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2024年10月の記事 5件

<菊地成孔の日記2024年10月28日記す>

 3年越しで「天使乃恥部」を完成させ、久しぶりでいつもの街中華に行ったら、なーんと、客が僕しかいなかった。この店は外から中が見えるタイプで、昨日まではいつものように客でパンパンだったのであった。    「えー。どうしたのかな」僕はそんなに不安が強い方ではない(精神分析を受けてからは特に)たいていのことはどうにかなるだろと思う方だが、いつでも客でいっぱいの店がさ、行ったのは夜の9時とかよ。まるで人類が滅亡したかのようだ。日曜の夜とはいえ。だ。    まあまあ、そのうち客も入ってくるだろう。それで結局、だらだら11時まで居た。エビスの中瓶1本、茄子の唐揚げ、エビ蒸し餃子、豆苗炒めと、クォーターポーションの北京ダック、サンラータンの刀削麺。いよいよ明日から、「コロンボ研究」の前書きから執筆に入る。膨大な資料とメモをまとめていると、「M/D」よりも厚いかも?と思えてくる。    とうとう僕が会計を済ますまで、客は1人も入ってこなかった。えー、なにこれ気持ちわるー。またコロナでも流行ったのかしら。    雨がそぼ降っていて、僕は、ラディカルな意志のスタイルズのパーカーを着ていて、フードを被り、歩いて帰ることにした。  

<菊地成孔の日記 2024年10月19日記す>

  まあ、ホモソと言えばホモソだ。文句がある奴は好きなだけ言えばいい。男友達が集まるというのは本当に気分が良い。2度言うが、本当に気分がいいものだ。    女性が嫌いな訳がないし、セクシュアル・マイノリティにはそれ相応の理解があるつもりだ。その上で敢えて敢えて言うが、「まあ、女にはわからないよな」という特別な気分、その領域が自分の中にあることは、その領域が遠からず絶滅することは(「絶滅させられる」わけではない。ということでさえ)理解した上で、誇りに思うし、年齢を鑑みるに、絶滅種として大切にしないとな。とすら思う。    僕はまあ、言ってしまえば便利だからビッグカンパニーもマスメディアも使う。僕は彼らにとっては、実のところ一番タチの悪い厄介者で、極めて扱いづらいので、最後にはクビは切られてしまう。にしてもだ。    なので、タフビーツやブラックスモーカーといった、悪い友達でいてくれる、小さいが真にイルでインテリジェントなレーベルとシンジケート関係である事を、僕は誇りに思うし、かなり実直に言えば、大変な安堵感がある。現代ほど「友達」という言葉を軽んじている社会はない。    パードン木村さんは、ペンギン音楽大学が創設される前、僕がマンツーマンで音楽理論を教えていた時期の、最初期の生徒である。木村さんは一番最初、ヤン富田の弟子筋であるというプロフィールで現れた。  

<菊地成孔の日記 2024年10月7日記す>

  「天使乃恥部」が配信され、「クチから出まかせ」が出て、あれをやって、これをやって、これもやって、あれをして、これもして、もっともっとして、ああして、こうして、これでしばらくリリパ以外は人前に立つライブもしばらくない、という状態になって、いよいよ「<刑事コロンボ>研究」の執筆に着手したら、前の日記から10日近く経っていて本当にびっくりした。    体感で5日ぐらいしか経っていない。倍速で動いていたのである。今まで黙っていて、というか、隠すつもりもなかったのだけれども、この10日の間に、自動車免許も取得していたので、倍速感が強かったんだろう。    にしても、免許取得後の最初の運転が、法的には盗難したに近いタクシーで、しかも犯罪者と同乗する事になるとは思わなんだ。更にしかも、である。書いても信じては頂けないだろうな、と思いながら書くしかないのだが、僕、犯罪者、僕らとは全く関係のない運転手、の3人が午前3時の首都高を逆走の時速130キロで爆走した理由は、拉致られた元AKB48の前田敦子さんを救出するためなのであった。    前田さんは「素敵なダイナマイトスキャンダル」の完成披露の舞台挨拶で1度だけお会いしたことがある。この映画は本当に出演者が豪華で、今をときめく左大臣、柄本佑さん、今をときめくドライブマイカー三浦透子さんを始め、ほとんど有名な人しか出ていない、今は俳優業は廃業されたのかどうなのか、知る由もない(由はあるよな検索だ。しないが)神聖かまってちゃんの方もいらして、しかも撮影現場では左大臣(何故、伊周の発狂するほどの呪詛を受けても熱一つ出さないのか)としか一緒でなかったので、舞台挨拶はエグい事になったわけだ。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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