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記事 23件
  • 【13万字・記事20本詰め合わせセット】ボンサイ柔術、石渡伸太郎、平本蓮、佐野直、ベイダー……

    2021-07-31 23:59  
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    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! part90大好評記事20本、13万字で600円!!(税込み)
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    part90
    ☆ボンサイ柔術「朝倉未来・ムサエフ攻略」の裏側■“怪物くん”鈴木博昭☆フィーリング頭脳派・元谷友貴は何を考えているのか☆皇治と興行論、大人を振る舞う人たち☆【バッティング問題】平本蓮はなぜ皇治と魔裟斗が大嫌いなのか

    ☆「勝ち方がわかりません……」コーナーマン八隅孝平が見た矢地祐介復活勝利の裏側☆令和に間に合った今成正和という珍味☆井上直樹選手の第1希望、第2希望ではなく……■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ☆RIZIN漢塾 塾長・石渡伸太郎“引退”1万字インタビュー






    ☆北岡悟「UWFって格闘技をちゃんとやってないとできなくないですか?」☆「Uの原点」新日本前座経験者から見たリデットUWF■AKIRA
    ☆「VADER TIME ベイダータイム 皇帝戦士の真実 」■Dropkick読書会☆格闘技の反則が大目に見られていた時代■金原弘光


    ☆WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元■斎藤文彦INTERVIEWS

    ☆インディの帝王・佐野直12000字インタビュー☆インディ世直しできなかったハナシ■渡辺宏志のインディ小話
    ☆一流レスラー輩出工場ドラゴンゲート■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」


    ☆新日本と提携? 団体売却? WWEを動かす男ニック・カーンとは何者か

    ☆飲酒運転で4度逮捕されても……試合を許されるWWEスーパースター☆【激レアさん】いつになってもプロになれなかった男が地上波柔術番組を作るまで■長谷川秀樹


    ☆死に様までを見せつける全裸格闘家コナー・マクレガー

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    試合前の東京ドームで鈴木博昭、マルキーニョス、クレベル、サトシ、三崎和雄クレベルが朝倉未来を、サトシがムサエフを揃って三角締めで勝利したボンサイ柔術。彼らに打撃を指導する“怪物くん”鈴木博昭インタビュー。現在はONEのキック部門で戦う鈴木博昭はボンサイ勢にどんな戦略を与えていたのか。その裏側に12000字で迫る(聞き手/松下ミワ)
    ――クレベル・コイケvs朝倉未来の熱戦から1週間、まだまだ話題が尽きない中でじつは関根シュレック秀樹選手のツイッターで気になるコメントを拝見しまして。「クレベルのあのエルボーは鈴木博昭選手が授けた作戦だった」という内容なんですが。
    鈴木 ああ、そうですね。あのヒジはスパーリングの中でボクがクレベルに当てて、「これを試合でやってほしいんだ」と伝えました。クレベルもそのヒジを受けて「おお……」と効いていたので納得してくれたんですけど。「センセイのせいで鼻にアザができた」としばらく文句を言われましたけどね(笑)。
    ――ハハハハハ! 鈴木選手はクレベルやボベルト・サトシ・ソウザの打撃を指導されていますが、そもそも今回の朝倉未来戦はどういう作戦を立てていたんですか?
    鈴木 それでいうと、未来選手はクレベル戦に向けてトレーナーを雇いましたよね?
    ――柔術家の岩本健汰選手のことですね。
    鈴木 そう。K-1のトレーナー(K-1五反田・小倉將裕)とグラップリングの岩本選手を雇った時点で「なるほど」と思いました。そのコーチ陣から向こうの戦い方が浮かび上がってきたので、「じゃあこれだな」と。
    ――向こうの戦い方というのは、具体的にはどう想像していたんでしょう?
    鈴木 まず、自分のファイトスタイルをよりブラッシュアップしようというのが見えましたよね。打撃のキレ、スピード、パワーをさらに磨いて、なおかつグラップリングで倒されないぞという。スタイル的にクレベルと岩本選手は違うと思うんですけど、強いグラップラーに倒されないことを練習しているんだなと感じました。
    ――つまり、寝技の展開というよりは、倒されないことへの対処をしているんだろうな、と。
    鈴木 1ヵ月そこらで寝技の技術が格段に変わることはないと思うので。だから、まず倒されないことを強化、自分の得意なことを強化したんだろうなと考えました。
    ――はー、そこから試合が始まっていたんですね! その中で、エルボーは有効な攻撃になると考えていた。
    鈴木 未来選手がそういう練習をしていると予想できたから、よけいに効くと思いましたね。絶対に倒されたくない、いつもより倒されたくない気持ちが強いから、そっちに意識がいくじゃないですか。だからこそエルボーが入る。だけど、その前にクレベルとしては1ラウンドを凌ぐというのを考えていましたね。
    ――たしかに、あのエルボーが出たのは2ラウンドでした。
    鈴木 そう。1ラウンドはなるべく出さずに、有効打をもらわないようにしてほしいと話しました。
    ――「あえて見せない」と。そんな駆け引きがあったなんて面白いです!
    鈴木 まあ、クレベルは倒れはしないんだけど、負けるとしたら1ラウンドの元気なうちに予想以上の打撃を食らって倒される可能性は十二分にあったので。やっぱり針の穴を通すようなカウンターを完璧に避けるのは難しいんですよね。なので、当たって持っていかれるほどのクリーンヒットさえもらわなければいい。その中で、ローキックで前足を潰していけば、向こうの打撃の精度も100パーセントじゃなくて、90パー、80パー、70パー……と徐々に減っていくので。
    ――たしかにクレベルは執拗にローを蹴っていましたね。
    鈴木 あれは距離を測るのと、相手の戦闘力を削るためのローですね。打撃で勝つというよりは、打撃でやられない自信を持ってほしいという感じでしたね。クレベル自身も打撃は強いんだけど、やっぱり彼のアイデンティティは寝技にあるから、いつでも寝技に行けるようにするために「打撃戦でも怖くないよ」という練習をしてました。
    ――そして、早くもグラウンドの展開になりましたが、クレベルが取り逃して朝倉選手が立ったあの場面、朝倉選手がクレベルに対してフックを当てました。あれで、クレベルはぐらつきましたよね?
    鈴木 うん、ありましたね。
    ――あの場面って、鈴木選手はどう見ていたんですか?
    鈴木 もう、練習でもヘッドムーブでクリーンヒットをもらわないようにすることを繰り返しやっていたので。未来選手も本当に頭がいいから、絶対にタックルを切って自分のスタイルに持っていくというのは予測していたし、やっぱり打撃の精度も高いので、ぐらついても変に乗らずに頭を振る、クリーンヒットをもらわないという感じですね。
    ――でも、あれってけっこう効いてましたよね?
    鈴木 ああ、効いてました。効いてたけど、殴られて完璧によけることは難しいと思っていたから、持っていかれなければ大丈夫。1ラウンドでフィニッシュされなければいいという状態ですね。応戦はするし、組みにもいくけど、最悪な自体だけは避けてほしいという感じでした。
    ――もし、あそこで朝倉選手が追い討ちをかけてきたら、やはり危なかったと思いますか?
    鈴木 まあ、でも追い討ちをかけられても組みついて逃げ切ることも可能だし。おそらく、それを未来選手が潰して、クレベルがガードポジションを取る展開はあるだろうな、と。
    ――たしかに、そういう展開もありえます。しかし、鈴木選手から見て「なぜ朝倉選手は追い討ちをかけてこないんだろう」という疑問はありませんでしたか?
    鈴木 うーん、ちょっと怖かったけど、クレベル自身も効かされても「いつでもやってやるよ」というケンカ根性じゃないですけど、闘争本能が凄いんでね。だから「あ、いま追い込んでもまだヤバイかも……」と思わせたんだろうなと思います。
    ――朝倉選手も、追い討ちをかけなかった理由は「目が死んでなかったから」と言われてましたもんね。
    鈴木 それ、戦っているとあるんですよ。目が死んでるか死んでないかというのは。で、死んでない人間というのは本当にまだ何をやってくるかわからない。死んだかどうかというのは「いまだ!」というのはわかるし、あれは周りじゃなくて本人にしかわからない部分は絶対にあるんで。
    ――周りが感じ取れる部分でもない、と。
    鈴木 「効いてるから行けよ」と言いますけど、戦っている本人に向かってくる殺気の量は本人にしかわからないですよ。外国人選手って効くと一気に効かされてしまうケースもあるんですけど、クレベルにはそれがないのでね。
    ――今回の試合は、やはりあの場面が勝負の分かれ目だと語る方が多いんですよね。このサイトでインタビューしている斎藤裕選手も「明らかに効いていたので、ボクだったら詰める」という話をされていて。
    鈴木 うん。追い討ちかけてたら、ひょっとしたらそのままいけるかもしれない。でも、逆に取られるかもしれないし。だから、リスクを取っていくか、リスクを回避して自分のペースを貫くかということで、未来選手はいわゆる手堅いほうを選んだんでしょうね。
    ――チャンスはまた来ると思ってた、と。
    鈴木 そういう状態だったんでしょう。べつにいま追い込まなくても、だんだんと打撃が当たっていけば絶対に削れていくから、と。そう判断していてもおかしくはないと思います。
    ――その中で、とにかくクレベルとしては1ラウンドはなんとか凌ぐんだという。
    鈴木 カイル・アグォン戦もそうですけど、クレベルってけっこう1ラウンドで受けに回るケースがあるのでね。未来選手との対戦で同じようにやると効かされてしまうから、だからクリーンヒットだけは避けるという動きをしていましたね。
    ――「クレベルなら絶対に回復できる」というスタミナへの信頼も強いということですよね。
    鈴木 それは強いですね。みんな「スタミナ切れてた」と言うけど、切れてたら最後にあんな攻め方はできないですよ。彼はスタミナが切れているようで、あのまま最後までずっと動けるという、マラソンみたいな体力の使い方ができる選手なので。
    ――インターバル中は、どんなお話をされたんですか?
    鈴木 まあ、基本はマルキーニョス(マルコス・ヨシオ・ソウザ)がメインだから、ボク自身はそんなには何も言わなかったですけど。ただ、「クロスゲームの時間が来るからね」ということだけは言いました。つまり、ラウンドが進むに連れて戦いの距離が近くなるよ、と。で、おそらく1ラウンドの戦いで未来選手には「テイクダウンを切れる」という自信ができるから、2ラウンド以降にあのヒジを出そうというのは言ってました。
    ――2ラウンドこそチャンスが来るよ、と。
    鈴木 まあ、普通に戦って勝てるんだったらそれでもいいけど、エルボー出すのは2ラウンド以降。
    ――そのヒジが大ヒットしたという感じでしたよね。
    鈴木 そうですね。1ラウンドで未来選手の中に「俺はテイクダウンディフェンスはできる」という自信ができただろうし、そっちに集中もしているから、やっぱりもう一方は見えないですよね。足を見てたら顔が見えないじゃないですか。単純にそれだけです。そんな単純な理屈をやってもらっただけですね。
    ――ああ、だからこそあんなにヒジが効いたんですね! あれ、かなりダメージがありましたよね?
    鈴木 本当だったらあれでダウンしてほしかったぐらいの感じですけど、まあ、そのときの組み付き方によって、アゴ先なのか目尻なのか、そのへんは状況で変わるから。だから、場所の細かいことは言ってないんですけど、オートで出せる感覚は身につけてほしいとは言ってましたね。
    勝負の流れを引き寄せたクレベルのヒジ攻撃――朝倉選手としては、あのヒジをよけなきゃいけないということで、ちょっとしたパニックというか、そのあとの寝技の対処まで考える余裕がなかったように見えました。
    鈴木 あのヒジによって「え?」という動揺が起きたら、クレベルは単なるテイクダウンじゃなくて、より自分が有利なポジションをとって寝技に持ち込めるわけですからね。だから「コレがこうだったら、こうできた」という展開がずっと繰り返された戦いだったと思います。
    ――鈴木選手って立ち技競技の方じゃないですか。MMAでの打撃や際の攻防などについては、かなりクレベルやサトシともコミュニケーションを取っているということですよね。・朝倉未来のフックでぐらついたのも勝機の一環?
    ・「センセイ、ワタシ大丈夫ですか……?」クレベルが漏らした本音
    ・斎藤裕攻略は朝倉未来より難しい
    ・サトシはムサエフと打撃で渡り合う準備をしてきた……記事の続きと、13万字超え、記事20本詰め合わせセットはまだまだ続く!
     
  • RIZIN漢塾 塾長・石渡伸太郎“引退”1万字インタビュー

    2021-07-26 20:30  
    120pt


    現役引退を表明した石渡伸太郎インタビュー。RIZIN漢塾塾長が万感の思いを1万字で振り返ります!(聞き手/松下ミワ)【1記事100円から購入できるバックナンバー】・格闘家・石渡伸太郎の奥様は小料理屋の美人女将だった!
    ・18年ぶりに帰還! “魔物”が棲む東京ドーム大会総括■RIZIN広報・笹原圭一
    ・RIZIN広報・N野さんの秘密 「選手たちの意識や雰囲気が磨かれていく姿が見えて……」
    ・RIZIN男塾塾長・石渡伸太郎「舐められてる自分にムカついてます」
    ――先程の引退会見、お疲れさまでした! 心にグッと響く会見を見させていただきました。
    石渡 ホントですか? なんか、うまくしゃべれなかったんですけどね。
    ――榊原代表もおっしゃってましたけど、格闘家の方がこんなふうにちゃんと引退を表明するって、やはりなかなかできることじゃないのかな、と。
    石渡 正直言って、相当勇気がいりました。
    ――最初に引退に触れたのは、試合直後のRIZIN CONFESSIONS撮影班のカメラだった思いますが、当時はどのぐらい本気だったんですか?
    石渡 もう100パーセント本気です。というのも……首が相当悪いんですよ。だから、練習もその中でやっていかないといけない。でも、井上直樹選手だったり、朝倉海選手や扇久保博正選手だったり、上位にいる選手たちを倒せないという状態だったら、格闘家として続けても意味がないのでね。その下の選手と勝った負けたとチョロチョロやっていても、もう意味がないかなと思っていたんで。
    ――首が悪いというのは、体感として何割ぐらいの練習しかできてない感覚だったんですか?
    石渡 うーん……、正直、MMAの練習はできてないですね。
    ――え……。
    石渡 だから、本当に部分的な練習だけしかできなかったです。
    ――それで、よくこのグランプリに出られましたね……。
    石渡 それが自分の挑戦だったんですけど、試合を完全に否定されたんで、もうダメかなと。あと、なんて言うんですかね、ずーっと年齢も重ねてフィジカルも弱って、モチベーションも下がっているのに試合を続けていけば、それに反比例して試合ではどんどんダメージを負うことになると思うので。だから、自分でくっきりと区切りをつけることで、後進のお手本になるじゃないですけど、この先ボクもちゃんと社会で成功していくところを見せることによって、道を示せるのかな、と。そういう気持ちもありました。
    ――それこそ、2017年のRIZINバンタム級GPの直後は「一生引退はしない!」というコメントも出されてましたが。
    石渡 まあ、それは「一生引退しないんだ」という心意気の話ですよ。現役中は「引退なんか来ない」と思って戦わないと。というか、ボクはこの状態でも優勝したり勝ち続ければ、40歳になっても50歳になってもやっていたかったですけどね。そこは、若い井上選手に世代交代というかたちで突き付けられたんで。
    ――となると、井上戦が決まったときは相当複雑な思いを抱えていた。
    石渡 複雑というか、MMAの練習ができないので、ボクとしてはMMAの試合を積みながら“答え合わせ”をしていきたかったんです。だからこそ、あとのほうに強い選手と闘いたかったんですよ。
    ――つまり、この練習状況でどこまでMMAができるのかを順繰りと試したかったわけですか。
    石渡 そうそう。それを試合で練習したかったのに、いきなり”本番”がきちゃったから。
    ――その井上選手については「思った以上に目がよかった」というお話をされてましたね。
    石渡 ああ、よく見てましたよね。距離感も抜群によかったです。あと、もっとジャブで組み立ててくると思っていたんですけど、蹴りで組み立ててきたのが予想外でした。
    ――「目がいい」というのは、石渡選手の攻撃に対して反応がいいということですか?
    石渡 それもいいし、自分の攻撃が当たる距離、当たらない距離というのをよく理解してました。で、これまでの試合では彼はジャブをよく当てて刺していたんですけど、それはオレには当たらないよという自信はあって。で、実際にそれは当たらなかったんですけど、その代わりに蹴られたんですよね。ケンカ四つの展開でああいうカーフキックを重ねてくる戦い方って、MMAではあんまりないんじゃないかなって。で、べつに効いてはいないんだけど、いきなり動かなくなったりするじゃないですか。だから、気にはなっちゃってましたね。
    ――受け続けたらヤバいんじゃないか、と。
    石渡 「ヤバいのかもしれない」という予感です。そういうのがあったから、無理に前に出たのもあったんですけどね。
    ――ご自身としては、あの試合はどういう作戦を立てていたんですか?
    石渡 まあ正直、ボクは打撃で倒すということしかできないんですよ。タックルできないし、寝技できないし。で、寝技になったら凌ごう、と。
    ――タックルもできない状態だったんですか……?
    石渡 タックルはできないです。もう、4~5年はタックルできてないです。
    ――そうだったんですね……。
    石渡 でも、ああいうふうに自信満々で前に出てくる選手を、ボクは右フックで倒す自信があったんですよ。実際に、それはそのままそのとおりになって。だから、あの試合はボクの勝ちパターンなんですよね。
    ――たしかに、最初に当てたのは石渡選手でした。
    石渡 でも、その勝ちパターンで負けたんです。あそこで殴り返されて倒れたのは自分でも驚いたんですけど……。やっぱり首が悪いこととか脳の神経的なダメージもあるのかもしれないですよね。最初の右フックのあと、殴り合いになって倒せるはずだったんです。今回はそのパターンで負けたんで、それもあって限界だな……って。
    ――試合内容も含めて納得させられたというのがあったという。
    石渡 しかも一番最悪な負け方でした。もう、ダメージを負いたくないじゃないですか。過去に記憶を失ったこともあるし。
    ――記憶を失ったのは2017年バンタム級GPの大晦日ですよね。準決勝で大塚隆史選手、決勝で堀口恭司選手と戦って。
    石渡 脳のダメージを受けたくない、そこに対して一番最悪なかたちでしたね。首絞められて負けてもべつに脳へのダメージはないですけど……。いまは、まだそんなに“おかしな人間”ではないとは思うんですよ。
    ――“おかしな人間”というのは?
    石渡 いま、ボクおかしな人間ですかね?
    ――ええっと、ちょっとだけ(笑)。
    石渡 えっ! どういうところがですか?
    ――なんというか、いろいろと想像以上に面白い方だな、と。
    石渡 ああ~、それはもともとボクがひょうきんな人間だからです!(笑)。
    ――ハハハハハハハ!
    石渡 マジメな話、本当にイヤなこと言いますけど……さっきの引退会見とかでも質問されて答えるじゃないですか。でも、しゃべっているうちに「あれ、なんの質問だったっけ?」と思い出せないんですよ。
    ――そ、そうなんですか……。
    石渡 ちょっとバカになってるんですよ、絶対。そういうのが積み重なっていくと、他人の話を聞けないとかになっていくので。だから、本当に限界だなと。
    ――日常生活でそれを感じるシーンもあるということですか?
    石渡 ありますね。記憶力は悪いです、凄く。
    ――やはり、格闘技のダメージは深刻なんですね……。
    石渡 だから、選手たちが「大丈夫、大丈夫」と思っているところにも警鐘を鳴らすじゃないですけど。まあ、ボクがいま障害を持っているわけでもないんですけど、そこもちゃんと考えたほうがいいよというのはありますよね。
    ――となると、今回の決断は業界にとっても貴重なものになりそうですね。
    石渡 そうなってくれるとありがたいです。
    ――そう考えると、1回戦の相手が井上選手だったことは……どうだったんでしょうか?
    石渡 うーん、もう過ぎたことなので。2回戦で戦っても負けてましたよ。彼のほうが強かった。でも、年齢が一緒だったら負けないけどな!
    ――おお!
    石渡 という思いはありつつも(笑)。
    ――井上選手はまだ20代半ばですもんねえ。石渡選手は36歳。
    石渡 彼、24歳ですよね。ボクも同じぐらいの年齢のときに連続KOぶちかましまくってたんですけど、対戦した選手はみんなそのあといなくなっていったんでね。だからまあ、「……いつか、そういうときが自分にも来るんだろうな」と思っていたんですけど、いよいよボクの番になっちゃったということで。
    ――誰にでも、いつかは訪れる瞬間だという。
    石渡 今回のグランプリに出場するにあたって、自分の中ではけっこう自信があったんですよ。練習できなかった部分もあるけど、たぶんほかの1回戦に出場した選手は全部KOできるぐらいの自信はあったんですよね。それぐらいボクは仕上がってたけど、それでもああいう勝ち方されたんで、井上選手は相当強いと思います。
    ――今回、誰が優勝すると思います?
    石渡 うーん、井上選手か……なあ。海くんとは手を合わせたことがないのでわからないですけど、井上選手はデカいからなあ。フレームがデカいんですよ。パンチももらわないし。
    ――それは、リーチがあるから距離を取れるということですか?
    石渡 それもあるし、足も使えるし、目もいいし。いろんな要素があるんですけど。だから、試合中に打撃でマットに手を付かせたのは、ボクが最初で最後かもしれないですよ!
    ――なるほど! それは、今後の井上選手の試合の見どころにもなりそうですね。
    石渡 だから、さっき年齢の話が出ましたけど、ボクが唯一悔やまれることは、フィジカルの全盛期とスキルの全盛期、あとは世の中の格闘技の盛り上がりがうまくクロスしなかったことですかね。それがクロスすれば、もっと……。
    ――それは興味深い話ですね。ちなみに、フィジカルの全盛期はいつぐらいなんですか?
    石渡 やっぱり20代後半ですかね。
    ――スキルの全盛期は?
    石渡 いまです。
    ――いま! そこは、やっぱりMMAは経験を積めば詰むほどスキルが上がるから。
    石渡 若い頃とは経験が違うんでね。
    ――そして、世の中的な格闘技ブームもけっこう“いま”ですよね?
    石渡 だから、フィジカルさえついてこればもっともっとできたのにと、それは本当に思います。
    ――なかなか、うまくいかないもんですね。
    石渡 でも、幸せな格闘技人生でした。
    ――ただ、あらためて考えても、こんなにカッコいい引退表明ってなかなかないな、と。ちゃんと世代交代で後進を輝かせつつ、自ら引退を決断するという。
    石渡 なんとなくフェイドアウトしていく選手が多かったり、惰性で続けていく選手がいたりとか、そういうのが自分は見ていてあんまりカッコよくないなと思ったし、いままでチケットを買って応援してくれた人とか、スポンサーさんにお金をいただいて練習環境を整えさせてもらったりしているわけじゃないですか。このまま惰性で続けていたら、ただお小遣いもらっている感じになっちゃいますからね。だから、トップを目指せないと思った時点で、やっぱり区切りをつけないとウソになるな、と。
    ・選手生命に関わるケガとの戦いは2015年のビクター・ヘンリー戦の頃から
    ・唯一の後悔とは
    ・堀口恭司vs井上直樹がもし戦わば
    ・現役引退後にやりたいこと……1万字インタビューはまだまだ続く


    この続きと、ボンサイ柔術、石渡伸太郎、平本蓮、佐野直、ベイダー……などの7月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事20本の詰め合わせセット」はコチラ
    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2039692この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック! 1記事110円から購入できます!

     
  • 【バンタム級GP】直樹選手の第1希望、第2希望ではなく……■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    2021-07-22 08:00  
    110pt
    多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。今回のテーマはRIZINバンタム級JAPAN GPです!!(この記事はニコ生配信されたものを編集したものです)
    【1記事100円から購入できる過去記事】
    ・修斗はローカルなのか■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ・【フェザー級転向】佐々木憂流迦の朝倉未来戦はありえるのか
    ・【巨額負債報道】ONE起死回生の策はあるのか・世界的な詐欺事件? パンクラス商標騒動を追う

    ――RIZINバンタム級JAPAN GP2回戦でシュウさんがマネジメントする井上直樹選手は金太郎選手と対戦。今回のカードの中では一番の注目カードですね。
    シュウ  一番の注目カードになるんですか?
    ―― 間違いないと思います!  今回は抽選ではなくRIZINのマッチメイクですけど、どのように伝えられたんですか。
    シュウ じつは「今回は抽選になるかどうかもわからなくRIZINのほうでマッチメイクするかもしれない」という話はあったんです。で、RIZINさんから「金太郎選手でお願いします」と連絡があったのは7月4日なんです。
    ――会見が7月20日ですから、かなり前ですね。
    シュウ 本当のその週に発表するという話だったんですけど、なんらかの事情で20日になったらしいです。その理由は聞いてないんですが。ファンの方から「最近のRIZINのマッチメイクが早い」とか言われてますけど、2~3ヵ月前から非公式に伝えられてるケースは多かったんですね。
    ――内定してるけど、諸事情で発表できなかったり。
    シュウ 今回のカードでいえば、RIZINさんとしても大晦日を山場に持ってきたいわけですから、 いくら直樹くんが「朝倉海とやりたい」と言っていたにせよ実現するのは難しいかなとは思っていたんです。やっぱりRIZINさんとしても直樹くんと朝倉選手は大晦日に残したいんじゃないですかね。
    ――大阪ラウンドで優勝候補に躍り出る選手がいなかったので、2回戦で負ける可能性もあるとはいえ、この2人は大晦日まで残したいと考えちゃいますよね。
    シュウ そうなると第2希望の扇久保(博正)選手を狙いたかったんですけど、そこは主催者の思惑とは外れていたらしく。 今回はトーナメントなので誰が相手でも文句は言わないと決めていたので、今回なぜ扇久保選手がダメだったかは詳しい話は聞かなかったんですよ。 
    ――朝倉選手絡み以外で一番チケット&PPVが動くカードって考えたときに井上直樹vs金太郎だと思ったんですよね。
    シュウ そこにはフレッシュ感もありますよね。直樹くんと金太郎選手は若手の対決という未来を感じさせますし。 
    ――いまコメント欄で金太郎選手に井上選手をぶつけたのは「金太郎の入れ墨は地上波NG だから、大晦日に勝ち上がれないように潰そうとしている」とありましたが、ラッシュカードを着れば問題ないですし、 そんな理由でいちいちマッチメイクしないと思います(笑)。 
    シュウ ハハハハハハハ。スタートは殴り合いになるので、かなりスイングするんじゃないかと思いますね。 今日の会見のフェイスオフのときに金太郎選手が直樹くんに「しっかり殴り合えよ」って言ったらしいんですよ。直樹くんはなんて答えたというと「はい……」だそうです(笑)。
    ――ガハハハハハ! 井上選手のトークって活字では伝えづらい魅力がありますよね。会見後に井上選手を取材してきたんですけど、活字にするとかなり強烈で。 
    シュウ そうなんですか。
    ――あの喋り方だからホンワカ聞こえるんですけど、金太郎ファンだったら相当怒るようなこと言ってますね。 ズバリいうと眼中にないというか。
    シュウ 以前、金太郎選手とは大阪のBLOWSで練習したことがあるんですよ。あのときはグラップリングの練習だったはずですけど、私はあのときの現場にはおないんで定かではないですが、肌を合わせて思うところもあるんじゃないですかね。 
    ――だから「◯◯◯◯」と言ってたんですね(井上直樹インタビュー掲載時に伏せ字を公開)
    シュウ あー(笑)。 直樹くんって私にも100%本音のことは言わないんですよね。100%本音を明かしてるのは、お姉さんのボスこと、いや、TDTとはまったく関係ないですよ。
    ――ハハハハハハハ! TDTの件は別枠でたっぷりと。
    シュウ その「ボス」の魅津希ちゃんだけだと思います。以前、練習したことのある某選手に対して直樹くんの評価を聞いたことがあるんです。 そのときはそれなりに「こうだった」っていう説明があったんですけど。魅津希ちゃんに「聞いてみて」とお願いしたら、「超超超超超超超超超超超超超超よえええ」という返信だったらしくて(笑)。
    ――ハハハハハハハハ! 
    シュウ  直樹くんは小学校1年生のときから MMAをやってるわけですから、 我々とは違った生き方をしてきた人間ではありまして。戦いに慣れてるんですよね。19歳でUFCと契約して試合するときも全然緊張しなかったですからね。そこがすごいなと思いました。

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  • 一流レスラー輩出工場ドラゴンゲート■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」

    2021-07-22 08:00  
    110pt

    プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回のテーマは一流レスラー輩出工場ドラゴンゲートです!




    <1記事から購入できる連載記事! クリックすると試し読みできます!>
    義足でプロレス復帰する凄いヤツ! 谷津嘉章」
    プロレス不透明決着を考える
    【vs秋山準】男色ディーノは脱いではいけなかった「IWGP世界ヘビー級王座」新設
    武藤敬司と秋山準、Wタイトル奪取&入団の衝撃秋山準の“三冠外し”マイクとは何か
    杉浦貴……いいときも、悪いときも、ノアで戦い続けた男
    G1、チャンカン、N-1……秋の3大リーグ戦・総括


    追悼ロード・ウォリアーズ
    SWSは企業プロレスだったのか『ゴング』と東スポの元記者が語るプロレスマスコミ黄金時代/小佐野景浩☓寿浦恵一
    名子役から名優へ…中嶋勝彦
    デビュー戦から見た木村花というプロレスラー
    小川良成…孤独と苦難から生まれた「孤高のテクニシャン」新型コロナ禍の中のプロレスW-1活動休止、NOAH新体制、全日本はWWEと接近?追悼“喧嘩日本一”ケンドー・ナガサキ
    【14000字対談】小橋建太☓小佐野景浩「あの頃の全日本プロレスを語ろう」
    新生NOAHは何が変わったのか?
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    ──以前から小佐野さんの連載で人材輩出工場としてのドラゴンゲートの話が出てきましたが、ここにきてあいかわらずのすごさはありますね。
    小佐野 鷹木信悟がIWGP世界を獲ったりね。
    ──鷹木選手の新日本プロレス入団はアヤがあったわけじゃないですか。もともとジュニアの選手として契約して。
    小佐野 あのときは高橋ヒロムがケガで長期欠場となって。新日本としてはジュニアの選手がほしかったから鷹木に声をかけたんだろうけど。
    ──でも、鷹木選手はヘビーで活躍してたわけですよね。
    小佐野 ドラゲーってみんな身体がちっちゃいからジュニアヘビーみたいな見方をされるけど、彼らは階級でやってないから。みんな無差別級。
    ──階級の概念がないわけですね。
    小佐野 だから新日本でジュニアとしてデビューしたときはビックリしたし、ちょっともったいないなと思ったけど。
    ──もったいないですか?
    小佐野 たとえばあの年(2018年)の春、鷹木は全日本のチャンピオン・カーニバルで活躍して、開幕戦で当時・三冠王者の宮原健斗に完璧に勝っちゃったんですね。あの人はヒールなのでドラゲーではブーイングを浴びるんだけど、全日本ではどこの会場にでも大歓声で迎えられて。彼のガンガン攻めるスタイルが全日本に合ってたんです。
    ──キャラクターじゃなくてファイトスタイルが歓迎されてたってことですね。
    小佐野 うん。ユニットで参戦してたわけじゃないからヒールだろうが関係ないからね。石川修司とやった試合なんかも、あんなに体格差があるのに全然見劣りしなかったし。その石川戦はプロレス大賞でベストバウトにノミネートされたくらいだから。
    ──階級の概念が戦いの中で、自分のスタイルを作り上げてきたんですね。
    小佐野 彼は他団体に出ていくことが多かったから田中将斗なんかともけっこうやっていたはずだし。だからこそ新日本のジュニアではもったないなと。そのときの新日本はジュニアのトップでやれる選手がほしかったんだろうね。だって最初からロスインゴに入ったでしょ。ロスインゴでジュニアを充実させるのはけっこうな役割だから。
    ──新日本としても高い評価をしていたってことですね。
    小佐野 鷹木の実力を知ってる選手や関係者からすれば「えっ、なんでジュニアなの?」って思ったはずなんだよね。でも、あのときはあくまでジュニアのテコ入れ。鷹木本人の中にはいずれヘビーでやってやろうっていう考えはあったと思うんだけど。
    ──ジュニアでも期待どおりの実力を見せて。
    小佐野 翌2019年のベスト・オブ・ザ・スーパージュニアはオスプレイに決勝で敗れて準優勝だったんだけど、ジュニアの試合でプロレス大賞のベストバウトにノミネートされたんですよ。「これがジュニアだ!」という試合ではなく、ヘビーでも通用する試合。階級関係なくいい試合ってことでプロレス大賞のベストバウトにノミネートされたんです。
    ──階級の概念のないスタイルだからこそだったんですね。
    小佐野 闘龍門一期生のCIMAにしたって40歳を超えても田中将斗と普通にすごい試合ができる。あとドラゲー出身レスラーは喋りもうまいでしょ。そこはドラゲーならでは。ドラゲーの選手たちのマイクがすごいなって思うのは、まず噛まない。噛んでもリカバリーできる。あとは、よく聞き取れる(笑)。これが一番大きい。普通のレスラーはガーっと怒鳴ると何を言ってるかわかんないけど。
    ──プロレスのマイクって何を言ってるかわかんないですからね、昔から(笑)。
    小佐野 ストロングハーツのエル・リンダマンとかすっごいうまくて全部聞き取れる。それにその人その人の喋り方になってるから、セリフを言ってるわけじゃないんだよね。
    ──ただの「セリフ」に聞こえないんですね。
    小佐野 何か台本を暗記して喋ってる感じではない。そこは重要だよね。変な話、絶対言わなきゃいけない要点だけで、あとは自分の言葉で喋ればいいから。
    ──ドラゲーは新人の頃からみんなマイクがうまいんですか? 
    小佐野 初めは喋らせない。だんだんキャラができてパーソナリティができてからっていう。
    ──そうやって優秀なレスラーが育成されていくわけですね。
    小佐野 いろんな団体で活躍してるよね。戸澤陽はWWEだし、新日本にはオカダ・カズチカ、石森太二がいて。
    ──ウルティモ校長の育成メソッドがすごいという。
    小佐野 そこは大きいとは思うよ。だってそのノウハウでみんな育ってるわけだからさ。あの人はルチャ・リブレを経験して、日本のスタイル、WCWやWWEのアメリカンスタイルでもやって。それらのいいとこ取りを教えたのが闘龍門だから。だから闘龍門ってルチャの団体だと思われたがちだけど、浅井嘉浩の中ではルチャじゃないから。自分がやってきたものがまぜこぜにしたものが闘龍門。
    ──ルチャはあくまでベースのひとつ。
    小佐野 そうそう。ベースはルチャなのかもしれないけど、ルチャではない。ドラゲーの試合を見てるとみんなスピーディーだけどルチャじゃないからね。飛べる選手もいるけど、飛ばない選手もいるわけだから。
    ──ウルティモ校長が団体から去ってドラゲーに名称が変わるわけですけど。引き続き人材が育ってるのはすごいことですね。
    小佐野 やっぱり初期の人たちがすごかったんだよね。ちゃんと教えられた人たちがいたから、その後の選手も鍛えられたんじゃないのかな。たとえば吉野正人は8月1日の神戸で引退するけど、今年で41歳で首が悪かったり身体はボロボロなんだけど、少なくとも体型は崩れてないもんね。ちゃんと身体を作ってる。
    ──プロレスラーってフォルムが変わらないことが重要ですよね。
    小佐野 モッチー(望月成晃)も50過ぎてるわけでしょ? それで身体をちゃんと作ってハタチくらいの子たちと試合してるから。モッチーはいまNOAHに上がってるからNOAH用にちょっと太めにしてるけど。ちゃんと合わせてるところもプロフェッショナルですよね。
    ──大雑把な話かもしれませんが、四天王プロレス以降の日本のプロレスは闘龍門のスタイルが日本のプロレス界を変えてるんじゃないかと思います。
    小佐野 それまでのプロレスと何が違うかといえば、スピードと試合の作りが全然違う。
    ──いわゆるハイスパートレスリングとは明らかにスピードや展開が違いますけど、括りとしてはハイスパートですよね。
    小佐野 まぁ形としてはハイスパートなんだけど……ハイスパートの連続なんだろうね。だから、よくもまぁ動くわなっていう。いまはREDというヒールユニットが出てくると、ちょっとテイストが……技じゃないプロレスになってきてるところはあるんだけど。
    ──ドラゲー以前に細かいところまで練り込んでやってるスピーディーなプロレスってありましたか?
    小佐野 もしかしたら初期のみちのくプロレスはそうなのかもしれないですね。
    ──あー、なるほど。
    小佐野 みちのくもユニバーサルプロレスから派生した団体だからベースはルチャだけど、ルチャじゃなくなっていった。飛び技をつかったハイスパートってことでサスケ、カズ・ハヤシ、TAKAみちのく、ディック東郷が活躍して、他にも人材もたくさん育てている。結局、みちのくはウルティモが教えたわけじゃないけど、ウルティモはユニバーサルにいたという縁もある。あの当時のウルティモの試合はジャパニーズ・ルチャと呼ばれたけど、ルチャを日本人仕様にしたのがジャパニーズ・ルチャで、それが日本のジュニアの主流になっていったから。そのウルティモ・ドラゴンの源流はタイガーマスクなんだけどね。
    ──新日本も体制がユークスとなり、邪道・外道が現場を仕切るようになったことで新日本プロレスのスタイルも変わっていきました。

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  • 死に様までを見せつける全裸格闘家コナー・マクレガー

    2021-07-22 08:00  
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    この記事は死に様までを見せつける全裸格闘家コナー・マクレガーを語ったDropkickニコ生配信を編集したものです(語り:ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・女性から見た「女子格闘家の減量」/元シュートボクシング王者・髙橋藍
    ・RIZIN男塾塾長・石渡伸太郎「舐められてる自分にムカついてます」
    ・長渕剛リスペクト「JEEEP」はこうして生まれた■土肥こうじ
    ・悪評と富を得たベン・アスクレン――彼をもっとも評価したのは、だれなのか 
    今回は3度目のポイエー戦に敗れたコナー・マクレガーについて語りたいと思います。 なぜマクレガーがポイエーに連敗したのかというのは非常にわかりやすい話で、マクレガーは2015年12月のジョゼ・アルド戦以降、競技者としてストレートな道は歩んできてなかった。 逆にポイエーはずっと競技の最戦前の中でしのぎを削ってきたわけですから、この結果を受ければ比較しやすいわけですね。
    ただ、いまのマクレガーを競技者として否定することの無意味さですよね。アルド戦以降、余計なことをやっていたからレベルが下がったとか、それは真っ当な指摘なんですけど。 一度もフェザー級の防衛戦をせずライト級に上げたことも余計なことだし、 メイウェザー戦も超余計なことだし、ネイト・ディアスとウェルター級で2試合をやったことも、まあ余計なことですよ。これらがコナー・マクレガーという格闘家の進化を止めたと言われれば、それまでなんですけど。もしあのままフェザー級に留まっていた場合、いまのマクレガーほどの成功は収めていたのか。 それはそれでクエスチョンなんですよね。

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  • インディ世直しできなかったハナシ■渡辺宏志のインディ小話

    2021-07-19 17:00  
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    クラシックなファイトスタイルで己の道を突き進むHEAT-UP所属のプロレスラー、インタビュー第4弾。今回はインディ世直しについて!(聞き手/ジャン斉藤)1記事から購入できる渡辺宏志のインディ回顧録シリーズ
    ①プロレスの青春! 新日本プロレス学校の最後を見届けた男


    ②90年代インディお金の悪い話、いい話!!③高野拳磁とPWC伝説■渡辺宏志塾長
    ――前回は怪しい話が大好評で。
    渡辺 メルマガを購読されている読者の方からすると、伏せ字の意味があまりなかったみたいで(笑)。
    ――そうですね(笑)。ただ、伏せ字の人物がわからなかった読者も何人かいたみたいですね。
    渡辺  それは比較的、新しいファンの方なんでしょうね。
    ――そういう怪しい話って他にもあったんですか? 
    渡辺  記憶をさかのぼれば犯罪スレスレの話はひとつやふたつないわけではないんですが……いや、 あくまで聞いたかぎり、あきらかに犯罪だろうというものもありますけどねぇ。 当事者でもないので正直、世の中に公表できない。
    ――それはあまり聞きたくないですねぇ。
    渡辺 言えるものでいえば、これもボクはまったく関わっていない日本プロレス時代の話ですけど……。
    ――だいぶさかのぼりますね(笑)。 
    渡辺 猪木さんが中心となって選手会が上層部に使途不明金の説明を求めたことがあったじゃないですか。
    ――最終的に猪木さんがクーデターを企てたとして日プロから追放されて新日本プロレスに奔るやつですね。
    渡辺 使途不明金にしていたのは理由があって。日本プロレスという会社を存続させるためには必要なものだったらしいんです。それが表に出てしまうと、日本プロレスどころか日本のプロレスそのもののが危うくなってしまうもので、猪木さんや馬場さんはそういう背景があったことはご存知なかったみたいで。それを知っていたのは芳の里社長、遠藤幸吉さん、当時経理をされていた三澤正和さんの3名だけで。それが明るみになろうとしたときに芳の里社長が三澤さんに「責任を取ってやめてくれないか」とお願いしたところ、 それだったらすべて世間に公表すると。それは困るということで三澤さんはそのまま会社に残留されて。結局、猪木さんが除名というかたちで幕引きされましたけど。その使途不明金は何に使われていたかというと、どうやら偽ドルの製造だったらしくて。
    ――偽ドルの製造! ホントですか!?
    渡辺 当事者の三澤さんが裏話系の雑誌でそういう証言をしてるんです。 「いまだったら、もう時効だろう」と。 まだ沖縄が返還される頃の話で、じつは日プロが沖縄で偽ドルの製造に一枚噛んでいたらしくて……。 
    ――そんなヤバイこと、いったい誰が始めたんですかね。
    渡辺  おそらく力道山先生じゃないかなって思ってるんですけど。
    ――裏社会にも精通していた力道山先生なら、すごくありえそうですよね。
    渡辺  当時の日本プロレスには反社会勢力の方も関わってましたから。山口組の田岡(一雄)組長は​日本プロレス協会の副会長ですし。資金作りの裏稼業をやろうと思えば、できちゃう環境ではありましたよね。
    ――グレーなビジネスにためらいがなかった時代ではありますし。 
    渡辺  それに与党の大物政治家が日本プロレスのコミッショナーとして名を連ねれてましたからね。そっちのルートも充分に考えられますよね。 
    ――右手でヤクザと握手して、左手で政治家と握手する世界ですよね(笑)。
    渡辺  日プロ以降のプロレス界もそういう繋がりはあったままで。猪木さん自身はヤクザが大嫌いな人ですけど、興行という意味では頼らざるをえないところはありましたから。
    ――猪木さんはヤクザが嫌いだから新日本は反社とつながってなかった、みたいに言われますけど、そんなわけがなくて。
    渡辺 いやいや、ホントにそんなわけがないですよ。馬場さんだって好きか嫌いかでいえばヤクザは嫌いですよ。でも、興行をやるうえでは当時は不可欠な存在で。
    ―― 2人ともヤクザは嫌いだけど、誰かしら間に入ってうまく取りまとめていたということですよね。 
    渡辺 そう考えるとボクらがデビューした90年代は、かわいい世界になっていたのかなと。 それなりに大きい興行にはそれなりの方が関わっていた現実がありました。 2000年に入ってから、あるプロレスラーのツアーに参加したときに、興行を取り仕切りっていた方はそういう系の人たちでしたし。 
    ――やっぱり旨味がある興行の場合は関わってくるということですね。
    渡辺 そうでしょうね。いまは暴力団排除条例がありますけど、向こうはプロですから、 気づかれずになんらかのかたちで関わってくることはあるでしょうし。 挨拶がなかったらなかったで、他人の見えないところで突ついてくることはあるでしょうから。
    ――プロレス団体からすれば、反社と付き合ってる感覚はないけど、いつのまにか関わってる場合もありますよね。
    渡辺 でしょうね。
    ――かつて全国各地で年間300興行近くやっていた全日本女子プロレスは、それくらい顔が利いたってことですよね。
    渡辺 だって全女を取り仕切っていた松永兄弟からして興行のプロだったわけじゃないですか。 あの人たちは日本でプロレスが盛んになる前に柔拳というかたちで興行をやられていて。 そういう人たちとの付き合い方、立ちふるまい方は心得てる方々でしょうからね。そもそも興行というものはそういう人たちに関わる仕事で、 さかのぼれば江戸時代の相撲からそうでしたからね。安土桃山時代以前の相撲は興行ではなく神事として行なわれていましたが、 江戸時代の天下泰平の世に庶民の娯楽として興行というものができたときに、そういう人たちが取り仕切ることで成立していったわけで。
    ――当時は法精神が超薄かった時代ですから、ある程度の武力がないと、まとめることがなかったんでしょうね。
    渡辺  当然、商売敵が妨害工作に出てこともあったでしょうから。 庶民にちゃんと娯楽が提供できるようにそういう方々が守っていた面もあるんでしょうね。当然、金を持ち逃げする奴もいたでしょうし、そういうことにも睨みをきかせるためにも必要といえば必要な存在だったんでしょう。
    ――当時インディの未払いだとW★INGの茨城(清志)さんが有名ですけど、渡辺さんはW★ING以外で被害はあったんですか?
    渡辺 前のインタビューでも話しましたが、PWCで未払いはありました。未払い・遅延はインディー団体の宿命みたいなところはあったかもしれないですね。 ギャラが安いですけど、そういうことをしなかったのは鶴見五郎さん。
    ――やっぱり鶴見五郎!佐野直さんも同じこと言ってましたね。 
    渡辺 「シブチンだよなぁ」というギャラではありましたけど(笑)、あの人はお金に厳しいというだけでお金に汚いわけではない。安くても未払いどころか遅延すらなかったですね。そこはきちんとしてましたね。 逆にお金に汚かったのは……

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  • 飲酒運転で4度逮捕されても……試合を許されるWWEスーパースター

    2021-07-19 17:00  
    110pt

    アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは飲酒運転で4度逮捕されてもリングに上がれるWWEスーパースターです!
    <1記事から買えるバックナンバー> ・高野拳磁とPWC伝説■渡辺宏志塾長・ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■斎藤文彦INTERVIEWS・AKIRAインタビュー⑤「新日本プロレスと全日本プロレスの違い」・義足でプロレス復帰する凄いヤツ! 谷津嘉章■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    酒気帯び運転で逮捕されたのは、自宅近くの走り慣れた道路での出来事だった。しかも、彼にとって、それは初めてのことではなかった。
    7月5日の月曜夜10時35分、米フロリダ州ペンサコーラでDUI(飲酒運転)で逮捕されたのは、現在WWEスマックダウンで主要登場人物としてメインストーリーを構成している選手の1人、6度のタッグ王座獲得歴を誇るウーソズの兄ジミー・ウーソだった。
    制限速度35マイル(約時速56キロ)の道を、およそ時速80キロのスピードで爆走。赤信号を無視したところを速度違反と信号無視で警察に現行犯逮捕された。
    警察によると、車中のウーソからアルコールの臭いがしたため、車から降りるよう命じたところ、身体がフラフラしていたとのことだ。
    呼気検査をしたところ、血中アルコール濃度0.205%ものアルコールが検出された。これはアメリカでの一般的な違反基準とされ、フロリダ州でも違反となる血中アルコール濃度0.08%(100ミリリットルの血液中に0.08グラムのアルコールが含まれる状態。呼気中濃度0.38mg/l)より3倍近く高い数値である。ちなみに日本では、血中濃度0.03%(呼気中濃度0.15mg/l)で酒気帯び運転違反として罰せられる。血中アルコール濃度0.205%は、日本の基準でいうと酩酊状態である。かなり酔いが回っていたことになり、酒気帯び運転違反としても逮捕した。
    しかも、もっと問題なのは、これが初めての逮捕ではなく、なんと「5度目の逮捕」だったことであった。

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  • 「勝ち方がわかりません……」コーナーマン八隅孝平が見た矢地祐介復活勝利の裏側

    2021-07-15 12:33  
    110pt
    RIZIN5連敗中から抜け出した矢地祐介のセコンド八隅孝平インタビュー。矢地祐介はいかにして復活を遂げたのか(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・内柴正人が出るなら出ません……矢野卓見、QUINTET出場辞退騒動を語る
    ・人生の判定勝ちを狙う男・川名雄生 「ラムしゃぶとプロ格闘家とは何か」
    ・沢村忠から天心vs武尊まで…キックボクシングの始まりと、その光と影■細田昌志☓高崎計三
    ・【歴史探偵】川尻達也の魔裟斗戦は“売名行為”だったのか
    ――RIZIN.29では、矢地祐介選手の煽りVに八隅さんが登場されていた場面が印象的でした。試合ではセコンドにも付かれていましたが、そもそも矢地選手との関係性はどこからスタートしたんですか?
    八隅 ロータス世田谷で月曜と金曜にプロ選手が集まって組技の練習をしているんですけど、そのときに元クレイジー・ビーの(田村)一聖くんと横山(恭典)くんから「みんなでMMAの練習ができる場所を探している」と聞いたんです。それで「空いてる時間だったらロータス使ってもらっていいよ」と。そこでどんな練習しているのか気になったので一度見学をさせてもらって……。そのあとに「練習を見てくれる人がいないから見てもらえませんか?」と。それが始まりですね。
    ――つまり、クレイジー・ビーから離脱した選手たちがロータスで練習をしているわけですね。
    八隅 そうです。
    ――それは、いわゆる試合に向けた戦略を含めて見てほしいと?
    八隅 そこも含めて、コーチとして練習を仕切ってくれということなんですけどね。それは矢地選手だけじゃなく、クレイジー・ビーをやめた人たちや出稽古に来ていた人たちも含めてですけど、「気がつくところがあったら言ってくれ」と。
    ――それは、仕事として?
    八隅 そうです。だから、いまはウチでは矢地くんと田村一聖くんが練習に来てますね。
    ――とはいえ、彼らはロータス世田谷所属というわけではないんですよね?
    八隅 まあ、まだわからないですけど、今後も「フリー」というのはあんまりよくないから「チームを作ってやれば?」とは言ってます。べつに無理にロータス所属にならなくてもいいとは言ってあって。ここ以外だと、リバーサルジムで宮川(峻)くんに打撃を見てもらっている感じですし。
    ――なるほど。そんな中、先日の川名TENCHO雄生戦は、八隅さんの戦略が勝利につながったという声が挙がっています。
    八隅 戦略といっても、戦略はあんまり決めてなかったんですけど。まあ、練習していることをやろう、と。それだけを濃くしていった感じです。
    ――あの試合、以前の矢地選手と比べると戦い方が随分違う印象でした。どの場面でも冷静というか。
    八隅 まあ場面、場面で「こういうときは、コレをしよう」と、もともと持っていたものを整理してあげた感じですか。それを「いまはコレだよ」とリングサイドで声をかけていたという。
    ――それ、いままでは整理されてなかったということなんですか?
    八隅 と思いますね。それが整理されてないまま戦っていたから、スランプに陥っていたというのもあると思います。
    ――八隅さんから見て、一番整理できてなかった部分はどういうところでした?
    八隅 うーん、まず試合に対する心構えですかね。
    ――あ、そこから!
    八隅 煽りVでも言いましたけど、本当にどうやって勝とうとしていたのか……。まあ、これはウチに来た全員に言えたことなんですけど、なんのために練習しているのかがわからないというか。
    ――旧クレイジー・ビー勢の戦績が落ちてきてたのは、そこにも原因があったんですかね。
    八隅 それは、ボクはずっと見てきたわけじゃないからわからないですけど。ただ、ボクが見たときに感じたのはそれでした。試合を見直しても、結局そう感じたし。だから「もう一回整理しよう」と。みんなに、どうやって勝ちたいのかというのを質問しましたね。
    ――そこから始めたんですね。それは、個人面談みたいな感じで?
    八隅 いや、みんなのいる前でやりましたよ。あのときいたのは横山恭典くん、田村一聖くん、松本光史、あとほかにもいたような気がしますけど。
    ――その人たちに「どうやって勝つの?」と。そのとき、矢地選手はなんと?
    八隅 最初「わかりません……」と。
    ――えっ!? 
    八隅 「そういえば、どうやって勝とうと思っていたのかわかってなかったです」と。だから「だよね?」と。「そこだよ」と言いました。
    ――それって格闘家としてのスランプだから「わからない」のか、それとも何も考えつかなかったのか……。
    八隅 後者だと思います。でも、試合はしなきゃいけないじゃないですか。つまり、わけのわからない受験勉強して受験しているのと一緒ですよね。これ、合格しようと思ってないのに、なんでこんな勉強をやってるんだろうみたいな。
    ――でも、練習では詰め込むだけ詰め込んでいるという。
    八隅 そうそう。
    ――それって、八隅さんご自身の経験だったり、いままでそういう格闘家を見てきたからこそ気づけた部分だったりするんですかね?
    八隅 まあ、それもあります。自分もそういうときはあったんで。まあ、当時は気づけなかったですね。ボクもずっと格闘技を続けているからわかってきたことであって。
    ――この練習は、何を目的にしているのかとか?
    八隅 そうです。で、彼らは練習時間も凄く長くて3時間ちょっとやってたと思うんですよ。それも意味がないから、やっても1時間半で終わりにしようと言って。
    ――はー、それも大改革ですね。
    八隅 それでも充分な練習はできていると思うんですけどね。
    ――それ、矢地選手にとっては、あそこまで負けが込んでいるから「じゃあ、3時間を1時間半に」というのは勇気を持ってできたかもしれないですけど、そうじゃなかったら逆に怖かったかもしれないですね。
    八隅 まあ、それも矢地くんだけじゃなくて全員に言えたことなんで。だって、3時間も運動できないですよ。それはもう“トレーニング”になってるから、格闘技の練習をしようと。
    ――ああ、格闘技の練習であるべきだと。
    八隅 トレーニングは、個人個人が別のところでやればいいんで。ポイントを絞ってココという練習方法に切り替えたという感じです。
    ――その提案には皆さん素直に?
    八隅 はい、それでいいと言ったから、それでやりましょうと。いまも、いろいろ考えながらやってますね。
    ――たとえば、矢地選手に対して八隅さんが一番整理した部分ってどこだったんですか?
    八隅 自分から組んだときや組み伏せたとき、あと寝て立つときとか、そのへんの対処ですかね。要は、オフェンスで何をしていいかわからないというのを整理した感じですか。
    ――え、オフェンスで何をしていいかわからないまま戦っていた感じだったんですか……?
    八隅 そうみたいです。だから、テイクダウンしたら自分のほうが精神的に削れてた、みたいな。
    ――矢地選手、そこまで追い込まれていたんですね。
    八隅 心境的には「ヤバイヤバイ、倒しちゃったよ。これどうしよう……」と。
    ――……じゃあ、これまでオフェンスだと、とりあえず何か一発当ててKOするしか方法はなかったということなんですかね?
    八隅 それしか、決着をつける方法がなかったんでしょうね。
    ――でも一発KOって、1から10までを飛び越える作業じゃないですか。普通だったら「2、3、4、5……」と階段を上がって徐々に攻略していくのがいまのMMAだと思うんですが、その道筋が見えてなかったということなんですね。
    八隅 見えてなかったです。だから、今回はそこがだいぶ違ったと思います。で、実際に一緒に練習をしているから、「自分はこういう組み手を使ってやってるんですよ」というのを見せてあげて、実際にスパーリングをする。そうすると「なるほど!」となるんですよ。「コレをこうすればよかったんだ」というのが、ちょっとずつわかってきた感じですね。
    ――逆に、それでよく矢地選手はあそこまで勝ててたのかと感心しちゃいますね。
    八隅 いや、だから凄いですよ。フィジカルを含めて、もともと持っているものが。それを使えてなかったんでしょうね。
    ――バッティングフォームを覚えないままホームランを打ってたバッターみたいな感じです(笑)。今回の試合でも、組の部分やテイクダウンの技術など際の攻防が非常によかった印象があって。だからこそ試合をうまく進められた部分ってありますよね?
    八隅 うん、それはまだ全部じゃないですけど、よかった部分ではあると思います。
    ――今回、下馬評としては川名店長のほうが優勢でしたけど、八隅さんとしては単純にどうなると思いました?
    八隅 いや、川名さんもロータスで練習したことあるんで、正直一番イヤな相手だなと思ってました。根性あるし技術もあるから、いままでのままの矢地くんだと根負けするなあと思って。たぶん下になって、譲っちゃって……。
    ――譲っちゃう。
    八隅 はい。「まいっか」と。しんどいから譲るし「ここはヤバイから下になっとけ」みたいな。で、「タイミングを見て立てばいいや」とかいう考えに絶対になってたと思うんですよ。でも、今回は組みができる、それがボクがいて一番よかった部分というか。
    ――川名店長も言ってたんですけど、店長が最初からテイクダウンを狙っていたのは、そういった矢地選手の性格やファイトスタイルを理解したうえで作戦を立てていたということなんですね。
    八隅 絶対にそうですよ。ボクは、もっと早くテイクダウンをしてくると思ってましたし、テイクダウンには絶対に来ると思ってました。まあ、あえて矢地くんには言わなかったんですけどね。
    ――なぜ言わなかったんですか?

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  • 「VADER TIME ベイダータイム 皇帝戦士の真実 」■Dropkick読書会

    2021-07-15 11:38  
    110pt
    Dropkickのプロレス格闘技本読書会!!  今回取り上げる本は「VADER TIME ベイダータイム 皇帝戦士の真実 」(徳間書店)です。この記事はDropkickニコ生配信で語られた感想を再編集・加筆したものです(語り・ジャン斉藤)
    【Dropkick読書会バックナンバー】
    ◯『覚醒』那須川天心
    ◯「神になれなかった男」の狂気――ミスター高橋『流血の魔術 最強の演技』
    ◯ボブ・サップ『野獣の怒り』と、谷川貞治『平謝り』から読むK-1崩壊
    ◯高田vsヒクソンの真実とは? 金子達仁『プライド』
    今回はビッグバン・ベイダーの自伝「VADER TIME ベイダータイム 皇帝戦士の真実 」の感想です。 こんな放送を聴いてるのは特殊な方なので、 すでに購入されてる方は多いと思うんですけど。ズバリ言えば、これは絶対に読まなきゃいけないプロレス本です!  買わない奴はプロレスファンを名乗る資格がないぐらいの出来。プロレスの魅力、奥深さ、光と影…すべてが凝縮された本なんじゃないかと。 近年のプロレス関連書籍では一番の内容じゃないですかね。 2700円とお値段は張るんですけど、 つまらなかったらボクが代わりにお金を払いますよ!と言いたいです。「言いたい」だけで実際にお金を払わないんですけど(笑)。それくらい自信を持ってオススメできます。
    なにしろページをめくるたびに、興味深いエピソードが次々に掘り起こされるんですよ。ベイダーはトップレスラーだったので、一流レスラーとの付き合いも多いからでしょうね。エピソードにとにかくハズレがない。 
    三沢光晴との思い出も最高ですよ。 全日本プロレスが分裂してベイダーは残留するか、ノアに移籍するかの2択になるんですけど。 そこで三沢とベイダーが会談を持つその場所がディファ有明、無人のノア道場。2人しかいない道場で汗をかきながらお互いの胸の内をさらけ出す。 これが仮に盛った話だとしても、あの三沢光晴だったらやりかねないなっていう。
    ショーン・マイケルズとの和解シーンも素晴らしい。両雄がなぜ揉めたのかは読んでいただきたいんですけど、 ベイダーもショーン・マイケルズもスーパースターなんですけど、人間としてどこか欠陥がある。それらを乗り越えて最終的にシェイクハンドする。超人たちの人間味が伝わってくるんですね。
    そんな本の最大テーマのひとつがプロレスのスタイルなんですね。 「プロレスとは何か」という根源的な問いを突きつけてきます。

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  • 【バッティング問題】平本蓮はなぜ皇治と魔裟斗が大嫌いなのか

    2021-07-13 17:00  
    150pt
    魔裟斗の参戦により再び炎上した皇治のバッティング騒動。こうなったらこの男に話を聞くしかない! ということで日頃から皇治に厳しい平本蓮インタビュー!1万字でお届けします!!(聞き手/ジャン斉藤)※編集部注※このインタビューは魔裟斗YouTube発言に対して白鳥大珠選手の説明や、白鳥選手が所属する那須川弘幸会長の大大大反論以前に収録されたものです。【1記事から購入できるバックナンバー】
    ・斎藤裕、「ケラモフのダーティファイト」「朝倉未来vsクレベル」を語る

    ・18年ぶりに帰還! “魔物”が棲む東京ドーム大会総括■RIZIN広報・笹原圭一


    ・菊地成孔☓佐藤大輔■「ローリング20」におけるRIZINと東京オリンピックの行く末
    ・修斗はローカルなのか■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク

    ――平本選手は皇治選手の試合のバッティング決着を予言してましたよね。
    平本 そうしたら、まさかの……。ファンから「試合はどう予想しますか」ってリプをもらったときに、ぶっちゃけ皇治って勝ち負けがどうでもいいというか。勝っても負けても評価は変わらない……まあ、勝ったら評価は上がるんですけど。負けてもそこまで評価が下がらないやり方をやってきていて。今回のトーナメントも開催できた時点で皇治にとってはゴールなのかなって。
    ――たしかにこのキックトーナメントは皇治選手の力で実現しましたね。
    平本 だから結果はどうだっていいと思ってたんですよ。試合そのものというよりは試合前後の言動だったりとかがメインなので。「皇治の試合結果はどうだっていいよ」という意味を含めての「バッティング KO」 とツイートしたら、まさかの……。ちょうどその日が誕生日だったので、天から誕生日プレゼントが降ってきたなっていう(笑)。
    ――なんというプレゼントですか(笑)。予言したのは皇治選手はバッティングが多いという理由もあったからですよね。
    平本 俺は皇治を批判するためにK-1時代からずっと試合を見てるんですよ。昔はそんなにバッティングはなかったというか……まあ、あったんですけど。日本代表決定トーナメント1回戦(2016年)で卜部功也という強い選手とやったときに、バッティングして自ら出血するという。皇治はよく試合でまぶたをカットしたりするんですよね。試合後にその流血写真をアップするというのが一連の流れで。
    ――ホントに昔からチェックしてるんですね。
    平本 流血写真のあとに、血まみれのライオンの画像もアップするんですよ。けっこう恥ずかしいことやってるなって(笑)。
    ――本当に詳しい(笑)。
    平本 あのバッティングを偶発的だと訴えるなら、直す・直さない以前に…… だって俺がバッティングしたのって小学生の頃ですよ。
    ――めったに起こるものではないんですね。
    平本 MMAのスパーでだったらありますよ。キックをやっててバッティングはそんなに…… 強いパンチって頭がブレてると打てないんですよ。 メイウェザーやコナー・マクレガーの試合を見ればわかりますけど、パンチを打つとき頭がまったくブレないんですよね。カウンターを打つにせよ、パンチが強い人は重心を置いてるので。そうやって打つのが正しいんですけど、 皇治の場合は頭を振っちゃってるから強いパンチが打てずに相手を倒せないんだと思うし。そんなことはわかってるはずなんですけど、できないってことは意外にアガリ症なんだと思いますね。
    ――試合になると我を忘れてしまうと。 
    平本 関係している話でいえば、皇治が一般人にキックを教えるという謎の動画が上がってて。
    ――そんなものまでチェックしてるんですか。
    平本 俺は格闘技が大好きで、そういうものを隅々までチェックするんですよ。「この格闘家はどんな考えを持ってるんだろうか」とか。で、皇治はストレートを打ったときにそのまま左に頭を外すとか間違ったことを教えてて。ああいう動画を見ると、チームや練習環境がどうとかじゃなくて、もう直しようがないのかなって気はしますけどね。
    ――今回の試合をきっかけに、皇治選手の過去の試合のバッティングが掘り起こされてますね。
    平本 武尊戦なんてロケットみたいに飛び込んでるやつもあったりして。さすがにあの入り方はないだろうなって。距離感がわかってなくって突っ込んでくるから……言っちゃえば下手くそなんですよね。ほぼほぼ起きないですけどねぇ。 バッティングをやるほうがもちろん悪いですけど、天心なんかは皇治とやったとき、すごくうまくバッティングをかわしてますよね。
    ――あらためて見直すと天心選手はバッティングを警戒してたんですね。
    平本 基本、相手の顔にパンチを打つので近づいてきたら距離は取らなきゃいけないわけですよ。 天心みたいにちゃんと距離を取って当てていくのがベストだと思います。魔裟斗が(白鳥)大珠くんに対して「白鳥のバッティングが多かった」みたいなこと言ってますけど、 バッティングも何も皇治があんなふうに突っ込んでくるから、距離を取るために相手を押し返すしかないから当たるわけじゃないですか。
    ――白鳥選手の場合は、皇治選手と同じ俎上に載せるものではないと。
    平本 大珠くんの場合は引き手からのバッティング、皇治は前に出たとこのバッティング。それは皇治のほうが悪いですけど、魔裟斗は指摘するのはそこじゃないだろうって思うんですよね。皇治の炎上を抑えようとしてるのか、仇となって燃えるじゃないですか。
    ――あれが魔裟斗さんの独り語りや、武蔵さんとの対談だったらまだしも、皇治選手だけがいることで白鳥選手の欠席裁判感も出ちゃいましたね。
    平本 今回のバッティング問題って、とりあえず落ち着いてきたじゃないですか。そこで魔裟斗が火に油を注ぐような言い方をして。あの人は“K-1愛”からああいうことを言ってるんじゃなくて、人気があるものに乗っかりたいだけすね。 YouTubeとかでもK-1選手を紹介するわけでもなく朝倉未来に媚を売ったりして、気色悪いと思っちゃいましたよ。歳を取っても、ああいう風に若手に媚びは売りたくないなと思いましたね。
    ――平本選手にとって魔裟斗さんは憧れのファイターだったんじゃないんですか?
    平本  高校時代ぐらいまではカッコいいなって思ったんですけど。 実際にK-1甲子園に出ていた頃のインタビューでそう言ってるんですけど、俺が魔裟斗の悪口を言うと、その記事を毎回貼り付けてくる奴がいるですけど。高校1年のときのインタビューなんて卒業文集よりも軽いじゃないですか。
    ――風が吹いたら好きなものが変わる年頃ですよ(笑)。
    平本 高校の頃は好きだけど、大人になったら嫌いになることはたくさんありますよ。 16歳でデビューして、今年で7年目。20歳を超えるといろいろと気付かされることがあったり、 考えることで魔裟斗がだんだん嫌いになって。シンプルに魔裟斗は見る目がないんですよね。K-1のトーナメントの予想を毎回外すんですよ。
    ――皇治選手に続いて魔裟斗さんにも詳しいですね(笑)。
    平本 魔裟斗予想は外れるっていうジンクスがあって、魔裟斗に予想されるの嫌なんですよ(笑)。 選手としてはすごい実績は残したのかもしれないですけど、引退したあとトレーナーとかやってるわけじゃないから見る目はないですよ。 テクニックタイプでもなかったじゃないですか。どちらかというと皇治みたいにガンガン前に出るみたいな。技術面でいったらそれこそライバルだった佐藤嘉洋選手のほうがうまいのかなと思うんです。ほかのキックボクサー全員にも言えるんですけど、 魔裟斗に面倒見てもらったわけじゃないんだから「 魔裟斗さん、 魔裟斗さん」って崇める必要はないですよ。俺なんかしたら、いまのK-1があるのは武尊選手とかいまの選手の力だし、 自分たちでK-1を作り上げてきてるんだから、なんで魔裟斗にあんなふうに偉そうにさせてるんだって思いますよ。こういうことをいうと「K-1を作ったのは魔裟斗」って声が飛んできますけど、いまのK-1を作ったのはいまの選手たちだから。
    ――魔裟斗さんと会ったことあるんですか?
    平本 何回かありますね。こないだ篠塚辰樹のセコンドでK-1に行ったときに、魔裟斗とすれ違ったんですけど。「刺青、入れすぎだよ」って言われて。 そんなの知らねーよってムカつきましたよ(笑)。とくに返事はしなかったですけど。
    ――それは魔裟斗さんなりに後輩とコミュニケーションを取りたかったんだと思いますよ(笑)。
    平本 いやあ、そういうわけじゃないと思いますよ。魔裟斗があそこまで言うんだったら、皇治にバッティングをやられまくった武尊選手との対談も見てみたいですよね。「皇治のバッティングがどうだったのか」とか聞いてみろって思いますよ。
    ――魔裟斗さんと白鳥選手の対談は見たいですけどね。
    平本 どうせだったらそうやったほうが面白いじゃないですか。 なんで皇治だけなんだと思いますよ。
    ――魔裟斗さんって白鳥選手に対して何か悪いことを言ってるつもりないと思うんですよね。
    平本 マジですか。
    ――さっきの平本選手への声掛けもそうですけど、ヤンキー体育系タイプにありがちな先輩としての愛情表現だと思います。押し付けがましいですけど(笑)。
    平本 まあ魔裟斗は魔裟斗で人間らしいのかなと思いますけど、アイツのことはどうでもいいかなって思ってますよ。それより何が気持ち悪いって今回、魔裟斗が何か言ったことでコロッと意見を変える奴ですよ。 それは本当にどうかと思うんですよね。
    ――自分に芯がないんじゃないかと。
    平本 今回のバッティングに関しては試合が終わってからでも話題は皇治一色だったし、皇治はなんだかんだ爪痕を残したというか。そこはすごいですよね。RIZINという舞台で話題を作ってるいう部分では、俺は皇治のことを仲間だと勝手に思ってて。
    ――仲間! 皇治選手が平本選手のことをどう思ってるか気になりますね(笑)。
    平本 まあ、こっちが勝手に思ってるだけですけど(笑)。皇治はRIZINでちゃんと話題を作ってるじゃないですか。そこは他の選手とは違いますよ。 
    ――でも、嫌いなんですよね。
    平本 なんか鼻につくんですよね! 魔裟斗との対談の皇治のしゃべり方もめちゃくちゃ気持ち悪いんですよ。「勝たずに決勝に行くのは自分の中では違うな」って言ってるんですけど、 RIZINに来ていきなり天心とやったり、五味(隆典)さんを選んだりとかしてるし、ホントにそんなこと思ってるのかなって。皇治って何を考えてるのかわかんないと思ったんですよね。中途半端に綺麗事を言ったり。それが皇治の面白いところなのかもしれないですけど、最近はあの鼻につくキャラクターをあえて演じてるのかなって思っちゃったんですよ。
    ――世間が描く“皇治”を田中宏治を演じてるというか。
    平本 はい。 そこまでの領域にきてるんなんじゃないかって。
    ――皇治評論家からすると、K-1時代の皇治とは違うんですかね? 
    平本 まずK-1にいた頃の方がまだもうちょっと強かったんじゃね?って思うんですけどね。 どんどんどんどん戦い方がヘタになっていくというか。K-1で島野浩太朗という元Krushのチャンピオンの試合をしたときは普通にうまく戦ってたんですよ。ダウンを2回ぐらい取ってるし、あれはいい試合だったなと思ってて。でも、そのうちダメになっていって。
    ――そもそも平本選手はなんで皇治選手のことがそんなに嫌いなんですか?
    平本 理由はないんですよね。
    ――理由がないのにそんなに嫌いになるんですか(笑)。
    平本 とくに個人的に何かあったっていうわけじゃないんですよ。これだけ皇治のことを言ってると関係者の人が「皇治くんが平本くんはなんであんなに言ってくるんだろう?って気にかけてるよ」と。
    ――そりゃそうですよ (笑)。
    平本 マジで理由はないんですよね。理由はないけど鼻につくだけで。 皇治と試合をする気もないし。「違う階級の選手にいろいろ言ってどうなんだ?」っていう声も飛んでくるんですけど、 なんで思ったことをガマンしなきゃいけないんだって。 
    ――嫌いなものを「嫌いだ」と言って何が悪いんだと。
    平本 表現者としてひとつのアピールポイントと思うんですよ、「俺はこいつは嫌いだよ」って言い続けることって。平本蓮の生き方としてはひとつの選択肢というか。「いつまで皇治のこと言ってるんだ」って言われるんですけど、俺はずっと言い続ける。 今回の皇治の試合が終わったあと、なかなかツイートしないのってでずっとスタンバッてたんですよ。ようやくアップしたと思ったら謝罪ツイートに自分の入院写真を3枚もアップしてて。酸素マスク姿とか大袈裟すぎますよ。 ああいうものを載せることによって炎上を和らげようとしてるとしか思えないんですよね。
    ――「俺も大変なんやで」と。
    平本 みんな大変ですよ。格闘家ならケガぐらい隠せと思いますよ。 俺は「試合中にこんなケガをした」とか「ケガをしてるのに試合をした」とか言ったことないですよ。そんなこと自分の口から言ったら終わりだと思うんですね。 皇治の場合は新規のファンじゃなくて。いまいる皇治ファンの慰めを待ってるんですよね。
    ――バッティングのクセって直ると思いますか?
    平本 直そうと思えば絶対に直りますよ。 格闘技って頭で考えて練習できる人と、決まった練習しかできない人の2つに分かれてて。1日6時間ぐらい何も考えずに練習をこなす選手もいれば、頭を使って 2時間パッと集中してやれる人もいる。前者は伸びないですよ。皇治はファイトスタイル的にもちゃんと考えてないからバッティングが起きるんじゃないですかね。どれだけ練習環境をよくしても。結局自分で考えてないから成長しないのかなって。 なんか、もう何も言えねえって感じですよ。
    ――もういろいろ言い過ぎてますよ!(笑)。
    平本 そうなんですけど、何かひとこと言ってやんなきゃしょうがねえなと思って。――ひとことどころじゃないですよ(笑)。
    ・白鳥大珠のマイクアピールは何がいけなかったか?
    ・皇治軍団は本当に存在するのか?
    ・皇治は◯◯◯と戦ったら男だ
    ・朝倉未来はYouTubeをやめるべきか
    ・8月からアメリカMMA修行……などなど1万字インタビューはまだまだ続く


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