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記事 21件
  • エル・リンダマンのグレイトなプロフェッショナルインタビュー

    2024-08-27 11:00  
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    GLEATのエル・リンダマン11000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・00年代の怪しい目撃者“Show”大谷泰顕■松澤チョロの「脱線プロレス」
    ・日本とアメリカの女子プロレスを変えたブル中野■斎藤文彦INTERVIEWS
    ・【プレイバック】アポロ菅原 SWS鈴木みのる戦シュートマッチ全真相1万字インタビュー
    ・【プレイバック】“日本の陽気な奴ら”JJジャックス解散の理由■AKIRAインタビュー③
    ――この暑い中、スーツですけど、普段の取材はいつもそうなんですか?
    リンダマン 日常的にGLEATのTシャツやジャージを着るようにしているんです。今日もGLEATのジャージを着ようか迷ってて。他の選手もジャージでインタビューを受けることが多いんですけど、ボクの中で意識してGLEATのジャージを着てるつもりでも、ありきたりに見えちゃうかなと思って。
    ――服装ひとつにしても考えてるわけですね!
    リンダ ハッタリかましてます(笑)。
    ――このDropkickメルマガはMMAや格闘プロレス寄りの媒体なんですけど、GLEATではリデットUWFルールもやってるのでよく拝見してるんですけど。リンダマン選手の試合はいつも面白いですし、マイクアピールがめちゃくちゃ上手だなと。プロレス格闘技の中で一番うまいんじゃないかなって。
    リンダ CIMAさんもいますし、そんなことはないですけど(笑)。まあ、なんだろうな。マイクのことまで考えてない人が多いかもしれないですよね。
    ――というと、リンダマン選手はマイクのことまで考えてるんですか?
    リンダ 考えてるというか、日頃から何か話すときも常に意識をしてます。たとえば「このあいだキャンプに行ったんですけど」みたいな話をするときに、どこにサビを持ってくるかとか。違う人に同じ話を何回かして「ここは薄くしたほうがいいな」「ここを分厚くしたほうがいいな」とか常に考えてはいますね。
    ――だから聞きやすいんですねぇ。
    リンダ 芸人さんの喋りと比べると質は悪いと思ってますし、そこまで芯を食ったことは言ってないですんですけどね。マイクもプロレスも全部一緒だと思います。フリ、タメ、オチで。
    ――プロレスラーのマイクってテレビ番組のエピソードトークとはまた違いますよね。
    リンダ そこは格闘技でいえば1分間のブレイキングダウンなのか、3分5ラウンドのRIZINなのか。ルールによって取り組み方が違ってくるところに似てますよね。
    ――だからGLEATの大会後の締めのマイクを無茶振りされても自然にこなして。
    リンダ ああ、そうですね(笑)。そこはテンプレートを持ってるからできることですけど。マイクにいまいち反応がなかった時期も経験してるんですけど、その頃とは正直技術論みたいなものは変わってない。それこそフリやオチだったりとかの原理原則は変わってないんですけど。やっぱり何回も繰り返すことによってお客さんが納得してくれるというか、お客さんがそのマイクを聞く姿勢になってくれてますよね。
    ――繰り返すことによってキャラクターとして受け入れられてくると。
    リンダ そうだと思います。何か言って滑ったから捨てちゃうんじゃなくて、反応がなくても続けていけば、みんながそれを待ってくれるようになると思うんですよ。そこは我慢だと思いますね。
    ――マイクは我慢! 
    リンダ ボクも最初の頃はうまくいかなかったんですけど、悪者をやったときに自分のことを下げるマイクをけっこうやって。簡単にいうと、自分がちっちゃくて弱いキャラクターなのに「てめえみたいなチビがよ!」と吠える。そこはベタベタに隙を際立たせることによってみんな笑ってくれるし、「リンダマンのマイクって面白いよね」って前のめりで聞いてくれるかたちを作ったら、わりとすべてがうまくいくようになっていきました。でも、まだまだやりきれてないなって思いますけどね。
    ――他のジャンルから勉強することもあるんですか?
    リンダ まあわざわざ勉強しに行くことはないですけど、何か見て「音量を下げることによって聞き耳を立たせる」とか「身振り手振りも含めて聞かせてるな」って考えるときはありますね。
    ――同じエピソードをしゃべっても、技術の違いで面白さが違うことがあるんですね。
    リンダ そのへんはすごい大事だと思います。ボクは普通のことしか言ってなくて薄っぺらいです(笑)。実際に文字にすると普通のことしか言ってないけど、雰囲気や抑揚でお客さんを納得させられてるんだと思います。
    ――そこはライブ力が問われる。いかにその場の空気を読むか。格闘家だとそのへんのコントロールが難しい場合がありますね。
    リンダ 格闘技はよく見るんですけど、「もったいないマイクだなあ……」って思うこともありますね(笑)。自分自身がお客さんにどう見えているのか、もっと絶対にやれるはずなのにって。どう考えてるのかはわからないですけど。
    ――格闘家の勝利者マイクは「自分がヒーロー」という前提で喋るから、キャラクターを活かせないことがあるかもしれないですね。
    リンダ やっぱり超RIZIN3を全部通して見てても、みんなが自分が主役のつもりでいますよね。それはある種、大事なことだけど、お客さんが興行を丸々円滑に見るために、そこは静かにしといてほしい場面もあったり。そこまで考えるのは酷な話かなと思いますけど。やっぱり試合で勝つことにもっと力を入れないといけない競技ですから。
    ――プロレスの場合は、大会を通して自分がどこの立ち位置にいるかを把握したうえでアクションを起こさないといけないと。
    リンダ そのへんを把握しきゃならないし、時にそれを壊す選択もしなければいけない。
    ――ああ、場合によっては。
    リンダ ただ、それは選択でなきゃいけないと思います。自分のエゴだけでやるんじゃなくて、そこはしっかり判断して「こういう流れは変えなきゃいけない」とか「事件を起こしに行かなきゃな」って意思があってやるべきだと思います。何も考えずにやっちゃう人、いるじゃないですか。そこもプロレスの魅力的で面白い部分かもしれないですけど、自分としては「どうなんだろうな?」って思ってます。
    ――ドラゴンゲート出身のプロレスラーはそこらへんの空気を読む力がすごいですけど、選手間で受け継がれていくところはあるんですかね。
    リンダ アドバイスをしていただいた……までは言わないですけど、見る機会、学ぶ機会、そういうチャンスは多かったですよね。みんな喋るから、地方大会からビッグマッチまで。
    ――地方大会から磨かれていくと。
    リンダ 地方大会で第1試合が始まる前に、選手がリングにやってきて「岡山の皆さん、こんにちは!」って喋るんですよ。1年に2~3回しか来ない会場で、ドラゴンゲートなんてとくにユニット間の動きが激しいし、チャンピオンもよく変わるから一旦場面整理するんです。「いま俺たちはこういうユニットをやってて新しくメンバーが入ってきてくれました」とか「今日は外国から◯◯選手が来てます。今日のメインイベントはあの悪者たちと戦います。試合前に1回おしゃべりしようや、出てこい」と。そうして相手も出てきて「今日のメインは火の海にしてやる!」みたいに煽って「じゃあ第1試合が始まりますよ」と。
    ――ストーリー展開が激しくてもそういう細かいフォローをすることで見やすくしてるんですね。
    リンダ 初見のお客さんでもパッと作るようなかたちにはしていたし、レフェリーとリングアナが掛け合いするんですよ。「今日は◯◯大会です。先ほど会場に入る前にどこどこでご飯を食べてきましたけど、おいしいのでよかったら行ってください。では、皆さん声出しの練習をしましょう。悪役が出てきました。みんあでブーイングしましょう!」とか。初見でもちゃんと参加しやすいんですよね。
    ――そういうところにいったらレスラーとして成長しますよね。
    リンダ でも、そこは選手によりますよ。学ぼうとしないで、ただの風景として見逃しているようじゃダメですよね。
    ――リンダマン選手の場合は海外を転戦された経験も大きいんですか?
    リンダ たしかに海外は本当に良い経験だったんですけど、そこで何か明確に磨かれたかといえば、パッとしたものは出てこないです。もちろんCIMA、T-Hawkというガッチリした先輩2人とひとつの家で過ごしましたけど。そういう厳しい環境でいえば、ボクは小学・中学・高校時代の柔道部でたくさん経験してきてるんです。そこの部分での成長はそこで終わってるかなって。
    ――いわゆる体育会の世界は充分経験してきたんですね。
    リンダ あの頃はキツかったですねぇ。小学生の頃は自宅から通ってたんですけど、週6で練習。中高は一貫校だったんで、週6が週7になって。
    ――いまはコンプライアンスが求められる時代ですけど、当時の柔道部は練習や人間関係もまだまだえげつなかったんじゃないですか?
    リンダ まあ、そういうもんでしょ。だから扇久保さんがこないだのRIZINで勝ったことは本当に嬉しくて(笑)。
    ――ツイッターでもつぶやいてましたね(笑)。
    リンダ そういう世界ですよね。「トイレ掃除」というキャッチーでポップなワードが全面に出ちゃってるだけで、たぶん他にもいろいろあったと思うんですけど、そこは先輩に何か言われたら、「YES」か「はい」の世界であるべきですよ。
    ――「YESかNOか」ではなく「YESか、はい」の世界(笑)。
    リンダ 扇久保さんと神龍選手の試合は面白かったですよね。格闘技って試合前にさんざんやり合ってたのに、試合をしたら「気持ちが通じあった」みたいに和解しがちですよね。それでストーリーが完結してもいいんですけど、あそこまで「嫌いだ」って言い合っていた2人が1試合やったあとに「ありがとう」とシェイクハンドするのがおかしいときもありますよ。
    ――「試合を盛り上げるために言いましたけど……」ってやつですね(笑)。
    リンダ でも、扇久保さんの試合はそうじゃなくて。試合後、相手のセコンドに挨拶はしつつ、2人とも目を合わせずに会話もかわさず、すれ違って行ったじゃないですか。あの絵は最高でした! 内容自体がどうこうっていう声もありますけど、この試合が一番よかったです。
    ――「つまんなかった」とか言われがちですけど、ここまでリアルなドラマはめったにないですし。
    リンダ いやいや、全然つまんなくなかったですよ。こういうのが一番面白い。
    ――そういう視点でMMAを楽しめるのはさすがですね(笑)。
    リンダ そこが一番面白いところだと思いますけどね。極端なことをいえば、技術なんて誰にもわかんないですよ。・90年代生のアントニオ猪木論
    ・リデットUWFルールは面白くない
    ・青木真也戦は恥ずかしかった
    ・プロレスラーと懐のナイフ
    ・ドラゴンゲートに恨みはないが、◯◯には…11000字インタビューはまだまだ続く


     
    この続きと長井満也、JJジャックス、リンダマン、都電プロレス……などの「プロレス記事9本7万字」が500円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2202633 この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!
     
  • 都電プロレス炎上/女子プロレスサイン会誹謗中傷■事情通Z

    2024-08-27 11:00  
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    プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマは「都電プロレス」「女子プロレスサイン会誹謗中傷」です!【1記事から購入できるバックナンバー】・【燃えるマリーゴールド】ロッシー小川が悪いのか■事情通Zの「プロレス 点と線」

    ・ALL TOGETHER不入り/ロッシー小川に「ジャニー問題」はない■事情通Z

    ・プロレススポンサー撤退騒動/新木場1stRINGの現在■事情通Zの「プロレス点と線」

    ・スターダムに離脱ダメージなし!?/女子プロレス性的写真問題■事情通Z


    ――事情通Zさん!小池百合子・東京都知事が視察した都電プロレスがいろんな意味で反響です!
    事情通Z 現役都知事をプロレスに“参戦”させたことがニュースになってるけど、選挙期間中だったこともあって「プロレスが政治利用されている!」という批判も当然ある。ただ、DDTでプロレスの試合もやっていて、都電プロレス実現に尽力したと思われる川松真一朗都議会議員もツイートしてたけど、この企画は選挙に合わせたわけではなく、年明けから話が持ち上がっていた。
    ――自分の政治思想に反する意見はとことん許さない「令和の噛みつき魔」こと橋本宗洋さんが「暇アノン」と小馬鹿にしていた川松議員ですね。
    Z よけいな紹介の仕方をするんじゃないよ。
    ――じゃあ、ボクが取材した中で最も態度が悪かった辻よしなりと同じ元テレビ朝日アナウンサー出身の川松議員という紹介に変えます。
    Z 噛みつき魔はオマエだよ! なんで都電プロレスをやったかといえば、都電が今年で50周年。DDTは新幹線プロレスに代表されるように、世間的にバズりそうなところでプロレスをやりたい団体。なのでこの企画は実現した。
    ――小池さんが絡んで想像以上に話題になったことで「都電で子供がプロレスをやりだしたらどうするんだ!?」というお叱りの声もあるんですよ。新幹線プロレスでそんな批判はなかったから政治を巻き込む怖さを感じましたねぇ。ちなみに高木(三四郎)さんはこの前は佐藤光留の実家でプロレスをやってるんですけど、「子供たちが佐藤光留の実家で勝手にプロレスをやりだしたらどうするんだ?」という声はもちろん一切ないです。
    Z 光留選手は広末涼子の大ファンで、その岡山から高知の実家まで自転車で広末に会いに行って、結果広末とツーショット写真に成功してるからね。光留選手のお父さんに会いに来るファンが現れたら因果応報かもしれないよ(笑)。高木さんは休養宣言前にあちこちでいろんなことをやってるんだよね。選挙期間中に立候補者と絡んだことに批判は免れないんだろうけど、都電プロレスだけを見て「DDTはこうあるべき!」という人は、あんまりチェックしてないんだろうし、そういう声を引き寄せてしまうのが政治だなあ。話を戻すと高木さんは7月21日の両国の試合で無期限休養に入る。都電の貸し切りが可能な土日がここだった。
    ――そこで都知事選とバッティングしちゃった。小池都知事と絡んだら批判の声があることは想定してたんですかね?
    ・百合子チョップはアドリブ説
    ・「プロレスに市民権を!」世代
    ・高木三四郎政界再進出は?
    ・女子プロレスのサイン会の現状
    ・信者がアンチに豹変する……まだまだ続く

     
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  • 朝倉海というUFC日本大会実現へのラストピース

    2024-08-27 11:00  
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    UFC日本大会は実現するのか?(文/ジャン斉藤)
    【1記事から購入できるバックナンバー】・初心者に優しい「MMAとドーピング」講座■タケ ダイグウジ
    ・鬼越トマホーク坂井「プロレスはドロップアウトする人間が好きなジャンルなんです」
    ・平本蓮と空手をつなぐ日本格闘技のサーガ■剛毅會宗師・岩崎達也インタビュー
    ・RIZIN離脱……高田延彦という後味の悪い男
    ☆サイバー攻撃により停止中だったニコニコチャンネルが復活! この記事は6月24日にnote版に掲載されたものになります。バンタム級か、フライ級か。デビュー戦から即ランカー戦か……UFC参戦表明をはたした朝倉海の動向が北米界隈から注目されています。UFC参戦がアナウンスされた場所が他団体(RIZIN)の場だったいう珍しさ。その後もUFCサイドがピクリとも反応してこないこともあって、やたら情報に飢えているのかもしれません。この件絡みでRIZINの榊原信行さんがダナ・ホワイトと会談していたことを北米界隈が知ったら、「PRIDE復活!」と妄想をさらにたくましくするかもしれないですよ! 
    この朝倉海の参戦、そして平良達郎の躍進により、UFC日本大会開催の機運が高まっていますが、都内近郊大会場は1年前からの予約が必須。会場確保の面から2024年の開催は現実的ではありません。では、2025年はありえるのか。プラス・マイナスそれぞれの材料から検討してみましょう。イッツ・タイム!!
    まず威勢のいいことを書き殴ってみると、朝倉海獲得はUFC日本大会のラストピースがステキにハマったと捉えています。なぜ朝倉海がラストピースになるのか。その「答え」は兄の朝倉未来や、RIZIN広報の笹原さんが「契約は好待遇」と口を揃えていること。これ、ものすごく重要な発言です。深読みすれば、朝倉海はUFC軽量級史上最大の新規契約を結んだ可能性が見えてくるからです。

    ・朝倉海スタールートの意味
    ・フライ級転向説の見立て
    ・UFC日本大会、惨敗の歴史
    ・開催最大のハードルは……まだまだ続く

    この続きと超RIZIN3、川尻達也vs鈴木芳彦、朝倉海、ケイト・ロータス……などの「12本13万字・格闘技記事」が600円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ
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  • 所英男46歳 ヒロヤに負けたら即引退SP

    2024-08-26 10:29  
    200pt

    超RIZIN3で引退を懸けてヒロヤと戦った所英男インタビューです!(聞き手/松下ミワ)【1記事から購入できるバックナンバー】・【ゆるやかな狂気】横山武司「日本の柔術家で俺が最もMMAに向いている」

    ・最強の格闘家ジョビンを現役復帰させる会■松澤チョロの脱線プロレス

    ・なぜ島野浩太朗は引退式で“あのマイク”をしてしまったのか?

    ・渡辺華奈は「世界」とどうやって戦ってきたのか■上田貴央のコーチ論




    ☆サイバー攻撃により停止中だったニコニコチャンネルが復活! この記事は6月15日にnote版に掲載されたものになります。――超RIZIN3でのヒロヤ戦が発表されましたが、記者会見では「負けたら引退」ということを宣言し忘れてしまうという、まさかの事態もあって(笑)。
    所 いやー、自分でもビックリしました!
    ――ハハハハハ!
    所 あの会見にはみんな凄い選手ばっかり出ていたじゃないですか。だから、そのあと自分にマイクが回ってこないんじゃないかと思って焦りましたね。「うわ、ヤバい、ヤバい」って。
    ――じゃあ、そのあと記者の方が質問しなかったら危なかったんですね。
    所 「どうしよう、どうしよう」でした。あれはちょっとビックリしましたねえ。
    ――いや、こっちがビックリですよ! その引退というのはいつぐらいから頭にあったんですか?
    所 もう、前からです。最近は「これが最後、これが最後」みたいなつもりだったんですけど、やっぱり続けちゃうんですよねえ。アラン・ヒロ・ヤマニハ戦で負けたときも「ああ、もうこれはダメだな」と思いましたし、ジョン・ドットソン選手のときも同じ気持ちで。神龍(誠)選手のときも「もう1回バンタムで試合したら終わりかなあ」みたいな。結局やめてないんですけど、このままズルズルいってもなあと。
    ――どこかでケジメをつけたかった部分もあったんですかね。
    所 ああ、そんな感じですね。まあ、自分の思っている動きと実際の試合の動きが離れているのは前から思ってたんですけど、やっぱりいまRIZINのおかげで応援してくれる人が増えてきてて。期待に応えられてなくて申し訳ないなと思ったり。そうやって自分を追い込んでたりもしたんですけど。
    ――じゃあ、神龍戦のあとくらいからなんとなく引退が頭によぎっていた、と?
    所 うーん、神龍戦の前って誰との試合ですっけ?
    ――太田忍選手です。
    所 ああ、じゃあそうですかね。まあ、堀口(恭司)選手とやったときも「これで終わりかなあ」と思ってたんですけどね。そのあとにKIDさんが亡くなって、目標もなくなって、という感じだったんで、ようやくケジメを、はい。
    ――SNSでも「前みたいに動けなくなった」と発信されてたことがありましたよね。
    所 まあ、理想だけは高いんですけど、昔だったら何も考えないでも動けてたようなことが、いまだと「ああ」と思ったらその展開が終わってたり、また次の場面で「ああ」と思ったら相手にやられてたり。なんか追いついてないですよねえ。ヒロとの試合でも「あれ? あれ? あれ?」で終わってましたから。
    ――そういう「あれ?」というのは日常生活でもあるんですか?
    所 日常生活はそんなのばっかりです。
    ――マズイじゃないですか(笑)。
    所 誰かに何か言われて、あとで「ああ、あの言葉ってそういう意味か。ちくしょう」とか思ったり。だから、試合でも前からそうなってたんでしょうけど、それに気づくのもやっぱり遅かったのかなって。まあ、でも「東京オリンピックまではやりたい」と言ってたぐらいなんで。
    ――もう次のパリ五輪がそこまで迫ってきてます(笑)。
    所 だから、充分やらせていただいたというのはありますね。
    ――ただ「負けたら引退」というのは、勝てばやめないということですよね?
    所 やっぱり、まだやってたいんですよねえ。だって、こんなに楽しいことはないなって思うじゃないですか。
    ――つまり、まだ引退したくない。
    所 やめたくないです!
    ――じゃあ、なんで「負けたら引退」とか言っちゃうですか!
    所 だから、本音をいうとずっと格闘技をやってたいんですけど、ボクはRIZINで引退できたらなという思いがあったので。なんか、RIZINって一番最初からそういう感じのコンセプトでしたよね? 
    ――ええっと、そういえば3つの柱みたいなのがありましたね。忘れかけてましたけど「息吹」「完結」「未来」の3つみたいです。
    所 でも、こういうRIZINという舞台に出させていただくためには、やっぱりそれなりのレベルじゃないと出る資格はないんで。本当にボクより強い人なんか、若い子たちはどんだけでもいますし。だって、あんな華やかな舞台ないですよ。で、ボクにはもうホームリングもないですし。昔だったらZSTで引退試合……はあったのかもしれないですけど。
    ――帰る場所がないですか。
    所 どこにもないです。本当にないですよね。
    ――RIZINで引退したいというのは、やっぱり親交の深い佐藤大輔さんの存在も大きかったんですか?
    所 もう本当……恩がめちゃくちゃあるんですよ、佐藤さんには。じつは、RIZINに出るときにちょっとボクの周りでいろいろ起きて。もう格闘技ができないんじゃないかというところまで考えて、毎日泣いて泣いて。RIZIN事務所で泣いたこともあるんですけど、そこを救ってくれたのが佐藤さんでした。常に連絡を取って話し合いをしてくれましたし、あのVTRとかもボクの中では凄くいい思い出になっているので。
    ――DREAMが始まったときは所選手はHERO’S側、 佐藤大輔さんは PRIDE側でもともと“敵”だった関係性ですが(笑)。
    所 会うのもちょっとためらうような(笑)。でも、本当に助けてもらって。佐藤さんにもRIZINにも感謝です。
    ――「負けたら引退」というのをRIZIN側に伝える中で、今回の相手にヒロヤ選手の名前が挙がってきたというのはどうでした?
    所 いやー、うれしかったです。まさか、ボクと試合してもらえるなんて思ってなかったんで。
    ――そ、そうなんですか?
    所 だって、いまをときめく選手じゃないですか。ヒロヤ選手も連敗してましたけど、新井丈選手に勝ったあとなんで、ここで自分なんか相手にされないだろうなと思ったんですけど、戦ってくれるというのを聞いてビックリしましたね。「ありがとうございます!」って感じです。
    ――そもそもヒロヤ選手にはどんな印象がありますか?
    所 最初は金原(正徳)さんから「ヒロヤ選手ってどうなんですか?」と言われたんですけど、それまでは正直あんまり見てはいなかったんですよね。ただ、対戦するという目で見るとめちゃくちゃいい選手だなって。中村優作戦も凄くよかったですし、その前の伊藤裕樹選手も見返したら凄い試合をしてて。気持ちのいい選手ですよね。勝っても負けても印象が残るいい選手だなって。
    ――たしかに、ヒロヤ選手ってお客さんの気持ちを惹きつける選手ですよね。
    所 いやー、気がついたら応援してますよね。だからって戦績がいいわけじゃないんですけど、プロ選手ですよね。
    ――そういう意味では、所選手と同じですね。
    所 自分は……いやあ、もうVTJくらいからそんな試合はできてないですよ。
    ――え、太田戦とか最高でしたけど。
    所 太田選手は、いまやったら殺されますけどね(苦笑)。
    ――山本アーセン戦も素晴らしかったですし。
    所 ああ、アーセン戦か……。
    ――もしかして記憶から飛んでます?(笑)。
    所 もう、よくない思い出しか出てこないんですよ。いい思い出がまったく出てこない。
    ――思い出してください! そんなヒロヤ選手との対戦となると、どっちが会場の気持ちを掴むのかも楽しみですよね。
    所 まあでも、若い観客のほうが多いから……。昔、応援してくれてた人、「戻ってきてください!」と凄く思いますね。
    ・金原正徳とのハードなタイ合宿
    ・冬の時代の思い出
    ・RIZINに救われた
    ・最後は●●と戦って終わりたい
    ・格闘家はいい奥さんと結婚するべき……1万字インタビューはまだまだ続くへ

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  • 昭和・新日本なら小川直也vs橋本真也の事件は起きていない■AKIRAインタビュー④

    2024-08-26 10:19  
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    野上彰として新日本プロレスでデビューしたAKIRAインタビューシリーズ第4弾。今回は格闘プロレス全盛時代に迷えるAKIRA……(聞き手/ジャン斉藤)

    ☆この記事は2021年5月に掲載されたものです

    AKIRAインタビューシリーズ

    ①新日本プロレス入門、野上彰だった頃

    ②海外修行で感じた異様な新日本プロレス
    ③“日本の陽気な奴ら”JJジャックス解散の理由―― JJジャックスを解散して平成維震軍に入ってから環境は変わりましたか?
    AKIRA ちょっと楽になりましたね。必要とされてるところで、やりがいは感じましたし。あと合同練習も本隊の時間には出なくてよくなって。
    ――馳(浩)さんや(佐々木)健介さんが道場を仕切るようになってからは管理的になって居心地が悪くなったみたいですね。平成維震軍の合同練習はどんな感じだったんですか?
    AKIRA やることは本隊とは変わりないですね、基礎体力から何から。やることは一緒なんですけど、気持ち的には楽で(笑)。
    ――居心地がいい(笑)。平成維震軍の合同練習は誰が仕切ってたんですか?
    AKIRA いちおう越中(詩郎)さんではありましたけど、小林(邦昭)さんもいましたし、誰という感じではなかったですね。
    ――巡業のバスも本隊とは別だったんですよね。
    AKIRA 小型のコースターでしたね。同世代は(齋藤)彰俊くんと小原(道由)くんぐらいで……。
    ――他には越中さん、木村健悟さん、小林さん。
    AKIRA 巡業バスの中は、しみったれた話ばっかりでしたね。身体のどこが痛いとか故障の話とか。みんなどこかしら身体が悪いし、体調もよくないから健康食品の話ですよ(笑)。
    ――ハハハハハハ! リアルな日常があったという。
    AKIRA あとは「副業をどうしようか」「こんな金儲けがあるんだ」という話ばっかりで。一時ね、新巻鮭を売ろうという話があって(笑)。
    ――全然、維震してないですよ(笑)。
    AKIRA 新巻鮭一本800円で仕入れられるから、それで商売しようと。巡業先でどこかの会議室を借りて話し合いましたからね(笑)。
    ――平成維震軍の新巻鮭会議!
    AKIRA 結局、実現はしなかったんですけどね。
    ――当時の新日本プロレスって給与面の待遇はそんなに悪くなかったですよね。
    AKIRA いま考えればそうなんですよね。全然もらってましたよね。 なんだかんだ木村健吾さんも長者番付に載ったことがある人ですし。それはプロレスの収入というよりは、マンションをうまく転がして時代に乗っかった感じですけどね。資産になると、けっこうな額になったんじゃないですか。その頃の木村さんは寿司宅配の事業をやってましたからね。
    ――当時だと早すぎますね!(笑)。
    AKIRA いまだったらバッチリですよね。そのシステムの走りだったかもしれないですけど、そこそこでやめちゃいましたね。
    ――木村さんは夫婦揃って政界にも進出されていたり。
    AKIRA 奥さんが尻を叩いてうまく乗っかって。
    ――藤波さんもそんな感じですよね。新日本でいえば、木戸修さんもなんかもアパート経営をやられてて。
    AKIRA ああ、木戸さんはお手本ですねぇ。上手に資産形成してて。
    ――プロレスラーって実業家志向ですよね。
    AKIRA いやあ、当時はそうでもなくて。たとえばレスラーが何かお店をやるんしても、ボクらのあとの世代が多くて。どこかで社会経験があったうえでプロレスをやる人が多かったから、そういうビジネス展開が上手にできたんでしょうね。ボクなんかはプロレスはそんなに長いあいだやってけないんだろうけど、「なんとかなるだろ」と漠然と思ってて。実際に副業の行動に移すのは難しかったですよね。
    ――怪しい事業計画は持ち込まれませんでしたか? 猪木さんや橋本(真也)さんなんかはその手の話が多くて。
    AKIRA ああ、そういう話に乗っかってましたよね。結局、新巻鮭の話も怪しいルートだったんじゃないですかね(笑)。
    ――たしかに怪しいです(笑)。平成維震軍って人気があった頃は単独でシリーズをやってましたよね。
    AKIRA  ボクが入った頃はやってなかったですね。単独でやってても成功してたみたいですけど。
    ――いわば新日本プロレスの2リーグ構想で。
    AKIRA ボクらの頃は平成維震軍もUインターの対抗戦に駆り出されたりしてましたね。 越中さんと高田さんの試合が目玉カードになったり。
    ――高田さんがIWGP王者として越中さんを迎え撃ったUインターの武道館大会ですね。
    AKIRA ボクの場合はUインターとは2試合そこらしかやらなかった気がしますけど。 目のケガがあったんですけど、彰俊くんに蹴りの防御を教えてもらったりして。 日本のプロレスはこういうスタイルでもやってかなきゃいけないんだな、 ここで食っていくならやっていくしかないと。
    ――格闘スタイルに対応しなくちゃいけないと。安生(洋二)さんとは新日本前座以来ですよね。
    AKIRA 安生さんは本隊とがっちり絡む感じで。 まあ平成維震軍とUWFだと火の付けようがないですよね(笑)。
    ――安生さんって格闘スタイルだけじゃなくて普通のプロレスもすごかったですよね。
    AKIRA プロレスIQが高いというか、とっても素晴らしいですよね。
    ――UWFにいたのがもったいないというか。
    AKIRA プロレスの本質をそっち(UWF)に求めちゃったんでしょうけど、そういう時代だったんでしょうね。 のちの『ハッスル』も安生さんが絵を書いていたところはあったと思うんだけど、いまの時代だったらもっとハマったんだろうなって。
    ――それでAKIRAさんは1998年に第一線から退きますよね。
    AKIRA  いつだったか忘れちゃいましたけど、巡業の帰りのバスの中で木村さんと「やめようと思います」「なんでやめるんだよ。いま何歳だ?」「33歳です」なんてやりとりがあって。自分の限界を感じちゃったというか……UWFとの対抗戦なんかにしても、もう一歩踏み込めていたところがあったんですよ。
    ――そこは目のケガが……。
    AKIRA そうですね。昔は張り手なんかもいくらもらっても全然平気な自分がいたんですけど……。本隊も道場にボクサーを呼んでボクシングの練習を始めたんですよ。このままだと居場所がないかなと。
    ――新日本の格闘技色がどんどん強くなっていったんですね。
    AKIRA そうですね。 やっぱり日本のプロレスはこういう流れなんだろうし、目のケガもあるし、これ以上プロレスをやっちゃダメだなと。 役者をやるんだったら若いうちのほうがいい。40過ぎてプロレスを引退してからだと難しいんじゃないかなと。 それで契約更改の席で「契約はしません」と。

    ・プロレス情報公開の波
    ・入る団体を間違えた
    ・決死の蝶野正洋
    ・俺たちは軍鶏じゃない
    ・「昔の新日本なら起きなかった」(高野拳磁)
    ・猪木さんはお父さんだった」(ジョージ高野)……まだまだ続く

     
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  • 7月13日ノア武道館&マリーゴールド両国■事情通Z

    2024-08-24 20:33  
    200pt
    プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマは「ノア武道館&マリーゴールド両国国技館」です!【1記事から購入できるバックナンバー】・00年代の怪しい目撃者“Show”大谷泰顕■松澤チョロの「脱線プロレス」・プロレススポンサー撤退騒動/新木場1stRINGの現在■事情通Zの「プロレス点と線」
    ・日本とアメリカの女子プロレスを変えたブル中野■斎藤文彦INTERVIEWS
    ・【プレイバック】“日本の陽気な奴ら”JJジャックス解散の理由■AKIRAインタビュー③
    ☆サイバー攻撃により停止中だったニコニコチャンネルが復活! この記事は7月19日にnote版に掲載されたものになります。――7月13日に同日開催となったマリーゴールド両国国技館とノア日本武道館。客入りはどんな感じだったんですか?
    Z まずマリーゴールドから。最近の両国国技館って4面のうち1面をステージや花道で潰すことがよくあるんだけど、そのステージを組むのにも予算が相当かかる。
    ――一面潰すことで客入りをよく見せられるメリットはあるけど、ステージ設置のお金は必要だと。
    Z 今回のマリーゴールドはステージなし。そこは予算削減の意味もあったのかもしれないけど、全面を使って枡席は基本1人で1升。友達同士とかで来れば2人で座れるけど、枡席は埋まってるように見えたからぱっと見、入ってる感じはした。主催者公式発表は3058人。
    ・PPV件数も含めた評価
    ・女子プロレス移籍問題
    ・アクトレスガールズの謎
    ・武道館6メートルルール
    ・ノアより全日本が好調に見える理由
    ・ジェイク・リーは“大人の移籍”……まだまだ続く

     
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  • セコンド大塚隆史が見た朝倉未来戦「蓮くんは五輪アスリート級の取り組み方だった」

    2024-08-24 20:15  
    200pt

    平本蓮のセコンド・コーチ、大塚隆史が見た超RIZIN3朝倉未来戦!(聞き手/ジャン斉藤)


    【1記事から購入できるバックナンバー】・篠塚辰樹の自由すぎるインタビュー「ベアナックルは怖くて面白い」
    ・“奇跡の復帰戦”関原翔インタビュー 空白の726日間
    ・ボクシング界は安全面を議論していないのか■山田武士
    ・「これがRIZINか……」佐藤将光、センターラインを超える
    ☆サイバー攻撃により停止中だったニコニコチャンネルが復活! この記事は8月12日にnote版に掲載されたものになります。――当初は午前11時からの取材だったんですが、昨晩平本選手の祝勝会もあって起きられないかもしれない……いうことで夕方開始になりました!
    大塚 予定を変えてもらってすいません。昨日は六本木で別の飲みがあったんですけど、蓮くんからも連絡があって。たまたま場所が同じ六本木だったんで、そっちが終わり次第、蓮くんのほうに駆けつけて。夜11時くらいから6時まで飲んで。蓮くんは帰ったんですけど、そこから渋谷で(篠塚)辰樹くんと朝9時くらいまで飲んでました……まだ酔ってますよ(笑)。
    ――ハハハハハ! 大塚さん、まだまだ若いですよ!
    大塚 たしかにね、そう言われてみれば(笑)。やっぱり勝ったあとのお酒は
    気持ちいいですよね。
    ――大塚さんは平本選手のセコンドとして……。
    大塚 (さえぎって)というか、今回はセコンドで何もやってないんですけどね。すぐに試合が終わってしまったんで。
    ――大塚さんは試合後、喜びにあまり大の字になった平本選手を抱えて起こしてましたけど、あれって何かケガの不安があったりとか?
    大塚 あー、あれは蓮くんが大の字になった場所が意識朦朧としていた朝倉未来選手の目の前だったんですよ。蓮くんは興奮状態だったから、たまたまその位置になっただけなんですけど、未来選手の視界に入らないようにすぐに起こしました。
    ――あの大熱狂の中、ものすごく冷静ですね……。
    大塚 未来選手の目の前で大の字になったので、変に誤解されるのもイヤだなって思って。セコンドとしてやったことといえば、それくらいですね(笑)。
    ――セコンドとしてそういう配慮ができるのは、大塚さんがファイターとしても経験豊富だからですよね。大塚さん本人を前にして言うのはなんですが、朝倉未来陣営のセコンドと比較されて……。
    大塚 ああ、なんか見ましたよ、「大塚がコーチ・セコンドじゃ勝てない」って(苦笑)。
    ――大塚さんのキャリアからすると失礼な話なんですけど。
    大塚 向こうはエリーとビリーでしたっけ? 優秀だと思いますし、彼らに何も言うことはないんですけど、「大塚がコーチ・セコンドじゃ勝てない」という声にはナメるなよって思いましたよ(キッパリ)。ボクは自分が教えることに自信を持ってるし、そこは彼らにも引けを取ってないと思ってるんで。
    ――いまってすぐに「◯◯はセコンドとして無能!」とか安易に決めつけがちで。セコンドの役割が良くも悪くも誤解されているところがあるので、大塚さんの視点からいろいろと伝わればいいなと思ってます!
    大塚 今回でいえば、ボクがというよりは、蓮くんの試合への向き合い方がすごかったです。パリでオリンピックをやってますけど、オリンピックアスリートと同等の練習量で、睡眠、食事、生活習慣まで徹底してやってましたね。
    ――オリンピックアスリート並ですか!
    大塚 あとはその蓮くんを支える周りの人たちですよね。蓮くんの奥さん、付き人兼ドリル相手の赤田(功輝)くん。そして岩崎(達也)先生。この人たちの存在も大きいです。
    ――今回の朝倉未来vs平本蓮の発表はかなり早かったじゃないですか。時間的に余裕があるぶん、戦術や練習メニューが検討しやすかったりしましたか?
    大塚 まず蓮くんの場合、スクランブルオファーは絶対にないから、もともと試合日程は立てやすいと思うんですけどね。でも、今回準備期間があってよかったのはアイルランドに行けたことは大きいんじゃないかなって。
    ――コナー・マクレガーのところに練習に行きましたね。
    大塚 あれもね、いろいろ言う人がいたんでしょうけど、アイルランドから戻ってきてからガラリと変わりましたね。行ってなくても集中できたのかもしれないですけどね、何か経験できたり、思うことがあったのかなって。やっぱりアイルランドの連中は蓮くんのことは知らないと思いますし、日本からヨソ者を門前払いしてやろうくらいの感覚でやってくる選手もいたんじゃないですかね。試合前にそういう経験ができたことはいいことだと思います。
    ――平本選手はルーファスポーツに行ったときも実力でセルジオ・ペティスに認められましたし、そのへん平本選手ってたくましいですよね。
    大塚 帰国してからの練習量はちょっと尋常じゃなかったですね。1日2部練はあたりまえで、多いときは3部練。そのために1回目の練習は早めの時間に設定したり。練習後は身体をケアするための治療だったり、ストレッチのケアで1日の生活が終わるスタイル。昔の蓮くんって夜型の生活だったと思うんですよ。アイルランドから帰ってきてからは朝起きたら犬の散歩をして太陽の光を浴びて、練習……という生活スタイルに変えていってますね。
    ――結婚されたことも生活のリズムを整えるのにはよかったんですかね。
    大塚 そうだと思います。何も知らない人からはいろいろと言われてるけど、奥さんはめっちゃしっかりしてますし、蓮くんのことを日常生活から食事のサポートまで支えてると思います。
    ――日常生活が安定していたから試合に集中できたところもあるんじゃないかと。
    大塚 いまだから言えるんですけど、蓮くんはアイルランドでケガしたんですよね。治療もあって予定より早めに日本に戻ることになったんですけど。アイルランドでもいい練習はできるんだけど、結局アイルランドは朝倉未来戦のチームではない。もちろん強い人とたくさんスパーリングができるけど、たとえば朝倉未来戦用のテイクダウンデフェンスの練習をやるとか、サウスポー相手を中心に練習するとか、そこまでやってくれないはずなんですよ。
    ――強くなる「練習」はできるけど、勝つための「対策」を練られるわけではないってことですね。
    大塚  アイルランドではすごくいい練習ができたと思うけど、ケガしたことで早く切り上げることになって、結果そのぶん日本でじっくり朝倉未来戦を想定した練習ができましたね。
    ――大塚さんとしてはこの試合はどこがポイントになると見ていましたか?
    大塚 やっぱりテイクダウンデフェンス、グラウンド。あたりまえですけど、朝倉未来選手はテイクダウン能力が高いと想定してましたし、打撃とレスリングを混ぜてくるんだろうなと。
    ――大塚さんは平本選手はテイクダウンされると思いました?
    大塚 される可能性は全然あると思ってましたし、ボクの担当はそこですよね。されないように対策は練るし、されたあと、もしくは最悪を想定して練習はしました。朝倉未来は初めてコーチに教わるという環境の中で、試合前の発言や自信に満ち溢れている感じから、レスリングを強化してきたんだろうなと。対策としては朝倉未来はサウスポー。オーソドックスではほとんど構えないので、サウスポーから入るテイクダウンの種類を映像で確認して。シングルレッグ、ハイクラッチ、ダブルレッグ、ニータップ……あらゆるタックルのパターンを想定して練習しました。そこでは予想外なことが起きないように。
    ――考えられるケースを準備しておくわけですね。
    大塚 そうですね。「このタックルを初めて食らった」ということが起きないようにする。朝倉未来はルイス・グスタボ戦ですごくいい動きをしてて、テイクダウンを何発も取ってるんですよ。一番動きがいいときの映像を何度も見ました。そこで彼の癖だったり……
    ・平本蓮のマネジメント力
    ・6割、7割は朝倉未来が有利という心構え
    ・5ラウンド制になったことで…
    ・朝倉未来が入ってこれなかった理由
    ・最後のフィニッシュは何度もドリルを繰り返していた
    ・右フックの癖は気にしてなかったのでは?……まだまだ続く

    この続きと超RIZIN3、川尻達也vs鈴木芳彦、朝倉海、ケイト・ロータス……などの「12本13万字・格闘技記事」が600円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ
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  • 井上直樹vsスーチョルを超RIZIN3でやらなかった理由■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    2024-08-23 22:34  
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    多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回も11000字で語ります(この記事は7月30日にYouTubeメンバーシップで配信されたものを編集したものです)

    【1記事200円から購入できる過去記事】・アイルランドで見たコーナー・マクレガー■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    ・業界再編ならず? UFC集団訴訟は和解へ…■シュウ・ヒラタ

    ・【ONE】セージ・ノースカット問題とは何だったのか?■シュウ・ヒラタ

    ・堀口恭司、朝倉海はUFCと本戦契約できるが…■シュウ・ヒラタ


    ――シュウさん関連の超RIZIN3出場選手は、平本蓮選手、摩嶋一整選手、神龍誠選手、あと井上直樹選手が9月にRIZINバンタム級王座決定戦(キム・スーチョル戦)に出場する発表がありました。
    シュウ 直樹くんに関してはずいぶん前からやることは内定していたんですけども。
    ――……という話は選手・関係者なら知ってましたよね。「夢で見た」とかでYouTubeメンバーシップで発信していた不届き者がいたみたいですけど!
    シュウ ポイントはタイトルマッチになるかどうか。もうひとつは超RIZIN3でやるプランもあったんですけども。せっかくのタイトルマッチだから、超RIZIN3の他のカードに埋もれるくらいだったら、9月大会のいい位置で試合をしたほうでブランディングとしてもいいんじゃないかと考えて。
    ――シュウさんとしてはどっちがよかったんですか?
    シュウ いや、ボクは9月のほうがいいと思ってましたよ。そこはRIZINさんも同意見です。やっぱりタイトルマッチにすることが大事でしたし、9月だと少なくともコ・メインでやれそうじゃないですか。去年の大晦日をあえて回避したのと、同じ感じの理由ですね。
    ――メインはサトシvsグスタボのライト級チャンピオンシップのどちらかですよね。超RIZIN3はメインが朝倉未来vs平本蓮、コ・メインがパッキャオvs安保瑠輝也だから、下の位置でタイトルマッチはやりづらいですし……。
    シュウ あとはスーチョル選手のスケジュールがどうなのか。それ以外の候補だと太田忍選手くらいになっちゃうんですよね。太田選手との試合は一度直樹くんのケガで飛ばしてしまって申し訳なかったんですけど。
    ――井上選手はどういう希望だったんですか?
    シュウ いや、彼は常に強い選手とやりたいということだけですから。朝倉海選手がUFCに行ってしまった以上、アーチュレッタ戦の負けを取り戻せる試合があるとすれば、タイトルマッチでスーチョル戦ですよね。
    ――それであれば超RIZIN3ではなく、9月大会になりますよね。
    シュウ やっぱりいい位置で試合をすることも大切だと思うんですよね。超RIZIN3のような大きい大会で試合をすることも大切ですけども。
    ――超RIZIN3に出たい選手はたくさんいたんでしょうけども、立場によっては……ってことですね。スーチョル戦はかなりタフな試合になりそうですね。
    シュウ めっちゃめちゃタフな試合になるんじゃないですか。もしかしたら年間ベストバウト候補になるんじゃないかと勝手に思ってるんですけども。スーチョル選手も常に動く選手じゃないですか。5分3ラウンドの15分間めちゃめちゃ楽しめる試合になりそうですよね。2人ともフィニッシュの技術を持ってますから、意外にスポッとハマっちゃうかもしれないですし。トップの選手の試合ってそういうことって起こりえるじゃないですか。これはもうファン必見じゃないかと思うんですけども。
    ――やっぱり井上直樹選手の最大の敵はケガですかねぇ。
    シュウ そこはありますね(笑)。だけど、MMAファイターはみんな100%完璧な状態の選手はいないんで。そこはケガの度合いなんですよね。
    ――何かしらケガを抱えてるけども、「これぐらいならできる」「厳しいけど、チャンスだからやりたい」という選手が多いわけですよね
    シュウ そこの判断はなかなか難しいところですね。
    ――摩嶋選手はまさかの超RIZIN3出場(新居すぐる戦)ということで。
    シュウ 摩嶋選手は2月の佐賀大会でケラモフ選手とやれるはずが、ケラモフ選手が収監されてしまって急遽今成正和選手に変更になったじゃないですか。
    ――そして、まさかの一本負け。
    シュウ 裏話をしちゃうと、前回の試合でRIZINさんとは契約満了だったんですよ。ケラモフ選手に勝ったらいい感じで契約更新の交渉ができたんですけど、最後の最後でチョンボ的な負け方もしてしまって。だから今回は復活の懸かった試合だったんですよね。
    ――あの負け方すると、超RIZIN3のオファーは意外だったところもあったんですかね。
    シュウ 「なるべく早く試合を組んでくれないかな」と思っていたところにオファーがあって。RIZINさんとしてもいろんな層を引きつけるような第1試合にふさわしいマッチメイクを考えていて、それがうまくハマったんじゃないですか。問題があったのは、摩嶋選手は仕事の都合もあるじゃないですか。ぶっちゃけ、超RIZINのオファーがあったときも「ちょっと待って。仕事の確認をしないと……」という話になって(笑)。
    ――日本中の格闘家は超RIZIN3のオファーがあったら二つ返事ですよ(笑)。
    シュウ 摩嶋選手は1日2日調整してから返事をしないといけないんですよね(笑)。そこも含めて彼のキャラクターを楽しんでほしいですし、そのへんもドラマチックな人生なんですけども。摩嶋選手は普段は工場で働いていて、同僚からすれば超RIZIN3で勝った格闘家が大会翌日、作業着に着替えて働いてるわけですからねぇ。
    ――摩嶋選手が住んでいる山口県の町は超RIZIN3の観客48000人より少ない話は最高です(笑)。今回のカード発表の仕方もユーモアがあってよかったですね。会社の朝礼の中で発表するという。
    シュウ そこはRIZINさんのアイデアですね。素晴らしいアイデアだと思いますよ。あとはいいところで勝てるかどうかですね。RIZIN初戦の斎藤裕戦も序盤は優勢だったのにグラウンドの蹴りを食らい……そこはやっぱり勝負だから一発で変わりますよね。この前の今成戦もそうですよ。随所で勝ってほしいというところで負けてしまうことがあって、初戦の斎藤戦、契約最終試合の今成戦の敗戦はかなり大きい。復活となった今回はそれこそ3度目の正直となる試合だったんですよね。
    ――そこでしっかり勝ったことで次のRIZINの道をこじ開けた感じですね。9月以降でいえば、正式発表されているのはいまのところ大晦日だけですけど。
    シュウ  11月にもしかしたら海外でやるかもしれない……みたいな噂が流れたんですよね。・RIZINドロー導入は?
    ・神龍選手はいい子すぎて…
    ・平本蓮の欠席・遅刻、試合前トラブル
    ・モカエフのリリース騒動……11000字インタビューはまだまだ続く


    この続きと超RIZIN3、川尻達也vs鈴木芳彦、朝倉海、ケイト・ロータス……などの「12本13万字・格闘技記事」が600円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ
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  • 川尻達也vs鈴木芳彦「RIZIN開国の不毛な議論」23000字

    2024-08-23 00:00  
    200pt

    驚愕の23000字!! 川尻達也vs鈴木芳彦のRIZIN開国議論対談!(司会/ジャン斉藤)
    【1記事から購入できるバックナンバー】・「RIZINに潰れてほしくないから箱庭のままでいいよ!」■川尻達也クラッシャートーク
    ・鶴屋浩 ロマンと執念の「THE BLACKBELT JAPAN」
    ・吉田実代 鹿児島のヤンキーがボクシング世界王者になるまで
    ・ロック様のマーク・ケアー物語…MMAが「みじめな戦い」だった時代

    ――どうもジャン斉藤です。今日はですね、「RIZINは開国すべきか、箱庭のままでいいのか」という激論が水面下で行われているということで、その決着戦をDropkickのスタジオトークで行ないます。まず「開国しないほうがいい派」はどなたでしょうか?
    川尻 川尻達也です。よろしくお願いします。
    ――川尻さんは開国しないほうがいいと?
    川尻 はい、開国しないほうがいいですね。RIZINはいまのままでいいんじゃないですか。だって盛り上がってるんだからね。
    ――そして「どんどん開国すべきだ!」という意見はどなたでしょうか?
    鈴木 RIZIN実況アナウンサーの鈴木芳彦です! よろしくお願いします。
    ――鈴木アナは開国したほうがいいと。
    鈴木 この箱庭論争でいうと開国したほうがいいと思いますし、現時点でも開国しているじゃないですか。
    川尻 いや、「開国」の意味がちょっとわかんないです。
    鈴木 だって、もう未知の外国人選手たちがどんどん入ってきてるじゃないですか。
    川尻 「ご自由にどうぞ!」ってことでどんどん入ってきたら、RIZINは外国人だらけになっちゃうじゃないですか? それでいいの?
    鈴木 もちろん! そういう階級があってもいいと思う。
    ――さっそく言い争いが!!(笑)。
    鈴木 RIZIN47の勝敗予想番組の控室でこんな話をずっとしてたんです。番組本番前だったから気持ちを切り替えるのが大変でしたよ。
    川尻 はい、かなりガチガチでしたね。
    ――そんなことで揉めないでくださいよ(笑)。この決着戦は動画でも収録してるんですが、ニコニコ動画はサイバー攻撃からの復旧待ち。だから先にテキストを超RIZIN3後の8月1日にnoteで公開する予定なんですけど、本日は東京都知事戦翌日の7月8日。もう結果は出ている朝倉未来vs平本蓮はどうなってますか? 予想をして恥ずかしい思いをしてもらいます。
    川尻 あ、そっか。超RIZIN3はもう終わってるんですね。予想をすると、朝倉未来が勝ってますね。平本選手の打撃はめっちゃコンパクトで早いけど、やっぱりK-1仕様というか、一発で倒すタイプじゃなかった。手数をまとめて倒すタイプなんで、MMAだと一発で倒さないと組まれて組みの展開になっちゃう。打撃のテクニック的には平本選手だけど、一発で倒せるかどうかですね。あとは朝倉選手の引き出しの多さと、JTTコーチ陣エリーとビリーの充実ぶり。ボクが一番心配していたのは朝倉未来選手がどんだけ本気に格闘技に向き合えているか。いままでと同じだったら平本選手有利かなと思ったんですけど、すごく充実してるっぽいので朝倉未来かなと思いますね。
    ――鈴木アナはどういう予想ですか?
    鈴木 ボクは予想できないんですよね。実況する立場の人間として選手に関わったりするんで。
    川尻 いやいや、ボクだって解説の立場がありますよ!(笑)。
    鈴木 いや、直接は関わらないじゃないですか。
    川尻 関わってますって!
    鈴木 やっぱりニュートラルの立場を取らなきゃいけない実況アナウンサーと解説者の違いはそこなんですよ。
    川尻 俺だけ予想してバカみたいじゃないですか。最初からそう言ってくださいよ(笑)。
    鈴木 それにボクはド素人ですから。分析力はやっぱり試合経験の豊富な解説者のほうがありますからね。
    ――ちなみに超RIZIN3の実況担当試合は現段階で決まってるんですか?
    鈴木 まだ全試合は決まってないですね。ただメイン(朝倉未来vs平本蓮)は聞いてるんです。
    川尻 メインは鈴木さん?
    鈴木 そうです。他に関しては試合順が決まらないと、なかなか割り振りが決まらないんですよね。
    川尻 そこはギリギリですもんね。ボクも解説担当の試合を早く教えてほしいですけど、とりあえず全試合準備しておく感じですし。
    ――なぜ朝倉未来vs平本連の話をしたかといえば、おそらくこの試合以降のRIZINは開国の議論がヒートアップすると思うんですよね。国内路線の頂点といえるカードが終わったあとのRIZINはどう進んでいくのか?と。
    川尻 榊原さんがRIZINを作ったときに、UFCとは競わないで独自の価値観を作っていくと宣言してたんですよ。その答えがこの朝倉未来vs平本蓮だと思ってるんですよね。このカードで世間を巻き込んで、PPVが50万件以上売れたら、本当に有言実行。「いまの路線でいいんじゃないの?」って。開国するにしてもどこまでやるかなんですよ。いまのMMAって世界中に選手がありあまってるじゃないですか。PFLに買収されたベラトールの一部のファイターたちは試合の機会がない。そのファイターたちがRIZINにこぞって来たら、それはもうベラトールですよね。結局ボクらが見たいのは「世界最強」じゃなくて、おらが村のヒーローというか、日本人の活躍するところですよね。
    ――「おらが村のヒーローを見たい」ってやや後ろ向きじゃないですか。
    川尻 でも、どのスポーツもそうじゃないですか。たとえば日本のプロ野球を見る人でも、メジャーリーグはあまり気にしないですよね。大谷翔平選手とか日本人選手しか見てなくないですか。サッカーにしてもプレミアリーグが世界一だとしても、Jリーグを見てる人のほうが多いですよね。けど、プレミアリーグで活躍している日本人のことは応援しますよね。ぶっちゃけUFCのペレイラvsイリーはマニアからすれば大注目カードだけど、日本ではそんなに引きはないですよね。同じUFCでも平良達郎vsアレックス・ペレスのほうが見られていますよ。
    ――日本でやるんだから日本人中心でやるべきだってことですね。
    川尻 日本のプロ野球も外国人選手枠は決まってるじゃないですか。RIZINに合う選手だけ契約すればいいだけで、強い順からどんどん契約する方向になったら、UFCに勝てるわけないし、それとは違うやり方で盛り上がってきたRIZINをいまさら崩すのは意味なくない?って思う。
    ――鈴木アナはいまの意見をどう思いますか?
    鈴木 はい、もう全部反対ですね!
    川尻 全部ですか?(笑)。
    鈴木 全部、反対!! 川尻さんはDREAMで活躍されて、そのあとRIZINに来られてるので、考え方が「地上波テレビ的時代」なんですよね。ボクはもう「配信的時代」なんですよ。
    ――要は川尻達也は古い男だと(笑)。

    鈴木 そこはボクがテレビ局出身だからこそ見えてくるものがあるんです。よくいるじゃないですか。UFCをメジャーリーグに例えて、RIZINを日本のプロ野球に例える人たちが。
    川尻 まさにたったいまのボクじゃないですか!(笑)。
    鈴木 ボクはそのたとえに「?」なんです。いやいや、RIZINは日本で作られたメジャーリーグですよ! RIZINは、各国のあるいは様々なプロモーションのチャンピオンたちを集めたチャンピオンズリーグを作るという構想のもと始まったものなんです。だから、団体という立場を取ってない。つまりフェデレーションなわけですよね。その証拠に2015年の旗揚げのときはヘビー級トーナメントから始まり、外国人勢が多かったですよね。プロ野球の立ち位置でいえば、そこはDEEP、修斗、パンクラスだと思うんですよ。RIZINがプロ野球だったらDEEP、パンクラス、修斗はなんなの?って話なんですよ。
    川尻 いやいや、独立リーグでしょ。
    鈴木 違いますよ。独立リーグじゃないですよ!
    川尻 だって、それでメシを食えてないんだもん。俺が現役のときから思っていたことはチャンピオンだけは同世代のサラリーマンより多い給料を払ってくれよって。じゃないと、チャンピオンとして意識を持って振る舞えって言われても無理だよ。金と地位が立場を作っていくんだから、ファイトマネーが安いのに「ちゃんとしろ!」って言われても無理じゃないですか。
    鈴木 たしかにボクシングも含めて国内チャンピオンがなかなか専業になれない難しさは昔からあると思うんですよね。そこは改善の余地が正直あると思ってます。でも、RIZINが生まれる前の時代、DEEPとパンクラスと修斗が日本の頂点だった時代、じゃあ独立リーグからそのままメジャーに行く構図ではないですよね。だからあくまでプロ野球の立場なんですよ。
    川尻 いや、全然プロ野球じゃないですよ。だったらファイトマネー公開してくださいよ。
    鈴木 ボクはファイトマネーからプロ野球だと言ってるわけじゃないですよ。
    川尻 DEEPや修斗、パンクラスで戦っている選手たちのことをリスペクトしてますよ。でも、プロフェッショナルというのはファイトマネーで生活できる人。それ以外はアマチュアとは言わないけど、正直プロだとは思ってないです。
    鈴木 DEEP、修斗、パンクラスに関しましては、Sherdogでちゃんとプロとして成績が記録されてるんですよ。だからお金じゃないんですよ!
    ――まさかのSherdog判定!(笑)。
    川尻 たとえばアマチュアアナウンサーが自分で放送局を立ち上げて「ボクはアナウンサーです!」って名乗っていたらムカつかないんですか?
    鈴木 それはアマチュアですよ! でも、そんなのと一緒にしないでください。ボクはDEEP、パンクラス、修斗の選手たちをプロとして認めています!!
    川尻 プロとしてはボクも認めてます。ファイターとしてはリスペクトしますよ。ただ「プロの敷居が低すぎませんか?」って話で。
    ――ちなみに川尻さんは修斗のチャンピオンだったじゃないですか。ファイトマネーには満足してなかったんですか?
    ・川尻さん、RIZIN丸から降りてください
    ・プロの定義
    ・RIZINがシェイドゥラエフだけだったら?
    ・冬の時代がどれだけつらかったか
    ・ディズニーランドvs公園
    ・日本人が勝てる階級……23000字の激論対談はまだまだ続く!

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  • GLEATはなぜ「日本プロレスリング連盟」でグレイトさせてもらえないのか■鈴木裕之

    2024-08-22 13:00  
    200pt
    GLEATはなぜ「日本プロレスリング連盟」でグレイトさせてもらえないのか? 鈴木裕之代表インタビュー!(聞き手/ジャン斉藤) 【1記事から購入できるバックナンバー】
    ・プロレススポンサー撤退騒動/新木場1stRINGの現在■事情通Zの「プロレス点と線」
    ・00年代の怪しい目撃者“Show”大谷泰顕■松澤チョロの「脱線プロレス」
    ・最高のプロレスラーだった曙さん■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    ・ヒクソン来襲!! 安生道場破り、幻の長州戦真相――中村頼永インタビュー後編
    ☆こちらは7月25日にDropkick note版に掲載された記事です! サイバー攻撃により停止中だったニコニコチャンネルが復活! note版に掲載された記事を随時アップしていきます!
    ――3周年大会のビッグマッチ前(7月1日)に申し訳ないんですけど、GLEATさんが各プロレス団体が連なる「日本プロレスリング連盟」に誘われていないことが話題になってます。
    鈴木 あ、そこから?(笑)。旗揚げ3周年がどうだったとかじゃなくて?
    ――すいません、急すぎますか(笑)。鈴木 まあ「グレイトします!」と宣言してから4年なんですけどね。
    ――ここまでの手応えはいかがですか?鈴木 正直コロナが明けても、どこのプロレス団体も集客に苦戦してるように見えるじゃないですか。
    ――コロナが明けでも客足が戻ってこないと言われてますね。鈴木 そうなんですよね。お客さんが戻ってこない。もしかしたらコロナ後半の時期のほうが集客がよかったんじゃないか……っていう見方もあると思うんですよ。要は徐々に規制が緩くなってきたから久しぶりに会場に行ってみよう、配信で見て面白かったから行ってみようとなった。コロナ禍でもなんだかんだやってきたジャンルでもあったんで。
    ――コロナ禍でも楽しめる数少ないエンタメだったからこそ集客もあったと。鈴木 そうそう。でも、飲み屋さんを含めて復活しちゃったから、選択肢として選びづらくなっちゃってるかもですね。コロナのときは5の中の1だったけど、いまは1000の中の1になっているというか。
    ――配信に慣れたせいで「無理に会場に行かなくてもいいのかな」というハードルの上がり方はないですか?鈴木 それも昭和の新日本さんで考えると、ゴールデンタイム中継で試合を見せておきながら、それでも会場にお客さんを引っ張ってきたんで。いまだってRIZINさんはすべての大会ではないけど、会場を埋めてますよね。だから配信はむしろ言い訳でしかなくて。
    ――言い訳(笑)。鈴木 はい(笑)。配信で見ることができたうえに会場まで行きたいまでにはならないだけなのかな。そこはコンプライアンスがたぶん一番ネックだなと思います。
    ――コンプライアンスですか?鈴木 たとえば昔のプロレスって“なんでもあり”で、いろいろとできたじゃないですか。たとえば実際の人間関係の悪さ、先輩後輩の確執なんかをリング上に転換していたから感情が出やすかったんだと思うんですよね。でも、いまはかつてのようなスクワット1000回とかの過酷な練習をさせたら、パワハラ、いじめ扱いになるわけですよ。誤解しないでほしいのは新弟子をイジメたほうがいいという話じゃないですよ(笑)。
    ――わかります!(笑)。昔のプロレスと比べてやっちゃいけないことがめちゃくちゃ増えている話は聞いてますね。鈴木 それはコンプライアンスが厳しくなったからですね。そういう意味でいえば、ブレイキングダウン的なものをプロレスでやったら大ブレイクしたかもしれない。
    ――あー、なるほど。ブレイキングダウンはコンプラ全盛の中で無法地帯ですね。鈴木 ブレイキングダウンがうまいのは「社会のドロップアウト組が人生再生のために集まってきます!」みたいなスタンスだってことを最初から謳っちゃってるじゃないですか。あれはノーコンプラってことですよ。
    ――じつは格闘技の乱闘やトラッシュトークにプロレスがわりを食ってるんじゃないかって思ってたんですよ。警察沙汰にもなった猪木さんの伊勢丹襲撃事件も、騒動自体はブレイキングダウンっぽくはありますよね。鈴木 いまのプロレスはああいうことはできないですよね。やっぱり人生って正しい道だけじゃない。ノーコンプラの中から生まれる憎悪をリングで消化するから面白い。いちばんお金を持っている団塊ジュニアと呼ばれている世代はまあノーコンプラなエンタメの中で育ったわけで。そういう層に向けた内容にしたいんだけど、いまはなかなかできないですね。
    ――ノーコンプラ世代が見たくなるものがつくりづらいと。鈴木 コンプラがあって選手はムチャできないのに、一部のファンはネットで凶暴化しがちなんですよね。憧れのはずだった選手にクソだなんだとマウントを取るし、もしくはモンスターペアレントとして見るようになっちゃってる。ネットだと選手よりファンのほうが強く見えるかもしれないですよ(笑)。でも、それは仕方ないところもありますよね。リングの神棚にいた選手たちが会場の物販ブースでファンを出迎えているわけですから。
    ――そこで選手と距離を勘違いしてしまうファンが出てくると。鈴木 いまGLEATがやっていることは、選手たちを神棚に戻すことです。簡単に会えないにしていく。お客様の特典としてサイン会をやるときもあるんですが、どこでもなんでも会えるようにはしないほうがいいし、プロレスラーの神々しさをどう作っていくか。幻想を作り直そうと。
    ――その作業を行なううえでもコンプラが厄介なわけですね。鈴木 そうですねぇ。コンプラによってニュージャンルになることを求められているのがこの5年ぐらいなんだと思います。プロレスという側の看板は変わらないんだけど、もう中身が違う。あり方を変えるにはいわゆるブレンキングダウンみたいに最初からノーコンプラを謳うか、もしくは2.5次元のお芝居みたいなアイドルチックなものに仕上げていくか。
    ――手っ取り早いのは2.5次元。鈴木 2.5次元は最初から2.5次元としてやってるから敵うわけないんですよ。その世界観が仕上がっているし、いわゆるシナリオがあるわけじゃないですか。だけどプロレスってプロレスラー同士の察知と想像力で作っていかなきゃいけないので。WWEはいわゆる世界トップレベルのシナリオライターが入ってると思うんですよ。日本はそうじゃなくて、そこは日本のプロレスの良さではあるんですけど、選手に任しているところがすごく多いので、選手が仕掛けないと動かないときもある。しかもそこは2人3脚じゃないですか。戦う者同士は憎悪を持ち合わなきゃいけないのに、相手と運命共同体になっちゃうんですけど。片方は頑張っても片方が乗らなかったら損するわけですから。
    ――ヘタすると仕掛け損、乗っかり損になってしまうこともあると。鈴木 そうそう。あといまはお客さんをなかなか驚かせることがむずかしいですよね。「こういう人が出るんだろうな」ってだいたい読めるっていうか。昔は「まだ見ぬ強豪」がプロレスの醍醐味としてあったわけだけど、いまは順当になってきちゃってるので。
    ――サプライズが起きてもプロレス内の出来事だったりしますね。鈴木 いまのプロレス界は朝倉未来なんか絶対に上げないですよね。
    ――ああ、たしかに。いまのプロレスはそういうモードは一切ない。鈴木 でも、これがWWEだとレッスルマニアに朝倉未来を上げちゃうんですよ。
    ――メイウェザーやローガン・ポールを上げちゃうWWEならやるでしょうねぇ。鈴木 朝倉未来のことを上げると思います。そこがいまの日本プロレス界にちょっと欠けちゃってることだと思う。今度未来選手と戦う平本蓮のことも上げないんですよね。
    ――これが20年前30年前なら、猪木さんが「なんか面白い奴がいるんだろ?ちょっと呼んでこいよ」って言いそうですね。かつてそういう仕掛けをやりすぎてプロレス界がグラついたこともあって、朝倉未来や平本蓮なんかをプロレスに上げるようとする企みが消え失せたんですけど。鈴木 平本選手はXでいつも炎上してるじゃないですか。いまのプロレス界だと、すぐにやめさせると思うんですね。でも、RIZINは泳がせるじゃないですか。
    ――まあ泳がせるというか、制御不能というか(笑)。鈴木 あれは平本選手の本当の感情が吐露した部分。そこはいちばんビジネスになるところなんですけど、そうなる前にいまの日本プロレス界は選手のことを制御しちゃってるんで。日常のトラブルを活かしているRIZINとブレイキングダウンはプロレス界の未来を考えるうえでけっこうポイントですね。ただ、プロレスとの違いでいえば、格闘技の場合は選手が何か起こしたらジムの責任になるじゃないですか。団体にも批判は起こるけど、選手個人やジムの責任になる。プロレスは団体の責任になりますからね。
    ――だからコンプラを重視しないといけないところはあると。鈴木 そこは枠組みの違いもありますし、やっぱりコンプラの壁がありますよ。
    ――GLEATの選手はそのへんはどういう雰囲気なんですか?鈴木 GLEATっていわゆる血の違う人間たちが集まった団体じゃないですか。プロレスの歴史的に外様の集まりって全部潰れているんですけど。全員が一蓮托生でGLEATの人間になるってことで3年間やってきて、これからは競争ですけど、そこはファンのニーズ次第。プロレスって勝ち負けだけじゃないですよね。負けても人気が出るのがプロレスだったりするわけで。
    ――この3年間、予想どおりにできてるところ、できなかったところはあるわけですよね。鈴木 おおむね予想というか、理想以上ではやれてますよね。当初は「GLEATなんか速攻終わるよ」みたいな声も多くて、ボクそこに異論なかったんですよ。「たしかにそうかもしれないな……」って(笑)。
    ――ハハハハハハハ。鈴木 コロナ禍から始まって、よく3年もったなみたいな。それも売上げ、動員数もどんどん上がって、最初は数千万だったのがもう億を超えていたり。成長率でいえば、プロレス業界で一番高い団体になるかなって思ってるんですね。
    ・連盟にはウチと距離のある団体が2つ入っているし…
    ・プロレスラーライセンスは出してほしい
    ・売り上げ、給料の額など連盟入り条件も定めてほしい
    ・コロナ陳情団は「今頃?」と思った
    ・九州プロレスさんには謝りたくなった
    ・「シン・プロレスリング連盟」発足!?……インタビューはまだまだ続く

     
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