• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 6件
  • ビュロ菊だより 第三十六号 「菊地成孔の一週間」

    2013-06-25 12:00  
    220pt
    5
    菊地成孔の1週間ですぞ最終回/誕生日の前後6月10日(月曜) 打ち合わせ2つとペン大2コマから5分間番組2回分収録。 某カード会社のブラック(ブラックはカードの世界では最高位、と、最近知った。ずっと不法カードだと思っていた←本当に)利用者を会員とするディナー&トーク&映画試写会。という、こうしてキーパンチしていても気が遠くなるようなハイソ(死語。裁判に負ける事→ウソ)なイベントの鼎談に出る事になり、それの打ち合わせ。 「とーころが」的な逆転一切なし。最初から最後まで完膚なきまでにがっつりハイソ(死語。「ハイそれまでよ」の略。出典はクレージーキャッツ→願望)なままの式次第に圧倒される。ブラックカードの利用者でないと参加出来ないイベントなのが残念である。「勝ち組、負け組」という言葉が生まれて10年位か。自分が知る限り格差は爆弾のような早さと強さで広がっている。 

    記事を読む»

  • ビュロ菊だより 第三十五号 「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」1-2 アニメ監督の山本沙代さんと

    2013-06-22 10:00  
    220pt
     ─────────────────────────────────
     前回から始まりました新連載「料理店の寝椅子」。菊地成孔が、女性の表現者とともにおいしい食事とお酒をいただきつつ繰りひろげる「普通の会話」。今回も『LUPIN the Third 峰不二子という女』のアニメ監督・山本沙代さんをゲストにお送りいたします。今週号でサーブされた料理は「オリーブオイルで仕上げた鰊の燻製とホワイトアスパラガスと空豆のスパゲッティ」(マジで旨かった…)。

     好評放映中のアニメ『進撃の巨人』のエンディング・テーマを演出されている山本監督。ギャラやマーケティングといったアニメ業界のディープでシビアな話題から、菊地氏とアニメファンとの心あたたまる交流秘話まで、今週も盛りだくさんの内容です。(編集=吉住唯/全4回)
    ───────────────────────────────── 

    ┌───────────────────────────────┐
    ├○
    ├○ 対談メモ
    ├○
    ├○ 於)新宿三丁目「トラットリア・ブリッコラ」(イタリア料理)
    ├○ 開始時刻) 2013年04月23日午後08時
    ├○ 終了時刻) 2013年04月24日午前02時
    ├○
    └───────────────────────────────┘ 

    ■燻製したにしんのスパゲティでございます 

    菊地 そういえば最近、山本さんと同世代くらいの女友達の誕生会があって。漫画やアニメに詳しい子から、でっかい巨人が人を食うアニメが流行していて、今一番いいと言われてるんだと丁寧に説明されて、「ドえげつない設定だね」「流行りそうだなそれ。見ないけど(笑)」なんて盛り上がっていたんです。そうしたらさっき編集部のユイくんから、山本さんがそのアニメに関わっておられると聞きまして。 

    山本 そう、エンディングの……終わりの歌の絵コンテ・演出をしていて── 

    菊地 んんー、歌の……?(不思議そうな顔) 

    山本 なんて言ったらいいんでしょう(笑)。 

    菊地 すみません、何から何までアニメ業界の勘所がわかってない(笑)。演出というお仕事は、山本さんが歌を選ぶわけではないんですよね? その場合、何をするんですか。 

    山本 いただいた曲に絵をつけていく、ミュージッククリップみたいな感じです。 

    菊地 ああ、なるほど。 

    山本 『進撃の巨人』の監督は、以前勤めていたマッドハウスの先輩で、私の作風をなんとなく知っているので、それほど注文は多くなかったと思います。 

    菊地 その、エンディングのミュージッククリップ的な仕事、まあ90秒間くらいですか、その仕事はアニメの中でも独立して存在するんですね。 

    山本 独立しやすいパートではあります。本編と同じスタッフが制作する場合もありますが、スタッフが少ない場合は、本編の作業がストップしてしまうので、差し支えが出てしまう。 

    菊地 ああ、労働時間的に(笑)。そこまで分業するというのは、いよいよハリウッド的ですね。 

    山本 でも、30代半ばの女性が『進撃の巨人』を普通に観ているというのが、すごくびっくりです。多くの30代半ばの女性は『月刊少年マガジン』は読まないと思うので、どういうきっかけだったんだろう。というか、菊地さんがお友達と『進撃の巨人』の話をしていることに衝撃を受けました。 

    菊地 その人は漫画好きだったんです。でも、大雑把な話、オタクさんが30過ぎても少女。っていうのは、日本のマーケットの消費メジャーじゃないですかね。けど、逆に言えば、『進撃の巨人』の視聴者って、作り手から見れば誰がメインなんですか? もっと若い男の子が観るものですか。 

    山本 リサーチしているわけではないので、実際はどうなのかはわかりませんが……(笑)。漫画好きの女性なら観ている人も当然いるでしょうけど、性別でいったら男性の方が割合としては多いのかな……と思っています。DVDを買うのは一般的には男性の方が割合として多いと言われています。 

    菊地 なるほど……。 

    ウェイター ──こちら、燻製した鰊のスパゲティでございます。 

    菊地 お。コンビニ料理とかいって、缶詰めなんかを使って一工夫。みたいな料理あるじゃないですか。「げ」「ところが喰うと旨い」という流れが定番ですけど、ああいうのの多くが、原型は郷土料理みたいにして実際どこかにあるんですよね。「本当の無茶」っていうのは、ないかも知れないです。もう。
     

    ■もらってないのにキワキワだ、と 

    菊地 ……とまあ鰊の話はともかく(笑)、この対談シリーズは、今は女性の時代である、というのが一応のテーマなんです。ただ、各業界によって、女性の進出度って違ったりするでしょ? ジャズの女性プレイヤーも急激に増えていて、昔は、女性のジャズプレイヤーといったらピアノかボーカルしかいなかったのが、トランペットやサックス、ドラムなどにも女性が多く、逆にデリケートでフェミニンな男性ピアニストが増えています。アニメの監督をする30代の女性というのは、今、日本にどれくらいいるんですか。 
     

    記事を読む»

  • ビュロ菊だより 第三十四号 「菊地成孔の一週間」その2

    2013-06-13 10:00  
    220pt
    8
     菊地成孔の一週間ですぞ。今回は人間ドック/リバウンド/慶応で中川ヨウ氏と対談/新しい美学校/電通で菅野くんと対談/にこのげで前田日明さんと座談/13AWミラノ・レディス/内見につぐ内見/某局某番組で日本人トップモデルの方と対談/DyyPRIDE&JUMAと一緒にTHE OUTSIDER&RINGS合同大会を観戦/AKB選抜総選挙も観戦/必見「最後のマイ・ウエイ」フランス映画の復権。お待たせしました腸内視鏡検査の続き。6月4日(火曜) (前回から続く)  という訳で腸内視鏡検査も無事終わり、慶応義塾大学の三田に向かう。ここで大谷くんと08~9年に行った講義が「アフロディズニー」だが、今から思い出すに本当に牧歌的な時代だったと思う。牧歌的である事に良いも悪いも無いが。 慶應でエリントンの講義なんて、どれだけノーブルなんだよと思われるだろうが、ノーブルなのは中川先生であって、自分はガチな話しかしなかった。クロマティシズム(半音音階の導入)が持つ調性の無化力、その暗喩と心理的効果について。 終わって、何と、校舎に入ってすぐの場所にあるスコッチ・バーに行く。写真を良く見て頂きたい。これが、大学の正門から入ってすぐの校舎のてっぺんにあって、9時ぐらいまでやっているのだ。 全員が一方向を向いているのはフットボールの大きな大会か何かがあったためで、自分はシャンパン(カヴァですけどね)を飲んでいた。まあ、東大駒場の中にもフレンチレストランがあったし、慶應三田の入り口にスコッチ・バーぐらいあって当然と言えば当然だが、慶應について言える事は、ノーブルなのは卒業した偉い人ばっかりになっているので、学生も頑張ってほしいという事である。  日本軍の行く末を見守る中川先生と助手の方。 日本軍が勝利したかなんかで、嬉しそうに戻ってこられた中川先生と助手の方。 ちょっともう、リバウンド始まってますよコレ。 帰宅。ファミレス界のノーブル、丘の上のデニーズ様にて夕食。 

    記事を読む»

  • ビュロ菊だより 第三十四号 「菊地成孔の一週間」

    2013-06-11 10:00  
    220pt
     菊地成孔の一週間ですぞ。今回は人間ドック/リバウンド/慶応で中川ヨウ氏と対談/新しい美学校/電通で菅野くんと対談/にこのげで前田日明さんと座談/13AWミラノ・レディス/内見につぐ内見/某局某番組で日本人トップモデルの方と対談/DyyPRIDE&JUMAと一緒にTHE OUTSIDER&RINGS合同大会を観戦/AKB選抜総選挙も観戦/必見「最後のマイ・ウエイ」フランス映画の復権。なのだが、今回は先ず月曜と火曜のみ。人間ドックの報告として。 6月3日(月曜)2年ぶりに人間ドックに行った。誕生日の11日前である。 このまま読み進めて頂ければお解り頂けると思うが、誕生日直前までに滑り込むようにして代表取締役になるし、歌舞伎町からも動くし、レーベルも移動するしで、まるで50にして立つ。記念すべき50歳を迎えるべく、人生のリセット(ははは)を。と、誕生日までにいろいろな事を整理しているかのようだ。 無意識の仕業か神の仕業かバタフライ効果の仕業か知らないが恐ろしい話しだ。自分からは一つも仕込んでいない、前回も、確か前々回当たりにも書いたが、50になる誕生日など、気がついたら過ぎていた位にしておいてほしかったのである。 取締役就任とレーベル移動と歌舞伎町エクソダスは総てビジネスという一本の線で繋がっており、後々詳しく書くが、半ば強要されたも同然である(地味に悪文)。そしてこの線を繋いだ悪魔は元EWE取締役の高見元Pに決まっているのだが(彼の退社タイミングがこれらの事象を誘爆的に引き起こしたのだ。勿論、何の打ち合わせも無い。彼は自分=菊地の誕生日すら知らない筈である)、流石の高見元・Pでも人間ドックの予約は無理だろう、その通りである。 自分の部屋から徒歩3分にある「金谷クリニック」は、内視鏡検査、特に直腸のそれが上手いと評判なので、予約がヘタすっと半年待ちと聞かされており、実際、ここのドックに入港したのは09年からだが、毎回毎回4~5ヶ月待ち当たり前だったのだ。 なので、去年は(なんだかんだでいろいろ忙しく)行けなかったし、今年もモタモタしていて、ようやっと予約を入れたのが先月だったので、「まあ、ドックは秋だな。夜電波のシーズン5が終わる頃か」的な予想だったのが、「最速で6月3日になります」と言われた時には、故・由利徹さんのようにカックンと腰砕け、(ええ~?不景気っすか?それとも内視鏡のグレードがここ2年でぐぐっと上がり<操作が上手い>という事のバリューがインフレでも、、、、)と思った。揃ってしまう訳だ。どんどんどんどん。 何れにせよ40代最後の入港となり(日帰りを2日やるんで入港じゃないですけどね)、1年空けているし、そういえば最近目眩や物忘れが多く、腹部や背中の鈍痛も多く、慢性的な頭痛もあったりして、あげくの果てに肥満傾向も出ており、ちょっとおっかねえなあと思っていたのだが&毎年まったく同じ事を考えるのだが「何も怖い物が出なかったら、それはまだまだ行けるという事だろうから、好き放題を続けよう」と思いつつ入港した。 結果として、まずこの日は大腸内視鏡を除く総て(脳のMR、内蔵のエコー、血液検査、癌細胞初期のマーカー、血液検査、胃の内視鏡検査、身長体重肺活量、胸部X線、眼底の血管撮影、視力と聴力)をやったのだが&ここから先、同年輩の男性諸氏にはリアルな情報と言うか、当日記では珍しく「役に立つ/使える話題」だと思うので、配分を無視して書く。 先ず、自分の検査結果だが、お目出度いというか何と言うか、御陰さまでというか何と言うか、所謂おっかないのは何も出なかった。自分の睡眠の量、生活時間、仕事量、そこから類推されるであろうストレス、食生活(夕食だけだが)、病歴、投薬歴等々、健康状態に影響を与えるファクターは総て書いていると思う(隠れてイリーガルドラッグをやったり新聞配達をやったり、狂った様にセックスをしたりはしていない)。 今年はセーフでも一寸先は闇だとか、そもそも人間ドックで検出される値と健康自体とは云々、何とでも言える訳だが、何れにせよ、物忘れが激しいのも(夜電波の生放送を後から録音して聞くと、記憶喪失の患者がパーソナリティをやっているように聞こえる。ほとんど言う事を忘れながらやっている)、目眩が多いのも、頭痛が起こるのも(これは後に、眼鏡の度――特に乱視――が合っていない事によるモノだと解った。眼鏡は自分の人生を本当に大きく変えた。「メガネ男子」の呪いであろう)、食後に胃がもたれたりするのもすべて、少なくとも、脳、内蔵、血液の状態、その他、人間ドックに20万円近く出費して解る数値と画像の上に理由は見つからなかった。 特に「深酒の後の胃もたれ」については、切実さはお父様方だけではないであろう。現代人なら必読ですぞの部分だが、最近、医者にやたらと「逆流性食道炎に注意しましょう」みたいな、鉄腕アトムのパンフレットがあるのをご存知であろう。自分はアレであった。道理で胃散が全く効かないわけである。 胃散を飲んでも胃痛が散らないと、胃炎を超えて、潰瘍か癌かと思ってしまうのが人情そして素人考えというものだが、そうではないタイプの人もいる。医師との会話形式によって解りやすく解説してみたいと思う。たった今、胸焼けしている方などは必読である。「はい菊地さんね(カルテを見て)。最近、胸焼けが多い。飲み過ぎ食べ過ぎの自覚は?」「多少ありますが、決して鯨飲馬食というほどでは」「はっははは、難しい言葉を知っていますねお若いのに。え?49?」「はい、来週で50です。もう癌年齢だと思いまして」「はははは、はははは、まあまあ、何れにしても今からね、内視鏡にみんな写る訳ですから。はい、麻酔のゼリーを鼻から入れますよ。喉に落ちて来たらゴックンして下さい」「ゴックン」「はい、では行きますよ。毎年受けてらっしゃるからお解りですよね。もうこんなに細いのでね(スパゲッティぐらい。少々パスタマニアックに言うと、キタッラぐらいな感じ)、えずく反射ね、あれもありませんし、会話もね、このまま出来ますから」「はい。でもあの」「何ですか?」「癌があったら、それを見ながらこのまま会話が出来るっていう事ですよねそれって」「はーい、では入れて行きまーす」「見つかったら<あ、あった>とか仰るんですか」「はい先ず鼻ね、あなた慢性鼻炎ですね。真っ赤っかだコレ。自覚あるでしょう」「はい。花粉症が酷くて」「何の治療もしてないですか?」「はい、もう無駄だと思って。花粉だけじゃないじゃないですか。黄砂とか放射能とか」「はーい、次に喉ですね。ここが声帯。ああ、ちょーーっと声枯れてますかね。これはね、アレルギーではないです。大声を出しますか?」「まあ、出すと言えば出すというか、、、」「喋り続けるお仕事?煙草は(カルテを横目で見て)吸わない。ね」「ああ、そう、そうですね」「あんまりね、ずーっと喋らないようにしてください。声帯も休めてね」「はあ」「はい、じゃあ先行きますよ。喉自体は綺麗ですね。色も綺麗です。はい、ここカシャ(シャッターを押して静止画を撮った音)。これほら、腫れてますね」「うー」「ほらここカシャ。これ、もう慢性ですね」「ううう、、、、慢性」「はいカシャ。あなたは<逆流性食道炎>です。ここはね、食道と胃の境目ね。噴門部。というの。ここにゲートがあってね、コレ。ですけど、コレほら」「うううう」「コレが、正常に働いていれば、胃酸は食道に入ってこないの。胃酸っていうにはねえ、凄く強い酸なんですよ。ゲロなんか吐くと、凄く喉が痛くなるでしょう?」「吐いてる時はそれどころじゃないですけどね」「ははは。それぐらい強い酸なんですよ。だから数滴でもね、食道に入ったら炎症起こします」「でも先生、鼻からチューブが入っている状態で熱弁するのもアレですが、一回そう診断されて、喰ってすぐ横になったらいけないって言われたんで、そもそもそんな事あんまりしてないのにな、と思いながらも、気をつけているんですそれ以降」「その場合かんがえられるのは、ストレスでこのゲートが締まらなくなっちゃう体質か、胃が元気すぎるか、つまり胃酸の量が多くて強いか、なんですよ。子供の頃から過食傾向がある人に多いですけどね、あと、ストレスが他の部分に出ないで、ここに来るか。何か心当たりあります?」「全部心当たりあります」「はっはっは。とにかくあなたの噴門のゲートね、ここの検閲ゼロですね。胃と食道がツーツーです」「ツーツー。。。。」「背中も痛くなりますでしょう」「はい」「胃酸の抑制剤飲んでくださいね。消化促進剤は逆効果もしくは無効です」「っていうか、横にならない様に気をつけてるんですけど」「あなたみたいな人は、立ってても逆流するかも。うふふふふ」「(笑)ちょっと、こんな状態で笑わせないでくださいよ(笑)。だったらどうすれば良いんですか?食後はつま先立ちで歩き続ければ良いんですか?(笑)」「はっはっはははははははは。あのねえ、食べて寝ないだけじゃダメなんですよ。水飲んですぐ横になっても同じです」「えええええええええ!聞いてないですそれ!!」「水でも同じ」「寝そべって水飲むのが楽しみなのに!!水とかビタミンウォーターとか!!」「止めましょうそのお楽しみ(笑)」「まさか、、、、まさか指原が」「ですよねえ。私もそう思います。まあともかく先に行きましょう。うわあ、これは綺麗だカシャ。ヒダヒダも凄くねえカシャ。あなた、顔も若いけど胃はもっと若いねえ。色も綺麗だし、何の跡もないねえ。20代の胃ですよカシャ。カシャ。カシャ。こりゃあ喰えちゃうねえ。何でも喰っちゃうでしょう。はははははは」「ははははは」「ですんで、あなたがこれから気をつけるのは胃炎や胃潰瘍じゃなくて、メタボと逆流性食道炎です」「わかりました、、、っていうか先生、これって気をつけないと食道ガンのリスクが何年後何パーセント的な世界ですか」「いやいやまあ、そこまで言わないけどね。そんな事気にする以前に、逆流性食道炎の段階で相当辛いでしょ」「はい。まあ」「とにかく、ジュース飲みながら横になったらダメです」「そんな肥満学童みたいな事はしませんジュースなんて。水かビタミンウォーターだけですよ」「あれジュースでしょう。色着いてるし。まあ、果汁みたいのに比べれば、そりゃあジュースじゃないけど、成分関係なく、水の質量があればですよ、水平にしたら浸水するに決まってるじゃない。それでゲートがビロンビロンになっちゃったかも知れないですよ」「ビロンビロンって」「いっぱいお水飲んで、すぐ逆立ちする所を想像してみて下さいよ。逆流するでしょう。水平だって同じなんですよ」「ええええ、何をすれば鍛わるんですか。ヨガの特訓か何か」「とにかく元気すぎるんですよ、あなたの胃は。だから食後はね、つま先、、、プププ、、、失礼。つま先立ちして歩くしかないかもですね。こうやってこうやって、ごちそうさまー、って言ってから、こうやってプププ」「やるフリは止めてください操作中でしょう」「大丈夫ですよ。はははははは」「っていうか先生、僕、角膜潰瘍もたまにやるんですが、あれって免疫が間違えて自分を攻撃する病気ですよね」「まあそうですね」「胃酸もそういう事ですか?何か、自分を護る為に装備された武器が、自分自身を外敵と看做して攻撃するような病気になりがちな気がするんですけど」「怖いねえそれ。うふふふふ」「うふふふふじゃないですよ。そんなん最悪じゃないですか」「ああ、そういう人もいるんじゃないですかね。心当たりあります?敵は自分の中にあり。みたいなさ」「その例えはちょっと違うと思いますが、心当たりはあります。自己像として」「いやいや冗談です。免疫が間違って攻撃するのと胃酸の逆流は全然意味が違いますよ(笑)。何れにせよあなたの消化器官は噴門部除けば20代ですよ。身体の中心が青春時代!!」「よくあるアンサーで申し訳ないですけど、全然嬉しくない」「でも、これからビタミンウォーター飲むのも、、、、ププププ。つま先ププププ立ちで」「早く抜いてくれよ」「はい、抜きますよー。終了でーすお疲れさまでしたー」 といった感じだ。特に「胸焼けに胃散が効かない」タイプの方は参考にされたし。 以下、まるで自慢話でもするかの如く(全くそんな気はない)、肝機能は正常、血圧はやや低め、脳に破裂する予兆の血管は全く無し(今回、25分かかる徹底的なMR撮影をやったんだが「凄い脳だね。左右の脳が離れていて、血管はどこも詰まってない。どういう脳だろうね。いっひっひっひ」と言われた)。癌細胞も見つからず、糖尿も無い。心電図は「奇麗ですねえ。音楽家だからですか。楽譜みたいだほら」と言われた。 と言う訳で、日常的な不調の殆どが心因性もしくはメガネ性、後は、サックス演奏時に装着するマウスピース(サックスの歌口ではなく、クチビル防護用に特殊樹脂性の入れ歯みたいのを装着しているのを、ライブにいらしている方々ならば見た事があると思う)などによる、つまり、様々な軸の歪み(顎関節症とか、頸椎湾曲とか)による形成外科的なものである事が解った。よしもとばななさんのご主人がやっているロルフィングに通おうかなと思案中(ロルフィングは全身の歪み矯正)。 後はラジオでも言った通り、右耳の高域が騒音性の難聴(というか、ある帯域が全く聴こえなくなっていた)になっていて、これはまあ名誉の負傷であり、職業病なので致し方ない。耳栓をしてDCPRGをやり、50代は耳を守りましたとさ。では養老院行きだ。音量も音質も芸術の一部である(DJ時にヘッドフォンをしないだけでも大分耳に優しい音楽家生活なのに、それでもやってしまった。丈青のエレピとホーン3人のせいなので奴らに損害賠償を請求する事にするが、労保の線も考える。「そんなバンドには労働基準法は適用出来ない」と言われたらもう闘争しか無い)。 と、書き終えてみて、これは特殊な生活を送る、特異体質の人の報告であって、他人様には何の参考にもならない事が解った。母親はパーキンソンとアルツハイマー、父親は肺癌、祖父母も総て癌で、三親等に発達障害者が複数いる。全く油断ならないが、何れにせよ現段階では、不健康なのは肉体ではなく心のようだ。もし音楽が鳴り止んだら、もし食欲と性欲が鳴り止んだら、枯れずに発狂すると思う。そのときどれほど幸せであっても。 ドックに入ると食事券が貰えますよね。アレで喰った飯は大体旨いじゃないですか(おっかないモンが出なかった時に限り。としますが)。こんな時でもないと絶対に行かない焼き鳥屋さんで昼の唐揚げ定食(鳥スープで割った山芋の摺おろし付き)。麦飯リフィールフリーなので、3杯喰ってしまい、つま先立ちで散歩。 ドックの朝は早い。いつもは就寝する時間、自分の知らない世界を歩き回る。そこは、もう無理だよというぐらいの陽光に満ちあふれ、人類のあらゆる過剰さーーー特に幸福と絶望―ーに油を注いでいる。せっかく、好むと好まざるとに関わらず、50になって色々と変わる事になったのだし、これを期に早起きに切り替えようと思う。勿論健康の為ではない。健康はコレこの通り充分であって、ひょっとすると陽光を浴びて健康を害するかも知れないのだ。 明日は腸洗浄するので食事制限無しという訳で鍋屋で喰いまくり。この日からリバウンドが始まる(笑)。ピンぼけだが、清湯(フォンのこと)を大量のモミジ(鶏の爪の部分。コラーゲンも旨味も豊富)だけでとっている事が解る。 

    記事を読む»

  • ビュロ菊だより 第三十四号「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」1-1 アニメ監督の山本沙代さんと

    2013-06-10 21:00  
    5

    「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」1-1 アニメ監督の山本沙代さんと 
     

     「ビュロ菊だより」、新コンテンツとして対談を加えることにしました。 

     タイトルは「料理店の寝椅子──彼女たちとの普通の会話」です。 

     1)料理店で
     2)各界で働く女性と
     3)なるべく長時間話し(飲酒も含める)
     4)動画ではなく、敢えてテキストで行く 

     という4点を本連載のルールとしていますが、実際には編集部のユイくんと三人なので、ほぼ鼎談です。「録音機とキャッシュカードだけ持って、対談相手と実際二人だけでやる」という案も出たのですが、絶対「デート」とか「ハメ撮り」みたいに誤解されるに決まっている。という理由から止めました。 

     ビギナーの方ならばともかく、ワタシのご贔屓筋の皆様ならおわかりのとおり、ワタシがしたいことは、デートやハメ撮り等とはまるっきり逆です。20世紀

    記事を読む»

  • ビュロ菊だより 第三十三号 「菊地成孔の一週間」

    2013-06-03 10:00  
    220pt
    3
    菊地成孔の一週間ですぞ / JUJU / 高見元P / ジャン斉藤 / トナミD/撮影スタッフ / 金子シェフ / 韓東姫 / 再びJUJU&「時事ネタ嫌い」脱稿。ダイエットからダイエット明けの5月最終週5月27日(月曜) ダイエット3日目。この日はグリーンスムージーと速攻元気(ジェル食品)とコンビニの塩鯖(これに「バードアイ酢」という、日本のクリアホットをかける)&エビアンそしてロイホのドリンクバーだけ。 ソニーのスタジオ3に行く。JUJU氏のヴォーカル録りである。スタジオに着くともうテイクは揃っていて、チョイスと直しの時間になっていた。どの程度まで書いて良い話なのかメディア勘がまったく掴めないのだが、テイクは6まであった。 これは「6テイクあれば完成テイクが作れる(と、本人もスタッフも判断した)」という意味である。読者の皆さんも、何の事かいまひとつ解らないだろうが、6は端的に言って少ない。ここでいう「少ない」は、怠慢や手抜きをさすものではない。後述する。 自分のヘタクソを棚に上げてあれこれ言うのは憚られるが、今やもう、プロの歌手ですら生歌は聴かれたくないぐらいの時代だろう(既に60年代から「自宅で、誰にも聴かれずに生歌を録音する人々」は居て、彼等の無防備なナルシシズムのあり方は彼等を多く狂気に追い込んだのだが、この話しは長く成るのでまた後日)。 メイクと同じである。必死に歌ってとしても、修正の修正の、整形の整形の、メイクに次ぐメイクである。逆に言えば、人前に出る時には誰もがそれなりになっているので、「本当に綺麗(歌が上手い)」人が解りずらい時代とも言える。 自分がレコーディングのテイク1から聴いた事がある歌手の中(いま指折り数えてみて、30人目あたりで眠くなってしまったので数えるのを止めた。羊の喰い過ぎだと言われても仕方が無い。ローストにローズマリーで最高である)で、JUJU氏は屈指の歌唱力である。「おお、6つでもう作っちゃうんだ(良い所を編集で集めるのである)。さすが」という事である。 と書くならば、では何番目位ですか?と返ってくるやも知れぬ。しかしこればかりは、会員限定のメルマガであろうと、ベスト10とかの話は絶対出来ない。話として面白過ぎるからである(笑える。という意味ではない。勿論、笑える部分もあるが)。 自分は一般的に、話が面白い方だと目されているかも知れないが、自分の知り合いの中で言えば、30位ぐらいにランクインしていればガッツポーズである。世の中にはとんでもないのがいる。因みにベスト5は全員、(所謂)一般人である。 そんな自分でも「もう死ぬ。こんな面白い話は聴いた事が無い。超えてる。止めてくれ死ぬから。でも聴きたい死ぬほど」といって、聴いた人が発狂してしまうぐらいのレヴェルの話は、持つだけは10も20も持っており、とはいえメディアでもバーでも絶対に出来ない。俗にいう秘すれば花、ドスは呑んでおいて方が良いという奴である(鬱になるメカニズムを想像するに、楽しい事はインターネットに全部吐き出してしまい、苦しい話は溜め込むからだ。ほとんどの人が苦しい事を何とかしようと躍起に成るが、逆であろう。楽しい方も溜めれば人はすり減らない)。 アラブ首長国連邦かどこかに、邦楽が物凄く好きな富豪がいて「ヴォーカルレコーディングにまつわる話」で6時間やってみせろ、面白ければ5億出そう。詰まらなかったら逆に50億とオマエの首を頂く。という理不尽な賭場が立ったとする。 自分は乗らない。負けるからではない。勝率は98%である。5億程度で話せる訳が無い。ひとつだけ言える事があるとしたら、40代男性ではトータス松本氏が暫定1位であることだ。自分は余りにびっくりして「あなた凄いですねえ、売れますよお」とブレイク前の人に言ってしまった事が2度ある。スガシカオ氏とトータス松本氏である。大変な無礼だったか、勇気づけたのか、どちらだかまったく解らない。 JUJU氏と会うのは久しぶり。というか、「デリシャス」の1の時以来である。前回よりも、ほんの僅かだがよそよそしく感じられたのだが、と、こんなデリケートな男子高校生のような妄想は普段まったくしない。思い当たる節があるのだ。「デリシャス」の発売記念のWOWOWの番組にコメンテーターとして出て「2丁目の人々はみんなJUJUが大好き。加藤ミリヤには見向きもしない」とか「内田春菊さんとロレックス。どちらも異様に色っぽい」とか楽しく語ってしまったのである、くそう欲しがりのテレビ局め!! 終わってペン大に向かう。今日はペン大学院でポリリズムと、13年度初等に調号システムと音価の2コマ。先週書いたように、生徒の集中力と熱意が全く落ちない。震災前の、ちょっと挫けると来れなくなってしまう人ばかり。みたいな牧歌的な時代が懐かしい。「切実とヒステリー」は現在、北東アジアだけではなく、地球上を覆い始めている。 今日の全パンビル。 今日のジュー研はカルピスメロン緑 <レシピ>1) 八女茶葉6パックと焙じ茶2パックで濃いめの茶原液を作る2) カルピス5にメロンソーダ1でジュース原液を作る3) 天盛りのクラッシュアイスを入れたグラスの水位50%まで茶原液を注ぎ4) ステアして落ち着かせたらジュース原液をすり切り一杯まで注ぐ5) 翡翠色になったな、と思ったら味見して調整 筋トレメニューとピラティスのポーズを増やす。「くそう。欲張りバリボーなテレビ局め!!」と言いながら内股のスクワットを繰り返す。ふー。ふー。  

    記事を読む»