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2017年7月の記事 2件

<ビュロ菊だより>No.131「<最近、映画館のバックヤードにばかりいる>+」

<「素敵なダイナマイトスキャンダル」整音>  マイメン冨永監督が5年越しの夢である、末井昭氏の一代記「素敵なダイナマイトスキャンダル」を完成した。私は音楽を担当し(小田朋美氏と共同)、ちょっとだけカメオ出演もしている。最近、当欄での口を慎めと言われているので慎むが、どう少なく見積もっても、音楽は最高である。私が手がけた実写の劇伴の中でも間違いなく最高峰に入る。  写真は暗くて見づらいだろうが、整音(映画には夥しい数のサウンドトラック=音楽だけでなく、台詞、状況音、効果音、等々が入っているので、それをミックスダウンする事)用のスタジオである。普通の大きめな映画館の後ろに、音楽スタジオのブースがくっついている様な所で、初めて行ったし(基本的に、音楽家は整音には手が出せないのだが、これは古い慣習で、出そうと思えば出せる。私はガンダムから整音に携わる様になったが、映画館ではやらず、アニメ屋さんの、小さな整音ブースでやる)、第一にとても面白い仕事だし、第二に、フランソワ・ミュジーが何をしていたかーーー特に、プロトゥールス前夜のソニマージュ工房でーーーといった事がリアリティを持って迫って来る。  

<ビュロ菊だより>No.130「<アルバムとライブの連発の後は映画音楽>+」

<「ブルージャイアント」って何だ?2>  生徒の皆さんに楽器を選んで頂くと、各機種に数本ずつ実物が出て来る。サキソフォンも今では工業生産品で、出荷される際にきちんと検品されているとはいえやはり楽器だ。実際に吹いてみると、かなりの差がある(優劣ではない。質差、というより、鳴りの傾向の問題)。なので、実際に購入する直前のインフォームドコンセントとしてワタシが実器を吹奏し、感想を述べ、ファイナルチョイスをして頂く事にしている。1日がかりになるが、仕事の中でも最も楽しいものの五指に入る。ただ、楽しい事というのは往々にしてそれなりのリスクがある。この仕事をやると、一番良く鳴って、自分の好みの傾向の良品があると、欲しくなってしまうという事だ。売春宿だと思えば良い、舎弟を連れて乗り込み、女将に数名ずつ(以下自粛)。仕方が無いので「これが一番良いですねえ(プップー)。いやあ、凄くスムースで正確だなあ(ブブブブブー)。うん、これが一番良いです。ので、ワタシ買います(笑)」というオヤジギャグを一日中繰り返すことになる。  

ビュロ菊だより

「ポップ・アナリーゼ」の公開授業(動画)、エッセイ(グルメと映画)、日記「菊地成孔の一週間」など、さまざまなコンテンツがアップロードされる「ビュロ菊だより」は、不定期更新です。

著者イメージ

菊地成孔

音楽家/文筆家/音楽講師 ジャズメンとして活動/思想の軸足をジャズミュージックに置きながらも、ジャンル横断的な音楽/著述活動を旺盛に展開し、ラジオ/テレビ番組でのナヴィゲーター、選曲家、批評家、ファッションブランドとのコラボレーター、映画/テレビの音楽監督、プロデューサー、パーティーオーガナイザー等々としても評価が高い。

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