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記事 73件
  • 【WWEとUFCの合併】ビンス・マクマホンの幕引きはいつか■斎藤文彦INTERVIEWS

    2023-05-01 21:40  
    180pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはUFCとの合併とビンス・マクマホンの幕引きです!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■WWE身売り説とSNS情報の暴走■WWEもAEWも協力する武藤敬司引退ロード■猪木を語ることは自己の人生を語る行為である

    ■IWGP女子王座の違和感の正体

    ■WWE総帥ビンス・マクマホン引退


    ■新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』
    ■新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方

    ■さらばストーンコールド、トリプルH、テイカー!! レッスルマニア38


    ■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
    ■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


    ■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
    ■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
    ■AEWはWWEのライバルになりえるのか


    ■コロナに散った『ワールドプロレスリング』海谷ディレクターを偲ぶ
    ■前田日明の「噛ませ犬」だけではないポール・オーンドーフの功績
    ■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
    ■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

    ■晩年のロード・ウォリアーズ
    ■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた

    ■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
    ■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜




    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑
    ――驚愕のニュースが発表されました。WWEがUFCの親会社エンデバーに買収され、UFCとの合併新会社が設立されることになりました。
    フミ 凄く大きなニュースであることはたしかなのですが、まだまだ謎だらけの発表でもあるんです。これはエンデバーによる完全な買収なのか、あるいは吸収合併のようなものなのか、WWEとUFCの2社の合併を意味するものなのか。形としてはUFCとWWEが合併して新法人設立という報道がされていますよね。そもそも今年に入ってからWWE身売りの噂はずっとくすぶり続けていて、NBCやFOXが候補になっているとか、それこそディズニーの名前も有力候補として挙がり、サウジアラビアの政府系マネーによる買収が確定事項かのように報じられていました。
    ――WWEはサウジアラビアの政府ファンドから招聘されてPPVのビッグマッチを組んでいましたね。
    フミ WWEの総資産は93億ドル、いまのレートで約1兆2400億円と言われていますが、日本のプロレスの市場規模から考えると想像もつかないスケールですよね。そのWWEとUFCの合併新会社の総資産価値はこれがまたとんでもなくて、210億ドル、日本円で約2兆7930億円とされている。
    ――あくまで紙の上の数字とはいえ、小国の国家予算クラスですねぇ。
    フミ 新会社は新銘柄としてニューヨーク株式市場に上場する予定で、上場企業ですから、証券会社に行けば基本的にはだれでもその会社の株を買えるわけですね。
    ――ちょっと買いたくなってきましたね(笑)。
    フミ 新しい法人の名称はWWEでもUFCでもなく「TKO」になるのではないかといわれていますが、エンデバーとWWEの関係は買収なのか、合併なのか、吸収合併なのか、新会社設立なのか、いまのところそのディテールがわかりにくい。
    ――WWEは先代のシニアの頃から個人商店としてずっとやってきたわけじゃないですか。
    フミ 現在のビンス・マクマホン、ビンセント・ケネディ・マクマホンが父親のビンセント・ジェームズ・マクマホン、つまりビンス・マクマホン・シニアから興行会社を買い取ったのが現在のWWEのルーツです。父ビンス・シニアが興行会社キャピタル・スポーツ・コーポレーションのブランドとしてWWWF(ワールドワイド・レスリング・フェデレーション)を設立したのが1963年ですから、今年でちょうど60周年なんです。ビンスがそのキャピタル・スポーツを買い取り、タイタンスポーツに社名変更したのが1983年。こちらも今年で40周年という節目です。そのビンスは1945年生まれですから、今年8月の誕生日が来れば78歳。やっぱり高齢といえば高齢ですから、復帰したとはいえ、いくらなんでも現場でバリバリ働くような年齢ではないと思うんです。
    ――でも、今回の買収の件がきっかけかはわからないですが、引退したはずのビンスが現場で指揮を振るっているという話が出ていますね。
    フミ ビンスは昨年セクハラ、パワハラのスキャンダルが明るみに出て退陣=引退することになりましたが、WWEの筆頭株主であることに変わりはなかった。今回の買収の件でエンデバーのオーナーと一緒に記者会見をしたり、最近はメディアでの露出、映像の出演シーンがまた増えていますが、久しぶりに公の場に登場してきたビンスはいままでのルックスとあまりにも変わっちゃって、それも話題になっている。
    ――WWEの買収よりビンスの風貌にビックリした人も多いですよね(笑)。
    フミ 顔面蒼白じゃないけど顔色がやや青白いし、珍しく口ひげを蓄えていて、それこそ顔中を整形でもしたんじゃないかっていうくらいの変わり方ですもんね。アメリカの場合はデトックスが一種の流行というか、ビンスもそうだとは断言はできませんが、セレブの人たちは顔が老けないように整形したりするケースがかなりあり、そのせいでむしろマネキン顔になっちゃったりすることがありますね。
    ――逆に不自然になってしまうケースですね。
    フミ そのビンスが会長職を下りて退社し、表舞台から去ったのは昨年6月のことですからあれから1年も経っていないのにビジュアル的な印象はかなり変わっています。ビンスの引退後は娘のステファニーがCEOを引き継ぎましたが、ニック・カーン現社長との共同執行体制。プロレスの現場、とくに月曜のRAWと金曜のSmackDownの番組制作はトリプルHが仕切ってきましたが、その間、企業としてのWWEの運営自体はそのニック・カーンの手に移っていきました。
    ――つまりビジネス面や現場の役割分担が明確になっていったと。
    フミ WWEは株式を公開しているとはいえ根本的には同族会社なので、ステファニーがCEOに就任しましたが、ぴったり時計で測ったように、6カ月間の冷却期間を置いてビンスが戻ってきちゃった。ビンスがWWEを売却に動いていたことは、ビンス自身の引退と直結した何かだととらえた人は多かったわけですよね。ところがエンデバーの買収が正式発表されたら、引退するものと思われていたビンスが意外にもカメラの前に出まくっている。状況の分析と整理が難しい展開になっているんです。
    ――前回の引退は不本意だったから、“真”の引退に向けて最後の顔出しなんですかねぇ。<会員ページへ続く> 
  • 武藤vs内藤が問う観る側のプロレス・リテラシー■斎藤文彦INTERVIEWS

    2023-03-26 16:35  
    180pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは武藤vs内藤が問う観る側のプロレス・リテラシーです!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■WWE身売り説とSNS情報の暴走

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    ■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
    ■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


    ■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
    ■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
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    ■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
    ■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

    ■晩年のロード・ウォリアーズ
    ■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた

    ■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
    ■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜




    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑

     
    ――今回のテーマは武藤敬司引退試合とあの日の興行全体の総括になります。
    フミ はい、よろしくお願いします。すでに語り尽くされている感はあるのですが、観る側のパースペクティブ(視野)といったらヘンかもしれないけれど、観戦歴3年のファンだったらその3年の視界で見ていただろうし、観戦歴10年のファン、観戦歴20年のファンはそれぞれの視野、それぞれ視界、それぞれに違ったものが見えていたんだと思うんです。
    ――フミさんは何年ぐらい武藤敬司というプロレスラーを見てるんですか?
    フミ ボクはヤングライオン時代からずっと接してきました。
    ――それはぜいたくですね。
    フミ 「大量離脱事件」で新日本プロレスの所属選手がスカスカになった時代、いわゆる「冬の時代」でした。1984年に第1次UWFと長州軍団ジャパン・プロレスができて、合計すると30選手くらいが突然、新日本のリングからいなくなった。トップがアントニオ猪木、坂口征二、藤波辰爾、木村健悟だけという陣容で、闘魂三銃士となる武藤、橋本真也、蝶野正洋、のちに誠勝と改名する船木優治、いまはAKIRAの野上彰、この5人が84年入門のヤングライオンだった。武藤さんは第1回ヤングライオン杯(85年)では優勝しなかったんだけど、同年11月、大抜てきを受けてアメリカ武者修行に旅立った。そのあとボクは『週プロ』の取材でフロリダにいる武藤さんを訪ねたんです。「武藤敬司の光と影」というタイトルで長い記事を書きました。
    ――新人のインタビューで「光と影」というタイトルは面白いですね。
    フミ デビュー当時から「光と影」はあったんです。UWFが社会現象になるちょっと前。前田日明、藤原喜明、髙田延彦らが新日本から第一次UWFに移り、そこにタイガー・ジムから佐山聡と山崎一夫が合流した。『週プロ』はこの第1次UWFをすごく応援していた。長州軍団はジャパン・プロレスという団体になって業務提携というかたちで全日本プロレスと契約した。そんな状況だから野毛道場のヤングライオン、というかフツーの新弟子の感覚だったら「ボクたちはこれからどうなるんだろう?」と不安になるはずです。でも、武藤敬司の場合は「ラッキーじゃん。俺らすぐテレビ出れるよ」と受け止めていたんですね。
    ――トップ、中堅どころがいなくなったからチャンスがすぐに回ってくる、と。
    フミ 実際に異例の大抜てきを受けてアメリカ武者修行に行ったわけです。ボクが会いに行ったときは、フロリダでケンドー・ナガサキこと桜田一男さんが運転する車に乗せてもらって、試合会場まで行って、試合後は一緒にメシを食べて、バーでお酒を飲みました。その頃の武藤さんはキャリア1年ちょっと、23歳でしたが、いまとまったく同じキャラでした。
    ――明るくてあっけらかんとして。
    フミ デビューした直後から大物感がすごかった。「冬の時代」と言われた85年の新日本プロレスの第1試合、第2試合のポジションで、黒タイツで黒シューズの武藤敬司は普通に側転エルボーをやっていましたから。
    ――新人なのにそんな大技が許されているのがすごいですよ(笑)。
    フミ 代名詞となるムーンサルトプレスをあたりまえのように使っていました。武藤さんのムーンサルトとのちの小橋建太スタイルとの違いは、小橋スタイルは大きな弧を描くイメージですが、武藤スタイルはデビュー当時は大きな弧を描いて宙を舞うフォームだったものが、キャリアを積んでいくなかで、飛距離とインパクト(衝撃度)をすごく意識するようになって、スピードをつけて低めに飛んでいってリングの真ん中あたりでズドンといくスタイルに変わっていった。
    ――ラウンディング・ボディプレスとも呼ばれてましたね。
    フミ のちの武藤さんはムーンサルトのやりすぎでヒザを悪くしてしまいましたが、当時は22、23歳ですからどこも故障はなかった。ボクも新人記者でしたが、ベテランの先輩記者たちも「これはとてつもない新人」と最初から感じていました。フロリダ遠征から日本に帰ってきて、610(武藤)スペース・ローンウルフの時代があって、それから相米慎二監督の映画『光る女』に主演したこともあった。
    ――昨年ニューマスター修復版Blu-rayが発売された伝説の作品。
    フミ 当時、週プロ編集部では『週刊プロレス』以外に月1ペースで『プロレスアルバム』というムック・シリーズを出していたんですね。そのときボクは武藤敬司特集『武藤敬司発進!』を担当しました。
    ――思い出は尽きないわけですね。武藤さんの引退試合は内藤哲也とのシングルマッチでしたが、終了後に同期の蝶野正洋との試合も行なわれるというサプライズがありました。
    フミ 蝶野正洋にとっても引退試合になった、というふうにボクはとらえています。シチュエーションとしてはあくまでもカーテンコールというかボーナストラックでしたが…。やっぱり、メインイベントの内藤選手とのシングルマッチがたいへん見応えがありました。28分58秒のシングルマッチなのに、最後の最後までロープワークが一度もなかったんです。
    ――それはすごいことですね!
    フミ 武藤さんのヒザとハムストリング(大腿部裏)の状態がよくないからロープワークが難しかったという見方も成り立つんですが、それでも30分近く、重厚な試合ができちゃうわけです。今大会は全体としてはタッグマッチが多かったんですが、誰かがヘッドロックを取ると、次の瞬間にはもうロープに向かって走っていくシーンばかりが目についた。武藤vs内藤にもサイドヘッドロックの攻防はありましたが、イージーにロープに走ることはなかった。ロープワークからはすぐに大技にいける利点もありますが、動きが段取りっぽく見えてしまう弱点、欠点があるんです。
    ――いまは攻めてるほうが急にロープに走ってカウンターを食らうシーンが多いですもんね。
    フミ せっかくヘッドロックを取っているのに、それを逃がしてロープに走られて、相手が跳ね返ってきたところでショルダーブロックを食らって倒されちゃうというシーンがありますね。ヘッドロックを取って相手をコントロールしていたことがムダな動きになってしまいますね。ところが、武藤vs内藤は30分近い試合なのにそういうロープワークが1回もなかった。
    ――ロープに飛ばなくても見せられると。
    フミ まず、初期設定からふり返ると、この興行は平日の火曜日の開催だった。ダークマッチがスタートしたのは午後4時。そうすると集客は苦しいというか、社会人はこの開始時間には会場には来られない。
    ――平日の開催って会社終わりの18時半スタートが定番ですよね。
    フミ それこそ仕事を休んで観戦に来た人はいたでしょうし、ボクも気になったから昼過ぎの12時半くらいに東京ドームに行ったんです。そうすると午後1時あたりから水道橋駅、東京ドームの周りにはすでにプロレスファンが溢れていました。
    ――有休を取ったプロレスファンの群れですかね(笑)。
    フミ 今大会は3部構成の全11試合。東京女子プロレスとDDTの提供試合がそれぞれあって、DRAGONGATEvsノア、それから全日本vsノア。宮原健斗&諏訪魔&青柳優馬vs拳王&中嶋勝彦&征矢学のタッグマッチは、この大会じゃなかったらメインになってもおかしくないようなラインナップです。NOSAWA論外の引退試合として外道&石森太二vs NOSAWA論外&MAZADA、それからノンタイトルですが高橋ヒロムvs AMAKUSAのシングルマッチオはIWGPとGHCのジュニアヘビー級王者の対戦。セミファイナルのオカダカズチカvs清宮海斗もノンタイトルではあるけれど、これもIWGPとGHCのヘビー級チャンピオンの初対決。オールスター戦といっていいカードが並びましたよね。3部構成の第3部のオープニング、試合順としては全11試合中の8試合めの外道&石森太二vsNOSAWA論外&MAZADAの試合が始まったのが18時半ちょうどだっ。大会開始が16時ですから、出場レスラーが多いわりにはイベント進行のテンポがよかったんです。
    ――試合はさくさく終わりましたね。
    フミ 今回の興行には総勢58選手が出場していた。でも、6人タッグマッチや8人タッグマッチの試合時間はだいたい6、7分だった。小川良成チームvs小峠チームの10人タッグは、小川良成が1回もタッチせず、リングインする前に小川良成のチームが勝って試合が終わった。試合ですから、たしかに10人タッグマッチだからといって10選手全員がまんべんなく出てきて、それぞれに見せ場を作る必然性はない。試合ですから、勝ち負けを争っているという意味においては、どこでどう終わってもおかしくない。ボクはこの試合は勉強になりました。どういうことかというと、ここでは、一度も試合に参加せずに入場シーンだけで帰っちゃった小川良成の存在がむしろ際立つんです。
    この続きと平本蓮、平良達郎、武藤引退、鈴木秀樹、西川大和……などの3月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事14本」の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2145049この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • WWE身売り説とSNS情報の暴走■「斎藤文彦INTERVIEWS」

    2023-02-19 09:45  
    180pt
    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはWWE身売り説とSNS情報の暴走などです!

     

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    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



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    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑

     
    ――2023年のプロレス界も新年早々いろんな動きがありました。
    フミ 新日本プロレスのイッテンヨン東京ドームには元WWEのサーシャ・バンクスあらためメルセデス・モネが登場しました。ボクは12月29日のスターダム両国国技館と、このイッテンヨンとはひとつのセットとして考えたいんです。
    ――メルセデス・モネはIWGP女子王座戦KAIRIvs中野たむの試合後に現れました。
    フミ こういう言い方するとサーシャ・バンクス批判みたいになっちゃうかもしれないけれど、サーシャ・バンクスあるいはアメリカ側が捉えているところの彼女の商品価値と、日本のマーケットにおけるその知名度はあまりにも乖離しているんですね。サーシャ・バンクスはこれまでWWE日本公演にも来ていますし、スマックダウン女子王座をはじめとする女子の王座を何回も取ってはいるんですが、WWEでの実績と日本市場での立ち位置はまったく別モノですね。日本ではWWEのテレビ中継(J-スポーツ=スカパー)は2021年をもって終了している。ロウとスマックダウンのコマーシャルなしの短縮版はアメリカでの初回放送から24時間後にYouTubeにアップされているんですが、この映像は英語版のみで日本語字幕はなし。コロナ禍の影響もあって、それまで約20年にわたり毎年行われてきたWWEジャパンツアーは2020年から3年連続で中止になっていて、再開するかどうかもわからない。現在、日本ではWWEは限られた環境でしか楽しめないものになっているんです。
    ――日本でWWEの浸透度は低くなっていますね。
    フミ それでもWWEにとって日本は全世界のテリトリーのなかの一部みたいな認識がアメリカ側にはあって、アメリカで人気があるものは当然日本でも受けるものだという、わりと根拠に乏しい大前提があったりするんです。揚げ足を取るわけではないけれど、東京ドームの花道に現れたメルセデス・モネに会場内は“ドーンッ”とは沸かなかった。うんともすんともリアクションがなかったのは事実です。あのシーンは、日本の観客に向けてというよりはアメリカ市場向けの映像だったというのが現実ですよね。
    ――そこはもうある程度覚悟してるんじゃないですかね。なにしろ初登場なわけですから。
    フミ でも、アメリカ側のマーケティングから考えれば納得も理解もできない状況でしょう。KAIRIとメルセデス・モネのIWGP女子タイトルマッチはカリフォルニア州サンノゼの新日本興行の目玉カードだから、やっぱりこれはアメリカ市場における大きなストーリーということになる。スターダムマターではなくて、どちらかというとブシロードマターですね。スターダムがメルセデス・モネを招いて、スターダムのリングで試合をさせるというビジネスではない。メルセデス・モネはツイッターでは400万近くフォロワー、インスタでは200万人ぐらいフォロワーがいて、数字から判断すれば影響力はものすごくあるようにみえる。今回のイッテンヨン東京ドームのPPV配信は海外からの視聴契約数がいきなり10万件くらいアップしたといわれ、数字のうえで結果が出たことはたしかだと思うんです。ただ、それはおそらくメルセデス・モネ効果だけではなくて、ケニー・オメガvsウィル・オスプレイが英語圏で数字を稼いだと見たほうが妥当ですよね。
    ――まあメルセデス・モネは今回試合自体はしてないですし。
    フミ 今回のメルセデス・モネのデビューの仕方を見ると、ブシロードがスターダムあるいは女子プロレスというジャンルをどう捉え、どういうビジネスモデルを想定しているかというところが見えてくるわけです。イッテンヨンではIWGP初代女子王者、KAIRIの初防衛戦(挑戦者は中野たむ)がありましたが、大きな話題作りがあって新設されたばかりのタイトルなのに全9試合の中で第2試合目にラインアップされていた。しかも試合時間は正味5分だった。
    ――今回は他の試合もショートタイムでしたね。
    フミ KAIRIと中野たむのタイトルマッチがスターダムのリングで行われた場合をシミュレーションすると、どう考えても20分から25分は与えられるべき試合なんですね。最後はKAIRIのトレードマークのダイビングのエルボー、インセインエルボードロップ1発できれいに決まる。初代IWGP女子チャンピオンのKAIRIがきれいに防衛するというのは、それでいいでしょう。しかし、実際にはタイトルマッチ自体がその直後に花道に登場してるメルセデス・モネのための予告編にしかなっていなかった。第2試合ということもそうだし、タイトルマッチなのに試合タイムは5分。そこでいったい何が観客に提供されたのかというところを読み解いていくと、女子プロレスは新日本のお皿の上に乗っちゃうと、こういう形でしかディスプレーされないんだろうなということが見えてくる。というのは、メルセデス・モネの試合後のコメントからもわかるように、それがアメリカからの認識といってしまえばそれまでなのかもしれないけれど、まるでスターダムが新日本プロレスの女子ディビジョンみたいな認識になっているわけです。メルセデス・モネのコメントは「私は女子のブループリントで、女子のスタンダードで、ウィメンズディビジョンのCEO」というものだった。ウィメンズディビジョンって女子部門ということですね。WWEでいうところのメンズディビジョンとウィメンズディビジョン。つまりWWEの中には男子部門と女子部門があることはたしかなんだけれど、日本では新日本プロレスとスターダムは、親会社が同じといっても、まったく別団体で、イコールではないですよね。
    ――同じグループとはいえ違う団体ですね。
    フミ オーナーは同じだけれど並列ではない。別法人で、それぞれに契約所属選手を抱えていて、別々の年間興行スケジュールがあって、まったく別々のドラマがある。ところが、アメリカのほうのからの認識と理解では、オーナーのブシロードが上部に立っているということで、スターダムは新日本の女子プロレス部門っていうふうに捉えちゃってる感じがすごくあるわけです。
     ただ、IWGP女子王座だけに関していえば、やっぱり新日本のリングのなかにあって初めて成立するものなのだろうというふうには思います。実際に今回の展開が予告編になって、KAIRI vsメルセデス・モネは新日本プロレスのサンノゼ公演でメインイベントになったわけです。
     イッテンヨンでもパンフレットに印刷されていたKAIRIの所属先はスターダムではなく「フリー」という記載になっていた。KAIRI選手はあくまでもフリーの立場で世界じゅうをツアーするIWGP女子世界チャンピオンということですね。つまりIWGP女子王座が新日本の海外マーケット向けの重要なツールになるのだとすれば、すべてつじつまが合ってくるというか、KAIRIというスーパースターのステーテスとこれからの立ち位置を考えると、そういうレイアウトが一番すっきりするような気がします。

    この続きと佐藤大輔、猪木側近、堀江圭功、梅野源治、清宮「顔面蹴り」……などの2月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事14本」の詰め合わせセット」はコチラ
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  • WWEもAEWも協力する武藤敬司引退ロード■「斎藤文彦INTERVIEWS」

    2022-12-12 18:34  
    150pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは武藤敬司引退ロードです!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■猪木を語ることは自己の人生を語る行為である

    ■IWGP女子王座の違和感の正体

    ■WWE総帥ビンス・マクマホン引退


    ■新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』
    ■新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方

    ■さらばストーンコールド、トリプルH、テイカー!! レッスルマニア38


    ■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
    ■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


    ■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
    ■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
    ■AEWはWWEのライバルになりえるのか


    ■コロナに散った『ワールドプロレスリング』海谷ディレクターを偲ぶ
    ■前田日明の「噛ませ犬」だけではないポール・オーンドーフの功績
    ■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
    ■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

    ■晩年のロード・ウォリアーズ
    ■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた

    ■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
    ■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜




    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑

     
    ――きょうは「武藤敬司引退ロード」というテーマでお願いします。日本とアメリカを股に掛けて活躍した武藤敬司が2月に東京ドームで引退します。
    フミ 今回の引退ロードは武藤敬司だから実現していることがいくつもあるんです。まず先日発表されたノア1月1日の中邑真輔戦。WWE所属の中邑真輔がワンマッチ限定で参戦します。このカードは10月のノア有明アリーナ大会のなかで映像で発表されましたが、日本人対決では思いつくかぎりの夢のカードです。これまた用意周到というか、武藤敬司の引退ロードはこの武道館のあとには1月22日の横浜アリーナもあって、そこにはAEWからスティングとその子分のダービー・アレンがやって来て、グレート・ムタとトリオを組む。
    ――ムタのライバルだったスティングとの物語に終止符が打たれるわけですね。
    フミ 2月22日東京ドームはリングサイド最前列が50万円ですよね。しかも、席数限定のチケットはすでに完売。引退試合の対戦相手はまだ発表されていませんが、おそらく1・1の武道館あるいは1・22の横アリにおいてまたしても衝撃映像で発表されるでしょう。とんでもないカードが出てくるということでしょうね。
    ――中邑真輔戦を超えるカードですか!!
    フミ 武藤敬司いわく「誰とやったかみんなが覚えていないような引退試合はイヤなんだ」と。たとえばアントニオ猪木さんの引退試合は、その相手を決めるトーナメントをやりましたよね。
    ――ドン・フライ、ブライアン・ジョンストン、小川直也、イゴール・メインダートの1DAYトーナメントでドン・フライが勝ち上がって。
    フミ そのせいでかえって猪木さんの引退試合の意味合いというか味が薄まっちゃったというか。長州力の最初の引退試合も新日本正規軍5人掛け(藤田和之、吉江豊、高岩竜一、飯塚高史、獣神サンダーライガー)でした。そこには長州さんが新日本に何かを残していくというテーマがあったけれど、武藤敬司っていう人はどちらかというとチームプレーヤーというよりは“個”の人。だから、みんながあっと驚くとんでもない隠し玉が用意されている。最後の最後に東京ドームという巨大な空間ですから、ここは世界じゅうがびっくりするようなシングルのカードということになるのでしょう。
    ――なるほど、ハードルを上げますね(笑)。
    フミ ハードルは上がってきます。今回のグレート・ムタvs中邑真輔でいえば、マニア層のファンほど妙な深読みをして、プロレスリング・ノアとWWEがビジネスをするようになったの?というふうに勘繰りがちなんだけど、これはもう本当にノアとWWEが業務提携するといった話ではなくて、団体の境界線も、それこそ国や文化や言語のカベを超えた武藤敬司というスーパースター、つまりスーパースター・マターだからこそ、あのWWEが協力を惜しまずという姿勢を見せたということですね。
    ――武藤敬司の顔があるからですね。
    フミ ビンス・マクマホンからトリプルHへの政権交代があったことで、他団体との交渉に関しては、ビンス御大よりもトリプルHのほうがはるかに柔軟ということはあると思うんですね。ちなみに武藤敬司はこの12月23日の誕生日が来るとついに60歳です。あのスタイルとつねにヒザに爆弾を抱えた状態で、還暦までプロレスをつづけることができるとは思っていなかったでしょう。いまアメリカのレスリング・ビジネスで決定権を持つようになった、たとえばトリプルH世代のエグゼクティブにとってムタは大スターなんです。
    ――現在のトップレスラーや関係者のプロレスファン時代のスターってことですね。
    フミ 横浜アリーナに来るスティングにしても現在64歳ですか。いちど現役から遠ざかって、また復帰して、いまはおそらくシングルマッチができる体調ではないんだけれど、スティングはスティングであり続けるという部分で、そこはグレート・ムタと共通するところがあるのでしょう。グレート・ムタがそこにいるのであるならば、AEWは喜んでスティングを送り出しますよ、ということですね。そこはWWEもAEWも対応は同じですね。グレート・ムタ、武藤敬司の現在の所属団体はプロレスリング・ノアなんだけれど、武藤がそこにいるからこそ実現するビジネスという領域があることを証明しちゃったわけです。
    ――同時期にWWEとAEWが協力するってすごいですよね。
    フミ 団体の枠を超えた、というフレーズそのものは簡単に言えるけれど、実際にそれをやっちゃうところに武藤敬司のすごさをあらためて思い知らされるわけです。新日本にしても、先日の新日本とスターダムのコラボのイベントにしても、そこにやっぱりグレート・ムタをレイアウトしますよね。いつでも出てほしい。また出てほしい。武藤敬司っていう人は日本の現役レスラーのなかで最も単価(ファイトマネー)が高い選手ですよね。だけど、出てほしい。引退ロードが始まったことで、なおさら出てほしいわけです。アメリカのAEWのTVマッチにいきなり予告なしに登場しましたが、ムタが引退することが明らかになったらアメリカのいろんな団体から「一度出てくれませんか」というリクエストがすごかったんです。ボクのところにまで調査の連絡がありましたから。

    この続きと平本蓮と空手、西川大和契約問題、K-1離脱、鈴木千裕……などの12月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事14本」の詰め合わせセット」はコチラ
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  • IWGP女子王座の違和感の正体■斎藤文彦INTERVIEWS

    2022-10-15 21:09  
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはIWGP女子王座の違和感の正体です!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■WWE総帥ビンス・マクマホン引退


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    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

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    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
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    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑

     
    ――今回は、新たに設立されるIWGP女子王座について語っていただきたいですのが、そのIWGPを設立した猪木さんがお亡くなりになりました。
    フミ 日本中の人たちがアントニオ猪木さんの思い出を語ったり、ビデオで猪木さんの試合をまた観たり、猪木さんに関連する本を読んだりしていますね。誤解を恐れずにいえば、天皇が崩御されたときのような雰囲気ですね。
    ――猪木さんに関してはあらためて振り返る機会もつくるとして……猪木さんが設立したIWGPに女子王座ができるわけですが、本日スターダムの記者会見があったそうですね。
    フミ ついさっき、その記者会見から帰ってきました。今日は「秋の大発表祭り」と銘打って3部構成。2時間ちょっとの記者会見だったんです。
    ――かなり長い会見ですね。
    フミ 3部構成で発表されたことは4アイテム。10月19日に新宿住友ビルで開催されるNEW BLOODという若手中心の興行のカード発表。2つ目が10・22後楽園ホールでトーナメント第1回戦が行われるIWGP女子王座決定トーナメント1回戦に関するお話。それから5★STAR GPというシングルのトーナメントが終わったばっかりですが、今度は10月23日からスタートするタッグリーグ戦。16チーム32名の出場メンバーが発表され、主な顔ぶれがチームごとにコメントを出したんです。
    ――32名全員ってなかなかすごい。
    フミ 4つ目が11月3日の広島サンプラザのビッグマッチのカード発表。赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)と白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)のそれぞれのタイトルマッチがあって両国国技館クラスのカード編成。記者会見自体がどちらかといえばYouTube生配信番組用の構成になっていた。
    ――いまの発表内容を聞くだけで、スターダムが乗りに乗ってる感じが伝わってきますね。
    フミ スターダムに1軍、2軍という分け方はありませんが、番付でいえば横綱、三役クラスから平幕、十両まで30名近くの選手たちが一度に壇上に並ぶわけです。スターダムの勢いを感じましたね。
    ――肝心のIWGP女子王座はどのような発表があったんですか?
    フミ IWGP女子王座決定トーナメントの概要なんですが(https://wwr-stardom.com/news/iwgppressconference/)、そこには選手間にも温度差があるというか……。選手たちからすればスターダムには赤いベルトという最高権威のものがあって、それとは別のもうひとつの価値観として白いベルトがあるわけですよね。
    ――赤いベルト、白いベルトという呼び方は全女時代から受け継がれていたものですね。
    フミ ロッシー小川さんは全日本女子プロレスからずっとプロレスのビジネスを手がけてきた方ですから、チャンピオンベルトの系譜はその流れを汲んでいる。全女にはWWWAの赤いベルトと、オールパシフィックの白いベルトというレイアウトがしっかりありました。スターダムもその歴史にならってるわけです。これらのベルト以外にも、フューチャー・オブ・スターダム、ハイスピードベルト、SWAとシングルのベルトがありますが、スターダムにはその赤いベルト、白いベルトを目指す闘いがある。では、この新設されるIWGP女子王座はいったいどこに位置するものなのかという素朴な疑問があるわけです。IWGPはもちろん新日本プロレスの最高権威のチャンピオンシップです。その女子王座新設とはいっても、やはりそれは新日本プロレス的な価値観の上に立った発想ですよね。あくまでも男性のプロレス、あるいは男性のプロレス観から眺めた景色だと思うんです。
    ――IWGPには長い歴史があるわけですし。
    フミ 女子プロレスのほうの景色、女子プロレスの価値観からはなんとなくその展望が見えてこないタイトルなんです。ひょっとしたら、IWGPのほうから見れば、赤いベルトや白いベルトよりも上にあるサムシングという発想がどこかにあるのかもしれない。今回のスターダムの記者会見を取材して、初代王座決定トーナメントに出場するスターダムの選手本人たちが、IWGPというものにあまりピンときていないように感じたんです。猪木さんの現役時代とIWGPが誕生した大河ドラマを知らないのは世代的に仕方がないとしても、オカダ・カズチカの活躍は知っているはずですよね。
    ――でも、IWGP女子王座をどういうベルトとして捉えていいのかわからない。
    フミ 王座決定トーナメントにエントリーしている選手のひとりである渡辺桃は、そこらへんが妙に正直だったというか、「IWGPとかよくわかんないんですけど……チャンピオンになったら新日本のイッテンヨン・ドームで防衛戦ができるって話なので、それだったらほしいです」とコメントしていた。
    ――面白いですね、そこまで正直で話をしたうえに団体側が統制しないのは(笑)。
    フミ そこで「こういうところではこう言うんだよ」と発言をプロデュースされていたら、本音は覗けなかったかもしれないですけど。たとえばプロレスリング・ノアという世界観で生きている選手たちは、三沢光晴さんが立ち上げたGHCというベルトこそ最高の権威だという感覚でリングに上がっているわけですよね。スターダムの選手たちがIWGPがイマイチわからないというのはウソでもなんでもないと思います。それにこの記者会見でIWGP女子王座の発表に使われた時間は全編2時間のうち、ほんの15分、20分だった。


    この続きと追悼・猪木、西川大和、平本蓮、スマックガール、ベラトール……などの10月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事16本」の詰め合わせセット」はコチラ
     
    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2125440
     
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  • WWE総帥ビンス・マクマホン引退■斎藤文彦INTERVIEWS

    2022-08-15 00:00  
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはWWE総帥ビンス・マクマホン引退です!

     

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    ■新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』
    ■新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方

    ■さらばストーンコールド、トリプルH、テイカー!! レッスルマニア38


    ■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
    ■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


    ■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
    ■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
    ■AEWはWWEのライバルになりえるのか


    ■コロナに散った『ワールドプロレスリング』海谷ディレクターを偲ぶ
    ■前田日明の「噛ませ犬」だけではないポール・オーンドーフの功績
    ■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
    ■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

    ■晩年のロード・ウォリアーズ
    ■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた

    ■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
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    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



    ■超獣ブルーザー・ブロディ

    ■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
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    ――今回はWWE最高経営責任者ビンス・マクマホンの引退についてお伺いします。フミさん、大変なことが起きてしまいました。
    フミ 大変な事件というか、歴史的な出来事ですね。でも、ビンス・マクマホンは77歳という高齢ですから、この日はいつかはやってくるものだったのでしょう。
    ――ただ、まさか不倫騒動がきっかけになったのは意外でした。
    フミ そういったやや意外な衝撃はありました。アメリカ国内では今回のこの不倫騒動は大きなニュースになっていました。いわゆるセックス・スキャンダルですね。不倫騒動そのものよりも、事実関係が判明しているところでは過去16年間に4人の契約タレント、元社員らにそれぞれ100万ドル単位の示談金が支払われていた(そのうちのひとりには750万ドル)。そこに注目が集まっていた。それは法的には示談金、慰謝料といった名目になるし、ビンス的には手切れ金、口止め料ということになるのでしょう。『ウォールストリート・ジャーナル』紙の記事によれば合計12ミリオン超(1200万ドル以上)。いまは円安ですから合計18億円ぐらいですか。今回、問題になっているのはそのお金の出どころです。この示談金の支払いにWWEの資金が使われたかどうかですね。会社のお金を使っていたとすると特別背任罪などに問われる。
    ――個人のお金であれば問題はなかった。それでもその金額には卒倒します(笑)。
    フミ WWEは株式を公開している上場企業ですから、年に4回、四半期ごとに1ドル1セントの単位までその収支が株主に公開されます。そこで会社のお金をそういうことに使ったとなると、共同オーナーでありCEO(経営最高責任者)であり大株主であるビンスが会社の資金を私用に横領したかたちになってしまうんですね。ただ、ビンスを擁護する立場があるとすれば、金額そのものはそれほどではなく、帳簿上の支払いの名目について比較的どうにでもなる……という論法が成立しないこともない。ちなみに公開されているWWEの株式のうち現在のビンスの持ち株の総額は2.4ビリオン(24億ドル)、日本円で約3268億円といわれています。
    ――すごい金額!
    フミ リンダ・マクマホン夫人の持ち株の総額は2.6ビリオン(26億ドル=約3536億円)で、ビンスのそれをやや上回っている。長女ステファニー、その夫のトリプルHはそれぞれ150ミリオン(1億5000万ドル=約204億円)の株式を保有しています。
    ――その規模からすると10億円ぐらい……ってなっちゃいますね。
    フミ 実際に会社のお金を使ったのかどうかはまだわかりませんが、FBIや検察サイドではそういう見立てができあがっていて、新聞メディアの記事もそれなりの裏づけがあるのでしょう。ビンス自身はまだ逮捕されたわけではないけれど、逮捕・起訴されて裁判になる前に経営最高責任者の座から退いたという見方が一般的です。今回の退陣は7月22日の金曜の午後1時にビンス自身のツイッター・アカウントで突如発表されました。そして同日、その7時間後にオンエアされた『フライデーナイト・スマックダウン』の生番組冒頭にステファニー・マクマホンが登場してきて「本日、父がリタイアしました」と正式発表したわけです。
    ――そのときビンスは出てこなかったんですね。
    フミ ビンス本人は番組には出てこなかったのですが、そこがプロレスファンの防衛本能みたいなところなのかもしれないけれど、この正式発表さえもアングルだろう、新しいストーリーラインだろう……と思っちゃった人たちが一定数いました。日本のプロレスファンもそうかもしれないけれど、なんでもかんでも疑っちゃうクセがありますよね。
    ――しかもWWEはこの手のストーリーがあたりまえでしたし。
    フミ もしくは引退とはいっても、どっちみちバックステージではWWEのテレビ番組をプロデュースし続けるでしょ……という見方もあるのですけが、ボクは今回は本当にビンスは引退したと考えています。ビンス自身がつねづね苦手だと公言していたツイッターを使って、わざわざ全世界に向けて同時発信したことも重要なポイントです。
    ――なるほど。ツイッターからの発信がポイントなんですね。
    フミ いまから20年ちょっと前でしたか、いよいよネットの社会になった時点でも「インターネットって何?」っていう程度の理解というかスタンスだったんですね。ソーシャルメディア、日本でいうところのSNSに関しても同じで、ビンスはわりとメディアの進化・発展に無頓着なところがあった。そのビンスが今回はツイッターを公式アナウンスの場所に選んだ。
    ――不倫騒動が初めて流れた6月17日翌日の『スマックダウン』には、ビンスがオープニングに出てきて。不倫には触れずに挨拶しましたが、あれがWWEにおける最後の登場になりましたね。
    フミ あのときはまだ「俺は全然元気だよ」みたいな感じで、ビンスがライブに出てくれば、会場のお客さんからはやんやの大喝采を浴びますよね。世間を敵に回しても、会場に集まってくれる2万人超の観客はやっぱり自分の味方なんだということを確認したわけです。
    ――猪木さんの政界スキャンダルのときもそんな感じでしたね。世間からは叩かれていたけど、新日本の会場に来れば歓声を浴びると。
    フミ そこはプロレスファンのいいところだし、プロレスファンは一般世間的にはちょっと虐げられている場合があるので、試合会場、つまりライブ空間ではそういう仲間意識がおたがいを支え合うというか、共有する思いを持った人たちが同じ場所に集っている。だからビンスにブーイングを浴びせる観客はほとんどいないというのもまぎれもない現実でしょう。
    ――フミさんは完全に引退だとおっしゃっていましたけども、ビンスはWWEの筆頭株主のままではありますね。
    フミ 会社の役職を降りたとしても持ち株は保有しつづけるだろうし、大株主であることに変わりはない。もう無理に働かなくても暮らしていけるわけですから、本人がそのつもりなら本当はもうちょっと早く引退はできたのでしょう。ビンスは1945年8月生まれの77歳です。第二次世界大戦の終戦のときに生まれました。
    ――そんな翁が現代プロレスをプロデュースを指揮していたのは奇跡ですね。
    フミ ずいぶん長くやりましたよね。お父さんのビンス・マクマホン・シニア(ビンセント・ジェームス・マクマホン)が大プロモーターだったことから、日本の活字メディアではかなり長いあいだ、ビンス・マクマホン・ジュニア(本名ビンセント・ケネディ・マクマホン)と表記されていましたが、70年代にビンスがWWFの実況アナウンサーだった時代から、アメリカのテレビ番組の画面上のテロップには「ジュニア」が付けられていたことはないんです。
    ――経営者としてはビンス・マクマホンであり、WWEの登場人物としてはミスター・マクマホン。
    フミ 1982年6月、ビンスが36歳のときにお父さんのシニアからWWE(社名はキャピタル・レスリング・コーポレーション)を買いました。譲渡されたわけではない。当時のお金で35万ドル(約4000万円)といわれていますが、シニアから正式に会社を買い取った。そして、“1984体制”から興行テリトリーを従来の東海岸エリアからいっきに全米マーケットへと拡大して、アメリカというよりも世界のプロレス界に革命を起こした。それでもライバル団体WCWを買収して全米完全制圧に成功したのは2001年ですから、ビンスの力をもってしても世界征服には20年近くの時間がかかったということですね。
    ――それから20年近く経った2022年にビンスが引退すると。あとを引き継ぐのは娘のステファニーですが、トリプルHの健康状態がよくないこともあって、ちょっと前に休養を発表したばかりでしたね。
    フミ 今回の新人事とその新体制発足を受けてステファニー&トリプルH夫妻が現場に復帰することになりました。すでに発表されている新人事は、ステファニー・マクマホンとニック・カーンの2名の共同CEO(経営最高責任者)就任です。
    ――AEWオーナーがトニー・カーンだから紛らわしいですけど、WWEのほうはニック・カーンですね。

    この続きと星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊などの8月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事16本の詰め合わせセット」はコチラ
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  • 新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』■「斎藤文彦INTERVIEWS」

    2022-07-22 09:35  
    140pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』です!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方

    ■さらばストーンコールド、トリプルH、テイカー!! レッスルマニア38


    ■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
    ■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


    ■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
    ■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
    ■AEWはWWEのライバルになりえるのか


    ■コロナに散った『ワールドプロレスリング』海谷ディレクターを偲ぶ
    ■前田日明の「噛ませ犬」だけではないポール・オーンドーフの功績
    ■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
    ■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
    ■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン

    ■晩年のロード・ウォリアーズ
    ■ロード・ウォリアーズの衝撃

    ■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー

    ■全女消滅後の女子プロレス新世界

    ■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった

    ■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた

    ■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


    ■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻る



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    ■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜




    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑

     
    ――今回はフミ斎藤さんにAEW対新日本の対抗戦を振り返っていただきたいと思います。フミさん、よろしくお願いします。
    フミ よろしくお願いします。
    ――ざっくり聞きますけど、大会の印象はどのように感じました?
    フミ 今回のAEWと新日本プロレスの合同興行の大会名は『FORBIDDEN DOOR』(禁断の扉)。以前にもお話したことですが「禁断の扉が開いた!」は、本来は当事者ではなくて第三者の評価というか観察、分析であるべきところではありますが。
    ――“禁断”としているのは自分たちに理由があるわけですよね。
    フミ 今回は自分たちの手で「禁断の扉をこじ開けたぞ!」ということなのでしょう。『FORBIDDEN DOOR』は本戦が9試合、プレショーで4試合がラインナップされていて合計13試合。試合以外の登場人物を含めると出場選手50人数名。AEWの実況・解説のジム・ロス、トニー・シヴァーニ、タズ、エクスカリバーらが「スリーイヤーズ・イン・ザ・メイキング!」というコメントを繰り返していました。AEW設立発表が2019年の1月1日ですから、3年がかりでついにこのイベントが実現したという意味ですね。
    ――3年で新日本とコラボイベントができたと。
    フミ 「石の上にも三年」じゃないけれど、それくらいネゴシエーションに時間をかけた大きなコラボレーションだった。現AEW世界ヘビー級チャンピオンのCMパンクが負傷欠場となったため、暫定世界ヘビー級選手権というかたちで新日本代表の棚橋弘至と、AEW代表ジョン・モクスリーがメインイベントで対戦。コラボイベントとしてはベストのカードをラインナップしたと思います。
    ――超満員のアメリカのお客さんたちは新日本のレスラーたちに相当詳しい印象がありました。
    フミ 会場はシカゴのユナイテッド・センター。WWEがPPVイベントを、それこそサマースラムを開催するような大都市のビッグアリーナです。今回は1万6000人の観客が集まっていましたが、WWEのそれよりもマニア層、気合の入ったプロレスファンが多かったこともあって、新日本の選手たちに対してはすごく歓迎ムードだった。メインイベントの棚橋vsモクスリーも先に入場したがモクスリーで、あとから入場してくるのが棚橋という順番になっていた。これはAEWサイドの選択だった。
    ――それだけ棚橋を大物として扱っていると。
    フミ 今回の『FORBIDDEN DOOR』の2週間前に行われたAEWのTVショーに棚橋ら新日本勢が登場して対抗戦の予告編をやりました。そのときモクスリーは「俺がプロレスラーになる前から目標としていたのがアンタなんだ」っていうことを棚橋に訴えた。要するにモクスリー自身にとって棚橋戦は夢の一戦だといことを連呼したわけです。この時点で棚橋のほうが格が上であるという“初期設定”が明らかにされた。「“チャンピオン”とかいろんなニックネームを持つ人はいるけれど“エース”という称号を持っているのは棚橋だけだ」「棚橋、アンタに勝って、俺がエースという称号を奪い取る」ということもモクスリーはアピールしたんです。
    ――“エース”という新日本のニックネームがアメリカにも届いてるわけですね。
    フミ それくらい棚橋はものすごい大物として紹介されていた。ただ、会場にはマニア系のファンが集まっているといっても、PPVの一般視聴者層も想定しなくちゃいけないので、コメンテーター陣は、視聴者に対して親切な説明をするわけです。興味深かったのは、イベントの日付が日本時間では6月27日の月曜の午前でしたが、アメリカ時間では6月26日の日曜日の夜。そこで「いまから46年前の6月26日、アントニオ猪木とモハメド・アリが闘った」という史実についてもコメントしていた。
    ――すごいところを引っ張ってきますねぇ。
    この続きと、佐藤大輔、『Breaking Down』、青柳館長、ターザン後藤などの7月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事17本の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2113070この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事130円から購入できます!
     
  • 新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方■「斎藤文彦INTERVIEWS」

    2022-06-20 09:53  
    130pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方です!

     

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    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑
    ――今回のテーマは新日本プロレスvsAEWの対抗戦なんですが、その新日本の飯伏幸太選手がSNSで暴走しています。
    フミ 非常に現代的な騒ぎですね。これを問題とするか、問題としないのかは意見がわかれるところではあると思いますが、飯伏選手が公開したLINEの画面はすごく生々しくてリアルでした。あのLINEのやり取りがツイッターに公開されると、ほぼ瞬時にポジティブなものもネガティブなものもありとあらゆるレスポンスがたくさんついていって、それがずっと長く延びていくのもたいへん現代的だと思いました。
    ――プロレスのスキャンダルっていまに始まったことじゃないんですけど、こういったかたちで露出するのはSNS社会ですね。
    フミ まさにソーシャルメディアの時代、SNS全盛の現実そのものが現代的だし、登場人物の飯伏幸太も非常に現代的なプロレスラー。彼は新日本の野毛道場出身ではありません。新日本のヤングライオン出身の選手だったら、ああいうふうにツイートすることでメディア(というか世間)に情報を開示することに二の足を踏むというか、沈黙を守ると思います。野毛の合宿所育ちのヤングライオンとヤングライオン卒業生たちは、いい意味でも悪い意味でもコメントにブレーキをかける訓練、あまりよけいなことはいわずだいたいのことは黙っておくというお作法みたいなをたたき込まれているし、それが美徳であり一種の処世術になっている。
    ――飯伏選手は新日本流の教育を受けてきてないわけですね。
    フミ DDTという団体のメインイベンターだった選手が、メジャー新日本に発掘され、スカウトされるかたちで年間契約し、正式に入団して、G1を制覇してIWGP世界ヘビー級チャンピオンにまでなった。ものすごいことです。でも、飯伏が野毛道場育ちで、もし元ヤングライオンだったとしたら、こういったトラブルが表に出る可能性はすごく低かったと思います。アメリカのマニア層のこの騒動に対する反応がまた面白いんです。英語圏の人たちは飯伏がどんなツイートをしているのか興味があるので、Google翻訳にかけるわけですね。でも、飯伏の日本語はGoogleでは翻訳できないというか、うまく英語化しないんです。
    ――飯伏言語は翻訳できない日本語(笑)。
    フミ ロスト・イン・トランスレーションじゃないけれど、理路整然とした日本語だってGoogleの翻訳機にかけると、変な翻訳が出てきますから、飯伏のツイートがきっちり日本語のニュアンスどおりに翻訳されていないこともあって、今回の話にはおかしいくらい尾ひれがついていきました。アメリカのマニアのあいだでは、日本から観察しているとずいぶん荒唐無稽なストーリーがかなりすごいスピードで広がっていくんです。もちろん、個人の感想とか個人レベルでの予想とか、どう見ても不正確と思われる情報とこれは正確と判断するに足りると思われる情報とがまったく同じスピードで画面にアップされていく。でも、情報内容がソートされずにです。これもまたSNSの現在進行形的な現象です。
    ――ユークス体制の新日本プロレスで、ここまでのスキャンダルはそうそうなくて。昔の新日本は頻繁に起きて、リングで活かそうとしてうまく転がったり、不発に終わったり。
    フミ それがアントニオ猪木の世界論であるならば、揉め事はすべてリングの中に持ち込め、リング上で決着をつけろとなるかもしれないですね。しかし、その場合も選手同士の行き違いを試合に昇華しなさいという発想ですが。生産的といえばひじょうに生産的な発想なんです。
    ――今回は新日本プロレスの関係者とのあいだのトラブルですね。
    フミ この騒動がどうなるかは推移を見守るしかないですが、飯伏の気持ちになって考えてみるとを、このまま元のサヤに収まって新日本プロレスのリングに上がることはむずかしいんじゃないかなと感じます。SNSにコメントを公開した時点で、もう、気持ちが切れちゃっているんじゃないかなって。新日本は新日本で、首脳陣の話ですが、それはそれで仕方ないと納得しなければならない部分もある。やっぱり新日本の選手層は厚いし、プロレスラーの感覚からすると、自分より上にいた選手が1人抜けることはチャンスなんですね。そういう状況そのものを(自分にとって)ポジティブに受け止める選手もけっこういるんじゃないかな思いますね。
    ――プロレスは「俺が、俺が!」の世界ですもんね。飯伏問題はこのあとの展開を見るとして……新日本プロレスが電撃的に発表した、アメリカのプロレス団体AEWとの対抗戦です。
    フミ イベントのタイトルが「禁断の扉(Forbidden Door)」。「禁断の扉が開いた」というのは本来、第三者が“評価”として言うべきことで、当事者が言うことじゃないんですけどね(笑)。
    ――以前から新日本からAEWに選手が派遣されていたので、もともと開いていたんですが、トップレスラー同士の接触は初ですね。
    フミ どちらかといえば、アメリカのマニア層のほうがこの対抗戦に興奮しているんですね。今回の対抗戦は6月27日(現地時間は6月26日)にシカゴで行われますが、開催場所が日本でないこと、新日本はそれまでジュニアのリーグ戦やIWGP世界ヘビー級王座を巡る流れがあったりしますから。6月に入らないとなかなかプロモーションは難しい。5月中旬の大会発表の時点では日本とアメリカでファンの温度差はすごくあったんです。
    ――アメリカのマニアには新日本プロレスのことはWWEに次ぐ団体として認知はされているけど、AEWは勢いはあるとはいえ発足して数年だから、日本のファンはそこまで詳しくなかったりするかもですね。
    フミ 実際、新日本ワールドのほうでも、ようやくAEWのテレビ番組『ダイナマイト』と『ランペイジ』が日本語の実況・解説付きで配信されるようになった。レギュラーで映像がないと、日本のファンにとってもあまりピンと来ない。新日本ワールドの中にレギュラー番組というかたちで届けられるわけだから、これは両団体の業務提携に関してはこれまでよりも何歩も何歩も前進したことはたしかですね。アメリカ開催のPPV、今回の対抗戦は日本時間では月曜日午前9時開始だから、ライブ視聴が無理なファンも多いですよね。
    ――社会人は有給を取るしかないですねぇ。
    フミ もちろん動画配信なので、時間に関係なくオンデマンド方式でいつでも観られるのですが、やっぱりライブ(生配信)の価値が高いですよね。PPV1番組あたりの値段は4980円。アメリカではPPVはすでに30年以上、テレビ文化の日常として定着しているので、これくらいのグレードのイベントだったらそれほど理不尽に高い価格設定ではないです。だけど、新日本ワールドに毎月1000円払って見ている契約世帯が、さらに1番組あたり4980円を払いなさいって言われると、なかなかいい値段だなっていうイメージはたしかにありますね。
    ――日本のプロレスにPPVはまだ根付いてないですね。フミ 今年1月、横浜アリーナで開催された新日本プロレスとプロレスリング・ノアの交流戦もPPV生配信(視聴は1回のみ)で約4000円が課金されるシステムでした。ビッグイベントに対して4000円、5000円クラスの“チケット代”の設定は、ネット上のビジネスモデルとしてすでに定着しつつあるのかなという感覚はありますね。
    ――おそらく新日本とノアのPPVに強烈な手応えもあったんでしょうね。フミ いろんな他ジャンルの同年代の友人、知人たちに話を聞いても、日本人、外国人を問わずビッグアクトのコンサートを生配信で観るには4000円、5000円は高くないですよという返事が来る。「動画配信なのに5000円は高くないか」というのは、あくまでも東京や関東エリアに住んでいて比較的会場に足を運びやすい人たちの感覚で、地方在住のお客さんは東京のライブを観に来るために交通費や宿泊費など余分な出費がかかったりするわけです。5000円程度でライブ配信が観られるのであれば決して高くはない。消費者のほうでこの新しいビジネスモデルを認めている。
    ――PPVは昔からあるシステムですけど、ビジネスモデルにしっかりと組み込まれていくってことですね。
    この続きと、天心vs武尊、平良達郎、渡辺華奈、張り手事件、イリー戴冠…などの6月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事20本の詰め合わせセット」はコチラ https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2106753この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事130円から購入できます!
     
  • 追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール■斎藤文彦INTERVIEWS

    2022-03-20 21:53  
    130pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホールです!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?


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    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」



    ■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期

    ■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
    ■WWEの最高傑作ジ・アンダーテイカー、リングを去る■『1984年のUWF』はサイテーの本!
    ■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」


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    ■超獣ブルーザー・ブロディ

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    ■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』 
    ■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
    ■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑
    ――今日はフミ斎藤さんの連載インタビューの配信版ということで、フミさんよろしくお願いいたします。
    フミ よろしくお願いします。
    ――今月のテーマは悲しい出来事が起きてしまいました。レジェンドレスラーのスコット・ホールがお亡くなりになってしまいました。
    フミ ボクはスコット・ホールと友達だったので本当に悲しいです。この世代のアメリカのスーパースターの中では、彼らも亡くなりましたが、 ホーク・ウォリアー、テリー・ゴーディ、バンバン・ビガロらと並び、ボクにとってはたいへん親しい人でした。何年か前のレッスルマニアではスコット・ホール、シックスパックことショーン・ウォルトマンと一緒にホテルのスイートルームをシェアして、何日間か楽しく過ごしながら寝泊まりしました。
    ――素晴らしい経験をしてますね(笑)。
    フミ あのときがスコット・ホールと過ごした最後の時間になってしまいました。スコットの息子のコーディ・ホールが新日本道場に留学していたときに「息子をよろしく頼む」ということだったので、コーディとよくいっしょにご飯を食べにいったりもしていました。
    ――とても近い存在だったわけですね。
    フミ スコットホールがジョージア州マリエッタの病院で亡くなったのは3月14日でしたが、その2日前の3月12日に同病院でヒップ・リプレースメント、つまり臀部に人工関節を入れる手術を受けたんです。その直後、両足のふくらはぎできていた血栓が原因で血流に障害が生じ、同日、短時間に3回の心臓発作を起こして危篤状態に陥ったとのことです。集中治療室で延命治療(生命維持装置)を受けていましたが、それから数時間後、盟友ケビン・ナッシュは自身のインスタグラムでスコットの家族が病院に到着したら家族の了承を得て延命装置を外すことになるだろうとの投稿をしました。すると、まだ亡くなってもいないのにSNSに「RIP(レスト・イン・ピース=安らかに眠れ)」というメッセージが溢れてしまったことに、ショーン・ウォルトマンは「まだ心臓は動いてるよ!」と怒っていましたね……。
    ――盟友たちからすれば、受け入れがたい現実ですよね。フミさんとスコットとの付き合いはいつから始まったんですか?
    フミ スコットが新日本プロレスに初来日したときからですから、1987年(昭和62年)です。その年に3回来日しているんですが、3回目のときはジャパンカップ争奪タッグリーグ戦で坂口征二さんをパートナーにエントリーしたんです。
    ――すごいタッグチームですね(笑)。
    フミ なぜ外国人レスラーなのに坂口さんのパートナーに抜擢されたかのというと、かつてのハルク・ホーガン的な外国人ベビーフェイスの売り方がプランニングされていたんです。その5年前、ホーガンは猪木さんとのタッグで日本でスターになっていきましたよね。
    ――NEXTホーガンを見込まれるくらいの逸材だったことですね。
    フミ もうちょっと時間のテープを巻き戻します。スコット・ホールは83年からプロレスの修行を始めていました。じつはヒロ・マツダ道場からスタートしています。
    ――名伯楽のヒロ・マツダさん。 
    フミ ハルク・ホーガンやポール・オーンドーフの後輩に当たり、レックス・ルーガーやロン・シモンズよりもやや先輩になります。ヒロ・マツダさんは「これはモノになる」という大型ルーキーしかコーチしないんですね。スコット・ホールもその身体と素質を見込まれてヒロ・マツダ道場でコツコツ練習を始めたんだけど、なかなかデビューの目処が立たなかったんです。
    ――それは何か理由があったんですか?
    フミ そこはやっぱりタイミングということだったと思うんですね。それで84年のある日、フロリダ州タンパのスーパーで食料品の買い物をしていたとき、バリー・ウィンダムにばったり会ったわけです。
    ――大型2世レスラーのバリー・ウインダム。
    フミ バリー・ウィンダムに「ボクもレスラーの卵なんですけど……」と話しかけたら、ちょうどそのときNWAフロリダ地区でブッカー、プロデューサー、トップスターを兼ねていたダスティ・ローデスがノースカロライナのNWAクロケット・プロに移籍するタイミングだったんです。バリー・ウィンダムとその相棒だったマイク・ロトンドもローデスと一緒についていくと聞いたので、スコット・ホールも「俺も行っていいですか?」ということでカバンに荷物を詰めて、ダスティ・ローデスに会いにノースカロライナまで行っちゃったんです。
    ――偶然の出会いから。
    フミ だからヒロ・マツダ道場は卒業はしていません。フロリダでもデビューさせてくれるかもしれなかったんですけど、痺れを切らしてノースカロライナに行って、そこで“アメリカンドリーム”ダスティ・ローデスのレクチャーを受けるわけですが、稽古する場所は当時シャーロットにあったリッキー・スティムボートのジムだったんです。そこでは、リック・フレアーにもプロレスを教えてもらったりしたそうです。
    ――メンツが豪華すぎますね!
    フミ ただノースカロライナには選手がたくさんいたことで、ローデスの指示でミズーリ、カンザス2州のNWAセントラルステーツ地区に送り込まれました。このエリアは昔はNWAの総本山だったんですが、この時期は経営難になっていて、NWAクロケット・プロが買収してルーキーを集めるファーム・テリトリーに模様替えするプランが進んでいたんです。
    ――それで新人のスコット・ホールが送られたんですね。
    フミ 稽古仲間だったダニー・スパイビーとアメリカン・スターシップというタッグチームを結成して、いよいよデビューするわけです。スコット・ホールがコヨーテ、ダニー・スパイビーがイーグルというリングネーム。当時はまさにロード・ウォリアーズ全盛の時代で、とにかく身体がデカい新人は筋肉マン・タイプのタッグチームを結成するのがブームだったんです。若かりし頃のスティングとアルティメット・ウォリアーもルーキー時代、テネシーでロード・ウォリアーズそっくりのタッグチームとしてデビューしましたね。
    ――ロード・ウォリアーズのそっくりさんみたいなチームがやたら多かったですね。
    フミ スコット・ホールはデビューした当時26歳だったんですけど、ダニー・スパイビーのほうはデビューした時点でもう34歳だったので、とにかく早くお金を稼げるようになりたいということでWWEに行っちゃったんですね。
    ――当時は年齢高めのデビューが多かったですね。
    フミ フットボールを長くやっていてNFLには行けなかったけれど、プロレスに……という人が多かったこともありますね。アメリカン・スターシップが解散したことでスコット・ホールはひとりになってしまったんですが、85年にAWAからスカウトされたんです。当時は前年にハルク・ホーガンがAWAからWWEに移籍して全米ナンバーワンのスーパースターの道を歩み始めた時代で、AWAはビンス・マクマホンにどこよりもたくさんの主力選手を持っていかれた団体だった。ホーガンだけでなく、ジェシー・ベンチュラ、アドニス、ジム・ブランゼル、悪党マネジャーのボビー・ヒーナン、名物アナウンサーのジーン・オーカランドらがWWEに行ってしまった。AWAオーナーのバーン・ガニアと、老プロモーターのウォーリー・カルボはスコット・ホールを見て「ブロンド(ホーガン)が逃げたらブルネット(スコット・ホール)が来た」って感じだったんですね。
    ――粋な言い方をしますね(笑)。nWoのヒントは昭和・新日本プロレスにあった!? スコット・ホール13000字語りはまだまだ続く!

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  • 【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?■斎藤文彦INTERVIEWS

    2022-02-20 16:37  
    110pt

    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはシェイン・マクマホンがWWEをクビに?です!

     

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    ――今回のテーマはシェイン・マクマホンWWE解雇の件です。シェインはWWEオーナーのビンス・マクマホンの息子にしてフロントの一員であり、ビッグマッチでは自ら試合もする人物ですが、解雇は確定なんでしょうか。
    フミ 確定というか事実ですね。プロレスのこういうニュースでアメリカで一番信頼できるメディアはやっぱりデーブ・メルツァーの『レスリング・オブザーバー』ですが、いまはネットメディアが後追いでそのニュースについてメルツァーを取材するというパターンが頻繁にあります。メルツァーは、今回のシェインの解雇は事実であるとコメントしている。事件が起きたのはさる1月29日の『ロイヤルランブル』終了直後。バックステージでビンスとシェインが大ケンカをしたということです。WWEのレスラーや関係者たちの中には、額面どおりに「2人は決裂した」と考えている人もいれば、「いまは本当にケンカをしているかもしれないけれど、やがてそのケンカがアングル、ストーリーラインになって、シェインは戻ってくる」というふうにとらえている人たちもいる。いずれにしても、シェインが現時点でWWEを離れていることは事実ですね。
    ――シェインの解雇理由は明かされているんですか?
    フミ まず、シェインはWWEの社員でも専属契約選手でもないので、解雇という表現は正確ではない。退団あるいは脱退といったニュアンスに近いのではないかと思われます。いくつかの理由が推測されていいて、たとえば『ロイヤルランブル』の演出を巡ってビンスとシェインが衝突したという説。散らばってしまったパズルのかけらを拾い集めて繋ぎ合わせていくと、今回の『ロイヤルランブル』ではそのシェインが昨年のレッスルマニア以来1年ぶりに試合をしたという事実がある。『ロイヤルランブル』の時間差バトルロイヤルで、シェインは出場30人のうちの28番目でエントリーしてきた。つまり、簡単にいえば、番付けがすごくいいということです。
    ――優勝争いに絡めるポジションですね。
    フミ シェインは28番目の男として入場してきてファイナル3人まで残りました。優勝したのは最後の30番目に出てきたブロック・レスナーでしたが、4月には年間最大イベント『レッスルマニア38』を控えるなかで、シェインもその主要カードに関わってくるであろうことを予想させるポジションだった。『レッスルマニア38』ではシェインと売り出し中の若手ヒール、オースティン・セオリーのシングルマッチがラインナップされるというウワサもあった。でも、イベント終了後に何かしらの理由でビンスと衝突してしまって、その後の『ロウ』や『スマックダウン』の番組収録にも姿を現さず、2・19PPV『イリミネーション・チェンバー』が開始されたサウジアラビア・ツアーにも帯同しなかった。だから、『レッスルマニア』に向けてすでに練られていたいくつかのプランもすべてペンディングになってしまったことはたしかなのです。
    ――そもそもビンスとシェインはどういう関係性だったんでしょうか。
    フミ まず経歴から簡単に説明すると、マクマホン家の長男シェイン・マクマホンは1970年生まれの52歳。いまをさること32年前、1990年4月13日、WWEと全日本プロレスと新日本プロレスの合同興行『日米レスリングサミット』が東京ドームで開催されましたが、そのときWWEクルーの中に混じって、まだ20歳だったシェインがレフェリーとして来日していたんです。WWEにおけるテレビデビューは1998年。ビンスの息子として表舞台に現われました。ミレニアムの頃のWWEはマクマホン一家の物語が連続ドラマの中心にあって、ビンスの奥さんのリンダさんやシェインの妹のステファニーも登場して、最初はドラマの中の1コマだったステファニーとトリプルHの略奪結婚劇が、現実の世界でも結婚という“小説よりも奇なり”という展開を生んだりしました。
    ――そのWWEという会社を経営者として動かしているのもマクマホン一家なんですね。
    フミ ここがわりとわかりにくいところなのですが、御大ビンスがCEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー)でWWEの最高経営責任者です。比較的新しい登場人物ではニック・カーンという社長がいます。この人は雇われ社長で株主です。ステファニーはCBO(チーフ・ビジネス・オフィサー)で日本語に訳すと最高業務責任者。その夫トリプルHはCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)。これは最高執行責任者ですね。
    ――いろんな最高職があるわけですね(笑)。
    フミ 日本の会社組織だったら代表取締役社長のほかに代表取締役会長、それから取締役か何人かいたりしますよね。WWEでは最高経営責任者のビンスがトップで、ナンバー2がステファニーとトリプルHの2人。不思議なことにシェイン1人だけ肩書きがついていないのです。解雇された、または現場からいなくなったといっても、シェインがいまでもWWEの大株主のひとりであることに変わりはない。WWEはもともとファミリー企業で家族が株を持っていましたが、いまはニューヨーク市場に上場して株式を公開、一般人でも株が買えるようにはなっています。しかし、それでも株式全体の何十パーセントは家族で所有していて、たとえばビンスの持ち株は2.1ビリオン、日本円で約2100億円分を持っている。
    ――気が遠くなる金額ですね(笑)。
    フミ リンダさんは約1600億円分、ステファニーは約150億円分、シェインに肩書きないとはいっても、約100億円分の株を所有しています。
    ――さすが世界一のプロレス団体ですねぇ。
    フミ それでもアメリカではスモールビジネス=中小企業のカテゴリーなんですけどね。シェインは以前にもWWEから離れていた時期がありました。もう10年以上前のことになっちゃうんですけど、2010年から2016年の丸6年間。そのときはちゃんと辞表を出してやめましたが、辞職理由は明らかにされず、「いったい何があったのか?」と詮索されましたが、3人目の子どもの育児休暇がその理由だったんです。やや蛇足になりますが、シェインの子どもたちは男の子ばかり3人で、ステファニー&トリプルHの子どもたちは女の子ばかり3人。このビンスの孫6人もやがてWWEの大河ドラマの登場人物になるのでしょう。お話を戻すと、シェインの場合はイチ選手なり、イチプロデューサーがクビになったのとはまったく違うんです。現在はなんの肩書きもついていないとは言っても、やっぱり現場での発言力は大きかった。また、大株主なのでWWEとは切っても切れない関係。今回シェインがビンスと大ゲンカしてWWEから出ていったことは、おそらく事実なのですが、家族であり大株主であるという関係性から、いずれは戻ってくると考えるのが妥当なのでしょう。
    ――演出の方向性だけでここまで揉めるということは、以前から火種はあったということなんでしょうね。

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