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  • マクガイヤーチャンネル 第133号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その3 『のび太の宇宙小戦争』」】

    2017-08-23 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第5回として書いている「『大長編ドラえもん』と科学」その3……というか、『のび太の宇宙小戦争』の解説になります。
    この時期の『大長編ドラえもん』は初期にも増して傑作ぞろいなので、語り甲斐がありますね!
    (基本的に、藤子・F・不二雄が100%コントロールしてると思しき原作漫画版についての解説になります)。
    ●『のび太の宇宙小戦争』:『ガリヴァー旅行記』
    「宇宙小戦争」と書いて「リトルスターウォーズ」と読ませる本作のタイトルは、『宇宙大戦争』と『スター・ウォーズ』からとられています。
    しかし、本作の内容はまったく『宇宙大戦争』に似ていませんし、『スター・ウォーズ』のパロディやオマージュもわずかです(どちらかといえば本作の基になった短編『天井裏の宇宙戦争』の方が『スター・ウォーズ』ネタは多いです)。
  • マクガイヤーチャンネル 第129号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その2」】

    2017-07-26 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第5回として書いている「『大長編ドラえもん』と科学」その2……というか、『のび太の魔界大冒険』の解説になります(基本的に、藤子・F・不二雄が100%コントロールしてると思しき原作漫画版についての解説になります)。
    この『魔界大冒険』、ゲストキャラクターとして初めて年上女子ヒロイン――美夜子さんが登場し、魔界での手に汗握る大冒険が繰り広げられる『鉄人兵団』と並ぶ屈指の人気作なのですが、『大長編ドラえもん』の要素が出揃った作品でもあると思うのですよ。
    ●『のび太の魔界大冒険』:魔法と科学
    いつものようにママに怒られ、野球でミスをし、すっかり現実に嫌気がさしたのび太くん。魔法が使える世界の空想をしていたのですが、ドラえもんにもしずかちゃんにも笑われ、出木杉くんに相談にいきます。
    ここでの出木杉君の説明が奮っています。
  • マクガイヤーチャンネル 第126号 【科学で映画を楽しむ法 第5回「『大長編ドラえもん』と科学 藤子・F・不二雄とSF その1」】

    2017-07-05 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第5回として、『大長編ドラえもん』と科学について書かせて下さい。
    以前、『のび太の南極カチコチ大冒険』を扱った際の放送でも取り上げましたが、『大長編ドラえもん』は「すこしふしぎ」どころではないくらい科学的面白さに溢れた要素・仕掛け・シーンなどに溢れているのですよ。
    ●『大長編ドラえもん』とは
    『大長編ドラえもん』とは、毎年春に公開されるアニメーション『映画ドラえもん』の原作です。
    たいてい映画公開前年の夏に小学生のバイブルであるコロコロコミックで連載がはじまり、半年くらい連載が続いて、映画公開前の3月号か4月号あたりで完結します(だから春休み公開なのに劇中は夏休みだったりします)。
  • マクガイヤーチャンネル 第117号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その3」】

    2017-05-01 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前回、前々回に引き続き、「科学で映画を楽しむ法」 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)について書かせて下さい。今回で一段落です。
    前回に引き続き、
    原作漫画を『攻殻機動隊』
    95年に発表された押井守監督のアニメ映画版を『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
    先日公開されたルパート・サンダース監督の実写映画版を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記します。
    ●主人公が俺ジナルで狂った価値観を追い求める映画
    映画は、大きく二種類に分けられます。
    ・「観客が主人公に共感できる映画」
    ・「観客が主人公に共感できない映画」
    の二つです。
    で、後者の一つに、「主人公が俺ジナルで狂った価値観を追い求める映画」という定型があるのですよ。
  • マクガイヤーチャンネル 第116号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その2」】

    2017-04-24 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前回の続き、科学で映画を楽しむ法 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)その2について書かせて下さい。
    原作漫画を『攻殻機動隊』
    95年に発表された押井守監督のアニメ映画版を『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
    先日公開されたルパート・サンダース監督の実写映画版を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記します。
    ●サイバーパンクとしての『攻殻機動隊』
    89~91年に発表された『攻殻機動隊』は、SFとしてそれほど目新しい話では無かった――という話は以前書きましたが、もう一度書きますよ。
    http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1056869
    「脳を部分的に機械化したサイボーグがネットを介してハッキングし合う」という話はウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングなどのサイバーパンク作家が既に書いていましたし、「知的生命体が進化すると生身の身体を捨て去り意識だけ情報だけの存在になるのでは」という話はアーサー・C・クラークが『幼年期の終わり』や『2001年宇宙の旅』で50、60年代から発表済みでした。科学技術や社会システムが発達した世界で、肉体のどこまでが「自分」なのか、「自分」とはいったい何なのか――すなわち実存の問題は、SFというジャンルでいえば(『ブレードランナー』の原作者である)フィリップ・K・ディックが、もっと広い文学という分野でいえばカミュやサルトルといった実存主義作家たちが既に扱ってきたものでした。更にSFでは、「人間とは何か」をテーマとするために、機械のような人間や、人間のような機械(サイボーグやAI)を扱うのはごくごく普通のことでした。
  • マクガイヤーチャンネル 第115号 【科学で映画を楽しむ法 第4回「『攻殻機動隊』と『シャブ極道』 我々はどこへ行くのか その1」】

    2017-04-17 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第4回として、『攻殻機動隊』(と『シャブ極道』)について書かせて下さい。
    『攻殻機動隊』は、原作は89年、映画は95年と、どちらも20年以上前に発表された作品です。テクノロジーやサイエンスの面から含めて、散々っぱら色んなところで語られ尽くされたので、今更ここで書くつもりも無かったのですが、状況が変わりました。


    ●実写版『攻殻機動隊』――『ゴースト・イン・ザ・シェル』への違和感
    先週4/7にハリウッド製の実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』が公開されました。

    00年代以降、CGIが発達&チープ化し、「絵に描いた餅をそのまま動かせる(押井守)」ようになりました。漫画やアメコミを実写化する作品も増えてきました。『アベンジャーズ』のような成功作もあれば、『ドラゴンボール』や『進撃の巨人』のように失敗したものもあります。
    日本漫画に限っていえば、失敗作が多いわけです。だから、『ゴースト・イン・ザ・シェル』もそれほど期待していなかったのですが、実際に観てみてびっくりしました。まさかこんな映画が今作られるとは……というくらい、古びた映画だったのですよ。
  • マクガイヤーチャンネル 第110号 【科学で映画を楽しむ法 第3回「『静かなる決闘』と梅毒 その3」】

    2017-03-13 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第3回「『静かなる決闘』と梅毒」の最終回になります。
    ●恭二の慟哭
    恭二にとっての梅毒――本作にとっての梅毒が、いったいどんな意味を持っているのか、
    「医者だって人間でしょう?」
    と更に尋ねる峰岸に対して、恭二は慟哭します。
    「あの人が他のものになってしまった今日、おそらく何もかも諦めることができると思ってたんだが……駄目だ!」
    (中略)
    「考えてみりゃ、僕の欲望なんて奴は、かわいそうな奴さ。
    戦争が始まる前は若い潔癖な感情で、ただぎゅうぎゅう押えつけていた。
    戦争中は、帰りさえすれば平和な結婚が待っている、美佐雄さんが待っててくれてるって、言い聞かせながら押えつけていた。
    ところがある日、僕の体は、破廉恥な男の汚れた血液のために、なんの享楽もなく汚されてしまった」
  • マクガイヤーチャンネル 第109号 【科学で映画を楽しむ法 第3回「『静かなる決闘』と梅毒 その2」】

    2017-03-06 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、科学で映画を楽しむ法 第3回「『静かなる決闘』と梅毒」の続きになります。
    ●黒澤映画と女
    黒澤明といえば、「女を描くのが不得意」などと言われた時期がありました。黒澤の過去作を観るのが難しかった時代です。
    しかし、『我が青春に悔いなし』の原節子や、『素晴らしき日曜日』の中北千枝子などをみると、そんなことは全くないというのが分かります。この原節子も中北千枝子も、ヒロインとして魅力たっぷりです(中北千枝子は原節子ほど美人じゃないのに!)。黒澤の女優に対する恋というか、「萌え」を感じます。
    黒澤明が女性を描かないようになった理由はおそらく、三船敏郎に出会ったからです。『酔いどれ天使』も『野良犬』も『用心棒』も『七人の侍』も、闇市を野良犬のように彷徨したり包丁を投げナイフのように投げたり半ケツで刀を振るったりする三船敏郎無しでは成立しませんし、志村喬演じる年長者に自分を仮託しつつ、三船に対する恋ごころのようなもの――「萌え」をどの作品にも感じてしまいます。
  • マクガイヤーチャンネル 第107号 【科学で映画を楽しむ法 第3回「『静かなる決闘』と梅毒 その1」】

    2017-02-20 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、久しぶりな「科学で映画を楽しむ法」第3回として『静かなる決闘』について書かせて下さい。
    ●はじめに
    『静かなる決闘』は世界の黒澤明が1949年、約70年前にに監督した作品です。黒澤にとって8本目の劇場用長編映画であり、三船敏郎を主演に迎えた2本目の映画です。
    主人公は医者なのですが、軍医として参加していた戦時中、手術中の事故で梅毒に感染してしまいます。戦後も梅毒は治らず、婚約者に梅毒感染も結婚も申し出ることができず、思い悩む……というのが基本的なストーリーです。
    古い映画なのでご存知無い方もいるかもしれませんが、この映画、ある時期までの感染症、それも梅毒を描いた映画として実に正しい描写に溢れているのですよ。
  • マクガイヤーチャンネル 第93号 【科学で映画を楽しむ法 第2回:『コンテイジョン』――科学的正確さと映画的面白さの両立―― その3】

    2016-11-14 07:00  
    さて、今回のブロマガですが、前回の続き――科学で映画を楽しむ法 第2回:『コンテイジョン』――について書かせてください。
    ●いや増す「この世の終わり」感
    不穏な音楽と共に、「この世の終わり」感がどんどんいや増してきます。
    マリオン・コティヤールは、仲間だと思っていたスン・フェンに拉致され、軟禁されます。故郷の村で感染者が発生し、スン・フェンは治療法を求めているのです。しかし、ワクチンも抗ウイルス薬もこんな短時間ではできないので無駄骨です(ということが、CDC内の模様もみている観客には分かります)。おそらくスン・フェンはネットの陰謀論、それもジュード・ロウに代表される嘘に惑わされているのです。
    ただ「我々は列の最後尾だ」は本当です。スン・フェンが連れて行く故郷の村は、みるからに貧乏そうなアジアというイメージで満載です。こんな村、本当に香港にあるのかどうか疑問ですが、中国の貧乏な村をイメージしているのかもしれません(特別行政区である香港から中国国内への移動は厳しく、国境を越えるのとほぼ同じ扱いになります)。どんなに医療が発達しても、資本主義的格差からくる医療格差が厳然と存在しているのです。
    フィッシュバーンには、(デイモンの妻がトランジットで立ち寄ったシカゴのある)イリノイ州選出の議員がワシントンで発病し、イリノイ州の空港も道路も証券取引所も閉鎖されようとしていることが知らされます。大統領は安全のためにシークレットサービスが居場所を不明にしているそうです。これは、完全な非常事態であることを示しています。新型インフルエンザの時もここまでの状況にはなりませんでした。
    「これが明らかになればパニックになるので公式発表まで伏せる」と言いますが、公式発表されてもどうせ少なからぬパニックがおこります。