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記事 4件
  • <菊地成孔の日記 2023 / 12/ 25~31 記す>

    2023-12-31 22:00  
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    <12月25日(月)> 
     ピットイン3デイズ最終日。山下洋輔とのデュオ。起きて、楽器の練習をスタジオでやって、それからピットイン入りして、演奏を終え、帰宅するまで、クリスマスイルミネーションも一つも見なかったし、街から国産クリスマスのバイブスを全く感じなかった。21世紀=令和は、ひょっとすると、昭和のクリスマスが持っていた、かなり多岐にわたる<総合力>を解体し、例えば<恋人がラグジュアリーに食事してセックスする、「恋人たちの贅沢の日」>みたいに、ジャンル化するかもしれない。 
     演奏については敢えて一切書かない。ご来場いただいた皆様と、僕らだけの秘密だ(SNSに感想書いたらダメとか、写真載せたらダメとは言ってるんじゃないですよ。バンバン書いてください。「ああこの方はよくわかってくださっているなあ」という方も「何を聴いてんだこの変なエグみのライブレポーター笑」という方からも、愛は平等にちゃんと伝わっております)。 
     音楽 / 音楽家は売れてくると、小箱では演奏できなくなってくる。政治経済的な意味ではなく、もう、演奏家 / 歌手、の体質として。これははっきりと堕落と言って良い。音楽は、20人から5000人までが一番向いているジャンルだ。1万人以上になると、音楽が聴かれている訳ではなくなる(それが悪いという訳ではないが、純音楽としては保てない。大観衆で聴くためのテクノロジーが自走的に発達しているだけで、これは「良質な」ファシズムの提供機械のことだ、現在のところ)。 
     と、日が日なので、皆様にシーズンズグリーティングを。
     

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  • <菊地成孔の日記 2023 / 12/ 18~24 記す>

    2023-12-25 10:00  
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    <12月18日(月)> 
     うおっとっと年内最後の完全OFF DAYだったんで、ちと疲れてたんですけど買い物に行きましたよ。買い物に対しても、昔みたいに、「舞い上がるような」喜びは無くなっちゃったなよあ。でも、これは天国から地獄とか、歓喜から虚無とかいった転落劇ではない。渋さを楽しんでいます。これが加齢の最大のギフトだと思いますなあ。
     
     要するに世界が全てが艶消し(つやけし)の燻銀(うるしぎん)になってきた。静かです何もかもが。若かった何もかもが、あのスニーカーはもう捨てたかい? こんな季節が来るなんてねー。だからそのうちきっと買いますよ和装。60あたりから和装。合格間違いなしの超ダッセー感笑(←僕がダサいんであって、和装はダサくない。一番カッケーの買うけど)
     
     でも良いの。普通のことをして生きていたい。どうせそう思っても、そうならないんだし笑。おすすめの店、もしくは和装屋さんで僕に似合うようにあつらえてくれそうな方、ご連絡ください。紬、お召し、小紋、黒紋付き5セットぐらい揃えるので。しかも30分かからない。僕の買い物の速さたるや。
     
     っていうか、せっかくだから買い物の最後に寿司屋で締めることにした。「文久年間から続く、東京最古の老舗」という惹句でお馴染みの、九段にある「寿司政」さんは、小学校の頃に二~三度「修行のため」に連れてゆかれたことがあり、こないだ谷王との対談で使わせて頂いたので、この度プライヴェートで来のであります。 

     

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  • <菊地成孔の日記 2023 / 12/ 19記す>

    2023-12-19 10:00  
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      病み上がりの働く怪我人としてあれこれしていたら12月の下旬に差し掛かってしまった。
     
     「ラジオデイズ」が毎週できるのだから日記が毎週書けないわけがないのだけれども、ラジオデイズが日記化しているので、日記がエッセイ化しているような格好であるのはどなたの目にも明らかだろうから、日記も音楽家の日記らしく、単に仕事をした話を周期的にした方が良いのだろうか?それとも「いつ届くかわからない」状態から、いきなり長文が届く、と、これが現状だけれども、どうすか皆さん?
     
     前者は、いざそうすると決めてしまえば、例えば毎週末に締め切りを設定して忘備録みたいなものを淡々と書いてもよさそうだけれども、面白いかそれ?
     
     試しにやってみよう。前回の日記が11月29日だから、11月30日から20日分を一覧してみる。 
     
    <11月30日> 
    3時から腰椎のリハビリのみ。次回はレントゲン撮影と経過観察の報告を受ける。「患部は痛くないんですが、患部を守って生活してるんで、全身がもうバッキバキです」と言うと、思いもよらない角度のストレッチとか施術してくれる。30分でだいぶ楽になった。 
     昨日、2期スパンクハッピーの情報公開をしたばかりだが、食いつきが凄すぎて長沼が驚いている。 
     猛スピードで、レトロスペクティヴ(気楽に書いているが、誰からもつっこまれていない。元々この言葉はアートや映画に使われる言葉で、「そろそろ死にそうな巨匠」か「死んだ巨匠」がやる、、、のではなく、「やられる」ものであって、生前に巨匠(私のことです。はっはっはっは)が自ら「やる」ものではないし、僕はそもそもレトロスペクティヴなんてやるタイプではない。 
     「マイルスを見倣って」とまでは言わないが、マイルスも、たった一度だけレトロスペクティヴに手を出したら死んだ。まあ今回は、<極めて現代的なレトロスペクティヴ>と言うことができるだろう。原盤権の散逸により、ある程度の知名度がある盤がまとめて「サブスク行方不明」という状況を発生させ、それが解決する。と、20世紀の人間には、何が何だかわからないような話だ。 
     2期スパンクスは敬虔な信者が多く、ある程度騒ぎはでかくなるだろうが、eweからSONY(TABOO)に動いた時に、ダブセクステットに代表される、僕の、DCPRG以外のジャズ活動の多く(「全て」でないところに、また次の「散逸」の準備がある。めんどくさいことこの上ない)の原盤権もまたSONY(TABOO)に移動した(付いてこれますかこの話。付いてこれたとして、面白いですかね?)、「サブスク行方不明」なのは2期SPHだけではない、
    2期SPHの解禁が終わったら、そのまましれっと「ジャズの部」に入る。イベントだってちゃんとやるもんね。もの凄えちっさい小屋で笑(「敬虔な信者」の数がとても少ないので。アーメン)。
     

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  • <「二期スパンクハッピー」という運動体によって、人生が狂ってしまった全ての皆様へ。そして「なにそれ聴いたことない」という全ての皆様へ>

    2023-12-01 10:00  
     菊地成孔です。もう既に公式発表が済んでいますが、私と岩澤瞳さんと、数多くのビートメーカー、衣装デザイナー、メイクアップの人々による運動体、<二期スパンクハッピー>の音源は、さほど多くなく、今だったら「ミニアルバム」と呼ばれたかも知れない3曲入りのシングル2枚(インターナショナル・クライン・ブルー」「ANGELIC」)と、フルアルバム2枚(「Computer house pf mode」「Vandome,la sick kaiseki」)、そして、番外盤である「普通の恋 cwフロイドと夜桜」と、20数年前のコンパクトディスク時代に、わずか5枚の作品を残して活動を停止しました。
      これらの作品群、特に「普通の恋」は、主に権利関係の未整理から長い間、実質上の廃盤となっており、亡霊のように様々なメディアに点在したままになっていました。全ての作品の、発売当初のセールスは、惨憺たるものでした。 

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