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  • 高木三四郎大社長がやってきた■松澤チョロの脱線プロレス

    2023-09-06 21:11  
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    元『紙のプロレス』編集者・松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第11弾。今回はDDT、ノア、東京女子を束ねるサイバーファイト代表取締役、高木三四郎さんがゲストです!(聞き手/ジャン斉藤)

    【1記事から¥110から購入できます!】・【月刊FANZA編集長】プロレスとアダルトビデオ■松澤チョロの脱線プロレス
    ・今成夢人のファンタスティックな話■松澤チョロの脱線プロレス
    ・タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」
    ・辻結花、星野育蒔…みんながスマックガールに夢見た時代■篠泰樹☓松澤チョロ



    ――今回の「松澤チョロの脱線プロレス」のゲストは、なんとサイバーファイトの高木三四郎大社長です!
    高木 よろしくお願いします!
    チョロ いやあ、こんな企画に大社長に出てもらうなんて、なんだか申し訳ないです!
    高木 全然ですよ。チョロさんに久しぶりに会いたかったですし。
    ――2人が会うのは久しぶりなんですか?
    高木 いや、もう10数年ぶりかもしれない。でもなんか電話で喋った気はするんだよね。
    チョロ 電話で話しましたっけ? ボクは覚えてないんだけど、初期カミノゲで対談をやったような……。
    高木 えっ、そうでしったけ?(笑)。
    ――サイバーファイトの事務所に来る途中に「そういえば……」って突然言い出したんですよ(笑)。
    高木 うーん、やってないはずですね。
    チョロ ホントですか? やった記憶があるんだよなあ。
    ――とりあえず「やってない」ことで進めましょう!(この取材後、じつはやっていたことが判明。みんな歳のせいかボケている!)。
    高木 チョロさんの動向はチェックしてるんですよ。結果的にチョロさんがメインテーマになるロフトのトークイベントとかあるじゃないですか(笑)。ああいうやつは追っかけてます。
    ――イベント中にチョロさんが泥酔して主役になってしまうやつですね(笑)。
    チョロ ……お恥ずかしいです。 
    高木 いやいや、チョロさんはすごい頑張ってるなあって。チョロさんの話は(マッスル)坂井経由で聞くことが多いんですよ。電話で喋ったのはチョロさんが新潟に行ったときじゃないですかね。
    チョロ あ、10年前くらいかなあ。当時のボクは新潟に彼女がいて、金がないから自転車で会いに行く……みたいな話がSNSで盛り上がりましたねぇ。
    高木 そんな感動ロードムービーがありましたよね(笑)。
    チョロ テレビ東京の貧乏番組でも取り上げられて、出演していたケンコバさんが「あ、紙プロのチョロだ」ってボクのことを知っててくれたんですけど(笑)。そのとき高木さんがSNSでコメントしてくれた記憶があります。
    高木 そうそう。坂井も新潟だから話を聞いて「チョロさんよかったねえ」って感動したんですよ。
    チョロ でも、その彼女とはうまくいかず、のちに結婚詐欺じゃないけど、訴えるみたいな物騒な話になって……。
    高木 えっ、そんなことになってたんですか!?
    チョロ どうやら怒ってるらしいという噂は耳にしてたんですけど、わりと最近、放置しまくってた郵便物を何年ぶりかで整理してたら内容証明付きの郵便を見つけて「これがそうだったんだ!」って。結局それ以上のことは何も起きなかったんですけどね……。
    高木 そんな後日談があったんですね……。
    ――ションボリしちゃう対談に始まりですね(笑)。
    高木 まあ、何が起こるかわからないところがチョロさんを見逃せない理由かもしれないですね。
    チョロ ボクも何か起こしたいわけじゃないんですけどね(笑)。
    高木 あとジャンさんのツイートは、ボクの中ではプロレスリング加藤さんと同じくらい重宝してまして(笑)。
    ――プロレスリング加藤さんとは、某音楽アーティストのプロレス専用アカウントですね。ちょっと前に清宮海斗の新日本での試合順で炎上気味だった(笑)。
    高木 プロレスではプロレスリング加藤さん、格闘技界隈ではジャンさんが発信するニュースが幅広いし、わりと純粋度が高いというか、なんて言ったらいいんですかね。
    ――ボクは基本的にミーハーなので、マニアじゃなくても興味のある格闘技関連のニュースを拾ってる感じはありますね。
    高木 すごいサクサクっと入ってくるんですよ。
    ――そう言われると今後は迂闊なことを書けないです!(笑)。高木さんと松澤さんでボクが覚えてるのは紙プロ時代、松澤さんが高木さんのコラム担当だったときにとんでもないミスをしでかしたと。
    高木 ああ、その件なら俺は全然怒ってないんですけどね。
    チョロ 高木さんはビッグハートなので、それほど目くじらを立ててなかったみたいですけど。何があったかといえば、高木さんのレギュラーコラム原稿を勝手に改変して「今回を持って終わりにさせていただきます」と最終回にして……。
    高木 そうそう(笑)。
    チョロ あのときはホントに申し訳ありませんでした! 大作家だったら大問題ですよね。
    ――いや、大作家じゃなくても大問題ですよ!(笑)。
    高木 あれ、なんであんなことになったんでしったけ?
    チョロ ボクが借金問題とかで個人的にテンパってたのと、性格的な問題もあって、コラムのリニューアルで終わらせなきゃいけないけど、高木さんに「今回で連載が……」って言い出しづらく。それで勝手に書き直したっていう我ながら超酷い話で。
    高木 ああ、そうでしたっけ。全然気にしてないですよ。
    チョロ 発売されるまでには言おう言おうと思ってたんですけど、なかなか言えないまま見本誌が刷り上がってきて、それを目にしたマッスル坂井さんが「これヤバくないですか?  謝った方がいいですよ、絶対」と。男色ディーノさんと坂井さんに言われて、高木さんに謝りに行ったんです。
    高木 ボク、怒ってました?
    チョロ いや、そんなに怒ってないです。
    高木 でしょ? たぶん坂井がたぶん話をめっちゃ面白くしてますよ。
    チョロ それはあるかもですね(笑)。
    高木 坂井が「これはヤバイですよ、めっちゃ怒ってますよ!」って煽ることで、ホントに誰かが怒ってることってないですから(笑)。あとボクは何事にもそんなに怒らないですよ。
    ――たとえばマスコミに何か怒ったことはないんですか?
    高木 それはもう『週刊プロレス』さんの菓子折り事件。
    チョロ あれですか! ボクがコラムの件で謝りに行ったときも菓子折り持参だったんですけど(笑)。菓子折り事件って2002年のことだから20年以上前の出来事ですけど、きっかけって最近とある件に巻き込まれた新藤(力也)リングアナなんですよね。
    高木 そうそう。新藤リングアナが『週刊プロレス』さんの編集部を訪問したときに、菓子折りを持参したんですよ。そうしたら当時の佐藤(正行)編集長がその菓子折りを賄賂的なものだと位置づけて。
    チョロ たぶんターザン山本さんがお金で動くような編集長だったから、必要以上に敏感になっていたのかもしれないです(笑)。
    高木 当時のDDTって『週プロ』にカラー1ページもしくはモノクロ2ページあるかないかの扱いだったんですよ。まあそれは小さな団体だから仕方ないんですけど。そのカラー1ページの試合レポートで、その菓子折りのことを佐藤編集長がクドクド書くんですよ。「こんな菓子折りは本来なら必要ない」みたいに(苦笑)。
    ――さすがターザン山本の遺伝子を受け継ぐ最後の『週プロ』編集長、面倒くさくて最高ですね(笑)。
    高木 さすがにあのときは激怒したんですよ。だって、そんなことより試合レポートを書けよって話じゃないですか。それでDDTの興行の中で文句を言って、取材に来てた『週プロ』の記者やカメラマンに「編集長に言っとけ!」と。そうしたら本当に伝えたらしくて(笑)、今度は編集後記にまたクドクド書かれたんですよね。
    チョロ 佐藤さん最高ですね!
    高木 今度はボクがブログでガーって言い返したんですけど、いつになっても終着点が見えないじゃないですか。相手がプロレスラーなら試合で決着をつければいいんですけど。終着点のないもので揉めていても意味ないし、どうにかしなくちゃいけないなって考えて。サムライTVに自分と佐藤編集長の討論番組を放送してくれとオファーしたら、サムライが乗っかってきて「やりましょう」と。
    チョロ そこで佐藤さんが出演するのも面白いですよ。
    高木 ホントそうなんですよ。佐藤編集長は受けないと思ってたら普通に出てくれたんですよね。こうなったらこれはこれでは真剣勝負だし、言い負かされたら終わりじゃないですか。ボクはこういう討論は得意ではないですけど、理論武装をいっぱいして臨んだら、向こうは全然「やってやるぞ!」というテンションじゃなかったんですよ(笑)。なんかボンヤリしてましたねぇ。
    ――ジャイアント馬場さんと異種格闘技戦で戦ったラジャ・ライオンじゃないですけど、「勝つ気はあるのか」と。 
    高木 ボクが「公称10万部の雑誌があんな発信をするのはどうなんですかね?」みたいな感じで言ったら、佐藤さんはしどろもどろで。司会やってもらった三田佐代子さんもなぜか私側につきましたからね(笑)。
    ――佐藤さんは表に出てくるのは大好きなんですけど、いかんせん呑気なんですよね。ミスター高橋さんの本が世間を騒がせたときも一般誌から取材に『週刊ゴング』側はノーコメントで通したのに、よせばいいのに佐藤さんは取材を受けたり(笑)。
    高木 こっちが困ることになるとすれば、編集長の編集権は雑誌においてすべてですから、佐藤編集長が「いや、何を載せるかはボクが決めたことだから、『週プロ』はこれで行くんだ」って言われたら討論は終わってたんですよ。でも、変な言い訳から始まってたので、ボクとしては助かりました(笑)。
    チョロ そのあとDDTの興行でネタとして佐藤さんが出てきたことがありましたよね。
    高木 やってます。ボク的には討論番組で編集長を一方的に悪者にしただけで終わるのは正直申し訳ないなと。リカバリーをしたかったから、一宮(章一)さんのアイアンマンマラソンだったかな。最後に佐藤さんが出てきて花束を渡してもらったんですよね
    チョロ ちゃんとオチをつけたんですね。そのときの怒りはDDTが軽く見られてたって意識もあったからですか?
    高木 それはもう旗揚げからありましたね。でも、いまのスタンスになってわかることもあって。あの時代にデビューして1年ちょっとの新人選手が「俺ら団体を旗揚げします」と言ったところで誰も取り上げてくれないですよ。それはいまだからわかるんですけど、当時は妙な正義感と反骨心で満ち溢れていたから。それがエネルギーになって、DDTをここまで大きくできたところはありますね。
    チョロ 当時のブログを見たら、新藤さんは木村浩一郎さんの指示で『週プロ』とかマスコミ各社に「取材に来てください」という電話していたそうですけど。紙プロには一度もそんな電話はなかったので、マスコミとして認められてないというか(笑)、まあそこまで利用価値がなかったこともあるんでしょうけど。
    高木 それは単純に紙のプロレスさんのことをそこまでわかってなかったところもあったし、どちらかというと格闘技寄りの雑誌という印象があったんですよ。
    ――創刊号の表紙は幽霊姿のターザン山本なんですけど、基本は高田延彦vsヒクソンが売りでしたね。高木さん、代々木の紙プロ編集部に来られたことがありますよね。
    高木 ボクが当時やってた名刺屋が編集部の近くにあったんですよね。編集部に行ったときに山口(日昇)さんに言われたことは忘れてないですよ。「いや、DDTは敷居が高いから」と。なんだよ、敷居が高いって(笑)。
    チョロ 嫌味に聞こえますね!(笑)。
    高木 心にグサっと来ましたけど、山口さんの言いたいこともわかったんですよ。当時のDDTは追っかけるほどのものでもないし、誰かメジャーな選手が出てるわけでもない。「やっぱりそうだよな」と思いつつも、このままじゃいけないなと。ちょっとずつ知名度のある人を入れたりしたりの繰り返しですよね。あの当時、相手にしてくれるメディアの人って少なかったんですよ。当時の『週プロ』だと鈴木健さん、河野哲也さん。
    チョロ うわー、河野さん、懐かしい!  まあまあ問題起こしてたことでお馴染みの(笑)。
    高木 紙プロだとチョロさんとジャイ子さんですよね。おふたりは変わりばんこぐらいに取材に来てくれたイメージがすごいあって。本当に嬉しかったですし、あの当時DDTをちゃんと見て書いてくれた人はすっごい少なかったから、そこの恩義はいまでもありますよね。
    ――チョロさんが取材してなかったら紙プロってDDTを取り上げてなかったかもしれない。
    チョロ これは後々気づいたけど、ボクがめっちゃプッシュすることによって吉田(豪)さんも見に行ってくれて。自分自身は力不足でDDTの魅力を届けられなかったかもしれないけど、吉田さん経由とかでサブカル方面に伝染したのはわりとよかったのかなと。・ハッスルとマッスルを繋げた松澤チョロ
    ・高木大社長のハッスル再評価
    ・「昔のDDTとは変わった」論
    ・飯伏幸太について
    ・GLEATと九州プロレス、ブレイキングダウン
    ・伊藤麻希は真っ先に吉田豪に相談した……16000字の脱線プロレストークはまだまだ続く

    この続きと金原正徳、ドーピング、太田忍、長井満也、高木三四郎…などの9月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事16本」の詰め合わせセットはコチラ 
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  • 【月刊FANZA編集長】プロレスとアダルトビデオ■松澤チョロの脱線プロレス

    2023-07-26 14:16  
    200pt

    元『紙のプロレス』編集者・松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第10弾。今回は『月刊FANZA』編集長の大木テングーさんさんがゲストです!(聞き手/ジャン斉藤)

    【1記事から¥110から購入できます!】・今成夢人のファンタスティックな話■松澤チョロの脱線プロレス
    ・タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」
    ・辻結花、星野育蒔…みんながスマックガールに夢見た時代■篠泰樹☓松澤チョロ

    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス



    ――今回の「松澤チョロの部屋」は、アダルトビデオマガジン『月刊FANZA』編集長の大木テングーさんがゲストです。大木さんはプロレス格闘技ファンであり、チョロさんの観戦仲間であり、Dropkickユーザーであると。
    大木 はい(笑)。チョロさんには『月刊FANZA』の原稿もお願いしていますね。
    チョロ いろんな意味でFANZAさんにはお世話になってます! 
    大木 今日はよろしくお願いします……って何を話せばいいんですかね?
    チョロ プロレスとアダルトビデオ(AV)って親和性が高いって昔からよく言われるじゃないですか。
    ――猪木さんは「戦いはセックスと同じだ」と言ってますね。
    チョロ ブル中野さんも「プロレスはセックスである」と言ってる。たしかに言わんとしてることはわかるけど、オレはそこは違うと思ってて。
    ――猪木さんとブル様に物申す松澤チョロ!(笑)。
    チョロ だってAVって基本は他人に見せるもんじゃん。でも、セックスはやっぱり見られることを意識してやるものじゃないし。
    大木 いきなり深い話というか、チョロさんのセックス論!  今日、ボクは必要でしたかね?(笑)。
    チョロ なのでセックスじゃなくて「AV=プロレス」のほうがしっくり来るというか。やっぱり視聴者を楽しませるってのが前提にありながら、その中でリアルなことが起きちゃうこともあったり。だからオレは、ながえスタイルという団体の作品が好きで……。
    大木 ながえスタイルはプロレス団体じゃなくて、AVメーカーですよ(笑)。 
    チョロ そうなんですけど、自分にとって、ながえスタイルは信頼がおけるというか、キレイだったり、かわいい女優さんが出るからって見るわけじゃなくて。作品にリアリティが感じられて好きっていうのが前提にあって。それは内容がハードとかじゃなくてね。
    大木 ながえスタイルはドラマの完成度が高く、リアリティがありますよね。ちなみにいまのAV界の主流はドラマなんですね。逆にいわゆる女優の素顔を見せるようなドキュメンタリーはあんまり流行ってないです。
    ――リアリティのあるドラマは好まれるけど、リアルなドキュメンタリー系が売れないのは面白いですね。
    大木 ここ数年でAV女優の表現力が向上したというのもあるし、SNSを見れば女優の素顔は充分見れますからね。アイドルと同じで、それ以上の闇や業みたいなものは見たくないでしょう。で、なんの話でしたっけ?(笑)。
    ――松澤さんの推しのプロレス団体は、ながえスタイルだって話です(笑)。
    チョロ 間違いではない(笑)。プロレスとAVって世間からいろいろと言われがちなジャンルなんだけど、プロレスのほうでもAVに距離が起きがちだったときもあったというか、プロレスでも下に見ていた時代はあったよね。そこでパッと思いつくのは、東城えみの騒動かなあ。新木場1stRINGでドレイク森松と「負けたら即AVデビューマッチ」をやって。東城えみが負けて、そのままリングでAV撮影。そうしたら当時新木場1stRINGを道場兼ホームリングにしていたJDスターが「AV撮影するなんて聞いてない」と猛抗議したやつ。
    ――「神聖なリングで!」とけっこうな騒ぎになりましたね。
    大木 ただ、メーカー側は「事前にAV撮影の許可を取ってる」と主張してるんですよね。そのメーカーはナチュラルハイというところで、そのへんはしっかりしてるメーカーなんですよ。たとえば海外まで行って飛行機をチャーターして、その中で痴漢AVを撮ったり。
    ――そういう話を聞くと、何か事実かはボンヤリ見えてきますね。
    チョロ 問題になった東城えみの作品はお蔵入りになったんだけど、ドレイク森松戦を撮り直して発売してるんですよね。ドレイクさんはこの件がきっかけでいったんプロレス界からフェードアウト、東城さんはその後もけっこうAVに出演してたんだけど。10年前くらいにロッシー小川が「東城えみがスターダムの会場に子供連れて見に来た」というツイートをしてて。いまは落ち着いてるんだと思ってたら、そのあとも母乳モノや妊婦モノで何本かAVに出演してるんだよなあ。
    大木 東城えみにめちゃくちゃ詳しい!(笑)。
    ――AVかポルノか不明ですけど、プロレスラーが初めて出演したのは元全日本プロレスのサムソン・クツワダさんかなと。カミプロで吉田さんが取材したときの担当がボクだったんですが、クツワダさんは「軽い気持ちで出たら、奥さんにメチャクチャ怒られた」とあっけらかんと語ってて。
    チョロ あとサスケさん名義の作品もあるんだけど、本人は認めてないんだよね(笑)。
    ――タイトルは『サスケのジュニアはヘビー級チャンピオン』ですよね。あれ、岩手県議員時代に発覚したんですけど、議員前の作品だから蒸し返す必要は問題はなくて。でも、当時のサスケは覆面登庁からはじまってマスコミのターゲットになっていたし、またサスケの対応が記事にしやすいんですよね。AVについても「まったくの別人。何者かが仕組んだとしか思えない」と否定したり(笑)。
    チョロ さすがサスケさん(笑)。でも、本人なんでしょ?
    ――その作品で共演した男優のミートボール吉野さんが「サスケさん本人だった」と撮影の状況も含めて具体的にに証言してますね。
    チョロ 最近も出演疑惑のある有名女子格闘家が「私は出てない」と言ってたしなぁ。まあでもサスケさんくらいゴシップ慣れしていても、政治家という立場的にAV出演は認められなかった時代だったんだろうなぁ。有名男優だったチョコボール向井さんが新生FMWでデビューしたときも、最初の頃は邪道・外道にボコボコにされてるんだよね。で、1回離脱して鍛え直して再チャレンジしたとか。エンタメ路線の新生FMWですらそんなに厳しいんだって。
    ――そのへんは時代と共に緩和されていったというか、00年代・中盤からプロレスとAVの距離は狭まっていくんですよね。新日本の練習生だったチョコさんが新日本のリングで永田(裕志)さんとシングルをやったり、武藤・全日本がAVメーカーのS1とコラボして後楽園ホールで興行をやって女優さんもたくさん出てきたり。
    チョロ そんなのあったなあ。武藤敬司引退DVDボックスに収録されてほしい! 無理かな(笑)。
    大木 新日本プロレスのレッスルランドにも夏目ナナがマスコット的に登場したことがありましたよね。あとプロレス関連で他にもいろいろと出ていた。
    ――夏目ナナに対してプロレス関係者からの「おじさん構文」メールラッシュが凄かったという噂は聞いたことあるなあ。<14000字対談はまだまだ続く>


    この続きと極真幻想、三崎和雄、新生K-1、アダルトビデオ……などの6月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事14本」の詰め合わせセットはコチラ
    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2160042
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  • 今成夢人のファンタスティックな話■松澤チョロの脱線プロレス

    2023-05-17 09:56  
    180pt

    元『紙のプロレス』編集者・松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第9弾。今回は今成夢人さんがゲストです!(超たまに聞き手/ジャン斉藤)


    【1記事から¥110から購入できます!】・タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」
    ・辻結花、星野育蒔…みんながスマックガールに夢見た時代■篠泰樹☓松澤チョロ

    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス

    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」



    チョロ 今成さん、お久しぶりです。それにしても完全に売れちゃいましたねぇ!今成 いやいや、全然まだまだですよ。
    チョロ いや、だってメインのガンプロではチャンピオンになりましたし、DDTではフェロモンズとして大活躍、先日は新日本プロレス主催のジュニアの祭典まで出場されて、おまけにリング外では日活ロマンポルノにまで出演されてるし、俺の中では売れっ子レスラーの一人ですよ!
    今成 まあ、たしかに、いろいろとやらせてもらってはいますね。
    チョロ 今成さんって、以前Dropkickでインタビューを受けたことがあるんですよね。
    今成 ボクがガンバレ☆プロレス2年目のときですね。けっこう前ですよ。
    ――調べたら、もう9年くらい前ですね。今成さんが撮った学プロの作品をとっかかりに。
    今成 あ、そうでしたね。ボクが多摩美術大学の卒業制作で撮った『ガクセイプロレスラー』を評価していただいて。
    チョロ ここ数年は所属団体の関係で、ちょっと距離ができちゃってるみたいですけど、橋本さん、だいぶ前から今成さんを評価されてましたからね。
    今成 そうなんですよ。橋本さんも映画とかもすごく好きな人なんで。
    チョロ 自分が注目し始めたのは、今成さんが2015年にアウトサイダーに出たときなんですよ(笑)。もちろん、その前から存在は知ってはいましたけど。
    今成 あそこですか!(笑)。
    チョロ もともと会場までプロレスを観に行くようなタイプではなくて。マッスル坂井さんのマッスルとかは大好きだったんだけど、アウトサイダーも1回も見たことがなかったんですよ。でも、今成さんが出るならってことで会場に行ってみたら、もうかなりのロングロング興行で(笑)。
    今成 あのとき8時間くらいありましたよね(笑)。
    チョロ そうそう。いまになってみると朝倉兄弟が出ていたり......。
    今成 堀(鉄平)さんも出てたし、メインは啓之輔vs黒石高大ですよ。
    チョロ それこそいまブレイキングダウンに出てる人気選手がほぼ全員揃っていたんですよね。でも、当時の自分はそこには興味がなくて、会場の外に出て時間を潰したり。ぶっちゃけ今成さん以外では、大井洋一さんの試合しか記憶がないです(笑)。
    今成 あ~、大井さんも出てましたよね。人気だった朝倉兄弟も興味なかったんですか?
    チョロ あのときはピンと来てなかった。見る目がないってことですね(笑)。そこで今成さ
    んとはなんとなく知り合いになって......。
    今成 そこからですよね。チョロさんと飲み会でたまに会うのは。
    チョロ 今成さんがアウトサイダーに出たときって『KAMINOGE』でもけっこう煽ってましたよね。
    今成 『KAMINOGE』で前田(日明)さんとも対談したんですけど、いい感じでお膳立ての記事になるのかと思って大家健とリングス事務所に行ったら......前田さんに説教でフルボッコにされるっていう。あれはもう本当に恐ろしい体験でしたよね......。
    チョロ 前田さんから「プロレスをナメるな」と説教されて。
    今成 前田さん、日本刀を収集してるじゃないですか。その日本刀で斬りつけられるんじゃないかって迫力で(苦笑)。
    チョロ 当時アウトサイダーは人気があったから話題性もありますけど、格闘技に出るってことは強さに対するコンプレックスもあったりしたんですか? 今成さんは高校時代はレスリングをやってましたよね。
    今成 その憧れはやっぱりありますよ。ただ、いちおう高校ではレスリング部だったけど、インディーズ部活だったんですよ。部自体は全然強くない。ボクが通っていた八王子高校は、小川直也さんの出身高校だけあって柔道はめっちゃ盛んだったんです。
    チョロ あ、小川さんの後輩なんだ。
    今成 で、パンフレットにレスリングがインターハイ出場と書いてあったから、レスリングも強いんだろうと思ってたら、部員が誰もいない。調べたらどっかのクラブの強い人が所属として出場したらインターハイまで行っちゃったみたいな。顧問の先生もただのプロレスファンで(笑)。
    チョロ それはそれで楽しそうですけど(笑)。
    今成 そうなんですよ。それはそれでいい思い出なんですよ、いまとなっては(笑)。
    チョロ レスリング部に入ったのはプロレス好きの延長とかで?
    今成 そうですね。プロレスファンとしては、新日本の第3世代直撃なんですよね。
    チョロ まあ年齢的にそんな感じですよね。実際にリングで絡んだ大谷(晋二郎)さんや高岩(竜一)さんの試合はファンとして見てて。
    今成 完全にあの時代です。プロレスファン上がりで多摩美術大学に進むんですけど、武蔵野美術大学の芸祭でやっていたアントーニオ本多さんの学生プロレスに衝撃を受けたんですよね。
    チョロ それは入学後ですか?
    今成 いや、入学前です。武蔵美のどの展示物よりも本多さんのプロレスに一番芸術を感じたんですよ。本多さんは卒業しているけど、プロのレスラーでもなんでもなくて単なるプー太郎だったんですけど(笑)。試合はアントーニオ本多vs長州ミキティだったんですよね。
    チョロ あ、長州ミキティは『カミプロ』の掟(ポルシェ)さんの連載で取材してますよ!(笑)。
    今成 ホントですか(笑)。
    チョロ 長州ミキティはそこまでバズってたわけじゃないし、なんでアンテナに引っかかったかは覚えてないけど、学プロの女子レスラーってことで取材して。
    今成 本多さんがすごいってところもあったんだけど、長州ミキティも同じくらい素晴らしくて。長州ミキティは女子学生プロレスラーの元祖みたいな感じだったんです。
    チョロ 女子・学プロの元祖!取材した俺は見る目があったかもしれない(笑)。
    今成 たぶん元祖。当時は女子で学生プロレスをやるって人っていなかった。
    チョロ いまでこそスターダムに学プロから入ったりとかありますよね。
    今成 そうそう、フェラりさが卒業後、スターダムに入る時代じゃないですか。あのときは長州ミキティ以外に松浦あじゃっていう女子レスラーも......
    チョロ あ、たしか松浦あじゃも取材現場にいたなあ。しかし、長州ミキティに松浦あじゃって時代を感じるリングネームだ(笑)。
    今成 ボクのリングネームは「金的桜ヶ丘」ですけど(笑)。ムサビの女の子がアントーニオ
    本多相手に試合をしているって面白くないですか? 長州ミキティや松浦あじゃはセンセーショナルでしたね。ボクが入ってからは、スーパー・ストロング・おしんがデビューしたんですよ。
    チョロ メチャ増殖しそう!女子の学プロは流行ってたりしたんですか?
    今成 いや、続かなかったんですよ、おしんは。でも、ムサビに入るような子がプロレスをやりたいってのは、長州ミキティの活躍というか存在がわりと影響されたんじゃないかなって。
    チョロ 学プロではなく美術大学の学業のほうはどうだったんですか? 実際に入ってみたら、わりと周りが天才ばっかりで、凡人だったことを思い知って悩むみたいな話も聞いたことありますけど。
    今成 ああ、本当に天才ばっかりでした。ボクはもともとグラフィックデザイン志望で、グラフィックデザイナーになりたかったんですよ。まあ、そこはなんとなくぼんやりで、まったくフィックスしてない状態だったんですけどね。1年生のときに、どの学科でも受けられる授業で、先生オススメの映画をただただ見るというのがあって。いい映画ばっかりだから、授業なのにひたすら号泣してしまうみたいな(笑)。
    チョロ いい授業だー!(笑)。
    今成 それがあってデザインはいっそ諦めて映像にシフトしようと。ドキュメンタリー監督、映画監督になりたいってことで、在学中にドラマみたいな作品をいっぱい撮ったんですけど、どれもしょっぱすぎちゃって......。
    チョロ それは自分でショックを受けるくらいの?
    今成 講評会でも本当にボロクソに言われたし、ホントに目も当てられないぐらい恥ずかしい思いをして。親に高い金を払ってもらって通ってるのに、作ってる作品がすべてしょっぱい。いったいなんのためにやってるんだという状態だったんで、先生に「どうしたらいいですか? 最後の卒業制作ぐらいはちゃんと作りたいです」って相談したら「君にしか撮れないものを撮ったらいいじゃないか」って言われて、自分がやっている学生プロレスを撮ろうと。最初は学生プロレスの友達を主演にドラマを作ったんですけど、とにかくそいつに華がなさすぎて「キャスティングが悪い」って先生にめっちゃ怒られたんですよ。で、ちょうど学生プロレスサミットがボクの大学2年生ぐらいのときから再開したんですよね。新宿フェイスに500〜600人ぐらい入れたんですよ。
    チョロ いまだと消防法でアウトな詰め込み方ですね(笑)。
    今成 そこから自分の団体以外の子たちとも仲良くなって、学プロのチャンピオンを撮ろうと。帝京大学のエロワード・ネゲロ(冨永真一郎)がチャンピオンだったから、彼に連絡してオッケーをもらって撮ることになったんですよね。
    チョロ 発表された『ガクセイプロレスラー』っていろんな賞を受賞してるじゃないですか。それだけ評価が高かったっていうことですよね。
    今成 評価はそうですねぇ、当時からしたら珍しかったんじゃないかな。いわゆる非モテ文化というか、「電車男」から始まる秋葉原文化ってあったじゃないですか。あの文化と学生プロレスラーって絶妙に結びついてて。みんなアニメがすごい好きだったり、そういうものに時間を注いでいる。リアルにモテないモヤモヤを俺たちは学生プロレスにぶつけるんだよ......みたいな。
    チョロ ツイッターとかSNSはまだそんなに......。
    今成 まだmixiですよね。
    チョロ ああ、その時代かあ。
    今成 あの時代です。先生たちは「リア充」「非リア充」みたいな言葉を知らなかったらしくて、「その言語感覚は衝撃だった」みたいなことを言ってました。
    チョロ 今成さんとしても手応えはあったんですか?
    今成 ありましたね。まず尺を短くしたんですよ。以前、先生に「こんな長いもの俺に見せるなよ!」ってめっちゃ言われて恐怖症になっちゃったから短編で仕上げようと。22分くらいでギュッと詰め込んでサッと見れるものにしようと思って。短いカットで繋いで、テンポを良くして飽きさせないようにしたんですけど。ポール・グリーングラスっていう映画監督がいるんですよ。手持ちカメラで撮って、カット数がすごく多くて、テンポ良くて飽きない。この編集の方法だったら、まだ自分にも勝ち目があるかもしれないなって。そうしたら先生たちに評価されて、海外でも賞を取れたんですよね。
    チョロ そこで実績や評価を得て、卒業後は中京テレビに入社するんですね。
    今成 普通に就職で決まったんですけど、映像制作じゃなくて営業部に回されて......あれはキツかったですねぇ。
    チョロ 卒業後プロレスラーになろうとは考えてなかったんですか?
    今成 全然。プロレスラーはもう学プロで終わり。中京テレビをやめたあともとくに何も決まってなかったんですよ。「会社やめたけど、どうしようか......」みたいな。そしたらディーノさんが電話をくれて、坂井さんがちょうどDDTをやめたんです。そのタイミングと完全に重なって、DDTの映像制作をやらないかと。<14000字インタビューはまだまだ続く>

    この続きと斎藤裕、平本蓮、引き込み問題、今成夢人、サイモン猪木…などの5月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事15本」の詰め合わせセットはコチラ
     
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  • タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」

    2023-01-18 10:19  
    180pt

    松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第8弾。今回はタノムサク鳥羽さんがゲストです!(たまに聞き手/ジャン斉藤)


    【1記事から¥110から購入できます!】・辻結花、星野育蒔…みんながスマックガールに夢見た時代■篠泰樹☓松澤チョロ

    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス

    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」

    ・『紙のプロレス』は鬼畜系だったのか〜小山田圭吾と原稿チェック問題〜■松澤チョロ

    松澤 鳥羽さん、今日はよろしくお願いします!
    鳥羽 ……Dropkickの記事をバーっと見させてもらったんですけど、俺を出すなんて絶対にダメですよ。合わないんじゃないかなあ。
    ――えっ、そんなことはないですよ(笑)。
    鳥羽 なんで俺なのかといえば、篠(泰樹)さんの記事があったから、そのルートかなあ、みたいな。
    松澤 マァ☆ティン(星野育蒔)の話の流れで名前が出てましたしね。それもありますけど、きっかけは俺が鳥羽さんがツイッターで募集かけてたタイ飯会に出たことですね。
    鳥羽     あ、そうなんすか?
    松澤     自分がタイ飯会に参加したっていうツイートを見たジャン斉藤が「鳥羽さんインタビューどうですか?」って聞いてきて。たしかにカミプロ時代、DDTも担当してたし、わりと鳥羽さんと近くてネタもいろいろと持ってるだろう……と思われてるっぽいけど、じつは話をするのはタイ飯会がほぼ初めてで(笑)。
    鳥羽 いやいや、そんなことないでしょ(笑)。
    松澤 そうでしたっけ?   まあ面識はありますよね、25年ぐらい前から。
    鳥羽 当時のカミプロで何度かインタビューしてくれましたよ。
    松澤 ああ、そうだ。そのあとジャイ子のマネジャーデビュー戦がDDTの板橋大会かなんかであって……。
    ――いろいろと説明が大変ですよ(笑)。
    松澤 面識はあるけど、ちゃんと話したことはなくて。鳥羽さんは渦中の飯伏(幸太)さんやマァ☆ティンと仲が良かったりとか、AV監督やってたりとか興味深い半生ですけど(笑)。そんなアウトローな方面を含めて、あらためて聞きたいことがたくさんあるんですよ。
    鳥羽 いやいや、全然アウトローじゃないですよ(笑)。
    松澤 タイ飯会に参加したのも鳥羽さんに聞きたいことがあって。人見知りなんで、こういうイベントに足を運ぶのはメチャ勇気がいるんですけど(笑)。マニアックな鳥羽さんファンが5~6人集るのかなと勝手に想像して、ちょっと遅れて行ったら女子が10人以上いて、超ビックリしましたよ!
    鳥羽 いや、みんな飯伏ファン。飯伏はいないのに(笑)。
    松澤 いまの飯伏さんは所属する新日本といろいろあって欠場中で。たまにツイートするぐらいで、あまり飯伏情報が出てこないですよね。仲のいい鳥羽さんのイベントで何か聞けるじゃねえか……とか、なんならサプライズで飯伏さんが来るんじゃないか……思われてるってことですよね。
    鳥羽 アイツが来るわけないですよ(笑)。「飯伏のことは何も喋りませんから」って先に言いましたから。飯伏のことはそのうちいろいろとわかるんじゃないですか。
    松澤    契約は2023年の1月まであるみたいですね。それぐらいには体調も万全になる感じですかね?
    鳥羽    飯伏はけっこう元気なんすよ。もちろん肩や足はまだまだダメなんですけど、やっぱストレスがすごいらしくて。ストレス解消なのかボクが呼び出されて練習相手になってたんですけど。それが噂になって格闘家やプロレスラーがじゃんじゃん来ているらしいですよね。
    松澤 飯伏さんのプライベートジム「飯伏プロレス研究所」に。先日もノアの清宮海斗、全日本プロレスの大森北斗とのスリーショットを練習終わりでツイッターにアップして、ざわつかせてましたね(笑)。
    鳥羽 最初は飯伏も誰が誰だかわかってなかったっぽいですけどね。まぁ、たしかに飯伏からしたら若手なんですけど。
    松澤  さすがだ!(笑)。飯伏さんがかなり変わってるってことはファンなら知ってるとは思うんですけど、それはとぼけてるわけじゃなくて本当に知らない感じ?
    鳥羽 ホントに。アイツのことはいまだによくわかってないす。正体がわかんない。頭がいいのか、悪いのかわかんねえ。
    松澤 鳥羽さんはキックボクサーでありながらプロレスもやって、トレーナーとしていろんな選手を見てますけど、誰かのYouTubeで「飯伏幸太と那須川天心の2人は本当にバケモノで、プロレス格闘技のジャンルを超えて突出している」と言ってたのが印象的で。
    鳥羽 ちょっとこの2人は抜けてますよね。ハンマー投げの室伏(広治)みたいなもんで。何をやらせてもトップになると思いますよ。
    松澤    飯伏と天心は室伏レベル!
    鳥羽    飯伏は格闘技のほうをやっても全然いけますよ。アイツは打撃のフォームや受け身が第三者目線でどう見られるかをチェックするために、トレーニングとかスマホで撮ってるんですよね。「こんなのいっぱいありますよ」って送ってくるから「絶対に捨てるなよ」って。
    松澤 お宝映像ですよね。
    鳥羽 「その映像くれ!」って(笑)。けっこうバーっともらって、その中からちょいちょいツイッターに上げたんですけど。やっぱり格闘技のセンスはすごいですよ。
    松澤 飯伏さんは2006年にK-1 MAXでアンディ・オロゴンとの試合が発表されたこともありましたね。
    鳥羽 あれ、アンディ・オロゴンのケガで試合がなくなったという発表になってますけど、兄貴のボビー・オロゴンが事務所とのトラブルで逮捕されたからじゃないですかね?(笑)。
    松澤 あー、そんな事件ありましたねぇ。
    鳥羽 あのとき周りから心配されてたんですよ、「アンディはすごい強いですけど大丈夫なんですか?」って。俺は「全然大丈夫です」って。
    松澤 K-1デビューが幻に終わったことで、飯伏さんが格闘技界に見つからなくてよかったという声もありましたよね。見つかったら、もう絶対に格闘技をやらせたほうがいいって話になっちゃうから。
    鳥羽 周りはそう思いたくなるほどの才能ですよ。「なんでアイツ、プロレスなんかやってるんだよ」って格闘技関係の人に言われたりするけど、本人がやりたくてやってるんだって(笑)。桜井(マッハ速人)とかも言ってましたよ。
    松澤 鳥羽さんはマッハさんと高校の同級生で、長い付き合いですけど。マッハさんと同じ舞台でやっても勝てるくらいの才能があるとも言ってましたね。
    鳥羽 本気でやったら全然いけると思いますよ。桜井とはスリム新空手で一緒で。
    ――茨城にあった格闘技ジムですね。川尻(達也)さんも所属していた。 
    鳥羽 川尻と岩瀬(茂俊)が入ってきたときはギリいました。石田(光洋)くんが入った頃はもういないですね。
    松澤 さらに同級生に小見川道大さんや宮田和幸さんもいたというすごい環境で(笑)。
    鳥羽     いま考えたらすごいっすよね(笑)。
    松澤     格闘技にもっと打ち込むためにマッハさんと一緒に上京したんですよね。
    鳥羽 当時の茨城には常設のジムがなかったですからね。
    松澤 話は戻りますけど、そもそも飯伏さんがプロレスラーになったのは、鳥羽さんがきっかけだったみたいで。DDTが毎年やってるビアガーデンプロレスが、たまたま飯伏さんが当時住んでるところの近くでやってて。キックボクサースタイルの鳥羽さんの試合を見て「俺のほうが絶対に強え」ってことで入ってきたと。
    鳥羽 いや、それはどっかで話がネジ曲がってますね!(笑)。
    松澤 あ、デマでしたか。すいません!(笑)。
    鳥羽 だってアイツ、俺のことを昔から知ってましたよ。鹿児島時代から二瓶組のビデオを買って見てたみたいだし。もともと飯伏はグローブレスラーが好きだったみたいっす。
    松澤 グローブレスラーといえば二瓶組に鴨居長太郎さんとかいましたよね。
    鳥羽 パッキャオと戦ったことがあってグローブレスラーとしてもプロレスをやった寺尾心選手のことも飯伏は知っていて。
    松澤 鹿児島で二瓶組のビデオ見てるって相当ですよ!  ちなみに二瓶組というのは当時鳥羽さんが所属していたインディ団体で、あっちの組織ではないですね(笑)。
    鳥羽 違いますね(笑)。それが東京に出てきて就職して空手をやり出したらプロレスより格闘技のプロになれよみたいな流れになっちゃってね。
    松澤 空手を始めてすぐに優勝したりしたみたいですからね。
    鳥羽 そうそう。当時はアイツは千葉に住んでて、「プロレスやってるんだ」と軽い気持ちで見に行ったら、ちょうど俺が試合をやっていたんです。アイツの中でプロレスは崇高なものだったんですよ。
    松澤    二瓶組のビデオを取り寄せるぐらいのマニアックなプロレスファンですからね(笑)。
    鳥羽   そうそう。プロレスは崇高なものなんだけども「あ、いまってこんなに緩いんだ」って思ったらしくて(笑)、「1回ぐらいやってみよっかな」みたいな。
    松澤 飯伏さんの中でプロレスは諦めかけていた頃に、たまたま鳥羽さんの試合を見て、気持ちが再熱したと。
    鳥羽 そんな気持ちが全然あったみたいですよ。それはなんかの記事で読んだのかな。
    松澤 鳥羽さんのことを調べてみて驚いたのは、まあそうなんだろうなと思ってはいたんですが、プロレスの練習ってしたことないんですよね?
    鳥羽 ない(キッパリ)。
    松澤 10年以上もプロレスをやり続けて、しかもプロレス団体に所属もしてたのに(笑)。
    鳥羽 いや、ホントにやったことなくて。あ、そういえばいま町田光選手を教えてるんですよ。
    松澤 元キックボクサーで最近はDDTにも出てますよね。
    鳥羽 高木(三四郎)さんのほうから「ちょっと一緒に練習してくださいよー」ってことで。まあ俺がグローブレスラーということもあるんでしょうけど。
    松澤 たしかに。DDTも時代とともにいろいろとスタイルとか変わってきましたけど、鳥羽さんのようなグローブスタイルは結果的にDDTだから活かされたところもありますよね。
    鳥羽 ですね。初期には木村(浩一郎)さんもいましたからね。
    松澤 木村さんも宇宙パワーをやったりしてましたけど、基本的にはガッチガチの格闘技スタイルで。鳥羽さんの試合は当時からホントにハードだったから、「こいつはマジでヤバい」と思った中の1人に入ってますよ。
    鳥羽 なんで(笑)。
    松澤 初期DDTは高木さんがギャルを呼んだりして、渋谷系みたいにわりとチヤホヤされてるイメージが強い中、やっぱり木村さんの宇宙パワーと鳥羽さんの格闘技スタイルのプロレスは「ここまでやっちゃうんだ……」って衝撃で。
    鳥羽    あ、ありがとうございます!(笑)。
    松澤    エンタメスタイルとの対比もよかったんですよ。で、当時だとバトラーツの格闘プロレスも評価されたりしてましたけど、自分的には北原光騎さんがやってたキャプチャーの地下室マッチを見て「ヤバい」と思って。プロレスラーのいわゆるガチンコスタイル。見てる人は圧倒的に少ないと思うけど、なんでもあり的なプロレスの中では、北原さんのキャプチャーはかなりエグいことをやっていたなって印象が強くて。それこそ鳥羽さんも出てましたよね。
    鳥羽 ボクはあのスタイルは大好きです。もうプロレスのゴツゴツした部分だけが詰まってるんで。極端なことをいえば、技はチョップだけでいいんですよ。
    松澤 すごくヤバいことをやってましたけど、言い方は難しいかもしれませんが、プロレスはプロレスなんですよね?
    鳥羽 なんだけど……ってことなんですよ。言っちゃえば「ボクが死ねばいいんですよね」っていう。
    松澤 ボクが死ねばいい!!
    鳥羽 ボクはもうそんな認識でしたよ。「ボクが死にゃあいいんでしょ?」みたいな。
    松澤 でも、本当にそれくらいの試合でしたよね……。ファイトマネーとか、たぶんめっちゃいいわけじゃないのに、ここまでやるんだと。
    鳥羽 たしかにギャラはそんなによくはなかったですよ(苦笑)。
    松澤 キャプチャーには若手時代の石井智宏選手も出ていたし。北原さん自身はシューティング出身で佐山聡の弟子、そのあとは天龍(源一郎)さんについていたから、頑丈なプロレスラーが加減なしで殴り合うプロレスを理想としてたんでしょうね。
    鳥羽 あのルールは3カウントがないんだから、どうやって白黒つけるのか?となったらボクが死ぬしかないわけですよ(笑)。<14000字のディープな対談はまだまだ続く……>

    この続きと大晦日RIZIN、PRIDE、斎藤裕、タノムサク鳥羽、臼田勝美……などの1月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事14本」の詰め合わせセット」はコチラhttps://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2137352この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!

     
  • 辻結花、星野育蒔…みんながスマックガールに夢見た時代■篠泰樹☓松澤チョロ

    2022-10-21 10:19  
    200pt
    松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第7弾。今回はスマックガール創設者の篠泰樹さんをお迎えして女子格闘技を語ります! 左から松澤チョロさん、篠泰樹さん。女子格闘技黎明期をよく知る2人の2万字対談!(聞き手/ジャン斉藤)

    【1記事から¥110から購入できます!】・マァ⭐ティン(星野育蒔)に逢いたい■松澤チョロの女子格闘技・脱線トーク・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス

    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス

    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」

    ・『紙のプロレス』は鬼畜系だったのか〜小山田圭吾と原稿チェック問題〜■松澤チョロ・世界最遅! シバターvs久保優太を語ろう■松澤チョロの脱線プロレス・誠実のプロレスラー・大谷晋二郎を信じろう■松澤チョロの脱線プロレス
    ――ボクが篠さんと会うのは2度目なんですが、一度目は松澤さんを交えてこの3人で会ってるんですよね。
    篠 そう言われると会ったような気がします(笑)。
    ――当時カミプロの編集部員だったボクが、篠さんが2003年大晦日『猪木祭り』の現場を仕切っていたのでインタビューしたんですよね。
    松澤 それって週刊現代がPRIDEについていろいろと報道する前のことでしょ?
    ――たしか2005年の11月頃ですね。大晦日特集で過去を振り返る企画で。最近の読者は知らないと思いますが、ボクはズンドコ興行の担当だったじゃないですか。
    松澤 壊れた興行やイベントを追っかけるという特殊な担当ね(笑)。
    カミプロでボツになった篠さんインタビューを振り返るジャン斉藤と松澤チョロ。その原稿はカミプロ休刊のどさくさでどこかに消えてしまいました。――なので暴動をはじめとするエピソードを篠さんに聞きまくったんですが、原稿完成後に当時カミプロ編集長だった山口日昇からストップが入ってボツに。そのときはよく知らなかったけど、いま2003年『猪木祭り』を振り返るのはいろんな意味で危ない……ということで、数ヵ月後にいろいろと把握するわけなんですが。
    篠 オレ、変なことしゃべってないですよ(笑)。
    ――どうなんでしょうか(笑)。
    篠 わりとそのへんは常識人だと思いますよ(笑)。まぁ、『猪木祭り』に関わったのは女子格闘技絡みが一つのきっかけなんですけどね。
    ――今日の対談のテーマですね。篠さんと松澤さんはいつぶりくらいの再会なんですか?
    松澤 一番最近会ったのは女子格闘技の運営に関わっていた長尾メモ8さんが2019年に癌になって、女子格闘技の選手や関係者がメモ8さんを応援しようということで集まったときですよね(長尾メモ8さんは2022年9月23日にお亡くなりになりました。謹んでご冥福をお祈りします)。
    篠 2~3年前かな。ライターの高崎(計三)さんが主催してくれたんです。メモ8さんはスマックガールを筆頭に女子格闘技を裏側から支えていた歴史の教科書に出てくる人なんですよね。自分はスマックガールをやめてから、ケジメとして格闘技業界に接点をもたないようにしつつ、日本を出て海外に住んでましたからね。
    松澤 あのときで10年ぶりくらいに会いましたね。
    ――篠さんは運営側、松澤さんはマスコミとして黎明期の女子格闘技に携わってきたわけですよね。そしてスマックガールは定期開催された世界初の女子MMAイベントで。
    松澤 篠さんはあんまり評価されてないけど……。
    篠 あっ、されてないんだ(笑)。
    松澤 いやいや、もっと評価されて然るべきって話です!(笑)。やっぱり世界初の女子格闘技団体を立ち上げたわけですから。
    篠 もともとはネオレディースという女子プロレス団体の設立に関わってました。
    松澤 井上京子さんがエースの団体。猪木さん好きの篠さんらしく、正式な社名は株式会社新日本女子プロレス(笑)。
    篠 名付けたのは別な人なんですよ。そもそも、仕事として最初に関わったのはW★INGです。
    松澤 話がどんどん複雑になりますね(笑)。W★INGからネオ・レディースってどういう流れなんですか?
    篠 子供の頃からプロレスラーになりたかったけど、身長が足りないから諦めつつ、80年代に社会人プロレスのイベントを手掛けて、全日本女子プロレスからリングを借りて興行していたんですよ。
    松澤 全女からリングを借りるって本格的ですね(笑)。
    篠 まぁ、チケットは売っていたけど、アマチュア・プロレスです。
    松澤 社会人プロレスといえば谷津嘉章さんですけど。
    篠 谷津さんとは関係ないです(笑)。芝浦にあったGOLDというクラブで興行をやってました。
    ――GOLDでプロレスってすごいですよ(笑)。
    松澤 篠さんは初期DDTで、高木三四郎さんと渋谷club ATOMで絡んだりしてましたけど、その頃も関係はあったんですか?
    篠 高木さんと知り合う遥かに前の話ですね。当時は角川書店で働いていたので、趣味と実益を兼ねてプロレスラーの取材などもしていたんですよ。たとえば、全日本女子プロレスにブリザードYukiという覆面レスラーがデビューしたじゃないですか?
    松澤 長谷川咲恵が正体の。のちにオッキー沖田さんと結婚して離婚しちゃいましたけど。
    篠 あれ、オレの企画なんですよ。
    松澤 そうだったんですか!?  それは知らなかったです。
    篠 角川時代はわがままを聞いてもらっていたけど、唯一ダメって言われたのがプロレス興行。いまの角川歴彦会長から「プロレス興行だけはやめとけ」と。でも、少年エースという雑誌をベースに漫画とプロレスのタイアップは許可をもらえたので、ブリザードYukiの企画を進めたんですよ。
    松澤 タイアップありきでブリザードYukiのマンガを始めたんですか?
    篠 そう。要はタイガーマスクの女子版をやろうとしたんです。ロッシー小川さんが相談にのってくれたんですよね。ゲーム化やアニメ化も企画してました。
    ――ブリザードYukiは東京ドームでデビューしますけど、入場演出でスタントマンにトラブルがあって。そのせいで長谷川咲恵が動揺しちゃって試合はスイングしなかったみたいですね。
    篠 スタントマンによる事故があったんですよね。それで長谷川選手が動揺しちゃったんですよね。ほかにも大仁田さんがFMWを立ち上げた頃に取材して、大将から「応援してくれよ!」って頼まれたから繋がりのある編集者たちを紹介したり、若手に食事をおごったり、リッキー・フジ選手や工藤めぐみ選手をスポンサーに紹介する飲み会を開いたりしてました。その後、大宝(拓治)さんと川並(政嗣)さんというFMWを影で支えていた2人が独立を計画していて、世界格闘技連合W★INGを旗揚げするから手伝ってほしいと頼まれたんですよ。
    松澤 元『週刊プロレス』の小島和宏さんが書いたW★ING本は読んでないんだけど、そこに篠さんは出てくるのかな。
    ――その本、読んでますが篠さんの名前は出てなかったですね。
    篠 オレは裏方で手伝っていただけだから。見える部分だと……モンゴルマンはオレの企画ですよ。でも最初のシーズンから未払いだったんで、セカンドシーズンからは手伝ってないですね。
    松澤 さすがW★INGですね(笑)。
    篠 旗揚げの後楽園ホールをはじめ、最初のシリーズを一緒に回ったんだけど、経費の精算もされず、厳しそうだったので1回フタを閉じて、プロレスとはお別れしました。その後も一部の選手と交流は続いていたんですけどね。数年後に全日本女子プロレスが傾いてプロレス界も大変そうだなーと思っていると、井上京子選手が団体を作るから応援してもらえないかと頼まれたんですよ。角川書店から独立して、そこそこ儲かっていたのでプロレス界に貢献したいと思ったんですよね。
    松澤 それがネオ・レディースなんですね。
    篠 はい。最初はスポンサーの依頼で、けっこうな金額を提示してきたので、それはスポンサーとしては厳しいので、議決権を持てるかたちだったら考えると返したら、共同代表の席を空けますからという話になって(笑)。だから当初は代表が2人いて、その方の名義で選手と報酬に関する契約が勝手に履行されていたんです。オレが手伝ったのは、団体ロゴやパンフレットなどを作ってあげたり、主に資金提供ですね。
    松澤 ネオの内部に入ったのは、けっこうなお金を出していたからなんですね。
    篠 昔から猪木信者、UWF信者だったので、女子プロレスに興味なかったし、内部に入ることは本意ではなかったんですけどね。議決権を持てないと、お金を溶かされちゃって困るから。女子プロレスの人気が下落していたし、W★INGの経験もあったので(笑)。
    松澤 トップの全女が沈みかけていたわけですからね。
    篠 道場兼常設会場も作ろうという話や配信事業なども計画していたんですよ。
    松澤 渋谷のリキパレスじゃないけど、実際に渋谷に作りましたよね?
    篠 現在のWOMBがあるところですね。許可を取れると聞いて不動産契約まで進めたんですが、結論を言えば当時は商業地域として認められず、興行ができないということで、旗揚げ前に一度イベントを実施したあとで契約解除しました。その後、現在の使用者たちが時間をかけて変更したんでしょうね。
    松澤 篠さんが早すぎたんですね(笑)。
    篠 ネパールで建国史上初のプロレス興行を手掛けたり、韓国やオーストラリア、アメリカでも試合をやったり、このあたりはすべて自分が担当してましたね。あと、ネット配信などもやりました。ReMixをスカパー!でPPV配信して、2500円で当時は驚くほどの結果を出しているんですよ。あれは桜庭あつこ効果ですけど。
    松澤 PPVをやってましたね。ウリの1つがグラビアアイドルだった桜庭あつこの総合デビューで。
    篠 ネット配信は最初にBIGLOBEさんと組んでやりました。その後はNTTさんとも組みました。現在RIZINがやってることは2000年にやってるんです。ただ、時代が追いついてなかった(笑)。日本で最初にインターネットでクレジットカード決済サービスを提供したのもオレなんですよ。
    松澤 スマックガールの選手に密着したリアリティー番組的なものをやっていたり!
    篠 格闘技を手掛け始めた頃からリアリティーショーはやりたかったんです。番組企画はいろいろと手掛けて、TBSと組んで『ワンダフル』という番組の中でも定期的に放送したり、挑戦してきたんだけど、まだ少し早すぎましたね。
    松澤 わりとメディア露出は多かったですよね?
    篠 予算がないのに露出量は多かったと思います。最近の時流的なことは、当時からやってたんだけど、あまりにも早すぎて世間がついてきてくれなかった感じですね(笑)。
    ――ネオ・レディースからReMixに移ったのはどういう経緯があったんですか?
    篠 プロレスの興行が厳しくて、小さな会場で開催するのが手一杯になってきた頃、オレが別に投資して役員をやっていた会社がコンテンツ産業に参入する話があって、「女子版のPRIDEをやってみたら?」という話が出たんですよ。サンクスやサークルK、ファミリーマートさんと一緒にキオスク顛末というローソンにあったLoppiみたいな端末を開発してコンテンツ販売するプロジェクトがあって、そこで女子格闘技を取り扱うという計画だったんです。諸事情でオレが役員を降りるという条件で1億円を用意してもらい、自分でもらって遊んでもいい金だったけど、それでReMixを立ち上げたんです。経験がなかったので大変でしたけどね(笑)。
    松澤 女子格闘技イベントとしてはその前にL-1がありましたよね。
    篠 まぁ、L-1はいろいろとね(笑)。
    松澤 ズバリ言うと真剣勝負じゃない試合もあったと(笑)。
    篠 何とも言えないけど、もっと良い形で女子総合格闘技の大会を開きたいと思ったんですよね。
    ネオの選手たちに話したら拒絶されて、悩んでいた際に元LLPWの八木淳子さんを紹介されるんです。
    松澤 八木さんはLLPWから引き抜いたかたちになるんですか?
    篠 彼女はLLPWを辞めていて、本人も総合格闘技に興味を持っていたんだけど、LLPWから契約違反で訴えるという連絡が入ったんです。でも、そんな奴隷制度みたいな契約は違法なんで、法律の知識があったから「そんなの関係ない」と突っぱねたんです。それからLLPWと険悪ですけど、数年前に神取忍さんとは飲んで握手して和解しました(笑)。
    松澤 ネオはその時期に消滅しますよね。
    篠 正確にいうと消滅ではなく、分裂って感じです。ReMixの少し前ぐらいに選手やスタッフと話し合いがあって。「後楽園ホール以上の会場で派手に見せながら、スポンサーを付けてチャンスを伺う方法がいいんじゃないの?」って提案したんだけど、甲田くん(東京女子プロレスの代表)を筆頭に「下北沢タウンホールを中心にコツコツ地道にやっていきたいです……」と言われたので、別々の道を進む話になったんです。正直な話、特別な感情もなくて、進む方向の不一致というの感じです。同時期にオレが参加していたDDTに関しても全否定されていたので、お互いの考え方に溝があったんだと思います。でも、共に苦労してくれた井上京子選手に対する想いは強くて、彼女に「ReMixに出てほしい」と伝えました。こちらも看板選手がいないと厳しいし、彼女に対しても出場してくれたら少しはギャラを払うことができたからです。彼女は「出てもいいけど、勝てないよ……」と言うんだけど、「出ることに意味があるんだよね―」ということになるんです。
    松澤 それで井上京子の1DAYトーナメント1回戦の相手はグンダレンコ(・スベトラーナ)だったんですね。でも、グンダレンコはいわくつきの試合もあったし、篠さんはプロレス側の人間だから変な目で見た人もいたんじゃないですか。
    篠 そこで八百長を組んでも意味ないですよね。ReMixやスマックガールは神に誓って一度も事前に勝ち負けを決めた試合はないです。だから、井上京子選手の試合も八百長ではないし、彼女に対するリスペクトは強いんです。
    松澤 最近井上京子さんのインタビューを読むと、団体で作った借金で何回か自殺しようと考えたこともあったみたいで。「選手を食わせるために大変だった」みたいなことも振り返っていて。
    篠 そこはオレも同じ気持ちでしたよ。多くの選手は、お金が空から降ってくるくらいに思ってるんですよ。会場にお客さんが入ってない現実を認めたくないのかもしれませんけどね。
    そういう状況だったから井上京子選手に「ReMixに出ないか?」と声を掛けました。ReMixにはサンクスとか大手企業のスポンサーが付いていたから、もしかしたらプロレスに還元できるかもしれないし。彼女は本当にプロレスが好きな人だから、プロレスだけをやっていきたい人ですよね。そんな自分の気持ちを置いても他の選手を思って嫌なことも飲み込める男気がある選手なんです。
    松澤 ファンからしても格闘技をやらせたら、けっこうイケるんじゃないかって幻想はあった選手ですよね。身体能力が高かったし。
    篠 「絶対に勝てないから、好きなことしていいですか?」って宣言して、グンダレンコに噛みつきましたからね(笑)。それはそれでプロレスラーの魅せ方と言えるんじゃないでしょうか?
    松澤 もう1つの看板はさっきも名前が挙がった当時グラビアアイドルの桜庭あつこですよね。
    篠 総合格闘技自体が黎明期だし、名前のある選手なんていないわけですよ。ちょうど桜庭あつこ君の事務所から「何か目立つことできないですか?」なんて相談をされたので「格闘技をやってみませんか?」と交渉して即決して頂いたんですよね。彼女は半年間ぐらいずっと練習してたんですよ。
    松澤 絶妙な人選でしたよね。PRIDEでは同姓の桜庭選手が大活躍してましたし(笑)。
    篠 かなり話題になりました。当時はスキャンダルネタもあって、週に1回ぐらいはワイドショーに出演してましたね。桜庭あつこ効果はすごかったです。
    松澤 そこでちゃんとした相手をぶつけるのは篠さんらしいです(笑)。
    篠 ロシアの柔道メダリスト、コボチノバ・タチアナ選手です。最近、石井館長が桜庭あつこの試合は注目していたと言ってくれたんですけど、あんな強い相手をぶつけるのはダメだって言われました。個人的には勝敗ではなく、彼女がいかに頑張ったかを見せたかったので、弱い選手ではダメだと思ったんです。一応、打撃の選手は避けましたけどね。ちなみに、グンダレンコ選手の件を含めてロシアまで交渉に行って、現地の怖い人たちと気絶するまでウォッカを飲んで信用を勝ち取ってブッキングしたんですよ。
    松澤 前田日明ばりの行動力(笑)。
    篠 あ、前田さんといえば、立ち技系の選手とバランスを取るために寝技20秒ルールにしようと発案したんですが、「これってリングスKOKルールに似てるから前田さんに筋を通したほうがいいんじゃないの?」みたいな話になったので、挨拶に行ったんですよ。
    ちなみに20秒は短いという話になって、スマックガールからは寝技30秒になりました。
    ――当時は寝たら終わりの選手が多かったですもんね。
    篠 前田さんはかわいい子が好きだと聞いたので、桜庭あつこくんを同行させるかたちで会食を行なったんですよ。そしたら作戦通り上機嫌で「KOKルール、使っていいよぉ」と(笑)。
    あと、阪神タイガースをやめた直後の新庄剛志が解説なんです。同級生が新庄のマネジメントをやってたので、一緒に飲んだんですけど、野球の知識がないから「あ、有名なの? 格闘技の大会をやるからゲスト解説してくれません?」と言ったら、たまたまスケジュールが空いていて、トントン拍子で決まったんです。これもスポーツ新聞の一面ネタになりましたね。
    ――チケットは売れたんですか?
    篠 正直なところ売れてないですね。ただ、思っていたよりは入っていて、パッと見た目、ガラガラに見えなかった。友人たちも驚くほど呼びましたからね。チョロさんも現場にはいましたよね?
    松澤 いました。なんとなく入ってましたね、なんとなく(笑)。
    篠 それは2003年大晦日の『猪木祭り』も同様、売れてないけど、思った以上は入っていた(笑)。
    松澤 ハハハハハハ! ReMixはトーナメント準決勝で、藪下めぐみが90キロ近く体重差のあるグンダレンコに勝ったことに尽きますよね。
    篠 大会的には薮下効果で大成功だったと考えてます。寝技20秒ルールの面白いところが出て。寝技になっても薮下選手が亀になって30秒間耐えきる。判定で負けたグンダレンコ選手が泣くという。グンダレンコ選手は負けるはずがないと思ってたでしょうからね。
    松澤 いまはもう競技化されて階級制になってますけど、無差別だから生まれたドラマというか。
    篠 個人的にはいまでも無差別級はありだと思ってるんです。当時はすべてが手探りだったから、やっていく中で勉強させてもらって、リングドクターも整骨院の先生がいれば大丈夫だろうみたいな感じでやってたわけです(苦笑)。ところが、専門誌の記者たちに怒られて改善していったんですよね。
    松澤   プロレス流は通用しなかったと(笑)。
    篠    そんな経緯があって、前日検診や試合前問診なども行うように成長しました。当時、2000年の頃はそんなノウハウもなかったんですよね。気合でなんとかなんでしょ!みたいな。
    松澤 よく言えば、手作り感満載だからこその親しみやすさはありましたね(笑)。
    篠 当然ですけど、選手には賞金をキチンと渡してますよ。ジェラルド・ゴルドー選手が昔チョロさんのインタビューで「日本で一番信頼できるプロモーターは篠だ!!」って言ってたじゃないすか! ゴルドー選手には現金で渡してますからね。彼が招聘してくれたマルロス・クーネン選手が優勝したので賞金を届けに行くと、「本当に満額くれるのか? はじめてだよ!」って驚いてました(笑)。
    松澤 どれだけ日本で変な目にあってたのかって話ですね(笑)。
    篠 あるときエリン・トーヒル選手たちが試合直前に「ギャラアップしなきゃ試合をやらない!」と言い出して、マネージャーがチンピラみたいに騒いでいたときも、ゴルドー選手が「どうした?」って事情を聞いてくれて、「ちょっと待っていてくれ……」と言うと、トーヒル選手の控室に入って行って、中からは怒鳴り声が聞こえてきたので、ヤバイかな?と思っていたら、扉が開いてゴルドーが「……解決したよ」と(笑)。
    松澤 ゴルドーらしい、いい話!(笑)。
    篠 黎明期の頃っていい加減だったんですよね。それは自分も含めてですけど。あの頃はビジネスとしても成立してないし、オレもお金をもらってないし、日当1万円ぐらいのボランティアスタッフで運営していたんですよ。外国人招聘で関わった橋本欽也さんもそんな感じで参加してくれてました。
    松澤 メモ8さんや品川さんも、そんなスタンスでスマックガールに関わっていたんですね。
    篠 そうそうそう。みんな女子格闘技は面白くなるって信じて、夢を見て、サークル活動的なカタチで手伝ってくれていた。自分を含めて、品川さんやメモ8さんは私財を投げて応援してくれた。そこは本当に感謝してます!!
    ――スマックガールは小規模興行、ReMixは大規模興行という両輪でやっていく予定だったんですよね。<ジョシカク黎明期2万字対談はまだまだ続く>

    この続きと追悼・猪木、西川大和、平本蓮、スマックガール、ベラトール……などの10月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「15万字・記事16本」の詰め合わせセット」はコチラ
     
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  • マァ⭐ティン(星野育蒔)に逢いたい■松澤チョロの女子格闘技・脱線トーク

    2022-08-11 15:58  
    140pt

    松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第6弾。今回は女子格闘技を語ります!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から¥110から購入できます!】・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス

    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス

    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」

    ・『紙のプロレス』は鬼畜系だったのか〜小山田圭吾と原稿チェック問題〜■松澤チョロ・世界最遅! シバターvs久保優太を語ろう■松澤チョロの脱線プロレス・誠実のプロレスラー・大谷晋二郎を信じろう■松澤チョロの脱線プロレス
    ――けっこう前に松澤さんがツイートしてましたけど、女子プロレスラーに「俺のおかげでこの媒体に載れるんだよ」と恩着せがましい発言をしているライターがいるみたいですね(笑)。
    松澤 え、今回のテーマは女子格闘技なんじゃないの?
    ――テーマにつながる重要な話ですよ! いったい誰なんですか?
    松澤 はいはい、あれは……って答えられるならツイートで名前出してるよ!  だいたい想像ついてるんだろうけど、あくまで噂話だから。でも、2つの角度から同じような話を耳にしたから、実際にそうなんだろうなと。
    ――下世話ネタ好きな松澤さんにそんな噂が流れるって、「拡散してください!」というようなもんですよねぇ。
    松澤    でも、プロレス&格闘技業界に限らず下心から選手に近づくマスコミって多いよね。俺もカミプロ編集部の頃、島田(裕二)さんやブッカーK(川﨑浩市)からけっこう真顔で「チョロは何人とやったの?」みたいに挨拶代わりに聞かれたりしたけど。
    ――ひどい挨拶! じつは松澤さんにはその気はないんですよね。
    松澤 そりゃあ、その気はまったくないわけじゃないし、キャラクター的にもそう見られがちだったけど、そんな目で見られる対象ではないことぐらいは自覚あった(笑)。いまの俺は取材現場に行ってるわけじゃないからわからないけど、昔は試合後に「そんなことまで聞く必要ある?」って笑っちゃうほど、女子選手に質問する記者がいたでしょ。
    ――「いたでしょ」ってボクは当時から現場に出向かない人間だったので……そんなマスコミいるんですか。
    松澤 いたんだよ。『週プロ』系の●さんとか、いま何してんのかなぁ。まあでもアイドル業界なんかもそうだけど、かわいい女の子と仲良くなりたいってのは、ジャンル問わずあるよね。なれるもんなら俺も仲良くはなりたいよ(笑)。
    ――取材対象として仲良くなったほうが、やや面倒なことも聞きやすいですし。
    松澤 そうそう。男女限らずだけど、親しいほうがディープな情報を手にしやすいってのは当然あるし、逆に選手のほうも取材してもらった嬉しさはある。でも、どこの世界でもあるけど、そこで「俺が載せてやってるんだよ!」までいったらイヤらしいよね。
    ――プロレス格闘技業界は狭いから、あっという間にそんな噂は広まるのに。
    松澤 だからこうやって広まってるんだろうけど(笑)。あからさまにやりすぎ気味な人がいるのは間違いない。俺も当時はそんな1人だとは思われていた。まあ誤解されても仕方のないことはあったんだけど(笑)。カミプロにKちゃんって女の子がアルバイトでいたでしょ。
    ――あー、なつかしい。
    松澤 すぐにやめたんだけど、自分は彼女の家に転がりこんで同棲したんだよね。で、別れてしばらくしたあとに「知り合いに女子格闘家がいるんだけど、取材してくれない?」って頼まれて。俺はKちゃんにお金を借りてたりしてた事情もあって……。
    ――下心より最低だ!(笑)。
    松澤 「わかった。どうにか取材するから」ってことで紹介されたのが、その後パンクラスでチャンピオンなったりRIZINとかにも出てる藤野恵実さん。当時はまだ実績とかはそれほどない若手選手だったんだけど。
    ――なんと!(笑)。
    松澤 でも、藤野さんはバイクで事故って大ケガしちゃって取材できなかったの。藤野さんは今年で42歳でしょ。この話は20年前くらいのことだから、藤野さんは20代前半。当時は女子格闘家なんてほぼいない状態で、レベルも全然高くないし、競技化もされてない。いまはだんだんと熟成されてきてるけど、藤野さんってそんな時期から、いまも現役でやってるんだって驚きがあるよね。
    ――せっかくのいい話なのに、Kちゃんからの借金で台なしですよ(笑)。当時の女子格闘技マスコミといえば、松澤さんでしたよね。
    松澤 いや、そんなこともないけど、まあカミプロでは、ほぼ俺とささきぃって感じかな。外部では高崎(計三)さん、小松(伸太郎)くんとか、いまでもリングサイドでバリバリ写真撮ってる安村発くんとかか。あ、あと忘れちゃならないのが、ジャンさんが大好きな橋本宗洋さん!
    ――ボクだけじゃなくて、みんな大好き橋本さんですよ(笑)。
    松澤 高崎さんや橋本さんは、いわゆる正統派のマジメな格闘技ライターってイメージだったから、さっき言っていた気持ち悪い記者とかを小馬鹿にしてた感じがあった気がする。俺もそっち側だと思われてただろうし。でも、時を経て、いまやマニアックなプロレス格闘技ファンからは橋本さんもこっち側だと思われてるよね(笑)。
    ――それはいまの橋本さんは気持ち悪いってことになりますよ!
    松澤 いやいや、気持ち悪いとは言ってないけど、ざっくり言うと、こっち側に見えるって話ね。見え方の問題。あ、大御所のクマクマンボさんなんかも、こっち側にしか見えない。お気に入りのぱんちゃん璃奈とかにマジメな質問してても顔見たら完全にエロいおじさんになってる(笑)。
    ――たしかに(笑)。そうは見られたくないから、橋本さんは表現規制とか先鋭的になってる気もするんですよね。
    松澤 俺だったらそう見られても「エロい選手、最高!」みたいなスタンスで全然いけるのよ。橋本さんは思想的に「そこは一緒にしてくれるな」アピールが強いのは、まあ俺なんかと違って筆力も格闘技の知識もあるし理解はできるんだけど、そのわりには、いろいろ矛盾投稿とかも多いでしょ。だから、ジャンさんやマニアックなファンがツッコミたくなる気持ちもわかる。
    ――プロレス格闘技ってグレーな表現が多いから、橋本さんの過激な表現規制のスタンスっていずれブーメランとなると思ってるですけどね。まあ女子プロレスも女子格闘技も、ライターの熱の持ち方がすごくなりがちだってことですよね。
    松澤 そこはささきぃなんかも熱かったというか。あの同性目線が面白いって読者も男女問わずいたし、そこは善し悪しだと思うんだけど。スタンスはべつとして女性だから聞ける話ってあるでしょ。たとえば(松下)ミワちゃんなんかはフラットなスタンスで、あんまり自分の色を出さないけど、昔から担当してる中井りんインタビューとか信頼関係もあるだろうし、毎回おもしろい。ただ、あの抜群なキャラの中井りんに俺なら男目線でもっと踏み込んだことをズケズケ聞けるんじゃないかとも思うわけ。同性だから遠慮して聞けないこともあるのかなって。
    ――まあ中井りん選手にはワイルド宇佐美館長が支えてますからね。
    松澤 あ、忘れてた。そこは一筋縄ではいかないというか、いろいろワイルドなわけね(笑)。
    ――松澤さんはカミプロ時代、こっち側に思われていたってことですけど、女子格闘技のどこが面白かったんですか?
    松澤 そこは男子も女子も同じで、求めてるのは奇人変人と言っちゃうと極端だけど、面白くてインパクトのある選手がけっこう目に飛び込んできたんだよね、当時の女子格闘家は。同世代の女子プロレスラーなんかとも明らかに違う人種というか。
    ――キャラがあったわけですね。
    松澤    女子プロレスラーも突然変異みたいに面白いキャラの選手はちょくちょく現われるんだけど、成り立ち的に入門してしばらくするとどうしてもならされるというか、目立たなくなってしまう。その点、女子格闘家は自由な立ち振舞いが許されてたというか、誰も管理やチェックする人もいないから、話を聞いてみたら「え、そんなこと言っちゃうんだ!」って選手が多いわけ。
    ――団体とかに所属するプロレスラーだとインタビューで威勢のいいこと言っても団体側に削られたりしますからね。
    松澤    そうそう。ただ、女子格闘技だと当時は選手層も薄いし、取材できる人も限られていたから、他の媒体と被らないように、いかに面白い人を掘り当てられるかというイメージ。そんな中で出会ったのがデビュー前のマァ⭐ティンこと星野育蒔。試合はもちろん、練習すら見たことなかったんだけど、話してみて「この子はスターになる気がする」とビビっと来た!(笑)。 
    ――練習すら見てないのにスターになると感じたんですか?(笑)。
    松澤    うん。だから、どの媒体より早く取り上げたりしたしね。リング上の強さも重要ではあるけど、俺的に魅力を感じるのはやっぱりインタビューするわけだから、喋りがうまい人。いまだとSNSが面白い人なのかな。わりとそこが重要な要素。たとえば横田(一則)さん。
    ――「面白い人」で最初に出てくる名前が横田さんでいいんですかね(笑)。たしかに横田さんは抜群に面白いんですけど。
    松澤 面白い女子格闘家はけっこういたんだけど、当時は長く続ける人がそんなにいなくて……カミプロハンドでコラムやってたMIKUなんかは突然引退しちゃったけど、実力もあってルックスも良くて、さらにコラムもメチャメチャ面白かったのよ。どんなこと書いてたかは全然覚えてないんだけど、原稿もセンスがあった。いまの時代だったらもっとスターになっていたよね。
    ――MIKUは00年代中盤にDEEPで活躍した女子格闘家ですね。打撃も寝技もできてフィニッシャー。当時はメジャーの舞台がなかったからモチベーションが保てないこともあって全盛期に引退……。
    松澤 すごくもったいなかったよね。女子格って時代がすごく重要。フジメグだって世界的にも評価されてはいるけど、やっぱり時代がちょっと違ったら……と皆が思うところで。あと女子の場合は結婚・出産で試合から離れざるをえないでしょ。
    ――男子の場合は「子供から生まれるから試合はできません」とはならないですね。
    松澤 ならないよね。あと神村エリカの引退は早かったよね。いまでも、まだ29歳だよ。
    ――神村エリカは体調不良ですね。女子キックでいえば寺山日葵もケガが理由で21歳で引退しちゃいましたね。 あと山口友花里は就職を機に格闘技を離れて。
    松澤 男子より身体は強くなかったりして長く続けることが難しい中で、いまでもずっとやってる藤野さんの凄さはわかるし。だらだらと言ったら悪いけど、藪下めぐみさんも長いよね(笑)。
    ――「だらだら」って失礼な(笑)。
    松澤    だって藪下さん、自分とタメなんでもう50歳よ。普通に何年か前もMMAやってたりするから本当にすごいよ。そういえば、Dropkickって前に藪下さんや高橋洋子さんも取材してるでしょ。
    ――選手の人生を通して女子格闘技の歴史を振り返る感じですね。90年代の女子格闘技って知られてないことが多いので
    松澤 UFCとパンクラスが始まったのが1993年だけど、LLPWが世界初の女子総合格闘技イベントL-1をやったのは1995年でしょ。神取忍ありきの企画だったとはいえ早すぎるよね。星野育蒔、AX、ロクサン、HIROKO、八木淳子、レッドデビルキス、小畑千代……女子格闘技の脱線トークは17000字でまだまだ続く!
    この続きと星野育蒔、所英男、寺田克也、ビンス引退、齋藤彰俊などの8月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「14万字・記事16本の詰め合わせセット」はコチラ
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  • 世界最遅! シバターvs久保優太を語ろう■松澤チョロの脱線プロレス

    2022-03-03 10:07  
    130pt


    松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第4弾。今回はシバターvs久保を世界で最も遅れて11000字で語ります!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から¥110から購入できます!】・日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス
    ・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス
    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」
    ・『紙のプロレス』は鬼畜系だったのか〜小山田圭吾と原稿チェック問題〜■松澤チョロ

    ――松澤さん、いまさらながらシバターvs久保優太問題です(※取材日は1月17日)
    松澤 ホントにいまさらだよね。締め切りに原稿が間に合わなかったみたいな感じだけど(笑)。
    ――掲載も2月後半とかになっちゃんですけど、だからこそ語れるところもあるんですよ。松澤さんのスタンスって、おそらく騒動直後だったら「真剣に考えろ!」「茶化すな!」「オマエはシバターを肯定するのか!?」と怒られそうなので。
    松澤 あー、すごくよくわかる。ツイッターでは空気を読んで、そこまでおおっぴらには書けなかったけど……今回の件に関しては「シバター面白いじゃん!」と思ってて。 
    ――ほら、それがマズいんですよ。
    松澤 そんなこと言ってる選手や関係者の意見は、ほぼほぼ目に入ってこないんで「マズいんだろうなぁ」とは思うんだけど、そもそも俺は八百長大好きだったからさ。
    ――「八百長、大好き!!」って何を言い出してるんですか!
    松澤 八百長というかヤラセというか、プロレス・格闘技に関わらず、そういった裏話系の話が大好きなんだよね。だって、そもそも俺たちがいた『紙のプロレス』って、ざっくり言えばそっち系の雑誌だったわけでしょ。
    ――それはそれでものすごく偏ったイメージですよ。でも、ボクが『紙プロ』出身ということもあって、取材をすると「オフレコ話、勝手に書かないですよね?」とか警戒されますからね。
    松澤 あ~、それ『紙プロ』あるあるだよね(笑)。『紙プロ』は他媒体に比べて余計なとこまで踏み込んで面白がるところはあったでしょ。「あれ、この試合はちょっとおかしいな……」ってリアルタイムで気づくことはそんなになかったんだけど。あとになって「スタン・ハンセンが暴れたのは本当はこういうことだったのか」ってことを知ったり。
    ――だから松澤さんは「シバター面白いじゃん」と。
    松澤 そんなこと言うと「センスねえなぁ」とか「悪趣味すぎる」みたいにゴリゴリの格闘技ファンから思われるのはわかるよ。でもマジメな話、今回の騒動抜きにして、大晦日のRIZINは地上波で観てたんだけど、俺はシバターvs久保戦を他のどの試合より緊張して見てた。
    ――少数派だとは思いますけど(笑)、なかにはそういう人もいたでしょうね。
    松澤    いや、前田(日明)さんなんかもそうだけど、戦前は「体重差がありすきる」みたいな指摘をする人多かったでしょ。それでも「勝てる」と踏んでオファーを受けた久保と「さすがに負けるかも?」と思っていろいろと対策を練ったシバター。「久保はイロモノ枠に入れて欲しくなかった」的な声も多く出てたけど、まあ体重差はたしかにあったけど、総合格闘技のファイターとしてのスキルは「シバターのほうが上じゃない?」とも思ってたから、俺的にはメチャ勝負論もあるナイスなマッチメイクだとも思ってたし。で、終わってからあんな騒動になったから、シバター本人はもちろん、YouTubeで関連動画も観まくったよ。それでも、あらためてシバターは面白いなあって思ったしね。結果的にもシバターvs久保の件は双方ともにお咎めなしだったし、まあ言ってみればシバターの一人勝ちだよね。
    ――……いいかげん、巻き添え食ってボクも怒られそうな感想ですね。
    松澤    いや、正直言って、今回の件で「RIZINの対応にガッカリした」とか「もうRIZINを見たくなくなった」みたいに言ってる人とか知り合いにもいるし、「まあ、そういう風に捉える人もいるだろうなぁ」ってのは理解できる。俺もシバターがやってること全肯定するつもりもないし、RIZIN出禁とかなっても「そりゃそうよね」と思ってたぐらいだし。
    ――シバターはマット界の人間ではないこともあって誰の言うことも聞かないみたいですけど、佐野直の話だけは聞くという都市伝説はありますね。
    松澤 佐野直幻想!(笑)。唯一不満なのは、この試合はRIZINの公式YouTubeでバックステージをクローズアップするライコンって番組でも取り上げてなかったでしょ。臭いものには蓋をする感じで。あれだけバックステージにカメラがあったんだから何か真実が転がってるかもしれないし、実際シバターも控室での久保選手の嫁のサラさん(※取材後、正式離婚)周りの不穏な動きとかも指摘してたしね。
    ――“黒いライコン”を期待するなんて、とことん下世話ですねぇ。
    松澤 でも、Dropkickの読者はマジメな格闘技好きが多いイメージだからアレだけど、俺みたいにシバターを支持する層って一定数いると思うんだよね。ツイッターだとそうでもないんだけど……たとえば俺はスロットをやるんだけど、スロット好きの格闘技ファンからすると大晦日のシバターには期待してたはずなんだよね。
    ――それはシバターがパチンコ方面での仕事が多いことと関係あるんですか?
    松澤 そうそう。シバターはパチンコ&スロット店にゲストで呼ばれて実践動画もYouTubeで配信してるんだけど、シバターの場合は「ギャラはそんなにいらないから、その日は必ず出してくれ」という契約をしてるのよ。それで、もし出さなかったら、お店のことをボロクソ言うわけ。 だからシバターが嫌いな人でも、シバターの来店の日はみんな期待してお店に行くの。
    ――いいことじゃないですか。
    松澤 と思うでしょ? でも、弊害があって。シバターが来ない日は逆に回収になっちゃうから、業界的にもお客さん的にも良し悪しはあって。ただ、昔に比べていろいろとパチンコも規制も厳しくなってるなか、自分の来店ギャラだけしっかりもらえればいいやと考えてる演者が多いなか、シバターはお客さんに喜んでもらえるよう、しっかり店側と交渉して自分のイベントのブランディングを上げてるんだよね。
    ――パチンコ業界でもお騒がせしていると。
    松澤 結果的にシバターは2年連続大晦日で勝ったから知名度がまた上がって、シバターをゲストに呼ぶパチンコ店はすでに増えてる。つまり、パチンコ&パチスロファン的にはシバター来店の日は狙い目なんで、それほどシバターを好きじゃなくても注目度の高い大晦日に試合するなら、たとえ姑息な手段を取ろうとも勝利を願うという側面もあるわけ(笑)。
    ――ものすごくミクロな世界ですよ、それ(笑)。
    松澤   とか言いながらも、自分は一度もシバター来店のホールに足を運んだことはないんだけどね(笑)。
    ――とにかく松澤さんは大晦日直後からシバターvs久保問題に血沸き肉踊る感じだったと。
    松澤 いやあ、直後はいろんな意味でドキドキしたよ。直前の「久保さん怖いから辞退したい」アピールは「気持ちはわかるけど、なんだかなぁ」と思ってじゃっかん冷めて観てたけどね。
    ――「シバターなら何をやっても許される」というスタンスではないと。
    松澤    そうそう、そんな感じ。でも、ぶっちゃけジャン斉藤もこっち側の人間でしょ。『紙プロ』育ちなんだから、普通のプロレス雑誌に載らないような話が大好きだったわけじゃない?
    ――プロレス雑誌に載らないような話をなんとか日の目を見るように頑張っている人間ではありますね。
    松澤 そんなジャン斉藤がこの件が騒ぎになり始めた当初「八百長が事実だったらマズイことになりますよ」ってツイートしてたことが気になって。それは俺なんかと違ってRIZINのことをよく知ってるからなんだろうけど、「え、そんな大事になるの?」って正直ビビった。
    ――だって八百長があったら大事ですよ。  
    松澤 同じ時期に堀江ガンツさんもそういうことをツイートしてて。『紙プロ』出身の2人がこんなこと書くんだから、はしゃいじゃマズイのか……と思って多少自粛した部分はある(苦笑)。
    ――たぶんボクも堀江さんも20年前だったら違ったリアクションだったかもしれませんけど、松澤さんほど下世話じゃない(笑)。ボクはこの件の全体像が明らかになるまではピンポイントでしかツイートしてないんですよ。非常に興味深い騒動なんですけど、批判するにしても興味を示すにしても誤解を招きそうですし。
    松澤  恒例の大会直後インタビューで渦中の笹原さんを取材したのも知ってるし「どこまで話してるんだろう?」と公開されるのを待ったけど、予想どおりというか、なかなか公開されなくて「うわ~、大変そう」と他人事ながら思ったし。
    ――あれは元旦に収録したんですけど、収録直後に今回の騒動が発覚したんですよ。けっこうな騒ぎになったから「お蔵入りになるだろな」と思ったんですけど、まあ笹原さんもどうかしてる側の人間なので、時間はかかりましたが、ひょっこり原稿は戻ってきました。
    松澤 自分の知ってるジャン斉藤も堀江ガンツさんも今回の件にはもの凄く慎重であったのは伝わってきた。要するに俺と違って、みんな立場があるってことだよね(笑)。
    ――松澤さんもそろそろ誰かに怒られたほうがいいですよ!

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  • 日陰者のグレイトカリスマ田村潔司に惑わされよう■松澤チョロの脱線プロレス

    2022-01-02 16:30  
    150pt


    松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第4弾。今回は田村潔司を14000字で語ります!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から¥110から購入できます!】・「いい人」佐々木健介が嫌われる“正直スマンかった”理由■松澤チョロの脱線プロレス
    ・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」
    ・『紙のプロレス』は鬼畜系だったのか〜小山田圭吾と原稿チェック問題〜■松澤チョロ

    松澤 樋口毅宏さんが前田日明を語るインタビュー記事、けっこう反響あるよね。賛否両論わかれまくってはいるけど。 前田日明を信じ、前田日明に失望したU世代の愛憎■小説家・樋口毅宏

    ――あれを読んだ前田日明ファンが本気で怒ってるので「いまは令和だよね」って年号を確認しちゃいましたよ!
    松澤 平成ならもっと否定的な意見は多いだろうし、昭和なら「ふざけんな!」って反響がほとんどだったろうけど、いまはさんざんUWFが検証されまくってる令和だからねぇ。
    ――肯定派も否定派もみんな熱いというか、こじらせてますよ。
    松澤    最近やってたワダタク(和田拓也)の田村潔司批判なんかもそうだけど、ジャン斉藤が言いづらいことを他人の口から言わせてると捉えてる人もいるんじゃない?(笑)。こじらせU系・第2弾! ハードヒット王・和田拓也「田村潔司に習っても強くなれない」

    ――ボクは普段から強めの主張してるほうだと思ってましたけど、もっと踏み込んだほうがいいってことですかね?(笑)。
    松澤 無責任に言えば、他のプロレス格闘技媒体との差別化を計るためにはより一層踏み込んだほうがいい気はするけど、俺は心配症なんで「うわ、ジャン斉藤、そんなこと書いて大丈夫なのかよ!?」といまでも充分ヒヤヒヤさせられてる。
    ――今年でいえば山田武士さんのヌルヌル騒動を振り返る記事を作ってるときは「……時間が経ってるとはいえ、こんなの載せていいのか」って悩んで寝不足になりましたけど。
    松澤   ものすごい偏ったメディアという自覚はさすがにあるでしょ?(笑)。
    ――その自覚は充分あります。でも、ワダタクの記事面白いですよね?
    松澤 たしかに面白かった。田村さんのこと感情的に批判してるタイプの人かなぁと思ってたら格闘家として物申してる感じはあったし。
    ――そうすることで田村潔司の存在が際立つじゃないですか。
    松澤 樋口さんも前田日明愛をプンプンに漂わせながら「真剣勝負をやってないじゃないですか!」と批判することで、あらためて前田日明という存在を考えたくなる面白さはあるよね。
    ――この記事内容は批判の声は当然ありますよ。ただ、前田日明YouTubeで聞き手をやってる片田直久さんが樋口さんの記事に怒ってるのはともかく、樋口さんの書いた小説を面白いといったボクのことまで揶揄してきて。樋口さんの前田評とは何も関係なのにそんなところまで過剰に反応するなんて「U系はホントにこじらせるなあ……」って。さすがに苦情を飛ばしたら削除してくれましたけど、いつか片田さんにも前田日明愛を語っていただきたいです!
    松澤 あー、片田さんは自分も最近取材されてお会いしたけど、理路整然とされたインタビュー術が評価されてる前田さんのYouTubeでの印象以上に熱い人というか、こじらせてる感じはあったなぁ(笑)。
    ――片田さんと樋口さんは過去に同僚だった時期もあったりする関係ですよね。
    松澤    2人ともタモリさんに関する著書を出してたりするからね。まあでも、樋口さんもそうだし、前田日明もそうだし、なんならジャン斉藤もそうだけど、一般的には子供ができると丸くなるというけど、あんまり関係ないところもあるよね。尖ってるヤツはどこまでいっても尖ってるというか。褒め言葉なんだけど。
    ――この歳で尖ってるとか全然、嬉しくないないですよ。 
    松澤 よせばいいのに言いすぎちゃうところはリップサービスなのかどうかはわからないけど、だから面白いわけで。田村さんなんかもそうだよね。子供ができて変わった部分は当然あるんだろうけど、いまでも変わらず余計なこと言いすぎるというか、田村さんは意味深なこと言い続けてるでしょ。ワダタクのいう宇宙人的なところは昔から指摘されてたからね。
    ――松澤さんは紙プロ時代、いつ頃から田村潔司取材をしてるんですか?
    松澤 いつなんだろうなあ……。紙プロに入る前から俺の中で田村さんはビッグスターだったけど。リングスでいえば最初に取材したのは金原弘光さんなんですよ。 それまで関係者を取材することはあったけど、選手で初めてインタビューしたのは金原さん。「自分がやりたいです!」って手を挙げたわけではなく、編集会議で割り振られただけどね。当時はリングス大好きな堀江ガンツさんもいなかったし。そこまでリングスは詳しくなかったから大学ノートを半分ぐらい書き込むぐらい調べて。
    ――マジメですね。
    松澤 俺は基本的に不安症だから。
    ――準備万端なのになんで締め切りは間に合わないないんですか!
    松澤 不安になるだけで筆が進まないんだよね……。「やべ、締め切りとっくに過ぎてるのに寝てしまったー」と冷や汗かいて飛び起きる夢、いまでもしょっちゅう見てるし。
    ――締切に追われて青ざめている松澤さんの顔を思い出しましたよ(笑)。
    松澤    まあ向いてなかったんだろうな。そのうち田村さんも取材するようになったけど、 誰が聞き手でも質問すると「うーん……」とものすごく考え込む。将棋でいうと完全に長考状態で。変わり者といえば変わり者だよね。ジャン斉藤は田村さんを取材したことあるの?
    ――一度もないです。ボクが紙プロに入ったときは堀江さんが田村番だったし。Dropkickでも田村潔司の話を聞きたくなる時期ってなかったような……それに田村って信頼関係がないと会話が成立しないタイプじゃないかなって。それこそDropkickが大好きなグレーゾーンに関してはとくに。
    松澤 あー、たしかに。いまなら「この選手がこんなことを言ってますけど……」とか聞けるけど、田村さんの場合は考え込んじゃいそう。俺が田村さんを取材したのはリングスがKOKルールになる前だから、普通のプロレスラーを取材するよりもデリケートだったかもしれない。
    ――この試合は競技だったのかどうかを手探りのまま取材するわけですもんね。『格闘技通信』がリングスのある試合を競技だと思い込んでレポートしたら違ってた……みたいなケースもあったみたいですし。
    松澤 仲の良い選手だったら「ぶっちゃけ載せないけど、どうだったの?」みたいな話はできたのかもしれないけど。当時はそういうキャリアでもなかったし、インタビュー術もなかったし。俺、滑川(康仁)さんと一緒に住んでた時期もあるんだけど、「親しき仲にも礼儀あり」で逆にそんなことは聞けなかった(笑)。
    ――滑川さんと住んでいたことのほうがビックリですよ(笑)。いまは際どい発言抜きでもグレーゾーンに関するインタビューが成立する時代ですけど、それはミスター高橋本以降、吉田(豪)さんとか紙プロ系が領域を少しづつ拡大していった歴史がありますからね。何が言いたいかといえば、プロレス格闘技マスコミの方々は我々に感謝してほしい(笑)。
    松澤 それはあるよね。ただ、プロレスラーの場合は「高橋さんがこう書いてますけど……」と聞けるけど、 U系はまた違うじゃん。
    ――「プロレスを真剣勝負化したのがUスタイル」っていう前提がありますし。小さい判型の頃の紙プロってUインターは酷評してましたよね。
    松澤 基本的には小馬鹿にしてたよね。
    ――RADICALになってから山口(日昇)さんと高田延彦の距離が縮まって、堀江さんが金原弘光というフィルターを通してUインターを活字で評価する作業が始まって。桜庭和志がグレイシーハンターとして活躍することで 彼が所属していたU インターの評価が決定的になっていくという。
    松澤 俺は桜庭和志表紙のRADICAL8号から関わってるんだけど、それはUインター消滅後キングダム時代で。桜庭さんがPRIDEで大ブレイクする前から紙プロが取り上げていたことは誇らしいことだったね。「会長、見る目あるわ~」とマジでリスペクトしてたし。
    ――高阪剛のことも表紙にしてましたよね。要するに“ガチでも勝てるプロレスラー”をピックアップしていた。PRIDEがなぜ桜庭vs田村に拘っていたかといえば、榊原さんは東海テレビ時代にUインター名古屋大会をプロモートしていた過去もあって。Uインターの道場を初めて訪れたときに田村と桜庭がすごいスパーをしたので、いつか日の目を浴びさせたいと思ったらしいんですけど。 山口さんはPRIDEのブレーンになったから、桜庭和志vs田村潔司のプレゼンもあったはずなんですよね。ただ、PRIDE・K-1ブームの中での田村潔司という存在は地上波で取り上げられたことはないからマイナーで。PRIDEファンはそこまでピンときてなかったはずなんですよ。
    松澤 そうだろうね。桜庭さんは当時スーパースターだったでしょ。田村さんには熱狂的なファンはいたけど、世間に届く存在ではなかった。
    ――いまだったら誰なんだろうなあ。矢地祐介より世間に知られてなくて、矢地祐介より幻想、求心力がある感じかなあ。
    松澤 どちらも芸能人の彼女がいる絶妙な例えだ(笑)。当時プロレス格闘技好きの彼女がいたんだけど、桜庭やノゲイラが好きで。逆に「田村ってなんでこんなに期待されてるの?」みたいな感じだった。そこの温度差はすごいあったよね。初めて桜庭和志vs田村潔司を組もうとしたはいつだっけ?
    ――3大会同時興行となった2003年の大晦日ですね。 日本テレビの猪木祭りがミルコやヒョードルとかPRIDEの外国人ファイターをかき集めて、 TBS のK-1『Dynamite!!』が曙vsボブ・サップというNHK紅白超えの超弩級カードを組んで、PRIDEは世間向けカードは吉田秀彦vsホイス・グレイシーの再戦くらいだし、求心力のあるカードもなかったんですよ。それこそ今年の大晦日は天心vs五味隆典が25日に発表されたけど、ギリギリまで桜庭vs田村の交渉をしてて。
    松澤 結局桜庭vsホジェリオ、田村潔司vsロニー・セフォーという兄貴が有名格闘家との試合が組まれたんだっけ?
    ――テレビ画面のテロップには「桜庭vsノゲイラ」「田村vsセフォー」と打てるからテレビ栄えはする。ノゲイラは双子だから兄貴だと思い込んでる視聴者もいたみたいで視聴率は悪くなかったんですよ(笑)。
    松澤    テロップマジックだ!(笑)。
    ――あのときは桜庭和志&松井大二郎vs田村潔司&上山龍紀のタッグマッチも実現寸前だったけど、プロレス嫌いで有名なフジテレビのKプロデューサーが却下した裏話もあって。
    松澤 最近、ABEMAのKプロデューサーの暴走ぶりが週刊文春で取り上げられていたけど、フジテレビのKプロデューサーはPRIDEの暴走を止めたわけね(笑)。
    ――なかなか実現しないことで桜庭vs田村は黄金カードに化けていった感があるんですよね。
    松澤 田村さんは会長が窓口だったんでしょ。
    ――田村潔司だけじゃなくて小川直也、ロシアントップチームを抱えていたんですよ。
    松澤 あ、そうか!  ヒョードルも紙プロファミリーだった。青木真也じゃないけど、俺たちのファミリー強すぎ問題!(笑)。
    ――そういった縁もあって紙プロ衣料部からロシアントップチームグッズが販売されてたんですけど。当時のヒョードルもそこまで人気があったわけじゃないですし、Tシャツなんて200枚300枚売れれば御の字じゃないですか。ところが伝言ゲームでロシア側に10万枚近く売れてると伝わって揉めたという話を聞きましたね(笑)。<14000字の脱線トークはまだまだ続く>

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    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2077653
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