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2024年9月の記事 10件

<菊地成孔の日記 2024年9月23日記す>

  誰だって、子供の頃からの記憶からずっとずっと辿れば、1度は、1日は、1時間は、一瞬かもしれないが、岡惚れされたことがあるはずだ。一番最初に結論を書くが、自分に岡惚れしてる相手を、反射的に気味悪がったり、怖がったり、嫌がったりしてしまう事は自然な事だから、それは仕方がない。それを責めはしない。岡惚れが拗れればストーキングまで辿り着くし。    ただ、逆にだ。自分に悪意や敵意があるのに、付き合っていくうちに実は惚れられていたのだとわかることがあるように(言うまでもないがこれはツンデレの話をしているのではない。はっきり何度でもいうが、現代は、複雑である人間心理に関して、理解が日に日に記号化して薄っぺらく、短時間判断になっている時代だ。やがて人は「好きか嫌いか=敵か味方か」しか感情がなくなる)、そして、そういうものを「岡憎み」とか「岡呪い」とか粋な呼び名は言わないけれども、「うわあ、これ、岡惚れだなあ」と思って、何か困ってしまった。その経験の思い出を大切にして、その相手を、最低でも「可愛い」かったな。と思うようにすべきだ。    「岡惚れ」とはラジオデイズを聴いて貰えればわかるが(復旧が遅くてスンマセン。来週、復帰第一弾「AI音楽の現在(それは数日で遠い過去に)」をアップします)、よく知りもしない相手に、恋情を持たれることである。    一般的には江戸言葉と仏教言葉から由来が説明される(いわゆる、ギリ今でも使用できる「粋言」は、ほとんどこのバイウエイなのだけれども)。お馴染み遊郭(公営売春)のスラングだが、「岡」は、「外(ほか)」の訛りで、公営の地区(吉原とか)を「本場所」と呼ぶのに対し、非公営の地区(深川とか)を「岡場所」と呼んだ。  

<菊地成孔の日記 2024年9月20日記す>

 こうして何だかんだしながらお忍びで(良いねーお忍び。これに愛人とか連れてゆくのだろう自民党員は笑。それに税金使っちゃったりするんでしょう。そりゃあ一部の人間が目指すよね政治家って。早苗ちゃんなんか大体おないなんですよ。しとつかふたっつ上なだけよ。あのさあ早苗ちゃんさあ、オレ政策とかわかんない、、、っていうか、「政策」ってそもそもこの世にないと思ってるんだけど笑、まあそれはともかくだ。ひとこと君、、、、まあいいや笑)金沢に行って、雨と風の勢いでリードケースがみるみるバラバラになったりするのを見てから演奏して発熱したりして、帰ってきて即で色々やって、今年の前半のハイライトも残すところ1つになったのであった。もう後半のハイライトが、地方の国道でヤンキー号に囲まれたぐらいにハイライトでピカピカにパッシングされている訳だが、まあ単に区切りの話だ。区切りは大切だ。「バス / ガス爆発」では噛みまくる口が、区切り線を2文字分動かして「バスガス / 爆発」にすれば、あらあら不思議、全く噛まないのであーる!    とまあ、昭和早口言葉が、平成早口言葉を産まなかったせいで、ひょっとして早口言葉は令和の世に至り、回文ぐらいの地位に落とされるかも知れぬ。そんな心配をよそに、「前半の、最後の大仕事」。それは電影と少年CQさんへの楽曲提供なのであった。    アーバンギャルドさんはついにという感じで「普通の恋」をカヴァーして下さる訳だし、実にありがたい話である。オファーさえ頂ければ椎名林檎さんだってあいみょんさんだって山本譲二さんだって新しい学校さんだってミセスグリーン、ごめんなさいアップルさん?だっけ?、、、ジャイアントさん、、、、でわないですよねごめんなさいごめんなさい。曲は聴いてますよ!! すごく良いじゃないですか!!ねえ?!! そりゃあ個人的には新しい学校とぷにぷに電気だけどさ、それはそれでしょ笑!!  

<菊地成孔の日記 2024年9月18日記す>

歳をとると涙腺が尿道ぐらい緩くなるので、上も下もビショビショになって困る。さっきまで小便を漏らしながら大号泣していた。僕は赤ん坊の頃さえ、小便を漏らして大号泣しなかった人物なので、今はもう、開放感をも超えて、何も感じなくなっているかのようである。ジュリーのせいだ。まさか、沢田研二の「ジュリー」が、あの「サウンド・オヴ・ミュージック」のジュリー・アンドルーズから採られているという事実を知る人も多くはいまい。   沢田研二が昨年75歳になったからか、BS、CSの奴隷をやっていると「ジュリー祭り」みたいなものばかり見るようになり、まあまあヨージ・ヤマモトの寅さんシリーズ中(僕が勝手に、山田洋次をこう呼んでいるだけ。因みに女優の左幸子は「左sahiko-M」。我ながら天才だと思う、こういうことだけな!!)、沢田研二と田中優子の結婚のきっかけとなった「寅次郎、なんとかかんとか」というのは、倍賞美津子(さくら)がどんだけ可愛く、僕がどれだけ妹が欲しかったがわかるばかりで、ジュリー自体はどうってことはなかった。   が、森田芳光の最高傑作「ときめきに死す」(84)と、沢田研二のさいアリでのライブ「まだまだ一生懸命」(23~24)を並べて見たらもうダメだ。この2本立ててで、小便を景気良くブッ放しながら号泣しない人物に対しては、まあ、、、、、そうだね。諦めるしかない。  

<菊地成孔の日記 2024年9月16日記す>

 <極端なコスパの悪さ=敷居ばかり高くて、対して美味くもねえ名店が笑うぐらいクッソ高い>は、昭和から令和にかけて、この東京にさえ絶えたことがないので、立派な伝統だと言える。    こうした店は「有名店になりたい」「美味しいものを提供して、すべての人々、特に有名人に喜ばれたい」という欲望を持つ店主の、ある意味むちゃくちゃ健康的で、ある意味むちゃくちゃ倒錯的な欲望をセントラルドグマにして回転してきた。    ミシュランが日本に来てからは、下手に目的が明確になった上に国難が続き、景気も悪くなったんで、むしろ全方位的に趣味の良かった90年代(特に前半)ステイリッシュを、ゲスく切り崩したとも言えるが、まあたとえば寿司でいえば「あら輝」だし、和食で言えば「龍吟」である。両店とも値付けは半額が適価だ(それでも高い)。    昭和の銀座だったらトゥールダルジャンとか、洋食の煉瓦亭とか、どちらも外食文化的にはとっくに切り崩されている。<コスパ>なんて言葉がない頃から、こうした<アンチコスパの悪しき老舗>の切り崩しは、SNSなき時代の、正義の人々によって、(今では驚くべきことにだ)本名も顔も出したままの、かなりストレートな悪罵が浴びせられたもの。  

<菊地成孔の日記 2024年9月14日記す>

 実のところここ数日、夏バテというか夏風邪をひいて伏せっていたのであった。ここ半年ぐらいで知ったのだが、徒歩1分(ホント!)のところに内科があったので、これからちょっと喉が痛くなったり微熱が出たらそこに行けば良い、のだけれども、よくある話で、こんなに異常なまでに便利であるということはリスクもある。そもそも「ヤブかも、、、、笑」と、ちょっと思う節が、もうそこかしこにあるんだけれども笑、歌舞伎町とか大久保にある、「足を踏み入れたら病気うつされそう。もしくは改造されそう(汗)」と思うようなヤバい町医者に比べたら全然マトモだ。    熱は7度6分とかだったんだけれども、コロナとインフルのチェックしますか? と言われ、僕は検査が好きなのでやってもらう事にした。でまあ、どっちもネガティヴだったんで、要するに夏バテから来る夏風邪という奴で、病気も怪我も、去年の、ちょうど今頃から10年分ぐらいはやったんで、もう飽きたというか、身体の方だってでかい病気や怪我はしんどいだろう。    とまれ、年明けから、2期レトロ、ぺぺのレコーディング、フジロック、Blaze閉店、と、これだけ書いてもややエグいが、こんなもんじゃないのよ飾りじゃないのよ涙はホッホー!という感じで気がつけば疲れが溜まっていたのだろう。僕の体質はワーカホリカーとアスリートの融合で、ちゃんと休める日に倒れるように身体が調整してくれる。    ただ、「ようし明日から久しぶりの休みだ。あそこ行ったりあそこ行ったりして、アレ食ったりコレ食ったりしよう~」と楽しみにしていると、野を駆けるウサギ(何せの卯年だ)がいきなり猟銃を持った(鳥)貴族にパーンと撃たれ「同じ、、、、、小動物同士じゃないか、、、、、いかに貴族たりとても、、、、、、ううう」と言いながらバタッと倒れ込むようにして倒れるので、もう「ようし明日から久しぶりの休みだ」とか、最初から思わないようにしておけば良いのに、前日まではまさか(鳥)貴族に狩猟されているとは思わないから(なんでこんなに鳥貴族にこだわるかというと、東京に進出した頃? からずっと行ってるけど、先日、生まれて初めて<貴族焼き(鳥貴族の看板メニュー)>に手を出したら、これが美味いのなんの!「なんだよ!最初から知ってればコレだけずーっと食ってりゃあ良いんじゃんよ!っていうか、なんで何10年も避けてたんだオレ!フロイド先生~」と天を仰ぐような経験をしたからだ。  

<菊地成孔の日記 2024年9月10日記す>

 赤工(アカク)くんと最初に仕事をしたのは、1枚目のソロアルバム「デギュスタシオン・ア・ジャズ」の時で、現在は裏原サウスと呼ばれるエリアにある「スタジオsyn」が麻生十番の有名な温泉近くにあった頃だ。僕は作ろうとするものが余りにオルタナティヴなので、いわゆる説明能力が低く(というか、事前説明は諦めていて、しない)、やらされてる方(演奏も、録音も、ミックスや編集も)が、「何をやらされているかわからない」ことが、活動全体にずっと蔓延していて、やっと還暦になって軽減してきた感じだ。   なんだってそうだが、1枚目に全てがある。今年発売22年目になる(当時、ギリで長沼とも仕事はしていなかった頃だ)「デギュスタシオン・ア・ジャズ」のエグさは、一種の永遠性があると思う。いつ聴いてもすごくエグい。何せ、多くの楽曲で、メンバーは顔も合わせていないのは言うまでもなく、合奏者の演奏を聴いていないのである。楽譜もコード進行表も、ほとんど書かれていない。そして何より、打ち合わせがなかった。ゼログラヴィティ音楽、クールジャズとして、構造的極限を使用している。    この間も書いたが、僕はMIDIと全く合わず、実質、直接手を触れたことは一度もない。ところが、プロトゥールすが出来て、音声トラックを直接(まるでアナログテープのように)編集できることを知ってから、プロトゥールスなしでは作品が作れなくなった。    レコーディング経験で言えば、だが、未だにこの時の楽しさと高揚感を超える現場はない。僕は、初めて僕の現場に着任する赤工くんが、何を作らされているか全くわからないままどんどん音声の波形を切ったり貼ったりさせられ、だんだんと作品が出来上がってくる過程を見ていることさえ、全く意識になかった。フライトしていたのである。    有名な「コルコヴァード」が収録されている。僕は「デギュスタシオン・ア・ジャズ」の収録曲はみんな好きだが、これが一番好きなぐらい好きだ。  

<菊地成孔の日記 2024年9月6日記す>

 前回のコメ欄にも書いたけれども、Xを筆頭に、SNS全般は、もう特に新しいメディアでもない。もう古いメディアだ(オワコンとかいう、自分の終わりと世界の終りに恐怖症がある怖がリーな人々の考え方をしているわけではないよ。この世に終わるコンテンツなんかないのだから、そしてそのことが地獄なんだから。そしてそれを啓蒙してるのが他ならぬSNSだろ)。「落ち着いたメディア」のがいささか正しいのかも知れない。    なので、類型メディアであるドラッグ全般と同じく、依存しない程度に嗜めば病にはならないでしょ。ジャンキーは全員が言うんだよ、ドラッグで「世界が把握できた」と。そんな危なっかしい全能感、盆暮正月だけの思い込みでいいんじゃない? 人間なんだから。    それに、世界なんか把握したくもないし、そもそも誰にも把握できないよ。だって、僕が今、一番ノリにノッている連載、LDK the beautyっていう、汎用というか、総合コスメ誌でやってる「菊地成孔のコスメモリー」を読んでるやつが一人もいない世界なんだから!!笑(愛読してますよアレ面白いですねえ超テキトーで。という、今、一番イケてる本物の菊地成孔消費者の皆さん笑がいるとしたらやって見せてくれSNSに、今回で何回目かだけでも。まあ、検索するだろうな反射的に、ってか警察のポスターにしたいわ「してろよ。反射的に検索」笑。SNS依存は検索依存とも言える)把握されきってねえぞオレは!!笑(絶頂期のたけしさんみたいになってきちゃった笑)    僕は単なる偶然を、何かの必然だと思いやすいタイプで、「そういう人って、占いとか系にハマるミスティックでスーパーナチュラルな人?」と誤解されるかも知れないが、僕はいろんな意味で宗教的だなと思うよ自分で。でもミスティックではない全然。占いよりも、占い師(「占いにハマる人」よりも遥かに)のトラウマに生まれた時から興味が尽きないね。嘘だと思ったら「エレガンスの怪物」という2期の楽曲の詞を読んで貰いたい。アレほど占い行為、霊能者自覚という神経症に批評的なポップスの歌詞はないぞーー他にそんなことする人がいないからだけど笑ーー。  

<菊地成孔の日記 2024年9月4日記す>

 まあ、誰に話しても「ちょっとお笑、それえ笑」と言われると思うのだけれども、そういうのも慣れていないこともない。ので、思い切って率直にいうけど、まだ誰にも絶対言わないでください笑。秘密を持つのも悪かないでしょ、この、思いついたらなんでも書いちゃうか、痛くて絶対に触れない社会ではさ。  というわけで、ジャジャーン!!自分のミスで「21世紀の刑事コロンボ研究」を、年内で書き上げることになったのです!「ミス」というのは、締切を1年間違えていて笑、来年いっぱいで書くのかと思い笑、書類にハンコをついたら、今年中だったのであった笑。   ある笑? そういうこと? まあ、逆はあるよね東京オリンピックとかさ。    とはいえ全然良いよそれで。もうぺぺの「天使乃恥部」の音源も完成したし(かーなーり良いのです。今、深夜っていうよりも早朝に近いスタジオで、スピーカーが壊れるぐらいの音量=実際、少し壊したかもしれない。で、「色悪」を聴きながら書いているのだけれど、もう踊りすぎて気が狂っちゃうよ最高級サルサ歌謡。いっぱい曲入ってるのにコレしか聴いてねえPCに無限ループのスイッチついてればいいのに)、電影と少年CQさんに提供する曲も良い具合に進んでるし、2期のリメイク・アルバムも順調で、いろいろ兎に角、今年前半の大仕事は終わったのだ。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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