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国と地方の財務状況
2017-03-31 10:34105pt2020年度にプライマリーバランスの均衡を達成するという財政再建目標の対象には、中央政府だけでなく地方自治体の財政も入ります。
平成29年度の国・地方のプライマリーバランス及び財政収支は、国が27兆円の財政収支赤字、21兆円のプライマリーバランス赤字であるのに対して、地方は0.2兆円の財政収支赤字、2.2兆円のプライマリーバランス「黒字」となっています。
少し前になりますが、平成25年度の地方の決算を見てみます。
まず、地方交付税を決める地財計画額では地方の歳出総額は84.1兆円とされています。これに基づいて地方交付税の総額が決まるのですが、この地財計画と対応すべき決算額は79.5兆円にしかなりません。
地財計画が実際よりも4.6兆円膨らんでいる疑いがあります。そのために地方交付税が必要額を超えて出されているようです。
この間、地方の基金残高は増え続けています。2007 14.0兆円200 -
鉄道工事の資格
2017-03-30 21:39105pt鉄道工事を行うためには、安全性を担保するために、鉄道会社による資格を持った人材が必要になります。
しかし、この資格を取るための講習や試験の回数が少なかったり、資格要件が厳しすぎて、工事に必要な資格を持った人材を確保できないという状況がありました。
自民党の行政改革推進本部では、この問題に取り組んでいます。
各鉄道会社ごとの資格試験の回数は 平成28年度実績 平成29年度予定 小田急電鉄 1 1 京王電鉄 1 1 京浜急行電鉄 1 1 京成電鉄 1 1 新京成電鉄 1 1 東京地下鉄 1 2 西武鉄道 1 3 北総鉄道 1 2 相模鉄道 3 3 東武鉄道 2 2 東京急行電鉄 5 4 JR東日本(在来線) 13 17 JR東日本(新幹線) 3 3 JR東海(在来線) 6 6 JR東海(新幹線) 7 7 東京都交通局 12 12 ということで、東京地下鉄等、数社が資格試験の回数を増やすことに -
年齢別歳出
2017-03-28 21:11105pt千葉県白井市が、行政改革の一環として、たぶん日本で初めての試みをやっています。
市の決算を、対象年齢別に分けて、その割合を年齢別人口比と比較しています。
白井市の年齢構成は就学前児童(0-6歳) 7%小学生(7-12歳) 7%中学生(13-15歳) 3%生産年齢人口(16-64歳) 61%老年人口(65歳-) 22%
平成26年度決算を様々な前提条件を置いて、どの年齢層にどのくらい使われているかを試算しています。
児童手当や子供医療費などは、子供をターゲットにした予算に見えますが、保護者の経済的な負担軽減が目的ということで、この試算では、保護者に該当する生産年齢人口に分類しています。
議会費7%7%3%61%22%これは人口比通りに按分
総務費6%6%3%63%22%
内、選挙費0%0%0%73%27%
民生費27%5%1%48%19%
内、社会福祉費4%5%2%43%46%
同、児童福祉 -
なんちゃって国際機関
2017-03-26 20:30105ptアセアンセンターという「なんちゃって国際機関」があります。
「なんちゃって」というのは、外務省は国際機関だと主張しますが、この組織の「加盟国」は日本とアセアン十か国のみ。
そして、この組織の予算の七分の六を日本が負担し、残り七分の一をアセアン十か国で負担しているのです。
かつては予算の九分の八を日本が負担し、アセアン各国で九分の一という時代もありました。
この組織は、これまでもいわば札付きで、銀座に大きな展示場を構えながら、活用されていなかったり、通訳と称して、理事長のお友達を週休三日にして高給で雇ったり、外務省を筆頭に役所から複数の現役出向者をせっせと受け入れ、本省に復帰するときには役所のルールに反して退職金を支給したり、公募と称してOBを押し込んでみたり....。
日本とアセアンの貿易、投資、観光を促進するという触れ込みでやってきましたが、アセアンセンターの成果は何と尋ねると、ナタデコ -
医療費を考える
2017-03-24 23:34105pt赤字国債を出さずに当初予算を組めた最後の年は平成2年でした。その平成2年度と新年度の当初予算を比較してみます。
単位は兆円です。
H2 H29 伸び率税収 58.0 57.7 99.5%その他収入 2.6 5.4 207.7% 建設国債 5.6 6.1 108.9%赤字国債 0.0 28.3 -合計 66.2 97.5 147.3%
社保除く一般歳出 25.1 25.9 103.2% 地方交付税 15.3 15.6 102.0%社会保障費 11.6 32.5 280.2%国債費 14.3 23.5 164.3%合計 66.2 97.5 147.3%
平成2年度と28年度の税収はほぼ58兆円です。
歳出を見れば、地方交付税はこの四半世紀、全く横ばいです。
社会保障を除く一般歳出は8000億円し -
小児医療費を考える
2017-03-23 22:08105pt平成15年から平成25年までの年齢別の一人当たり医療費の伸びを、後期高齢者(74歳以上)と小児(14歳以下)で比較してみると、下記のようになります。年齢 伸び率(平成15年=100) 0- 4 123% 5- 9 132%10-14 129%75-79 107%80-84 116%85以上 119%
14歳以下の一人当たり医療費の方が、後期高齢者の一人当たり医療費より伸び率が高くなっています。
日本の子供は身体が弱くなっているのでしょうか。
どうもこの背景には、各自治体の小児医療費の助成があるようです。
2004年には、日本の自治体の96%が、小児医療費の助成対象を小学校に入る前までとしていました。同じ2004年に小児医療費の助成を中学校卒業までとしていた自治体は、全体のわずか0.4%に過ぎませんでした。
ところが2014年になると、中学校卒業まで小児医療費を助成するとしている自治体が -
評価される研究者の皆様へ
2017-03-22 23:17105pt国立大学のローカルルールの撤廃と統一ルールも新年度から始まります。
リサーチマップへの統合も移行期間をおいて始まります。
研究者による事務方の評価に関しても、文科省が検討を始めました。
アカハラに関しては、内部だけで対応できないことがはっきりしてきたので、外部できちんと対応することを検討しています。
さらに研究者をどう評価するかということについても検討しています。
そういう中で一つ、非常勤講師などで、大学と「委託契約」をしている方がいたら、差し支えない範囲で実情をお知らせください。
さて、今日の本題です。
大学の評価です。
JABEEに関する評価についてはご意見をいただいています。ただし、これはそれぞれの大学による任意のものなので、ちょっとわきに置いておきます。
大学を評価するしくみがいくつかあります。本当に、こんなに必要なのだろうか、あるいは、これらが機能しているのだろうか、と疑問に思っ -
レビューシート改革
2017-03-10 23:52105pt自民党の行政改革推進本部では、毎年、各省庁の事業をレビューしています。
その時のベースになるのが事業レビューシートです。
福田康夫内閣の時に、当時の園田博之政調会長代理の号令で設立された自民党無駄撲滅プロジェクトチームで、私が座長を務めていたチームが構想日本と一緒に作成した事業シートが原型です。
今回、平将明本部長代理、福田峰之副本部長を中心にレビューシートの見直しを行い、レビューシートがそれぞれの事業をさらに的確に反映するように修正することにしました。
以下、主な改善点です。
アウトプットとアウトカムを混同しているものが目に付いたので、活動指標と成果指標を混同しないように各省庁でチェックする体制を作ります。
「普及啓発」などの事業の成果指標に安易にアンケートの結果を使う省庁があるので、アンケートの結果を成果指標とする合理的な理由があり、かつ、客観性が担保されたもの以外はアンケートを成果指 -
97兆4547億円vs.8億円
2017-03-09 23:36105pt来年度の一般会計予算は97兆4547億円。
今、予算委員会で盛んに質問されている森友学園の土地の値引き額は8億円。
比較すると0.000821%だ。(ん、桁数あってる?)
というより、森友学園の問題は、予算というよりも決算の問題ではないのか。
97兆4547億円の中には、福島原発事故関連の予算も含まれ、南スーダンに派遣されている自衛隊のコストも含まれ、大学の研究者が科研費を使おうというときのローカルルールも関係し、霞が関の旅費を簡素化することも含まれ、国会の委員会の質問通告が異常に遅くて発生している国会や霞が関の人件費をはじめとする様々なコストも含まれ、社会保障費や子育て支援の予算も含まれ、北朝鮮のミサイルに対する防衛費や尖閣諸島を守っている海上保安庁の巡視船の予算も.....。
予算が成立するまで、そんなものをみんなスルーしていいのか。
かつて維新の石関代議士が衆議院の決算委員長だったと -
北陸新幹線考
2017-03-07 17:21105ptかつて整備新幹線は、昭和の三大バカ査定の一つなどと揶揄されたことがありました。
新幹線は、きちんと整備されれば、地域振興などに大きな力を発揮します。
しかし、いい加減に計画を作れば費用が便益を上回り、納税者から強い非難を浴びることになります。
そのためにも計画は慎重に作らなければなりません。
現在、敦賀まで整備計画が決まっている北陸新幹線について、これを京都、新大阪まで延伸しようという計画があります。
北陸を近畿とつなぐこの計画は、効果も大きい反面、いい加減なルートを選択すれば費用があっという間にうなぎ登りになりかねないリスクをはらんでいます。
現在有力視されている敦賀から京都のルートは俗に小浜ルートと呼ばれるもので、敦賀から京都をほとんどトンネルで結びます。
この整備費用が上振れをしないように、慎重な見積もり、並びに効果の評価が必要になります。
その先、京都から新大阪までは現在、東海道新
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