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記事 6件
  • ビュロ菊だより 第二十七号 「菊地成孔の一週間」

    2013-04-24 09:00  
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     菊地成孔の一週間/ペペトルメントアスカラール4年ぶりのレコーディングそしてビールに挑戦。結果は、、、、(80年代TVドラマ史上屈指の名タイトル「心はロンリー。ハートは、、、」に因んで)の4月中盤折り返し地点(をいをい折り返さないってwww←こんな感じで良いんでしょうかネットって)から下旬へ。4月15日(月曜) ペペトルメントアスカラールのプリプロダクション。というか、シュミュレーションしながら楽曲の細部を整えてゆく。夕方からほぼ一日中。 音楽家以外の会員の方(が、ほとんどだと思うけれども)の為に説明するならば、シュミュレーションというのは(大体お解り頂けていると思うが)PCの中にバンドの音色を全部そろえ、作曲した物を鳴らし、細部の修正を施して最終形にする事で(最後は楽譜に出力する)、、、、と書くと、如何にもPC時代の産物のように思われるだろうが、実際は戦前、というより、商業音楽界が出来てから存在する。推測になるが、恐らくイタリアオペラの全盛期に大活躍し始めたと思われる。 自分が作曲した物の響きを、作曲途中で実際に鳴らし、修正を施してゆくという行為で、つまりこの日、自分がやった事のリアル版である。「うっわ、すげえ大変そうっすね」と思われるだろうが果たしてその通りで、これをしないと完成させられない作曲家は低能であり、そして金持ちでなければならなかった(よく映画等に出てくる、シュミュレーション無しで、ピアノに座ったままひと筆ずつ書いて、そのまま完成させる事が出来る作曲家は有能を意味していた)。 かの天才ジョージ・ガーシュインは、メロとコード進行だけの流行歌屋からオーケストラ作品を書く作曲家にステップアップを試みた時、自費(流行歌で稼いだ金)でシュミュレーションを繰り返し過ぎ(伝説では4小節に1度オーケストラを雇って鳴らさせたとされる)、金は尽きるわ楽想は尽きるわでヘトヘトになり、「助けてください。ワタシはもう400曲書いたが、自己模倣しかやっていません」と教育家ナディア・ブーランジェの門戸を叩いた(拙著「憂鬱と官能を教えた学校」参照)。 ついでに、これはシュミュレーションではなく、オーケストレーターという名称になるが、「作曲家はメロディーだけ書いて、それに附帯する和音等々は別の人物が書く」という事もある。詳しくないので想像が妄想に接近するが、漫画家とアシスタントの関係に近いのではないかと思われる、その作業の事だ。こちらは(漫画家のアシスタントに比べれば)非公表の存在に近く、「ああ!!やっぱそういう人っているのお!」と納得された方も多いと思う。「え?それってアレンジャー(編曲家)の事でしょ?」という方もいるであろう。アレンジャーではない。アレンジャーは基本的に、作曲者によってメロディーとコードまで出来上がった状態で雇用される。 メロディーラインさえかければオーケストラ作品にしてくれる人がいるのである(漫画が「キャラクターさえ書ければ連載漫画にしてくれる」のかどうかは解らないが)。勢い業界内では「○○の有名な○○はオーケストレーターを使っている」「○○はかなり有名になってからも○○のオーケストレーターをさせられていた」といった噂話が絶えない。 自分の考えでは、これは公表してしまえば良いと思う(更に言うと、自己作品のリサイクリング、他者作品のリサイクリングや共有も含め)。メロディーライナーとオーケストレーターという職種の分離を明確にすれば、いろいろ面白い筈だ。「自分の次の作品はオーケストレーターを雇用しようと思います。○○さんのオーケストレーションで有名な」といった感じで。  勿論自分は「何だってガラス張りにしないといけない」という、喫煙ブースのフェチでもあるまいしの馬鹿げたアレを言っているのではない。どうせ世の中一生ガラス張りなどにはならないのだからして(グーグルアイがCGである事をまだ日本人の多くは知らない。まあ念のため。ウッソ)、公表した方が面白い事になる部分は公表した方が良い。「スタジオミュージシャン」という仕事が公表された業務になってから3~40年だろうが、「あれさえ隠しておけば、、、、」と苦々しく思っている者は業界内にもファンにも絶無だろう。「モータウンの歴史の中で、最初に演奏者達のクレジットが書かれたのはマーヴィン・ゲイのワッツゴーインノン」というトリビアをご存知の方も多い筈だ。 アメリカでは公表されているが日本では、、、という事も多い。ソウル系のシンガーがアウトロ(無法者の事ではない。イントロの反対語で、歌が終わってからの後奏のこと)で歌い上げる、あの部分だけを指導する、という仕事がある。「何かさあ、有名なソウルシンガーって、みんなおんなじ歌い上げするよね」というアナタの想いは正鵠を射ているのであります。 なんつって途方も無く脱線が続いたが、何が言いたいのかというと、オレがメロディーだけ書くから、○○○○さんのオーケストレーターの人に、○○○○さんのような響きをくっつけて欲しい。という事である。「オファーすれば良いでしょ」と言うかも知れないが、現状だと「○○○さんの影響を受けている」と言われるだけなので、甚だ詰まらないのである。「アン・ハサウェイは私服もスタイリストが入っている」とゴシップガールに書いてあって、まあまあ面白い訳だが、悪い面白さだ。また、全く需要が無いのでそもそも仕事として成立しないが「どんなメロディーにもポリリズミックなアレンジを施す」という仕事なら日々の「ちぎりパン」代ぐらい稼ぐ自身はある。 歌舞伎町旧コマ裏は「青葉」のすぐ近く「魚心」に行き(以前も書いたが、この日記を読んで店巡りをする方がいるのは嬉しいので大いにやって頂きたいのだが、ここにはなるべく行かないように。親子だったりしたら、なるべくではなく、絶対に。店内写真から漲る緊張感を読んで頂けると幸甚の至りである)、若筍煮、鱚の天婦羅、空豆、茶碗蒸し、銀鱈西京焼きで、えーと確か、「プレミアムモルツの中(違うかもしれない)」を注文した。 

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  • ビュロ菊だより 第二十六号 「菊地成孔の一週間」

    2013-04-17 13:00  
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     菊地成孔の一週間/ライブもイベントも全くなかったんだけけれども、著者モードのまま隠し芸大行ったり(もうこれで隠しじゃなくなったけど。タイトルで先に言っときますがモグリ禁止ですよー)、税理士の先生にご挨拶に行ったりの4月第二週4月9日(月曜) 今日は、というより今週一杯は、かなり長い間出版がペンディングに成っている2冊の本(フラウで連載していた「時事ネタ嫌い」と、「KAMIPROのインタビュー集」。どちらも「1005~6年から長期連載し、震災の直前に終わった」もの)のうち「時事ネタ嫌い」の校正と事件解説(何せ5~6年前の時事ネタコラム連載なので、もう、どんな事件を扱ったのか、説明を入れないと誰も憶えていない物件もあるのだ)と、「その後」を書き込む。という仕事に集中する。 随分と久しぶりの<著者モード>である(ここんとこ文庫化ばかり続いていたので。思い出してみるに単著者としては「ユングのサウンドトラック」以来である。ちゅうことは3年ぶりだ。この本も、震災の1年前に出た)。著者モードは、嫌ではないし、なかなか盛り上がるんだが、心身ともにとても辛く(演奏せずに、ずっとPCの前に座ったままで何日も過ごすと気が狂いそうになるし、全身が凝ってしまう。よく10冊以上もこんな事やってたなあ。と思う)、50になったら物書きとして筆を折ってしまうか、ゴーストライターを立てて程度の低いラノベみたいのをバリバリ書いて酒代を稼ごうか、といつも夢想している。そうでなければ手書きに転向だ。「粋な夜電波」が毎週オンエアで2年以上楽勝で続いているのはノートにペンで手書きしているからである。 自分で言うのもナンだが、書物としてまとめられた成った「時事ネタ嫌い」はなかなか面白く(何せ、音楽の専門書ではない・笑・もっとエグい言い方をするならば、著者は「時事ネタ扱いの素人」という立ち位置なので、目線が読者より低い)、どなたにでも安心してお勧め出来る。なんか、夏とかに、サンダルで裸足の、漠然とした民族衣装みたいのを着た、紙にビーズが一杯編んである人が「アフロディズニー」を持って来て、サインください。とか言われると「あなたその本で良かったんですか?<アフロ>っていう部分だけじゃないですよね」という気持ちで、顔が笑ってしまう訳だが、ああいう事故が起こらないと思う。 

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  • ビュロ菊だより 第二十五号 「菊地成孔の一週間」

    2013-04-10 03:00  
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    4月1日(月曜) 日曜の晩から月曜早朝にかけて一時的に熱が39度越えをしたので、とにかくビタミンウォーターを買いに走る(グラソーから広告料として40円貰っています)こんなにいろんな色と味があって、どれも同じぐらい旨くて、しかも風邪に効く(自分には。あくまで。グラソーさんあと80円ぐらい乗せて下さい)飲料は無い。 ラジオでも話したが、とにかく38度を越えると、突き抜けて動ける様に成って来るので(38度に向かっている間はキツくて動けない)、身体を萩本欽一さんのように斜めにしながらサンクスに行ったのだが、店の前で「あのう、ちょっとカッコ良いんですけど」と、ナンパされる。どう考えてもちょっともカッコ良くないので、恐らくタカリ(飲ませて財布を取るとか。財布を鷲掴みにしていたし)であろう。 それにしても、そういう状況でも締め切りはやって来る。ブルーレイの「女は女である」「女と男のいる舗道」の締め切りが昨晩だったので、土下座して1日延ばしてもらう。つまり今日書かないといけない。しかも各々4000づつである、というか、ゴダールのブルーレイの解説が熱でフラフラしたものではまずかろう。医者に行き熱冷ましを貰い(さすがにインフルエンザではなかった)、体温をとにかく36度台に下げて、もう一度(もう、何度観ているか解らないほど観ているのだが)観なおす所から始める。 

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  • ビュロ菊だより 第二十四号 「TSUTAYAをやっつけろ~日額30円の二本立て批評」第六回 特別編

    2013-04-08 14:00  
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    ビュロ菊だより 第二十四号 「TSUTAYAをやっつけろ~日額30円の二本立て映画批評」第六回 特別編
     <サスペンス音楽がサスペンス映画を殺す時~アルフレッド・ヒッチコックによる、妻という女性/女優という女性、そして音楽という女性への嫉妬と殺意のアンサンブル>後編   後編でも作品一覧が参照される。頻繁に頁を繰る手間を省くため、今回も再び「アメリカ時代(1940から没年である76年まで)のヒッチコック全作品/全音楽監督」を掲示する。
    40年) レベッカ/フランツ・ワックスマン(アカデミー賞最優秀音楽賞ノミネート)40年) 海外特派員/アルフレッド・ニューマン41年) スミス夫妻/ロイ・ウェッブ41年) 断崖/フランツ・ワックスマン(アカデミー賞最優秀音楽賞ノミネート)42年) 逃走迷路/フランツ・スキナー43年) 疑惑の影/ディミトリオ・ティオムキン43年) 救命艇/ヒューゴ・フリードホーファー45年) 白い恐怖/ミクロス・ローザ46年) 汚名/ロイ・ウェッブ47年) パラダイン夫人の恋/フランツ・ワックスマン48年) ロープ/レオ・フォーブスタイン49年) 山羊座のもとに/レイトン・ルーカス50年) 舞台恐怖症/レイトン・ルーカス51年) 見知らぬ乗客/ディミトリオ・ティオムキン53年) 私は告白する/ディミトリオ・ティオムキン54年) ダイヤルMを廻せ!/ディミトリオ・ティオムキン54年) 裏窓/フランツ・ワックスマン55年) 泥棒成金/リン・マーレイ
    * ここから↓が「ヒッチコック×ハーマン」時代
    55年) ハリーの災難/56年) 知りすぎていた男/56年) 間違えられた男/58年) めまい/57年) 北北西に進路を取れ/60年) サイコ/63年) 鳥/ *音楽は電子音による鳥の声のみで、ハーマンは一筆も書いていない。が、ハーマンは「ミュージカル・アドヴァイザー」として大きくクレジット64年) マーニー/
    66年)引き裂かれたカーテン/ジョン・アディスン*ハーマンは製作中に降板させられ、ジョン・アディスンに差し替えられた。「ヒッチコック×ハーマン」時代の終結宣言。69年)トパーズ/モーリス・ジャール72年)フレンジー/ロン・グッドウィン76年)ファミリー・プロット/ジョン・ウィリアムス*ヒッチコック遺作。因みに76年はジョン・ウィリアムスが『ジョーズ』によってルーカス・スピルバーグ組と合流する翌年であり『スターウォーズ』によってマリアージュを盤石にする前年に当たる。     <前編のあらすじ>  映画の観客は、映画監督×制作者、映画監督×女優、といった関係には、時に殺意に至るほどの愛憎を発生させるに足る断層/階級の存在を自明とするが、映画監督×音楽家という関係にはそれをあり得ないとする。そして、こうした構造的抑圧を覆すのが天才だとするならば、アルフレッド・ヒッチコックとジャン=リュック・ゴダールは双璧である。  しかし、トーキー映画史上、所謂「名監督」と呼ばれる映画作家の中で、ほぼ唯一「音楽家との仕事を止め、レコードを使い続けている」ゴダールの、図式的なまでの「音楽家嫌い」(私の考えでは、これは、本人がそれを自覚している感じがないという意味で、トラウマと呼ぶに相応しいものだが、ミシェル・ルグランとアンナ・カリーナとカルロ・ポンティの同一視、つまり『女は女である』がゴダールの「資本主義嫌悪/主演女優憎悪/音楽家恐怖」という三大ミソジニーをフィクスさせたのであって、拙著『ユングのサウンドトラック』は、その推論の展開に1章を割いている)が、余りに具体的で可視的であるのに対し、ハリウッドの大衆娯楽映画作家であり続け、終生に亘って名だたる音楽家たちと仕事をしてきたヒッチコックのそれは「一見」不可視である。
     

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  • ビュロ菊だより 第二十四号 「菊地成孔の一週間」

    2013-04-03 22:00  
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    3月25日(月曜) ペペトルメントアスカラールのリハーサルを、大久保のスタジオで行う。林さん、DyyPRIDE、OMS、そしてペペトルメントアスカラールが一同に会するブラッドもミュージックもサウンドもルックス総て混血的な空間にゾクゾクする。 

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  • <ビュロ菊だより>号外No.18

    2013-04-03 08:00  
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        ビュロ菊だより号外

     どうもどうも菊地です。ライブ4連続が終わり(お越し頂いた皆様有り難うございました)、ああ3月も終わりだなと思っていたところ、いきなりどかーんと風邪ひきまして、さすがにインフルエンザじゃなかったんですが、熱が一晩で9度近く出て、せっかくのエイプリルフールぐらい愉快なウソでもつきたかったところ、口さえ開けば「ふうー、ふうー、」しか言えないという始末。これじゃエイプリル・フールならぬエイプリル・フーフーだよ。。。。と、ギャグもすっかり風邪っぴき!という屈辱的な状況をまるで昨日の事のように(厳密には「実際に昨日の事」)思い出しながらベッドに横たわって書いてます。みなさんどうすかぶっちゃけ?こんなじゃひくよね風邪、普通!!
     

     と、一瞬、大気汚染や昼夜の寒暖差や放射能の脅威等々、天然自然人工に対して、激高して語順を間違えるほど逆ギレしかける、という愚行

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