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記事 14件
  • 【記事12本14万字】UFC即王座挑戦の裏側、ドーピング、齋藤彰俊、あきぴ、韓国格闘技事情……

    2024-11-30 23:59  
    800pt
    非会員でも購入できる大好評インタビュー詰め合わせセット! 記事12本14万字で800円!!(税込み)
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    ◎笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう
    ◎朝倉海の即UFC王座挑戦は「オーストラリアの◯◯」がきっかけ?■シュウ・ヒラタ
    ◎RIZINラウンドガールからMMAデビューへ! あきぴインタビュー
    ◎RIZINガールからRIZIN広報に! 横島加奈さんインタビュー
    ◎日本格闘技界はドーピングにどう向き合うべきか■大沢ケンジ☓タケ ダイグウジ
    ◎“お隣”韓国の知られざる格闘技事情■PKヤドラン
    ◎追悼・小林邦昭さん■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」
    ◎【全女伝説】前川久美子「どっちかが死ぬんじゃないか…と思う試合はいくらでもあった」
    ◎プロレスラー引退■齋藤彰俊インタビュー
    ◎飯伏幸太vsDDT亀裂の見立て/Sareeeの裏投げ■プロレス事情通Z
    ◎佐々木憂流迦が中邑真輔戦の“葛藤”を語る
    ◎TAJIRIかく語りき「奇跡のプロレスから離れて」
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    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんのRIZIN LANDMARK名古屋総括11,000字です!(聞き手/ジャン斉藤) 
    ――RIZIN名古屋はワーストだったという声があるんですけど、常に超RIZINや大晦日級を求められているんだなってハードルの高さを思いしりました!
    笹原 毎回大晦日クラスのものをやり続けたら10年持つ身体が1年
    で終わってしまうかもしれない(笑)。
    ――ハハハハハ! いまの格闘技ファンには届かない「猪木語録ハラスメント」はやめてください!谷間の興行になると「PPVの値段を下げろ!」という声が飛びがちですけど、他のジャンルの配信価格設定を見るかぎりRIZINのPPVは標準ではあるんですよね。大晦日と地方がほぼ同じだから文句は出るんでしょうけど、オールスターシステムの大晦日はUFCのPPV並の価格にしたいんだろうなと。
    笹原 できるだけリーズブルな価格で見たい……という気持ちはすごくわかります! ボクらも企業努力は当然しなきゃいけないんですけれど、それにしても世の中は物価高ですし、円安の影響で外国人ファイターを呼ぶのもなかなか大変ですし、これだけ円安が続いたら10年持つ会社が1年で終わってしまうかもしれない(笑)。
    ――また!(笑)。今回の名古屋にも世界各地から「地獄のチャーリー軍団」が大襲来しましたけど、いくらかかってるんだって話ですね。
    笹原 たとえば会場設営&撤収作業はアルバイトを雇うんですけど、RIZIN規模のイベントだと大人数になるし、いまは人件費も上がっていて、おまけに年末になると通常料金では人材を確保できない。通常は1日拘束で▲万円くらいですけど、大晦日料金は◯万円くらいになりますから。
    ――◯万円! 家で寝っ転がってRIZIN観戦しているボクを雇ってください(笑)。
    笹原 まあでも観戦されるお客さんにはそんなこと関係ないので、満足いただけるような中身を作るしかないんですけどね。
    ――その名古屋メインのケラモフvs摩嶋一整は28秒決着。格闘技の儚さに痺れましたね……。摩嶋選手はやっと初のメインにたどり着いたのに、こんなにあっけなく散ってしまったのかと。
    笹原 「残酷」という言葉しか出てこないですよね。これまでも何度か言ってますけど、RIZINはPRIDE.1のヒクソン・グレイシーvs.高田延彦のときの「残酷な現実」が刻印されたイベントですからね。
    ――残酷さが人を惹きつけ、新しいドラマを駆動させると。
    笹原 でも一方で勝者のケラモフにもすごい重圧があったんですよ。鈴木千裕選手に負けてフェザー級のベルトを失ったアゼルバイジャン大会はちょうど1年前だったじゃないですか。
    ――地元大会での屈辱的敗北でしたねぇ。
    笹原 そのあと事件に巻き込まれて刑務所に入れられて、やっと出所できて1年ぶりの試合だったんですが、今回は普段はいないスポーツ庁の人間が帯同してたんですよ。
    ――どういうことですか?
    笹原 刑務所に入れられて出てくることができたのは、スポーツ庁の偉い人が動いてくれたかららしいんです。なのでスポーツ庁からすると「ちゃんと日本で、アゼルバイジャンのために試合をするんだろうな」とチェックするために帯同したんじゃないかなって。
    ――うわぁ……。
    笹原 試合後、ケラモフ陣営から柏木さんのところに「リング上でケラモフが勝ったことがわかる写真を送ってくれ」という連絡があったんです。理由はアゼルバイジャンのスポーツ省に報告したかったらしいんですよね。少しでも早くケラモフの活躍を証明したい。最初はRIZINガールに両脇にいるケラモフの写真を送ったら「別の写真にしてくれ」と。刑務所を出たばっかりで女の子をはべらせているようなものだと誤解されると(笑)。
    ――「日本で遊んでるんじゃないか」と(笑)。
    笹原 こっちとしては「なんでそんなに写真が必要なの?」ってすぐには対応してなかったんですよ。そうしたら「早く写真をよこせ!」と柏木さんがせっつかれて、よくよく事情を聞いたらそういう理由だったみたいです。
    ――ケラモフは試合後のマイクでアゼルバイジャンのスポーツ庁に感謝の言葉を述べてましたが、そこには深い意味を感じますね……。
    笹原 ケラモフのコーチもスポーツ大臣から「絶対に結果を出せ!」と言われていたみたいです。だからケラモフはちょっと我々には想像できないようなプレッシャーがあったと思うんですよね。
    ――摩嶋視点では残酷すぎる結末ですが、ケラモフにも圧倒的な物語があったわけですね。
    笹原 ケラモフは生き残れたけど、摩嶋選手は……それでも立ち上がるしかないのが格闘家という職業ですから。今回あらためて思ったんですけど、試合に勝った選手は勝利の喜びを消費する時間ってあっという間だと思うんですけど、負けた選手が敗北を受け止めている時間って超長いんじゃないかって。「もっとこうすればよかった」とか「あのとき、あれができたんじゃないか」って、自己批判や自己否定を繰り返して、すごく長い時間かけて消化しなきゃいけない。勝利と敗北って、実はすごくアンバランスなんですよね。
    ――臥薪嘗胆という言葉もありますしね……。負けた選手がよく「早く試合をしたい」というのは早くこの沼から抜け出したい理由もあるんでしょうね。
    笹原 敗北の屈辱を晴らすのは、勝利しかないですからね。
    ――摩嶋選手もRIZINプロデュースの後押しもあってファンに愛されるキャラクターになってますが、必ずハッピーエンドで終わるわけではない。リングの上だけは自分の力でどうするかしかないわけですよね。
    笹原 摩嶋選手ってRIZINに上がるまでは「地味強な地方の選手」という印象だったファンは多かったと思うんですよ。RIZINというある意味で華やかな舞台を通して、町工場で働き子供を育てながら試合で戦うひたむきな姿が伝わり、多くのファンに愛されたんだと思います。
    ――セルフ・プロデュース全盛の時代にSNSやYouTubeも一切やらないことも、「だったら俺たちが売らなきゃ!」というファンの応援スイッチが入った感はありますよね。
    笹原 摩嶋選手はこの残酷な結果を、仕事をして、子供を育てながら消化するしかない。ボクらはもう一度立ち上がってほしいと願うことしかできませんけど、立ち上がって欲しいなぁ…。・チャーリー柏木さんの「荒削り」詐欺
    ・愛すべきトニー・ララミーの姿勢
    ・「アーチュレッタ病」とは何か
    ・日本人が避ける(?)RIZINライト級門番四天王
    ・怪物くんが“怪物”に出会った
    ・芦澤竜誠vs昇侍は最高
    ・久保優太は◯◯◯を選ばずに……記事12本12万字の詰め合わせセットはまだまだ続く……

     
  • TAJIRIかく語りき「奇跡のプロレスから離れて」

    2024-11-26 21:06  
    200pt
    現在は九州プロレスで活躍するTAJIRIインタビュー!現在のプロレス、九州プロレスの熱、ブック論争……あらゆる話題を13,000字で語りまくります!(聞き手/ジャン斉藤)☆ニコ生配信されたものを再構成したものです【1記事から購入できるバックナンバー】・アイスリボン給料未払いとは何か■プロレス事情通Z
    ・AKIRAインタビュー最終回「猪木さんから、オマエら殴り合えと……」
    ・なぜ『極悪女王』で“ブック”というネットスラングが使われたのか
    ・幻の新日本プロレスvs北朝鮮軍人■長井満也
    ――TAJIRIさんといえば、単行本とnoteの執筆でもご活躍されてますけど、ボクもたまにnoteを購入してます。
    TAJIRI ありがとうございます。なんだか“noteこ●き”みたいになってるんですけど(笑)。
    ――ハハハハハハ!TAJIRIさんのnoteは面白いんですけど、単記事発売じゃないですか。月額制にしないんですか?
    TAJIRI そろそろ月額制にしてみようかなって。noteのほうから「そうしたほうがいいですよ」っていきなり連絡があってですね。
    ――月額制にしたほうが読む人は多くなりますよ。
    TAJIRI そういうもんなんですねぇ。
    TAJIRI秘密文書編集室https://note.com/buzzsawkick/membership/join――noteでも触れているかもしれませんが、今日はいろんなお話をお聞きしたいと思います。TAJIRIさんはいま九州プロレス所属で福岡に住まわれてますね。
    TAJIRI もう2年近く経ちますね。大学時代にこっちに住んでいたんで、もともと馴染みがあるんですけど。住んでるところは福岡空港の近くで、すぐに近くを飛行機が通るから、そういうときに電波が悪くなるんですよ。
    ――じゃあ、この配信もガクガクし始めたら飛行機のせいで電波が悪くなったということで(笑)。
    TAJIRI ハンパなく飛ぶんですよ。九州プロレスの道場まで自転車で1分で行けるんですけど、道場の上に飛行機がものすごく接近しますからね。昔、飛行機のパーツが落ちて事件になったことがあったみたいです。
    ――TAJIRIさんの九州プロレスの1日はどんな感じなんですか?
    TAJIRI 朝、道場に教えに行って、午後は営業に付き添うこともあるし、夜は営業や接待。プロレス好きの社長さんが多いのでけっこう呼ばれるんですね。
    ――指導以外にも営業をやりながら、リング内外で九州プロレスを盛り上げていってるんですね。
    TAJIRI はい。ボクなんかは営業をわりとやってないほうで。一番すごいのは、ばってん×ぶらぶらですね。彼は自分であちこち飛び回ってますから。東京には伝わってないんですけど、九州プロレスはものすごい広がってますね。
    ――TAJIRIさんのツイッターからその熱は伝わってます!
    TAJIRI だといいんですけどね。けど、べつにプロレスファンに伝わらなくてもいいんじゃないかなって思ってて(笑)。
    ――なんでですか(笑)。でもまあ東京のプロレスファンに伝わっても、現地で見れるわけでもないですね。
    TAJIRI 逆にボクは東京のプロレスをほとんど見ないんですよ。『週刊プロレス』もここ2年間読んだことが1回もないし、ネットで調べたりもしないし、映像配信も見たこともないしで。そうすると、プロレス界のことがなーんにも伝わってこないんですよね。「この世にプロレスは存在しないんじゃないか?」ってくらい。自分から調べないと、なーんにも入っていないんですよ。だから普通の人も「プロレスはあるのか、ないのか」という感じだと思いますね。
    ――たしかに世間を飛び越えたニュースがいまのプロレス界にはあまりないですね。
    TAJIRI まあ、それはプロレスだけではないと思うんですけど。ボクは球技にまったく興味ないんで、サッカーやバレーボールのニュースは何にも知らない。昔ならたまにプロレスのニュースも飛び込んできたんですけど、いまは情報が多すぎるから難しいですよね。
    ――TAJIRIさんって、携帯でしかツイッターをチェックしない派なんですよね。基本的にパソコンで見ると。
    TAJIRI そうですね。携帯では「noteが売れたかな」って確認しかしないです。“noteこ●き”だから(笑)。
    ――ハハハハハハハ。noteでプロレスのことを書くにあたって最近の情報を気にする必要はないと。
    TAJIRI やっぱり何も知らなくて困るときがあって。プロレス界で起きてることを書くのが一番読まれるわけじゃないですか。このままじゃ“noteこ●き”もできないんじゃないかって(笑)。
    ――ハハハハハ。ものすごい失礼な質問なんですけど、棚橋弘至さんが引退表明されたことはご存知ですよね?
    TAJIRI それは聞きました。
    ――よかった(笑)。九州プロレスにお話を戻すんですけども。Dropkickチャンネルは格闘技ファンが多いのであまりご存じないんですけど、九州プロレスは大会を無料観戦できるんですよね。
    TAJIRI 全大会無料です。
    ――すごいなあ。九州に旅行で行く機会があったら、誰でも覗けるということですね。
    TAJIRI 会場に来ればそのまま見れちゃうんですよ。最近はお客さんも数もすごいですよ。1000人があたりまえになってきてる。本当に1000人のお客さんが集まる絵って凄まじいんですよ。3500人と発表されている会場より入ってるんですよ(笑)。
    ――3500人入ってないのに「主催者発表3500人」と発表している団体があるかのような言い方はやめてください(笑)。
    TAJIRI フッフッフッ。まあ昔はボクもやってましたけどね(笑)。こないだの福岡国際センターもパンパンだったんですよね。国際センターに来た他団体をいくつか見てるんですけど、2000人以上入ってるところってないと思いますね。
    ――いまの世の中って娯楽が溢れてるから、タダでも行かないですよね。それで1000人の集客はすごい。
    TAJIRI 九州プロレスには「この人、いつも会場に来てるな」って常連が100人近くいるのかなあ。この前なんてボクの生まれ故郷の玉名(熊本県)でやったんですけど、8万人の人口のところに1000人弱来たんですよ。遠くから来る人もいたんですけどね、東京にはそういう話はまったく伝わってないでしょ?
    ――なんとなく聞いてるんですけども、おそらく現地に行けばまた違った熱があるってことですね。
    TAJIRI たまに東京から知り合いが来るんですけど、みんなびっくりするんですよね。東京から九州プロレスに参戦するレスラーたちもいろいろとびっくりしますね。
    ――それは東京のプロレスと雰囲気が違うわけですか。
    TAJIRI 全然違う。九州プロレスの会場は子供ばっかりなんですよ。やっぱり夜18時から水道橋でやるプロレスに子供は見に行けないですよね。
    ――試合内容も東京のプロレスとまた違うわけですか?
    TAJIRI すごくシンプルですよ。複雑な攻防をやったら子供たちはわからないのでやらないです。
    ――具体的にどういった攻防が複雑なんですかね?
    TAJIRI 「奇跡が起きるプロレス」です。「なんでそういう態勢になるんですか」「そういう動きにならないでしょ?」って攻防です。不思議なプロレスが多いじゃないですか(笑)。
    ――えーっと、多いかもしれないですね(笑)。
    TAJIRI 黒潮“イケメン”二郎がそういうプロレスを「奇跡のプロレス」、略してキセプロって呼んでるんですよね(笑)。
    ――イケメンさんのせいにしないでください(笑)。
    TAJIRI アイツこの前、玉名の興行に来たんですけど、試合はすごくシンプルですね。わかりやすいです。
    ――たしかにプロレスをよく知らない人から見ると「これはどういう技なんだろう?」という動きはあるのかもしれないですよね。
    TAJIRI ボクにだってわかんないですもん(笑)。だから、東京のプロレスを見なくなっちゃったんですよ。
    ――そこはマニアを対象にしていくと、より刺激的なものを求めた結果、キセプロにたどり着くんでしょうかね。
    TAJIRI もちろんマニアだけがいる空間の面白さもあるんですけどね。
    ――ただ九州でマニアだけ集めてもビジネスとしては回らないところはありますよね。
    TAJIRI マニアって数が少ないですからね。
    ――全大会無料で見せるということは、九州プロレスには協賛企業はものすごくたくさんあるわけですよね。
    TAJIRI そこはもう、ばってん×ぶらぶらを始めとする営業がみんな頑張ってくれているので。レスラーはプロレスの試合しかやってないですよ。営業の付き合いはやりますけど、営業が5人ぐらいいます。九州プロレスの去年の売り上げは2億円だったのかな。
    ――2億円!
    TAJIRI NPOだから数字はすべて表に出るんですよ。
    ――九州プロレスはプロレス史上初のNPO団体なんですよね。専属の営業部員もいて、レスラーも営業のサポートはするけど、基本的に試合だけ。
    TAJIRI あと慰問ですね。ボクと玄海はキャラがあるからだと思うんですけど、めんたい☆キッドさん、阿蘇山、桜島(なおき)選手、佐々木日田丸さんなんかは、毎日のように幼稚園や介護施設に行ってます。年間200回かな。
    ――年間200!? 東京のプロレスはちょっとビジネス構造のあり方が違うですね……。
    ・筑前りょう太はイエス・キリスト

    ・ブックについて

    ・「戦いがあるプロレス」の定義

    ・『極悪女王』とビンス・ドキュメント

    ・ガロ的プロレス……13,000字インタビューはまだまだ続く




    この続きとUFC即王座挑戦の裏側、ドーピング、齋藤彰俊、あきぴ、韓国格闘技事情……などの「記事12本14万字詰め合わせ」が800円(税込み)が読める詰め合わせセットはコチラ
    https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2207423
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  • 笹原圭一の「RIZIN LANDMARK名古屋」を11,000字で語ろう

    2024-11-25 13:02  
    200pt

    大会後恒例!RIZIN広報・笹原圭一さんのRIZIN LANDMARK名古屋総括11,000字です!(聞き手/ジャン斉藤) 

    【1記事から購入できるバックナンバー】・笹原圭一の「RIZIN48のことは嫌いにならないでください」

    ・ジョビンチャンネルでできなかった髙田延彦の「八百長」「搾取」の話

    ・18歳の新星・秋元強真の時代がやってくる!!【インタビュー】

    ・マネジメントから見たドーピング問題■シュウ・ヒラタのMMAマシンガントーク
    ――RIZIN名古屋はワーストだったという声があるんですけど、常に超RIZINや大晦日級を求められているんだなってハードルの高さを思いしりました!
    笹原 毎回大晦日クラスのものをやり続けたら10年持つ身体が1年
    で終わってしまうかもしれない(笑)。
    ――ハハハハハ! いまの格闘技ファンには届かない「猪木語録ハラスメント」はやめてください!谷間の興行になると「PPVの値段を下げろ!」という声が飛びがちですけど、他のジャンルの配信価格設定を見るかぎりRIZINのPPVは標準ではあるんですよね。大晦日と地方がほぼ同じだから文句は出るんでしょうけど、オールスターシステムの大晦日はUFCのPPV並の価格にしたいんだろうなと。
    笹原 できるだけリーズブルな価格で見たい……という気持ちはすごくわかります! ボクらも企業努力は当然しなきゃいけないんですけれど、それにしても世の中は物価高ですし、円安の影響で外国人ファイターを呼ぶのもなかなか大変ですし、これだけ円安が続いたら10年持つ会社が1年で終わってしまうかもしれない(笑)。
    ――また!(笑)。今回の名古屋にも世界各地から「地獄のチャーリー軍団」が大襲来しましたけど、いくらかかってるんだって話ですね。
    笹原 たとえば会場設営&撤収作業はアルバイトを雇うんですけど、RIZIN規模のイベントだと大人数になるし、いまは人件費も上がっていて、おまけに年末になると通常料金では人材を確保できない。通常は1日拘束で▲万円くらいですけど、大晦日料金は◯万円くらいになりますから。
    ――◯万円! 家で寝っ転がってRIZIN観戦しているボクを雇ってください(笑)。
    笹原 まあでも観戦されるお客さんにはそんなこと関係ないので、満足いただけるような中身を作るしかないんですけどね。
    ――その名古屋メインのケラモフvs摩嶋一整は28秒決着。格闘技の儚さに痺れましたね……。摩嶋選手はやっと初のメインにたどり着いたのに、こんなにあっけなく散ってしまったのかと。
    笹原 「残酷」という言葉しか出てこないですよね。これまでも何度か言ってますけど、RIZINはPRIDE.1のヒクソン・グレイシーvs.高田延彦のときの「残酷な現実」が刻印されたイベントですからね。
    ――残酷さが人を惹きつけ、新しいドラマを駆動させると。
    笹原 でも一方で勝者のケラモフにもすごい重圧があったんですよ。鈴木千裕選手に負けてフェザー級のベルトを失ったアゼルバイジャン大会はちょうど1年前だったじゃないですか。
    ――地元大会での屈辱的敗北でしたねぇ。
    笹原 そのあと事件に巻き込まれて刑務所に入れられて、やっと出所できて1年ぶりの試合だったんですが、今回は普段はいないスポーツ庁の人間が帯同してたんですよ。
    ――どういうことですか?
    笹原 刑務所に入れられて出てくることができたのは、スポーツ庁の偉い人が動いてくれたかららしいんです。なのでスポーツ庁からすると「ちゃんと日本で、アゼルバイジャンのために試合をするんだろうな」とチェックするために帯同したんじゃないかなって。
    ――うわぁ……。
    笹原 試合後、ケラモフ陣営から柏木さんのところに「リング上でケラモフが勝ったことがわかる写真を送ってくれ」という連絡があったんです。理由はアゼルバイジャンのスポーツ省に報告したかったらしいんですよね。少しでも早くケラモフの活躍を証明したい。最初はRIZINガールに両脇にいるケラモフの写真を送ったら「別の写真にしてくれ」と。刑務所を出たばっかりで女の子をはべらせているようなものだと誤解されると(笑)。
    ――「日本で遊んでるんじゃないか」と(笑)。
    笹原 こっちとしては「なんでそんなに写真が必要なの?」ってすぐには対応してなかったんですよ。そうしたら「早く写真をよこせ!」と柏木さんがせっつかれて、よくよく事情を聞いたらそういう理由だったみたいです。
    ――ケラモフは試合後のマイクでアゼルバイジャンのスポーツ庁に感謝の言葉を述べてましたが、そこには深い意味を感じますね……。
    笹原 ケラモフのコーチもスポーツ大臣から「絶対に結果を出せ!」と言われていたみたいです。だからケラモフはちょっと我々には想像できないようなプレッシャーがあったと思うんですよね。
    ――摩嶋視点では残酷すぎる結末ですが、ケラモフにも圧倒的な物語があったわけですね。
    笹原 ケラモフは生き残れたけど、摩嶋選手は……それでも立ち上がるしかないのが格闘家という職業ですから。今回あらためて思ったんですけど、試合に勝った選手は勝利の喜びを消費する時間ってあっという間だと思うんですけど、負けた選手が敗北を受け止めている時間って超長いんじゃないかって。「もっとこうすればよかった」とか「あのとき、あれができたんじゃないか」って、自己批判や自己否定を繰り返して、すごく長い時間かけて消化しなきゃいけない。勝利と敗北って、実はすごくアンバランスなんですよね。
    ――臥薪嘗胆という言葉もありますしね……。負けた選手がよく「早く試合をしたい」というのは早くこの沼から抜け出したい理由もあるんでしょうね。
    笹原 敗北の屈辱を晴らすのは、勝利しかないですからね。
    ――摩嶋選手もRIZINプロデュースの後押しもあってファンに愛されるキャラクターになってますが、必ずハッピーエンドで終わるわけではない。リングの上だけは自分の力でどうするかしかないわけですよね。
    笹原 摩嶋選手ってRIZINに上がるまでは「地味強な地方の選手」という印象だったファンは多かったと思うんですよ。RIZINというある意味で華やかな舞台を通して、町工場で働き子供を育てながら試合で戦うひたむきな姿が伝わり、多くのファンに愛されたんだと思います。
    ――セルフ・プロデュース全盛の時代にSNSやYouTubeも一切やらないことも、「だったら俺たちが売らなきゃ!」というファンの応援スイッチが入った感はありますよね。
    笹原 摩嶋選手はこの残酷な結果を、仕事をして、子供を育てながら消化するしかない。ボクらはもう一度立ち上がってほしいと願うことしかできませんけど、立ち上がって欲しいなぁ…。・チャーリー柏木さんの「荒削り」詐欺
    ・愛すべきトニー・ララミーの姿勢
    ・「アーチュレッタ病」とは何か
    ・日本人が避ける(?)RIZINライト級門番四天王
    ・怪物くんが“怪物”に出会った
    ・芦澤竜誠vs昇侍は最高
    ・久保優太は◯◯◯を選ばずに…11,000字インタビューはまだまだ続く

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  • 佐々木憂流迦が中邑真輔戦の“葛藤”を語る

    2024-11-23 23:18  
    200pt
    1月1日NOAH武道館大会で中邑真輔と対戦する佐々木憂流迦。2023年1月1日のグレート・ムタvs中邑真輔に衝撃を受けたことでプロレス転向。デビュー1年目で自分の人生を変えた中邑真輔とリングで向き合うことになるが、事前の中邑真輔インタビューでは厳しい言葉を浴びせられた。
    【中邑真輔インタビュー】“お前に何ができる?”佐々木憂流迦をプロレスの世界へいざなった男・中邑真輔の心境に迫る!
    https://www.noah.co.jp/news/6427/
    この記事を受けて佐々木憂流迦が囲み取材を実施。めったに会場・会見に行かないことでおなじみのワタクシ、ジャン斉藤ですが「なんだか面白そう!」ということで潜入。実際、佐々木憂流迦がプロレス沼の中でもがくかのような問答が続いて面白かった! その模様は他媒体でも活字化されてますが、あの雰囲気を活字でできるだけ再現してみました。聞き手はマスコミ複数。ときおりジャン斉藤も質問しています。1月1日 日本武道館大会 チケット詳細
    https://www.noah.co.jp/
    「ABEMA PPV」全試合独占生中継いたします。
    https://abe.ma/48OURmB

    ――まず1月1日のNOAH武道館(中邑真輔戦)に近づいてきましたけれども、武道館への道を歩む中での手応えを教えていただけると助かります。
    憂流迦 手応えですか?手応えは……苦しんでますね。
    ――どのへんで?
    憂流迦 うーんとですね……心ですかね。俺、けっこうアレなんですよ。こういう取材のときもいろいろ考えてきたりするんですけど、今日はまったく考えてないですね。ありのままで、そのときに感じたものを感じ取ろうとしている最中でございます。
    ――じゃあ、かなり研ぎ澄まされた状態になる?
    憂流迦 研ぎ澄んでるかどうかすらわかんないですね。ただ、敏感にはなってる気がしますね、心が。
    ――中邑真輔さんのYouTubeインタビューは、ご覧になられましたか?
    憂流迦 見ました、見ました。もちろんすぐ見ました。
    ――それを見て率直に思ったことを感じたことってありますか?
    憂流迦 スゲー言ってくれるなって思いました。
    ――どのへんに感じましたか?
    憂流迦 いやもうこっちが感じていることをリングの上で照らし合わせる前に全部言ってくれるから、ありがたいという気持ちもありながら、まだ足りてない部分がひしひしと痛感しているというか。
    ――世間的な評価では、憂流迦選手がデビュー1年でこれだけ驚異的に進化しているという見られる方もあるんですけど。憂流迦さんの中では自分に足りてないものっがあって、それを中邑さんに見透かされていたみたいな?
    憂流迦 いや、もう全部見透かされてるでしょうね。それは間違いないでしょう。だからこそ、もっともっとやんなきゃなと思ってますね。
    ――映像の中では「甘やかされてるんじゃないか」という言葉もありましたけど。
    憂流迦 ハハハハハハ。何も言えないですね。そこはもう何も言えないですね。
    ――「このまま平行線を続けても、だらだら続けてても望む未来はやってこないんじゃないの?とは思います」という言葉もありました。
    憂流迦 いやもう感じてるんですよ。やっぱり感じているところをズバズバ言われてたので……だからやっぱこのなんていうんですかね。もっとやらなきゃなっていうときなんだろうなって思ってますけど。
    ――具体的にいうと何をやらないといけない?
    憂流迦 具体的に……どっちかっていうと、一番苦手にしてきたところなんで ボクはすごく苦手なところなので。そこをどうやって突き破れるのかっていうところですね。……なんかあんまり具体的じゃないですね(笑)。
    ――中邑選手の言葉のやりとりもプロレスの一部だと思うんですど。
    憂流迦 そうですね。
    ――中邑選手からは明らかに仕掛けてきていると思います。ここで何を返すかも試されているんじゃないかなと思うんですけど。
    憂流迦 (中邑真輔のインタビューには)「生きるか死ぬか」という言葉もありましたけど、「死ぬ気で行きますよ」としか言えないですけど。
    ――「プロレスラーや格闘家の枠を取り払って素で来たらいいんじゃないか」っていう言葉は響いたってことですか?
    憂流迦 響いた?全部響いてるんですけどね。まあでも、なんて言ったらいいのかな……格闘家・プロレスラーである前に、本名は佐々木佑太ですけど。佐々木佑太の部分はありますし。自分の持っているところをやっぱり大きくしていかないとね。そこでしかぶつけられないんで。そんな張りぼてのガワのところなんてペシャーンってやられちゃうと思うんでね。そこの部分をいかにしっかりぶつけられるかなって気はしますね。
    ――いまおっしゃる苦手な部分はどういうことですか?
    憂流迦 具体的な部分は……ボクの本当のところを出すことに対しての抵抗があったんですけど。どっちかというと、ガワ側でやる人間だったんで、そこの部分ですよね。やっぱどっかでセーブしちゃったりするんで、そこをしっかりタガ外したいなって思ってますね。
    ――「本当のところ」ってどういうところですか?
    憂流迦 まあ、たとえばネガティブな感情だとか、負の感情もそうだし、やっぱ一個被せて相手に伝えたりするんでね。
    ――素でやってないってことですか?
    憂流迦 素でやってない部分めちゃくちゃあるんじゃないですか?「やっぱりこうしたほうがいいだろうな」って先に頭で考えちゃうんで。そこを取っ払って、子供に戻った気持ちで、やっぱり剥き出しでいかないと通用しないんですよね。
    ――いままでの相手には通用していますか?
    憂流迦 うーん、どうだろう。ここで何か一個また変わるような気がしますね。いままでのやつが悪いとかじゃなくて。でも、いまはそこが必要だなと思ってます。
    ――真輔選手の言っていることが、挑発というよりは、お説教というか。関係性が近いぶんだけ親身に言っている感があったんですけど。そこは感じます?
    憂流迦 感じますけど、でもやっぱり厳しさもありますね。
    ――中邑真輔選手は憂流迦さんと同じように鳴り物入りで入ってきて。最初から大舞台デビューして、そのあとも本人の能力にかかわらず次から次に大きな舞台に上がっていたところがあって。そのへんのことも憂流迦さんに重ね合わせるような印象があのインタビューからはあった気がするんですけど。
    憂流迦 どうなんですかね。中邑真輔は中邑真輔なので、ボクはボクなので。そこはべつじゃないですか。被せてるような気もあまりしないけどなあ……。

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  • 追悼・小林邦昭さん■小佐野景浩の「プロレス歴史発見」

    2024-11-18 10:25  
    200pt
    プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は追悼・小林邦昭さんです!

    <1記事から¥100から購入できる連載記事! クリックすると試し読みできます!>
    孤高のプロレスラー、小川良成引退
    最高のプロレスラーだった曙さん
    令和の女子プロ! 小佐野景浩の東京女子プロレス講座
    中嶋勝彦を見よう/「プロレスの仕組み」論
    追悼“テキサスブロンコ”テリー・ファンク
    清宮海斗の「顔面蹴り」と「平和ボケ」
    私が愛した“若獅子”アントニオ猪木この旦那にしてこの妻あり!! 天龍源一郎を支えたまき代さん
    頑固一徹! 追悼・ターザン後藤さん
    大谷晋二郎選手の試合中の事故について
    『至高の三冠王者 三沢光晴』を書いた理由
    プロレスと結婚した風間ルミさん
    武田有弘☓小佐野景浩 「これまでのノアと、これからのノア」

    『ゴング』と東スポの元記者が語るプロレスマスコミ黄金時代/小佐野景浩☓寿浦恵一
    【14000字対談】小橋建太☓小佐野景浩「あの頃の全日本プロレスを語ろう」
    北尾はなぜ大成しなかったのか■柴田惣一☓小佐野景浩 マスコミ大御所第2弾柴田惣一☓小佐野景浩 プロレスマスコミ大御所対談「スクープ合戦はガチンコの闘いだった」全日本プロレスの「うっかり八兵衛」が明かす全日本秘話あの日の全日本プロレス、SWSを語ろう■北原光騎×小佐野景浩嗚呼、阿修羅・原……修羅ごときそのレスラー人生!!
    冬木弘道は「俺はやっぱり死ぬんだな」とニヤリと笑った…


    ――今日は先日お亡くなりになった小林邦昭さんを語っていただきます。おさのさんはもうかなり古い付き合いだったんですよね。
    小佐野 邦昭さんと初めて会ったのは、ボクが新日本プロレスのファンクラブを作った高校2年生の16歳のときだから、1978年ですね。
    ――はっはー、46年前ですか!(笑)。
    小佐野 会った場所は1978年6月1日の日本武道館。そこでアントニオ猪木vsボブ・バックランドのWWWF&NWFのダブルタイトル戦があったんですよ。会場で初めて会った新間(寿/当時・新日本プロレス営業本部長)さんにいきなり声をかけて、藤波(辰爾)さんのインタビューを試合前にやらせてもらって。
    ――アポなしでファンに取材させてくれるって牧歌的な時代です(笑)。
    小佐野 新間さんが「いいよ、坊や、入ってきな」ってことで藤波さんのところに連れてってくれて。ついでにいろんな選手のサインをもらっちゃったりして。ただね、邦昭さんだけはサインをしてくれなくて印象がよくなかったんですよ。長州さんだってサインをくれたのに。
    ――気難しい方だったんですか?
    小佐野 それには面白い話があってね。ボクはマスコミとしてプロレス業界に入ってから、同い歳のヒロ斎藤さんと仲良くなったわけですよ。ヒロちゃんはもともとファン出身だから「ファン時代にサインくれなかった選手っていた?」って聞いたら、邦昭さん。きっと男のファンが好きじゃなかったんじゃないかな(笑)。
    ――ハハハハハ! 小林さんといえば、モテてしゃーない方ですよね
    小佐野 やっぱりね、高校生の汚い男が来たら邦昭さんもイヤだったのかな(笑)。いつから喋るようになったのかは記憶がない。ファンクラブ時代も道場に行ったりしてたから、自然に喋るようになっていったんだと思うんだよね。
    ――道場まで乗り込む小佐野さんの行動力も凄まじいです(笑)。
    小佐野 ファンクラブ時代はまだパーマ頭だった長州さんにもインタビューしてるし、あと上田馬之助さん、剛竜馬さん、栗栖正伸さんなんかも取材してたね。
    ――道場の小林さんにはどんな印象がありました?
    小佐野 あのね、やっぱり女の子のファンには優しかった。
    ――またそれですか!(笑)。
    小佐野 本当に優しいお兄さんという感じ。当時の新日本の女の子って藤波さんのファンなんですよ。年齢的にも中学生や高校生。そういう子に手を出すとかそういうトラブルはなく、非常に優しいお兄さんという感じですね。
    ――紳士だったわけですね。「プロレスラー小林邦昭」はどう見てたんですか?
    小佐野 いわゆる普通の若手で、ちょっと身体が固いイメージだった。邦昭さんは海外修行先のメキシコから帰ってきてから売れたんだけど、やっぱりあのパンタロン姿が印象的だったよね。
    ――キックの怪鳥ベニー・ユキーデの影響ですけど、当時はかなり斬新でしたよね。
    小佐野 プロレスラーでパンタロンをコスチュームにする人はいなかったけど、メキシコ時代の佐山聡がそうで。佐山さんがイギリスに転戦するときにもう使わないことでパンタロンを置いていったものを邦昭さんがコスチュームにした。それから邦昭さんは自分に合ったパンタロンを作ったんだよね。佐山さんのパンタロンはベルボトムじゃないけど、ちょっと幅があってヒラヒラしてて、蹴りを使うとすごく映えるようにできていた。邦昭さんの場合はスピンキックは使っていたけど、蹴りのスタイルではないから、動きやすいパンタロンにしたんじゃないかな。
    ――メキシコから凱旋帰国したときに、小林さんの代名詞であるフィッシャーマンズ・スープレックスを持ち帰ってきたんですね。
    小佐野 フィッシャーマンズ・スープレックスはメキシコでも使っていたのかなあ。そのへんは定かではないんだけど、邦昭さんのすごいところはいかに注目を集めることができるか?という感性に優れていた。メキシコから帰ってきたら、後輩の佐山がタイガーマスクとしてブレイクして、長州さんは噛ませ犬発言で人気爆発。「じゃあ自分はどうやったら目立てるか」って考えてタイガーマスクにケンカを売った。マスク剥ぎで邦昭さんは一気にクローズアップされていくでしょ。これは晩年の邦昭さんが言ってたんだけど、タイガーマスクとの抗争は1年もやってない。邦昭さんは82年10月に帰国して、翌83年の夏に佐山さんは引退してるから1年弱ですよ。
    ――長期間抗争をしていたイメージがありますけど……。
    小佐野 だから、あの2人の試合のインパクトが強かったかってことだよね。邦昭さんが言ってたのは、シングルマッチでマスクを破いたのは2回しかないと。むやみやたらに破いていたわけじゃないんだけど、邦昭さんとタイガーマスクといえばマスク剥ぎの記憶が強い。それこそブッチャーがテリー・ファンクの腕にフォークを刺したのは1回だけで、あとはフォークを持っただけで、ファンが勝手に突き刺す絵を思い浮かべるのと同じ。邦昭さんがマスクに手をかけただけでファンが騒ぐ。それ以外は本人的には真っ当な試合をしていたと。佐山さんとは若手の頃さんざん試合していたし、お互いがメキシコやイギリスで経験したものを付け加えただけ。
    ――試合内容は保証付きだったから、あとはいかにベビー対ヒールの構図を作るかだけだったと。
    小佐野 新日本って若手がいい試合をすると、山本小鉄さんから5000円のボーナスが出たらしいんですよ。逆にしょっぱい試合をすると罰金3000円。
    ――ボーナスはわかりますけど、罰金も!(笑)。
    小佐野 取り組みで佐山さんとの試合だとわかると「5000円ごっちゃんだ」と。絶対にいい試合になるから。逆に荒川(真)さんとやると「ひょうきんプロレス」に引っ張られて微妙の内容だから罰金だったと(苦笑)。
    ――ハハハハハ。
    小佐野 猪木さんや小鉄さんは、荒川さんの「ひょうきんプロレス」が好きじゃないから。どこかで荒川さんとやったときに邦昭さんが控室に戻ったら、猪木さんにボコボコに殴られたって言ってましたねぇ……。
    ――とばっちり! 猪木さんも荒川さんをボコボコにするわけにいかないですね(笑)。
    小佐野 荒川さんから罰金も取れないからね(笑)。だから荒川さんとの試合は鬼門だったみたい。
    ――佐山さんと小林さんは若手の頃から手が合ったし、タイガーマスクvs小林邦昭にみんなが熱狂するに決まってるという。
    小佐野 そのきっかけ作りとしてマスク剥ぎは重要なポイントだったということだね。・モテてしゃーない小林邦昭
    ・マサ斎藤のやっぱりいい話
    ・ライバルをどう作るか
    ・幻の全日本エース高田延彦
    ・猪木イズムな誠心会館との抗争…13000字インタビューはまだまだ続く

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  • RIZINガールからRIZIN広報に! 横島加奈さんインタビュー

    2024-11-14 17:33  
    200pt
    元RIZINガールで現在はRIZIN広報として働く横島加奈さんインタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・【RIZIN復帰戦】浜崎朱加は2年間、何をやっていたのか?
    ・【メダル11個!!】パリ五輪レスリング日本代表が超強かった理由■保高幸子
    ・RIZINアンバサダー蒼瀬くるみちゃん12000字インタビュー
    ――横島さんはRIZINガール時代、旧ツイッターでめちゃくちゃ細かい手書きの格闘技メモをツイートしてましたよね。
    横島 はい。全然中身はすごくないんですけど、勉強がてら手書きで書いてました。
    ――パソコンじゃないんですか。
    横島 パソコンだと気持ちが伝わりづらいかなって思って……。
    ――マジメ! 
    横島 格闘技ファンの皆さんにどうやったらRIZINガールとして「RIZIN愛」が伝わるかなって考えたときに思いついたのがあの手書きのメモでした。
    笹原 横島さんは社長から「RIZINマジメグランプリがあったら優勝できるがや!」と言われるくらいマジメなんですよ。というわけで、ウチの大事な広報に下世話な媒体からの取材なので、私が同席します!
    ――うわっ!不マジメな媒体ですがよろしくお願いします!(笑)。今日はRIZINガールからRIZIN広報に転身した経緯を含めて伺いますが、広報の仕事はもう慣れてきましたか?
    横島 入社して2ヵ月半ぐらいなんですけど、やっと慣れてきた感じです。
    ――実際に働いてみて想像と違いました?
    横島 想像していたよりも、かなり細かかったです。ガールのときは、すごく華やかな世界が見えていたんですけど、裏方の仕事をしてみると、本当にたくさんの方々の努力のうえにRIZINが成り立っているんだなってことにあらためて気づかされました。まだまだ知らないことが多いですし、もっと知っていきたいし、もっと頑張りたいなって思ってます。
    ――格闘技ファンも「RIZINで働いてみたい!」という声が多いんですが、じつは格闘技の知識があってもできる仕事じゃないですよね。
    横島 格闘技のことも大事ですけど、社会人としての常識や協調性は必要ですよね…。私はRIZINが初入社というか、初めての職場なのでまだまだ足りないことだらけですけど。周りの方々が優しく教えてくださるので、なんとか頑張れているという感じです。
    ――大学在学中にChu-Z(チューズ)というアイドルグループに加入して、そのまま芸能活動をされていたから、RIZINが初の社会人経験になるんですね。
    横島 はい。Chu-Zで12年間アイドル活動してました。今年(2024年)8月に活動休止したので、RIZINガールとしてお世話になっていたRIZINで働いてみたいなと思いまして。
    ――いつぐらいからRIZINで働いてみたいと思ったんですか?
    横島 私はRIZINガールを2021年度と2022年度の2年間やらせていただいたんです。もちろん3年目もやりたかったんですよ。だけど、アイドルグループが2024年8月に活動休止になることが決まって。最後の1年はその活動に集中しようと一度RIZINから離れてました。そして自分のアイドル人生が終わったあとに何をやるかを考えたときに、もうRIZINしか頭になくて(笑)。
    ――RIZINしか頭にない(笑)。RIZINからいったん離れたことでよけいに思いを募らせたところがあったんですね。
    横島 私としては3年目もガールでやりたかったんですが、12年間やってきたアイドル人生を貫こうと。他のメンバーと一緒に最後の1年を駆け抜けようって決めたので。
    ――それまではRIZINガールとグループの活動を並行してやってたんですよね?
    横島 はい。そのときもRIZINとライブのスケジュールが被っちゃったりすることもよくあって、実際にガールとして出られない大会が何回かあったりしました。途中で抜けたり、逆に途中から来たり。
    ――土日だと催し物はやっぱり被りますよね。
    横島 どうしても重なることが多かったんですけど、いろんな方の協力もあって2年間できました。どっちにも迷惑をかけちゃうところもありましたし、最後の1年間は12年間応援してくれたChu-Zのファンに対してたくさんの感謝の気持ちを伝えようと。
    ――それで3年目はガールをやらなかったんですね。
    横島 はい。Chu-Zはファンを大事にしてきたグループなのと、私自身のアイドル人生もそうすることがケジメだと思いました。もちろん格闘技に対しても中途半端になってしまっては失礼だなって思いましたし。
    笹原 斉藤さん、マジメでしょ?(笑)。
    ――ワハハハハハ。素晴らしいと思います!アイドル引退後RIZINに関わるかたちはいろいろとあったと思うんですけど、RIZIN入社を選んだ理由は何があったんですか?
    横島 本当のことをいうと、ガールをまた受けようかなって考えも頭をよぎったんです。だけど、戻ることが正しいのかとか考えていたときにRIZIN社員募集の告知を見て「これじゃん!」と。RIZINファンからしたら、私はガールとしてそんなに目立ってもいないし、どうしたらRIZINが好きという気持ちが伝わるのか。RIZINに入って毎日RIZINのお仕事をすればいいんじゃないかって。
    ――それでRIZINに入社を打診したんですか。
    横島 それで面接に行きました。
    ――あっ、普通に面接!
    横島 はい。履歴書を持ってスーツで面接を受けました。社長面接も含めて2回ありましたね。履歴書を書くのも初めてで(笑)。
    ――RIZINとしてはビックリしたんじゃないですかね?
    笹原 ウチは横島さんのマジメな思いを受け止められるほど真剣じゃなかったというか、「まぁなんとかなるんじゃないの」という感じで(笑)。というのも横島さんはRIZINガール時代も手を抜かずに一生懸命やる人だったので、RIZINスタッフからすごく愛されていたんですよ。なので社会人経験なくてもなんとかなるんじゃないのと思ってましたね。
    横島 そう言っていただいてありがたいです!
    ――スポークスパーソンとして起用するために、てっきりRIZINから声をかけたのだとばかり思ってました。RIZIN社員募集の倍率って高いんですよね。
    笹原 ムチャクチャ高いと思います。斉藤さんレベルだと書類で落ちますね(笑)。
    ――ひどい! 
    笹原 記念に受けるとかの冷やかしもけっこういますし、募集すると100人じゃきかないんじゃないかな。
    ――その中を勝ち上がったと。面接ではどんなPRをされたんですか。
    横島 自分のいままでの経歴と、入社してやりたいことをお伝えして合格をいただいた感じです。
    ――希望職は広報だったんですか?
    横島 希望は広報でした。広報だと表に出ても何か発信することもあるので、いままでアイドル活動やガールでやってきたことを活かせるんじゃないかと思いました。
    ――話はRIZINガール時代に戻るんですけど、格闘技は好きだったんですか?
    横島 もともとはよく知らなかったんです。私はアイドル時代、吉成名高選手と同じ事務所だったこともあって、 名高選手が出ていたBOMという大会のラウンドガールをやらせていただいたときに初めて格闘技に触れました。
    ――その流れでRIZINのラウンドガールを受けてみようと?
    横島 そこはちょっとつながってはないんですけど。Chu-Zの頃、アイドルとして武器を持たないといけないということで、私はベストボディ・ジャパン日本大会に出て準GPになったり、スタイル系の武器を磨いていたんです。ラウンドガールはスタイル重視なので、RIZINガールに向いてるんじゃないかということでオーディションを受けることになりました。
    ――そのときRIZINはどういう認識だったんですか?
    横島 RIZINは有名な格闘技イベント……っていうことはわかってたんですけど、「テレビでやってるな」ぐらいの印象でした。こんなこといったら失礼かもしれないんですけど、当時は格闘技の面白さに気づかないまま受けました。すみません!
    ――大丈夫です!(笑)。
    横島 RIZINガールに合格して、RIZIN.30を会場で見たら「こんなに面白いんだ!」って。これまでの格闘技の価値観がものすごく変わるくらいの衝撃を受けたんです。
    ――RIZIN.30というと2021年9月。コロナ禍の最中ですね。
    横島 試合ももちろん面白かったんですが、RIZINの演出にビックリしました。私もずっとエンタメに関わっていたので、照明や炎をあんなに使うと、いくらくらいかかるかわかるんですよ(笑)。
    ――演出がお金に見える(笑)。
    横島 炎がバンバン打ち上がってるから「これ、何万円かかってるんだろう??」と(笑)。レーザー光線も高いことは知ってるし、それを惜しまずに全部やってるからすごいなって。
    ――「演出のお金」視点はなかなか新鮮ですけど、さすがアイドル出身です!
    横島 なので試合だけじゃなくて空間も楽しませるのがRIZINなんだって、そのときに気付かされたんです。
    ――演出でいえば、煽り映像で試合のストーリーや選手のキャラクターも伝えて。
    横島 煽り映像があると初めてRIZINを見る人でもストーリーが一瞬でわかるじゃないですか。たくさんのお客さんにストーリーが届くし、試合も楽しめるんだなって。あとファンの皆さんの声援の大きさ、熱量。「これはすごいものを知ってしまった!」って感じで(笑)。それでどんどんRIZINにハマっていきましたね。
    ――エンターテイメント・ショーに引き込まれていったんですね。
    横島 そこからいろいろ格闘技の勉強を始めていったんですが、わからないことだらけで……。RIZINガールの合宿で、格闘技知識の筆記試験があったんですけど、ビリから2番目だったんですよ……。
    ――石渡伸太郎さんが佐山聡になりきった合宿ですね。佐山聡さんのことは……。
    横島 佐山聡さんを調べたら、すごい人だってことがわかりました!(笑)。あの試験結果がくやしくてくやしくて。こんなんでRIZINガールをやるのは失礼だと思って猛勉強を始めました。
    ――例の手書きメモで覚えていったんですね。
    横島 2年目のガールのときも同じような筆記試験があったんですけど……そのときは満点でした(笑)。
    ――おめでとうございます(笑)。
    横島 もう、すぐに答えが書けるんですよ。「ヤバイ、全部わかる!」
    ――ハハハハハハ! 問題のレベルってどんな感じだったんですか?。
    笹原 表層だけじゃなくて、もう一歩踏み込んでいないとわからないレベルです。「朝倉未来さん大大大大大好きです!」って言っている人に「じゃあ彼の出身地はどこ?」って聞いて答えられないと「オマエの大好きはそのレベルか!」って思うじゃないですか(笑)。なのでもう一歩踏み込んでないと答えられないレベルですね。
    ――たとえばMMAの略とかも一般人はわかんないですもんね。
    横島 だから珍回答も出てくるので「大丈夫かな」と思ってました。「格闘技ファンの人が怒るよ」と思いながら。
    ――格闘技ファンは怖いですか?(笑)。
    横島 いや! 怖くはないんですけど(笑)、格闘技ファンにRIZINガールとして認めてほしい!って思ってました。私は肩書きだけのRIZINガールには絶対なりたくなくて。だから、そこに中身がないとイヤだから勉強して頑張りました。勉強というか、RIZINのことを知りたくて学んだ感じですね。
    ――やっぱりマジメだ!(笑)。・ガール時代の炎上経験
    ・RIZINガールのルール
    ・あきぴと夢
    ・アイドル戦国時代
    ・Hinanoちゃんは羨ましい……1万字インタビューはまだまだ続く


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  • 飯伏幸太vsDDT亀裂の見立て/Sareeeの裏投げ■プロレス事情通Z

    2024-11-12 10:47  
    200pt

    プロレス格闘技業界のあらゆる情報に精通する事情通Zのコーナー。今回のテーマは飯伏幸太vsDDT亀裂の見立て/プロレス危険技です!

    【1記事から購入できるバックナンバー】・アイスリボン給料未払いとは何か■プロレス事情通Z・“3人目のクラッシュ”が回想する『極悪女王』の時代■伊藤雅奈子

    ・Netflix『Mr. マクマホン: 悪のオーナー 』を楽しんでいいのか

    ・暗黒新日本の象徴「アルティメット・ロワイヤル」の裏側■長井満也


    ――ドラマチックに古巣DDTに復帰した飯伏幸太ですが、DDTで予定されていた大会を欠場。その理由は公にされず、WRESTLE UNIVERSEにアップされていた最近の飯伏幸太関連動画も削除。飯伏幸太はインスタでDDTとの亀裂を匂わせています。
    事情通Z はっきりとした理由が関係者からも本当に漏れてこない。「裏側でこんなことが起きていた」という噂は流れてるんだけど。まあ、何があったかは定かではないとはいえ、私の見立てでは……。

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  • “お隣”韓国の知られざる格闘技事情■PKヤドラン

    2024-11-10 21:52  
    200pt

    もっと知りたい韓国格闘技事情!PKヤドラン@PKyadoran さんに解説してもらいました!(聞き手/ジャン斉藤) ★11月1日に配信されたものを活字化したものです【1記事から購入できるバックナンバー】・「これがRIZINか……」佐藤将光、センターラインを超える

    ・RIZIN漢塾 塾長・石渡伸太郎“引退”1万字インタビュー

    ・【フライ級が来た!!】DEEPの殴り者、伊藤裕樹インタビュー

    ・所英男46歳 ヒロヤに負けたら即引退SP
    ――SNS上で韓国格闘技情報を発信しているPKヤドランさんにお話を聞いていきたいと思います。
    ヤドラン 初めまして、X上で「PKヤドラン」として活動しているものです。
    ――韓国といえば隣の国ですけど、じつは韓国格闘技界のことは知らないことが多いんじゃないかということで。まず、ヤドランさんはどういった経緯で格闘技界に関わるようになったんですか?
    ヤドラン もともと私はK-1で活躍してた長島☆自演乙☆雄一郎選手が大好きだったんです。その試合を観に行くようになったことが始まりですね。
    ――それは、日本に住んでいて?
    ヤドラン いや、韓国から試合のたびに来日していました。私はもともとアニメが好きで、長島選手もアニメオタクとして活躍していたじゃないですか。そこがちょうどマッチしたんですよね。といっても、最初は私は長島選手のアンチで「格闘技を舐めてるのか!」みたいな(笑)。
    ――ハハハハハ!
    ヤドラン でも、ファイトスタイルを見たらめちゃめちゃ面白くて、見ているうちに「この選手は面白いな」と日本まで応援に行くようになりましたね。
    ――そこから日本語も覚えていったんですか?
    ヤドラン 日本語を初めて覚えたのはアニメだったんですけど、もっと詳しく学ぶようになったのはやっぱり格闘技です。
    ――現在は格闘技関連のお仕事もされてるんですかね?
    ヤドラン 主にキックボクシングに関する仕事ですね。日本から試合のオファーがあったら韓国でキックボクシングをやっている選手を紹介してアテンドするという。
    ――マネジメントとまではいかないまでも、窓口としての活動をされているわけですね。キックの韓国人ファイターといえば、最近はRISEとかに参戦している印象がありますが、他の団体でもオファーはあります?
    ヤドラン 大阪のDEEPキック、名古屋のホーストカップ、NJKF(ニュージャパン)、あとはKPKB(九州プロキックボクシング)という団体にも関わらせていただいてます。
    ――けっこう需要があるんですね。
    ヤドラン やっぱり韓国人ファイターは勝っても負けても試合が面白いと言ってくれる関係者が多くて。それに地方都市の興行も、日本人同士の対決より日本人vs海外選手のほうが盛り上がりますから。
    ――そもそも自演乙さんを知る前から格闘技のファンではあったんですかね?
    ヤドラン ファンというか、格闘技を見るようになったきっかけはチェ・ホンマンですね。
    ――チェ・ホンマンといえば韓国相撲シルムの横綱で、K-1にも参戦していた大巨人ファイター。
    ヤドラン 私はそもそもK-1やPRIDEはまったく知らなかったんです。チェ・ホンマン選手がシルムを辞めてK-1に行くというニュースが韓国で流れて「K-1って何?」と。もちろんチェ・ホンマン選手が出場する前にも2004年にK-1韓国大会が開催されてますが、そこまで韓国でK-1は浸透してはなかったんですね。本当にチェ・ホンマン選手がK-1出場してから人気がパッと広がっていったので、私もそれで知ったうちのひとりでした。
    ――じゃあ、チェ・ホンマンを獲得したのはK-1にとって凄く大きかったんですね。ちなみに、いまシルムって完全になくなってるんですか?
    ヤドラン なくなってはないんですけど、正直盛り上がってはいないですねえ。80年代、90年代は凄く人気があったんですけど、いまはプロのシルム選手といっても本当に誰がいるのかとわからないくらいで。それに、協会のゴタゴタとかでシルムの団体も全部解体して。チェ・ホンマン選手がK-1に行くことになって「オレもK-1に行く」という選手たちもたくさんいましたし。
    ――韓国相撲という日本の相撲を連想しちゃいますけど、組織としてはけっこう不安定だったんですかね。
    ヤドラン けっこう内部でも揉めごとがあったりして。韓国ではそういうところがあるんです。だから格闘技団体も1回、2回、パッと格闘技の興行を開いて、お互い揉めて潰れるというのはよくある話です(苦笑)。
    ――そういえばボク、K-1韓国大会に行ったときに「韓国ってチケットを買う習慣がないんだよ」と言われたことがあるんですよね。
    ヤドラン ああ、一般のチケットは売れないですね。たとえば、ジムの選手が出たらその会員さんがチケットを買って観に行くみたいなことはありますけど、一般のファンがチケットを買って見ることはほぼないです。韓国は格闘技にお金払わなくても観れるんですよ。たとえば、日本だとUFCやRIZINはPPVでお金払って観ますけど、韓国はUFCもテレビで無料で流されてますから。いまはそれも徐々に変化してるんですけど、基本的に格闘技にお金払う文化がないですね。
    ――ボクが観に行ったK-1は1万人以上のお客さんが入ってましたけど、あれはほとんど招待券なんですかね?
    ヤドラン うーん、そこはわからないですが、たとえば「韓国スポンサーのショッピングサイトで一定の値段以上を買ったらキャンペーンでチケットもらえます」みたいなキャンペーンはよくありますね。私も一番安いチケットを買ってK-1を観に行ったことがあるんですけど、会場にいたら「無料でいい席に移れますよ」という感じでリングサイドで観たことがあります(笑)。
    ――そういう中、チェ・ホンマンが参戦していた旧K-1がなくなって以降、韓国格闘技界はどうなっていったんですか?
    ヤドラン 韓国にはもともとキックの団体はなかったですし、いまはKTKという団体が長く続いているんですけど、そこも1~2ヵ月に1回のペースで大会をやってるぐらいです。でもそれ以前は、ほぼやっては潰れ、やっては潰れての繰り返しで。
    ――やっぱりお金を払って観る習慣がないから経営も大変という。
    ヤドラン それもそうですし、さっき言ったとおり結局、揉めて潰れてるんで(苦笑)。
    ――とにかく揉める! 一方でMMA団体はいつぐらいからできるようになったんですか?
    ヤドラン じつは2003年から韓国でも総合格闘技団体はあったんですよ。ただ、それはちゃんと競技場じゃなくて、日本でいうクラブみたいなところで開催されていたというか。
    ――いわゆるクラブファイトのような。
    ヤドラン Gimme Five(ギミー・ファイブ)という団体なんですけど。それは選手が事前に準備して試合に出るわけじゃなく、本当にその場その場で登録して舞台に上がって試合するんです。そして勝てばファイトマネーが日本円で4万円、負けても2万円という。お金がほしいから格闘技経験がなくても上がる人とかもいましたね。ただ、死亡者が出てしまったことがきっかけでイベントが潰れて、代表もめちゃめちゃ借金に追われてという。
    ――それで法的にも開催が難しくなっていったんですね。
    ヤドラン 法律もそうなんですけど「格闘技は怖い」という印象が植えつけられて、いまも昔の人たちは格闘技に対していい思いを持ってない人もけっこう多いです。いまもROAD FCに目をつけている市議員が「総合格闘技はスポーツではない」という発言をしてたり。だから、ROAD FCのジョン・ムンホン会長は政治家たちとも仲良くしてめちゃめちゃ頑張ってるんですよ。
    ――その後、国内団体に関してはいつくらいから定着してきたんですか?
    ヤドラン ROAD FCは2010年の立ち上げで、その時期は日本格闘技界の冬の時代にも重なるから、ROAD FCには日本人ファイターも参戦していたんですよね。そのあと中国のスポンサーがついて、そこから韓国の総合格闘技がどんどん定着しはじめた感じです。
    ・反日アングルは流行らない?
    ・大原樹里はスーチョルより人気がある?
    ・ブラックコンバットのファンはRIZINを見下している
    ・格闘家から芸能人への道
    ・ROAD FCは税金で開催……13000字インタビューはまだまだ続く


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  • 日本格闘技界はドーピングにどう向き合うべきか■大沢ケンジ☓タケ ダイグウジ

    2024-11-09 20:52  
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    9月に配信された大沢ケンジ☓タケ ダイグウジのドーピング対談の活字版19000字です!(聞き手/ジャン斉藤)【1記事から購入できるバックナンバー】・川尻達也vs鈴木芳彦「RIZIN開国の不毛な議論」23000字
    ・セコンド大塚隆史が見た朝倉未来戦「蓮くんは五輪アスリート級の取り組み方だった」
    ・恐怖のRIZIN開国と世界戦略■笹原圭一
    ・【元・静岡県警のマル暴刑事】 関根“シュレック”秀樹 薬物犯罪捜査を語る【12,000字】
    ――今回のDropkickスタジオ配信のテーマは「ドーピング」です。まずはドーピング関連の話題でお世話になっているトレーナーのタケ ダイグウジさんです。
    タケ よろしくお願いします!
    ――そしてもう1人は、検査をしたら何か反応が出てしまうんじゃないか……という「鉄の喉」の持ち主・大沢ケンジさんです。
    大沢 ハハハハハ。たしかに怪しい顔立ちはしてますけどね(笑)。
    ――喉は壊れたことないんですか?
    大沢 ボクね、小さい頃に喉が潰れたんですよ。小学3年生ぐらいのときに声が出ない時期が1年ぐらいあって。そのときに腹から声を出さないとダメだとわかって、それで発声が変わったんですよね。喉ドーピングはしてないです(笑)。
    ――大沢さんの疑惑が晴れたところで、一時期よりは風化まではいかないですけど、ちょっと鎮火した感じがあるドーピングについて語っていきます。だいぶ落ち着いたからこそ振り返れることもあるので、よろしくお願いします。
    大沢 まあいろいろと騒ぎになりましたけど、すごく勉強になる期間だったなと。いままで噂話で耳にすることはあったんですけど、今回のことでリアリティを持ってドーピングが近づいてきてる。各方面に話を聞いたら意外とカジュアルにやってるんだな、みたいな。
    タケ それ、誤解されそうですけど、カジュアルにやっているのは格闘技界じゃないですよね?(笑)。
    大沢 あ、そうです(笑)。ボディビル方面なんですけど、トレーニングされてる方に聞いてみると、意外に……普通にやってることを口にするじゃないですか。「ちゃんと専門家に聞いてやってますよ」「あんまりネットで買わないほうがいいですよ」とか。
    タケ ボクも一時ボディメイク系の選手を指導してたことがあって。ボクが教えていた選手たちは当然ナチュラルでしたけど、「あれ?この選手、急に身体がでかくなったな?」という選手はまあまあいたんですよね。
    ――ボディメイク系以外の競技はどうなんですか?
    タケ 他の競技では基本的に聞いてないですね。
    大沢 相撲はどうですか?
    タケ まあ、相撲は無法地帯なので(苦笑)。
    ――相撲は検査がそこまで厳しくないってことですか?
    タケ いや、ゼロでしょ。まあ伝統芸能ですもんね。
    大沢 ボクは話を聞いたうえだけの知識なんで。詳しい方からしたら「違う」って言われるかもしれないですけど……ステロイドを使うとどれくらい身体が大きくなるのかを聞いてみたんですよ。ドーピングなしで本気でトレーニングして、食事をめっちゃくちゃ取る場合、筋肉量は年間マックスで2キロぐらいですよね?
    タケ ナチュラルだと2キロですね。
    大沢 で、ステロイドありだったら半年で5キロ増えますって。
    タケ ですね。年間10キロは増えますよ。
    大沢 あと練習がガンガンできるようになるんですよね。アナボリック・ステロイドだったら1日3部練は安定していけると。
    タケ そこは薬の種類によってだと思うんですよね。完全に筋肥大だけ狙ってくると逆に心臓に負担かかってしまうから。
    大沢 ボクはいままで、ステロイドでパンパンの60キロと、ナチュラルでパンパンの60キロは結局筋肉だけだったら同じじゃないの?って思ってて。ステロイドを取ってもあんまり意味ないんじゃないと思ってたんですけど、練習量が増やせるとなると、ちょっと話は変わってくるんですよね。
    タケ そこが相当なメリットじゃないですか。回復力もアップして、靭帯や腱も強くなってケガをしにくくなる。
    ――これだけで現場に携わっている大沢さんでも、日本のMMAソーンにドーピングが浸透している雰囲気は感じなかったわけですよね。
    大沢 全然です。これは本当の話ですよ。HEARTSはあんまり出稽古してないし、そんなに積極的に外で練習する奴はいないんですよ。だからあんまり情報が入ってこなくて。噂では「◯◯はやってる」と聞くことはあるんですけど、実際はどうかはわからない。体感としてはなかったんですよ。
    ――大沢さんの現役時代もですか?
    大沢 そうです。
    タケ ボクも日本人に関しては耳にしなかったですね。けど、ボクがMMAファイターを見出したのはここ15年ぐらいだから。それは2010年の手前ぐらいで、国内でいうと格闘技が下火になってきて、軽量級の選手が多くなったとき。身体の大きい日本人選手が少なくなっていたから、それ以前のことはわかんないですよね。
    ――2000年代の頃は怪しい選手はチラホラいたんですけど。
    タケ ちょっと名前が出せないけど、「うーん……」っていう選手はいましたね。
    大沢 それはヘビー級ですよね?
    タケ ヘビー級もそうですし、中・軽量級でも……。
    大沢 ……あ~(笑)。ちなみにボクの知り合いの選手がアメリカで試合したときに試合前に興奮剤を1錠飲んだけど、全然興奮しなくて。試合直前にもう1錠、飲んだんですよ。そうしたらめっちゃ興奮して1ラウンドはガーッとめちゃくちゃ攻めたけど、2ラウンド目は鬼のように失速して結果はドローになった先輩がいて(苦笑)。
    ――急に失速する外国人ファイター、けっこういましたよね(笑)。
    大沢 高阪(剛)さんが言っていたのは、高阪さんがUFCに出ていた頃(90年代~2000年代初頭)って海外の連中はとにかく気性が荒いと。控室でも吠えまくってるんですよ。しばらく経って気づいたのが「みんな興奮剤をやってるから興奮しているんだな」と。そんぐらいカジュアルというか、あたりまえに浸透していたってことですよね。
    ――ちょっと前まで海外のメディアが「PRIDEは薬物天国だった!」と騒いでましたけど、正直どの口が言ってるんだと思ってましたよ(笑)。
    大沢 他のスポーツでいえば、自転車もドーピングがハンパじゃなかったですよね。ランス・アームストロングとか。
    タケ あのへんは血液ドーピングの始まりみたいな時期ですよね。
    大沢 もちろん格闘技も昔の動画を見ると、とんでもない身体してるなって思いますよ。肩周りとかハンパじゃないし。
    タケ 国内だとZSTに出ていた某外国人は「あ、入れたな」ってわかりましたね。明らかにテンションがおかしかったし。
    ――昔は外国人が吠えながら入場してくるじゃないですか。試合前だから無駄なスタミナを使う必要はないんですけど、いまとなってみては興奮剤がものすごく効いていたんだなと(笑)。
    大沢 これ、名前を出していいのかわからないですけど、修斗にも参戦していたUFCファイターの◯◯。控室が同じだったんですけど、めっちゃテンションすごくて「これはやってんのかな」って思っちゃいましたよ。
    タケ あっ、ボクと水垣(偉弥)もUFCのときに◯◯のテンションはヤベえだろって話になったんだけど、ナチュラルなんじゃないかなって。ただテンションの高い人(笑)。
    大沢 マジっすか? あれ、尋常じゃないですよ?
    ――結論としては選手の皆さんは控え室でおとなしくしたほうがいいんじゃないかってことですね(笑)。・軽くなる計量オーバーの罪悪感
    ・赤沢幸典という男
    ・「選手が使いたい」と言い出したら…
    ・ドーピングは「精神と時の部屋」
    ・練習しない奴に効果なし?……19000字対談はまだまだ続く

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  • 【全女伝説】前川久美子「どっちかが死ぬんじゃないか…と思う試合はいくらでもあった」

    2024-11-06 10:20  
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    90年代から伝説のプロレス団体・全日本女子プロレスで活躍した前川久美子ロングインタビュー!!(この記事は2019年4月に掲載されたものです)【1記事から購入できるバックナンバー】・“3人目のクラッシュ”が回想する『極悪女王』の時代■伊藤雅奈子
    ・新日本☓スターダム、飯伏欠場、スターダム離脱なし…■プロレス事情通Z
    ・なぜ『極悪女王』で“ブック”というネットスラングが使われたのか
    ・昭和・新日本なら小川直也vs橋本真也の事件は起きていない■AKIRAインタビュー④
    ――前川さんは90年代の全日本女子プロレスというシャレにならない時代を生き抜いたわけですよね。
    前川 シャレにならないというか、まあ当時はあたりまえのことでしたけどね。
    ――あ、ご自分では普通だと感じていた。
    前川 うーん、普通というか……たとえばスターダムで起きた世志琥の事件(安川惡斗戦)とかも全女では日常茶飯事だったし、あんなので謝罪会見するほうが間違っていますから。
    ――試合が壊れちゃったやつですね……。前川さんと同じ意見はあの事件直後も出てましたね。
    前川 訴えられるだなんだで言ったら、そんなの全女の先輩たちの制裁シーンなんかいくらでも映像に残っていますよ。たとえば、北斗晶さんが三田英津子さんと下田美馬さんと一緒にラス・カチョーラスというユニットをやっていたときに、試合で何もできなかった2人を北斗さんがバックステージでボコボコにしてた映像とか。ウチらもそれが普通で育ってきているから。
    ――では、そういうお話も含めてお聞かせいただければと……。前川さんの全女デビューは1991年ですが、入門のきっかけはなんだったんですか?
    前川 クラッシュギャルズの影響ですね、とくにライオネス飛鳥さんの。私は高3のときに合格したんです。全女のオーディションって中3から高3までしか受けられないんですけど、最初に書類を送った中3のときは書類だけで2000人の応募があって、フジテレビで面接を受けたのが約300人、最終的に合格したのが10人前後でしたね。
    ――狭き門すぎますねぇ。当時はそれくらい憧れの職業で。
    前川 もし私が中3で合格していたら井上京子さんや井上貴子さんと同期でしたね。私は高3のときにようやく受かりました。ただ、毎年最終面接までは行っていたんですよね。
    ――毎年あと一歩だった。
    前川 高3となると、いよいよ卒業後の進路を決めなきゃいけないんですけど、私は高校で就職組のクラスにいたから、そのまま普通にしていると夏ぐらいに就職が決まっちゃうんですよ。でも、それだと翌春のオーディションを受けられないので、いきなり進学組にクラスを変えたんです。ただ、その年にかぎって全女のオーディションが1月じゃなくて3月になって焦ったんですけどね。
    ――3月って進学も就職もほぼ決まってる時期ですよね。
    前川 専門学校の試験はだいたい1月にあるんですけど、私は「3月に試験がある学校を受けるから」と言い張ってました。担任の先生に「なんで、わざわざ3月の厳しいときに受けるの?」と言われたんですけど、担任にはプロレスやりたいということは明かさずに「ちょっといろいろあるので」と。
    ――担任の先生も凄く謎だったでしょうね(笑)。
    前川 だって、専門学校は受かったら1週間以内に入学金100万円とかを納めないといけないんですよ。行くかどうかわからないのに、そんな無駄なことはできないじゃないですか。だから、オーディションを基準に受験できる専門学校を選んで、全女がダメならダメで、そっから受験すればいいやと思って。
    ――で、高3では無事合格するわけですね。
    前川 合格がわかった瞬間に「全女に受かったから専門学校は受験しません!」と言いました。そしたら先生も「なんだ、そういうことだったのか」と納得してましたけど。
    ――オーディションを受けるうえで、何か対策はされてたんですか?
    前川 私は小・中学校のときに水泳をやっていたんですけど、プロレスラーになるために受け身を教わりたいと思っていたんですよ。そうしたら自分の担任の先生が合気道初段、柔道初段、空手三段ということがわかって「柔道を教えてほしい」とお願いすると、なぜか空手まで教えられちゃって。「受け身を教えるから、空手もやれ」と。
    ――前川さんの蹴り主体のファイトスタイルは、そこが源流だったんですね。
    前川 高校は女子校だったんですけど、その空手部もウチらが入ったとき立ち上げられて、1年生で愛好会、2年生で同好会、3年生で部に昇格したんですよね。県大会で勝って関東大会に行ったりもしていたんですけど、ウチらが卒業してからその先生も他の学校に移っちゃったんで、そのまま空手部も廃部になってしまったんです。
    ――じゃあ、前川さんのためにあったような部活じゃないですか。
    前川 どうなんでしょう(笑)。部員もけっこういたんですけどね。
    ――高3で全女に合格したときは相当うれしかったでしょうね。
    前川 うれしかったけど、そこからがしんどかったですね……。練習のツラさではなく、先輩の理不尽さが。
    ――全女が過酷な世界だってことは、あらかじめわかってなかったんですか?
    前川 いや、全然です。同期は一般で入った私と違って、ほとんどが練習生あがりだから多少は知っていたかもしれないですけど。
    ――練習生は一般オーディションとはまた違う入り方があるということですか?
    前川 当時の全女は練習生というシステムがあって、月謝を払ってスポーツジムに通うみたいな感覚で全女の道場に通う人がいたんです。その子たちも最終的には一緒にオーディションに参加するので、受かるかどうかはわからないんですけどね。ただ、練習生の人たちはオーディションの流れもわかっているし、態度がデカいから「ああ、あの人たちは練習生なんだろうな」というのはすぐにわかりましたけど。
    ――「私はオーディションの連中とは違うんだ」という雰囲気を出すんですね。
    前川 でも、練習生あがりの人たちもけっこう複雑な面があって。たとえば、貴子さんは下田さんよりも後輩なんですけど、練習生でいったら貴子さんのほうが先輩らしいんですよ。でも、貴子さんがオーディションに受かったとき、もう下田さんは全女に入っているわけで、全女のキャリアでは先輩になるという。
    ――もうわけがわかりません!(笑)。入門当時の1日のスケジュールというはどういう感じですか?
    前川 まず、9時から全女ビルの掃除、10時からは事務所の手伝いか、全女が運営していたレストラン『SUN賊』でのお手伝い。さっき言った練習生を教えるのも新人の役目なんですけど、その当番の子は16時か17時ぐらいから指導します。自分らの練習はそれが終わった18時ぐらいからですね。
    ――事務所番というのは何をやるんですか?
    前川 ファンクラブの会報を郵便局から発送したり、あとは通販モノの発送手配をやったり。本当は、新人は朝9時前に朝練をしないといけないんですけど、忙しすぎてそんなのやってるヒマはなかったですね。
    ――当時は『SUN賊』も忙しかったんですよね。
    前川 『SUN賊』のお客さんは多かったです。ファンもいましたけど、一般のお客さんが多かったですね。全女ビルってちょうどオフィス街にあるので、サラリーマンが普通に食べにきてましたし。グッチャグチャになるぐらい混むときもあって、そこで忙しくしてると「私、ここで何やってんだろう……」みたいな。基本給6万円ぐらいをもらってやってましたね。
    ――あとの収入は試合給ですか。
    前川 試合給といっても、プロテストに受かるまではお金はもらえないんですよ。プロテストに受かったら基本給が7万円になって試合ができるんですけど、1試合1500円、勝ったら2000円とかだったかな。そういう時代ですね。
    ――プロテストはどんなことをやるんですか?
    前川 基礎体力、ブリッジ、受け身です。あとはスパーリングをやったりもするんですけど、つまりは会社が「この子はもう試合をさせて大丈夫か」を見極めるテストですよね。
    ――となると、全女に入ってもプロテストに受からない人もいたんですか?
    前川 ウチらの代はいなかったかな。でも、受からない人はいますよ。受からなかったらその下の代に落とされるんです。たとえば、一個上に鳥巣朱美という子がいたんですけど、鳥巣も落とされてウチらと同期になりましたね。
    ――高校でいえば、ダブった先輩みたいなもんですね。
    前川 そうです。でも、前年に入った人だというのはウチらもわかっているから、最初は「鳥巣さん」なんて呼んでいると、「なんで、“さん”づけで呼んでるんだ!」と先輩に怒られるという。本人も1年ぶんの経験があるもんだから、いろんなことを言ってくるんですよね。そうなると、ウチらも「おまえ、落ちたクセにうるせえな!」とかケンカになってましたね(笑)。
    ――同期でもケンカは絶えないわけですね(笑)。
    前川 絶えない、絶えない。殴り合いをしている代もあったんじゃないですかね。
    ――夜の練習は先輩方も一緒なんですか?
    前川 先輩方はみんな巡業に行ってるので、道場にはいないです。でも、日帰りのときは先輩たちが帰ってくるのを待ってないといけないから、練習が終わっても寝ちゃいけないんですよ。しかも、プロテストに受かってない子は道場では待てないんです。寮で先輩たちが帰るのを起きて待ってないといけなくて。しかも、プロテストに受からないと、先輩の備品とかにもいっさい触れないんですよ。
    ――そんなルールがあるんですか(笑)。
    前川 変でしょ? だから、先輩が帰ってくるのを見計らって道場を開けておくんですけど、先輩が到着しても荷物には触れないから、ただ寮で起きて待ってるだけで。先輩が道場を締めて鍵を寮に持ってくるんですけど、鍵を持ってくるときに先輩が階段を上りはじめたら、ウチらが階段を降りて鍵を取りに行かないといけないという。
    ――はー、それは毎日気が休まらないでしょうねえ。
    前川 先輩たちが巡業で帰ってこなかったら、夜は21時頃まで練習してスエットのまま渋谷に遊びにいったりもできたんですけど、どこでファンに見られているかわからないし、ファンに見られると全部先輩にチクられるんですよね。
    ――うわっ、親衛隊たちが見張っているんですか!?(笑)。
    前川 ファンはすぐチクるんですよ。たとえば、基本的に全女では先輩を見下ろす行為というのはダメだったんです。
    ――見下ろす行為?
    前川 あるとき、先輩が帰ってくるところをたまたま屋上から見下ろしていたら、それもチクられましたね。出待ちしていたファンの子が「誰々が上から見下ろしてたよ!」って。
    ――文化大革命の密告もビックリですよ(笑)。ファンもその選手が好きだから、気に入られたいがあまりチクるんでしょうね。・秩父合宿所の実態
    ・実力主義「押さえ込み」の世界
    ・ブル中野の付き人時代
    ・ガッチガチだった全女の異種格闘技戦
    ・全女の最終興行……15000字記事はまだまだ続く

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