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記事 12件
  • <菊地成孔の日記 2023年6月25日 午前5時記す>

    2023-06-26 19:05  
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     還暦フェアの業務が続く中、ペン大の授業も安定運行し、新音楽制作工房のコーポレートサイト作りも進めてゆく。20人もいるとサイトデザインの能力がある者もいて、2人ピックアップして僕と3人体制でやっている。2人とも音楽家としてAリーグで(実は全員Aリーグなのだが笑)、少なくとも地球上のアートカレッジの先端科(というのがあるのですどこにも)のどこよりも先端的なクリエイトをしている。 
     もう少し厳密にいうと、アカデミズムの中にある「先端」よりも、我々の先端性は遥かに市場価値の中にいる。何せ、これがアップされる頃には「岸辺露伴は動かない」のOST発売の初報が飛び交うのである。TVドラマ、映画を観た人全員に買って頂きたい。お布施とかそういう話ではない。互いの生命力を更新するためにだ。あらゆる先端的実験は、人類の凝固した生命力を解き放つためにあるべきだろう。 
     現在のところ、公開情報が「内容は未定」となっているので書けないが、僕が知る限り、現在考えうる限りのあらゆる先端性と、審美的な商業性をしっかり備えている。イルカム(やや煩雑になるので説明は省く。「フランスにある音楽の研究所みたいなところ」と、児戯にも等しい説明でお許し願いたい)が、今何をやっているのか?も我々はマークしていて、その評価は兎も角(僕自身は「全然大したことないね」と思っているが。本気で)、じゃあイルカムの成果物が人気テレビドラマ / 映画のオリジナルサウンドトラックを手がけることはこの先一切ないと断言できる。ここが重要だ。音楽の側から映画を復権させる力を与えるのである。 
     音楽のが映画より優れている。という意味ではない。古来、実験音楽の最良の現場は映画音楽だった。現在の映画音楽は、音響システムによるスペクタキュラー方面と、ミュージカルアドヴァイザーシステムによるきせい既成曲の使用センス、PC制作のオーケストレーションと無限に近い効果音による、「より早く、より多く、より安く」という市場の最悪面が拡大されており、これは映画というメディアの総合力の低下を意味している。
     我々はギルドという古層のシステムを蘇生させることで、「岸辺露伴は動かない」という作品に於いて、こうした現状の真逆に駒を進めることに成功したと言える。そもそも作家に疲弊がない(ギルドなので&監督との信頼関係によって内容を一任されているので)。という点だけでも輝かしい。創作的な労働が悪い疲弊の元に成り立っているのは悪弊であるし、作家を抱え込んだ劇伴専門事務所などによる中間搾取はもっと悪弊であって、我々はこうした現状を、北京ダックを食いながら突破すべく日夜作曲に励んでいるのである。 
     これは映画というメディアへのリスペクトであり、パワーチャージでもある。そもそも、「新音楽制作工房」自体が、「岸辺露伴は動かない」によって生まれた側面もあり、こうしたことはOSTにライナーノートがあるとしたら詳述する。
     

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  • <菊地成孔の日記 2023年6月19日 午後5時記す>

    2023-06-19 22:00  
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     「還暦を迎えても特別な感慨はない」と言うのが、人間の動物的側面だと思う。還暦に関わらず、あらゆる区切りに意味を感じようとするのは人間の人間的側面だ。
     
     僕は還暦になっても、特別な感慨はないと思っていた。「還暦フェア」は、まあまあ、前々から計画 / 準備していたことだから、やることはドッカンドッカンと色々あったが、これはまあ、周期的に小規模のがあるので、特に画期の感はない(動画で説明している通り、シンクロニシティというか、タイミングは恐ろしく合ったのだが=QNがあのMVの撮影構想を2転3転している間に、僕の還暦直前に完成し、ガキはちょうど走れるようになっていた。「火星」も、最初は<とりあえず還暦フェア用の予告編だけ作って、本編は<撮影快調>とかにしとけばいい。という流れだったのが、急転直下、嘉山監督が「これしかねえ」奴を作り出して、結局みんな揃ってしまった。「第二期」も、ラジオデイズの

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  • 「菊地成孔還暦フェア」ご案内

    2023-06-14 13:36  
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     世界の皆さんお誕生日おめでとうございます。あ、間違ったオレだったスンマセン。 改めまして本日、2023年、6月14日をもちまして無事、還暦と相成りました菊地成孔であります。年相応にアチコチ身体の部品にガタがきておりまするが、総じて健康でありまして、これもひとえに、ファンの皆様からの美しく健康的な愛、そしてアンチの皆様からの醜い腐った愛、の賜物だと感謝しております。ありがとうございます。 20代の頃は「還暦まで元気でいられる」などとは予想だにしておりませんでした。今と比べるにムッチャクチャな生活だったんだもの。ホステスさんたちと混浴の岩風呂に頭からダイブして額割ったりとか。
     
     そうそう、この際ですから改めて言いますけれども「小説家の菊地秀行の実弟」っていう根強いアレはちょっとした陰謀論というか都市伝説の類であります。本当はTHE YELLOW MONKEYのギター、「菊地英昭(ひであき

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  • dk-1<「岸辺露伴は動かない」関係(ジャンル:劇伴)>

    2023-06-14 13:36  
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     現在、大ヒット御礼中の「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」のティーチイン付き上映会。がすでに始まっているんですが、明日!(6月15日!)僕も出ます!六本木に集合してください!なんか<お客様から頂戴したご質問にもお答えする>みたいなイベントらしいんで、第一問「サントラ出ないんですか?」、第二問「サントラ出してください」、第三問「なんでサントラ出さねえんだよ!!」でもぜんぜん問題ないです!全て渡辺監督がお答えしますんで!ドッカーン!残席わずかです!イベント詳細はコチラからどうぞ。

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  • dk-2<「Q/N/K」関係(ジャンル:オルタナ・ヒップホップ)>

    2023-06-14 13:35  
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     もう3年越しぐらいで制作していた、元SIMI LABのQNと僕(JAZZ DOMMUNISTERSのN/K)のコラボアルバムが、タイトル「21世紀の火星」と決定し、いよいよ配信とフィジカルのリリースを開始します!ドッカーン! 
     と既に今日の段階で、既発の「told me」に次ぐ先行シングルとしまして
    1)「火星 feat.Henny K」(メキシコの映像制作集団「プロドゥクシオン・ムンド・ペルディード」の嘉山正太監督)
     
    2)「暗殺の森」(「オーニソロジー「食卓」の手書きアニメーション作家、風野敬明監督)
     
    3)「Life is beautiful」(ななんとQN監督)
     
     の3曲が、配信販売スタート&MV公開されております!それに引き続き「国境線」「建国 feat. 没」「sukiniyaru」と、MV矢継ぎ早に続きますよー!
     
     アルバム全貌は全9曲、うちバンドセットが4曲

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  • dk-3<「二期 Spank Happy」関係(ジャンル:岩澤瞳)>

    2023-06-14 13:35  
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     もう何年間も、原盤が散逸的に行方不明だったが故、配信も再プレスも何もできなかった「普通の恋cwフロイドと夜桜」の、散逸していた権利関係がやっとまとまりまして、公式配信が決定いたしました!コレぞドッカーン!(もう一生無理かと思ってた正直)
     
    そして、この記念に、「第二期(岩澤瞳時代)」の全アルバム、シングルを秋ぐらいまでにサブスク解禁! からーのー(うーダサい笑)「僕がその全アイテムから、誰も知らないアウトテイクスまでを駆使してDJする」。つまり二期スパンクスの音源をクラブの大爆音で聴いて踊る、という、事実上の会員制(二期スパンクス磔の、愛も性も、もう何もかもおかしくなってしまっている。とてもお洒落な老若男女の皆様による)地下ダンスパーティーを行います!
     
    ただコレ、岩澤さんの消息(生きてるか死んでるかさえグラグラな方ですので)、あと、音楽的フォロワーを自他共に認識しておられる「あのお

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  • dk-4<その他、過去作品関係(ジャンル:未配信旧譜)>

    2023-06-14 13:34  
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    伝説のキラースメルズによる伝説のアルバム「タラード1&2」を第一弾に(てか、この奇跡の名盤を知る人には信じ難いかもしれないけれども、もうすでに配信されております笑 ドッカーン!)、僕のewe時代の音源(伝説の菊地成孔の伝説のJAZZ-1st solo album「デギュスタシオン・ア・ジャズ(オタンティーク・ブリュ)」、伝説の「菊地成孔ダブセクステット」の伝説のアルバム3枚、伝説の菊地成孔劇伴処女作「パビリオン山椒魚QST」、伝説の川上未映子キネマ旬報主演女優賞獲得作品「パンドラの匣OST」、と、今まで何もして来なかった名盤たちを一斉にサブスク解禁します!改めて聴くとヤベえよ我ながらな!!     

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  • dk-5<サックス競売関係(ジャンル:サックスまとめて競売します。マジで)>

    2023-06-14 13:33  
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      今僕、サックスにドクター・ストップかかっちゃってるんですけど、実はもうコロナ前から、外車のヴィンテージやめちゃって、国産最新のEVカー(Wood Stone new vintage 純製) になっちゃってたんですよね。歳ですねー。
     
    でも僕、全然楽器マニアではなく、過去も、同じ楽器がダブった事全くなかったんですよ。なのでドッカーン!もうこの際なので、僕のサキソフォニスト人生を支えてきた、言わば守護神的存在だったやつ、全部放出することにしました!!!ドカドカドカドカドカーン!!!
     
    まだ「嘘だあ」と思ってる方いらっしゃるでしょうが、嘘ではなく、全部競売にかけてしまうのです。売上金は全て!、、、、、まあ、、、、ワイン、、、、か、、、料理、、、、ですかね、、、、、、まあまあまあまあ!良いじゃないですかこう、断捨離ぽくてね!いざ還暦になったら断捨離の思い切りもすごいですよ!こないだ服100

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  • dk-6<書籍関係(ジャンル:本)>

    2023-06-14 12:00  
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    <書籍>
     
    これは何も具体的に言えないけれども年内に3冊は絶対出る(笑)。一冊は、久しぶりで大谷能生との対談集(ガチくない奴)、もう一冊は「ビュロー菊地チャンネル」のコロナ期の日記、もう一冊はライフワークである、日本の60年代における映画音楽の研究書、「結局、伊福部が偉いのか?~東宝映画の音楽家たち~(仮題)」です。これは初の「知らない方(研究家)との共著になるかも!!ドカーン!!

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  • <菊地成孔の日記 2023年6月9日 午後1時記す>

    2023-06-09 18:00  
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          「生まれて初めてづくしの旅の話(最終回)」 
     
     いつもペペトルメントアスカラールのステージMCで言うように、嫉妬と自慢はいけない。これは満州鉄道の警備員というバイトを、生涯で僅か6年間だけやった以外は、ずっと板前で、死ぬまで板前だった父親が、唯一遺したウィズダムなので、一生忘れないだろう。嫉妬すると、やがてされるようになる。自慢すると、やがてされるようになる。その結果どうなるかといえば「自慢が過ぎると前から」そして「嫉妬が過ぎると後ろから」「刺されるから」。という話だ。
     
     このウィズダムがあのクソ親父にしては良くできているーー
     
    (推測だが、きっとこれは、僕の守護神である、父方のお爺ちゃんからクソ親父に伝えられたものを、クソ親父が、さも自分で身につけたみたいな顔で僕に授けたのである。やはりお爺ちゃん=胃癌で、四十六で亡くなったが、大変なカリスマ持ちで、陽気な正義感で、彼にどれだけ抱腹絶倒のエピソードがあったか、僕は、出入りの魚屋とか酒屋、近所の店の大旦那たちから嫌という程聞かされた。銚子市が、東京大空襲の残し球をばら撒かれて焦土と化し=歓楽街から駅舎が見たという、特に歓楽街の人々はメンタルがダウンした。お爺ちゃんは、なんとかやっと食用の馬が一頭、市場に届いた時、屠殺させずに、家のタンスに仕舞い込んであった、セレモニー用の軍服と軍刀の鞘だけ下げ、古物商から買った戦国時代の兜を被って、馬にも魚網やら何やらで作った行進用の衣装をこしらえ、それに乗り、歌を歌い、鞭で指揮をとりながら、歓楽街から商店街へと続く焦土を行進し、街の人々はゲラゲラ笑ったり泣いたりしながら、何百人も付いてきたそうだ。そして行進が終わると、お爺ちゃんは馬にキスをいっぱいしてから、解体し、内臓も綺麗にやって、行進についてきた人々のために馬鍋を作った。戦後、界隈いちの大店になった酒屋の店主は「丁稚奉公の頃だったが、後にも先にも、馬があんなに美味いと思ったことはない。ナルちゃんが生まれるずっと前に亡くなったが、寝る前には必ず、お爺ちゃんに話しかけてから寝なさい」と言って一葉の写真をくれた。元、廓の女将だった老女は「お爺ちゃんは、トンボが切れてね=バク宙ができる)そこらの通りで船方でもヤクザでもない普通の人たちがよ、喧嘩したりすっと、近くまで行って、「やめろー!」って、でっけえ声で叫んでね、孫悟空みたいにトンボ切ったよ。そうすっと、誰だって大笑いになってよ。喧嘩してたことなんか忘れちまうだよ」と、目を細めていった。どう考えてもお爺ちゃんはキチガイだったと思う笑)
     
     ーーのは、「嫉妬はされてもするな」とか「自慢はされてもするな」とかいう、セコく、ありきたりな教えではない事だ。「自慢は前から刺され、嫉妬は後ろから刺される」というのは、原理に属することだと思う。
     
     なので、後ろから刺されるリスクを承知で、滅多にしない自慢をするが、僕は角川春樹に、直接「成孔、伊勢神宮なんて観光地だぜ。それよりお前よう、天河神社知ってるか?あそこで護摩炊くときはもうお前よう、夜中から炊き始めて朝まで炊くんだよ。もう若けえヒッピーがいっぱい来てて、全員マッパだよ。マッパ。それで、片っぱしからフリーセックスしちゃうんだ。ほんとだぜ。すんごいんだよお前、成孔よう。うっはっはっはっは」と言われ、肩を組まれてビールを注がれた男だ。
     
     僕は「いやあ角川先生(頭を思いっきりしばきながら「先生はやめろ!」と叫んだ)、痛ってー。フリーセックスとかトランスとかには僕興味ないんですよ。お伊勢さんは、天照大神を祀ってある、全国の神道のネットワークの、プロトコル作ったような中心地でしょう。先生が(頭を思いっきりしばきながら「先生っていうなバカ!」と叫んだ)痛ってー。おっしゃるように、観光地ですけど、それ言ったら最初から観光地ですよ。観光地が聖地ってえのが、良いんじゃないですか?」と言った。 
     

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