インフルエンザの大流行と大寒波の関係はどうなっているのか?知る由も無し菊地成孔。とにかく恐ろしい事には、AをやってBをやって風邪をひく、というグランフルコースの方も居るとか居ないとか。そしてかく言う私も現在「B来たかな?」と戦々恐々としているのである。来たとしても知りたくないので検査は受けない。現在の私は電話で指示を出せば有能な部下が動いてくれる、という状況では残念ながら、無い(積年のビジネスパートナーである長沼は除くが)。これは誰彼が無能だと言っているのではない、あえてここでの無能性が一番高いのはこの私だ。
私は、アカウンタビリティが極端に低い事で一部有名である。アカウンタビリティとは説明責任の事で、要するに最初のミーティングで、企画意図のプレゼンを完璧にこなし、周囲を巻き込める能力の事だが、あれを持っている人間が、所謂成功者だと思って間違いない。私は、自閉症の天才児の様に(自分を天才だと言っているのではない)、黙って1人で考えついて、黙って1人で行動して、どんどん実現してしまう。というタイプで、周りの者はたまったモンじゃないと思う。
音楽家とは阿吽があるのでまだ良いが(それでも、私がバンドを立ち上げるとき、メンバーは口を揃えて「最初は何が何だか解らなかった。やっと最近解って来た」と言う)、スタッフである。私は脳内で着想した段階で殆ど作品は出来上がっているので、他人にあれこれ説明するのはめんどくさい、というか能力的な不全によって、そもそも出来ない。ので、「黙ってアイツにやらせておこう」という状態に耐えられない人々の苛立ちを買い続けることになる。
従って、私の現場は私が直接赴かないと動かないし、ただ単に作業的に動かないのではなく、私が居ないと、誰も、何をしておけば良いのか解らない状態が固定される。「この歳でインフルA型(高熱が出る方。6日間の蟄居が強要される)はキツいぜ~」と言うのは、体がキツいのは言うまでもないが、私は壊死性リンパ結節炎という熱病で死にかけた経験があるので、実際の所、39度が3日間ぐらいだったら何でも無い(その病気の時は、42度が2ヶ月続いて、体重が30キロ代まで落ちた)。
それよりも、進退ここに極まったのは、私が検査によってイン振るA罹患と診断された日が、市川愛氏のアルバムレコーディングのホットスポットだった事である。現場は停止を余儀なくされ、発売は若干日だが延期された。第一には参加ミュージシャン、市川愛氏、スタッフ諸氏に謝罪したい。この混乱の収拾は、やっと本日(2月8日)に着いた。ギリもギリである。
更には、私が蟄居を余儀なくされた6日間のうちに、オーニソロジーのライブとジャズドミュニスターズのロングタイムDJセットがあったことである。第ゼロには音楽的な成果とは別に(私が入らない方が良かった場合、というのも存在する訳なので)、とにかく私の演奏の為に対価を支払って下さった上に、回収されなかった方々(そういう方々がいらっしゃったのかどうか、いらっしゃったとして、額がいくらなのか、不勉強にして解らないが)に謝罪したい。健康管理も仕事のうちとは言うが、人間ドックの結果が良かった事で慢心していた。人間ドックには疲労の蓄積や、それによる免疫力の低下までは細かく出ない。私は歌舞伎町を出てから睡眠時間がどんどん減っており、離/再婚してからは更に減った。私の人生は明らかに間違っている。今年中に何とか修正しないといけない。
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