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記事 3件
  • <菊地成孔の日記 2023年5月30日 午前4時記す>

    2023-05-30 12:00  
    220pt
    35
     毎度毎度、天丼で申し訳ないのだけれども、本当なのだからしょうがないでしょという感じで、あちこちで仕事をしまくっていたら5月が終わってしまった。
     
     ただ、今年は一発一発が重いというか、いつも後先見ずに仕事をしているのは変わらないのだが、今年に入って、時間が過ぎる速度が、ぐっと重くなった。変な話、終わってしまったことにはびっくりしたが、それが5月だということに、衝撃に近いものを感じている。てっきり「7月が終わった」と思っていたのだ(マジで)。
     
     今僕が「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の人。になっているであろうことは予想に難くない。先日のクインテット / ウイズアウトホーンのライブは我ながらかなり良く(昨年の「ピットイン、ライブ録音」は、残念ながら発売できるテイクが数テイクしかなかったので笑、クインテットのスタジオ版のオマケにつけようと思う)、サックスを持たずに会場に行くのはかなり新鮮であり(DCPRGでもサックスは持たないが、他の機材が10倍返しである)、 かつ、「声」だけで、あの4人とどう関わるか?という、一種の新発明に属するトライはかなり楽しく、しかし、地球人でアレを聞いたのは150名に満たないのに対し、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の興収は初登場3位(たって、上は「ワイルドスピード」と「スーパーマリオ」なんで、実質邦画1位である)で、俗に言われる「10億円クリアの壁」は超えそうだ、とアナリストは言っている。まあ、僕は、数値を基準にしたアナリストは信用しないが、さっきちょうど、久しぶりにベトナム戦争について考えていたら、引き込みがあって、テレビを点けたら「マクナマラの誤謬(ベトナム戦争を半年で終結させられるとアナライズして、実際は泥沼化させた「天才アナリスト」の悲劇」についてのドキュメンタリー番組をやっていた(まあ、ご存知の通り、まあ、ケネディとマブだったマクナマラがあの、クソったれのジョンソンの下についた段階でマクナマラが気の毒ではあるのだが)。
     
     したがって、今更僕がここで宣伝するのも(良い意味で)馬鹿げているのだが、多くの方にご覧になっていただきたい。そしてその内の99.9999%の方が、素直に、そして無邪気に作品のクオリティを愛で、純化された高い美、そして高い恐怖によって、堕落し、固まりかけた我々の神経系や筋繊維のネットワークを活性化させることを祈るばかりだが、たった1人でも良い、日本の映画音楽、日本のCM音楽、日本のサウンドロゴ、日本のあらゆる音楽を必要とされている場所の音楽のクオリティがどうしてこんなにも低いか、理由を考えていただきたい。それは、作る方にやる気がないからである。我々は、ダレた音楽に囲まれているのだ。僕は、BGMを生活音楽と捉えている。そこのクオリティがダレていれば、国民の生活はダレるしかないし、生活音楽のクオリティさえ上がれば、経済なんかすぐに上がる(キチガイの妄想)。
     

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  • <菊地成孔の日記 2023年5月15日 午前5時記す>

    2023-05-15 10:00  
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    32
     GWが(本当に。仕事以外は)何もなく終わり、僕のフッド周辺はコロナは終わって外人天国である(今も)。改めて人間ドックについて書くならば、何も出ず(ずっと経過観察になっているクモ膜下の動脈瘤も変異なく、今年初めて追加で出した脳ドッグーー頭部MRI以外の、海馬の萎縮度とか、あらゆる脳病のリスク判定ーーも「50代中盤」と出て、胃と腸に至っては30代だと言われた。「だったらなんで食後にもたれたりするのだろう?」と思わないでもないが、考えてみれば30代から食後にはもたれていたので笑、まあそういう事だ。
     
     ただ、それでも総合評価は「E」で、よく読み込んでみると、理由は、「聴覚」がFまで落ちたので、それだけが全体評価の足を引っ張っていると判り、爆笑した。これだからテストみたいなやつは笑(他はAかBしかない)。
     
     耳は、右が騒音難聴で、完全に聞こえない帯域が3つある(本当に、その帯域は、塗りつぶされたように何も聞こえなく、高い方は、ある種のハイハットに当たっているので、「全員に聞こえているが、僕にだけ聞こえていないハイハット」が存在するようになった笑。予想はつくだろうが、それを使いたい笑)。左は耳管開放症が進行していて、感覚としては、水が入ったり、気圧の変化で「耳が塞がる」時があるけれども、あれを一挙に治すと、ズボとかいって、いきなり耳が開いた感じになり、それがやがて気にならなくなる。あれの「ズボ」直後の状態にずっとなっているので「聞こえすぎる」のである。
     
     耳鳴りはもう笑うぐらいのもので、ずっと千匹の蝉が鳴き続けているので、いつでも真夏のようだ。この夏には補聴器を買いたい。補聴器をつけた音楽家ヤバイでしょ笑。というか、<耳が遠いは歯はダメだわ>は立派な老人だ。今、インプラントの根だけが埋められていて、仮歯が入っているのだが(これの接続手術を還暦の誕生日にやることにした。歯医者にバースデーケーキを持って行こうと思っている)、現在はナチュラル系で話が進んでいるのだが、金歯にしようと思っている(マジで)。タトゥー入りで笑うと金歯が見える60歳はかなり良いと思う。 
     

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  • <菊地成孔の日記 2023年5月4日 午前4時記す>>

    2023-05-04 10:00  
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    35
     GWといえば僕的にはエリックドルフィーなのだけれども(ガンダムのメインテーマの元ネタ)ゴールデンウイークに入った。黄金の週間、あの人はこの人はどれぐらい輝くのだろうか。今一番この国で楽しそうなのは旅行に来ている外人で、本当に楽しそうだ。名詞ゴールドが形容詞ゴールデンになるので、じゃあシルヴァーはシルヴィアンにでもなるのかと思えば、ならない。シルヴァーも、言っちゃあブロンズも、名詞と形容詞が一緒なのでシルヴィアンとかブロンディとかいうのは、単に音程が危ないことが魅力となっているヴォーカリストの名前に過ぎない。
     
     そして僕は、この国に「シルバーウイーク」というものがあった事を、昨日のことのように覚えている上に「シルバー仮面」という特撮番組があって、それは「ゴールデン仮面」の下っ端とかではなくて、おそらく「黄金バット」から引っ張っているだろうことが推測できる、そして「黄金バット」って、金色の蝙蝠の筈だのに、金色の骸骨であることに違和感の一つも持ったことがない、完膚なきまでのシルヴァー世代なのに、毎日のように「歳より若い」と言われ続け、だんだんと「年寄り若い」と、頭の中で意味がスリップしてしまうほどで、この件に関しては、嫌とか応とかではなく、やはり何事も、自分からアクションを起こさないといけない。なので、澁澤のコスプレをして生きていると言われている若手批評家の後藤さんという方との対談の時は、老人に見えるように苦心したが、苦心した甲斐があった。
     
     だれも知らないと思うが、宅孝二という、日本映画史上、もっとも異形の映画音楽家がいて、宅先生が70代の時のご尊顔にまで持ってゆけた事への達成感はどなたにもわからないであろう。
     
     と、まあ、要約するとここまでだが、敢えて要約せず、つまり約する事を要しないという気持ちで全てを書けば以下の通りである。
     

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