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東京新聞の社説二編
2020-07-30 22:00105pt7月11日付けの東京新聞の社説「中国は挑発をやめよ」は、南シナ海の現状をよく解説している。
中国が行った軍事演習、それに対する米国の「南シナ海情勢をさらに不安定化させる」という懸念の表明、それを無視し演習を行った中国。
ASEANが足並みを揃え強い表現で「懸念表明」するに至った状況。
しっかりと書かれている。
南シナ海は、日本を含め多くの国にとって重要なシーレーンであり、この海域の航行の自由は国際社会全体にとっても大きな課題だ。
「南シナ海で中国が軍事力誇示を強めていることに対し、米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)が対抗する動きを示している。これ以上緊張を高めないよう、中国は挑発的な行動をやめるべきだ。」
そのとおりだ。
7月14日付の東京新聞には「陸自オスプレイ」と題する社説が載った。
「周辺住民や地方自治体の理解を十分に得られているとは言い難い」とい -
自衛隊の採用
2020-07-28 17:34105pt2019年度の自衛隊の採用合計は、15,548人と前年度に比べ488人増でした。
一般曹候補生(非任期制士)の採用が拡大し、6647人と前年度に比べ183人増加しました。
自衛官候補生(任期制士)の採用は7359人、その内女子は1459人と計画を129人上回りました。
女性自衛官の採用は、2500人と過去最大、前年度より136人増え、採用者に占める割合でも16.1%になりました。
この結果、全自衛官のなかで女性自衛官の占める割合は7.4%となりました。 -
コロナウイルスの変異
2020-07-26 00:42105pt新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、約3万の塩基から構成されるRNAウイルスです。
そしてこの3万の塩基の一つが約15.5日で変異すると言われています。
この変異を利用して、中国武漢発のゲノム情報を原点として、変異の過程をつないでいくことで、ウイルス株の親子関係を見ることができます。
国立感染症研究所では、これを公表しています。https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/HMOVIEGIF2-s.gif
1月から2月の中国からの感染の波に由来するウイルス(武漢株)を基点にして、日本で「初期の国内クラスター」が発生しましたが、その後、消失しています。
また、ダイアモンド・プリンセス号で確認されたウイルスは、武漢株から塩基が一つだけ変異していましたが、この株はその後、検出されず、日本では消失したと考えられます。
3月に欧州からの -
日本周辺のミサイル
2020-07-22 22:19105pt日本のミサイル防衛を議論するにあたり、日本の周辺国が持つミサイルの能力を把握する必要があります。
北朝鮮の持つスカッドER(Extended Range)、ノドン、あるいは潜水艦発射型のミサイルなどは、我が国を射程内に捉えています。
また、近年新たなミサイル技術の獲得を目指し、ミサイルの発射を繰り返しています。
スカッドERは、スカッドの胴体部分の延長や弾頭重量の軽量化などにより射程を延長した弾道ミサイルで、射程は約1000kmに達するとみられており、わが国の一部がその射程内に入ると考えられています。
また、北朝鮮は、スカッドミサイルを改良した弾道ミサイルを開発しています。
この弾道ミサイルは、2017年5月に1発が発射され、約400km飛翔し、わが国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと推定されています。
北朝鮮は、これを、新たに開発した精密操縦誘導システムを導入した弾道ロケットだと発 -
原発と核抑止
2020-07-16 22:28105pt防衛大臣にも関係あるご質問が来ました。
政府は、核抑止が必要になる時に備えて原発や再処理施設を維持しようとしているというのは本当ですか、というご質問です。
世界で唯一の被爆国である我が国は非核三原則を堅持しており、また、核兵器の不拡散に関する条約(NPT)の締約国でもあり、政府は、将来にわたり、核兵器の保有を選択肢と考えていません。
以上です。
そんな身も蓋もない答をという声が聞こえてきそうですが、そもそも身も蓋もありません。
百億歩譲って、「日本独自の核抑止」を選択肢としたとしても、核兵器の材料は濃縮されたウランかプルトニウムです。
プルトニウムはすでに国内に約9トンありますから、これ以上再処理の必要はありません。
核兵器に必要なウランは濃縮ウランですが、原発ではウランを濃縮するのではなく、燃やして消費しますので、反対のことをやっています。
核オプションを -
海上自衛隊南鳥島航空派遣隊
2020-07-12 20:39105pt上自衛隊の南鳥島航空派遣隊を視察しました。
南鳥島航空派遣隊は、海上自衛隊硫黄島航空基地隊に所属し、東京から約1,870km南東にはなれた日本最東端の南鳥島で、隊長以下12名で、基地施設の維持、航空管制、飛来する航空機に対する給油等の支援を行っています。
厚木航空基地からUS-2で南鳥島に向かいます。片道四時間です。
US-2の機内です。
南鳥島が見えてきました。隆起サンゴでできた真っ平らな島です。
ほぼ正三角形をしています。
自衛隊の庁舎前です。
海上自衛隊の他、気象庁と国土交通省が駐在しています。ふだんは自衛隊の庁舎の食堂で食事をしています。東京からランチを持ち込み、全員で昼食を取りました。
南鳥島といいますが、日本の最東端です。最南端は沖ノ鳥島。
まあ最南東端でもあります。
気象庁の庁舎です。
戦前には小笠原から移住してきた島民がいました。旧島民の墓地です。
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SPY-7
2020-07-09 22:31105pt週刊誌に、日本が導入を決めていたイージス・アショアのレーダー、SPY-7には射撃管制能力がなく弾道ミサイル防衛には役に立たないものだったという記事が出ました。 そもそもレーダーはセンサーですから、目標となる情報を得る、つまり弾道ミサイルを捜索・探知・追尾・識別を行うものです。 こうした情報を基にイージス・アショアの計算機が迎撃ミサイルの射撃計算、誘導制御を行います。 そしてその管制に従って発射機(VLS)から迎撃ミサイルを発射します。 つまり、レーダー、射撃管制用計算機、発射機からイージス・アショアのシステムは構成されています。 日本が導入を決めていたイージス・アショアのレーダー、SPY-7に射撃管制能力がなく弾道ミサイル防衛には役に立たないというのは事実誤認です。 -
宇宙の軍拡
2020-07-07 22:32105pt朝日新聞の2020年7月4日に「宇宙基本計画 『安保』最優先の危うさ」という社説が載った。 「宇宙の利用が拡大し、民の力が問われる時代に、安全保障への貢献が最優先なのか。」という一文で始まる。 「「宇宙を『戦闘領域」や『作戦領域』と位置づける動き」が米国などで広がっているとの認識が前文で示され、宇宙政策の「目標」として、「災害対策」「科学・探査」「経済成長」の前に、真っ先に「宇宙安全保障の確保」が掲げられた。」 「多数の小型衛星を打ち上げて一体運用する『コンステレーション(星座)』に、ミサイルの探知・追尾といった早期警戒機能を担わせるべく、米国と連携して検討し、必要な措置を講じると明記された。」 「周囲の状況を把握する米国の機器を載せることになった日本版GPS、準天頂衛星『みちびき』の担当省庁には、防衛省が加えられた。」 「軍事的な宇宙利用を強める中国、ロシアを『最大の脅威』と位置づけ、同 -
災害派遣2019
2020-07-06 22:58105pt九州南部の豪雨で、自衛隊は10,000人態勢を敷いています。 さて、2019年度における自衛隊の災害派遣の状況です。 2019年度の災害派遣の件数は499件、総活動人員はのべ106万人にのぼります。 主な災害派遣は、2019年8月の九州北部豪雨、台風15号、台風19号、新型コロナウイルス感染症の拡大防止です。 九州北部豪雨では、活動人員のべ32,000人、台風15号では96,000人、台風19号では880,000人、コロナウイルス関連では20,000人となりました。 これまで多くの自衛隊員が災害派遣にあたったのは、東日本大震災が起きた2011年度ののべ1,074万人、阪神淡路大震災が起きた1994年度の157万人、豪雨災害が起きた2018年度の119万人、2019年度の106万人、熊本地震が起きた2016年度の85万人となります。 近年、災害派遣にあたる自衛隊員の数が増えています。 災害派 -
2020年7月豪雨
2020-07-04 23:37105pt2020年7月3日夜より、九州で断続的に大雨。 7月4日0500 防衛大臣・統幕長より指示発出 0536 熊本県知事より災害派遣要請 0715 第42即応機動連隊初動対応部隊、前進開始 0726 第24普通科連隊初動対応部隊及び主力、前進開始 0744 第8通信大隊の地上伝送チーム、前進開始 0832 芦屋救難隊のU-125A、離陸 0915 第8施設大隊、前進開始 1000 第42即応機動連隊主力、前進開始 1004 西方航空隊、UH-60J離陸、ヘリ映像伝送も開始 1026 第8飛行隊のUH-60J、離陸 1038 芦屋救難隊のUH-60J、離陸 1130 新田原救難隊のUH-60J、離陸 1215 統合幕僚監部より審議官以下、熊本に移動開始 この他、第4師団、海自第22航空群及び空自第9警戒隊も人命救助にあたる。 熊本県庁、人吉市役所、芦北町役場、球磨村役場、八代市役所、水俣市役所、
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