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記事 5件
  • <菊地成孔の日記 2021年7月31日午後5時記す>

    2021-07-31 19:00  
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     前回のコメ欄にも書いたが、田原総一郎が完全に蘇生したのには感動に近いものがあった。その名も「コロナとオリンピック」。このテーマの前に、田原は全身の血液をスイスの病院で取り替えたぐらいの若返りを見せた。眼光が60年代に戻っていたのは凄い。あれを本当に医療でやったら何億かかかるだろう。
     
     最近、らしくもないのだが外山恒一の「政治活動入門」を読んで(どういうわけだが、1年前ぐらいからゲラが届いていて、ずっと放置していたのだが、先日灰皿をベットに落として「うわー!」とか言って騒いでる間に、気がつくと手にとっていて、読み始めたら止まらなくなった)、かなり面白かったし、田原総一郎の蘇生に対する感動は諧謔なしだし、え何オレ、還暦過ぎたら政治の話とかするようになるの?(IKKOのモノマネで)それって最悪~笑、などと口に出しながらベッドの上の灰を手のひらで落とすものの、どんどん広がってしまう。仕方がないので、口でフーフー吹いた。
     
     ドイツのジムナスティの選手が「アスリーテストを性的な目線で見られることにアゲインストするため」レオタードをやめてユニタード(ユニタードは正しくはレオタードの類語ではない、レオタードの語源はフランスのサーカス曲芸師、レオタール=男性が着ていたコスチュームから来た、つまり人名であって、「レオ」と「ユニ」には対応関係はない)にして、それがフェミニズムだ、みたいな一銭の意味もない事(「レオタードのが良い」と言っているのではない。どっちだって同じだ。そもそもドイツは過去、この問題に関して考えすぎた挙句にこじらせ、裸体運動まで追求した国で、僕が知る限り、世界で最もフェティッシュカルチャーのエグさとドギツさと広さを誇る国である。フェミニズムは大いに結構で、アスリーテストの肉体をどう観るのか?という問題はとても有意義だと思うが、この件に関してはドイツの体操界が今更何言ってんだ笑、50年おきに前行性健忘を起こすのか笑、としか言えない)よりも、外山によるファシズムの定義の方が遥かに興奮する。
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年7月26日午後5時記す>

    2021-07-26 22:00  
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     阿部一二三は金メダルが確定した瞬間から一礼をしてインタビューブースに入るまでほとんど発汗しておらず、インタビューの途中から滝のような発汗が始まり、インタビュー内容が固いものからリラックスしたものにソフトランディングする辺りでバケツで水をかぶったかのような大量の発汗を始めた。
     
     僕は性的には一番狭いヘテロセクシュアルだが、阿部のこの発汗のあり方には性的な興奮を覚えた。発汗フェチとかではない。卑近も甚だしい例で申し訳ないが、僕が壊死性リンパ結節園で臨死体験をした時、発熱が41度を超えると、肌がパサパサにまでなる。動脈(静脈ではない)に解熱剤を注射すると、1時間で36度になる。37度まではパサパサのままだ。36度になった瞬間、ベッドの上でバケツから水をかぶったかのような発汗があり、そのたび僕は失神した。また、性行為の中でオルガスムスの後まで汗腺が完全に閉じてしまう女性を何人か覚えている。彼女たちは皆オルガスムスの効果が激しく、しかし汗腺が閉じてしまうので、オルガスムスに向けて、肌がサラサラになる。絶頂を迎えた直後から、リラックスタイムに向けて水をかぶったように汗が噴き出す
     
     この代謝システムに関して、僕は畏敬の念のようなものをもっている。命がけのことなのだ。命がけのことが終わったのだ。
     

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  • <菊地成孔の日記 2021年7月22日午後1時記す>

    2021-07-22 18:00  
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     真夏が来た。NHKが「いだてん」を集中放送している。とても良い。残念なのは、オリンピック直前の集中放送だという点である。僕は、メディアで言っても言っても全然使って貰えなかったので、仕方なくここに書くが、今年の大河は「いだてん」の再放送が一番良いと思っていたし、もし大河枠の再放送が無理だったら、3ヶ月ぐらいかけて全話を集中再放送するのが良いと思っていた。
     
     有名なリーフェンシュタールの「民族の祭典」のを引き合いに出すつもりはないが、国民に政治的な偏向を与えたかったら娯楽が一番だ。ゲッペルスのいうとおり。「いだてん」は本放送当時、国民が落ち着いてゆったり鑑賞できる状態ではなかったし、今となっては振り返る(想起)するのにも鬱陶しい何かがへばりついてしまっているが、近代日本史の勉強になるし、歌舞伎俳優がテレビに出た時のスキルと演技プランが同じすぎて(大人計画も、ちょっとそう)、画面中の演技群

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  • <菊地成孔の日記 2021年7月13日午後3時記す

    2021-07-13 22:00  
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     石森管楽器から連絡が入り、3本ともリペアとチューンナップが完了したので受け取りに行った。僕は石森ブランドの広告塔の1人でもあるので(「キクチカメラ」過去動画参照)、リペアの代金は無料だが、こうした状態に快感を覚えるタイプの奏者は多く、それはそれで音楽家の自我のあり方として健全ではあると思うのだが、あっちこっちの楽器店で無料サーヴィスを受け、あまつさえ、楽器の提供も受け(エンドースメントとか言う)、店員に「よっ、元気?」とか言いながら、適当に試奏して、「じゃ、また」とか言って、という回遊を、つまり、馴染みの上客として金を使わずに偉そうに振る舞うわけではあるが、こうした懐かしいマッチョブイブイ言わせは、似合う者以外は似合わない。少なくとも僕には無理だ。
     
     なので、リペア職人が酒好きなのを(そもそも顔が酒焼けしている)踏まえ、シングルモルトを必ず4本持ってゆくことにしている。こういう仁義は

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  • <菊地成孔の日記 2021年7月5日午前11時記す>

    2021-07-05 14:00  
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     演奏の仕事がないと、結果として書き物の仕事と授業しか仕事がなくなる。株主総会とかやってみたいのだが(やり方がわからないのだが)、そもそも株主が外にいないので出来ないし、自分でも株のやり方が全くわからない。株をやってる友人に株の話を丁寧にしてもらっても、絶対に途中で意味がわからなくなり、話が止まってしまう。一番わからないのが「空売り」で、恐ろしいのは「もうちょっと考えればわかりそう」なところだ。そして「こんなもん熟知してしまったらドラッグじゃないか」という予期不安が強く働くので避けている。兜町を舞台にした映画で好きなのはいっぱいあるが、あれも詰まる所、意味がわからないままに楽しんでいるだけだ。野球のルールを知らない者でも「メジャーリーグ」や「がんばれ!ベアーズ」は面白いに決まっている。
     
     副業で持ってるカフェとかの営業状態のチェックとかにも行けない。副業を何もやってないからだ。服もコロナになってから1着も買っていない。どころか、「スムースエスカレーター」のMV監督として伊勢丹でロケして以来、伊勢丹にも1回も行っていないのだった。おそるべしコロナ禍。しかし、SUPUR(シュプール)が、「満を辞して」という感じでユーチューブチャンネルを始めたので、デパート飢餓感、ファッション飢餓感、グルメ飢餓感は全部ここで晴らすことが出来る。
     

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