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記事 8件
  • <菊地成孔の日記 2021年3月27日 午後9時記す>

    2021-03-28 10:00  
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     いよいよ最後のリハーサルだとばかりに準備をしていたら、しばらく黙っていた北朝鮮が花火を2発撃った。祝砲だ。東京までにイラクが北米に報復をしたら古くて新しい泥沼が始まるだろう。もう慣れっこだ。リハーサル会場に着いた。
     
     「20年間の中で最もストレス値と欲求不満が強いフロアになる。奴らに火を放とう。放ちすぎて問題が生じかけたらオレが消すから笑」
     
     と言うと、みんなが下を向いて笑った。まだ感傷が消えきっていない。特に若いメンバーは仕方がない。休憩中にいつもはクールで口数少ない小田さんが「解散やだあ!」と、聞いたことがない口調で言った。「まあまあ小田さん、何かを始めるには、何かを終わらせないといけない。終わりしっかり見せるのも年寄りの大事な仕事なんですよ」。この運動体には、ほぼほぼ20代からほぼほぼ60代までが揃っている。「寂しいですよお」「じゃあ、小田さんが継いでください」「そんな、、、、あたしじゃ」「良いじゃないですか笑、2代目高橋竹山みたいに笑」。
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月21日 午後6時記す>

    2021-03-22 10:00  
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     今、坪口のトリオが演奏を始めたところだ。僕はピットインの控え室にいる。さっきまで、藤井さんと坪口と菊地雅章くんと三人で旧交を温めていた。菊地(雅)くんと藤井さんは喫煙者なので、控え室がモクモクである。一昨日のオーチャードホールが実は今年最初のライブだったので、今日が2回目になる。開口一番、藤井さんは「猛烈に久しぶりだねえ」と笑った。「藤井さん良く生きてましたね笑」「オレも菊地がどうしてるかなあと思ってたよ」「ポンタさんがねえ」「あいつ、オレより一つ上なんだけだから」「まあもう」「誰が死んだっておかしくないよな笑」「そうですね笑」「オレ、ずっとスティックも握ってなかったから、、、、、叩けないよダッハハハハハ」「オレもそうですよ笑」「え。菊地、またタバコ始めたの?」「はい笑」「一本、、、」 

     藤井さんが手を伸ばしたので、箱から一本だけ飛び出させて渡し、藤井さんが咥えるタイミングで150円

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月20日 午前6時記す>

    2021-03-20 10:00  
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     サントリーと言わず、オーチャードと言わず、クラシックのホールには「指揮者用の個室」があり、そこにはどちらも、かなり良質のバスタブとシャワーがついている。僕は演奏開始の1時間前に、バスタブに湯を張り、要するに風呂に入った。身を清めないといけない。「今年最初の演奏だから」というだけではない。
     
     風呂から上がり、髪を乾かしてから服を着て、僕は屋上に行った、喫煙ブース、というより、屋上の一部を解放しているからである。夕方の渋谷の高層階からは何が見えるかご想像頂きたい。渋谷は今、「令和の東京再開発」のトップを走り、あまつさえ、少なくとも文化的には成功していると僕は思う。レトロ東京とニュー東京のミクスチュアセンスにはアニメや漫画の感覚が絶対に入り込んでいる。素晴らしい。
     
     誰もいない東急Bunkamuraの屋上で、タバコを吸い、安堵でも鬱屈でもない、お気に入りのため息をついた。身体が重い、東

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月16日 午前7時記す>

    2021-03-16 10:00  
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     どーもどーも菊地です。みなさんお元気ですか?ぺぺトルメントアスカラールの再スタートとDC/PRGの解散、ペンギン音楽大学の全クラス復帰が迫ってまいりまして、ぶっちゃけ「今ってコロナなの?」と思うほどムチャクチャ忙しく、そこに持ってきて花粉症が悪化してボケーっとしています笑。
     
     という訳で、今回、告知ばかりになってしまいますがヨロシクお願いいたします。ぺぺのオーチャードホール終わりまで当欄の更新はお待ちください! 
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月11日 午後7時記す>

    2021-03-12 23:40  
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     10年前の3月11日に僕は歌舞伎町のタワーマンションの最上階で、揺れによって眠りから覚めた。ベッドが部屋の中央まで移動したからだ(僕が飛び起きてから、それは反対側の壁にぶつかって止まった)。地震自体による怪我や、大切なものの破損は(いくつかのボルドーグラスと、ボルドーワインは粉々に砕け散ったが、値段がやたら高い以外は、大切なものではない)一切なく、しかし、日中から夜にかけたの臨時ニュースを見ながら、あっという間に世界が変わってゆくことを確信し、異様なファイトが湧き上がったのを記憶している。
     
     前年にDCPRG(当時。スラッシュなし)が3年の凍結から目覚め、野音で活動を再開したばかりだった。また、年末にはTBSラジオのレギュラーが決まっていて、もう番組名も決まっていた。ご存知の通り、戯れた名前である。「夜」の電波、としたが、被災者の皆さんにとっての「夜」がどんなものであろうか?という疑問は、一時的に完全停止した。
     
     僕が一瞬にして決めたのは、「特別な動きはしない。音楽を続け、紹介し、可能な限り、良い調子で喋り続ける。概念的な話はしない、どんな話も、自分の過去の経験と、その時にストリートで拾ったものだけにする」という事だった。
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月9日 午後1時記す>

    2021-03-09 21:00  
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      緊事宣が再延長された。国も大変だ。色々な立場の利益を調整し、つまり感染者は抑え込まないといけないし、商店街に生活破綻者がこれ以上出てはいけないし、オリンピックは挙行しないといけない。まあ、痩せても枯れても近代国家なのだからして、このぐらいの調停は上手くやってほしい。天才谷王が「ウーバーの時給は3000円(*のちに6000円に倍増化)ファミマの時給も3000円 首相の時給も3000円 金なんかタダみたいなもんだからオレに使わせろオレに使わせろ」というフックを書いたのはヤバすぎる笑、首相の月給や年収ではなく、時給を考えた段階でヤバい笑。実際に6000円ぐらいだったらどうする笑(どうするもこうするもないが笑)。「金なんてタダみたいなもんだから」と言うのも凄い笑。貨幣の実態をまるでキチガイの発言のようにして、芯を突いている。
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月5日 午前4時記す>

    2021-03-05 10:00  
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     小鳥国での振る舞いによって、若いミュージシャンを数多く苦しめたな。と思う。今日も優秀な若いミュージシャンが、まるで嘔吐したくとも出来ない状態の如き面持ちで、必死に訴えかけたきた(これで直訴は六人目。全員が40代以下の音楽家)。
     
     自分を信頼してくれる友人を苦しめたと思うと心が痛む。彼らは往々にして、僕を面前で非難しようとするがすぐにはできず、Twitterに関してアディクトではなく、健康的に使用している自認があると同時に、一部の小鳥国民の熱狂を心苦しく思っている。
     
     そうでなくともアンビバレンスベースなのに、友人がそれに輪を掛ける醜態を晒せば、嘔吐は更に難しかろう。「あのう、、、、全部読んだ上で、、、、言わせていただきますが、、、、、あのう、、、、、菊地さんのおっしゃる事は言い訳に見えてしまう側面があるし、、、、、あと、Twitter使用者を全員同等に見ないで欲しかったです。世代も関係ないと思います」「同等視してないけどね。エクスキューズが足りなかったかな」「いや、してない、してないのはわかるんですが、、、、、若い世代は、、、、あ、いや、僕の方で世代は関係ないと言いながら、世代で切りますけど、、、、あの、、、、、」
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年3月1日 午後1時記す>

    2021-03-02 10:00  
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     小鳥国での出張が終わり、一ヶ月ぶりで帰ってきた。2次元の強さはなかなかなもので、本当にある小島に(僕はニューカレドニア以外、「小島」に行った事はなく、銚子市というのは事実上は「離れ小島」なのだが、旅行先ではない)旅行に行って、帰ってきた感じがする。今は荷を解いてホッとしている。世界には春が来た。
     
     花粉症はもう、笑うぐらいに酷いのだが、逆に言えば、笑っていれば良いので、まだしばらく同じ薬でゆこうと思う。授業中に「テンションという言葉の意味は、元々高所と緊張を漠然と併せ、、、へ、、、、へ、、、、、ヘ、、、、、、、、、、ヘーキシ!!失礼、漠然と併ヘーキシ!ヘーキシ!ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!、、、、、併せた言葉ですが、大衆音楽理論に於いては、高低は関係なく、例えば2度でも9度でも、ベースよりも下でない限りは全て9ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!!、、、、ヘー、、、、、、へー、、、、、、、、、、、へー、、、、、、、、、、、へー、、、、、、大丈夫、、、へー、、、、、へー、、、、、、、、ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!アッフンヘーキシ!!ヘーキシヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!ヘーキシ!!あははははははははははは」という事が起きても、生徒も自分も笑っている(花粉症であることを知られているので)。
     

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