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2014年4月の記事 3件

「料理店の寝椅子 彼女たちとの普通の会話」3-3ソプラノ歌手の林正子さんと(全4回)

ビュロ菊だより「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」3-3 ソプラノ歌手の林正子さんと   ┌─────────────────────────┐ ├○ ├○ 対談メモ ├○ ├○ 於)新宿某所 ├○ 開始時刻) 2014年03月01日午後09時半 ├○ 終了時刻) 2014年03月01日午前03時 ├○ └─────────────────────────┘   ■山岳に花が咲いてたりすると、もうダメ   林 菊地さん、フランスにはいついらっしゃいますか? うちは使ってない部屋が二つありますので、ぜひ寄ってください。   菊地 去年の今頃はパリにいたんですけどね。ワタシね、ヨーロッパの田舎の風景が苦手なんですよ。山岳に花が咲いてたりすると、もうダメ。息が詰まってしまうんですよね。   林 じゃあうちはバリバリにダメです(笑)。居間からジュラ山脈が見れるように吹き抜けにしたんですよ。パリから飛行機でたった50分、25ユーロで来れるのですが。東京–大阪くらいの感覚ですよ。   菊地 ジュラのワインは大好きだし、食べ物は地方のものもみんな好きなんですけどね。   林 そうそう、この前ノルマンディに行ったとき、お城を買い取ったシードル農家と出会ったんです。夕食に誘われて遊びに行ったら、おいしい地鶏料理が出てきました。まずカルヴァドスでフランベして、水を一滴も使わずにシードルだけで煮込むんですって。添えられたオニオンとキノコ、自家製のクリームもおいしかった。ワインとシャンパンは飲み放題で、最後のチーズまで自家製。最高に幸せでしたよ。   菊地 いやあ、ものすごく贅沢かつシンプルなお話ですが、言葉がしゃべれるのも大きいですよね。林さんは何か国語を話すんですか?   林 3か国語、日英仏です。ジュネーヴでは、英語もしゃべれないとお話にならないんですよ。  

「料理店の寝椅子 彼女たちとの普通の会話」3-2ソプラノ歌手の林正子さんと(全4回)

  菊地成孔「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」3-2 ソプラノ歌手菊地成孔の林正子さんと    ■日本酒でデギュスタシオン   給仕 ヒラマサとヒラメの造りになります。今日は店内が騒がしくてすみません。(臨席の団体様は)もう少しでお帰りになられるかと思うのですが……。   菊地 景気が良くて結構な話ですよ(笑)。ぜんぜん大丈夫です。造りに合わせて、玉川のVINTAGE(*菊地注 実際にこういう名前なんです)でもいこうかな……。   給仕 睡龍の純米酒も超オススメです。   菊地 おお、では睡龍をお願いします。   給仕 かしこましました。   林 ここは料理のお皿に合わせてお酒を変えるスタイルですか。和食屋さんでは珍しいですね。   菊地 ええ、まあ、この人数で1合づつだったら、いわゆるデギュスタシオンになりますね。っていうか、一皿で1合ずつ消化するように飲んでるんですよ、われわれが無意識のウチに(笑)。   林 フランスの自宅の傍にあるレストランもそうなんですけど、デギュスタシオン形式はイタリアに多いですよね。トリノを見下ろす丘の村に泊まったとき、村にはレストランが1軒しかなくて、予約の手配をしてくれたホテルの人が忠告するんです。「店に着いたらテーブルの上に山ほど野菜が載っているが、半分しか食べるな。あとは行けばわかる」って。   菊地 押しの強い店ですね(笑)。   林 客は全員19時半に集められて、メニューはありません。で、ワインも料理もわんこそば状態で、お店のオススメが延々と出てくるんです。3時間ずーっと前菜が続いて、プリモピアットが22時半。それも4種類のパスタが出てきました。途中で、やめたいって言ったんですけど、ダメだって。   菊地 ダメだって言われるんですか(笑)。ラテン系の人がとにかく食べるというのは話に聞きますが、まわりの人はどのくらいついていっているのでしょうか。   林 これが、まったく余裕でついていくんです。私はメインを半量にしてもらったりして、なんとか終わったのが午前2時。その夜は満腹で眠れませんでした。   菊地 アジア人だからついていけないんでしょうかね。   林 いえ、うちの旦那(フランス人)もついていけてませんでした。おそらく、イタリア人の胃袋がすごいんです。ただ、お店自体はエル・ブリにも匹敵する味でしたから、菊地さんもぜひ(笑)。私が生まれてはじめて「あと何皿出てきますか」と弱音を吐いたのがエル・ブリでした。   菊地 エル・ブリは1皿が少ないじゃありませんか。スプーンにひとくちとか。   林 でも20も30も出てくるでしょう。うんざりですよ(笑)。   給仕 睡龍をお持ちしました。   林 あら、きれいな色ですね。   菊地 ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)みたいですよね。前回の対談で出てきたウンブリアの白も黄色っぽかったし、この対談、書籍化するんだったら「(黄色い)酒と(黄色い)薔薇の(黄色い)日々」にしたらどうですかね。ダメか(笑)。いただきましょう。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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