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記事 9件
  • ビュロ菊だより 第二十三号 「TSUTAYAをやっつけろ~日額30円の二本立て批評」第五回 特別編

    2013-03-30 19:30  
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     <サスペンス音楽がサスペンス映画を殺す時~アルフレッド・ヒッチコックによる、妻という女性/女優という女性、そして音楽という女性への嫉妬と殺意のアンサンブル>前編
     大分時間を経てしまったが、今回は前回の実質的続編である。執筆が遅れてしまったお陰で、映画『ヒッチコック』の公開に重なるというシンクロが生じたのは痛し痒しといったところである。前回の「ゴダールと音楽」と結びつきながら完結する長い論考となるので、前後編に分ける。
     以下、映画『ヒッチコック』のネタバレが過度にならぬよう、更に言えば、この論考をお読みいただくことが、映画『ヒッチコック』への誘導、更にはアルフレッド・ヒッチコックの全作品への誘導になることになるべく留意しながら書き進めることにする。この連載自体のテーマであり、デジタルアーカイヴ・コンテンツ・ビジネス時代の到来に向けたテーマでもあるが、我々は古典にあたらなければならない時代に入った。
     映画『ヒッチコック』は、『サイコ』(60)の制作過程を舞台にしたハリウッド映画で、ヒッチコッキアン(既に死語ではないかという思い払拭し難し)やシネフィルのみならず、一般的な観客も大いに引きつける大衆性を持った、所謂(21世紀になってから静かに群発している)「20世紀の偉人伝(それは正に「フロイトからヒッチコックまで」とも言うべきラインナップなのだが)」系列の作品で、今回の論考の主役でもあるヒッチコックとバーナード・ハーマンの関係も小エピソードとして描かれるが、作品全体は夫婦愛、つまり妻と夫という人間関係を描いたものだと言える。
     愛には不可避的に殺意が含まれる。現在ではすっかり「一時の恋愛、あるいは恋愛初期、あるいは成就されぬ恋愛には殺意が生じやすい(ストーカーとかヤンデレだとか)。だが長きに亘るパートナーシップには殺意など生じない(素晴らしい夫婦愛だとか)」といった愛情観、関係観、殺意観が定着しつつあるように思われるが、これは愛というよりもむしろ、退行の産物である攻撃性の暴発を殺意視する幼児的な誤謬とも言え、本稿が指す「殺さねば自分の存在が危機にさらされる」といった、のっぴきならぬ「他者への殺意」は、幻想性の高い恋愛の初期、もしくは準備期よりも、様々な共依存が社会制度と結びついて構造化した時、例えば夫婦関係、例えば学校という制度内での虐め、例えば映画監督と主演女優、そして、映画監督とその音楽監督、純化すれば、視覚と聴覚といった諸関係の中に強く現れるものである。
     

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  • ビュロ菊だより 第二十三号 「菊地成孔の一週間」(簡易版)

    2013-03-29 12:00  
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  • <ビュロ菊だより>号外No.17

    2013-03-24 11:30  
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    どうもどうも〜。メルマガ<ビュロー菊地チャンネル>の「ビュロ菊だより号外17」と、公式サイト<第三インターネット>の「第三インター速報3月24日号」としてしたためて(漢字で書くと「認めて」)おります(漢字で書くと「織ります」←こっちはウソ)。
     えー、パリで壊した腹もすっかり治り、と思いきや花粉がですね、なんですかコレはシンジケイトちゅうか、中国のマフィアとか国内のいろんな悪いのとかとチームになって最強化しておるようで、花粉が鼻粘膜に着床しても最早「鼻グズグズ」とかにならず、一挙に粘膜が裂けて出血する。といった激症にゲラゲラ笑いながら、一体全体ナニかい?「いやあだあ目が痒い〜、鼻が詰まっちゃったあ」てえのはマリーアントワネットの台詞かい?といった具合で、何だかもう、花粉のせいでいろいろと良く解らなく成っている菊地ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
     花粉シンジケイトにノックアウト寸前!

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  • ビュロ菊だより 第二十二号 「菊地成孔の一週間」 フォトレポート

    2013-03-19 09:00  
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  • ビュロ菊だより 第二十二号 「菊地成孔の一週間」

    2013-03-18 09:00  
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     菊地成孔のまたしても10日間一括~時差ぼけとか花粉とかに負け過ぎたんで1回ショートにして書くペース配分とかの調整させてくださいあざーす(←今生まれて初めて書いた言葉)~ 

    3月7日(木曜) ものんくるのTD、ペン大理論科中等、夜電波の収録、と帰国翌日からトリプルジョブの予定だったのだが、(わざわざキーパンチするのも馬鹿馬鹿しいのだが・笑)、なんだか知らないが、かなり疲れているようなので&夜電波の準備を全くしていないので(「パリで一回分書いてしまう」というスケジュールだったのだが、まあその、お読み頂いた通りである)、夜電波の収録を一日延ばしてもらう。 というか今週は、野球中継との兼ね合いで放送のシフトがどうにもこうにも複雑な事に成り(誰もが誰もに必死に説明してみせるのだが、説明する方もされる方も完全に理解している人は一人もいない。という、パラドキシカルなまでの複雑さ)、とにかく日本軍が台湾軍に勝てば収録が無くなり、その試合が明日なので、「明日の結果を受けて台本書きに着手する、ただ、押さえに前口上だけ書いておいた方が安全だ」という事に成った。

     「という事に成った」とか、あたかも何とか話がついたかのように書いているが、全然良くわかっていない(だってそもそも「じゃあ何故、今日、スタジオを押さえたのだろう、、、、」などとは、とても言えない雰囲気。とはいえ実のところ基本的にどんな事も大体このぐらいの線です自分)。取りあえず、「もしオンエア無かった場合、翌週にも使い回し出来る態の」前口上だけを書き、恵比寿にあるスタジオに向かう。

     久しぶりに会うものんくるのメンバーにパリ土産を渡し、TDの方向性を指示してペン大へ。オルタード・ドミナントの悪名高い6スケール立て(オルタード、コンディミ、HP5ビロウ/ミクソリディア、リディア・フラット7、ホールトーン)を、如何に悪名高いかを説明しながら教える。確かにこの部分は将来的に違うまとめ方をしないといけないと思われる部分、所謂「バークリーの水漏れ」と言われる、修繕必要箇所であるが、それにしても先ずはこれは知っておかなくてはいけない。

     まだ腹具合が完璧とは言えないので<二丁目の蕎麦屋>として「蕎麦庵山下(山下洋輔氏が出した蕎麦マニア本)」に紹介/寄稿した「楽庵」で暖かいとろろ饂飩(店内の符丁で「あっとろ」)、原稿やら写真のまとめの為に「粋な夜電波」の聖地、ロイヤルホスト東新宿店に行く。

     店内はリニューアルされ、店員も一部変わってしまったが(自分と仲が良かった、韓国人のパク・ミスクさんは、おそらく韓国に帰ってしまった。ラジオ等でも言えなかったが、ミスクさんには韓国に行く際に、言葉の事などで大変お世話になった)、相変わらずの大漁。何しろまだ「2012年・40周年~おいしさ年輪、これからも」の記念メニューのままである(表紙だけですけどね)。下手したら5年位あのままではないかと思う。

     様々な茶葉から、胃に優しそうな番茶系とカルピスでノンアルコールカクテル(この言葉は自分にはしゃらくさいというか、自分的にはジュー研ですけどね。「ジュー研」については、グルメエッセイの第二回参照)を作り、ゆっくり3杯飲む。部屋に戻りパリ土産を整理する。詳しくはフォトレポート参照の事。 
     

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  • ビュロ菊だより 第二十一号 「日記式コラム特別編~後編~」フォトレポート

    2013-03-13 09:00  
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  • ビュロ菊だより 第二十一号「日記式コラム特別編~後編~」

    2013-03-13 09:00  
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    ビュロ菊だより日記式コラム特別編
     
    <菊地成孔の10日間・後編~エッフェル塔の下で大谷君と「エッフェル塔!」ってTIMマナーじゃダメっすかでも必死だったんですよこれでも(まだウィルス性の急性胃腸炎付き)> 

     *こちら後編です。前編(2/25〜3/2)及び前編のフォトレポートも併せてどうぞ。* 3月3日(dimanche/パリ滞在3日目) 

     オムスが2時半ホテルピックアップで帰国してしまう、という事で(因みに高見Pは午前中の便で既に空港に向かっていた。日本で火急の用件など無いのにどうしてだ?笑)みんなで市内観光に行く事にした。いくらイルでドープでクール(IDC大塚家具)なヒップホップクルーとはいえ、初めてのパリを前に、お上りさんなんかにゃならないね。という訳には行かない。 

     昨日、さほど深酒もせず、症状もみな止まったので、意気揚々とガイド役になった。ホテルはビラケム駅前で、少なくとも5年前まではその表示が無かったのだが、メトロの路線図に「ビラケム(トゥール・エッフェル)」と添えてあった。ここからメトロの6番に乗ってモンパルナス・ビエンヴェヌーで4番に乗り換え(例の歩く舗道なんかに乗っちゃったりして)、サンジェルマンデプレで降りる。 

     オムスがレコ屋に行きたいらしく、そんな事なら小西(陽晴)さんに良いのを50個ぐらい聞いておいてやったのにと思うばかりなのだが、漠然とバスチーユにありそう。といった、いかにもありそうな話で(「東京に行ったら、シモキタザワという街に良いレコ屋があるらしい」といった事だこれは)、さーてどこにあるかなと思ったら、実は昨日もう高見Pと行っていて、今日の目的はレコ屋ではなく、土産が買いたいのだそうだ。 

     そうかそうか。という事で、コースは一気に「デプレ教会→老舗ビストロでランチ→ラデュレ・ボナパルト(デプレにある支店。本店はマドレーヌ)でマカロン選び放題」と、本当にお上りさんのようになったが、何せオムスと大谷君である。はとバスツアーだろうとイルでドープでクール(IDC大塚家具)にライディングするのである。 

     あんまり書いてオムスに伝わり、オムスが恥ずかしがったりしたら可哀想なのだが、とにかくオムスの可愛さ(と、大谷君の独特さ・笑)はハンパなく、メトロ名物のストリートミュージシャンを見ればiPhoneで録音して「これ、次のアルバムに入れちゃおう」と嬉しそうにするし、デプレ教会の中で「あれが懺悔の箱だ」と言えば「おおお」と仰け反るし、「あれがマリア様だ。入り口から見ると祭壇の奥に立体的に浮かび上がるようになってるんだぞ」と言えば、iPhoneで写真を撮り「マリア(SIMI LABの女性MC。本名マリアンヌ)に見せてやろう」と言うので、オマエ昨日、高見にマジで養子になれって言われなかった?と確認しそうになる。 

     大谷君はデプレ教会に入るや否や、奥様もブッチ切って一瞬で姿が見えなくなり、まったく予測の出来ない導線を描いて(笑)そらジローよろしく中を飛び回った。大体ああいうのはコースがあって、デプレ教会は半時計回りに一周するように出来ているのだが、大谷君は斜進行でクロスしたり、一度行って戻ったり、天才の筆先としか言いようがない。

     デプレの老舗ビストロといったらポリドールかオー・シャルパンティエかリップだろうが、ここはフィガロの最新パリ特集にピックアップされていた。という40代女子のような根拠で(笑)、オー・シャルパンティエに行く。若干異様な集団なのだが(写真でご確認頂きたい)12時半に入店し、一応フランス語で対応したので、奥壁際の良席に通される(着席後20分でパンパンの満席に成った。セーフ)。 

     軽く眠かったので全員の全皿を記憶していないのだが、自分はスープグラタンロニョン/仔牛のミルクの煮リ・ブラン(白飯)添え/ラムババと、軽く胃に気を使った3皿にし、リ・ブランはステック・フリット(ビフテキとフライドポテト)を注文したオムスに喰ってもらう事にした。 

     酒飲みの大谷夫妻はランチからメゾンの白ワインをブテイユで頼み、オリーブとサラミの盛り合わせで昼からゆっくり飲もうという浅草もしくは元町な構えに出たが、ビストロのランチは戦争のようになり、皿はどんどん来てしまうので、飲んだり喰ったりの大騒ぎに成った(笑・とはいえまったく慌てない。大谷君が慌てたのはショコラを喰って血糖値がおかしくなった時以外、一度も見た事が無い)。 

     別段死ぬほど旨いという訳でもないし、観光食堂だねオワコン。という事も無い。実際にこのランチタイム、我々の日本語(と少々の英語)以外はフランス語しか聴こえなかったし、地元民とおぼしき老人や家族連れが多かった。食材の品質はどれも素晴らしく、ルセットも趣味良く、「うんわー」と驚いたのはデセールのラムババ(ハムババと言わないと通じない)が、もうひたひたのズッパで、シロップ入りのホワイトラム(ほとんど生(き)の状態)がショットグラスにストレートのラムを2杯ぐらい飲んだのと同じぐらいあった事だけだ。驚いた勢いで昼間から全部飲んだ(これが後の悲劇を呼ぶ・笑)。

     しかし、20代で初めて行ったときの感動はもうまったく無い。これは今回のテーマである。ヒトラーが何度電話をかけようと、パリはもう萌えていないのである。これは自分が黄昏れたとか、何度か来て飽きたとかいった話しではなく、東京の水準が上がりすぎたのである(正直、「上がり過ぎ」だと思う。あのミシュランさえもハイになって花咲か爺さんの様に木に登って星をバンバン振りまいているのである)。 

     一番新鮮で旨かったのは日本ではなかなかお目にかかれないトレイニャック(ガス無し鉱水)で、昼過ぎからデプレで、ラムでかっかした喉と胃に、冷たいトレイニャックを流し込んでボヤーっとする。等という事は今まで一度も経験が無かったのでとても良い気分だった。 

     その後、ラデュレ・ボナパルトでマカロンをどかっと買い(奇麗な日本人女性スタッフがいます)、大谷夫妻は残して自分がタクシーでオムスをホテルまで送った。「オムスー、妙な現場に呼んじゃって悪かったな」と言うと、マジ顔で「とんでもないっす。超楽しかったっす」と言ってニッコリ笑った。「3月の渋谷もよろしく頼むわー」「はい、よろしくお願いします」。ああ、オムスのような才能と奇麗な心を持った息子が欲しい。そして「親父ざけんじゃねえ」とか言われてバットで襲撃されたい。 

     オムスをホテルで見送り、大谷君とは夜の8時からポンピドゥーに行く事にしたので(かなり気合いの入ったダリ展をやっていて、連日満員なのである。我々が行かずして誰が行くというのだ)、一人で散歩がてらオルセーに行く事にした。ご存知プルミエのディマンシュは美術館がタダである。外には名物の行列ができていてディズニーランドのようだったが、滞在中、この列が最も日本語と韓国語の聞こえる場で、お洒落フランス人(フランス人はお洒落とお洒落じゃないのがきっちり半分ずつぐらいいて、完璧な格差を見せるのだが、お洒落じゃない方が卑屈、とかいった事が全くない。というかお洒落の方がビクビクしているように見える)が、もっとも沢山いた。日本人はみんなオタクさんの喋り方で、韓国人はみんな死ぬほど図々しかった(数メートル先に韓国人がいるのを見つけると、5〜6人がそこまで全速力で、手にドリンクとフードを持ったまま駆けつけて自己紹介する。とかは、まあ当たり前ですね)。つまり平均的である。 

     とはいえ5時に閉まるので30分もいられない。オルセーに行ったら必ず逢う事にしている6点(写真参照。ドガとかマネとかじゃないんですねー)に逢って、「久しぶり。変わらないね君。奇麗だ」とか何とか、辻人成さんのような事を語りかけ、、、あれ?、、、なんかピーゴロゴロとかいう音が聞こえるんですけど。誰か昔のパソコンで通信でもしているのでしょうかピーゴロゴロ。えーっとあのう、吐き気の様なあ、ものがあ(笑)、してきた気がするんですね(笑)。 

     やばいやばいやばい。走ってオルセーを飛び出し、急いでタクシーに乗り、部屋に突入し、コートのまま下を脱いで(以下自粛)。
     

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  • ビュロ菊だより 第二十号 「日記式コラム特別編~前編~」フォトレポート

    2013-03-10 09:00  
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  • ビュロ菊だより 第二十号 「日記式コラム特別編~前編~」

    2013-03-10 09:00  
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           ビュロ菊だより日記式コラム特別編 
    <菊地成孔の10日間・前編〜パリを世界文化史上のオワコンなんて言ってるのは誰だ?いやでも実際に朱塗りのお椀がいっぱい並べてあんだもの(ウィルス性の急性胃腸炎付き)> 

    2月25日(月曜/フライト3日前) 

     いよいよけものレコーディングの初日。まだものんくるのトラックダウンに着手する前にけもののレコーディングに入る。これまでプロデュース業はいくつかやってきたが、フルアルバムを1ヶ月おきに2枚やるというのはシンプルに言って生まれて初めてである。 このペースで事を進めれば、やはりどうしても(少なくとも、前情報の段階では)両者のアルバムを自分(&エアプレーン・レーベル)括りであたかも同一企画上の連作のように捉える人々(プロアマ問わず)が現れるのは不可避だろうと思われる。これはなるべく避けたい所である。 

     実際の作品を聴き比べて頂け

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