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2024年4月の記事 9件

<菊地成孔の日記 X年X月X日X時記す>

 なんか疲れ日記みたいになっているけれども笑、結局、演奏(DJもあれは演奏行為である。少なくとも僕には)とレコーディングが一番疲れるので、先週まではインパールの死の行軍みたいな感じだったけれども、今週からちょいと凪がくるし、睡眠も少しずつ増えたので、やや体力も戻ってきた。とは言っても、5月の頭からはいよいよぺぺの20周年が本格的に始まるので、体力はつけておかないといけない。  今、一番楽しいことは、マイメン(谷王)との対談集「楽しい知識(ドミューンやラジオデイズで言ったように、最初は「菊地大谷の雑な教養」という素晴らしいタイトルだったのだが、出版社から却下されたらしく、なんと「楽しい知識」という、さらに素晴らしい物になってしまった笑。老人の特権として書かせて貰うが、世も末だ笑。何せ僕ら2人とも「それで良い笑」と投げてしまっているのだから)」のゲラを読む事である。  既に膨大なテープ起こしから1ゲラまでマイメンが全部やってくれた。還暦をすぎて(もうそろそろ61だ。すげえ)一番変わったことは、マイメンが僕を老人として、ものすごく労わってくれることで、特に谷王とQNは「世話になってる」ぐらい労わってくれる。  んで、それを読むわけだが、対談ではあるのだけれども、マイメンの発言と僕の発言の量が、100対1ぐらいになっていて笑、というか、僕はほとんどこの本で相槌しか打っていない笑。  

<菊地成孔の日記 X年X月X日X時記す>

 デルタブルースの昔から今日に至るまで、歌詞の世界で、「非常に疲れた」と言う表現は、さまざまなレトリックが発達してきた。曰く「ボロ雑巾になった気分」「今がいつでどこだかも分からないぐらい」「死んだ3匹の蝿ぐらいになった」「自分がブロンズ像にでもなった気分だ」「目をつぶれば寝てしまう」「寿司一個が重くて持てない」「眠りは死の友人だ。だからオレは寝ない」等々。  現在のボディ·コンディション(これは歯の具合も関わっている)のまま、ダブセクステットと2期のDJイベントと、山下ー堀越ー菊地の「山下洋輔DUO +1」(この名称になった経緯も面白い話なのだが、今、キーパンチするのもしんどいのでいつかまた)を、飛石式に1日おきに3連続したら(その間もぺぺのレコーディングもあり)、ボロ雑巾になって今がいつかでどこなのか分からず、目をつぶればもう寝てしまう以上のブロンズ像にでもなった状態のままだ。  とはいえ、どんな状態であろうと、ステージには上がる限りは、クオリティは絶対に維持しないといけない。「疲れてるんで大目に見て下さい」は、最後の最後のセリフだ。  ダブセクステットはチームプレイなので、それこそマイルスよろしく、自分の吹くパートは普段の80%に落として、類家君や坪口に任せることができ(ジャズメンは、一回セッションすれば、具体的な=口頭でいくら怪我や病気の話をしても、伝わらない=コンディションは丸見えになるので、「オレ80%に落とすからさ」とさえ言わないでも伝わる)、バンドサウンドも自分のソロも、クオリティ落とさずに何とか凌いだ。  

<菊地成孔の日記 2024年3月24日~4月1日記す>

 この1週間、ずっと掛かりっきりだったのは2期スパンクハッピーのイベント準備と、ぺぺのアルバム制作に向けての宿題だけで、他に何もやれなかった。以下、内容が音楽制作に関することだけになるので、テクニカルタームとかが全くわからない。という人も出てくると思う。架空の文学だと思って読んで頂きたい。   ぺぺの「宿題」というのは何かというと、オルケスタ全員で録音した、全9曲のラフミックスとカラオケ(録音時に入れた仮サックスと仮ヴォーカルを抜いたもの)を、まずはただひたすら聴くのだが、これは全体の演奏の修正箇所を決めて、スタジオに入った際にスムースに編集作業が行われるため。というのが目的の第一だ。   現在の団員の演奏力は結成以後20年目にして最高値を示しているけれども、このメンバーで録音するのは初めてであり、かつ、9曲中、ライブでもやった事のない、完全な新曲が3曲あり、1曲は僕の単独作曲なので、演奏者に対する忖度というか、ホスピタリティが高い。   「簡単にできて、美味しいレシピ」というのはどこにでもある。僕の作曲は、どのバンドであれ、ホスピタリティを重んじている(それでもまだ、力の入れ具合がわからなくて、団員のポテンツを折ってしまったり、完成に際し妥協してしまったりすることも過去はあった)。 側から聴く分には、「嵐が丘」と「キリングタイム」は、どちらもすごい難しそうでしょ。全然違うのである。片方はそこそこ難しく、片方は、赤子の手をひねるが如きである。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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