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【14万字・記事16本詰め合わせセット】星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊……
2022-08-31 23:59600pt非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! part104大好評記事16本14万字で600円!!(税込み)
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part104
◎堀口恭司はなぜRIZINに帰ってきたのか
◎朝倉未来vsクリスチャン・リーのスパー騒動を推理する
◎所英男「まだまだRIZINでやらせていただけますでしょうか?」
◎マァ⭐ティン(星野育蒔)に逢いたい■松澤チョロの女子格闘技・脱線トーク
◎日本人ヘビー級の切り札が語る世界戦略!! スダリオ剛はやっぱりヤバイ!
◎【こじらせU系】日本が誇る漫画家・イラストレーター 寺田克也「人間を超える瞬間を見たい」
◎【RIZIN37レビュー】5年後に「伊澤星花をちゃんと見とけばよかった」と後悔しないように
◎WWE総帥ビンス・マクマホン引退■斎藤文彦INTERVIEWS
◎「私はビンスに襲われた……」元・女性レフェリー“2度目”の告白
◎それはセクハラではない……その後の「#SpeakingOut」
◎『ROAD TO UFC』で輝いた内田タケルをしゃべらせたい!!
◎パク・シウ「大人になってもMMAなんて一切知らなかった」
◎LFAだけが「UFCの登竜門」なんかじゃない■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
◎最高のエキシビジョンマッチ! ブアカーオvsカズ・ジュニアを語ろう
◎齋藤彰俊インタビュー③「新日本プロレス道場で過ごした日々」
◎キング・ムエ会長・佐藤孝也「あんなにお客が入ったスタジアムは見たことなかったです」
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UWFの熱を浴びて人生を変えられた方々にあの運動体を振り返ってもらう「こじらせU系・第7弾」。今回は日本が誇る漫画家・イラストレーター 寺田克也さんが登場! こじらせないファンの道とは……?(聞き手/ジャン斉藤) ――世界的なイラストレーター・漫画家の寺田さんは80年代からプロレス格闘技を見始めて、いまでもGLEATやフリーダムスまで現地観戦しているとうかがっています。プロレス格闘技ファンって長くやっていると、こじらせて正面から楽しめないケースが多いんですけど、長く見続ける秘訣をお聞きしたいなと。
寺田 オレはただ見ているだけで、面白い話はできないですよ。
――そもそも寺田さんは80年代から存在していた、夢枕獏さんを中心とする格闘家愛好家グループの一員だったんですよね。
寺田 いや、オレが入ったのは後年で。古参の人はそれこそ格闘技ライターの高島(学)さん、布施(鋼治)さん、カメラマンの長尾(迪)さんとかで。当時の獏さんは時々自腹で京王プラザで自主カンヅメやってたんです、月イチくらいで。
――獏さんのお住まいは小田原で、格闘技観戦のたびにロマンスカーで上京されたりしてて。
寺田 せっかく東京にいるんだからと、みんなで部屋飲みしたり、貴重な映像を持ち寄って「格闘技・裏ビデオ会」をやったり。
――『刃牙』の板垣恵介先生や町山智浩さんがそこでUFC以前のバーリトゥードの映像を見たというエピソードがありますね。
寺田 あ、そうなんですね。オレはその頃まだ入ってないですね。町山さんとは小さい判型のときの『映画秘宝』でブルース・リー特集があったときに知り合いましたね。そこには獏さんとオレと、漫画原作者の梶研吾さん……あと板垣さんもいたか。ブルース・リーの対談をやって、その編集者が町山さん。獏さんとは知り合いになって単行本のカバーを描かせてもらって「今度(裏ビデオ会を)やるから来る?」みたいに誘われて。「ソ連にすごい選手がいるんだよ」ってまだ有名になる前のボブチャンチンをみんなで見て。あのロシアンフックはすごかったなあ。あ、まだロシアンフックという名前が付けられる前のことだけど。
――いまはどんな映像でも見られますけど、当時はマニアのあいだにしか流通してなかったですよね。
寺田 ネット以前のクローズドな時代の面白さですよね。その会に参加したことで、海外の大会にも行く機会ができて……第2回アブダビコンバット(1999年)の現地観戦もそうですよ。
――あの頃のアビダビは幻想の塊でしたねぇ。
寺田 あのときは『タフ』の猿渡(哲也)さん、『ブラック・エンジェルズ』の平松(伸二)さん、獏さん、あとなぜか新潮社の校閲の人とか総勢10名ぐらいでツアーを組んで。
――いい時代です!
寺田 無差別級に出た(佐藤)ルミナがまだ有名になる前のティト・オーティズに負けたりして。そのときはリングスの日本人でいちばん強いと言われていた金原(弘光)選手も出てたんですけど。空港の待ち時間でお話させてもらったら、グチが多くて面白いなーと思って(笑)。
――当時から金ちゃんはボヤキングでしたね(笑)。
寺田 アブダビの王子様にみんなで定食を奢ってもらったりしました。アブダビになぜか日本の居酒屋があって。
――アブダビに日本の居酒屋(笑)。
寺田 アブダビの王子って何人もいるんだけど、みんなそれぞれ趣味を持ってるんですよね。アブダビコンバットを開催した王子の趣味は格闘技で。格闘技っていうかブラジリアン柔術かな。
――アメリカ留学中にUFCを見たことでブラジリアン柔術に興味を持ったんですよね。
寺田 ブラジルからアブダビに柔術の先生を呼んで習って。そのうち柔術の選手を集めて試合が見たいっていうところからアブダビコンバットが始まったらしいんですけど。競技場の横にレストルーム的なところがあって、そこに日本の居酒屋っぽいレストランが入ってるんですよ。その店に王子様がオレたちを招待するってことで、焼き魚定食を食べていたら、後方の芝生の上にヘリコプターが降りてきて、王子がさっそうと登場……というような世界観で。
――リアル高須クリニックどころのスケールじゃないですね(笑)。
寺田 獏さんとはUFC観戦にも行ったり。UFC初観戦は高橋義生選手が出たとき(UFC12/1997年2月7日)。
――イズマイウ戦で日本人UFC初勝利を挙げた! あれ、現地で見たんですか?
寺田 そう。最初はナイアガラフォールズというアメリカとカナダの国境でやるってことで、オレと獏さん、梶さんと18時間ぐらいかけて着いて。ホテルに入ったら長尾さんと布施さんが走ってきて「獏さん、会場がアラバマに変わりましたよ!」と。
――当時のUFCはMMA反対派の政治家のキャンペーンでPPVや会場から締め出されてましたね。
寺田 なのでナイアガラフォールズの会場が使えないだろうって予測は立てていたみたいですけどね。だからアラバマの会場を押さえていたし、飛行機もチャーターしてて。長尾さんがプレスだから、オレたちも選手と一緒に飛行機に乗れるかもしれないと。
――たしかに日本から飛んできたお客さんからすれば災難ですよね。
寺田 アラバマは南なのでアメリカ縦断ですよ(笑)。空港の待合いに行ったら酒を飲んでいるのか真っ赤な顔したマーク・コールマンや、ダン・スバーンたちがワイワイやってて、レフェリーのビックジョン・マッカーシーが「ボーイズ、静かに聞け!」と叫んでて。
――コールマンとスバーンはメインで対戦する者同士なんですけどね(笑)。
寺田 飛行機には選手の家族たちも乗っていて、選手が枕投げして遊んでるんですよ。酒を飲んで盛り上がっちゃって悲壮感ゼロ。
――洗練される前のUFCって感じですねぇ。しかし、初観戦から貴重すぎる経験です!
寺田 経験つったってオレはくっついて行って帰ってくるだけでなんにも苦労しないし、ただ楽しかっただけですよ。その帰りにニューヨークに寄ったのかな。中井(祐樹)さんとニューヨークのヘンゾ(・グレイシー)のジムに行って、中井さんとヘンゾがスパーリングするというすごいものを見て。終わったら中井さんは「ちょっと向こうにビートルズのいいバーがあるんで行ってきます」と1人で飄々と行っちゃって。
――UFC以前はプロレスを追っていたんですよね。
寺田 オレは新日本プロレスから見てたわけですよ。子供の頃からいえば日本プロレスだけど、その頃は家族が観てるからってだけで。でも、プロレスラーという存在はすごく子供には響くというか。小学校の図書館に世界のプロレスラーみたいな本があって、そこにアブドーラ・ザ・ブッチャーや当時の怪奇レスラーが妖怪と同じレベルで載っていたし。『タイガーマスク』のアニメとかも好きで。プロレスというものは、フィクションと混然一体となっている世界観として入ってるから。テレビで流れるプロレスは『タイガーマスク』のアニメほどは飛んだりしないから、実際のプロレスにハマったっていう印象はそんなになかった。
――フィクションやキャラクターとしてのプロレスに惹かれていったんですね。
寺田 新日はなぜか見てたけど、プロレス自体にはそんなに深く入ってなくて。でもアントニオ猪木のキャラクターは面白かったし、もちろん梶原一騎世代だから梶原フィクションの中にも染まってるわけじゃないですか。そうすると、みんな『週刊プロレス』のターザン山本にハマっていくわけですよね。
――梶原一騎、ターザン山本という媒介を通してプロレスを楽しむと。
寺田 プロレスラーはすごいなって思ったのは、佐山(聡)さんの初代タイガーマスク。テレビを見ていたら、すごく小さめのマスクを被ったタイガーマスクが出てきて。その不格好さにお客さんはみんな笑ってるんだけど、動いた瞬間にどよめいて。あそこで初めて「人間もすごいんじゃないの?」という意識を持つようになったんです。やっとフィジカルな部分でのすごさを客観的にわかるようになってきたのが、タイガーマスクの登場。オレはやっぱり絵が好きだったから、人体に最初から興味があるし、人間はどう動けるのか、どうしてこんな動きができるのかに興味があって。
――ファンタジーとフィジカル両方から楽しめるようになったんですね。
寺田 高校生だったけど、佐山タイガーでどっかんと来て。しかもダイナマイト・キッドとかキャラクターが揃ってた。かなり熱心に佐山タイガーの試合は見てたから、これはもうUWFに行くしかないですよね。「佐山さんはなんでやめたの?」「格闘技をやるらしいよ」となったら、ブルース・リーの影響もあるから絶対にUWFを見るでしょう。
――その寺田さんが柳澤健さんの『1984年のUWF』のカバーイラストでタイガーマスクを描いたんですね。
寺田 あれは単純に柳澤さんから描いてって言われたから描いただけだけど、感慨深かったですよ(笑)。やっぱりタイガーマスクは大好きだったし、本も面白かったし、いい仕事をさせてもらったなって。
――先ほども名前が出ましたが、プロレス格闘技史を語るうえで梶原一騎の存在は大きいですよね。
寺田 やっぱり梶原さんがいなかったら極真がああいうかたちで大きくはなってないですよね。
――梶原一騎のフィクションを極真の弟子や新日本のレスラーたちが超えていくダイナミズムもあって。
寺田 人間は面白いもので、フィクションを真実だと思えば「できるんじゃないか」っていう意識が芽生えるので。極真初期の内弟子たちはみんなまさにそうですよね! 佐山さんは最初からフィジカルが超人的だったので、タイガーマスクなんかもできちゃったんでしょうけど。UWFは猪木イズムから作られてるし。「いつなんどき誰とでも戦う」「誰がいちばん強い」とか、アントニオ猪木がどういうつもりで言ったのかはどうでもよくて、その教えを受けた弟子たちの中には刻まれてるから。だったら「もう真剣勝負をやるしかないんじゃないの?」ってなりますよね。
――ファンや選手が「プロレスは世界最強」と洗脳されていったわけですよね。
寺田 ただ、当時のオレはプロレスと真剣勝負の区別がつかないから。いまになれば後出しでみんないくらでも言えるけど。はっきり言って、オレはわかってなかった。記事16本14万字の詰め合わせセットはまだまだ続く…… -
朝倉未来vsクリスチャン・リーのスパー騒動を推理する
2022-08-27 23:44140ptこの記事は朝倉未来vsクリスチャン・リーのスパー騒動を語ったDropkickニコ生配信を記事にしたものですが、原型を留めていないどころか、インタビュー形式となっています(語り:ジャン斉藤)【1記事¥110から購入できるバックナンバー】・井上尚弥、那須川天心の拳を守る「バンテージ職人」永末ニック貴之インタビュー
・「もうやめるはずだったんです」……すれ違いのRIZIN、大塚隆史人生劇場
・ぼんやり層に届けたいキックボクシングの世界■竹村哲☓高崎計三
・日本レスリング&MMAの功労者・木口宣昭先生を語ろう■朝日昇
――朝倉未来がハワイに行ったときに、ONEのアイコンとも言われるクリスチャン・リーにスパーでボコボコにされた……と騒ぎになっています。
斉藤 MMAPLANETのクリスチャン・リーのインタビューがネタ元ですけど、1万回読み直してもスパーでやられたとは読めなくてこの騒ぎに困惑してます!
――クリスチャン・リーは一本を取ったと言ってますよね。
斉藤 クリスチャン・リーはライト級で未来選手より1階級上、グラップリングも超強いから一本を取っても全然不思議じゃないですけど、練習での一本取った・取られたってよくあることじゃないですか。格闘家のYouTubeの影響もあって「スパー」を試合に近いものだと捉えている人がいるんじゃないかって印象ですね。だから格闘家だったり、道場・ジムに通ってる人で、この件で本気で騒ぐ人っていないと思うんですけど……。
――練習だったらケガする前にタップしますし。
斉藤 そもそも出稽古関連の動画をアップしないのは、クリスチャン・リーが撮影を断ったからですよね。で、朝倉未来サイドがクスチャン・リーと練習してきたとアピールしないのは、広言したらしたで「動画がないのはやられているシーンを見せないためだ」とか邪推されるからでしょう。――まあ余計な憶測を招きますよね。
この続きと星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊などの8月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事16本の詰め合わせセット」はコチラ
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キング・ムエ会長・佐藤孝也「あんなにお客が入ったスタジアムは見たことなかったです」
2022-08-27 10:31140ptなぜブアカーオvs三浦孝太がタイで歓迎されたのか? 90年代に活躍した元キックボクサーで現在はムエタイジムを主宰する佐藤孝也会長に話を伺いました!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・「キックぼんやり層」必読!! 那須川天心vsロッタンはここがヤバかった■ムエタイキラー鈴木秀明・強くて面白くて恐ろしいムエタイ・吉成名高は何を考えているのか
・THE MATCH総合演出・佐藤大輔「天心も武尊もちゃんと送り出せる映像を作りたかった」
・RIZIN広報・笹原圭一のエンドルフィンマシーン的THE MATCH!!──現役時代は全日本キックやニュージャパンキックでチャンピオンに輝き、現在はムエタイジム「キング・ムエ」を主宰する佐藤孝也会長にブアカーオvs三浦孝太についておうかがいします。
佐藤 よろしくお願いします。この興行は自分が指導する福田海斗が出たもんですから、現地で見てました。
──現在は昔と違ってムエタイとの距離があるので、日本の新しいファンはムエタイという競技の見方がわからない人たちがけっこういるんです。
佐藤 それは日本に限らずタイでもそうなんですよ。
──ああ、そうなんですね。佐藤会長はどれくらいの頻度でタイを訪れてるんですか?
佐藤 コロナになる前までは月1回くらいのペースで行っていたんですけど。コロナで2年くらい行けず、今年3月が2年ぶりのタイでした。今年は3月、6月、7月、8月。基本的には福田海斗が試合するときに同行するって感じですね。それ以外ではよほど重要な打ち合わせがなければ行かないですね。
RWSで勝利した福田海斗と鈴木会長──今回日本から三浦選手がラジャダムナンの興行に招待されました。東南アジアで爆発的な人気を誇っているという話は耳にしてましたが、やっぱりタイ現地の人気もすごいんですか?
佐藤 いやあ、すごかったですね。スタジアムの中もそうですけど、三浦選手がタイの空港に到着したところから追っかけファンが集まっていたり、一般メディアも空港到着を取材してたりするので……なかなかすごいですね。
──佐藤会長の目から見ると、人気があるのはどういう理由が考えられますか?
佐藤 ぶっちゃけ言っちゃえばハンサムだからってことですね(笑)。タイの女性って韓国系の男の子みたいな色白の子が好きなんで、そういうことなんじゃないかなって思いますけど。ボクはあまり三浦選手を存じ上げないんですけど、RIZINで1回試合しただけだと聞いてます。それがタイで報道されてから一気に広がったみたいです。ボクらからすればなぜそんなに人気があるのか……ビックリしてるんですけど(笑)。
──戸惑いますよね(笑)。今回はエキシビジョンなのにメインだったじゃないですか。他にも注目のカードが揃ってたと思うんですけど、やっぱりブアカーオと三浦選手が出ることで成り立つイベントではあったんですか?
佐藤 そうですね。今回のラジャダムナン・ワールドシリーズ(以下RWS)という興行は、いわゆる世界のスタンダードな格闘技の興行にムエタイを持っていこうと。そういうコンセプトの興行なものですから。いわゆるボクたちが考えるムエタイはワールドスタンダードにはなりえないだろうと。そこからまずスタートしてるわけですよね。なので今回のRWSは通常のムエタイとはルールもポイントの取り方も全然違いますね。
──福田海斗選手が出た試合も違うんですか?
佐藤 はい、ムエタイとは違います。まず通常のムエタイは5ラウンド制なんですよね。3分5ラウンドのインターバル2分。今回のRWSは3分3ラウンドなんですよ。
──3分5ラウンドと3分3ラウンドの違いがある。
佐藤 あと通常のムエタイはラウンドごとに採点を発表することはしないんですよね。逆にRWSはラウンドごとに公開。オープンスコアで、なおかつラウンドマストなんですよね。ラウンドごとに必ずどちらかに10-9をつけなきゃいけなかったんです。
──判定の付け方も通常のムエタイとは違うんですね。
佐藤 オープンスコアだとムエタイは難しいんですよ。なぜかというと、ムエタイは賭けの対象になってますから。ムエタイの賭けって試合前にどちらが勝つか負けるかの賭けと、ラウンドごとにどちらが勝つか負けるかの賭けがあるんですね。
──ラウンドによって賭けの倍率が変動していくわけですよね。
佐藤 そうなんです。ということは、オープンスコアだと、どちらにポイントが入っているかはわかってしまうので賭けにしづらいんです。そういう意味でRWSには賭けの要素が薄まっていることは、大きな違いにはなりますよね。
──このRWSはいつぐらいから始まってるんですか?
佐藤 始まったのは今年ですね。1回目の興行がたしか7月だったかな。つい最近始まったばっかりですね。
──ムエタイというと賭けを仕切るギャンブラーと呼ばれる人たちがいて、選手や試合に多大な影響力を持っているという話は聞いてるんですけど。結果的にギャンブルの要素を排除したのは、そうしないとムエタイはワールドスタンダードなものにはならないってことですか?
佐藤 まあ、そうですねぇ。初めてムエタイを見た方が「判定でどっちが勝ったの?」って、ほとんどわからないと思うんですよね。KO勝ちだったらもちろんわかりやすいんですけど、基本的にムエタイはKOが生まれないとは言いませんけど、割合としては少なくて。判定決着が多いですからね。
──戦っている選手のジム同士が賭けをやっていたり、ヘタに試合を落とすとギャンブラーからの信用が失われることで確実に勝利を追い求めるそうですね。
佐藤 でも、長年ムエタイに携わっているボクらでも「どっちが勝ったのか?」わからないことがあってですね。
──そんなに難しい。ムエタイの判定というと、この選手がミドルキックがうまい、あの選手は首相撲が強い。その特性を活かせれば判定に響くという話は聞いたことがあるですが、佐藤さんクラスでもわかりづらいところあるんですね。
佐藤 そこには賭け屋さん(ギャンブラー)が大きく影響してますし、その試合の動きだけで判断されるわけではないんですよね。というのは、朝の計量時に「この選手はちょっとオーバーしてるから」とか、逆に「この選手はちょっと体重が足りないから」とか、そのへんも影響してきます。もっとさかのぼって「どこのジムで練習してる」とか「誰がトレーナーについてる」とか、そういうところから賭けへの影響が出ている。
──そんな要素も絡んでくる。
佐藤 良い言い方をすると、ホントに情報戦まで含めた総力戦なんですけれど。逆にいうと、そこから賭けがスタートしてるので、この選手がたくさんミドルを蹴ったからって勝つわけではない場合があるわけですよ。そのへんを含めると、もうホントに難解なものになってしまうので、ボクらでもわからない判定はよくあります。ボクらでさえわからないものが「初めてムエタイを見に来ました」という一般人にわかるわけがないので。そうすると神秘的なものというような捉え方をするしかないわけです。
──そうなるとスポーツとしてのファンが増えていかないですね。佐藤 ギャンブルではなく純粋にムエタイを見に来るお客さんを増やそうと思ったときに、現在賭けとともに共生してるムエタイというものが、はたしてワールドスタンダードになるかっていうと、そこは難しいんじゃないかなという気はしますね。そういった背景からRWSみたいな興行が生まれてきたんだと思います。
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齋藤彰俊インタビュー③「新日本プロレス道場で過ごした日々」
2022-08-25 11:09140pt齋藤彰俊インタビュー第3弾は「新日本プロレス道場で過ごした日々」」です!(聞き手/ジャン斉藤)①齋藤藤彰俊インタビュー「名古屋の街の風紀を正していた高校時代」
②齋藤彰俊インタビュー「W★ING参戦、新日本プロレスvs誠心会館」
――齋藤彰俊選手が苦楽をともにされた青柳館長がお亡くなりになりました。
齋藤 館長との思い出はたくさんありますね……もう語り尽くせないです。最後に会ったのはノアの名古屋大会ですから、半年以上前だとは思いますけど。ただ、メールでは近況報告はしてましたので。亡くなったのは急な話というか、前日は普通に空手の指導をされていたみたいで、皆さんビックリしてる感じですね。入院されて闘病という感じはなかったもんですから。
――青柳館長と最後に一緒にリングに上がった試合は覚えていらっしゃいます?
齋藤 自分の30周年記念試合を名古屋国際会議場でやったときですね( 2020年2月24日)。そのあと館長はしばらくリングから離れていたとは思うんですけども。
――館長と彰俊さんが活躍しなかったら、格闘家がプロレスにリングに上がる流れはできてなかったんじゃないかって思ってるんです。
齋藤 そうですよね。たとえ上がっても、単発、1回限りだったかもしれないですね。
――彰俊さんはW★INGで名を挙げていたとはいえ、空手家が新日本プロレスでやっていくことは、ものすごく大変だったと思うんですけども。
齋藤 館長は他人とすぐ溶け込むようなタイプなんですけど、自分はなかなか……最初はダメでしたね。自分の場合はどこかちょっと一歩引いてる。本当にわかり合えたりすると、そんなことはないんですけど。
――青柳館長からプロレスに溶け込むうえで、何かアドバイスされたことってあるんですか。
齋藤 プロレスのアドバイスは、あんまりなかったかもしれない。自分が新日本でやりだしたのは、新日本に殴り込みをかけてからで。そうすると反選手会同盟(後の平成維震軍)があって。プロレスのアドバイスは他のレスラーの方が多かったですよね。
――たしかに経験豊富なレスラーばかりですもんね。
齋藤 越中(詩郎)さんや木村健悟さんとか。一番教えていただいたのはカブキ師匠です。あとこれは書いていいのかな……。誠心会館としての抗争が終わったあたりから、新日本との合同練習に出たりはしてたんですけど。
――新日本本隊の合同練習に?
齋藤 はい。シリーズが始まる1~2週間前とか。午前中に本隊の合同練習に出て、午後からは平成維震軍の合同練習に出て。
――本隊と平成維震軍は抗争していたから、彰俊選手選手が本隊の練習に参加していて寮に住んでいたことを表には出せなかった。でも、いまだから書けないんですかね。もう時効というか、野毛道場でちゃんと鍛えていたことが明かされる、すごくいい話だと思うんですけど!(笑)。
齋藤 そうなんですかね?
――いまだから載せたほうがいいと思います! 青柳館長が当時を振り返るインタビューを読むと、青柳館長が維震軍から離れたあと、齋藤選手が野毛の寮に入れられていたことをおっしゃっていたので……そのへんに興味があったんですよ。
齋藤 自分は新日本の寮に入ってました。シリーズ前は新日本の寮で寝泊まりして、合同練習に参加して。
――維震軍のメンバーだったから、立場的にいづらくなかったですか?
齋藤 なかなか溶け込めなかったですねぇ。そもそも自分が殴り込みをかけた頃は、選手会のテーマが「齋藤を潰せ!」だったので。
――一線を越えた抗争を繰り広げていたわけですもんね。
齋藤 はい。ですから「お疲れさまです!」って笑顔で挨拶するんですけど、全然溶け込むことはなかったです。
――何かしら、しこりは残っていたという。
齋藤 やっぱり残ってますねぇ。顔見知りになっても向こうは向こうで「ナメるなよ」っていう感情は絶対にあったと思うんですよね。
――そもそも当時の新日本プロレスって、フリーの選手に対する敵愾心は強かったですよね。
齋藤 すごかったです。試合中、意識をなくした選手を見て、ニヤッと笑うような時代でしたから。新弟子というか、ヤングライオンたちも「途中から来やがって……」みたいな感情はあったとは思いますし。自分が入ったのが20代半ばという年齢で、新弟子的な仕事はやってなかったので、そのぶんジェラシーもあったんじゃないかなと。
――寮では1人部屋だったんですか。
齋藤 違います。2人部屋とか3人部屋だったりとか。
――平成維震軍である程度の位置にいたわけなのに、寮の環境に飛び込んだのは彰俊さんの意思もあったんですか?
齋藤 新日本からこれまでどおりシリーズ中はホテル暮らしか、「選べ」とは言われたんですけど。でも、練習がすぐにできますし、道場でいいですと。
――厳しいほうを選んだんですね。
齋藤 そうですね。いつも自分で「バカだな」と思うんですけど、自ら背中を押すタイプなんです。「言っちゃいけない」と思いながらも言ってしまうこともあります。いまの自分だったら、道場暮らしは選びません(笑)。
――ハハハハハハ! それで本隊と維震軍の合同練習を掛け持ちするって、めちゃくちゃ体力ありますね。
齋藤 やっぱり「しっかりやらないと!」って思いが強かったんでしょうね。そこで身につけたものも大きかったです。とくに精神的なことは。やっぱりキツかったですから(しみじみと)。
――だんだん受け入れられてる感じってありました?
齋藤 本当に受け入れられたと思ったのは、新日本を辞めたときですかね。
――最後の最後で。
齋藤 自分が辞めたあとに「彰俊がいなくなったから、維震軍を続ける意義はないだろう」みたいな感じで解散したんです。そのときに、ちょっと受け入れられたかなと。あと佐々木健介さんに受け入れられたのは、ノアに上がってシングルで当たるようになってからだと思います。レスラーとして身体も大きくなって、戦うようになってからですね。
――ハードルは高いんですねぇ。寮で仲が良かったのは誰なんですか。
齋藤 当時はケンドー・カシン選手と仲良かったです。あと永田裕志選手。中西(学)選手とも一緒に飲みに行ったりはしましたけど。おぼえてるのはカシン選手と近くのメキシコ料理屋かなんかで飲んで。その帰りにカシン選手がずっと耳元で「中西を○しましょう」と言い続けて(笑)。
――酔ってるとはいえ物騒すぎますよ!(笑)。
齋藤 そのまま寮の中西選手の部屋になだれ込んで「中西、飲みに行くぞ!」と。金属バットでベッドをぶっ叩いて起こしました(笑)。
――めちゃくちゃですよ!
齋藤 後日、馳(浩)さんから「そういうことはリングでやれ」って怒られましたけど。
――リングでも金属バットはダメですよ(笑)。カシンさんの中西学嫌いって、ネタなんだか、本気なんだか、わかんないですよね。
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最高のエキシビジョンマッチ! ブアカーオvsカズ・ジュニアを語ろう
2022-08-24 18:11140ptこの記事は「ブアカーオvsカズ・ジュニア」「RIZINとブレイキングダウンの提携」「皇治vsヒロキング」を語ったDropkickニコ生配信を記事にしたものですが、原型を留めていないどころか、インタビュー形式となっています(語り:ジャン斉藤)【1記事¥110から購入できるバックナンバー】・なぜ「皇治は俺たちのスーパースター」なのか■宮田充
・DJ.taikiが『朝倉未来1000万円』に落選した理由がよくわかるインタビュー
・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス
・三浦孝太インタビュー「格闘技と家族、男はつらいよ」――タイのラジャダムナン・スタジアムで三浦孝太vsブアカーオのエキシビジョンがメインイベントで行なわれました。三浦孝太選手がタイ現地で超人気ということもありチケットは完売だったとか。
斉藤 ONEのスタンプ・フェアテックスがSNSでカズ・ジュニアを取り上げたことから火が付いて、タイ以外の東南アジアでも三浦孝太人気が爆発してるみたいですね。
――ただ、三浦選手のセコンドについた宮田和幸さんが短パン姿だったことが物議を醸しています。
斉藤 たしかにそういうドレスコードがあったのかもしれないですけど、ボクが「三浦選手を招待するプロモーター側が先方に伝えておくことでは?くらいの印象ですね」とツイートしたら「格闘技のトレーナーなら知っていて当然」というお叱りの声が飛んできまして。でも、宮田さんはレスリングとMMAのプロフェッショナルですからね。
――ムエタイの頂点を目指してタイに乗り込んだわけではなく、あくまで招待されたと。
斉藤 これが日本とムエタイの距離が近かった20年前30年前ならいざ知らず、格闘技競技が増えた現代では、触ったことのない格闘技はあってもおかしくないし、知らないことは恥なのかなあ……と。実際そこまで問題視されるなら、宮田さんが会場入りした段階でラジャの関係者が注意してるはずなんですよ。宮田さんも「いや、俺は短パンにこだわりがある!」みたいに突っぱねないでしょうし。もし短パンにこだわりがあったらすいません!
――マスク着用を要求する店員に絡むクリスタルキングのボーカル並のこだわりが!
斉藤 たとえばトランプが大統領の頃、大相撲の表彰式で土俵に上がりましたけど、短パンだったら大相撲協会の人間が「それはちょっと……」って制止しますよね。
――いまのところタイ現地で短パンが騒ぎになってる風でもないですね。
斉藤 その伝統にこだわる人はいてもいいと思うんです。ラジャにはこういうしきたりがあって……と啓蒙していくことは素晴らしい。でも、宮田さんに苦言を呈するのは問題化・運動化が目的になってるでしょう。本来は「じゃあ、なんでラジャダムナンスタジアムが許したのか」となるはずなのに。
――「郷に入れば郷に従え」という言葉もありますけど。
斉藤 それってヒトやモノの国際的な移動が容易ではなかった時代に通じる言葉かもしれないですね。たとえばコロナなんて、それこそ100年前だったら特定地域の風土病で終わってる可能性もある。これだけ移動が簡単な世の中だと受け入れる側の態勢も問われるというか。もちろんその土地に飛び込む側が好き勝手に何をやっていいって話じゃないです。だからもし今回の件で批判されるとしたら――まあボクは批判する気は毛頭ないんですが――ラジャが悪いですよ。「ラジャが悪い」っていうとジャイアント馬場vsラジャ・ライオンを悪く言ってるみたいですけど。
――伝説の異種格闘技はRIZINファンには伝わらないですよ。どうやらラジャダムナンは金髪もNGらしいです。
斉藤 だったらカズ・ジュニアを呼んじゃダメじゃん! やっぱりラジャが悪い!! でも、ブアカーオvsカズ・ジュニアのエキシは本当に素晴らしかったですね。この試合をどう見るかで、その人の格闘技の視点が明らかになるリトマス試験紙になりますし。「カズ・ジュニアがブアカーオにボコボコにされた、ザマアミロ!」的に喜ぶ人もいるけど、ボクはブアカーオと三浦孝太がどちらもすごかったから成立した一流のエキシビジョンだったなと。まず三浦孝太のあの入場。とてもプロキャリア1戦の振る舞いじゃないですよ。思わず笑っちゃいましたよ。
――完全にスターの装いですよね。
斉藤 ああやって煽れるのがサマになる格闘家はそうそういない。試合はブアカーオがすごかったです。ちゃんとカズ・ジュニアの見せ場をつくってあげつつ、自分の怖さを知らしめる。これ、カズ・ジュニアも怖かったと思いますよ。変な話、仕掛けられてもおかしくないわけじゃないですか。
この続きと星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊などの8月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事16本の詰め合わせセット」はコチラ
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LFAだけが「UFCの登竜門」なんかじゃない■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
2022-08-23 09:48140pt
多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー。(この記事は8月6日にニコ生配信されたものを編集したものです)
【1記事100円から購入できる過去記事】・平本蓮とRIZINの契約、井上直樹vs瀧澤謙太、PFLとベアナックルは美味しい?
・平本蓮vs安保瑠輝也消滅の内幕
・平本蓮vs鈴木千裕決定の裏側
・扇久保博正に脱帽、朝倉海の諦めない心
――RIZINのスポンサーだった議員さんですが、シュウさんは何か繋がりはあるんですか?
シュウ 堀江圭功選手と佐々木憂流迦選手の試合のときに花束贈呈をしていた方ですね。あのとき堀江選手にサムアップしてウインクしてますから、彼女。
――そんなことがあったんですか(笑)。
シュウ でも、これはRIZINさんにとっても被害者ですよね。じつは裏で詐欺をしていました……なんてわかりっこないですし。時系列ではTRIGGER開催あたりに、彼女の仲間のところには強制捜査が入ったらしいですけどね。
――さすが詳しいですね(笑)。
シュウ ジャーナリストからそういう情報が入ってくるんですよ。だけど、それだって専門家じゃないとわからないじゃないですか。
――以前もスポンサー絡みの問題があったじゃないですか。RIZINだけじゃなくてUFCやベラトールの選手をサポートしていたTDT。
シュウ ありましたねぇ。
――あのときはシュウさんのセンサーが危険を察知して、TDTのスポンサーを断りましたけど。今回はどうだったんですか?
シュウ そのセンサーはまったく動かなかったですね。ちょっと言い方が悪いですけども、RIZINさんに限らず、「この選手の試合を組んでくれ」と口を出してくるスポンサーってよくいるじゃないですか。実際スポンサーのプッシュで試合が組まれるってことはありますよね。
いきなり話は逸れますけど、これはもう時効なんで言いますが、昔のUFCの2代目マッチメーカーのジョー・シウバがマッチメーキングのミーティングのときに社内の他の人たちから「この対戦はどうかね?」みたいな提案が出たんです。営業部門からの意見はもちろんスポンサーの意見が反映する部分もあったと思うんですけど。そしたらジョーはこう返したんです。
「俺がオマエらのやっている仕事に口出したことあるか? なら俺の仕事に口出すな、黙ってろ」
この一言で終わったそうです(笑)。
――強烈ですね(笑)。
シュウ けど、他の団体では、スポンサーからのプッシュみたいな部分がまったくないとは言い切れないと思うんですね。
――どんなイベントもご当地選手は出たりしますし。いまは大人気選手も始まりはスポンサーのプッシュから……ってケースはけっこうありますよね。
シュウ ありました。そもそも選手に魅力がないとスポンサーもつかないですから。まあでも彼女のことに関してはそんなに深くは考えなかったですね。向こうからスポンサーのアプローチがあったわけでもないですし。
――それにまさか議員さんが、あんなことをやっているとは……ってことですね。
シュウ 我々一般人に簡単にわかるような話ではないですよね。どんだけ金を払って、ひとりひとりバックグラウンドチェックするんですかってことですし。選手からしても、それなりの会社で、それなりの名刺があって、それなりのホームページがあったら、それは「ありがとうございます」ってスポンサーを受けちゃいますよね。さらには議員だったら、クレデンシャルとしてはバッチリじゃないですか。
――ダークな話から入っちゃいましたけど。本日UFCで佐藤(天)選手の試合がありますね(この配信は8月6日に収録)。
シュウ いまラスベガスは朝7時なんですけども。
――今回シュウさんは長いあいだラスベガスにいらっしゃいますね。
シュウ そうですね。まず8月30日の「ダナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ 」に出場する木下憂朔選手が撮影のためだけにこちらに呼ばれたんですよ。
――撮影だけのために日本から呼ぶってすごいですねぇ。
シュウ UFCはやっぱり景気がいいんで。しかも付添人の1人の渡航費と宿泊費、食費も出してくれるんですよ。
――だから萩原京平選手が同行してたんですか?
シュウ そういうことなんですよ。木下くんはせっかくの機会ですから佐藤選手とUFC PIで一緒に練習してもらって。
――佐藤選手はUFCファイターだからUFC PIを使えますもんね。
シュウ 面白いことにUFC契約選手とコンテンターズに出る選手って、くっきり差をつけるんです。まず撮影場所はUFC APEXなんですけど、絶対にオクタゴンを見せてくれない。PIにも連れてってくれない。「オマエらはまだまだ」みたいな扱いで。
――試合で使うグローブにもUFCのロゴがなかったり。
シュウ しかもコンテンターズだと宿泊先は安いホテルなんですよ。UFCファイターはすごく高い一流ホテルなんですけど。そこも線引きしてるんです。
――ちゃんと格差をつけるんですね。
シュウ だけども木下くんにUFC PIで練習させたかったし、実際のファイトウィークを経験させたかったので、2泊延泊してもらいました。萩原選手は、佐藤選手とかセコンドが身体のでかい選手が多かったんで、練習しづらい部分もあって。かわいそうだったので、シンジケートMMAのコーチに電話して、プロ練に参加してもらいました。そこにたまたまアルジャメイン(・スターリング)とメラブがいたんで、萩原選手も一緒に練習できたんです。
――シュウさんがアテンドしたんですね。
シュウ ある日本人選手がシンジケートMMAに行くことになってるんで。その件で交渉もしなくちゃいけなかったので、一石二鳥みたいな感じだったんですけども。
――そういえば同時期に中井りん選手もラスベガスにいましたね。
シュウ 中井選手には会えてませんね。ベガスの大手ジムはエクストリーム・クートゥアとシンジケートしかないんですよ、中井選手はエクストリーム・クートゥアですよね。あそこは身体のでかい選手が多いんで、シンジゲートMMAにしました。アルジャメインとメラブがいることがわかっていましたし。
――さすがラスベガスだけにトップどころがウロウロしてるんですねぇ。
シュウ 最近アメリカのチームのトレンドは、試合の朝ちょっと身体を動かすんですよ。モーニングシェイクダウンって言い方をするんですけども。そのほうが試合の調子がいいという話をしてたら、そのときに木下選手や萩原選手が言っていたことは、日本の大会は拘束時間が長過ぎると。要するに、8時間、10時間も前に会場入りしなくちゃいけないじゃないですか。そうすると、モーニングシェイクダウンの意味がない。UFCだとモーニングシェイクダウンしたあと、部屋に戻ってゆっくりしてから会場入りできるんですけども。
――日本の大会は全選手が第1試合前から集合ですね。
シュウ たとえば「RIZINみたいな開会式は必要?」って聞いたら、みんな全然必要じゃないって言うんですよね。試合前のリングチェックもいらないし、会場入りを遅くして、UFCみたいにその姿がカメラに映ったほうがカッコいいじゃないかと。
――たしかに長時間興行でメインクラスの選手が第1試合前から会場入りするのはけっこう大変ですね。
シュウ RIZINに出たジェシカ・アギラーも言ってましたから。「なんで、そんな長いあいだ会場にいなくちゃいけないの?」って。
――アギラーの試合順はセミでしたし。
シュウ 「オープニングショーがあるのが、ジャパニーズMMAのいいところだろう?」ということで納得してくれたんですけれども。たとえば日本なら野球の試合でもそうですよね。東京ドームなら、あのライトからレフトまで続く大きなビジョンをフルに使って、チアリーダーが出てきて、英語で言うとTheatrical Experience、つまり劇場で見るショー、スーパーボウルのハーフタイムショーとかブロードウィーとかのショート・バージョンみたいなものが見れる。
これって、じつをいうとジャパンのスポーツ文化でもあるんですよね。それをアメリカのファンが観に行き体験すると、だいたいの人たちは「すごくクールだ、なんでアメリカでもやらないんだろう?」と言うんですよね。けど、選手にとっては負担になるんで、できれば選手がいなくてもいいジャパニーズMMA独特の開会式を創作してくれればいいのでは?と。そこらへんはそれこそ佐藤大輔さんの演出チームの腕の見せどころでしょ?とも思うんですよね。
――なんとかなりそうですね。あと運営側が管理しなくても、選手やセコンドがちゃんと時間どおり会場入りできるようにお願いしたいです(笑)。
シュウ ついでに聞いたのはリングとケージ。絶対にケージのほうがいいと。みんなそう言うんですよ。そこで面白い話があって。今回のアギラーのセコンドには、ボクのビジネスパートナーのブラジル人がついたんですけど。彼から言われたのは「RIZINのリングは素晴らしい」と。あんなにロープに張りがあって落ちにくい画期的なリングだと。
――改良を重ねた結果。
シュウ インターバルのときに、セコンドもリングの中に入らなくちゃいけないじゃないですか。あまりにもロープが張りがよすぎて、彼の身体も大きいこともあってロープとロープのあいだに入るときに「おちん○んが当たって痛い」と(笑)。
――ハハハハハハハ! そんな問題が(笑)。
シュウ はい(笑)。「おちん○んを一生懸命、抑えながらリングインしなくちゃいけないぐらい、張りが良かった」と。
――RIZINのリングはおちん○んに気をつけろ(笑)。
シュウ じつをいうと、ウチはブラジルのサンダーファイトという団体の株を買って、会場をつくったりして、いろいろとやろうとしてるんですけど。彼いわくリングはリングで面白いから、RIZINも非常に参考になるっていうんですよ。若い選手たちはケージでやりたいという意見ですけど、RIZINも素晴らしいリングをつくっているということですね。
――RIZINもいまのところケージに完全移行する気配はないですけどね。
シュウ そこは差別化を図ってるんですかね、他のイベントと。なんとかストップ・ドント・ムーブをなくせれば最高のリングなんですよね。あのルールだとレフェリーの介入が多すぎるし、あのストップ・ドントムーブは選手からも明らかに不評ですし。ただもう世界中どこでもMMAはケージですからね。いまさら「ケージとリングどちらか観やすいか?」という論議をすることもないと思いますし、まさか国際プロレス時代に遡って、一般視聴者にケージはショッキングだとか言う人もそんなにいないと思いますから。逆にキックやボクシングとの差別化、そして選手全体の競技面でも強化を考えたら、リングにこだわる意味はまったくないと私は思います。
――今回は、シュウさんがマネジメントする選手がケガやコロナで続々と欠場することになってしまって大変だったみたいですね。
シュウ 憂流迦選手もコロナで欠場。これも仕方ないんですけど、本人はギリギリまでやろうとしてたんですよ。
――感染時期からすると、回復すれば試合は出られなくもなかった日程ですけど……。
シュウ でもまあ現実的ではないですよね。ボクはコロナになった時点でダメだなと思ってました。そのあいだは全然運動できないし、対人練習もできないし、調整もできない。それに咳がずっと止まらなくて。だけども彼は陰性になったら、やりたいと言ってたんですけども。でも、保健所から「29日まで絶対に家から出るな」って言われちゃったんですよ。それじゃあ、もう無理じゃないですか、30日は計量なのに。
――そこでシュウさんがマネジメントする関(鉄矢)選手が代役として緊急出場と。
シュウ RIZINさんのほうから「関さん、どうですか?」という打診があって。関選手も1週間ばかり仕事が忙しくて、そんなに練習はできてなかったんですけど。キャッチウェイトならできるということで。あともうひとつ重要なのは、こういうときは無理して出るわけですから、次の試合も保証してもらったほうがいいですよね。
――ショートノーティスはただでさえ不利ですし。
シュウ だから今回関選手は2試合契約で受けましたよね。そうしないと、かわいそうじゃないですか、無理して受けて負けたら。
――関選手は先日の「ROAD TO UFC」で緊急オファーを受けたら、じつはパスポートが切れていた……という騒動があったばかりですけど、こういうチャンスが巡ってきて。試合もアグレッシブに戦ったことで評価を上げましたね。
シュウ 関選手はRIZINやDEEPでずっとコンスタントに試合をやれていて、試合も面白いんですけど。ただ勝ててないのがちょっと悔しいですけどね。
――もうひとつ残念だったのは、井上直樹選手が瀧澤謙太戦をケガで欠場と。・井上直樹は大晦日に間に合う
・神龍誠のUFC契約は?
・「元UFCファイター」に勝っても意味がない?
・LFAのギャラはPFLの10分の1
・タイガームエタイ分裂
・格闘技ジムにネーミングライツ
・Breaking Downとプロアスリート論……など15000字のMMAマシンガントークはまだまだ続く!
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パク・シウ「大人になってもMMAなんて一切知らなかった」
2022-08-19 23:27140ptスーパーアトム級GP準決勝に進出したパク・シウインタビューです!(聞き手/松下ミワ)【1記事から購入できるバックナンバー】・伊澤星花1万字インタビュー「やっぱり浜崎さんはカッコいいですよね!」
・強くてかわいくて極めれる17歳JK柔術家!! 須田萌里インタビュー
・次はベラトールのタイトルマッチだ! 渡辺華奈&上田貴央インタビュー
・【vs浅倉カンナ】SARAMI「彼女はもう、充分いい思いしたじゃん」
――浅倉カンナ戦では、パク・シウ選手の圧倒的な強さに驚かされました!
パク フフフフ、思いどおりにうまくいきました(ニッコリ)。
――浅倉選手のタックルにことごとく対処していたのが印象的でしたが、やはりタックルは想定済みだったんでしょうか?
パク タックル自体は絶対にくるとは思ってましたけど、カンナ選手は打撃もできる選手なので。もうちょっと打撃と混ぜて戦ってくるかなと思ってたんですが、思った以上にタックルに徹してきてた感じでしたね。
――それは、パク選手の打撃を避けたかったんですかね?
パク さあ、そこらへんはよくわからないですけど、それがカンナ選手の作戦だったのかもしれないです。ただ、カンナ選手とはけっこう練習も一緒にしていた仲で。トータル的になんでもうまいですし、打撃もレスリングもできる選手だと思って警戒していました。
――練習仲間だったとなると、浅倉選手との対戦が決まったときは、やはり複雑な心境がありました?
パク まず、ワタシが最初に聞いていたのは、トーナメントの1回戦は浅倉選手か浜崎朱加選手のどちらかという話で。なので、どっちも想定しながら練習していたんですけど、最終的にカンナ選手に決まって。正直、いつもの試合より緊張もしたし、集中もできなくて。それはやっぱり他の選手より親しいということもありましたし、ちょっと複雑ではあったのかもしれないです。
――ただ、結果的にはやりたいことは全部やれたという。
パク 今回、伊澤星花選手をのぞけば、日本人選手は自分よりキャリアのある選手ばかりだったと思いますが、いままでの試合の中では身体も軽くていいコンディションで、いいパフォーマンスができました。
――ちなみに、試合を見ていて気になったんですけど、パク選手へのセコンドの指示ってほとんど日本語でしたよね?
パク ニホンゴ、スコシ、ワカリマス(日本語で)。
――おお~!
パク 基本的に日本語と韓国語は単語が似ているのもありますし、山本美憂選手を含めてセコンドに入ってもらっている人とは普段からトレーニングしているので。まあ、言葉だけじゃなくても、ジェスチャーなどを見ればだいたいわかりますね。
――山本美憂選手とはクレイジー・ビーで一緒に練習されていますが、普段のコミュニケーションも日本語なんですか?
パク 日本語と、英語と、あとはボディーランゲッジです(笑)。もう、単語単語で。でも、日本語はいまだにうまいわけじゃないですけど、日本語ばっかり使っていたら、逆に英語が出なくなっちゃいました。もう英語は覚えてないです(笑)。
――そういうものなんですね(笑)。試合後のマイクも日本語でキメてましたが、「まだまだパク・シウはこれからです」と言われていて。本当に怖い存在だなと感じましたが、ご自身の中でもまだまだ未完成ですか。
パク はい。もっともっと怖くなります。でも、怖いのは試合でだけです(笑)。
――あ、普段はそんな怖くない?
パク フダンハ、ヤサシイデス(日本語で)。
――ハハハハハ! もともと、パク選手ってどういう性格なんですか?
パク ええっと、基本的には恥ずかしがり屋ですね。
――ああ、なんか無駄なことはしゃべらないみたいな雰囲気がありますよね。
パク でも、親しくなればけっこうフレンドリーです。でも、そこまでがちょっと時間がかかるかもしれません。
――そんなパク選手は、MMAをスタートしてからいまどのぐらいなんですか?
パク もう8年ぐらいです。
――プロフィールによると、一番はじめはテコンドーということですよね?
パク イチバン、ハジメハ、サッカーデス(日本語で)。
――え! サッカーだったんですか!? それは何歳ぐらいの時期に?
パク 10歳から14歳。
――へえ~! それは日韓ワールドカップの影響とか何かきっかけがあったんですかね?
パク いや、ユニフォームがかわいかったからです(笑)。
――あ、そんな理由で(笑)。
パク 当時、サッカーは選抜チームに入れるぐらいうまかったので、中学はスカウトで入学したんですけど、日本でいうところの……ヤンキー?
――ヤ、ヤンキーとは?
パク 中学でちょっとグレちゃいました(苦笑)。
――ああ、そういうことですね(笑)。
パク それでサッカーもやめて、学校もやめて。そのあとは日本でいう夜間学校みたいなところに通うようになったんですけど、そこではじめたのがテコンドーです。
――グレてやめたとはいえ、サッカーに未練はなかったんですか?
パク まあ、最初はあったんですけど、それより当時は遊ぶことのほうが好きだったので。あと、家族もあまりスポーツを勧めてなかったです。
――ただ、結果的にはスポーツを続けることに。
パク じつは、そのぐらいからもう一人暮らしをしていて。だから、テコンドーも含めて自分がやりたいことをやっていました。
――そこから大学までテコンドーに打ち込んで、そのあとはキックボクシングやってたんですよね?
パク 大学が4年制だったんですけど、また大学も1年で合わなくてやめてしまいました。
――またしても(笑)。
パク で、ワタシの地元はプサンなんですけど、そこからソウルに行ってテコンドーのコーチとして仕事をするようになって。そのときに趣味ではじめたのがキックボクシングです。当時22歳くらいですかね。ただ、キックボクシングをやってたと言っても、本気の殴り合いというよりは、ポイントゲームみたいな競技でした。
――顔面にヒットしたら何点とか。
パク そう。テコンドーがベースのルールだったので、それを“キックボクシング”と言っていいのかどうかはちょっとわからないですかね。
――そして、MMAをはじめたのは、大学時代の先輩に連れられてジムに訪れたのがきっかけだったと聞きました。
パク ハイ。その先輩が、いまのワタシの所属先であるTEAM MADに所属していて。それが24歳ぐらいの頃です。
――TEAM MADは、ハム・ソヒ選手が所属しているジムですよね。連れて行ってくれたのは女性の先輩だったんですか?
パク いや男性で、ジョ・ナンジンという選手なんですけど。日本でも修斗などで試合をしたことがある選手です。
――その当時、ジム内に女性の所属選手ってけっこういたんですか?
パク ハム・ソヒ選手だけでした。なので、女性ファイターはつねにワタシとハム・ソヒ選手のふたりでしたね。
――そういう中で、初めてMMAというのもに出会った印象はどうでした?
パク ワタシも練習に加わっていましたが、1年半ぐらいずっとボコボコにされてて。それも、ハム・ソヒ選手に(笑)。
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「私はビンスに襲われた……」元・女性レフェリー“2度目”の告白
2022-08-19 18:01140ptアメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは「私はビンスに襲われた……」元・女性レフェリー“2度目”の告白です!
<1記事から買えるバックナンバー>・ビンス・マクマホン不倫騒動、4人の女性と16億円の口止め料
・「カネを返さないならベルトを燃やす!」老舗インディ団体の嘘と愛の結末
・いったい何が? コロナ陰性「偽造」証明書の偽造事件?
・注射器を持ち込んだデスマッチファイター第2の人生、サムタック・ジャックの場合
「ビンス・マクマホンがどんなに卑劣な人間なのか、ずっと世の中に知らしめてやりたかった……」
こう語るのは、1980年代半ばにWWE(当時WWF)にとって“初めての女性レフェリー”、リタ・マリーとして活躍していたリタ・チャタートンさんだ。
今年6月、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、2019年から今年初めにかけてのビンス・マクマホンと40代の元女性社員との不倫口止め料支払いスキャンダルを報じた際、この暴露報道が世に出たことをリタさんは喜んだ。
現在、65歳となったリタさんには、忘れようにも忘れることができない36年前の嫌な出来事があったからである。
「ついにビンスの性的不正行為が明るみになったのね。ビンスから性的不正行為を受けたのは、この元女性社員と私だけではないはずです。まだ出てきますから」
リタさんの予言どおり、翌月7月8日、ウォール・ストリート・ジャーナルは、「過去16年で4人の女性たちに、16億円(1200万ドル)もの口止め料を払っていた」とする不倫スキャンダル告発第2弾を発表。
それを受け、7月22日、77歳を目前に控えたビンスが引退(辞職)宣言を発表したのは、皆さんすでにご承知のとおりであろう。
36年前の夏、1986年7月のある日、ビンスと2人きりのリムジンの車中で、リタさんはビンスにレイプされたのだった……。
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堀口恭司はなぜRIZINに帰ってきたのか
2022-08-18 15:54140ptこの記事は堀口恭司RIZIN参戦を語ったDropkickニコ生配信を記事にしたものですが、原型を留めていないどころか、インタビュー形式となっています(語り:ジャン斉藤)【1記事¥110から購入できるバックナンバー】・ボンサイ柔術「朝倉未来・ムサエフ攻略」の裏側■“怪物くん”鈴木博昭
・「勝ち方がわかりません……」コーナーマン八隅孝平が見た矢地祐介復活勝利の裏側
・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス
・RIZIN広報・笹原圭一のエンドルフィンマシーン的THE MATCH!!
――9月25日の超RIZINとRIZIN38の概要が発表されました。
斉藤 RIZINの“ポテンシャル”を感じるイベント詳細でしたね。
――2部構成で入れ替えなしの通しチケット。1部と2部のあいまにハーフタイムショーも予定されるとか。何をやるんですかね。
斉藤 こうなったらそこでRIZIN TRIGGERをやるしかないでしょう! 出場するのは“ポテンシャル”溢れる鈴木千裕やYUSHIと……。
――いいかげん怒られるよ! サプライズは堀口恭司のRIZIN復帰です。
斉藤 堀口恭司はベラトールから派遣されるってことですね。連敗した堀口選手はこれからどうするのかな?って気になってたんですよ。タイトルマッチで大逆転負けして、バンタム級GP1回戦で敗退。いまはバンタム級GP開催中だから、向こう1年は有名どころとの対戦が望めない。ベラトールもマッチメイクが難しくなったなと。
――キャリアにつながるカードが組みづらいわけですね。
斉藤 堀口恭司のRIZIN大晦日の参戦は想像はついたけど、9月に出てくるのは超センスありますよ。年末に噂されるRIZINとベラトールのクロスプロモーションの導火線にもなりますから。堀口選手の「9月→12月」の連戦の可能性は充分ありますよね。
――どういうかたちでベラトールが日本にやってくるかはまだわからないですが、やっぱり堀口恭司抜きでは考えられないですよね。
斉藤 というか、前回のベラトール日本大会ってゲート収入的に大爆死だったはずだからね……。
――ヒョードルvsランペイジ、MVP、マイケル・チャンドラーという高額物件揃い。トータルでいくらかかったのか……。
斉藤 ビックネーム揃いだけど、あくまでコアな格闘技ファンにとってですよね。外資の日本興行って全部失敗してるんですよね。10年代のUFC日本大会シリーズ、ONEの日本大会もねぇ……。PRIDEやRIZINは1万人規模イベントやってるから「俺たちもできる!」って思っちゃうんだろうなと。
――「なぜ外資の格闘技イベントは爆死するのか」という分析はまた後日ということで。
斉藤 RIZINとベラトールのコラボは確定的だから明かすと、ベラトールが単独で日本大会をやろうとした動きがあったんですよ。ちょっと無謀すぎて「正気か!?」って心配してたんですけど。
――そもそもなぜベラトール単独の計画が?・堀口恭司の○○は実現するか
・牛久絢太郎vsクレベル・コイケはどうなる
・中村倫也のEX FIGHT契約解除
・鈴木千裕とポテンシャル問題
・RIZINと給付金詐欺スポンサー……などなど1万字語りはまだまだ続く
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WWE総帥ビンス・マクマホン引退■斎藤文彦INTERVIEWS
2022-08-15 00:00140pt
80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマはWWE総帥ビンス・マクマホン引退です!
Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー
■新日本プロレスが丸ごと直輸入された『FORBIDDEN DOOR』
■新日本プロレスvsAEW「禁断の扉」の行方
■さらばストーンコールド、トリプルH、テイカー!! レッスルマニア38
■追悼“レイザー・ラモン”スコット・ホール
■【お家騒動】シェイン・マクマホンがWWEをクビに?
■対抗戦?交流戦?新日本vsNOAHから見えてくる2022年
■アメリカで英語化されたPURORESUプロレス
■AEWはWWEのライバルになりえるのか
■コロナに散った『ワールドプロレスリング』海谷ディレクターを偲ぶ
■前田日明の「噛ませ犬」だけではないポール・オーンドーフの功績
■WWE☓新日本プロレス業務提携の噂、その出元
■ドラマが現実化するプロレス版・星野源&新垣結衣は?■NWAの最期を看取った男ジム・クロケット・ジュニア
■ビンスの黒衣、猪木の親友パット・パターソン
■晩年のロード・ウォリアーズ
■ロード・ウォリアーズの衝撃
■追悼! 佐山タイガー最大の難敵・初代ブラックタイガー
■全女消滅後の女子プロレス新世界
■木村花さんはドウェイン・ジョンソンのようなスーパースターになるはずだった
■女子プロレスの景色を変えた女帝・ブル中野■マッハ文朱が女子プロレスというジャンルを変えた
■新日本プロレスの“ケニー・オメガ入国妨害事件”という陰謀論■WWEvsAEW「水曜日テレビ戦争」の見方■WWEペイジの伝記的映画『ファイティング・ファミリー』■AEWチャンピオンベルト盗難事件■「ミスター・プロレス」ハーリー・レイスの偉大さを知ろう■ウルティモ・ドラゴンの偉大なる功績を再検証する■都市伝説的試合映像ブレット・ハートvsトム・マギー、ついに発掘される ■【追悼・爆弾小僧】すべてはダイナマイト・キッドから始まった
■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」
■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期
■“怪物脳”に覚醒したケニー・オメガ■怪物デイブ・メルツァーと『レスリング・オブザーバー』■新日本プロレスのMSG侵攻は「WWE一強独裁」に何をもたらすのか■怪物ブロック・レスナーを通して見えてくる「プロレスの作り方」■追悼・マサ斎藤さん……献杯はカクテル「SAITO」で■皇帝戦士ビッグバン・ベイダーよ、永遠に■ジャイアント馬場夫人と親友サンマルチノ、2人の死――■ベルトに届かず…されど「世界に届いた中邑真輔」のレッスルマニアを語ろう ■ステファニー・マクマホン、幻想と現実の境界線がない生活■ロンダ旋風、中邑&ASUKAダブル優勝!! ロイヤルランブル1万字総括■アメリカンドリーム、ゴールダスト、コーディ……ローデス親子それぞれの物語■ジェリコvsケニー実現で考える「アメリカから見たプロレスの国ニッポン」■みんなが愛した美人マネージャー、エリザベス!■職業は世界チャンピオン! リック・フレアー!!■怪死、自殺、大事故……呪われた鉄の爪エリック一家の悲劇■ミスターTからメイウェザーまで! WWEをメジャー化させたセレブリティマッチ
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■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……
■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜
■伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』
■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い
■ジェイク“ザ・スネーク”ロバーツ…ヘビに人生を飲み込まれなかった男■追悼ジミー・スヌーカ……スーパーフライの栄光と殺人疑惑
――今回はWWE最高経営責任者ビンス・マクマホンの引退についてお伺いします。フミさん、大変なことが起きてしまいました。
フミ 大変な事件というか、歴史的な出来事ですね。でも、ビンス・マクマホンは77歳という高齢ですから、この日はいつかはやってくるものだったのでしょう。
――ただ、まさか不倫騒動がきっかけになったのは意外でした。
フミ そういったやや意外な衝撃はありました。アメリカ国内では今回のこの不倫騒動は大きなニュースになっていました。いわゆるセックス・スキャンダルですね。不倫騒動そのものよりも、事実関係が判明しているところでは過去16年間に4人の契約タレント、元社員らにそれぞれ100万ドル単位の示談金が支払われていた(そのうちのひとりには750万ドル)。そこに注目が集まっていた。それは法的には示談金、慰謝料といった名目になるし、ビンス的には手切れ金、口止め料ということになるのでしょう。『ウォールストリート・ジャーナル』紙の記事によれば合計12ミリオン超(1200万ドル以上)。いまは円安ですから合計18億円ぐらいですか。今回、問題になっているのはそのお金の出どころです。この示談金の支払いにWWEの資金が使われたかどうかですね。会社のお金を使っていたとすると特別背任罪などに問われる。
――個人のお金であれば問題はなかった。それでもその金額には卒倒します(笑)。
フミ WWEは株式を公開している上場企業ですから、年に4回、四半期ごとに1ドル1セントの単位までその収支が株主に公開されます。そこで会社のお金をそういうことに使ったとなると、共同オーナーでありCEO(経営最高責任者)であり大株主であるビンスが会社の資金を私用に横領したかたちになってしまうんですね。ただ、ビンスを擁護する立場があるとすれば、金額そのものはそれほどではなく、帳簿上の支払いの名目について比較的どうにでもなる……という論法が成立しないこともない。ちなみに公開されているWWEの株式のうち現在のビンスの持ち株の総額は2.4ビリオン(24億ドル)、日本円で約3268億円といわれています。
――すごい金額!
フミ リンダ・マクマホン夫人の持ち株の総額は2.6ビリオン(26億ドル=約3536億円)で、ビンスのそれをやや上回っている。長女ステファニー、その夫のトリプルHはそれぞれ150ミリオン(1億5000万ドル=約204億円)の株式を保有しています。
――その規模からすると10億円ぐらい……ってなっちゃいますね。
フミ 実際に会社のお金を使ったのかどうかはまだわかりませんが、FBIや検察サイドではそういう見立てができあがっていて、新聞メディアの記事もそれなりの裏づけがあるのでしょう。ビンス自身はまだ逮捕されたわけではないけれど、逮捕・起訴されて裁判になる前に経営最高責任者の座から退いたという見方が一般的です。今回の退陣は7月22日の金曜の午後1時にビンス自身のツイッター・アカウントで突如発表されました。そして同日、その7時間後にオンエアされた『フライデーナイト・スマックダウン』の生番組冒頭にステファニー・マクマホンが登場してきて「本日、父がリタイアしました」と正式発表したわけです。
――そのときビンスは出てこなかったんですね。
フミ ビンス本人は番組には出てこなかったのですが、そこがプロレスファンの防衛本能みたいなところなのかもしれないけれど、この正式発表さえもアングルだろう、新しいストーリーラインだろう……と思っちゃった人たちが一定数いました。日本のプロレスファンもそうかもしれないけれど、なんでもかんでも疑っちゃうクセがありますよね。
――しかもWWEはこの手のストーリーがあたりまえでしたし。
フミ もしくは引退とはいっても、どっちみちバックステージではWWEのテレビ番組をプロデュースし続けるでしょ……という見方もあるのですけが、ボクは今回は本当にビンスは引退したと考えています。ビンス自身がつねづね苦手だと公言していたツイッターを使って、わざわざ全世界に向けて同時発信したことも重要なポイントです。
――なるほど。ツイッターからの発信がポイントなんですね。
フミ いまから20年ちょっと前でしたか、いよいよネットの社会になった時点でも「インターネットって何?」っていう程度の理解というかスタンスだったんですね。ソーシャルメディア、日本でいうところのSNSに関しても同じで、ビンスはわりとメディアの進化・発展に無頓着なところがあった。そのビンスが今回はツイッターを公式アナウンスの場所に選んだ。
――不倫騒動が初めて流れた6月17日翌日の『スマックダウン』には、ビンスがオープニングに出てきて。不倫には触れずに挨拶しましたが、あれがWWEにおける最後の登場になりましたね。
フミ あのときはまだ「俺は全然元気だよ」みたいな感じで、ビンスがライブに出てくれば、会場のお客さんからはやんやの大喝采を浴びますよね。世間を敵に回しても、会場に集まってくれる2万人超の観客はやっぱり自分の味方なんだということを確認したわけです。
――猪木さんの政界スキャンダルのときもそんな感じでしたね。世間からは叩かれていたけど、新日本の会場に来れば歓声を浴びると。
フミ そこはプロレスファンのいいところだし、プロレスファンは一般世間的にはちょっと虐げられている場合があるので、試合会場、つまりライブ空間ではそういう仲間意識がおたがいを支え合うというか、共有する思いを持った人たちが同じ場所に集っている。だからビンスにブーイングを浴びせる観客はほとんどいないというのもまぎれもない現実でしょう。
――フミさんは完全に引退だとおっしゃっていましたけども、ビンスはWWEの筆頭株主のままではありますね。
フミ 会社の役職を降りたとしても持ち株は保有しつづけるだろうし、大株主であることに変わりはない。もう無理に働かなくても暮らしていけるわけですから、本人がそのつもりなら本当はもうちょっと早く引退はできたのでしょう。ビンスは1945年8月生まれの77歳です。第二次世界大戦の終戦のときに生まれました。
――そんな翁が現代プロレスをプロデュースを指揮していたのは奇跡ですね。
フミ ずいぶん長くやりましたよね。お父さんのビンス・マクマホン・シニア(ビンセント・ジェームス・マクマホン)が大プロモーターだったことから、日本の活字メディアではかなり長いあいだ、ビンス・マクマホン・ジュニア(本名ビンセント・ケネディ・マクマホン)と表記されていましたが、70年代にビンスがWWFの実況アナウンサーだった時代から、アメリカのテレビ番組の画面上のテロップには「ジュニア」が付けられていたことはないんです。
――経営者としてはビンス・マクマホンであり、WWEの登場人物としてはミスター・マクマホン。
フミ 1982年6月、ビンスが36歳のときにお父さんのシニアからWWE(社名はキャピタル・レスリング・コーポレーション)を買いました。譲渡されたわけではない。当時のお金で35万ドル(約4000万円)といわれていますが、シニアから正式に会社を買い取った。そして、“1984体制”から興行テリトリーを従来の東海岸エリアからいっきに全米マーケットへと拡大して、アメリカというよりも世界のプロレス界に革命を起こした。それでもライバル団体WCWを買収して全米完全制圧に成功したのは2001年ですから、ビンスの力をもってしても世界征服には20年近くの時間がかかったということですね。
――それから20年近く経った2022年にビンスが引退すると。あとを引き継ぐのは娘のステファニーですが、トリプルHの健康状態がよくないこともあって、ちょっと前に休養を発表したばかりでしたね。
フミ 今回の新人事とその新体制発足を受けてステファニー&トリプルH夫妻が現場に復帰することになりました。すでに発表されている新人事は、ステファニー・マクマホンとニック・カーンの2名の共同CEO(経営最高責任者)就任です。
――AEWオーナーがトニー・カーンだから紛らわしいですけど、WWEのほうはニック・カーンですね。
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