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記事 9件
  • <菊地成孔の日記 2024年4月30日06時 記す>

    2024-04-30 10:00  
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     今日、新宿の映画館でウォン·カーウァイの「恋する惑星」の上映後トークショーをするので、直前に石森管楽器に行った。テナーサックスのチューンナップが終わったので取りに行ったのである。
     すると、1階の、雑誌が読める小テーブル、小椅子1つ、というスペースに(使われているのを過去、1度も見たことがないのだが)、坂田明さんがいて、無心に管楽器雑誌を読み耽っていた。
     僕が坂田さんを一時期、殺害しようとしていたことは「コロナ日記」にも収録されているのだが(ゲラチェックをちゃんとやっていなかったので笑、出版されてから気がついた)、「村八分」という言葉が含意するように、村社会では、噂話がSNSよりも早く、そして忠実に、一瞬で広がる。ジャズ村で、僕が坂田さんを狙っている(今はどうでも良くなった。スガダイローさんのお陰なのだが)という話は、今、ジャズ村で知らぬ者はいない上に、村の外にまで漏洩してしまっている。
     

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  • <菊地成孔の日記 X年X月X日X時記す>

    2024-04-22 10:30  
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     なんか疲れ日記みたいになっているけれども笑、結局、演奏(DJもあれは演奏行為である。少なくとも僕には)とレコーディングが一番疲れるので、先週まではインパールの死の行軍みたいな感じだったけれども、今週からちょいと凪がくるし、睡眠も少しずつ増えたので、やや体力も戻ってきた。とは言っても、5月の頭からはいよいよぺぺの20周年が本格的に始まるので、体力はつけておかないといけない。
     今、一番楽しいことは、マイメン(谷王)との対談集「楽しい知識(ドミューンやラジオデイズで言ったように、最初は「菊地大谷の雑な教養」という素晴らしいタイトルだったのだが、出版社から却下されたらしく、なんと「楽しい知識」という、さらに素晴らしい物になってしまった笑。老人の特権として書かせて貰うが、世も末だ笑。何せ僕ら2人とも「それで良い笑」と投げてしまっているのだから)」のゲラを読む事である。
     既に膨大なテープ起こしから1ゲラまでマイメンが全部やってくれた。還暦をすぎて(もうそろそろ61だ。すげえ)一番変わったことは、マイメンが僕を老人として、ものすごく労わってくれることで、特に谷王とQNは「世話になってる」ぐらい労わってくれる。
     んで、それを読むわけだが、対談ではあるのだけれども、マイメンの発言と僕の発言の量が、100対1ぐらいになっていて笑、というか、僕はほとんどこの本で相槌しか打っていない笑。
     

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  • <2期スパンクハッピー·レトロスペクティヴから最後のお知らせ>

    2024-04-20 10:00  
    *菊地にも代役が立ちます&DJタイムをパーティーコンテンツに加えます* 
    第一回にお越しいただいた皆様。皆様と共に過ごしたあの時間は一生忘れません(岩澤さんも必ずきっと)。
    もうあと一度きりのパーティーで終わってしまう2期スパンクハッピーのレトロスペクティヴですが、内容に変更が生じましたので、ここにご報告させて頂きます。
    それは、2nd SPANKHAPPY 1night reborn(菊地成孔& X mannequin)のパフォーマーが(菊地成孔& X mannequin)ではなくなりました。というお知らせです。これが、私からの最後のお知らせとなります。あとは会場にてお待ちするばかりとなりました。
     
    *    *    *    *    * 
    私は「岩澤さんのマネキン」の公募を取り下げさせて頂いてから、水面下で、たくさんの、才能ある女性(その多くがプロフェッショナルの方です。その中に

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  • <菊地成孔の日記 X年X月X日X時記す>

    2024-04-16 10:00  
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     デルタブルースの昔から今日に至るまで、歌詞の世界で、「非常に疲れた」と言う表現は、さまざまなレトリックが発達してきた。曰く「ボロ雑巾になった気分」「今がいつでどこだかも分からないぐらい」「死んだ3匹の蝿ぐらいになった」「自分がブロンズ像にでもなった気分だ」「目をつぶれば寝てしまう」「寿司一個が重くて持てない」「眠りは死の友人だ。だからオレは寝ない」等々。
     現在のボディ·コンディション(これは歯の具合も関わっている)のまま、ダブセクステットと2期のDJイベントと、山下ー堀越ー菊地の「山下洋輔DUO +1」(この名称になった経緯も面白い話なのだが、今、キーパンチするのもしんどいのでいつかまた)を、飛石式に1日おきに3連続したら(その間もぺぺのレコーディングもあり)、ボロ雑巾になって今がいつかでどこなのか分からず、目をつぶればもう寝てしまう以上のブロンズ像にでもなった状態のままだ。
     とはいえ、どんな状態であろうと、ステージには上がる限りは、クオリティは絶対に維持しないといけない。「疲れてるんで大目に見て下さい」は、最後の最後のセリフだ。
     ダブセクステットはチームプレイなので、それこそマイルスよろしく、自分の吹くパートは普段の80%に落として、類家君や坪口に任せることができ(ジャズメンは、一回セッションすれば、具体的な=口頭でいくら怪我や病気の話をしても、伝わらない=コンディションは丸見えになるので、「オレ80%に落とすからさ」とさえ言わないでも伝わる)、バンドサウンドも自分のソロも、クオリティ落とさずに何とか凌いだ。
     

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  • <緊急告知>本日代官山へお越しの方々へ

    2024-04-12 15:20  
     菊地成孔です。私が数を読み間違え「2~300人だろう」と思っていたところ、ゲートを開いた瞬間に600名に達しました。うれしい悲鳴とはこのことではありますが、以下、これが杞憂であることを願いますが、2期を愛してくださる敬虔な方で、「クラブでギュー詰になったまま踊る」ということ自体が初めての方が多いのではないか?と予想します。
    以下、極々一般的なクラブマナーですので、お目通しくださるよう、お願いいたします。 
    *     *     *      *      * 
    まず、代官山UNITはコインロッカーが少うございます。お召し物を着替えたい(大汗をかくのは残念ながら避けられませんので)方は、ロッカーを使用できなかった場合に際し、ご自分なりに備えてください。
    勢い、お1人様の占有スペースは非常に狭く、しかし私は音楽家としてダンスを焚き付ける事を自分から制限することができません。最悪軽傷害事故に

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  • <ethic>歌詞

    2024-04-10 12:00  
    <ethic> 作詞 / 曲 / 編 菊地成孔

        夜の高速道路
        青いヴェルヴェットの上を 
        車は走る あたし達を乗せて
        ああ  honey dew ダイアモンドと メロンの味がする
        あなたのKissは文学的
         「ねえ?みんなの言ってる、あなたのことなんて、嘘でしょう?」
        って あたしが言った
     
        痛みを喜びに 変える魔法を唱える
        高層ホテルの ルームライト数え
         mein muse 花束と 生肉の香りがする
        君のベッドは宗教的
         「ああいつからこの国はこんなふうになっちまったんだ」
        って あなたが言った 
        脱ぎ捨てたのは ethic
        教わらなかったのは 滅びゆくものは
        ethic / ethic
        こんなにまでも あたしたちを
        だめにだめに 
       

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  • <菊地成孔の日記 2024年4月8日(月曜)>

    2024-04-09 10:00  
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    2024年 / 4月8日(月曜)。ずっとアレからも、前回と同じ作業の繰り返しだ。「ダブセクステットは準備良いの?」と、退行じみたネットの声のような声が届いているが笑、「良いの?」と聞かれれば「良いの」としか答えられず笑、何というか、とにかく疲れ切っている。誰だサスティナブルとか最初に言った奴は。こっちゃあ疲れが大変にサスティナブルである笑(エコの人々の「未来の子供達のためにも」も、正直、この人たち、物を考える力があるのかな?としか思えない。自分の子供が可愛良いのは、単に平均的なことだ。未来永劫まで考えるか、もう何も考えないかのどっちかしかねえんだよ!!!地球は!!!!!)。
    例えば、20世紀になって、石炭から石油にエネルギー源が動いたことは知っているけれども、そもそも産油国ではない(石炭ばっかとれた)イギリスがアメリカ(産油国)と、中東の石油をどうしようとして、どんなことが起こって、どういうふうに今につながっているか一切知らなくてもCO2の排出量がどうのこうとかいう話は今の人々にできる。というか、盛んにしている。
     

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  • <4月12日代官山に集合される、2期SPANKHAPPYを愛する皆様へ>

    2024-04-03 10:00  
    菊地成孔です。あれからずっと、あなたを愛しています(岩澤さんもどこかできっと)。Je ne peux pas attendre 10 jours !! <10日後が待ち遠しい!!> そして每天也想念著你 很想快些見到你 以我雙手擁抱你!!なんて情熱的な、恋の喜びの言葉でしょう。 
    地球は生まれた時から異常気象。でも、どうやら、春が来ますね。この日は、私のDJばかりではなく、天女のような浜崎容子さん、お人形のようなルアンさんがハーフタイムショーで花を添えてくださる、人工の極楽で開かれるお花見のようなダンスパーティーです。皆様と共に楽しめるだけ楽しもうと思います。 
    現在私は、2期スパンクハッピーが残した全音源をクラブと同じ機材のスタジオに入って聴き直し、DJプレイ用にリメイクし直しています。 
    AIとは便利なもので、どんな既成音源からでもヴォーカルの部分だけ、剥ぎ取って、別々にできますし、ワ

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  • <菊地成孔の日記 2024年3月24日~4月1日記す>

    2024-04-02 10:00  
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     この1週間、ずっと掛かりっきりだったのは2期スパンクハッピーのイベント準備と、ぺぺのアルバム制作に向けての宿題だけで、他に何もやれなかった。以下、内容が音楽制作に関することだけになるので、テクニカルタームとかが全くわからない。という人も出てくると思う。架空の文学だと思って読んで頂きたい。 
     ぺぺの「宿題」というのは何かというと、オルケスタ全員で録音した、全9曲のラフミックスとカラオケ(録音時に入れた仮サックスと仮ヴォーカルを抜いたもの)を、まずはただひたすら聴くのだが、これは全体の演奏の修正箇所を決めて、スタジオに入った際にスムースに編集作業が行われるため。というのが目的の第一だ。 
     現在の団員の演奏力は結成以後20年目にして最高値を示しているけれども、このメンバーで録音するのは初めてであり、かつ、9曲中、ライブでもやった事のない、完全な新曲が3曲あり、1曲は僕の単独作曲なので、演奏者に対する忖度というか、ホスピタリティが高い。 
     「簡単にできて、美味しいレシピ」というのはどこにでもある。僕の作曲は、どのバンドであれ、ホスピタリティを重んじている(それでもまだ、力の入れ具合がわからなくて、団員のポテンツを折ってしまったり、完成に際し妥協してしまったりすることも過去はあった)。 側から聴く分には、「嵐が丘」と「キリングタイム」は、どちらもすごい難しそうでしょ。全然違うのである。片方はそこそこ難しく、片方は、赤子の手をひねるが如きである。
     

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