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記事 5件
  • <菊地成孔の日記 2022年6月23日 午後7時記す>

    2022-06-23 22:30  
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     かの南伸坊は、「モンガイカンの美術館」の中で、アウトサイダーアートに触れながら、芸術家(ここでは画家と建築家)の分類を「大人型」「子供型」「老人型」としたが、初老の身として、自分が何型かと鑑みるに、3タイプの混合型としか思えない。演奏だけでなく、いろんな仕事をしているからかも知れないが。
     
     エイチゼットリオの皆さんは、お若くして(と言っても、僕より若い。というだけだが)少々の苦労人とも言え(PE’Zからの歴史は長い)、少なくとも、ドラムのエイチゼットKOUさんとベースのエイチゼットにれさんは大人である。特にKOUさんは(正式表記や正式名称が間違っていたら申し訳ない)トリオ唯一の喫煙者なので、今回の、本番までの流れの中で、一番二人っきりで話し、あまつさえ、タバコを7本も頂いてしまった笑。
     
     いろんな話をし、「あの2人は、菊地さんに凄いリスペクトがあって緊張してる上に、元々そんなに喋

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  • <菊地成孔の日記 2022年6月20日記す>

    2022-06-20 21:00  
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     いい加減、歯の話はやめろお前と思うのだが、先日、担当医と最終的なミーティングをし、全貌がはっきりした。7月1日に手術をする。3週間は顔面が腫れ上がるので、ピットインまではには腫れを引かせなければならないと判断した結果のスケジューリングだ。
     
     値段はまあ予想していた額と変わらないし、非常に懇切丁寧にやってくれるので、医師を信じるが(というか、僕は医師を信じなかったことは過去一度もない)、もう死刑宣告みたいな話を喰らい、フラフラしている笑。
     
     サックスは、「差し歯で違和感」どころか、「基本的には1年間吹かないでください」と言われてしまった。無理だ笑。なので無理だというと、なるべく吹く時間をセーブし、激しく演奏しないでください。
     
     「でないと、抜歯後のスペースに(血液採取や組織採取を元手とする)歯根や歯茎を再生(何か、養殖、もしくは受胎のような感じ)する際に、固まりかけの組織が圧で壊れると、やり直しになります。演奏後は必ずチェックします」
     
     ガーン笑。すごいこと言うなあ医者は笑。違和感どころじゃねえ、セーブしろと言うのかこの俺様に向かって笑。
     
     医者のパンチは容赦ない「喫煙はしますか?」。回答と返事はいうまでもないだろう。僕の喫煙は、今月末をもって強制終了となる。
     

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  • <菊地成孔の日記 2022年6月14日 午後4時記す>

    2022-06-14 22:00  
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     59歳になって最初の留守電メッセージは、何やら素敵な女性から「菊地くん、誕生日おめでとう。うふふふ。もう59かあ。でも菊地くんは変わってない筈だよね。近々久しぶりで会えない?」とかいった艶っぽいものでもなんでもなく(念の為、これパブリックイメージを素材とした妄想である。こんなキチガイみたいな知り合いはいない)、新宿ピットインの店長(男性、因みに同い年)である鈴木かんちゃんからのものだった。
     
     僕は前夜の3時間DJ、前々日のチルドレンワークショップと、2日続けて刺激的で有意義ではるが、ぶっちゃけ物凄い疲れる(体力的に。どっちもサバール叩きまくったし。靭帯損傷は再悪化しているのに笑)仕事明けで(さらにDJ後は、そのままスタジオに行ってラジオデイズの収録までしたのである)、本当にふらふらになっていた。
     
     僕の「祝われ嫌い」は、草の根運動の甲斐あって、やっと浸透し、昔のように山のようなプレゼントやお祝いメール、というものは(ファンの方からの、数通のそれは除いて)全くなく、「さあ、今日も仕事だ」と、バッキバキになった体を引きずり起こすようにしたら、ガラケーがピカピカ光っている。
     
     「ああ、誰かがまだおめでとうとか言ってくるのかうぜえなあ(ファンの方に言っているのではない、ガラケーだから知り合い限定になる)」と思いながらパカッと開けると、留守電が入っており「かんちゃん」と表示されていたのである。誕生日おめでとうなどという男ではない。何かのトラブルだ。
     
     朝起きて一発目からトラブルかよ、と思いながら聞いてみると。「ああ、なるちゃん?ピットインの鈴木です。あのさあ、今度ウチからね、オマさん追悼のCD出すんだよね。それでさあ、そこに、ゆかりの人たちのコメントを寄せがきみたいに載せることにしたんだよ」
     
     伝説のベーシスト、オマさんに関しては説明しない。僕は男性に熱烈に抱きつかれてキスされたことが1回しかない。それがすでに80代だったオマさんである(誤解なきよう。ステージを降りてすぐの話だ)。あんなことするから死んだんだよオマさん笑、オレにチューなんかしなけりゃ120ぐらいまで行けた筈だ。人殺しにしないでくれよ笑。
     

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  • <菊地成孔の日記 2022年6月12日 午後10時記す>

    2022-06-13 00:00  
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     古くからのファンの方ならば納得していただけるものと思うが、僕は弱音を吐いたり、落ち込んで見せることが苦手だ。と言うか、そもそも出来ない。
     SNSが苦手な理由の一つに、あれが弱音や弱音を超えた腐り音(くさりね)の吐きだめで、がゆえに元気もらっただのこれで生きて行けるだの背中押してくれるとかリレーションが一切の躊躇なく起こることだ(90年代に「背中押してくれる」が流行りだした頃、僕は「絶壁で戸惑っていたら、あなたが背中押してくれた。という歌詞を書いたら良い」などと嘯いていた)不良や病人が嫌だといっているのではない。僕が不良や病人が好きか嫌いかはご理解いただけると思う。ただ、とにかく弱音が吐けない。友人知人、結婚していた当時の妻にも誰にも出来なかった。結果、精神分析送りになった。
     
     なので、とうとうこの歳になって初めて弱音を吐くので、吐く前からワクワクしているのだけれども笑、今、ものすごい憂鬱だ。誰かに助けてもらいたい。
     
     靭帯損傷が治りかけで再びひねってしまい、治療がリセットでゼロからスタートするのも、そりゃあそこそこ憂鬱だけれども(日課だったストレッチや運動が、ここ最近できていなかったのが、更に全くできなくなってしまったのが痛恨である。1日も早くインナーマッスルをリメイクしたい)、靭帯損傷した経緯や、再びひねってしまった経緯が超笑えるし、ストレッチと筋トレは、先ずは上半身限定で始めるので、弱音を吐くほどのことではない。
     
     左耳の聴力は順調に落ちていて、幸い長沼の地声がでかいので助かっているが、アーティストとかで、恐るべき小声の人(一番小さいのは類家くんと辻村くん笑)と話すと、もうほとんど聞き取れないので、「え?」と言って、何ですかマン(「ひょうきん族」のキャラクター。明石家さんま演)みたいになる。補聴器を勧められているが、補聴器も今は軽量でおしゃれなものも多いし、するのが楽しみである。良いじゃないの、デビュー当時のタモさんのアイパッチみたいで。
     

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  • <菊地成孔の日記 2022年6月9日 午前8時記す>

    2022-06-09 11:30  
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     今でもよく覚えているのだが、2年前の6月、僕はこの仕事に就いてから初めて「今月は(音楽の)仕事が一切ない」という事態に陥った。
     
     「事態に陥った」なんて書くと、悪事に聞こえるかもしれないが、全然そんなことはない。幸いにしてこのブログマガジンがあり、活性化したし、今日に至る流れができた。
     
     世の中には「転んでもただでは済まさない」「逆境は最大のチャンス」とかいう言葉があるけれども、あれはきっと、転んだら転びっぱなしの人が嫉妬して言い放ったのだろうし、逆境をチャンスにできなかった人がいったのではないかと思う。
     
     ずっとワーカホリックだった僕のスケジュール帳が真っ白だったのを見たとき「なんか詩的だな」と思った。モダンアートの清潔さというか。今から思えば「バカンス」感覚だったことは、前の日記に書いた。
     
     今更嘘だとも思われないだろうけれども、僕は「この禍々しいコロナ禍が去ったら、必ずこの手帳いっぱいに仕事を戻してやる」と、拳を握りしめたり全然しなかった。この時握りしめた人が「逆境は」を言語化した人々だろうな、というのが3段落目の要旨である。
     
     2年が過ぎ、2年後の6月は、仕事でいっぱいになった(今年、最も仕事が多いのが今月である)。復興した。という感はなく、「2年前って、なんだったんだろうな」と、SFかファンタジー小説のような感覚があるだけだ(まあまあ、実際は、ブロマガ活性化で大いに働いていたわけだが)。
     
     厳密には5月末だが、新音楽制作工房のパーティーがあったし、先日は四谷の「い~ぐる」でトーク&ミニライブ(良いねえこの響き笑。貧乏臭さにも、バブル感にもどっちも使える「トーク&ミニライブ」笑)があって楽しかったし、今週末は生まれて初めて子供向けのワークショップをすることになった(自分でもまだ信じられないので、宣伝動画を撮って、自分で見ている。「自分でも信じられない」というのは、このアイデアを、僕自身が出した。ということを主に指している)。

     

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