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記事 26件
  • マクガイヤーチャンネル 第196号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その11 『少年時代』その1】

    2018-11-21 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、藤子不二雄Ⓐの『少年時代』について書かせて下さい。
    ●『少年時代』とは当時の少年漫画
    「藤子不二雄Ⓐと映画と童貞」というタイトルの本連載ですが、『少年時代』を外すわけにはいきません。
    『少年時代』は78年の夏から79年までの一年間「週間少年マガジン」に連載された作品なのですが、『少年時代』は作家 柏原兵三の自伝的小説『長い道』を漫画化したものです。そして、『少年時代』はⒶ作品の中では珍しく実写映画化されました。それも、Ⓐ自らがプロデューサーとなって。
    舞台は太平洋戦争の末期、昭和19年の夏、主人公は小学5年生の風間進一です。東京から富山へ縁故疎開した進一は、進藤武(通称タケシ)という少年と親友になります。タケシは級長であり、番長であり、同級生の中でリーダーを通り越して権力者的存在でした。放課後、二人だけの時は親切に接してくれるのですが、学校や他の同級生がいる前では新一に対し常に冷たい態度で接します。やがてタケシに対してクーデターが起きるのですが……というのが『少年時代』のあらすじです。
    このあらすじは原作小説『長い道』、漫画『少年時代』、映画『少年時代』の三作品で共通しています。
  • マクガイヤーチャンネル 第194号 【『藤子不二雄Ⓐ展 -Ⓐの変コレクション-』レポート】

    2018-11-07 07:00  
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    さて今回のブロマガですが、現在六本木ヒルズ展望台で行われている『藤子不二雄Ⓐ展 -Ⓐの変コレクション-』に行ってきたので、レポートしつつみどころについて紹介させて下さい。
    六本木ヒルズの展望台で行われるイベントは微妙なものが多い――というのを以前(実質的に鈴木敏夫大博覧会だった)『ジブリの大博覧会』レポート(http://ch.nicovideo.jp/macgyer/blomaga/ar1086126)で書きました。ですが、『藤子不二雄Ⓐ展』はどうしても行かざるをえません。今、本ブロマガでⒶの作品解説を連載中なこともありますが、なによりもⒶの「変コレクション」を実際にこの目でみる機会なんてそうそうないからです。
  • マクガイヤーチャンネル 第192号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その10 『愛ぬすびと』と『愛たずねびと』その2】

    2018-10-24 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、前々回に引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、『愛たずねびと』について書かせて下さい。
    ●『愛たずねびと』とは
    「ここに二通の書類がある
    一通は茶色で、もう一通は緑色である
    二通の書類はちょっと見ると書式がほとんど同じで、色の違い以外、同じ書類に見えるが、この二通は全く違うのだ
    茶色の方は婚姻届で、緑色の方は離婚届けである」
    「人はお互いに相手を誤解することによって結婚し、やがて相手を理解することによって離婚する……」
    ……『愛たずねびと』はそんな衝撃的な文章によるナレーションではじまります。『愛ぬすびと』の翌年、1974年に「女性セブン」に連載された「愛シリーズ」の第二弾です。
  • マクガイヤーチャンネル 第190号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その10 『愛ぬすびと』と『愛たずねびと』その1】

    2018-10-10 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、久しぶりに藤子不二雄Ⓐ作品、それも『愛ぬすびと』について書かせて下さい。
    ●藤子不二雄Ⓐの最高傑作とは
    「藤子不二雄Ⓐの最高傑作はなにか」
    この問いに答えるのは、実のところかなり難しいです。
    「藤子・F・不二雄の最高傑作はなにか」という問いならば、答えるのは簡単です。『ドラえもん』と答えておけば間違いありません。勿論、『モジャ公』や『エスパー魔美』や沢山あるSF短編のどれかを推す声も挙がるでしょうが、『ドラえもん』は長期連載作であり、『大長編ドラえもん』のおかげでバリエーションも多く、深刻なマンネリにも陥らず、『モジャ公』や『エスパー魔美』やSF短編の要素も内包しているからです。アニメ化も映画化もされ、知名度や後のマンガやアニメ、サブカルチャー全体に与えた影響も大きいです。
  • マクガイヤーチャンネル 第181号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その9 『魔太郎がくる!!』その4】

    2018-07-25 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、『魔太郎がくる!!』について書かせて下さい。
    ●ジオラマにみるⒶとFの世界観の違い
    前述したとおり、連載が進むと、単に「限度を越えたいじめを受けた魔太郎が、凄惨な方法で復讐し、恨みをはらす」話だけではなくなってきます。
    悪霊や悪魔といった人外の存在が敵になる話はつまらないのですが、魔太郎が「恨み念法」も「黒魔術」も使わず、ライバルである切人も出てこない話には不思議な味わいがあります。
    たとえば「うらみの56番 ガラスの中の別荘」がそれです。
    夏休みにどこにも連れて行ってもらえない魔太郎は、「怪奇や」の主人からガラス箱の中に入った海辺の別荘のジオラマを貰います。夜中の12時にガラス箱のカバーをとってジオラマを覗き込むと、ジオラマの世界の中に入り、その中で遊ぶことができるのです。
  • マクガイヤーチャンネル 第180号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その9 『魔太郎がくる!!』その3】

    2018-07-18 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、『魔太郎がくる!!』について書かせて下さい。
    ●『魔太郎』と映画
    『魔太郎がくる!!』は1972年7月17日号から1975年11月24日号まで、3年と4ヶ月にわたって連載が続きました。
    1年や2年で連載が終了した『黒ベエ』や『狂人軍』とは異なるわけですが、これだけ長期連載作になってくると――長期連載されたⒶ作品に共通の現象なのですが――連載途上で作風に変化が生じてきます。
    もっと直接的に書けば、初期コンセプト「限度を越えたいじめを受けた魔太郎が、凄惨な方法で復讐する」からのブレが生じてきてしまうのです。
    この理由の一つはマンネリズムに陥らないようにしようという作家の意思ですが、他にも理由があります。
    以前、親しくさせて頂いている漫画家の山田玲司さんが「長期連載作になるとその人の本音や素性が出てきてしまう時がある」というようなことを仰っていました。
  • マクガイヤーチャンネル 第177号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その9 『魔太郎がくる!!』その2】

    2018-06-27 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、それも『魔太郎がくる!!』について書かせて下さい。
    ●封印された『魔太郎』
    有名な話ですが、『魔太郎がくる!!』には「封印」された部分があります。
    これまでに世の中に出た『魔太郎』の単行本は5レーベルあります。
    ①『週刊少年チャンピオン』での『魔太郎』の連載に合わせて1973年から順次刊行されていった秋田書店チャンピオンコミックス版『魔太郎がくる!!』全13巻。
    ②1984~91年にかけて刊行された中央公論社による藤子不二雄全集の意味合いを持つ「藤子不二雄ランド」レーベルで刊行された『新編集 魔太郎がくる!!』
    ③1997年から、②をほとんどそのまま文庫化する形で刊行された中公文庫コミック版『魔太郎がくる!!』全8巻
    ④1999年から「本家」である秋田書店から再度刊行された『新装版 魔太郎がくる!!』全12巻
    ⑤2004年から、②を再刊する形で刊行された「藤子不二雄Ⓐランド」版『新編集 魔太郎がくる!!』全14巻
    各レーベルごとに収録話数に細かな違いがありますが、これらは大きく2つに分けられます。初出時ほぼそのままといえる①と、時代に合わせて削除・書き換えが行なわれた②~⑤の2種類です。
  • マクガイヤーチャンネル 第176号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その9 『魔太郎がくる!!』その1】

    2018-06-20 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、それも『魔太郎がくる!!』について書かせて下さい。
    ●『魔太郎がくる!!』とその魅力
    『魔太郎がくる!!』は1972年から1975年まで「週刊少年チャンピオン」で連載された藤子不二雄Ⓐの代表作の一つです。藤子不二雄Ⓐについて詳しくない方でも、本作の名前やキャラクター、「コノウラミハラサデオクベキカ」というきめ台詞を知っている方は多いのではないでしょうか。
  • マクガイヤーチャンネル 第172号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その8 『黒ベエ』】

    2018-05-23 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、それも『黒ベエ』について書かせて下さい。
    ●「居候漫画」としての『黒ベエ』
    藤子作品で『黒ベエ』と聞けば、藤子・F・不二雄の『ジャングル黒べえ』を思い浮かべる方も多いでしょう。『ジャングル黒べえ』は一時期「封印作品」として出版されなかった時期がありましたが、そのせいで知名度が逆に高まりました。アニメ化されておらず、連載期間もわずか一年であった『黒ベエ』は、比較的マイナーな作品といえるでしょう。
    ですがこの『黒ベエ』、実は藤子不二雄Ⓐという作家のエッセンスが全て詰まっているかのような作品なのです。
    『黒ベエ』は1969年から一年間「週間少年キング」で連載されました。直前まで連載されていたのはキング版の『怪物くん』です。
    『怪物くん』の後作品と聞くと、子供向けののんびりした作品かと想像する人もおられるかもしれません。
    たしかに『黒ベエ』の主人公黒ベエとその相棒にしてペットであるハゲベエには、怪物くんやお供の三人のように、「居候もの」漫画のキャラクターのような趣もあります。念力や影を操る能力を持つ黒ベエは明らかに異世界からやってきたキャラクターですし、ハゲベエはハゲタカにしては知能が高すぎます。また、黒ベエとハゲベエが毎回異なるゲスト――人間と絡むことでお話が展開していきます。
  • マクガイヤーチャンネル 第171号 【藤子不二雄Ⓐと映画と童貞 その7 ブラックユーモア短編その2】

    2018-05-16 07:00  
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    さて、今回のブロマガですが、引き続いて藤子不二雄Ⓐ作品、それもブラックユーモア短編について書かせて下さい。
    ●分類とテーマ
    藤子不二雄Ⓐはこれまで約60編のブラックユーモア短編を描いています。連載版『黒ィせぇるすまん』や『夢魔子』や『戯れ男』『番外社員』などの連作(短期連載作)を含めれば、100編以上になるでしょう。
    藤子不二雄Ⓐが描くブラックユーモア短編はバラエティに富んでいます。
    前回紹介した『内気な色事師』、『なにもしない課』、『明日は日曜日そしてまた明後日も……』そして前回紹介し忘れましたが『ハレムのやさしい王様』のような社会問題を予見したかのようなサイコホラーの他に、
    『黒ィせぇるすまん』や『赤紙きたる』のような不条理ホラー、
    『禁じられた遊び(修正前)』や『田園交響楽』や『水中花』のような超自然的現象を完全に除いたホラー、
    『不思議町怪奇通り』や『社長幼稚園』のようなナンセンスギャグ、
    かと思えば『コレク太の変コレクション』や『大恋愛』のようなブラックだけれども対象年齢低めの短編、
    『無邪気な賭博師』や『魔雀』のようなギャンブルもの、
    『カタリ・カタリ』や『赤毛布漂流記』シリーズのような旅行もの、
    『ひっとらぁ伯父サン』や『シンジュク村大虐殺』のような風刺精神たっぷりだけど、それだけではない短編、
    『北京填鴨式』『毛のはえた楽器』『わが分裂の花咲ける時』『野蛮人』のような、過激な描写が問題となったのか単行本未収録や後の修正を余儀なくされた作品(これには『禁じられた遊び』も含まれますが)
    ……と千差万別です。