも2020年より前までに若干なりとも光が見えてこないと手遅れになると感じます。

     それにしても、今年の株式市場は余りに激しい動きで、まるで博打場のようです。

    (街のコンサルタント)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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