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2014年9月の記事 4件

<ビュロ菊だより>No.38『うわあ気がついたら伊勢丹に通ってなかったぞ。半年近く。そりゃあおかしくなるよね。それと緊急特報3つ』

男たるもの、例えば素晴らしい家庭をお持ちで、伴侶の方が必ず帰宅を待っていて、お子さんも居て、帰宅するとお風呂とか晩ご飯とかが用意されていて、それがよしんばものすげえ旨いとかではなくとも、晩酌もちょっとあったりして、落ち着くのだと。録画しておいたテレビ番組なんかを見ているとお子さんが飛びついて来たり、何かそういうオプションもあって、とにかく派手ではないが、だからこそマイブルーヘイヴンである。なので俺は頑張れるのである。といった聖域がおありでしょう。それがSMクラブの方もいらっしゃるでしょうし、気の置けない飲み友達と一緒の居酒屋だったり、深夜の首都高速だったり、図書館だったり、下手すっと実のところ職場がそうなのだ、といった方も。隠れ家的バー。なんか持っちゃったりする方もいらっしゃるでしょう。   んでまあ、ワタシにとってそれが新宿伊勢丹なのだという事は、ご贔屓筋の皆様には御存知の通り。恐らくどれも一生持ちませんが、温かい家庭があっても、性的なファンタジーを全開放出来る秘密クラブがあっても、誰にも教えない隠れ家的なバーがあっても、自動車免許があっても、ワタシは伊勢丹に行けなくなったら、そうですなあ。家庭が聖域の方が長期の出張に出たり、フェチ持ちが行きつけのクラブに通う資金が尽きたり、首都高の飛ばし屋さんが車やっちゃったりしたのと近い状態になるでしょう。期間にもよりますが、もしそれが保証された一生の切断だったら、相当な精神的な努力の果てに代替物を見つけない限り、頭は狂うでしょう。まあ、もう既に少し狂っている訳ですが。   大雑把に言って、若干狂っている人間が、狂いながらもバランスをとっている。ワタシの場合は音楽ですけど、次がいきなり伊勢丹なんですね。「音楽、伊勢丹、毎夜の料理店」ですよね。音楽以外は(精神的な)ライフラインとまでは言いませんが、とにかくここ最近、基本的には身体も心も重かったですよ~。ライブやラジオの収録にになっちゃえばアドレナリンが出ますから、というか、「普通の状態」になりますから良いんですが、後の時間ね。風呂入ったり飯喰ったりしてる時間なんかが、もう重くて重くて。しかも、家庭持ちの方の(ワタシは戸籍上の家内はおりますが、家庭は持っておりません)長期主張の様に、はっきりと機嫌を含めて意識的にならないわけ。   ようするに「そういえば伊勢丹いけてねえな(←因にワタクシこの「○○できてない」「○○やれてない」等の「てない」表現がクソックソに大嫌いなので、実際は使ってないんですが、何か汎用的なリアリティにすがって書いてしまいました)」と思ってはいるものの、いつから行ってなかったっけ?みたいな感じで、今調べてみたら、6月の8日から行ってないの!!2ヶ月以上!!そら心身も重く成りますわな!!(まあ、毎日、徒歩と言わず車と言わず、前は通ってるんですが)  それで、もう転がり込む様にして行って来ましたよ。まあ本当に、教会や神社と一緒ですから、穢れが溜まっちゃったる訳ね。重さはその分ですよね。皆さん溜まってませんか罪咎穢(「つみとがけがれ」神道の用語ですが、どんな宗教にも同じ概念があります)ワタシは料理人だった親父ゆずりの風呂好きですから、風呂には炭酸水飲みながら2時間ぐらい入るんですが(生意気にもテレビやオーディオがくっついてるんで)、それでも溜まりますね。伊勢丹行かないと。  つう訳で、2時間ばかり時間が出来たんで、まずコスメ売り場を丘(オレのテクニカルターム。1階と2階の間にあるトイレの前の、立ち休みのスペースの事。コスメ売場が一望出来る)で1時間ぐらいずーーーーーっと眺めて、それから全館くまなく回りまして、エルメスどうなっちゃうんだろうとか、「レディス&ジェントルメン」の窓際の席に座ると、アン・ドゥムルメステーウを誰が気にかけてるか解るな。とかのコネタもありつつ、とにかく、体が空中に上がって行く様な浄化がありまして、いやあもうその後の晩飯の旨い事。      <ここから衝撃的なまでの特報3連発!!>  

<ビュロ菊だより>No.36『あなたワタシの毎日が知りたいですか?ワタシがすげえ昔に言った事に興味がありますか?それは矛盾しますか?ぜんぜんしないですか?あなた誰ですか?今のワタシ見えてます。ほら、これが中指ですよ』

    なんか全然知らない間に「夏フェス」と「クラブ」が、我ながらちょっと抵抗あるな、これは。という中途半端に古い表現を使うならば「凄い事になって」いた。というのがこの夏の最も大きな驚きです本当に。    夏フェスなんて、自分が出た事があるのがフジとライジングと今は無くなっちゃった奴だけなのに持って来て、ロックインジャパンとサマーソニックと、横浜の山の中で最後に湘南の風が出て来るレゲエのでっかいの、ぐらいしか知らず、こんなにいっぱい(トリがウルフルズで、何万人も集まる奴とか、山中湖でメンインザミッションの次に矢沢永吉が出てくる奴とか、もう、すごくいっぱい)あったのか!と、総てテレビで観たのですが(笑)、いやあ本当に、我ながらちょっと抵抗あるな、これは。という中途半端に古い表現を使うならばガチで驚きました。因みにオファーは全世界含めて、ただの1件も受けておらず(笑)しかも「レコード制作とレーベル運営に忙しく。申し訳ないのだが断わった」とかでもないので(笑・ギャラを高額でふっかけて、とかでもないですよ勿論!!)、大丈夫かなオレ、、、、。と思わざるを得ないのですが、こうしてワタシがフェス向きのアーティストでない事が証明された事は、踊れる音楽ばっかりやってる身としては大変残念&51から奢る事無く一層の精進を続ける事としまして、これは音楽史的に見ると、芸能への回帰が進んでいる事を意味し、とても良い事だと思います。    

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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