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  • 【衝撃発掘!!】神取忍インタビュー「ジャッキー佐藤シュートマッチの真実」「北斗晶」「ブル中野」……

    2016-12-17 11:12  
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    52歳にして大晦日RIZINのギャビ・ガルシア戦に挑む「ミスター女子プロレス」神取忍。これからご紹介するインタビューは以前Dropkick誌上で掲載されたもので、聞き手は『1993年の女子プロレス』などの著作で知られる柳澤健氏。記事の内容は北斗晶やブル中野、そしてジャッキー佐藤戦を中心に語っている。ジャッキー佐藤戦といえば、ジャパン女子プロレスで起きた伝説のシュートマッチだ。一線を越えた戦いは神取がアームロックで勝利を収め、ジャッキーはこの試合を最後に引退。今回のRIZIN参戦を受けて「心が折れる」という言葉の起源が神取忍だったことを知った方も多いだろう。いまや日常的に使われるこの言葉は、神取がこの凄惨試合を振り返って発したものだった。神取はジャッキー佐藤の心を折りにいったのだ。52歳にしてMMAのリングに足を踏み入れる神取にとって、ギャビ・ガルシア戦は厳しい戦いになることが予想されるが、この記事から神取忍というプロレスラーの凄みを感じ取っていただきたい。
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    NOAHのこれまでのこれから――
    “リングの現実”に殉じたNOAHの栄枯必衰!●事情通Zのプロレス点と線
    あやしい新体制! NOAHに何が起きているのか?/ベラトール参戦? ヒョードルはバレンティンか
    ●43歳にして警察官辞職、格闘技専念!  解き放たれた怪物が世界に討って出る!関根シュレック秀樹インタビュー●大好評連載インタビュー アジャ・コング③ナマケモノが怪物になった日――偶然と必然が折り重なった「アジャ様」覚醒の瞬間!!●谷津嘉章インタビュー80年代編「昭和・新日本のプロレスは早漏なんですよ」●ゼロゼロ年代のジョシカク! 藪下めぐみ「私、総合格闘技の練習をしたことが一度もないんですよ」●生臭坊主!? “僧侶プロレスラー”の自由すぎる説法阿部史典デタラメインタビュー●「斎藤文彦INTERVIEWS⑧」SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集い●ベラトールで暴れまわるフランス生まれの日本人MMAファイター!! 加藤久輝インタビュー●金ちゃん危機一髪! 金原弘光、暴走高齢者の事故に遭う!!●大沢ケンジ師匠の格闘技談義「アルバレス戦完勝」が低調っぽく見えるコナー・マクレガーの恐ろしさ!●OMASUKI FIGHTのMMA Unleashed
    ・変貌するWWEを支えるニューリーダー、ステファニー・マクマホン大研究
    ・「ダスティ・フィニッシュ」の意味は? オックスフォード英英辞典に見るプロレス隠語集
    ・UFCファイターは何を食べているのか〜悪童は菜食主義者〜
    ・UFC新オーナーの打ち手を読み解く!! 投資家向けプレゼン資料の内容が明らかに
    ・UFC史上最大のビッグマッチ、UFC 205終幕:ビジネスレビュー、レコードと統計●ジャン斉藤のMahjong Martial Artas川尻達也、あがき続けた先のRIZIN参戦●MMAオレンジの色の手帖・UFC帰りの日本人格闘家、その後の戦績108勝36敗5分1NC・格闘技レガシィー?〜会場の変遷から見る日本の格闘技〜●二階堂綾乃・プオタは変わっているのか?〜流智美は他人の誕生日の曜日をすべてわかる説〜・優しさはいらない!? 「鍛える女子」の口説き方●中井祐樹の「東奔西走日記」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1146649
     

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    神取 (93年に発売された『Number』女子プロレス特集号を手に取りながら)うわぁ、なつかしいね。
    ――じつはこの特集を作ったのはボクなんですよ。
    神取 あ、そうなの!
    ――この中に北斗晶さんのインタビューがあるんですけど「93年の女子プロレスはこれからもずっと語り継がれていくし、私と神取の名前は必ず出る」と断言している。まさにそうですよね。
    神取 ハハハハ、そうかな?(笑)。
    ――ボク自身はこのときの北斗さん、神取さんあたりから女子プロレスというものに興味を持つようになって、『kamipro』のインタビューをまとめた『1993年の女子プロレス』という本を出したり、『1985年のクラッシュ・ギャルズ』という本も書かせてもらっているんです。
    神取 ああ、本屋さんで見たことある。
    ――じつはボク、文藝春秋にいた頃は井田真木子さんともお仕事をさせていただいてるんです。
    神取 へえ、凄い縁だね。私は井田さんには頭が上がらないもんね。
    ――井田さんが亡くなったとき、井田さんはちょうどプロレスを離れていた時期じゃないですか。だから、ボクが女子プロレス全団体にFAXを送って、葬儀の連絡をしました。神取さんも桐ヶ谷斎場にいらしてましたよね?
    神取 いまでもお彼岸とかにはお参りに行ってるもん。
    ――葬儀のときに号泣していらっしゃったのをいまでも覚えてます。
    神取 私、泣き虫だから(笑)。井田さんがいたから、いまの自分があると思ってんの。唯一の理解者だったから。
    ――井田さんの話もちろんですけど、今日は伺いたいことがいっぱいあるんですよ。
    神取 ええ~、ドキドキしちゃうなあ(笑)。
    ――まず、柔道時代のお話からお聞きします。神取さんは女子柔道で世界3位までいかれましたよね。あの「世界3位」は自分にとってはMAXだったんですか、それとも、もっと行けたけど途中で辞めたくなったということなんですか?
    神取 スポーツ選手には運もあって、またピークのときにどの大会にぶつかるか、っていうこともあるわけじゃない? 自分はソウル五輪前の世界選手権がピークだったと思うけど、ソウル五輪はまだ女子柔道が公開種目だったの。
    ――88年ソウル五輪が公開種目で、正式種目になったのは92年のバルセロナ五輪からですよね。
    神取 でさ、公開種目って3位以内に入ってもメダルのうちには入らないんだよね。「だったらやってもしょうがないじゃん」って(笑)。正式種目になるのはさらに4年後だよってなったときに「こんな練習、嫌!」みたいな(笑)。
    ――う~ん、さすがですね(笑)。
    神取 日本人が最も得意としてるしがらみってもんが、町道場にいた自分にはまったくないから。「じゃ、辞めま~す」って感じで辞めちゃったんだよね。あれが、どこかの大学なり実業団なりに入ってたら辞められなかったと思うけど、あくまで町道場なんで「何か問題でも?」みたいな。
    ――凄いなあ! じゃあ、山口香なんかとは全然、人種が違うと。
    神取 人種が違うね。でもあの子、会話してたら凄く気が合うのよ。全然異質なぶん、お互いに興味があるみたいな(笑)。
    ――神取さんはソウル五輪には出ないで、「柔道じゃご飯が食べられないから、これで食べていくよ」ってジャパン女子プロレスに入るわけじゃないですか。どうして老舗の全女じゃなかったんですか?
    神取 私はもともと女子プロレスラーになるとは思ってなかったから。柔道やってるときに、ちょうどクラッシュ・ギャルズが全盛でテレビでバンバンやってたんだけど、柔道家の目から見ると「なんで技を受けるんだ?」って感じだったの。
    ――競技をやってる人間からすると当然そうなりますよね。
    神取 なかには柔道やってても、凄くプロレス好きな人もいるじゃない。「クラッシュがカッコいい」とか「おもしろいよね」とか。でも、私の場合はおもしろさより、クエスチョンのほうが先に来てたから、「こんなの返せばいいじゃん」とかプロレスを斜めから観るタイプだった。それを日頃から言ってたから「プロレス嫌い」って言われてたんだけど。
    ――柔道家の頃はプロレスに批判的だったんですね。
    神取 だからプロレスラーになるつもりなんて全然なくて、ジムのインストラクターとか、そういう職業につくつもりだったの。でも、そのときちょうどジャッキーさんが新団体を旗揚げするときで、プロレスが好きな昔からの友だちが「あんたはプロレスを批判してるけど、絶対にプロレスラーになったほうがいいよ。性格的にプロ向きだよ」とか言ってて、冗談半分で履歴書送っちゃったんだよね。
    ――神取さんに黙って、ジャパン女子に送っちゃった。
    神取 そしたらジャパン女子から実家に連絡が入ったらしく、親もびっくりしちゃってさ。家に帰ったら「あんた、プロレスラーになるの?」なんて言われて、でも私は知らないし(笑)。で、「連絡先を聞いてあるから、電話しなさい」って言われて、そこからだよね。
    ――自分の意思じゃなかったんだ。
    神取 一応社長と話したんだけど、ジャパン女子ってイケイケだったじゃない?
    ――時代もあって、バブリーな感じでしたよね(笑)。
    神取 なんか(当時のトップアイドルである)少女隊が応援したり、みんなのリングネームを秋元康さんがつけてくれたりさ。社長は「プロレスラー税金対策だ」とか言ってて、こっちは「税金対策って何?」って感じなんだけど(笑)。若かったし、社会経験もないから「凄いことなの、それ?」みたいな感じでいろんな話を聞いて。そういうなかで「闘って人前で表現できて、それが仕事になるのは確かにいいかも」って思うようになって、それで入ったんだよね。
    ――なるほど。デビュー戦がいきなりジャッキー佐藤さん。
    神取 デビュー戦がメインだからね。よく考えたら凄いよね。
    ――いや、凄いですよ。実際に試合内容自体も素晴らしいもので。あの頃、井田真木子さんは『デラックス・プロレス』で長与千種インタビューを連載してたんですけど、その中で神取vsジャッキーを観に行った井田さんに向かって長与千種は「神取はどうだった?」って聞くんですよ。そのとき井田さんは「天才かと思ったわ」って。
    神取 嬉しいね~。
    ――あの当時、千種さんは全女がおもしろくなくなっていて、神取忍という好き勝手にやってる人にどんどん興味を持ち始めるんですよね。
    神取 当時は私、全女を大批判してたからね(笑)。
    ――なんのしがらみもなく好きなことを言って、たぶん、神取さんが羨ましくてしょうがなかったらしいんですよ。
    神取 そうだよね。あの頃は「クラッシュなんて片手で充分」とか「ダンプは10秒で倒せる」とか言って、ダンプ松本以上のヒールになってたから(笑)。
    ――ジャッキーさんとのデビュー戦の時期は、やる気満々というか、プロレスに前向きだったんですか?
    神取 もちろん。ただ、プロレス知らないのに、いきなりジャッキー佐藤、ナンシー久美、風間ルミ、神取忍で“四天王”ってことにされちゃったから、必死だったよ。で、当時は新日本プロレスさんと提携してて、コーチが鬼コーチで有名な山本小鉄さん。ホントにメチャクチャな練習で凄かったんだよ。新日本の道場に行って練習してたから。
    ――えっ!? 上野毛の道場に行ってたの?
    神取 行ってたのよ。それで道場は夏でも窓閉め切りでね。小鉄さんは「プロレスラーはコレ(シュートサインをしながら)が強くなくちゃいけないんだ」って言って、私に新人の男子レスラーとスパーリングやらせるのよ。
    ――え~っ!? 神取さんって当時は体重60キロ台でしょ?
    神取 そうそう。
    ――それと90キロぐらいはある男子レスラーとやらせるって、どう考えても無謀でしょう。その体格差でシュートでやらせるの?
    神取 もちろん。新日本はまずシュートでやらせるからって。
    ――すっごいねえ。でも、そんなスパーリングやらされたのって、神取さんだけでしょ?
    神取 うん、私だけなんだよね(笑)。
    ――アハハハハ! そりゃそうですよね(笑)。
    神取 関節技知ってるの私だけだからって。でも、スパーリングやると柔道の癖で、ついつい握っちゃうわけよ。道着を着てないから相手のTシャツとか肉をつかんじゃって、そしたらそのレスラーに「何やってんだよ!」ってバーンと殴られたりして。いつも顔腫らせてたもん。
    ――うわぁ、ひどいねえ。そのとき、誰とスパーしたか覚えてます?
    神取 誰とやったのかは覚えてないんだよなあ。でも、みんな私が男子レスラーとスパーリングやったり、天龍さんと試合したりするのを「凄い」って言うんだけど、自分としては違和感ないんだよね。もともと柔道も町道場でやってたから、練習はいつも男子とばっかりだったし。こういう格闘技っていうのは、男とやるもんだと思ってるから。
    ――まあ、伊調馨なんかも自衛隊で男子とやってますからねえ。それでジャッキーさんとのデビュー戦では、自分でも「やるぞ!」っていう気合いが入った感じですか?
    神取 そうだね。私自身、「全女なんて10秒いらねえ」とか、生意気なこと言った手前、みっともないまねはできないし。ジャパン女子っていう団体も舞台設置に凄いお金をかけてて、周りが盛り上がってるから「これはもうコケられない」って感じだったしね。あとは柔道界から「あいつはプロレス界じゃもたないよ」とか「絶対に3カ月で辞めるよ」とか言われてて、そういうの大嫌いだから、「やってやろうじゃないか!」っていう気持ちは、とにかくあったね。
    ――何がなんでもデビュー戦で凄い試合をやらなきゃいけない、と。
    神取 やらなきゃいけなかったね。
    ――対戦相手のジャッキー佐藤は大スターで、ある種「ジャパン女子は私の団体だ」ぐらいに思ってた人じゃないですか。非常にプライドの高く、全女のスーパースターとしてトップを張ってきた人と初めて試合をしてみて、いい試合をするために神取さんがやったことはなんだったんですか? 向こうが「こういう試合にするよ」って決めてくるのか、それとも打ち合わせは最小限にして緊張感を高めたのか。
    神取 当時のジャパン女子は、プロレスに関する教育とかはすべて山本小鉄先生に委ねていたので、新日本流のプロレスだったんだと思う。だから、組み手にしても、ロープへの走り方にしても全女と男子プロレスは逆だったから、ジャッキーさんも小鉄さんの指導どおりに“新日流”に直して、自分らとともにジャッキーさんもそれを学びっていう感じだったの。
    ――なるほど。ジャッキーさんは大先輩だけど、男子の左構えでやるのは初めてだったんですね。面白いなあ。じゃあ、デビュー戦をどんな試合にするのかという、基本プランを作ったのも小鉄さんなんですか?
    神取 それは何人かでやってたと思うんだけど、自分的にそのへんはまったく畑の違うとこだと思ってるから、言われるがまま。ヘンなところは妙に素直だから、「はい!」みたいな(笑)。
    ――納得がいくことに関しては素直に聞くと。凄い選手はみんなそうですね。デビュー戦は素晴らしい試合だと周りからも評価されたと思うんですけど、そのうちだんだんジャッキーさんとの関係が険悪になっていくわけじゃないですか?
    神取 ハハハハハ! そうだねえ(笑)。
    ――普段の何気ないタッグマッチでもギクシャクして。このあいだ山本雅俊さん(元JWP代表)にたまたま会ったときに聞いたら、ジャッキーさんが場外でラリアットにいくふりをして、神取さんの目に指を入れてきたみたいですね?
    神取 そうなんだよ。「へ~、こういうことしていいんだ、プロレスって。山本先生はそんなこと言ってなかったよ」みたいな。
    ――そもそもどうしてジャッキーさんとギクシャクし始めたんですか?
    神取 やっぱりジャッキーさんはずっと女子プロの世界で生きてきて、私は違う世界から来たわけで。世間の常識が女子プロの世界では非常識、またその逆もあって「おまえ、何言ってんの?」ってことが多々あったの。
    ――なるほど。神取さんはじつは世間的にはまともなことを言ってるんだけど、非常識な女子プロの世界では異端に見えてしまう、ということなんですね。
    神取 そうそう。たとえば当時の女子プロには公傷制度がなくて、試合でケガさせられても「ケガをしたお前が悪い」って世界でさ。でも、身体一つで生きてきたこっちとしては、仕事でのケガは会社が面倒みてくれなきゃ、やってられない。でも、そういうことを主張すると、会社やジャッキーさんは「全体を乱す」って目でこっちを見るようになったんだよね。
    ――なるほど。女子プロの世界に“常識”を持ち込むことが悪とされてしまった、と。でも、目に入れてくるって、よっぽどのことですよ。
    神取 だからこっちは「へえ、プロレスにはそういうやり方があるんだ」って感じで。でも、私は自分からケンカは売らないけど、売られたケンカは大好きだから。「そういうことをするんだったら、最初っからそのつもりでやろうよ」っていうね。
    ――神取さんが「じゃあ、いいよ。シュートで決着つけよう」と言ったわけですか。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999
     
  • ブル中野・2年間戦争/バイソン木村との哀しき別れ■アジャ・コング インタビュー④

    2016-12-17 11:12  
    110pt

    大好評アジャ・コングインタビュー第4弾! 今回は女帝・ブル中野との壮絶な抗争、盟友・バイソン木村との別れを語ります!<これまでのアジャ・コングインタビュー>①「全女はAKB48やジャニーズだった」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1087876②「恐るべし全女の異種格闘技戦/ダンプ松本、究極の親分肌」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1112784③偶然と必然が折り重なった「アジャ様」覚醒の瞬間http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1130398◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
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    ・変貌するWWEを支えるニューリーダー、ステファニー・マクマホン大研究
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    ――アジャさんとバイソン木村さんの2人は、ボスだったブル中野さんと決別して獄門党を離れることになったんですね。
    アジャ 中野さんに完全にケンカを売って、バイソンと2人でやっていくと宣言したんですけど。獄門党の所属じゃなくなると、巡業のときヒールのバスにはもう乗れないんです。
    ――まあそうなりますよねぇ。
    アジャ かといってベビーフェイスのバスに「乗せてください」と頼むわけにはいかない。中野さんはヒールだけじゃなくて、全女のすべてを管轄しているトップですから、ベビーからしても「中野さんにケンカを売った2人をバスに乗せるわけにはいかない」となるんです。
    ――中野さんが所持してた赤いベルト(WWWA世界シングル王座)は頂点の象徴であり、中野さんは“リング外”でもボスだったわけですね。
    アジャ 巡業中は電車の時間を調べてバイソンと2人で移動したんです。
    ――天龍革命のときの天龍さんと阿修羅・原さんみたいです!(笑)。でも、当時の全女は年間200〜250試合くらいやってましたから大変じゃないですか?
    アジャ でも、これが全女のトップにケンカを売るってことなんだなって痛感しましたね。荷物を抱えて毎日電車に乗って次の会場へ向かってましたし、会場に着いてもヒールやベビーの控室には入れないわけじゃないですか。バイソンと2人で別の部屋を探すんですよ。
    ――そこまでやるんですか!
    アジャ 若手に頼んだらその若手が中野さんに怒られますから、自分たちで探すしかないんです。体育館の倉庫を控室替わりにして、そこで着替えたこともありましたよ。
    ――会社の人間が手配してくれてもよさそうですけど……。
    アジャ 用意してくれないです。そこは全女ですもん(笑)。そして「コイツらを対戦させたら面白い」ってことで毎日中野さんvs私とバイソンをやらせるんですよ。
    ――毎日ブル中野vsアジャ・コング(笑)。
    アジャ 中野さんのパートナーだけは日替わりでしたから、中野さんも大変だったと思います。中野さんのパートナーは若手になるんですけど、私たちに簡単にやられたら控室で中野さんに怒られるじゃないですか。だから若手も必死ですよね。
    ――捨て身で襲ってくるんですね。
    アジャ 中野さんも凄いってもんじゃなかったですねぇ……(しみじみと)。中野さんからすれば憎しみの感情もあるじゃないですか。ガッツンガッツンやってくる。毎日「殺されるんじゃないか……!?」って思いながらリングに上がってましたねぇ(笑)。
    ――殺される……中野さんが一線を超えてきそう気配はあったんですか?
    アジャ それは毎回でしたよ。いままでベビーフェイスにやっていた凶器攻撃は全部こっちに向かってくるわけじゃないですか。しかも以前よりもキツめに(笑)。
    ――プロレスファンの記憶に残ってるブル中野vsアジャコングといえば、伝説の金網デスマッチ2連戦です。1回目の金網デスマッチはアジャさんの場外エスケープ勝ちでした。しかし、当時ユニバーサルプロレス所属で「ブルドッグ・KT」を名乗っていた外道さんがレフェリーという立場なのにもかかわらず、アジャさんのエスケープをアシストする行為が物議をかもしましたね。
    アジャ 1回目の金網は「とにかく勝てばいい!」という姿勢でしたね。中野さんはそういった批判の声を気にしていたと思うんですけど、私としてはどんなかたちであれ、あのブル中野に勝ったという事実がほしかったんです。なぜかといえば、赤いベルトを持った中野さんに勝った人間はいないから。どんなかたちであれブル中野に土をつける。だから「批判なんかはどうでもいいや!」って感じで。
    ――1回目の批判を受けて2回目はノーレフェリー・ノールールという形式が取られました。その試合でいまだに語り継がれる、金網4メートル上からのギロチンドロップが……。
    アジャ あの試合もエスケープルールだったんですけど、私は真っ逆さまに落とされて動けなかったんです。そうすると金網をよじ登っていく中野さんの姿が見えたので「ああ、エスケープするんだな……」って思ったら、金網の上からリングに振り向いたんで「ああ、上から落ちてくるんだ。勝てなかったなあ。またやり直しだな……」って。
    ――中野さんが4メートル上から自分の身体に降ってくることがわかったんですね……。
    アジャ もう動けなかったんですけど、「飛んでくるなら、よけてたまるか!」という気持ちもあったんです。
    ――でも、普通のギロチンドロップとは訳が違いますよね?
    アジャ 普段の倍の高さはありますよねぇ。でも、「これで死んだらそれまでだ!」っていう感じですね。
    ――そこまでの覚悟が……。
    アジャ たしかにギロチンを受けたときは息が詰まったし、もの凄い衝撃でしたよ。「あ、死んだな!」って思ったんです。意識がボーッとしてたら周囲がワーワーうるさかったんで「あの世ってやかましいんだな」って(笑)。
    ――生死を懸けられた当時の自分を振り返ってみてどう思われますか?
    アジャ うーん……。
    ――もう一度、あの高さから中野さんが降ってきても受け止めますか?
    アジャ あのシチューションだったら受けないといけないでしょうね。
    ――また受けますか。
    アジャ だって、よけたら逃げたことになりますし、だったら最初から試合をやらなきゃよかったというこですし。あの試合でブル中野には負けたんですけど、あそこでギロチンをよけてしまっていたら、ブル中野を越えることはできないと思いますね。
    ――すべてを受け止めるという決意表明というか。
    アジャ 中野さんにケンカを売った以上、もうやるしかないですよ。毎日毎日中野さんと試合をして、キツイ思いをしてるわけですよね。試合が終わった瞬間だけが、やすらぎ。「今日も一日終わったな……」って。で、夜ご飯を食べて、ホテルで寝ようとすると「ああ、また明日も中野さんと試合か……朝が来なきゃいいのになあ……」って眠りにつくんです。それが2年間ずっとですから。
    ――並の人間だったら精神や肉体が壊れちゃいますよ!
    アジャ たまにシリーズの都合で中野さんじゃないカードになると、まぁ、楽でしたね。ベビーとやると本当に楽(笑)。
    ――天国モードですか(笑)。
    アジャ ジャパングランプリとかシングルマッチのリーグ戦のときは、中野さんも私もシングルマッチをやらなきゃいけないですから。必然的に戦う回数も減るじゃないですか。それでも年間250試合あるとしたら、200試合は中野さんとの試合なんですけどね。
    ――年間200試合、ブル中野とガッチガチの試合……。
    アジャ よくまあやってましたよね(笑)。
    ――全女って地方のパチンコ屋の駐車場や空き地でも興行をやってましたよね。都内と比べたらグッと観客数も少なくなる場所でも、毎日のように激しい試合はされてたんですか?
    アジャ あたりまえですけど、変わらないですね。
    ――……とんでもないプロ根性ですねぇ。ボクは地方在住だったんですけど、地方のプロレスって東京のビッグマッチとは明らかにテンションが違うことにションボリすることが多かったんですけど。
    アジャ あー、全女の選手はどこで試合をしてもテンションが変わらないんです。たとえば豊田真奈美は自分のすべてを出しきらないと気がすまないので、地方でもテンションは変わらなかったと思います。
    ――その中野さんとの激しい抗争もきっかけになって、アジャさんのキャラクターが一般世間に浸透していきますね。
    アジャ そのあたりからテレビからオファーがかかるようになって、芸能の仕事をやってから会場に向かうケースが増えたんです。あと、伸び悩んでる同期の高橋美華や神谷美織、若手の伊藤薫が自分たちのところに入ってくることによって、ジャングルジャックのかたちができつつあって。5人で電車移動するのも大変なんで、会社が車を用意してくれるようになったんです。
    ――実力で待遇を勝ち取ったんですね。
    アジャ そこはメディアに出たことが大きいですね。普通に道を歩いていても声をかけられるようになったんで。さすがに会社もそのまま電車で移動させるわけにはいかないだろって(笑)。
    ――アジャさんの知名度は女子レスラーの中ではダントツでしたよね。
    アジャ そうですか? 自分とバイソンのセットでダウンタウンさんやウッチャンナンチャンさんとかの番組にはすべて出させていただいたんで。そうなってくると、逆に他の選手からすればそれはそれで面白くなかったんだと思いますね。中野さん以外の選手の当たりも強くなっていくという。
    ――全員から嫉妬されたり?
    アジャ こっちからすれば「だったらおまえたちもテレビに出ればいいだろ!」っていう話ですけどね。
    ――宿泊先もベビーや獄門党と別なんですか?
    アジャ 地方だとホテルが少ないから一緒だったりするんですけど。宿泊する階が違いましたね。
    ――同じ会場同じ宿泊先だと中野さんとどこかですれ違う機会もありますが、そういう場合はどう振る舞ったんですか?
    アジャ やっぱり先輩になるので、顔を見たら「おはようございます!」と挨拶するんです。でも、なんにも言われず無視されましたね。挨拶しても何も返してくれないから途中から言わなくなりました。2年間、一切口は利きませんでしたね。
    ――獄門党だった井上京子さんは当時を振り返って2人の関係は「本当に怖かった」と言ってますね。
    アジャ 京子は全女に入って3年目くらいですから大変だったと思いますよ。私と同じタイプで何かあったら穏便に済ませたいタイプなんですけど、グリズリーさんが引退したあとは中野さんのパートナーポジションが空いてるので、京子がやらなきゃいけない。あれはあれでキツかったと思いますよ。
    ――京子さんはそういうキャラじゃなかったですもんね。
    アジャ 明るい楽しいタイプだったのに、髪切りマッチとかギスギスした戦いに巻き込まれるわけですから。
    ――一緒に戦っていた盟友のバイソンさんも、引退を選びますよね。「怖くなった」と言い残して。
    アジャ 私とシングルマッチをやったあとですよね。あの試合でアゴの骨が外れたり、体力的な限界を感じたということで。でも、この戦いはそもそもはバイソンから始まったわけじゃないですか。
    ――バイソンさんが中野さんに反旗を翻した流れにアジャさんも巻き込まれて。
    アジャ だから「……なんで?」とは思ったんです。でも、バイソンに直接「……なんで?」とは聞けなかったんですね。
    ――それはなぜですか?この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖などの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999 
  • NOAHだけはガチ! 新日本プロレスとの協力関係解消へ!■事情通Zのプロレス 点と線

    2016-12-17 11:12  
    55pt
    事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回はNOAH新体制の続報! 

    ――Zさん! ついに起きてしまいましたねぇ。


    事情通Z 起きちゃったねぇ。いやあ、この撤退はビックリだ。
    ――大ショックですよ、IGF大晦日興行の撤退! 
    Z いつの話をしてるんだよ! だいぶ前に発表されてるだろ。
    ――こんな大ニュースなのに知らない人が多いかなって。
    Z 知らないんじゃなくて興味がないだけだよ! だいたい業界でIGFを純粋にウォッチしてるのってキミだけだろ。
    ――Zさんのほうが凄く失礼なことを言ってますね(笑)。撤退は撤退でもNOAH新体制の続報です。このコーナーでNOAHの新体制を語った回では、不穏なオチがいろいろと話題を呼びましたが……。
    Z 本当に本題に入っていいの?(笑)。ついに起きてしまったねぇ、新日本プロレスのNOAH全面撤退。
    ――噂どおりホントに全面撤退なんですね。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999
     
  • 非会員でも購入可! Dropkick好評インタビュー一覧

    2016-12-17 11:11  








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  • いまだ全貌が見えぬ不気味なNOAH新体制……■事情通Zの「プロレス 点と線」

    2016-12-16 09:42  
    55pt
    事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回は「不気味なNOAH新体制」「プロレス大賞反省会」など!
    ――事情通Zさん! た、た、た、た、大変ですよ!!
    Z はいはい、どうせ例のネタでしょ?
    ――違いますよ! ホントに大変なんですって。年末RIZINのミルコ・クロコップ戦をキャンセルしたヴァンダレイ・シウバに続いて、元UFCヘビー級王者シェイン・カーウィンも欠場しそうなんですよ! しかも2人揃ってケガしたわけじゃなくて、やる気がないとかみたいで。
    Z ええええええええ!?…………ってシウバはともかく、ナントカ・カーウィンって誰?
    ――うーん、この「MMAボンヤリ層」め。
    Z RIZINに出るとか出ないとか聞いたことはあります。
    ――カーウィンは今回の無差別級GP優勝候補アミール・アリアックバリと戦うはずだったんです。
    Z ほほう、アリバック。
    ――いや、アリアックバリ。
    Z アリアバック。
    ――アリアックバリですけど、もういいです。
    Z 「MMAボンヤリ層」の立場からすると、ミルコvsヴァンダレイが消えたことのほうがショックだねぇ。
    ――Zさん、正直29日のRIZINはあんまり興味ないでしょ?(笑)。軽量級の日本人vs世界とか。
    Z 大晦日のほうがにぎやかに見えるよね(笑)。29日で見たいカードは高阪剛vsバルト、あと中井りん選手くらい。
    ――Zさんと違って格闘技ファンは29日のほうを楽しみにしてるんです。31日の坂田亘vs桜井マッハ速人なんかどうでもいい! という。
    Z その気持ちはわかるし、興味が分かれるほうが時代的には健全でしょう。さすがに「坂田亘vsマッハ楽しみ!」という格闘技ファンがワンサカいたら不安になってくる(笑)。
    ――神取忍vsギャビ・ガルシアくらいになると、珍味に過ぎて皆さんお食べになるんですけどね……。
    Z しかし……ケガしたわけじゃないのに欠場ってヒドイね。せめて手術したとかウソつけないのかね。
    ――ミルコのハイキックがよく見えるように二重にする整形手術が失敗したとか。
    Z 納得できるか、そんな理由。シウバは実際だいぶ前に整形手術してるだろ!
    ――だったらセーム・シュルトのようにボウリング事故疑惑にしておきましょう。
    Z なんのことか忘れたけど、危なそうガーターネタを投げ込んでくるんじゃないよ! いいかげん本題に入ってくれ。
    ――Zさんに予想してもらっていた東京スポーツのプロレス大賞が発表されましたので、まずはその反省会です(予想記事はコチラ→http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1155194)
    Z まずMVPの内藤哲也選手は外しようがない。
    ――ベストバウトはオカダ・カズチカvs丸藤正道でしたが、予想は関本大介vs真霜拳號。
    Z あの試合は全日本のチャンピオンカーニバルの試合で、2人とも全日本所属じゃないこともあって選ばれづらいよね。丸藤はNOAH所属なので、新日本選出の偏りはなくすという点では、バランス的に選ばれやすかったと思います。
    ――最優秀タッグは当たりました。関本大介・岡林裕二組。
    Z これは消去法かなあと。結局いまのプロレス界には年間を通して活躍しているタッグ屋がなかなか見当たらないんです。ベストフレンズは別団体のエース同士のコンビということで年間を通して活躍していたら、女子といえど受賞の可能性は高かったと思う。関本・岡林はタッグ屋というタッグ屋ではないですけど、組む機会が多かったし、試合内容に厚みがあった。
    ――なるほど。タッグ屋不在問題があるんですね。
    Z いまのプロレス界は展開が早いから、タッグ屋が継続するのはけっこう難しい。 真壁刀義選手と本間朋晃選手のコンビだってこないだのタッグリーグ戦では活躍したけど、年間を通してはそんなに組んでない。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999 
  • RIZIN大晦日はマッハvs坂田じゃなくて「マッハvs減量」!!■金原弘光

    2016-12-16 08:54  
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    伝説のプロレス団体UWFインターナショナルでデビューして、キングダム、リングス、PRIDEと渡り歩いた日本格闘技の生き証人金原弘光が格闘技界黎明期を振りかえる連載インタビュー。今回のテーマは「ヴァンダレイ・シウバの欠場」と、金ちゃんがよく知る2人の試合「坂田亘vs桜井マッハ速人」です!金原 ヴァンダレイ・シウバってなんで大晦日出ないの? あれだけ「ヤルゥ!」って言ってたのに(笑)。
    ――どうやら調整が間に合わなかったみたいですね。
    金原 いつ決まったんだっけ?
    ――9月ですね。
    金原 9月?だったら9月の時点で「ちょっと難しいかも……」って判断はできるでしょ。
    ――5月に交通事故に遭ってそのケガの影響もあるようです。3年ぶりの試合ということもあってリスク回避したのかもしれませんね。
    金原 でも、シウバはミルコに1回負けてるでしょ?
    ――1敗1分ですね。
    金原 だったらやり返したいというのがファイターの本音ではあるんだよ。
    ――勝ってる側はそうでもないですよね?
    金原 うん。一度勝ってるからね。負けてる相手は絶対にやりたい気持ちはあるはずだから。シウバってミルコにどんな負け方してるんだっけ?
    ――ハイキックでKO負けですね。
    金原 ハイキックかあ。それだと、やりたがらないかもなあ。
    ――え、それはどういうことですか?この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999 
  • 「試合の前には我をなくすまで酔っ払う。そうすれば、負けた時の言い訳が自分に立つだろ」 ジョン・ジョーンズ赤裸々発言を追う■MMA Unleashed

    2016-12-16 08:48  
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    Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム――今回のテーマは……「試合の前には我をなくすまで酔っ払う。そうすれば、負けた時の言い訳が自分に立つだろ」 ジョン・ジョーンズ赤裸々発言を追う
    先日、UFC解説者ジョー・ローガンのポッドキャスト番組『The Joe Rogan Experience』にジョン・ジョーンズがゲスト出演、いくつかのぶっちゃけ発言が聞かれたので、今回はこの2時間に及ぶロングインタビューのエッセンスをご紹介しよう。
    まず、最近のジョン・ジョーンズの動向についてまとめておくと、UFC 200の試合直前に発覚した抜き打ち検査の失格の後日談としては、ジョーンズによる異議申し立てを受けて実施された追加調査の結果、ジョーンズが利用した性機能向上薬に、成分表示されていない物質が含まれていたことが検査失格の原因であったことは明らかになった。これにより処分の軽減も期待されたのだが、結局ジョーンズがこの性機能向上薬を使っていたこと自体を申告していなかったことが問題視され、当初裁定通り1年間の出場停止処分が確定した。のちにネバダ州アスレティック・コミッションも同様の処分を課している。ジョーンズの出場停止期間は、2017年7月8日に終了する。この出場停止処分決定を受けてUFCでは、ジョーンズが4月のUFC 197でオビンス・サンプルーに勝って獲得した暫定ライトヘビー級タイトルを剝奪したことを発表している。
    またジョーンズは、現地時間12月11日、チェール・ソネンが主宰する柔術大会『Submission Underground 2』に出場、ダン・ヘンダーソンを三角締めに切って捨てている。
    ***
    Q ここ数年のキミには本当にいろんなことがあったよね。
    そうだね。自分にがっかりしているよ。
    Q 特にがっかりしたのが、交通事故の件だったんだけど。
    そうだね。当時は僕もUFCで連勝中で、史上最強とかいわれて、レジェンドファイターを次々に倒して、ナイキとかゲータレードとかスポンサーも付くようになっていて、自分は特別な存在だ、何をしてもいいんだと思うようになっていた。マリファナも吸っていたし、意識を失うまで酒も飲んでいた。パーティばかりしていたよ。全てが自分の思うがままだった。あの事故では強烈に現実を思い知らされたよね。
    Q 妊婦が運転していた車に激突して、いったん現場から逃げて、その後戻ってきて札束をつかんでまた逃げたと報道されていたけど。
    青信号で左折中の事故だった。直進車両が優先だよね。僕は事故にまったく狼狽してしまった。そんなにひどい事故だとは思わなかった。僕はいったん車から降りて、道路のフェンスを越えて走り去った。で、ふと車の中にマリファナを積んでいたことを思い出した。それでいったん車に戻って探したんだが、見つからなかった。探しに戻ったのは札束ではないんだ。札束くらい、わざわざ取りに戻るわけもないだろ。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999
     
  • 「東京スポーツ」新聞社制定プロレス大賞2016■事情通Zの「プロレス 点と線」

    2016-12-14 07:07  
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    事情通Zがプロレス業界のあらゆる情報を線に繋げて立体的に見せるコーナー「プロレス 点と線」。今回は、東京スポーツのプロレス大賞について!――いまからお送りするインタビューは、『東京スポーツ』が毎年制定する2016年プロレス大賞が発表される前に収録されたものです。事情通Zさんのプロレス大賞予想がどれだけ当たっているのかを楽しむ企画ですね。「発表後に書いたんじゃないの?」と思われるでしょうから、インタビューの最後に事前に収録した証拠も用意しておきます。 Z 頑張って予想します。――最初にうかがいたいのは、我らがIGFスーパースターズの受賞なんですが……。Z (マッハの速さで)ねえよ! 200%ないと断言する。 ――お、言い切りましたね? 「プロレスがわかってるのは俺たちだけ!」と胸を張るIGFスーパースターズの受賞はないと? ファイナルアンサー? Z 何がファイナルアンサーだよ(笑)。さっさと本題に入ってくれ。 ――では、MVPからお願いします。 Z もうこれは新日本プロレスの内藤哲也選手が本命でしょう。この1年間、安定して話題を振りまいていたのは内藤選手。 ――対抗馬は?Z NOAHの丸藤(正道)選手くらいかなあ。G−1クライマックスでの活躍や、オカダ・カズチカ戦も素晴らしかったし、「NOAH最後の砦」感もあった。それでも、内藤選手からはだいぶ引き離れてるかな。 ――たしかに内藤選手よりは印象が薄い。 Z 以前の棚橋弘至選手のようにチャンピオンとして団体を引っ張ったという意味では、全日本プロレス三冠王者の宮原健斗選手。 ――内藤選手はIWGPのベルトを獲られてるし、G-1決勝も出てないですね。 Z 宮原選手はチャンピオンとしての存在感が凄かった。日本のプロレス界では一番だと思う。正直、全日本って諏訪魔選手がケガで長期欠場、潮崎(豪)選手や曙選手が離脱して、誰もが存続を危ぶんだ。そのドン底の状況下で宮原選手がチャンピオンに就き、「宮原はまだ早いだろ!」という声も跳ねのけて、いまは絶対的なチャンピオンとして君臨。試合も面白い。全日本復興の立役者ですよ。 ――でも、MVPではない。 Z うーん、これは選手の活躍度というより、団体として規模や話題性の話になっちゃうよね。どうしたって新日本のほうが露出を含めてリードしてるから。全日本ファンからすればどう見たって宮原選手がMVPなんだけど。 ――業界全体の評価と、「団体ファン」の視点との乖離って大きいですよね。 Z たとえばドラゲーファンからすれば「MVPはドラゲーの●●しかない!」ってなる。 ――どの団体にも言えることですね。「MVPはIGFの●●しかない!」 Z それだけはない(断言)。宮原選手の評価はもの凄く高いので三賞受賞は確実だと思いますけど。 ――新日本に迫る団体は見当たらないですし、来年以降もMVPは……。 Z 新日本の“1強”時代が続くと、他団体からの選出はしばらく難しいんじゃないかなあ……。――ちなみに2010年のMAVPはNOAHの杉浦貴選手。それ以降は新日本の選手の受賞が続いてますね。Z 一発逆転があるとすれば、WWEのチャンピオンになるとか。WWEには中邑真輔、KENTA、ASUKA、そして戸澤陽が参戦するけど、海外での活躍が材料になるかもしれない。 ――飛び道具的なアピールですね。 Z これは現実的ではないけど、たとえば日本の全団体で試合をしたり、全団体のチャンピオンになるとか……新日本に対抗するのは従来には見られなかった評価を打ち出すしかないと思う。 ――さて、今年はどんな結果になるでしょうか。IGFスーパースターズはありえるのか!? Z だからないって!<答え合わせ> 2016年MVPは……内藤哲也選手でした。正解。――次はベストバウトです。 Z これがね、いい試合はたくさんあって難しい。逆に言えば「最多得票数が入る試合はこれだ!」とは言い切れない。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999 
  • 【全文公開】『ファイプロ』で徹底シミュレーション!?  神取忍×ギャビ・ガルシア■「MMAオレンジ色の手帖」

    2016-12-12 23:27  
    格闘技ブログ「MMA THE ORANGE」の管理人オレンジがディープなエピソードをお届けする「MMAオレンジ色の手帖」! 今回のテーマはRIZIN大晦日の神取忍vsギャビ・ガルシアを『ファイヤープロレス』でシミュレーションしてみました!女子プロレス最強の男・神取忍に小池栄子の旦那・坂田亘の緊急参戦、さらにはヴァンダレイ・シウバの欠場発表とミルコとの舌戦などなど、悲喜交々の話題が交差している年末のRIZIN。こういう飛び道具?ビーンボール?隠し球が飛び交ってこそ日本の年の瀬。格闘技黄金時代にも似たような師走感が出てきて1人悦に入っています。
    その中でも一際楽しみにしているのはベタベタですが神取忍×ギャビ・ガルシア。女子プロレスラーから参議院議員に転身した52歳のおばさんがシウバを絞め落とした霊長類ヒト科最強女子と激突するという無謀な一戦。だって世の中の52歳といったら、出川哲朗にパンチ佐藤
  • 「現場監督」長州力と取材拒否■「斎藤文彦INTERVIEWS⑨」

    2016-12-12 21:06  
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    80年代からコラムやインタビューなどを通して、アメリカのプロレスの風景を伝えてきてくれたフミ・サイトーことコラムニスト斎藤文彦氏の連載「斎藤文彦INTERVIEWS」。マット界が誇るスーパースターや名勝負、事件の背景を探ることで、プロレスの見方を深めていきます! 今回のテーマは、ここ数回続いた「80年代・90年代の週刊プロレス」シリーズの最終編「現場監督・長州力」です!
    Dropkick「斎藤文彦INTERVIEWS」バックナンバー■プロレス史上最大の裏切り「モントリオール事件」http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1010682■オペラ座の怪人スティング、「プロレスの歴史」に舞い戻るhttp://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1022731■なぜ、どうして――? クリス・ベンワーの栄光と最期http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1039248■超獣ブルーザー・ブロディhttp://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1059153■「プロレスの神様」カール・ゴッチの生涯……http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1077006■『週刊プロレス』と第1次UWF〜ジャーナリズム精神の誕生〜http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1101028■ヤング・フミサイトーは伝説のプロレス番組『ギブUPまで待てない!!』の構成作家だった http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1115776■SWSの興亡と全日本再生、キャピトル東急『オリガミ』の集いhttp://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1131001――1980年代のプロレスジャーナリズムから始まって、『ギブUPまで待てない!!』放送秘話やSWSと『週プロ』の関係などを語っていただきましたが、今回は取材拒否問題にまで発展した『週プロ』と長州力についてお願いします。
    フミ そのテーマだと、まず「現場監督・長州力」の話からしなくちゃいけないですね。90年代の長州力は、プレイヤーというよりプロデューサーとしての印象が強いと思うんですけど。長州さんは「現場監督」という新しいプロレス用語で呼ばれるようになったんです。
    ――これ、誰がネーミングしたんですかね(笑)。
    フミ 誰でしょうね。ボクは東スポじゃないかって思うんですけど。新日本が正式に発表したわけではないんですね。
    ――現場工事の監督が由来なのかなって思い込んでたんですけど。
    フミ ああ、建設工事とかの?
    ――イメージにはピッタリですよね。長州さんも頭にタオルを巻いて。
    フミ まあ、アメリカのプロレス用語で言えば「ブッカー」を指すんですね。つまりマッチメイクをする人なんですけど、日本語に該当するものはなくて、単なる「監督」だと映画やお芝居のイメージが強い。プロ野球やスポーツにも監督という役職はありますけど、これらは団体競技の監督なんですね。長州さんが現場監督と呼ばれるようになって「えっ、プロレスに監督ってあるの?」って疑問に思ったファンは多かったと思うんです。
    ――「じゃあ、いままでは現場監督はいなかった?」という話になりますね。
    フミ プロレスにブッカーという役職があることは知れ渡っていましたから、プロデューサーな役割を想像したと思うんです。ということは、以前もプロデュースする人間はいたんだな、と。現場監督という言葉が浮き上がってきたのは、アントニオ猪木さんが新日本からいなくなったからなんですね。
    ――猪木さんは政界に進出して新日本プロレスの現場から遠ざることになりましたね。
    フミ それまでの新日本プロレスは、アントニオ猪木さんが製作総指揮・監督・主演。その猪木さんがいなくなってからは、製作は坂口征二さん、主演は闘魂三銃士(橋本真也、武藤敬司、蝶野正洋)プラス馳浩&佐々木健介、そして監督が長州さんになったんです。
    ――分業制になっていくわけですね。
    フミ たとえば坂口さんなり新日本関係者の誰かの「現場は長州が……」というコメントから現場監督という呼び方が広まったかもしれません。業務内容については一切触れていないんですが、かつて猪木さんが立っていたポジションに長州さんがいることはたしかなんです。新日本のレスラーのいちばん上に立っているのが長州力。
    ――そこで猪木さんが藤波さんではなく長州さんを指名したのは興味深いですね。
    フミ 猪木さんはシングルマッチで長州さんにピンフォール負けを許してるんですが、藤波さんには一度も負けてないんです。タッグマッチで一度だけフォール負けしてますが、88年8月8日横浜文化体育館で藤波さんのIWGP王座に挑戦した試合では60分フルタイムのドロー。
    ――藤波さんはついに“猪木超え”を果たせなかったんですね。
    フミ 最終的に猪木さんは長州さんに現場を任せますが、長州さんは体育会系だし、問答無用で命令するタイプ。アメとムチをうまく使いつつ選手を完全にコントロールしてマッチメイクしていきましたよね。
    ――猪木さんはその性格を見抜いて任せたのかもしれませんね。
    フミ ここが重要なポイントなんですが、現場監督になった長州さんは自分のことは主演には据えなかったんです。そこが現場監督として優秀でした。
    ――長州さんは最初から一歩引いてましたね。
    フミ 主演は三銃士と馳健の5人。長州力のレスラーとしての感覚からすれば、この5人で新日本は回していけると計算できたんでしょう。それにレスラーにとっての究極の仕事というのは、リングの上でメインイベンターとしてチャンピオンになるということも、もちろん重要なんですけど、最高のポジションはブッカー。現場監督なんですよ。アメリカでもドレッシングルームを仕切るのはブッカーですから。つまりはこれは天下を取ったということなんです。
    ――リング上の物語も仕切っていくわけですもんね。
    フミ そこはプロレスを考えていく上でとっても大切なことなんです。真剣勝負だ八百長だという二元論であったり、ショーだお芝居だという定義付けでしかプロレスを捉えられない人にとっては、リング上の勝ち負けは単なる演出と思いがちなんですけど、百歩譲って勝ち負けを決めて試合をするとしても、むしろ、だからこそ勝敗は大切なんです。
    ――たしかにそうですよね。
    フミ ブッカーにとってはガチでやってくれたほうがよっぽど簡単なんですよ。針の穴を通すような発想でマッチメイクに取り組まないといけないのがプロレス。レスラーたちを納得させてリングに上げないといけないんですから。プロレスラーって勝ちたい人たちばっかりなんです。「はい、今日はボクが負けておきます!」なんて人はいない。
    ――「俺が俺が!」という上昇志向じゃないとやっていけない職業なんですね。
    フミ プロレスラーは勝てば嬉しいし、負ければヘコむんです。G1クライマックス第1回大会の両国国技館で長州力にフォール勝ちしたときのバンバン・ビガロのあの喜び方。もの凄くわかりやすいですよね。
    ――ビガロって大一番では便利役っぽい扱いでしたから、喜びもひとしおなんでしょうね。
    フミ ビガロはサルマン・ハシミコフや北尾光司のデビュー戦の相手を務めましたよね。北尾戦のときは「東京ドームで相撲のグランドチャンピオンのデビュー戦の相手をやる」って喜んでいましたけど、あくまで仕事としてやったわけです。WWEのレッスルマニアで元フットボーラーのローレンス・テーラーが1試合だけやったときも、ビンス・マクマホンが考えたことは日本と同じ。ビガロにやってもらおう、と。
    ――そこまでの信頼感がビガロにあったんですね。
    フミ 要するにどんな相手でもビガロなら試合にしちゃうってことですね。プロレスの中でのキャッチフレーズにある「ホウキが相手でも試合ができる」のがビガロ。
    ――プロレスの達人だったという。
    フミ だけども、忘れちゃいけないのはプロレスラーって勝ちたい人たちの集まりなんです。ビガロと同じ時期に活躍したベイダーも、負けると凄く落ち込みますよね。あの図体の大きさとは裏腹に繊細な人だったんだけど。
    ――扱いが難しいレスラーたちを長州さんがまとめていたんですね。
    フミ 長州さんにとって都合がよかったのは、三銃士たちとは10歳以上、歳が離れていたことですよね。一世代下のレスラーだったから、長州さんはうまく采配ができたところもあったと思います。
    ――プロ野球でも監督と選手の年齢が近いと、采配しづらいっていいますね。
    フミ 三銃士人気が爆発的に上がっていくきっかけは、第1回G-1クライマックスなんですが、前年の夏に後楽園ホールで7日間連続興行をやりましたね。日本人選手だけの興行で7日間すべて三銃士が主役でした。
    ――この企画がステップアップしてG-1クライマックスになったんですね、。
    フミ G1のリーグ戦という形式は長州さんからすればマッチメイクしやすかったと思うんですよ。そこで大きなポイントは、このG1には長州さんも参加しましたけど、公式戦全敗なんですね。
    ――よく考えると凄いですよねぇ。
    フミ 誤解を生む言い方かもしれないけれど、長州さんは記念すべき第1回G1クライマックスで全敗したことで、現場監督としての指導力は高まったはずなんです。
    ――自分本意な現場監督ではないと。
    フミ 新日本プロレスをチームとして考えた場合、G1クライマックスで三銃士をスターに育てた手腕により、現場監督としての力を不動のものとしたと思いますね。
    ――“大穴”の蝶野が第1回G1を優勝することで一気にスターダムに駆け上がって。
    フミ 蝶野さんが「G1男」になることで、武藤さんや橋本さんに追いつきましたね。まさかの大番狂わせにお客さんが投げまくった座布団が宙を舞うシーンはいまだに語り草ですね。
    ――あの試合以降、プロレス興行の座布団貸し出しは禁止になって(笑)。
    フミ いまになってみれば、長州さんの考えはよくわかるんですよ。蝶野さんはあの時点では三銃士の中では一番アピール度が弱かったです。武藤さんは天才的なレスラーだったし、橋本さんは日本人好みのケンカファイター。その2人と比べてややセールスポイントに欠ける蝶野さんは結果を出さないといけなかった。身体能力や技の美しさがあった武藤敬司、打撃や感情で見せていた橋本真也に対して、蝶野さんは緻密なレスリングを見せてG1を優勝したことで、観客の見る目は変わっていきましたね。
    ――“死んだふり”と呼ばれたノラリクラリの試合戦術も脚光を浴びて。
    フミ 武藤さんはともかく橋本さんに“死んだふり”はできないです。蝶野さんは頭脳的なレスリングができるから“死んだふり”がよく似合うし、ひとつの物語のような試合がうまかった。たとえば試合の中盤戦から、いろんな小技で相手の足を攻める。それは最後にSTFを決めるための布石。そういったストーリーテリングな試合ができるから、アメリカ人レスラーはみんな蝶野さんのことを褒めるんですね。一方で橋本さんのことは「ただ暴れてるだけ」と認めない選手が多くて。武藤さんは身体能力が凄くて別格なんですけど、なぜ橋本さんが日本で人気があるのかわからない、と。
    ――ああ、たしかに理解できないかもしれないですね。
    フミ お世辞にもカッコイイ体つきではないですし、橋本さんの人気の理由がなかなか理解できない。アメリカ人レスラーのあいだでは「ファット・エルビス」って呼ばれてた。
    ――太ったエルビス!(笑)。この続きと、永源遥、NOAH新体制の謎、那須川天心、グレイシー柔術、ディファ有明閉鎖、アジャ・コングなどの記事がまとめて読める「14万字・詰め合わせセット」はコチラ http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1164999