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記事 19件
  • 【16万字・記事16本詰め合わせ】鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪…

    2024-04-30 23:59 2時間前 
    700pt
    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! part122大好評記事16本13万字で700円!!(税込み)
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    part122◎【RIZIN神戸総括】笹原圭一の関東大会場4連戦やってやるって!
    ◎MMAでも天才か? 久保優太「斎藤裕選手を乗り越えられる自信はあります」
    ◎【金原正徳戦直前】鈴木千裕13000字インタビュー
    ◎【鈴木千裕戦!】金原正徳「ボクに勝ったら大したもんだと思う」
    ◎業界再編ならず? UFC集団訴訟は和解へ…■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ◎この“次”は堀口恭司vsデメトリアス・ジョンソンだ!
    ◎朝倉海vs井上直樹、もし戦わば……■水垣偉弥
    ◎寡黙な足関十段の過去とは? 今成正和インタビュー
    ◎ジョビンチャンネルでできなかった髙田延彦の「八百長」「搾取」の話
    ◎ロッシー小川が悪いのか■事情通Zの「プロレス 点と線」
    ◎映画『アイアンクロー』…“呪い”はいまだ消えていない
    ◎令和の女子プロ! 小佐野景浩の東京女子プロレス講座
    ◎日本とアメリカの女子プロレスを変えたブル中野■斎藤文彦INTERVIEWS
    ◎前田日明vs長井満也で藤波辰爾が最高だった話
    ◎【プレイバック】新日本プロレス入門、野上彰だった頃/AKIRAインタビュー
    ◎【プレイバック】平成のテロリスト・村上和成…格闘家が挑んだ命懸けのプロレス道!!
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    多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回も12000字で語ります(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)
    ――シュウさん、今日もいろいろとお話をおうかがいします! まずは業界大注目のUFC集団訴訟の件はどうやら和解のほうに進みそうですね。
    シュウ 私からしたら、はっきり言ってガックリですねぇ。14年近く訴訟をやっていたのに結局お金の額も大したことなければ、あの和解案は選手のための業界再編まで至らなかったわけですよね。たとえばランキングを第三者でコントロールできないとか、チャンピオンでも1年以上は拘束できないとか、選手のためのルールを全部ギブアップしたわけですから。
    ――そこまでの権利を勝ち取るにはまた時間がかかるから、今回の決断はベストじゃないけど、ベターみたいな感じですかね。
    シュウ それは「誰にとってベターなのか」って話ですよね。その昔、それこそすごい安いお金で試合させられた選手たちにとってはいいかもしれないですけども。全体的に選手たちの立場がアンフェアだからということで始めた訴訟なわけであって、その肝心の部分をギブアップしたということは、この決断を下したの原告側は、これからの選手のケアは「皆さんでまたやってくれ」「また訴訟を起こせばいいじゃん」って感じなんじゃないですかね。今回は判例が作れたのではなく示談なんで、今後の訴訟はまた可能なのかもしれないですけど、そのあたりは専門家に聞かないとわからないですね。
    ――賠償金は約500億円のようですね。
    シュウ いまのUFCからすれば大したことないですよ(笑)。
    ――そうなんですよね(笑)。
    シュウ 想定されていた額と比べたら大したことないですよ。これを原告の選手1200人でどうやって割るんですか?って話じゃないですか。
    ――話によると均等ではないらしいですけどね、試合数やキャリアによって金額は違ってくるとか。
    シュウ それに税金も引かれるんですよ。
    ――UFCもこの賠償金は税金として処理できる話も出てますから、そこまでダメージはないという。
    シュウ まあ思ってるよりダメージはないですよね。税金の処理でいえば、原告サイドの水垣(偉弥)さんにもどれくらい戻ってくるかで、税金はどうなるのか。しかもその年の分はもう申告しちゃってるわけですからね。経費として扱えるのか、そこはちょっと気になりますね。税理士の先生に任せるしかないと思っています。
    ――これを受けてUFCが多少なりとも何かやり方を変えることはありえますか?
    シュウ 結局この裁判に関してはこれでもう決着、おしまいだと思うんですよ。将来的に何か不満を感じた選手や関係者たちが集まってアクションを起こすことはあるのかもしれないですけど、エンデバー体制となる2017年までのことは一応これで決着ってことなのかもしれない。ぶっちゃけのところいまや政治家の須藤元気さん。彼がUFCでマイク・ブラウンとかやったときなんて2000ドル+2000ドルでしたからね。
    ――めちゃくちゃ安すぎます(笑)。当時のUFCってPRIDE以下の規模で。
    シュウ そうなんですよ。しかもそこから3割の連邦税が引かれますし。2000ドル+2000ドルでやってた人にとっては、たとえば1000万という金額がポンって入ってくるのは悪くないなとは思うんですね。実際に1000万円かはわからないですけど。業界のルールを変えるという軸の部分はもう全部ダメになっちゃったってことですよ。
    ――ただでさえ現在のUFCは「ダナ・ホワイト・コンテンター・シリーズ」や「Road to UFC」(以下RTU)で勝ち上がってきた選手を安く契約して使う戦略になっているから、選手たちにとっては良くない流れですね
    シュウ そうなんですよね。これはボクが前に言ったように、UFCがチャンピオンでも何年も拘束することができなくなって、たとえば榊原さんや他のプロモーターがお金さえあればUFCの王者を簡単に引っ張ってこれる夢はもう当分なくなりますよね。
    ――榊原さんがダナ・ホワイトと何か交渉をしてますけど、その企みもあまり良くない方向に進む可能性もありますね。
    シュウ 結局UFC一強じゃないですか。UFCがどこかと対抗戦をする必要なんてまったくないんですよね。UFCが「どこかのチャンピオンがほしい」と思っても、契約がまだあるなら待つ。わざわざその団体にお金を払って選手を引っ張るてみたいな政治的なビジネスはやらないと思うんですよね。以前オランダのゴールデングローリーというチームの勢いがすごかったじゃないですか。あのときゴールデン・グローリーがUFCに要請していたのは日本の芸能事務所と同じように、ファイトマネーはいったんグローリーに払いなさいと。そしてグローリーが選手に払うと。でも、UFCは絶対にOKしなかったんですよ。UFCは選手としかやり取りしない。面白い例があるんですけど、選手が税金対策で自分の会社を作ったりしますよね。その会社にファイトマネーを振り込んでもらうとしても、UFCは「その会社の株式を100%あなたが持っていることを証明しなさい」と言ってくるんですよ。
    ――100%!
    シュウ そうなんです。そういう会社って10%お父さん、10%お母さんが持っていることがあるじゃないですか。それだったらUFCは「払いません」って言われます。それぐらい徹底している会社なんで、何かルールをちょっと曲げて他団体とイレギュラーなことをやるってことは「ない」と思ってるんですよね。しかも親会社は上場企業、パブリック・カンパニーですから、たくさんいる株主の利益を最優先に考えないといけない中、特定の会社や個人のためにルールを曲げる可能性は極めて低いと思います。
    ――UFCはヒョードルvsレスナーをやりたがっていたけど、当時ヒョードルをマネジメントしていたM-1のワジムさんがいろいろと要求してきたこともあって、UFCは断念したわけですよね。合同興行はまだわかるんですが、ロシアのスタジアムを建設しろとか(笑)。
    シュウ あれと同じですね。とにかく他の団体には基本的に噛ませないんですよ。逆にそのM-1と合同で大会開催するから、そしてヒョードルだけでなくM-1にもお金払うからということで、ヒョードル獲得に成功したのが、もうみなさん忘れているかもしれないボードッグ・ファイトですしね。
    私はあのとき、ボードッグファイトのファイトチームでマッチメイキングの仕事をしてたので契約書を読んでいますけど、UFCの出したオファーよりも低い額のファイトマネーで合意できたのは、そういう理由もあったからなんです。
    ですから日本のファンにとって気になってる堀口恭司選手や朝倉海選手も、自分のマネジメントがUFCと交渉して合意したら契約するっていう流れにしかなくなっちゃうことですよね。1年に1回ぐらいRIZINに戻ってきて試合したりとかは厳しいってことです。この訴訟問題でしっかり頑張って戦っていれば、いま言ったような団体の行き来も可能だったと思うんですよ。そういった夢も一気に潰れたなって思います。
    ――RIZIN神戸の話ですが、シュウさんがマネジメントしている井上直樹選手が佐藤将光選手に競り勝ちました。
    シュウ 直樹くんは途中で目にアクシデントがありまして。佐藤選手はベテランですし、オールラウンダーなんで。そんな相手に勝てたことは大きいと思います。この試合の1ヵ月前に直樹くんと「どうやって勝つの?」と聞いたんですよ。そうしたらチェール・ソネンと同じことを言ったんです。どういうことかといえばソネンは「試合前は常に判定で勝つことを考えてる。チャンスがあったらフィニッシュするんだ」と。直樹くんも同じこと言ってたんですよ。今回は判定でしっかり勝つことを考えて、フィニッシュを狙える場面があればフィニッシュすると。
    ――1ラウンド飛ばし過ぎだった反省が活かされてるわけですね。
    シュウ 直樹くんが失速するって扇久保(博正)選手とやったときのイメージがみんな残ってるじゃないですか。でも、これって試合途中に鼻を骨折し、指をケガしちゃったからだし、アーチュレッタ戦に関しては、いいのを一発もらっちゃったから流れが変わって。スタミナだけに問題があるわけではなくて、そっちだとボクは思ってるんですよね。要は戦いの中でダメージをもらったのがスタミナの失速に繋がった。だから「勝負でも負けた」ということかと。
    ――今回もアクシデントがあったけども、3ラウンド目にテイクダウンを取って勝負を決めることができたってことですね
    シュウ あそこでテイクダウンが取れて肩固めのようなかたちに持っていけたことが、ジャッジにとって一番大きかったんじゃないですか。今回は「チェール・ソネン化」がちょっと嬉しかったかもしれないですね。冷静に戦えるように成長できているってことですから。
    ――井上選手は控えめに朝倉海選手の王座挑戦を表明しましたけども。朝倉海選手はRIZINで防衛戦をするかどうかちょっとまだ不明ですけど、シュウさんにはどういったお話が入ってるんでしょうか?16万字・記事16本詰め合わせセットはまだまだ続く

     
  • 【プレイバック】新日本プロレス入門、野上彰だった頃/AKIRAインタビュー

    2024-04-27 21:00  
    200pt


    ★2021年1月にDropkickメルマガで掲載された記事を再録します

    野上彰として新日本プロレスでデビューしたAKIRAインタビューシリーズ第1弾。入門、デビューするまでの狂った季節(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・サイモン・ケリー「プロレスに関わることは倍賞美津子さんに大反対されました」
    ・【リングス退団編】俺はそんなことを絶対に言っていない■長井満也
    ・2009年6月13日、三沢光晴さんのこと■齋藤彰俊
    ・追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール■斎藤文彦INTERVIEWS
    AKIRA あんまり面白い話はできないですよ?
    ――も、AKIRAさんって面白そうな場所にずっといたイメージはありますね。
    AKIRA まあ、たしかに。周りはみんなおかしかったですからね。自分で自分のことおかしいと思ってたんですけど、周りが酷すぎて……(苦笑)。
    ――ハハハハハハハ! 自分がまともに感じちゃいますか。AKIRAさんは高校卒業後の1984年に新日本プロレスに入門しますよね。
    AKIRA 入門する前、高校3年生の夏休みに新日本の道場を見に行ったんですよね。見学というか、なんだったら道場で座り込みしてテストは受けて「俺の力を見てくれ!」じゃないですけど。上野毛に新日本の道場があると本に書いてあったので、あの有名な新日本プロレスだから誰でも場所を知ってるだろうと思っていたら、駅周辺で話を聞いたら誰も知らなくて(笑)。
    ――駅から道場までけっこうありますしね(笑)。
    AKIRA わかりやすい建物かなと思っていたら、全然そんなことはなくてですね。ちょっとウロっとしてたら、たまたま保険外交のお兄さんがいたんですよ。その人の声をかけたら「知ってるよ」と10分ぐらい一緒に歩いてくれて。着いたら汚いトタン屋根の建物で「うわ、これか!?」って。
    ――いまはリフォームされてますけど、以前は古い建物で。
    AKIRA 午前10時ぐらいだったんですけど、合同練習の前で。翌日試合だったので選手たちが器具の搬入の手伝いをしているところで。練習が始まったら誰も外に出てこなくなって、外に座り込みじゃないですけど、昼の13時ごろまで待っていて。誰かに声をかけられてテストを受けてさせてくれるかもしれないと。そうしたらですね、永源(遥)さんに声をかけられて「アンちゃん、なにしに来たんだ?」と。「テストを受けもらえないですか」とお願いしたら「テストは事務所に履歴書を送って受けるもんだ」と。あたりまえの答えが返ってきたんですよね(笑)。
    ――普通ですね(笑)。
    AKIRA 「やっぱりそうだったの?」って。アルバイトと同じ工程を踏まなきゃいけないんだなと。それで履歴書を事務所に送ったんですけどね。
    ――高校のときは何かスポーツはやられていたんですか?
    AKIRA とくにやってなかったんですよ。当時はアマレスの部活があるのは県の中で限られたところぐらいだったし。柔道部はあったんですけど、ボクが通っていた高校は新設校で2年目だったんですよ。あんまりクラブ活動が全然盛んじゃなくて、なんか本当にゆる~い感じだったんですよね。そこでもやっときゃなんとか実力は上がったんでしょうけど。そんなに楽しくなくて、自宅で筋トレやったりとか、ちょっと空手道場を通ったこともあるんですけど、その程度だったんですよね。だからスポーツの実績がまったくなかったんですけど、入門テストは1回でパスできて。
    ――一発で受かるって凄いですね。
    AKIRA テストまでに普通のスクワットは500回できるようにしていましたし。あとテレビを見ていたら「これがスクワットだ」ってジャンピングスクワットを紹介してて。それをスクワットだと勘違いしちゃって、ジャンピングスクワットを200回やってたんですよね。
    ――勘違いがいい方向に働いて(笑)。
    AKIRA ボクらのひとつ前の世代でいえば佐野(巧真)さんだったりも、新日本プロレスに入る前はスクワット1000回とかやっていたという話で。カリキュラムがわからないから自分たちで考えてテストを受けるしかなかったんですよね。入門募集の告知が『月刊ゴング』に載っていて。そこに身長制限が書いてあって高卒は180センチ以上、大学卒業だと185センチ。自分は180センチなので高校卒業したらテストを受けなきゃダメだなってことで。その頃に佐山(聡)さんのスーパータイガージムもオープンしてるという記事が載っていて。「あ、こんなものがあるんだ」ってことで、声を震わせてジムに電話をかけたら、電話に出たのが佐山さんの声だった気がするんですよね……。
    ――新日本のテストは誰が試験官だったんですか?
    AKIRA 山本小鉄さんだった記憶がありますね。集まった参加者は10人にも満たなかったですけど。
    ――参加者は他に誰がいたか覚えていますか?
    AKIRA いや、もう覚えてないですね。誰も残らなかったです。ちょっと調子のいい男も受かったんですけど、入門して1週間ぐらいで消えちゃいました。自分も本当に受かるとは思ってなくて。テストが終わったときに小鉄さんが「こういったトレーニングは一生涯を通じてやるもんだから続けるんだぞ」と。ありがたい言葉だなあと思ってそのまま道場から帰ったんですけどね。3月に高校を卒業して、なるべく早く入ろうと思って。道場のしきたりとか先輩の関係もあるじゃないですか。あんまりウカウカしてられないと勝手に思い込んじゃって、早めに寮に入ったんですけど。
    ――先に誰か入門してました?
    AKIRA 同期はいわゆる闘魂三銃士や船木(誠勝)選手なんですけど、彼らはすぐあとに入ってきたんですよね。
    ――道場生活はやっぱり過酷でした?
    AKIRA 過酷というか、わけがわかんなかったですね。酷いですね、もう。頭のおかしい人が集まっちゃってましたね(笑)。
    ――ハハハハハハ! ライガーさんが仕切ってて、そこに船木(誠勝)さんと橋本(真也)さんも一緒に乗っかってくみたいな。
    AKIRA あの頃がヤバイ。ライガーさんとくっついちゃうとね、止まらない。言葉は悪いですけど みんないわゆるアスペルガー症候群というか。
    ――な、なるほど(笑)。
    AKIRA 本当ですよ(笑)。ボクもけっこう軽いアスペルガーなんですけど、ちょっとおかしいところがありまして、なかなかモンだったんすけど。歳を取るにつれて、20歳の頃にはそこそこのまともさにはなってたんですけど。それに輪をかけたヤバイ人たち、幼稚園レベルばっかの集まりなので(笑)。
    ――とんでもないところに放り込まれたわけですね(笑)。
    AKIRA 覚悟はしてたんですよ。軽いイジメ的なもの、かわいがりはあるだろうと。でも、それも面白いだろうなと思ってたんですよね。
    ――面白体験じゃないですけど。
    AKIRA 変な格好をして店に買い物に行かされたり。練習に関してはちゃんとできてたので、そんなにムチャは……。ふるいには、かけられていたのかもしれないですけどね。
    ――練習は相当ハードですよね。道場は蒸し風呂状態じゃないですか。
    AKIRA 室内の温度が40°を超えていて、スクワットをすると汗で水溜りができるんですよ。話には聞いていたので「ああ、これのことか……」と。たしかに練習は厳しかったですけど、まっすぐ夢に向かっていたので、なんとかやっていけましたね。
    ――やめようと思わなかったですか?
    AKIRA やめようとは思わなかったですね。ただ、ボクは何事も長く続かなかったんですよ。中学の頃は野球も一生懸命やったつもりでもちょっと続けなくて。一生続かない人間になるのはイヤだなあとは思ってて。プロレスはなんとかはやってやろうという気持ちしかなかったんですね。たぶん小鉄さんもそんなに続かないけど……という感じで入れたと思うんですよ。そのあと何人も入門して途中でやめちゃいましたからね。たくさん入れた中で誰かひとりでも残ればいいやという感じだったんじゃないですかね。
    ――やめる前提でたくさん新弟子を入れていたところはあるでしょうね。
    AKIRA まだ若いし、食い扶持がなくなるわけでもないだろうし。将来に対して責任を持たなくてもいいだろう……っていう世の中でしたからね。
    ――ライガーさんの新弟子に対するイタズラは、結果的にふるいにかけるものになってしまって。
    AKIRA というか、あれはもはや、イタズラじゃないですよね(笑)。生き死に関わりかねないものもあったりするから。
    ――その影響を受けた船木さんが藤原組やパンクラスでやっていたイタズラも、いまは表に出せなかったりしますからねぇ。
    AKIRA あれはやっぱり縦社会の「イエッサー」の世界ですからね。凄いことをやるなって。イタズラの標的にあった子には慰めの声かけるぐらいしかできなかったですね。そういうときに面白がれて狙われるタイプの子っていうのもいたし、それでいうと自分はそんなに被害に遭わなかった気がしますね。どちらかというと、面白がってやられるタイプではあったんですけど。
    ――道場の生活はあまりにも厳しいから、新弟子時代の武藤さんが「みんなでやめよう!」と言い出すことがあったみたいですね。
    AKIRA 武藤さんはね、しょっちゅう言ってました(笑)。
    ――ハハハハハハハハ!
    AKIRA 小鉄さんに「やめます」ってよく言ってましたよ。小鉄さんは合同練習後、みんなが飯を食うのを見届けるんですが、寮の応接間でみんなを集めて昔話をすることがあるんですよね。そのときに武藤さんが「もうやめようと思うんですけど……」って。そうすると船木選手は「ま~た口車が始まった。絶対に残るのに」と(笑)。
    ――その武藤さんに口車に乗せられて実際にやめちゃう人もいるんですよね?異常だった新日道場エピソードはまだまだ続く
    この続きと鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪……などの4月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2196187この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!

     
  • 【RIZIN黒魔術】この“次”は堀口恭司vsデメトリアス・ジョンソンだ!

    2024-04-23 22:42  
    200pt
    ジャン斉藤が語るRIZIN代々木について(ニコ生配信したものを再編集した記事です)【1記事から購入できるバックナンバー】・堀口恭司、朝倉海はUFCと本戦契約できるが…■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ・【年の差24歳婚】北岡悟 「格闘家と結婚」インタビュー
    ・【RIZIN.31】勝つことでみんなを喜ばせる選手はたくさんいる。だけど…■笹原圭一
    ・猪木さんは「おまえ、俺のことを信用してねえだろ」と……鈴木秀樹インタビュー

    6月RIZIN代々木のカードは最高!……なんですが、こんなことをいうと怒られそうですけど、RIZINはベラトールを食い物にしてますよね(笑)。堀口恭司vsセルジオ・ペティス2ってどっちもベラトールの契約下! スコット・コーカー体制末期も買収騒動の混乱に乗じて全面対抗戦なんてというムチャな企画をちゃっかりやりましたけど、いまだにドサクサに紛れておいしいところを持っていこうするという。
    今度矢地祐介選手がベラトールのパリ大会に出ますから、形的には「矢地祐介↔セルジオ・ペティス」のトレードみたいになってますけど、新体制ベラトールはトップファイターを使い切れない財政的な苦しさがあって。トップどころはUFCのチャンピオンクラスのファイトマネーだったりしますからね。・朝倉海vsセルジオ・ペティスが実現しなかった理由を考える・計量オーバーの対処に正解はない・井上尚弥vsネリは東京ドーム満員になる・猪木さんが素人を血まみれにした話……まだまだ続く
    この続きと鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪……などの4月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2196187この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!

     
  • 業界再編ならず? UFC集団訴訟は和解へ…■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    2024-04-22 12:09  
    200pt

    多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回も12000字で語ります(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)

    【1記事150円から購入できる過去記事】・【ONE】セージ・ノースカット問題とは何だったのか?■シュウ・ヒラタ

    ・堀口恭司、朝倉海はUFCと本戦契約できるが…■シュウ・ヒラタ

    ・驚愕のMMA大革命、迫る/RIZIN大晦日あれこれ■シュウ・ヒラタ・平本蓮、井上直樹、佐々木憂流迦、神龍誠のこれから■シュウ・ヒラタ
    ――シュウさん、今日もいろいろとお話をおうかがいします! まずは業界大注目のUFC集団訴訟の件はどうやら和解のほうに進みそうですね。
    シュウ 私からしたら、はっきり言ってガックリですねぇ。14年近く訴訟をやっていたのに結局お金の額も大したことなければ、あの和解案は選手のための業界再編まで至らなかったわけですよね。たとえばランキングを第三者でコントロールできないとか、チャンピオンでも1年以上は拘束できないとか、選手のためのルールを全部ギブアップしたわけですから。
    ――そこまでの権利を勝ち取るにはまた時間がかかるから、今回の決断はベストじゃないけど、ベターみたいな感じですかね。
    シュウ それは「誰にとってベターなのか」って話ですよね。その昔、それこそすごい安いお金で試合させられた選手たちにとってはいいかもしれないですけども。全体的に選手たちの立場がアンフェアだからということで始めた訴訟なわけであって、その肝心の部分をギブアップしたということは、この決断を下したの原告側は、これからの選手のケアは「皆さんでまたやってくれ」「また訴訟を起こせばいいじゃん」って感じなんじゃないですかね。今回は判例が作れたのではなく示談なんで、今後の訴訟はまた可能なのかもしれないですけど、そのあたりは専門家に聞かないとわからないですね。
    ――賠償金は約500億円のようですね。
    シュウ いまのUFCからすれば大したことないですよ(笑)。
    ――そうなんですよね(笑)。
    シュウ 想定されていた額と比べたら大したことないですよ。これを原告の選手1200人でどうやって割るんですか?って話じゃないですか。
    ――話によると均等ではないらしいですけどね、試合数やキャリアによって金額は違ってくるとか。
    シュウ それに税金も引かれるんですよ。
    ――UFCもこの賠償金は税金として処理できる話も出てますから、そこまでダメージはないという。
    シュウ まあ思ってるよりダメージはないですよね。税金の処理でいえば、原告サイドの水垣(偉弥)さんにもどれくらい戻ってくるかで、税金はどうなるのか。しかもその年の分はもう申告しちゃってるわけですからね。経費として扱えるのか、そこはちょっと気になりますね。税理士の先生に任せるしかないと思っています。
    ――これを受けてUFCが多少なりとも何かやり方を変えることはありえますか?
    シュウ 結局この裁判に関してはこれでもう決着、おしまいだと思うんですよ。将来的に何か不満を感じた選手や関係者たちが集まってアクションを起こすことはあるのかもしれないですけど、エンデバー体制となる2017年までのことは一応これで決着ってことなのかもしれない。ぶっちゃけのところいまや政治家の須藤元気さん。彼がUFCでマイク・ブラウンとかやったときなんて2000ドル+2000ドルでしたからね。
    ――めちゃくちゃ安すぎます(笑)。当時のUFCってPRIDE以下の規模で。
    シュウ そうなんですよ。しかもそこから3割の連邦税が引かれますし。2000ドル+2000ドルでやってた人にとっては、たとえば1000万という金額がポンって入ってくるのは悪くないなとは思うんですね。実際に1000万円かはわからないですけど。業界のルールを変えるという軸の部分はもう全部ダメになっちゃったってことですよ。
    ――ただでさえ現在のUFCは「ダナ・ホワイト・コンテンター・シリーズ」や「Road to UFC」(以下RTU)で勝ち上がってきた選手を安く契約して使う戦略になっているから、選手たちにとっては良くない流れですね
    シュウ そうなんですよね。これはボクが前に言ったように、UFCがチャンピオンでも何年も拘束することができなくなって、たとえば榊原さんや他のプロモーターがお金さえあればUFCの王者を簡単に引っ張ってこれる夢はもう当分なくなりますよね。
    ――榊原さんがダナ・ホワイトと何か交渉をしてますけど、その企みもあまり良くない方向に進む可能性もありますね。
    シュウ 結局UFC一強じゃないですか。UFCがどこかと対抗戦をする必要なんてまったくないんですよね。UFCが「どこかのチャンピオンがほしい」と思っても、契約がまだあるなら待つ。わざわざその団体にお金を払って選手を引っ張るてみたいな政治的なビジネスはやらないと思うんですよね。以前オランダのゴールデングローリーというチームの勢いがすごかったじゃないですか。あのときゴールデン・グローリーがUFCに要請していたのは日本の芸能事務所と同じように、ファイトマネーはいったんグローリーに払いなさいと。そしてグローリーが選手に払うと。でも、UFCは絶対にOKしなかったんですよ。UFCは選手としかやり取りしない。面白い例があるんですけど、選手が税金対策で自分の会社を作ったりしますよね。その会社にファイトマネーを振り込んでもらうとしても、UFCは「その会社の株式を100%あなたが持っていることを証明しなさい」と言ってくるんですよ。
    ――100%!
    シュウ そうなんです。そういう会社って10%お父さん、10%お母さんが持っていることがあるじゃないですか。それだったらUFCは「払いません」って言われます。それぐらい徹底している会社なんで、何かルールをちょっと曲げて他団体とイレギュラーなことをやるってことは「ない」と思ってるんですよね。しかも親会社は上場企業、パブリック・カンパニーですから、たくさんいる株主の利益を最優先に考えないといけない中、特定の会社や個人のためにルールを曲げる可能性は極めて低いと思います。
    ――UFCはヒョードルvsレスナーをやりたがっていたけど、当時ヒョードルをマネジメントしていたM-1のワジムさんがいろいろと要求してきたこともあって、UFCは断念したわけですよね。合同興行はまだわかるんですが、ロシアのスタジアムを建設しろとか(笑)。
    シュウ あれと同じですね。とにかく他の団体には基本的に噛ませないんですよ。逆にそのM-1と合同で大会開催するから、そしてヒョードルだけでなくM-1にもお金払うからということで、ヒョードル獲得に成功したのが、もうみなさん忘れているかもしれないボードッグ・ファイトですしね。
    私はあのとき、ボードッグファイトのファイトチームでマッチメイキングの仕事をしてたので契約書を読んでいますけど、UFCの出したオファーよりも低い額のファイトマネーで合意できたのは、そういう理由もあったからなんです。
    ですから日本のファンにとって気になってる堀口恭司選手や朝倉海選手も、自分のマネジメントがUFCと交渉して合意したら契約するっていう流れにしかなくなっちゃうことですよね。1年に1回ぐらいRIZINに戻ってきて試合したりとかは厳しいってことです。この訴訟問題でしっかり頑張って戦っていれば、いま言ったような団体の行き来も可能だったと思うんですよ。そういった夢も一気に潰れたなって思います。
    ――RIZIN神戸の話ですが、シュウさんがマネジメントしている井上直樹選手が佐藤将光選手に競り勝ちました。
    シュウ 直樹くんは途中で目にアクシデントがありまして。佐藤選手はベテランですし、オールラウンダーなんで。そんな相手に勝てたことは大きいと思います。この試合の1ヵ月前に直樹くんと「どうやって勝つの?」と聞いたんですよ。そうしたらチェール・ソネンと同じことを言ったんです。どういうことかといえばソネンは「試合前は常に判定で勝つことを考えてる。チャンスがあったらフィニッシュするんだ」と。直樹くんも同じこと言ってたんですよ。今回は判定でしっかり勝つことを考えて、フィニッシュを狙える場面があればフィニッシュすると。
    ――1ラウンド飛ばし過ぎだった反省が活かされてるわけですね。
    シュウ 直樹くんが失速するって扇久保(博正)選手とやったときのイメージがみんな残ってるじゃないですか。でも、これって試合途中に鼻を骨折し、指をケガしちゃったからだし、アーチュレッタ戦に関しては、いいのを一発もらっちゃったから流れが変わって。スタミナだけに問題があるわけではなくて、そっちだとボクは思ってるんですよね。要は戦いの中でダメージをもらったのがスタミナの失速に繋がった。だから「勝負でも負けた」ということかと。
    ――今回もアクシデントがあったけども、3ラウンド目にテイクダウンを取って勝負を決めることができたってことですね
    シュウ あそこでテイクダウンが取れて肩固めのようなかたちに持っていけたことが、ジャッジにとって一番大きかったんじゃないですか。今回は「チェール・ソネン化」がちょっと嬉しかったかもしれないですね。冷静に戦えるように成長できているってことですから。
    ――井上選手は控えめに朝倉海選手の王座挑戦を表明しましたけども。朝倉海選手はRIZINで防衛戦をするかどうかちょっとまだ不明ですけど、シュウさんにはどういったお話が入ってるんでしょうか?・朝倉海vs井上直樹はあるか
    ・PFL/ベラトールの混乱は続く
    ・UFCは堀口恭司や朝倉海に大金は積まない?
    ・朝倉未来vs平本蓮のPPV件数
    ・女子MMAシーンの朗報
    ・大谷翔平と水原一平の件……12000字インタビューはまだまだ続く


    この続きと鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪……などの4月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2196187この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!

     
  • 日本とアメリカの女子プロレスを変えたブル中野■斎藤文彦INTERVIEWS

    2024-04-22 11:56  
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは日本とアメリカの女子プロレスを変えたブル中野です!

     

    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■キラー・カーン伝説を語り継ぐ■日本の女子プロレス文化のアメリカ的解釈『Sukeban』と『Kitsune』■2010年代を駆け抜けたスーパースター、ブレイ・ワイアット

    ■スーパースター・ビリー・グラハムのサイケデリックな世界

    ■【WWEとUFCの合併】ビンス・マクマホンの幕引きはいつか

    ■猪木を語ることは自己の人生を語る行為である

    ■WWE総帥ビンス・マクマホン引退
    ――今回のテーマはWWEのホール・オブ・フェイム入りをはたしたブル中野さんのアメリカ時代の功績を語ってもらいます。
    フミ 日本人女子レスラー初のWWE殿堂入りで、日本人レスラーとしては5人目です。アントニオ猪木さん、藤波辰爾さん、獣神サンダー・ライガー、グレート・ムタ(武藤敬司)の4人がこれまで殿堂入り。ここに並ぶだけでもすごいことですよね。
    ――納得の人選です! ジャイアント馬場さんもタイミングを見て、なんとか殿堂入りしてほしいなって思ってるんですけどね。
    フミ 馬場元子さんがご存命のときにオファーはあったようなのですが、おそらくその当時の担当者だったジョニー・エースが順番を間違えたと思うんですね。猪木さんが先で馬場さんが後だったから、元子さんが断ったというお話を聞いたことがあります。そういう物事の順番ってすごく大切ですよね。グレート・カブキさんのようにご本人が「オレはいいよ」と断っちゃったというケースもありましたが。
    ――「立ちションベンができなくなるから」と国民栄誉賞を断った福本豊みたいですね(笑)。
    フミ おそらく10年後くらいにはASUKA選手やイヨ・スカイ選手がホール・オブ・フェイムに入る可能性は充分にありますが、やっぱり日本人女子レスラーの第1号はブル中野さんなんだと思う。レッスルマニアウィーク中に殿堂入りのセレモニーが行われますが、見届けるためにボクも急遽フィラデルフィアへ行きます。
    ――おお、フミさんのレッスルマニア現地開催は久しぶりですよね。
    フミ そうなんです。コロナ禍前の2019年大会が最後だったので5年ぶりになっちゃいます。2020年からコロナ禍で、WWEのTVショーもネット上の数百人のバーチャル観客の画像が画面に敷きつめられたサンダードーム方式が導入され、レッスルマニアもそのサンダードーム方式の無観客で開催された年もありました。
    ――サンダードーム方式、懐かしいですね(笑)。
    フミ あのサンダードーム方式は時代を象徴したひとつのかたちではあったんだけれど、段階的にお客さんを入れるようになって、現在はかつての興行スタイル、中継スタイルに完全に戻りました。欠席が続くとアメリカが遠くなってしまいますから、ボクもひさしぶりに現地に行かなくちゃいけないかなと。金曜日のスマックダウンとホール・オブ・フェイム、土曜日と日曜日のレッスルマニア2DAYS。駆け足ではありますが、今回は選手、関係者が泊まるホテルも宿泊するので、いろいろ懐かしい人たちと再会できると思います。
    ――レッスルマニアウィークというと、開催地付近でプロレスイベントがあることが名物になってますね。
    フミ そうですね。同じフィラデルフィアでレッスルコン(世界最大のプロレスファンイベント)もありますし、フィラデルフィアにはバトルグラウンド・チャンピオンシップ・レスリングというインディー団体があって、ECWのリユニオンみたいな大会もやるらしいです。場所は旧ECWアリーナ。名称は変わったんですが建物は残っていて、いまでもプロレスの興行がおこなわれているんです。フィラデルフィアはもともとECWの本拠地でしたからね。スターダムの試合もフィラデルフィアであるし、街全体が1週間ずっとプロレスのお祭りをやってるような状況ですね。
    ――帰国後にお話を聞かせてください。ブル中野さんの日本での活躍は皆さんご存知ですが、アメリカ時代をメインテーマでお聞きしたいと思ってます。
    フミ みなさんのご記憶にあるかどうかわかりませんが、ブルさんの最初のアメリカ遠征は1986年、18歳のときなんです。やっぱりWWE(当時WWF)で、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン定期戦。極悪同盟のダンプ松本さんとのタッグで。ライオネス飛鳥と長与千種のクラッシュギャルズも同時遠征で、日本人女子4選手がガーデンのリングに上がったということがありました。この試合は当時、全女を中継していたフジテレビのテレビ撮りの企画だったのですが、現地でめちゃくちゃウケたのはクラッシュギャルズよりもむしろダンプ松本・ブル中野組だった。それは日本におけるクラッシュギャルズ現象や、ボーイッシュな日本人女子レスラーの魅力がいまひとつアメリカのお客さんに伝わりきってなかったところがあった。逆にダンプ松本とブル中野の風貌、コスチュームとペイント、そしてファイトスタイル。ロード・ウォリアーズの女子版みたいな感じで、アメリカのオーディエンスにはそこがすごくウケたのでしょう。
    ――アメリカにロード・ウォリアーズ系の女子ヒールはいなかったんですね。
    フミ レッスルマニアはこの1年前の85年から始まっているんですが、当時のWWEの女子部門といえばウェンディ・リヒターや、当時すでに60代ですが現役で頑張り続けていたファビラス・ムーラとそのムーラのお弟子さんたち。女子の試合が1大会に1試合だけあって、男子の試合の中に1試合だけ女子の試合がサンドイッチされていた。いわばトイレタイムになりがちなポジションだったんです。そんなアメリカの女子プロレス観を変えたのはジャンピング・ボム・エンジェルスことJB・エンジェルス(立野記代&山崎五紀)のWWE長期遠征からでした。JB・エンジェルスの試合によって女子プロレスのおもしろさに目覚めたっていうアメリカのファンはすごく多いんです。
    ――それくらいJB・エンジェルスはセンセーショナルな存在だったし、アメリカの女子プロは遅れていたんですね。
    フミ 遅れていたというよりは、アメリカでは女子部門の試合がメインイベントとして成立しにくいという現実がありました。アメリカにおけるブル中野さんの活躍は、WWEに本格参戦した94年以降になります。日本の全女のリングでメドゥーサとして活躍していたアランドラ・ブレイズがWWEでチャンピオンになって、その対戦相手としてブルさんが選ばれたんです。当時のWWEはブレット・ハート、ディーゼルというリングネームだったケビン・ナッシュ、レーザー・ラモン時代のスコット・ホール、ショー・マイケルズらがトップグループで、ハルク・ホーガン以降のWWEがようやくその陣容を整えていた時代。アランドラ・ブレイズもそのニュージェネレーショングループの1人だった。メドゥーサがそこまで評価された理由は「彼女は日本ではスーパースターだったんでしょ? 日本のスタイルを身につけた最初のアメリカ人レスラーなんでしょ?」という共通の認識あった。日本からアメリカに逆輸入されたレスラーというイメージがあったわけです。
    ――日本育ちが“幻想”になったわけですね。
    フミ メドゥーサは長期滞在型レスラーとして日本に2年間住んで全女で試合をして、それからアメリカに帰ってWCWを経由してWWEと契約。アランドラ・ブレイズという新リングネームでWWEのチャンピオンになった。その対戦相手なら、やっぱり日本から呼ばなくちゃいけないということだったんです。

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  • 【燃えるマリーゴールド】ロッシー小川が悪いのか■事情通Zの「プロレス 点と線」

    2024-04-17 10:29  
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    プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマはマリーゴールド旗揚げ会見/アストレスガールズ引き抜き騒動です!【1記事から購入できるバックナンバー】・【リングス退団編】俺はそんなことを絶対に言っていない■長井満也

    ・アポロ菅原 SWS鈴木みのる戦シュートマッチ全真相1万字インタビュー


    ・スターダムに離脱ダメージなし!?/女子プロレス性的写真問題■事情通Z


    ・全日本プロレスで何が起きているのか■事情通Zの「プロレス 点と線」
    ――ロッシー小川さんの新団体『マリーゴールド』の概要が明らかになりましたが、旗揚げ会見からしてSNSがめちゃくちゃ荒れてます!
    事情通Z ロッシーさんらしいなっていう感じはするよね(苦笑)。たしかにロッシーさんは過去にいろいろやらかしているから、悪く言われるのは仕方ないところもあるんだけど、『マリーゴールド』にまつわるあれこれは誤解を含んでいるところもあるのかなと。「ロッシー小川が悪い!!」では片付けられない。
    ――まず『マリーゴールド』のXアカウントがロッシーさんのスターダム解雇前の1月にできていたことが悪い意味で話題になってますね。
    Z 昨年12月の段階で新団体設立へ動いていたことは明かされているわけだから変な話ではないよ。その1月の時点でスターダムとの話し合いで3月末の退団という話になっていたけど、スターダムいわく“引き抜き行為”があったために2月4日の大会後、緊急解雇に踏み切ったと。なので1月にアカウントができていること自体はまあ不思議ではない。まあ何か言いたくなる気持ちはわからないでもないけど(笑)。
    ――『マリーゴールド』の旗揚げ会見がサイバーファイトのサブスクサービス『レッスルユニバース』で配信され、今後の『マリーゴールド』の試合も配信するということで、サイバーファイトの関与についていろんな憶測がされていますよね。ノアの新ブランド『マンデーマジック』には『マリーゴールド』勢ががっつり関わっていきそうですし。
    Z ……いまから話すことはいろんな情報をまとめたうえでの私の見立てです。“事実”ではありません。大きな話でいえば、『マリーゴールド』は“女子プロレス大改革”というか、ビジネスステージが1つも2つも上がるんじゃないかなって印象を受けますね。
    ――ほほう。アクトレスガールズからの選手引き抜き疑惑から、ロッシーさんの“昭和”のやり方が批判されてますけど。
    Z アクトレス“引き抜き”騒動の話はあとに回すとして……まず『マリーゴールド』はサイバーファイトの傘下団体ではない。ただし、サイバーファイトとは要所で何か一緒に仕掛けていくんじゃないかなと。
    ――というとサイバーファイトがロッシー新団体の“黒幕”っぽく聞こえますよ!
    Z いやいや、サイバーファイトが“黒幕”ではないから誤解しないで。そもそも『マリーゴールド』の背後にはWWEがいるんじゃないかという見方はあった。ロッシーさんとジュリアはWWEからの招待でレッスルマニアを現地観戦してきたし、ジュリアはテロップ付きで大々的に紹介されてるわけだから“結びつき”はあるとみていいでしょう。どういうかたちに発展するかはまだわからないけどね。
    ――『マリーゴールド』のXアカウントのプロフィールには「日本だけでなく世界の女子プロレスの進化における次のステップです」と書いてありますしね。
    Z 当然ジュリアを筆頭にWWE行きの道筋ができているんだと思う。サイバーファイトはWWEというよりAEWと近いんだけど、サイバーファイトの親会社サイバーエージェントがやっているABEMAはWWEの配信に力を入れている。こないだのレッスルマニアのABEMA PPVはかなり売れたみたい。で、スターダムと同じブシロードグループの新日本プロレスはサイバーファイトと交流している。
    ――なかなか絡み合った関係! スターダムもAEWと接近していますよね。
    Z ABEMAがWWEを扱っているからサイバーファイトがAEWと手を切るわけじゃないし、おのおのの関係から“答え”が見えづらいところはあるよね。だからみんな妄想をたくましくなるんだけど。
    ――ロッシーさんいわく「WWEからの資金援助はない」「スポンサーもない」「老後の資金でやる」とのことでした。・ロッシー小川が自分の蓄えだけでやるわけがない?
    ・風香&アクトレス勢の合流は想定外?
    ・「解散発言」といえば
    ・ポイントは『マンデーマジック』か?
    ・契約よりも「金と信頼関係」があるか……まだまだ続く

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  • 【鈴木千裕戦!】金原正徳「ボクに勝ったら大したもんだと思う」

    2024-04-15 11:39  
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    鈴木千裕戦直前! タイトルマッチ挑戦を控えた金原正徳11000字インタビューです!【1記事から購入できるバックナンバー】・「佐山先生をUFCの殿堂に!」……川口健次✕朝日昇、青春のシューティング対談!!
    ・鶴屋浩 ロマンと執念の「THE BLACKBELT JAPAN」
    ・万智がいろんな意味でヤバイ! 女子格NEXTスターインタビュー
    ・【サトシ教】サトシに勝てる日本人はいません■柔術ライター・橋本欽也
    ――タイのトレーニングキャンプは所(英男)さんと一緒に行かれてたんですね。
    金原 そうそう、英男くんと一緒に行ってきました。今回はタイガームエタイをメインにやらせてもらって。
    ――タイガームエタイってジムの隣にあるゲストハウスに泊まれるんでしたっけ?
    金原 ゲストハウスもあるんですけど、ボクらはちゃんとしたというか……まあいいオジサンなんで、さすがに泊まれればどこでもいいやみたいな感じじゃなくて(笑)。
    ――ハハハハハ。
    金原 キッチン付きのホテルを借りれるんですね。ボクは減量があったんで、あんまり外食したくないし、偏食なんで食べれるものがけっこう決まっちゃうんですよ。だから自炊したいなと思ってて、今回はスーパーで食材を買っての自炊がメインで。
    ――所さんと部屋は別々ですか?
    金原 さすがに同じ部屋ではないです(笑)。2人とも気使いなんで、あの人は年上だけどボクに気使うし、ボクが気使われるのもイヤだし。格闘技以外は干渉しないように別々に。お金がない若いときだったらまあしょうがないですけど、まあ2人とも一応それなりに稼いでいるんで(笑)。
    ――経済的余裕があるってことですね。
    金原 そこは自己投資ですね。ボクは今回の試合で回収できるんですけど、あの人まだ試合が決まってないから、キャンプ費用を回収できないという現実はありますね(笑)。
    ――あ、所さんは試合が決まってないのにタイに出向いたんですね。
    金原 ボクはクレベル(・コイケ)戦の前にタイに行ったじゃないですか。あの人も(アラン“ヒロ”)ヤマニハ戦が決まってたから誘ったんですよ。「ボクらもこれが最後の試合になるかもしれないからタイで頑張りましょうよ」って。でも、あの人は都合がつかなくて行けなかったんですよね。で、ヤマニハ戦が終わってから「行っておけばよかったです」みたいなことずっと言ってて。今回「今度こそ行きましょうよ」って冗談半分で誘ったら「行きます!」と。それでタイでのトレーニングしながら「半年前に来てればヤマニハに勝ってた……」ってずっとボソボソ言ってました(笑)。
    ――所さんが後悔するくらい充実したキャンプだったわけですね(笑)。
    金原 そうです。「こんだけやって負けたらしょうがねえな」っていう諦めはつくんですよね。自分も「もうちょっとできたんじゃないか」と後悔することはいっぱいあったし、「こういうふうにやっとけばよかったな」って思うことはいままでたくさんあったんで、そういう後悔はしたくない。この歳だといつ終わってもおかしくないじゃないですか。だからその後悔だけはしたくなくて、100%自分ができることをやってみる。で、前回クレベル戦の前にキャンプを張ってすごく調子がよかったんで、今回も同じようにやってみようかなってまた行ったんですね。
    ――今回もやり切りましたか。
    金原 100点満点だと思います。大きなケガもなかったし、自分がやろうとしてたメニューは一応妥協なくクリアはできたんで、まあ1人だとちょっとね、途中で帰ろうかなって思うこともあって(苦笑)。前回もそうですけど、いろんな意味で苦しくなるところもあったんですけど、試合も決まってないオジサンが一生懸命頑張ってるんだから。
    ――オジサン2人が共に支え合って乗り越えたファイトキャンプ(笑)。
    金原 ホントですよ(笑)。まあ、オジサン2人が身体のあちこち痛いとか言いながら一生懸命キャンプをクリアしました。もうできないですけどね。
    ――もう無理ですか?
    金原 もう行かないです。やっぱキツイっすよ。こんだけのトレーニングキャンプは年齢が限られるなと思いますね。それにボクらはベテランになってくるとラクしたいじゃないですか。いかにラクしてリングに上がって、いいギャラもらって、いい仕事をするかみたいなことを考えるんですけども(笑)。ボクは不器用だからそれができない。100%仕上げてリングに上がって、パフォーマンスで発揮して、見てくれる人を喜ばせることしかできないからラクできないんですよね。
    ――それくらい追い込むわけですね。
    金原 そうそう。メンタル的に厳しい部分があるから「最後なんだから」「いい思い出なんだから頑張ろう」とずっと自分に言い聞かせてやってて。芦田(崇宏)戦で復帰したときから「もうこれで最後だ」ってずっと思ってますよ。
    ――次の「これが最後だ」があるかもしれないんですか?
    金原 うーん、それはそんなときになってみないとわからないですけどね。その相応の相手と戦えるのか、「コイツだとそこまで練習しなくてもいいや」と思うかもしれないし、そこはわからないですよ。
    ――いまのタイってファイトキャンプのメッカになってますけど、他の日本人選手はいましたか?
    金原 最初はRENAもいたし、ブレイブの若い子2人もいたし、あとウチのジムからも若い子が3人来たりとか。別便で1週間だけですけど、今度ネオブラに出る20代前半の子。ボクが来るタイミングもあって、世界を知っておきたいみたいな。そこは自己投資じゃないですけど、ボクも初めてアメリカに行ったのも20代前半だったんで必要な経験かもしれないですね。世界を見るだけでも価値観は変わってくると思う。自分の実力だったり、周りがどういう風に頑張ってるのか。ああいうところで練習している人たちって、格闘技に人生を懸けている人たちばかりなんで。自分たちがどんだけ甘い環境でやってるかっていうのもわかるかな。
    ――「甘い環境」ですか。
    金原 はい(笑)。
    ――若い子は経済的に1週間なんですね
    金原 まあそうですね。バイトしてお金を貯めて行く若い子たちが多いので。それはボクの若い頃そうでしたよね。こっちも練習があるから向こうでかまってあげたりすることはできないですけども、まあ少しジム代を出してあげたりとかのサポートはしてあげましたけども。
    ――金原さんがタイに行ってるあいだRIZINの記者会見があってですね……。
    金原 あれは全部、佐伯繁が悪いです!(笑)。
    ――ハハハハハ! 金原さんが会見に出なかったことを対戦相手の鈴木千裕選手が怒ってたんですよね。「そのぶん練習できるのはズルい」と。
    金原 俺は佐伯さんにタイに行く日程を伝えていたし、会見があることさえも知らされてなかったし、練習が終わったらいろんな人からDMが来て「鈴木千裕が怒ってますよ」と。なんのことかと思ったら、俺めちゃくちゃとばっちりじゃんと思って(笑)。
    ――このカードは大晦日に発表はされていたんですけど、あの日も金原さんが不在でしたよね。
    金原 大晦日に北海道の家族旅行を入れちゃったんですよ。そうしたら大晦日に発表することになったらしくて、大会中カード発表するときに電話でもいいから出られないか?と。
    ――榊原さんがリング上からの電話で皇治選手に「朝倉海とやってくれない?」って交渉したことがありましたけど、そんなRIZINテレホンショッキングが再び(笑)。
    金原 電話でやりとりするはずだったんですよ。で、大晦日当日の便で北海道に行く予定だったんですけど、飛行機が大遅延しちゃって。リングで発表したときは雲の上だから電話できなくて(笑)。
    ――ハハハハハハハ! 
    金原 向こうはそのへんのことは何も知らなかったんじゃないですか。わかんないですけども。
    ――鈴木千裕選手をインタビューしたら、そのへんの事情をあとで知ったみたいで「マジですいませんでした」って謝ってましたね(笑)。
    金原 まあでも彼なりに盛り上げようとする気持ちももちろんあるだろうし。ボクも会見に行かない理由はとくにないわけじゃないですか。練習したいからサボったことなんていままでないし、意外にそういうとこ真面目なんで。それにケンカをやるんだったらなんか目の前でやりたいし、ネットを通じてだと気が付かない場合もあるじゃないですか。
    ――挑発リプを見逃してしまう場合もある(笑)。
    金原 周り言われて「あっ、そうなんだ」って気付く時点でケンカにならないんで。だからそういう場があるんだったら行きますよ。あとこの件で本気で怒ってDMを送ってくるアンチもいるんですよ。「オマエはチャンピオンに対して礼儀がなってない!」とか。
    ――うわー、面倒くさい(笑)。
    金原 そんなやつにいちいち説明するのもめんどくさいですけど。ボクにも言いたいことはあるけども、歳が倍くらい違うんで口ケンカしてもしょうがないし。結論としては佐伯繁が悪いってことで(笑)。
    ――ハハハハハ! タイトルマッチの流れとしては、金原さんがクレベルに勝って、ケラモフvs鈴木千裕の勝者と大晦日もやるという話でしたよね。
    金原 最初、向こうがケガしてるから連絡待ちみたいな感じでしたね、自分としては大晦日にやるつもりで準備はしてました。結局大晦日は難しいから、あらためて春にやるという話になって。RIZINがどう考えていたかはわからないけど、ボクの希望としては最後の試合になるかもしれないから、周りの人や自分のジムの人たちの前で試合したいから東京でやりたいと。そういうことがあって4月になった感じですね。
    ――準備期間もだいぶ取れたわけですね。
    金原 そうですね。クレベル戦が終わってから半年以上、空いてますね。自分は2ヵ月あれば準備できるんですけど、年1試合くらいでも全然問題ないので。試合が早く決まっても、長すぎると逆に早く仕上げすぎちゃうんで。早く仕上げすぎずにタイでちゃんと身体を作ってきて、日本に帰ってきて最終調整している感じですね。タイでちゃんとキャンプを張れたことは、自分の中ではすごく大きいと思います。
    ――金原さんとの試合のあとに、鈴木千裕選手は6月のKNOCKOUTで五味隆典さんとのボクシングルールをやることが発表されたじゃないですか。これを受けて金原さんは「よし!決めた!次の試合は腕十字で決める!!」とXにポストしましたけど、やっぱり怒りはあるんですか?・鈴木千裕にMMAの厳しさを教えたい
    ・キックでも打撃に差はあるとは思わない
    ・萩原京平はまだ青い
    ・30代が長く戦っていくには
    ・朝倉未来vs平本蓮で盛り上がる日本は平和
    ・日本MMAは取り残される、危機感を持つべき……11000字インタビューはまだまだ続く

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  • ジョビンチャンネルでできなかった髙田延彦の「八百長」「搾取」の話

    2024-04-15 11:30  
    200pt
    ジャン斉藤が語るジョビンチャンネルについて(ニコ生配信したものを再編集した記事です)【1記事から購入できるバックナンバー】・怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■斎藤文彦INTERVIEWS
    ・藪下めぐみ「私、総合格闘技の練習をしたことが一度もないんですよ」
    ・生臭坊主!? “僧侶プロレスラー”の自由すぎる説法/阿部史典
    ・村浜武洋“流浪と怒り”のロングインタビュー「やるか!? おう、コラ! ああん!?」

    ハローハロー、ジャン斉藤です。ボクは生きてますよ!
    ジョビンさんのYouTubeチャンネルがボクが登場した回を最後に丸ごと削除されてしまって「八百長に触れたことが問題になったんじゃないか」なんて囁かれていますね。そこではボクがかつて某格闘技関係者に軟禁されたネタも話しているから、尾ひれがつきやすい物騒な内容だったことはたしかですが、ジョビンさんのアナウンスによればチャンネルを削除したという話も聞こえてきます。スタン・ハンセンがボディスラムで投げ損なってブルーノ・サンマルチの首をケガさせたんだけど、ラリアットが原因だったことにして因縁ストーリーを作り上げた……ように、ボクがジョビンさんのチャンネルを潰したことにすべきですかね(笑)。
    Dropkickの配信と違って、かなりブレーキをかけてますし、そんなに大した話はしてないんですよ。復旧したらわかるはずですけど。ボクも喋っててあんまり手応えがなかったですけどね。その理由は不特定多数の人が見ているし、前提を共有していない人が多いわけじゃないですか。とくにジョビンさんのチャンネルですよ!(笑)。ジョビンさんが「高田延彦は許せない!」って吠えたら、ボクが「怒りたくなるのはわかります。でも、あの時代は……」なんて背景を説明していたわけですけど、しつこく説明をしていくと「なにぃ、ジャン斉藤は高田をかばうのか!?」って発狂する視聴者が現れたはずなんですよね。だからほどほどの説明に抑えました!ジョビンチャンネルでできなかった髙田延彦の「八百長」「搾取」の話はまだまだ続く!
    この続きと鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪……などの4月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2196187この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!

     
  • 令和の女子プロ! 小佐野景浩の東京女子プロレス講座

    2024-04-12 22:00  
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    プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は中嶋勝彦を見よう/「プロレスの仕組み」論です!

    <1記事から¥100から購入できる連載記事! クリックすると試し読みできます!>
    中嶋勝彦を見よう/「プロレスの仕組み」論
    東京スポーツ新聞社制定「2023年度プロレス大賞」
    追悼“テキサスブロンコ”テリー・ファンク
    G1クライマックスに圧倒的な価値観を!ALL TOGETHERに見えたリアルな関係 
    【永田三冠議論百出】全日本プロレスは大丈夫
    清宮海斗の「顔面蹴り」と「平和ボケ」
    プロレス大賞の選考は毎年難しい
    岩谷麻優vsKAIRI IWGP女子王座の勝負論
    私が愛した“若獅子”アントニオ猪木この旦那にしてこの妻あり!! 天龍源一郎を支えたまき代さん
    頑固一徹! 追悼・ターザン後藤さん
    大谷晋二郎選手の試合中の事故について
    『至高の三冠王者 三沢光晴』を書いた理由
    新日本プロレスvsノア対抗戦から見えた個人闘争の炎
    令和の横アリ大実験!新日本vsノア対抗戦
    プロレスと結婚した風間ルミさん
    武田有弘☓小佐野景浩 「これまでのノアと、これからのノア」

    『ゴング』と東スポの元記者が語るプロレスマスコミ黄金時代/小佐野景浩☓寿浦恵一
    【14000字対談】小橋建太☓小佐野景浩「あの頃の全日本プロレスを語ろう」
    北尾はなぜ大成しなかったのか■柴田惣一☓小佐野景浩 マスコミ大御所第2弾柴田惣一☓小佐野景浩 プロレスマスコミ大御所対談「スクープ合戦はガチンコの闘いだった」全日本プロレスの「うっかり八兵衛」が明かす全日本秘話あの日の全日本プロレス、SWSを語ろう■北原光騎×小佐野景浩嗚呼、阿修羅・原……修羅ごときそのレスラー人生!!
    冬木弘道は「俺はやっぱり死ぬんだな」とニヤリと笑った…


    ――今回のテーマは小佐野さんが解説をやっている東京女子プロレスなんですが、ボクはそこまで女子プロレスは詳しくないですし、東京女子プロレスに至っては今回の両国大会でめて第1試合からメインまで通して見たというくらいの超ぼんやり層です。
    小佐野 へえ、この前の両国を全部見たんだ。どうだった?
    ――初見に近いのに感想なんか言っていいんですかね(笑)。
    小佐野 やっぱりパッと見た印象も大事だよ(笑)。
    ――えーと、なんだろうな。プロレスの世界とは無縁だった女の子たちがたまたま入り込んで頑張っていく姿を応援するというか……昔の全女とは全然違うし、スターダムとも異なる印象でした。こんなことをいうと、なんか怒られそうだな(笑)。
    小佐野 私も東京女子の解説をやるようになってから見るようになったんだけど。東京女子の選手たちってプロレスラーに憧れて入ったわけでなかったんだよね。初期メンバーは全員プロレス志向ではなかった。新しい子たちは東京女子の先輩たちの試合を見て、「プロレスをやってみたい」ってことで入ってくるケースが増えてきている感じなんだけど。
    ――初期メンバーは何か他に理由があってプロレスをやるようになったわけですね。
    小佐野 たとえば一番多かったのはアイドルになりたいと。あとはお笑い芸人だったり、プロレスでいろんなことが表現できるんじゃないかと。それで実際にプロレスを始めてみたら、のめり込んでいって……。今回のメインイベントを張った山下実優なんかは強さの象徴として君臨しているけど、あの子だって本当はアイドルになりたかったわけだから。
    ――山下実優はけっこう本格派っぽいかんじでしたけど。
    小佐野 あの子は中学まで空手をずっとやってたんだけど、アイドルになりたいと思って東京に出てきて、巡り巡って高木三四郎と出会い、「ちょっとプロレスをやってみないか」と誘われて東京女子に入った。入団会見では「歌って踊れるプロレスラーになりたい」って言ってね。それがいまやエースの風格が漂ってるわけだよね。その山下からベルトを取った渡辺未詩なんかもアイドルの志向。アップアップガールズ(プロレス)のオーディションを受けたから当然プロレスの仕事もやることは覚悟していたみたいだけど、オーディションでロックアップや受け身をやらされたり、ここまでガッツリ試合をやらされるとは思ってなかったみたいだから(笑)。
    ――渡辺未詩こそプロレス向きですよね。あのパワー!!
    小佐野 東京女子の解説仕事を始める前に渡辺未詩の試合を見たんだけど、その試合ぶりから「プロレスが大好きな子なんだろうな」と思ってたわけ。ひとつひとつの技もきっちりしてるし、ソフトボールもやっていて運動神経抜群。プロレスラーになりたくて入ってきた子なんだろうなと思ったら全然違った(笑)。本人はアイドルとしてあまり筋肉をつけたくなかったみたいでね。
    ――そうなるとテーマ曲の「チョコっとラブ ME ドゥー (feat. 渡辺未詩)」も深いものに聞こえてきますよね。「みんなプロレスは好きかー?」から始まるのに。これだけプロレスを見てきた小佐野さんがそんな東京女子プロレスの解説をやることにちょっと抵抗はあったんじゃないかなと。
    小佐野 いや、そんなに抵抗はなかったけど、初めはやっぱり歌のコーナーから始まるでしょ。あれを見たときに「ちょっと俺は無理かも……」と思ったわけ。
    ――女子プロレスは昔から歌と密接な関係ですよね。
    小佐野 そうだよね。昔だってビューティ・ペアは歌ってから試合をしていたわけだから「やっぱりその系統か」という印象はあったんだけど、初めて見たときの第1試合が鈴芽vs遠藤有栖。両国でタッグのベルトを取った2人のシングルマッチで、有栖のデビュー戦だったわけ。「どんな試合をするのかな」なんて高をくくって見てたら、がっつりグランドから始まって。7~8分の試合だったんだけど、5分まではほぼグラウンドの攻防だったんじゃないかな。
    ――ちゃんと基礎を学んでいるってことですね。
    小佐野 いきなりお腹を蹴ってロープ飛ばして……という試合じゃない。「しっかりしているな。誰が教えているんだろう?」って興味が湧いて、これは解説もちょっとやってみたいなと。それでいろいろと話を聞いてみたら、もともと東京女子はマットレスリング、要はリングやロープもないマットの上でスタートしたから、ロープを使わない試合運びを覚えないと戦えないと。そういうルーツがあることを知って納得したんだよね。東京女子の特色でいえば、他のレスラーのマネをしないし、誰かのパクリをしない。なぜならば、みんなもともとプロレスファンじゃなかった。真っさらの状態で始めたから、良くも悪くも他のレスラーの影響を受けてないんだよね。それこそ初めは「プロレスってなんなんだろう?」っていうところから始めている。
    ――なんの知識もなくプロレスラーになるって想像以上に大変ですよね。
    小佐野  どう戦えばいいのか、どうやったら勝利に結びつくのかはまったくわからないで始めてるわけだからね。フィニッシュ・ホールドを教わったとしても、そこにどうやって持っていくのかは最初はわかんないわけだから。
    ――最近プロレスデビューした佐々木憂流迦の評価がすこぶる高いですけども、彼はプロレスファンだったからイメージがつきやすい。でも、東京女子の選手たちは手探り。
    小佐野  それこそ未詩に聞いたら「ドロップキックはどっちがやられてるのか最初はわからなかった」と(笑)。
    ――よく考えたら、たしかにわかりづらい(笑)。
    小佐野  知っていたプロレス技はジャイアントスイングだけ。それは「めちゃイケ」で加藤浩二がやっていたから(笑)。プロレスで知ったわけじゃないんだよね。
    ――渡辺未詩の得意技はジャイアントスイングですね。
    小佐野  彼女はあの技を使いこなせるパワーがあるし、「あとあと他のアイドルを回せることができるかな」という感じでやってみたらしいんだけど。
    ――いやあ、東京女子を通じて、あらためてプロレスの難しさがよくわかりますね。プロレスファンはあたりまえのようにスリーカウント決着を理解してますけど。
    小佐野 格闘技を何かやってた人と、まるっきり格闘技をやったことすらない人でも差はあるよ。「ロックアップは大事な基本だから」と教わっても、格闘技をやったことがないとまず組むことの意味がわからないだろうし。
    ――試合に勝つために戦うけど、相手に致命的なケガを負わせちゃいけないという暗黙の了解もあったりするわけですもんね。
    小佐野 いろいろ勉強していくうちにプロレスが好きになっていった子は多かったと思うんだよね。たとえば上原わかなという大食いアイドルや舞台もやってる子がDDTの「夢プロレス」という企画に参加した。企画の趣旨は自分の夢を叶えるためにプロレスを始める。全部クリアできたら夢を叶えてあげますよっていうことで、べつにプロレスラーにならなくてもいい。そこではアジャコングがプロレスを教えるんだけど、アジャが上原わかなに「アンタのやってることはまったく人の心に響かない。上っ面だと人の心は動かせないよ。私のことをおもいきり殴ってみろ!」と。それでも上原わかなはおもいきり殴れないんだけど、そこを殴らないと殴られるのがプロレスだよね。アジャに抑え込まれて身動きが取れなくされて「今度はオマエが抑えてみろ」とポジションを変えるんだけど、アジャは簡単に返しちゃう。
    ――アジャさんは全力で物事に取り組む大切さを教えたんですね。
    小佐野 人の心を捉えるのはどういうことかといえば、一生懸命やる、力いっぱいやる。そうしないと人の心は動かせない……ということをアジャは教えた。上原は「夢プロレス」の卒業試合をやったあとに「これからどうしますか?」と聞かれて「プロレスを続けます」と答えて、いまでもプロレスを続けてるわけだ。
    ――いい話です!女子プロレスを知り尽くしたアジャさんが親身にレッスンをしてくれるのはありがたいことですね。
    小佐野 アジャは東京女子のことを気に入ってるのか、大きな大会のときは必ず試合に出てくれるんだよね。
    ――アジャさんが全女でやっている時代と比べると、女子プロレスのあり方もだいぶ変わってますよね。
    小佐野 そう。いまはあの頃の全女の匂いがまったくしないプロレスだからね。たとえばDDTにジャイアント馬場やアントニオ猪木の匂いがしないと同じかもしれない。それでいえば昔のレスラーからすれば、東京女子の選手は仲が良すぎるように見えるかもしれないね。
    ――そこも聞きたかったんですよね。全女の抗争はリング外でも激しかったですよね。一線を越えていた。
    小佐野 本当に足の引っ張り合いがすごかったし、私生活でもメンタル強くなければやっていけないし、試合でも何をされるかわからない緊張感はあったよね。
    ――アジャさんとバイソン木村さんはブル中野に反旗を翻したあとは、巡業バスにも乗れないし、控室も用意されない。それこそ天龍さんと阿修羅・原さんのように電車やリング屋さんのトラックに乗って巡業についていって。
    小佐野 そこは男子も少なからずそうだったわけでしょ。たとえば武藤敬司や蝶野正洋から当時の新日本道場の話を聞くと、とてもじゃないけど美しい青春物語じゃないよ。「アイツ早くやめねえかな」「1人やめて競争相手が減ったぜ」と喜ぶ世界。どこまでいっても競争だから仲良くはなかった。
    ――プロレスの勝負論の世界でレスラー同士が仲良いわけがないですよね。格闘技の場合、わりとスッキリしてるじゃないですか。
    小佐野 格闘技だと結果で白黒はっきりしちゃうからね。プロレスの場合は「アイツばっかプッシュされて」というふうに感情的になるよね。
    ――東京女子の選手の仲はどうなんですか?・スターダムと東京女子は対抗戦をやらなくていい
    ・東京女子は初期ジャパン女子?
    ・東京女子はしっかりとレスリングから
    ・アイドルレスラーの根性は半端じゃない……まだまだ続く

    この続きと鈴木千裕、久保優太、今成正和、ロッシー小川、ブル中野、鉄の爪……などの4月バックナンバー記事が700円(税込み)でまとめて読める「16万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2196187この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事200円から購入できます!

     
  • 【プレイバック】「佐山先生に言われたんです。俺の影になってくれと」…中村頼永インタビュー

    2024-04-12 21:19  
    200pt
    ★2017年8月にDropkickメルマガで掲載された記事を再録しますシューティング、佐山サトル、ヒクソン・グレイシー……日本格闘技界を変えた超重要人物・中村頼永がすべてを語り尽くすロングインタビューが実現!! 中村氏がUSA修斗代表などを務める詳しい経歴はコチラをご覧になっていただきたいが、どのようにして総合格闘技がつくられていったのか――プロ格者は必読の「シューティング黎明編」2万字インタビュー!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・“最後の側近”甘井もとゆきが語るアントニオ猪木&ズッコ夫妻
    ・【リングス退団編】俺はそんなことを絶対に言っていない■長井満也
    ・2009年6月13日、三沢光晴さんのこと■齋藤彰俊
    ・夢とトラウマを与えたアントニオ猪木の「死」■菊地成孔

    ――シューティング(修斗)やヒクソン・グレイシーを語るうえで中村さんは絶対に欠かせない存在ですが、ロングインタビューを受けられる機会があまりなかったので、こういった取材がお嫌いなのかと思ってました。
    中村 いや、そんなことはないんですよ。いろいろとオファーはあるんですけど、たとえばプロレスだけしか取り扱ってないところだと、ボクがしゃべったことすべてを書いてくれない可能性があるじゃないですか。
    ――ああ、なるほど。修斗の成り立ちを説明する場合、どうしてもプロレスの仕組みに触れないと伝わらないですね。
    中村 誤解しないでほしいのはボクはプロレスが嫌いなわけじゃないですよ。弟(中村ユキヒロ)はマスク職人として佐山先生をはじめとして、プロレスラーのマスクを作っていますし。
    ――今回の取材場所となる「佐山サトル館」もタイガーマスクの覆面や、佐山先生の幼少期の資料が置かれてますね。
    中村 ボクは本当のシューティングの歴史や、佐山先生の偉大さを伝えたい思いがずっと心の中にあったんですね。今日発売された『Gスピリッツ』では佐山先生と、スーパータイガージムで一緒にインストラクターをやっていた北原(光騎)が、いままでずっと秘密にしていたことを明かしてるんですよ。だからボクもしゃべっていいのかなあと。
    ――いまだに明かされていない事実があるとは驚きですし、かなり楽しみです!(笑)。伝えたい思いがあるということは、現在の佐山先生の扱いに引っかかるところがあったということですか?
    中村 ずーーーーっとありました! 修斗の創始者である佐山先生のことを軽視してる風潮があるというか、柔道だったら嘉納治五郎、合氣道だったら植芝盛平の写真を道場に飾りますよね。でも、修斗を稽古している道場はたくさんあっても佐山先生の写真を飾ってるところはいくつかしかない。創始者として佐山先生の存在にもっと敬意を表さないといけないし、いま総合格闘技が隆盛を誇っているのは佐山先生の犠牲の上に成り立ってるんです。いまの若い人たちにはそこをわかってもらいたいという気持ちは強いんですね。
    ――では、本日はたっぷりと伺います! まず中村さんが格闘技に関わるきっかけはブルース・リーなんですよね。
    中村 ブルース・リー先生ですね。中学生のときですけど、香港から関連書籍を取り寄せて……。
    【中村氏のiPhoneからブルース・リーの怪鳥音が鳴りだす】
    中村 あ、電話ですね。あとでかけ直します(笑)。
    ――怪鳥音が着信音ってさすがですね!(笑)。
    中村 ボクの人生は「ブルース・リー」に命を懸けるって中学生のときに決まっちゃったんですよ。でも、職業はアニメーターになろうと思ってたんですね。「ブルース・リー」以前に永井豪先生の洗礼を受けてるんで。
    ――ブルース・リー&永井豪! 男の子の憧れですね(笑)。
    中村 『デビルマン』と『キューティーハニー』。この2作品がボクの人生の血となり肉となってて。いま永井豪先生とは家族ぐるみの付き合いをさせてもらってるんですね。職業はアニメーターだけど、「ブルース・リー」で生きていく。ブルース・リー先生が始めたジークンドーをやりたかったので、香港から本を取り寄せて。それを見ながら自己流で練習したんです。
    ――最初は自己流だったんですね。
    中村 高校生になったら近所の空手道場に通いました。『空手バカ一代』を読んでましたから、当てる空手と当てない空手があることは知っていて。近所の道場は当てる空手だったんですけど、その道場は寛水流だったんです。
    ――まさかの寛水流!!(笑)。水谷征夫氏と猪木さんが創設した空手団体ですね。
    中村 はい。私がいた頃の寛水流はギャング顔負けの戦闘集団でしたから、香港から映画俳優のチャーリー・チャンというホンモノのギャングが挑戦してきたりね。そして、猪木先生が「誰の挑戦でも受ける」ということで、水谷先生も猪木先生に挑戦状を送って。
    ――野原で決闘する計画があったんですよね。 
    中村 水谷先生は「俺は鎖鎌を使う。おまえもなんでも使え!」という。新間(寿)先生があいだを取り持って、猪木寛至の「寛」と、水谷征夫の「水」の字を取って「寛水流」を作ることになって。
    ――水谷先生って猪木さんに決闘を申し込むくらいですから、かなり怖かったんですよね。
    中村 怖いですよ。合宿では、普段ボクらが「……怖いな」って思ってる各道場の先生たちを円状に全員立たせて、その中心に水谷先生が立って、無防備に起立している先生たちを順番に殴ったり蹴ったりして倒していくんです。
    ――それは何をやってるんですか?
    中村 いや、わからないです(笑)。
    ――ハハハハハハハハ! 気合いを入れてるんですかね。
    中村 たぶんそうだと思いますね(笑)。ボクの通ってた道場の先生は強面なんですけど、上に行けば行くほどさらに強面になっていくんです。それでも水谷先生の前に立ったら直立不動ですよ。言葉遣いや立ち居振る舞い礼儀礼節、上下関係がとにかく厳しくて。ボクはのちに上京して極真に入るんですけど、寛水流ほど厳しくないので「ヌルッ」って思いましたから(笑)。
    ――極真がヌルく感じるほど!(笑)。
    中村 ただ、当時のボクは近所だから入っただけで、寛水流のことは詳しく知らなくて。猪木vsウィリー・ウィリアムス戦があったときは、極真大好きだったからウィリーを応援してたんですよ。
    ――空手少年だったらそうなりますね。
    中村 あの試合で猪木先生が入場するときは寛水流の先生方がボディガードをやってたんですね。「猪木先生の身に何かあったら……」という。
    ――ウィリーのセコンドには極真空手家がついていましたけど、どちらのセコンドもリングで何が行われるかを聞いてなかったから、ヒートアップして大乱闘になったわけですね。
    中村 試合がどうなるかは一部の人たちしか知らないわけですよ。ボクはそんな背景すら知らないですから。道場で「あれはウィリーの勝ちですよね」って力説したんですよ。そうしたら先輩に「バカヤロー!猪木先生を馬鹿にするのもいい加減にしろ!」って怒られて。「寛水流の意味を知ってるのか? 寛水流の寛は、猪木先生の寛だぞ!」って言われて初めて知ったんです(笑)。
    ――そこで初めて猪木さん側だとわかった(笑)。 
    中村 猪木先生や佐山先生に初めてお会いしたのは寛水流の本部道場の落成式だったんですよ。ボクが入った頃は名古屋に本部道場を建てるということで、日曜日になると道場予定地に穴を掘りに行くんですよね。本部道場は道場生が建てたんです。水谷先生も一緒に土砂を運んでましたから。
    ――とんでもない経験をされてますね(笑)。
    中村 高校卒業して東京のアニメーターの学校に行く直前に落成式があって、ボクも出席したんですけど。出席されたのは猪木先生、坂口征二さん、藤波辰爾さん、タイガーマスク時代の佐山先生、新間先生、ファイティング原田さん、強烈だったのは安藤昇先生(笑)。
    ――ホンモノじゃないですか!(笑)。
    中村 安藤先生は水谷先生をモデルにした『東海の殺人拳』を書いてるときだったんですね。あの場でも異彩を放ってましたねぇ。真樹日佐夫先生張りのサングラスを掛けて、決して目を見せないんですよ(笑)。
    ――ハハハハハハ!
    中村 あの落成式でタイガーマスクが試合をしてくれるということで、リングが組み立てられたんです。タイガーマスクはアニメもプロレスの試合も見てて大ファンだったんですよ。ボクたち兄弟はどうしてもタイガーマスクのサインが欲しくて2人で佐山先生のことを探したんですよね。そうしたら裏の部屋の奥のほうで試合に備えてタイガーマスクのコスチュームでいるところを発見して、ボクたちはその入口でサイン欲しいアピールをしたら、側にいた坂口さんが「ダメダメ!」って……でも佐山先生はそれを遮って「いいよ」ってニッコリ応えてくれて。マスクから覗く目が凄く優しい目でした。それが佐山先生の第一印象だったんですね。
    ――そこから上京して佐山さんが立ち上げたシューティングに関わるんですね。
    中村 上京してアニメーターの学校に通いながら、最初はキックボクシングや空手をやってたんです。本当はジークンドーをやりたかったんですけど、日本に道場はなかったですから。その学校を卒業する直前の1984年2月に佐山先生が二子玉川にタイガージムをオープンするんですよ。佐山先生が提唱されていたキック、パンチ、投げ、関節技の「新格闘技」……いわゆるなんでもありの戦いに憧れていたので、初日に入門しました。
    ――初日とはさすがですね(笑)。
    中村 当然初日です。会員番号1番を狙ってたのに、もうすでにたくさんの人が並んでいて108番だったんですけど(笑)。
    中村 でも、そのジムでは格闘技を教えてくれなかったんですよ。二子玉川のタイガージムのあったカルフォルニアシェイプというところは格闘技をやっちゃいけない話になっていて。土地柄ハイソなフィットネスのジムだったんですね。
    ――コンセプトにそぐわなかったんですね。本格的な格闘技ジムは三軒茶屋のスーパータイガージムになってからで。
    中村 タイガージム時代はタックルや基礎体力しかできない。でも、佐山先生から教わったことは貴重なので、ひとつひとつしっかりやってましたよね。ストレッチ腕立て、ヒンズースクワット……佐山先生がいままで培ってきたものですから。練習するときはみんなタイガージムの練習着を着るんですけど、ボクは上だけで、下は拳法着と拳法靴、髪型もブルース・リーカットで。だから佐山先生から「ブルース・リーくん」と呼ばれてたんですけど(笑)。
    ――絶対にそのあだ名で呼ばれる出で立ちだったんですね(笑)。
    中村 その頃はブルース・リーファンクラブのスタッフをやっていて、その会報で佐山先生にインタビューもやってるんですよ。「佐山サトル、ブルース・リーを語る」という企画で。質問事項を当時マネージャーだったショージ・コンチャに見せたら「これはダメよ、これもダメ」とかハネられて。
    ――出た、ショウジ・コンチャ!(笑)。
    中村 胡散臭い人物ですよ。あきらかに悪者だって顔に書いてあって「なんで佐山先生はこんな人間とくっついてるんだろう?」と思ってましたから(笑)。佐山先生は純粋な方なんだろうなって。
    ――佐山先生はそのショウジ・コンチャと離れて、UWFに参戦しますよね。いわゆる「1984年のUWF」の始まりです。・「佐山聡の影」になった男
    ・地獄のプライベートレッスン
    ・プロレスと格闘技の線引きと
    ・幻のシューティングvs骨法
    ・ジークンドー、USA修斗とは何か……2万字インタビューはまだまだ続く